2024年9月4日水曜日

治安のよい日本におぼれている娘

  


 フランスで育った娘が日本で就職して、早や2年が経ちました。生まれた時から、日本語はしっかり教えようと、私としては、かなりしつこく娘への日本語教育だけは諦めずにずっと続けてきたので、その日本語も使えて、フランス語も英語も使いながら、現在、彼女が仕事ができていることは、私にとっては、何より嬉しいことです。

 小さい頃から、学校の長いお休みの時には、毎年、日本に連れて行っていたので、ある程度は、日本のことをわかっていたとは思いつつ、日本で生活を始め、しかも日本で仕事をするとなると、フランスとは習慣も文化も違うことがたくさんあり、さぞかし、困惑することもあるかも? そして、日本人の生活に馴染めるのだろうか?と親としては、心配なこともありました。

 彼女の仕事は、リモートワークが多いのですが、会議などで、「「お疲れ様でした・・」と言われるけど、何と答えればいいのかな?ほんとに疲れてはいるんだけど・・」などと聞かれて、「ああそうそう・・それは、挨拶みたいなもので、本当に疲れているかどうかの問題じゃないよ・・お疲れ様でした・・と言われたら、同じようにお疲れ様でした・・と言えばいいよ・・」と答えながら、そういえば、そういった、日常では何気なく使う言葉というか習慣のようになっている言葉があるんだな・・と苦笑した覚えがあります。

 最初に日本で生活を始める時には、家のことやら、最初に生活を始める最低限の手続き等のお手伝いをして・・と思って。一瞬だけ、ついていったのですが、習うよりは、慣れろ・・と言う感じで、彼女は仕事をしながら、そして、少しずつ友人を作りながら、遊びながら、少しずつ日本の生活に慣れていき、短い間に彼女は、転職までして、さらに良い条件の仕事を見つけ、日本での生活を存分に楽しんで、また、しっかり仕事もしているようです。

 彼女とは、たまに電話で話をしますが、そんな時、一応、尋ねることがあるのですが、「最近、なにも失くしていない?」ということで、我が娘ながら、本当にしっかりしている子なのに、なぜか、以前から、物を失くすことが多く、もう「え~~また~~??」ということが、時々、あります。

 まあ、人生の大事な部分がしっかりしていれば、よいのですが、やはり、日本に行っても、たまに思い出したように、「最近は、なにか失くしてない?」と聞くと、まあ、相変わらずやらかしているようで、ため息をつくしかありません。

 ただし、日本の場合だと、それが見つかる可能性が高いため、だいたいは、お財布だったりするのですが、最後に使った場所はどこだったか?を思い出して、聞きに行ってみると、たいていはでてくるため、もう慣れてしまって、最近では、「また、やっちゃった!」と思いつつも、「えへへ・・」くらいな感じになっていて、自分でも全然、焦っていないことに気が付いて、「えへへ・・じゃないよな・・」と自分で自分に突っ込みを入れているのだそうです。

 本当に「えへへ・・」じゃないです。そんなことがまかりとおるのは、世界広しと言えども日本だけ、「もうフランスでは生活できないよ・・」と。フランスだったら、失くさなくても盗られたりして失うこともあるというのに、そんなフランスで育った娘が今や日本の治安モードにどっぷり浸かってしまっているようです。

 もちろん、ふつうに日本人がそんなに娘のように忘れ物などをするというわけではないでしょうが、忘れ物を見つけても、ちゃんと取っておいてくれたり、しかるべきところに届けてくれるという・・こういうところは、日本人の倫理観の高いところです。

 日本の生活にしっかり馴染んでるかと思いきや、そんな慣れ方をしてしまっているとは、まったく想像外の慣れようです。

 私はフランスでも、落とし物を見つけたら、受付等に届けに行くようにしていますが、「えっ?なんで?」というような顔をされることさえあるので、届けたところで、後から探しに来た人の手に渡るかどうかも微妙な気がしてしまいます。まったくそんなフランスで育ったというのに、娘ときたら・・。


日本の治安


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2024年9月3日火曜日

新年度の始まりで開始される制服導入と携帯電話禁止のテストケース

    


 フランスにおいて、ここ数年、話題にのぼっていた小・中学校の制服導入の試験的試みが70校を含む90の施設で開始されているようです。

 2年くらい前に、最初に公立小・中学校での制服導入の話が上がり始めたときには、「フランスの学校で制服?冗談でしょ!」と思ったくらいあり得ないだろうと思っていたことが、あっという間に実現に向けて、とりあえずは試験的にとはいえ、開始されたことに驚いています。

 これは、全国的にこの試験的な試みを行う学校を募集したうえで、学校側の賛同が得られた学校で行われ始めたことで、自治体と州がこの費用を負担しており、保護者には、一切、資金的な負担がかかっていないそうです。

 この制服の組みあわせについては、以前の段階では、多くはポロシャツ、パンツ、スカート、セーターなど比較的ラフな感じと聞いていたのですが、地域によっては、これにジャケット、ブレザーなどが追加されており、一人につき、合計9点の衣服が支給されているところもあるようです。


      


 男女別でもあり、また、季節を考慮しなければならないこともあり、またサイズ合わせなど、また一年の間の成長の過程などもあり、その生徒一人一人用に合わせた制服キットを用意するだけでも大変な予算と労力が必用となり、労力の面は特に、これをフランスの学校の先生がよく了承したな・・とも思います。

 この制服導入のテストケースの運営には、最大50%がコミュニティによって資金提供され、残りは国家が担うことになっており、国の教育機関が発表した費用は制服キット1個あたり(1人当たり)200ユーロと言われています。

 各自治体は、地元のコミュニティと対話しながら、制服を定義し、細かい衣装ひとつひとつは、教師チームと生徒の保護者の間で数回の会議を経て選ばれているそうです。

 このテストケースに参加している自治体は、「学校の制服は単なる規制上の服装ではなく、教育環境においても重要な役割を果たすものでもあり、規律上の側面を越えて高品質の衣服としての紛れもない利点も備えている!」と胸をはっています。

 このテストは、少なくとも2年は継続される予定だそうで、これが成功すれば、2026年には、一般化する可能性があると言われています。

 また、この制服導入とセットのように語られているのが、「学校内での携帯電話使用禁止」の流れで、これには、具体的な予算等は、さほどかからないうえ、ネットによるイジメ問題の深刻化などからも比較的、好意的に受け取られています。

 今や小中学生、特に中学生ともなれば、携帯を持っていない子を探す方が大変なくらいですが、学校に入る際に学校側が携帯を預かり、まとめてロッカーに保管。子どもたちが帰る際に子どもたちに返却するという方法をとる学校が多いようです。

 これには、保護者側も、子どもたちの登下校の際に所在確認ができればよいので、校内にいる間に携帯を使用せずに、学校での授業や他の活動に集中できることは、よいことだ・・と受け入れている人が多いようです。

 携帯電話に関しては、そもそも、10年、いや15年くらい?前までは、そんなものは取り上げるまでもなく、子どもたちは、携帯など持っていないのがあたりまえだったのですから、本来ならば、全然、問題ないはずどころかじゃまなもので、学校にいるときくらい、携帯を覗かずに、授業に集中し、友だちと話したり、遊んだりする時間は、必要だと思います。

 私は、ほぼ日本で教育を受けて育ちましたが、制服のある学校に行ったことがないので、余計に制服というものに、ピンと来ないのですが、とりあえず、これが良いのか悪いのか?試してみるというのは、よいかな?とも思います。


新年度の小中学校制服導入と学校内携帯電話禁止


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2024年9月2日月曜日

オリンピックが終わってもエッフェル塔の五輪マークは据え置きになる?

  


 現在は、パラリンピックが開催中なので、オリンピックで彩られたパリの街は、なんとなくオリンピックムードのまま、なんとなく華やかで、ついこの間、オリンピックが終わって、このオリンピックモードの看板や表示やマスコットなどが消えたら、なんか寂しく感じるかもしれないな・・とちょっと思っていたところでした。

 しかし、オリンピックはオリンピック、いつまでもその特別なデコレーションが変わらないままなのも、それはそれで、また別の新しいもので彩られることが妨げられるので、お祭りはお祭り、期間限定だからこそ、よかったというのもあるだろうな・・とも思っていました。

 ところが、なんとパリ市長が「エッフェル塔に備え付けられた五輪マークはオリンピック終了後も据え置きにする」と発表し、ちょっと驚いています。

 すでにもうIOC(国際オリンピック委員会)の了承を得ているとパリ市長は説明しているものの、これには、賛否両論が起こりそうな気配です。

 そもそも、エッフェル塔はフランスのモニュメントとして、シンボル的な存在です。パリオリンピック開催にあたって、エッフェル塔に五輪マークが設置されたことは、なんら異論はありませんでした。

 しかし、それをオリンピック終了後も残すとなれば、モニュメントとしてのエッフェル塔の姿を変えるということになります。

 私もこのオリンピックにあたって、今しか見られないパリの景色の一つとして、期間限定の特別な姿として、今だけ!と、五輪マーク付きのエッフェル塔の写真を撮りに行ったりもしましたが、まさか、その前のオリジナルのエッフェル塔の方が貴重な姿になってしまったとは・・なんか、少々、残念な気もします。

 また、このアイディアは、観光客にも必ずしも評判がよくはないようで、「現在、オリンピック開催中のエッフェル塔の五輪はいいと思うけど、ずっとこのままのエッフェル塔を見たいとは思わない・・」という意見もあります。

 最終的には、誰が決めるのかはわかりませんが、オリンピックが終わればもう終わり・・と言う方が潔い気がします。



 一方、個人的には、エッフェル塔の五輪マークよりも、チュイルリー公園にできている気球の聖火台の方を残してほしいと思うし、こちらの方は新しくできたもので、何より、とても美しいし、こチラの方が、オリンピックの記念碑として、新たな観光名所になるのではないか?と思っています。

 こちらの方は、国有地であるために、決定権は大統領にあるそうです。


エッフェル塔の五輪マーク


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2024年9月1日日曜日

非番の警察官3人が空中発砲で逮捕

  


 警察関係者によると、午前8時ごろ、パリ19区のビルの4階のバルコニーで3人の男が拳銃で空に向けて発砲しているのが目撃され、警報が出されました。 BRI(Policier de la brigade anti-gang )(暴力団対策の警察官)が現場に派遣され、3人を逮捕したところ、彼らは非番の警察官でであることが判明しました。

 「警察の介入は事故や怪我もなく行われた」と警察は発表していますが、この非番の警察が警察官用の拳銃を発砲したかどうかや弾丸の性質については明らかにしていません。

 警察官が非番の時に職務中に携帯する拳銃をどのように保管しているのかはわかりませんが、職務用の拳銃を非番の時に携帯しているとしたら、それも怖い話ですが、さりとて、それ以外の拳銃をプライベートの警察官が持っているということも、ちょっと恐ろしい話でもあります。

 彼らは酔っぱらっていていた・・とのことですが、どちらにしてもあり得ない話、彼らは、即時停職処分になったそうです。


 それにしても、非番とはいえ、午前8時から3人揃って酔っぱらっている状態というのも、なんだかすごい話で、バルコニーからふざけて拳銃を発砲してふざけている様子は、よく言えば、無邪気な子どものようでもありますが、やっぱりあり得ない話です。なんといっても、本物の拳銃ですから・・。

 この夏はオリンピックのおかげ?でやたらと警察官を目にする機会が多く、街中を塊になって練り歩く、銃器を携帯しつつ、厳つい恰好をして練り歩く警察官や憲兵隊をちょっと怖いな・・と思うこともあったりして、あるとき、私が恐れている顔をして見えたのか、その警察官の一団の一人から「わっ!」と大きな声でふざけて脅かせられて、悲鳴をあげてしまい、彼らと一緒にいた女性警察官に「大丈夫?」と声をかけられたこともありました。

 まったく、小学生みたいなことをする警察官もいるもんだ!と呆れましたが、なんだか今回の拳銃の発砲事件もそれにちょっと似ている子どもじみた行いだと思います。しかし、今回の事は、拳銃という人を殺すこともできる武器を使ってのことで、ちょっとレベルが違います。

 日本の警察官は、職務中にちょっと飲み物を買いにコンビニに入るのもはばかられるくらい厳しいそうですが、こちらの警察官の緩い様子は、ちょっと目に余るというか、限度を超えています。


非番の警察官の発砲事件


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2024年8月31日土曜日

8月のインフレ率は3年ぶりに2%を下回る・・を勝手に誤解した・・

  


 「8月のインフレ率は3年ぶりに2%を下回る」という見出しを見て、勝手に「えっ?値下げ??」と勘違いしました。

 しかし、これは価格が下落していることを意味するのではなく、以前よりも上昇のペースが鈍くなっているという意味でした。がっかり・・。

 その後、記事を読み進めるとINSEE(国立統計経済研究所)は今週末、フランスの8月の消費者物価指数が1年間で1.9%上昇したと発表・・とあり、物価上昇率が2%を下回ったというだけで、依然として上昇を続けているというものでした。

 これは価格が下落していることを意味するのではなく、以前よりも上昇のペースが鈍くなっているというだけでした。

 国立統計経済研究所は、主な原因は「エネルギー価格の明らかな減速」にあると説明しており、エネルギーコストは、2023年8月1日から適用された規制電力価格の値上げにより、1年前には7%近く跳ね上がっていたのに対し、2024年8月には1年間でわずか0.5%しか上昇しなかったことによるもの」としています。

 いずれにしても、上昇率が緩やかになったというだけで上昇し続けていることは確か・・一度、上がった値段が下がるということはまずないのがふつうなのです・・まったく甘かった・・。

 以前、ある有名なフランスのブランドの時計部門の人が「スイスフランが上昇したために、値上げをします」と説明していたので(フランスのブランドでも時計はスイスで作っているため)、「それなら、スイスフランが下がったら、値下げするんですか?」と半分嫌みを込めて聞いてみたら、その人は苦笑しながら、「いや、値下げはしません」・・と。

 今回の「インフレ率、2%を下回る・・」のニュースを見て、そんな話を思い出しました。

 残念ながら、一端、上がった物価は戻らないのがふつうなのです。

 しかし、国立統計経済研究所によると、石油製品と工業製品の価格は下落しているそうで、エネルギー価格とかなり近い部門では、価格が下がっているようです。

 これに比べて、著しく上昇したのは、サービスの価格で、1 年間で 3.1%も上昇。これにはパリオリンピックが大きく関わっており、ホテルや交通機関の価格の一時的な値上げがかなり響いていると言われています。

 ホテルや交通機関の値上げならば、3.1%どころじゃなかろーが!と、思うのですが、全体的に、また、年間で平均をとるとこの程度になってしまうのかもしれません。

 これに対して、「一方、家計にとっては、このインフレの上昇率の低下は新鮮な空気の息吹となるはずです。2024年には、賃金上昇率がインフレ率を上回るでしょう!」という楽観的な見方をしている専門家もいないではありません。

 しかし、現在のフランスは、国会の解散と政府の不在によって引き起こされる政治的不確実性が加わり、まことに不透明な近未来にどう考えても、この状態よくないよな~と思うのです。

 普段は、経済問題について、真剣に考えることは、あまりない私でも、生活に直結し、またここ数年は特にめまぐるしく変化する状況は無視しきれない感じになっています。


3年ぶりのインフレ率低下


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2024年8月30日金曜日

フリージュの着ぐるみを着る俳優たち

  



 先日のパラリンピックの開会式では、舞台上にもあがり、そのパフォーマンスが思わぬ話題を呼んだりして(残念ながら、テレビでは放映されなかったため、余計におタカラ感が生まれたかも?)、注目された今回のオリンピック・パラリンピックのマスコットキャラクターのフリージュくんたち。

 私は開会式でダンスしているのを見て、「さぞかし暑くてしんどいだろ~な・・」と思って見ていました。

 マスコットキャラクターとして発表された当初は、一体、これのどこが可愛いいのか?と賛否両論だったこのキャラクターも一年の間にすっかり定着、浸透し、ぬいぐるみから、Tシャツや帽子からあらゆるオリンピックグッズに登場し、キャラクターとしては大人気で、街を歩いていても、Tシャツを着ている子どもたちや、グッズを持っている人々を想像以上に多くみかけるようになりました。

 私もなにか記念に一つくらいは欲しいかな?と思って、マグカップを一つだけ買いました。

 しかし、キャラクターグッズだけでなく、パリでは、もう登場すれば、スターなみの人気のこの着ぐるみを着た動くフリージュくんたちはオリンピックでは33体、パラリンピックでは、22体活躍しているそうです。

 私もオリンピックが始まる少しまえに、偶然、シャンゼリゼにいるこのフリージュくんたちに遭遇し、なんだか思いのほか興奮して、一生懸命、追いかけてしまいました。

 このフリージュの着ぐるみを着て活動しているのは、俳優さんたち(男女ともに)なのだそうで、常にマネージャーが同行し、装備やタイミングを管理し、相棒の着替えを指導し、群衆の中を移動し、写真を待つ列を管理しているのだそうです。

 このフリージュを演じていた一人の女優さんは、「当初は批判されましたが、今ではオリンピックの冒険において最も象徴的なキャラクターとなり、人々が遠くにフリージュを見つけると、幸福感に駆られ、誰もが私たちに向かって突進してくるようになりました!」と人々に歓喜を呼び起こしていることに喜びを感じています。

 また、このフリージュの目となり活躍しているマネージャーを務めた青年のミッションは、フリージュに寄り添い、どこにでも目を向け、周囲の観客の流れを管理し、子供を押しつぶさないように、観客の飲み物、食べ物、化粧品で衣装を汚さないように、あるいはフリージュ自身が落ちないように注意することで、大変な体力と緊張を要するものであったと語っています。

 また、彼自身は決して目立ってはいけないわけで、実際、私がフリージュに遭遇したときも、そのような人がそばにいたことは、気が付きませんでした。

 そして、実際の着ぐるみ?は、それほど重くないそうですが、視界と聴覚が低下、目や口を通してメッシュ効果があり、着装した感じはバックパックに似ており、体の周りで膨らませると、それでもかなり堂々としたものになるので、動き回るにはその体積を理解する必要があります。

 暑さに関しては、若い女性は、長時間、振りつけどおりに踊った後は、頻繁に汗をかくとしても、耐えられる程度のものだそうで、これは実際には小さな送風機のおかげで空気で膨らむフェルト生地が使用されているため、内部に大きなスペースが残っているのだそうです。とはいえ、その送風機をもってしても、ある程度は熱がこもるであろう着ぐるみを着るのは楽なことではなかろうに、思わぬ人気ぶりに暑さも厭わない・・そんな感じなのかもしれません。

 空港、駅、各競技大会の会場や、観光スポットなど、ありとあらゆるところに彼らは神出鬼没に登場し、多くの人々から写真撮影を求められています。



 小さな子どもたちは、もちろんのこと、大人の観光客も、皆が彼らと写真に写りたがり、その度にポーズをとって撮影に応じます。中でも、けっこう意外に写真撮影の希望が多かったのは、警察官など警備にあたっていた人々だそうで、「子どもや孫たちのために・・」と写真撮影を求められたそうです。

 このオリンピックを支えた警察官たちもバカンス期間中に働いた記念写真としては、絶好のものだったかもしれません。

 日本だったら、そんな記念写真を撮影していたら、警察官たるものが職務時間中に何ごとだ!などと言いだす人がいそうですが、このおおらかで緩い感じが私は好きです。

 日頃、事件などが起こったりして、警察官の個人情報!などと騒いで、警察官等の撮影は、絶対にいけない!などと言われているものの、意外にも、この警察官たちと写真撮影したがる観光客もいるようで、また、それに嬉しそうに彼らが応じているのも、なんか微笑ましい気もしました。

 この小さなフリジア帽にスポーツを通じてフランス革命の使命を伝えたかったというこのマスコット・・革命なのかはともかく、人気は上々なようです。

 

フリージュの着ぐるみ


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2024年8月29日木曜日

パラリンピックの開会式は晴れ

  


 恥ずかしながら、私はこれまでパラリンピックの開会式というものを見たことがありませんでした。どちらにせよ、見るといってもテレビで見るだけなのですが、それさえも、今回のパラリンピックの開会式は私にとって初めて目にするものでした。

 開会式直前の時間にテレビをつけると、これまでオリンピック仕様だったスポンサーのコマーシャルはあたりまえですが、全てパラリンピック仕様のコマーシャルに切り替わっていて、それぞれのスポンサーのコマーシャルも興味深く拝見しました。

 パラリンピックの開会式当日は、オリンピックの開会式と違って晴天に恵まれたものの、31℃というパリにしたら、けっこうな暑さで、その日にバスに乗って出かけたら、冷房もなくむんむんの暑さで、かなり厳しい暑さでした。

 当日、パラリンピックの開会式のパレードが行われたシャンゼリゼやコンコルド広場近辺には、近寄らなかったので、どの程度の警備であったのかは、わかりませんが、オリンピックの時に比べると、範囲も限られるので、そこまでのことではなかったと思います。

 今回、オリンピックにしてもパラリンピックにしても屋外での開会式にこだわり、セーヌ川上のパレードほどではありませんが、シャンゼリゼの上から下まで歩くというのも、パレードではなくともなかなか時間がかかるものです。

 全体的には、パリ祭の感じに近いので、オープニングにトリコロールの噴煙を撒きながら飛んでいく飛行機の様子がテレビで映ったので、あわてて、窓の外を覗くと、遠くに青、白、赤の噴煙が見えて、任務を終えた8機の飛行機が家の近くを通って帰って行ったので、手を振ってみるという子供じみたことまでしてしまいました。

 選手のパレードは20時から始まって、最後のフランスチームまでが出揃ったのは22時とすでにもう2時間。夜になってもけっこう気温が高いため、オリンピックのマスコットの着ぐるみを着て踊り続けている人などは、さぞかし地獄の暑さで大丈夫かい!とか一人で思いながら、見ていました。

 この選手入場が始まるときに、「アルファべティックフランセーズの順番で入場します」と解説が入ったので、「フランスのアルファベットってなに?」と思ったら、どうやら、国の名前がフランス語名のアルファベット順というこらしいです。

 日本はどちらにしても「J」なので、中盤くらい・・日本は白いコスチュームで品よく、選手たちの表情も穏やかでとても好印象でした。オリンピックの時は、ほぼほぼ一瞬しか映らなかったけど、今度はしっかり見れて良かったです。

 なにせ、パラリンピックの開会式など初めて見たので、パラリンピックも、ものすごくショーアップされている感じが、こういうものだったのか・・と新鮮な気持ちと、オリンピックの開会式のように、また何かやらかすのではないか?とちょっとドキドキしながら見ました。特にパリオリンピック・パラリンピック組織委員会会長が「アムールと革命の国へようこそ!」と挨拶したのですから、なおさらのことです。

 参加している選手をはじめ、周囲のボランティアなどの様子を見るに、オリンピック以上にお祭り感があって、ボランティアの人々も踊り続けながら選手を迎えていたのには、頭が下がる気がしました。

 22時15分くらいにようやくショーのオープニング、それからお偉いさんたち?の挨拶などが続き、それから本格的なショーが始まるのですから、とにかく長い長い・・。

 時間どおりには、いかないところは、むしろ、フランスの通常運転ですが、実際に開会式が終わったのは、予定をかなりオーバーした23時50分頃でした。

 しかし、やはりパリの中心、凱旋門からシャンゼリゼ、コンコルド広場、そしてエッフェル塔までがライトアップされて画角に入る景色は美しく、むしろ、セーヌ川の開会式よりも見やすく、わかりやすかったのではないか?とも思います。

 今回、セレモニーが行われたコンコルド広場のオベリスクがトリコロールをはじめ、様々なライトアップがなされて、こんな風にもなるのか?と新鮮な気がしました。

 式典の終わりにはチュイルリー公園が装飾の一部となり、水盤の照明が点灯し、聖火が点火され、気球が上がっていく様子は幻想的でとても美しかったです。これでようやく終わりかと思ったら、そこからは、コンコルド広場にはまるでディズニーランドの花火みたいな色合いの花火があがりました。

 オリンピックの成功により勢いづいて、パラリンピックチケットの販売は、250万枚のうち200万枚がすでに売れているという状況になっているとかで、このうち20万枚は、9月2日の新学期開始までの期間に学童に割り当てられるそうです。

 合計 165 のテレビ チャンネルがこのイベントを中継する予定になっており、これはパラリンピック史上の最高の記録だそうです。


パラリンピック開会式


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