昨日、私が、パリ16区で起こった銃撃事件を最初に知ったのは、日本大使館からの一報でした。「報道によりますと、12日午後1時40分頃、パリ市16区アンリデュナン病院(ミケランジュ通り)の前で、銃撃事件が発生し、1人が死亡、1人が重症とのことです。犯人は、スクーターで逃走中とのことであり、邦人の皆様におかれましては、以上を念頭に外出は十分ご注意下さい」という内容のメールでした。
このメールが届いたのは、この事件が起こった約2時間後の15時35分で、1日中ニュースを注意して見ているわけではない者にとっては、貴重なお知らせでした。
パリ16区といえば、東京で言えば、田園調布のような高級住宅街で有名な場所、日頃、治安が決して悪くない場所で、銃撃事件が起こるということは、かなり衝撃的なことです。
今年の3月にも、パリ16区の高校(Lycée Jean de la fontaine)前で、数十名が関与するグループ間の乱闘から3人が負傷し、1人が刺されるという事件が起こっています。
この高校が公立高校でありながら、日本語セクションがあり、正課で日本語が学べる高校であることから、その存在を知っていただけに私にとっても、ショックはことさら大きなものでした。
しかし、今回は、単なる暴力事件ではなく、銃が使われた犯罪で、その恐ろしさは、ひとしおです。
目撃者の証言によると、犯人の男は、被害者の頭のかなり至近距離で数発の弾丸を発射して、かなり落ち着いた様子で、そのまま何事もなかったように去り、スクーターに乗って逃走したそうです。
頭を至近距離で撃たれた男性は、死亡、そばにいた病院警備にあたっていた女性は、重症を負っていますが、この死亡した男性とは無関係の女性だそうです。
この事件が発生した前の病院は私立で、赤十字が運営しており、予防接種センターとして機能している病院の前で起こったことから、ワクチン接種等へのテロ行為であることも疑われていましたが、パリ16区の市長は、この事件は、病院に対する反抗や無差別テロ行為ではないことを発表、被害者がこれまで何度も標的として狙われてきた経緯などから、犯人と見られる男は、1時間以内に以前から警察がマークしていた33歳の男であると特定、即時に指名手配されています。
パリ検察庁は、これを組織的なプロのグループによる殺人事件、殺人未遂事件として、捜査を開始しています。
今年に入ってからも、パリでは1月に15区で14歳の少年に対する集団襲撃事件、2月に17区で日本人に対する塩酸襲撃事件」、3月に16区でグループによる乱闘事件など、パリの治安の悪化が叫ばれ続けてきました。
今回は、再びパリ16区、よりによって16区で銃撃事件まで起こるとは、さらなる治安の悪化の象徴的な出来事である気がしてなりません。
とはいえ、16区は、富裕層が多いこともあり、かつての日本大使の家族が路上で車に乗っていたところを強盗に襲われたなどという事件もあり、狙いうちされる危険は、少なくない場所でもあるのかもしれません。
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1 コメント:
初めまして。すえきちと申します。
日本で観る表面的なフランス報道では知り得ない、現地の生の様子がよくわかり、とても興味深くブログを拝読しています。
「歴史と文化芸術の国」という、固いイメージだったフランスに、
意外にも開放的な性質や、ちょっとずうずうしいところ(横入りが日常とか)があるのを知って、親しみが湧いて笑ってしまったその一方で、
理屈の通じない暴れっぷりには恐れおののいています。
子供から大人まで、半端ない暴れっぷりですね(゜o゜;)
貧困層が放置されてる影響ですか?
全く想像がつかないのですが、フランスの貧困層とは、どのような状態になっているのでしょうか??
フランスの街並みから想像できない事件の数々に、そのギャップが物凄く気になってしまい、ついコメントで質問してしまいました。
機会があれば、貧困層の状況も紹介していただけたら嬉しいです。
お忙しい中、読んでいただいてありがとうございます。
これからも更新を楽しみにしています!
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