9月に入って、パリの住人たちがバカンスから戻って来れば、また人が多くなるので、公共交通機関や街も空いているうちに、久しく行かなかったところに行ってみようと、ここのところ、パリの街を歩きまわっています。
パンデミックの間は、ロックダウンを初めとして、行動制限があったり、観光客もパッタリいなくなって、潰れるお店もけっこうあったりして、この2年ほどでパリの街は少し変わったような気がしています。
これでは今まであったガイドブックなどは、かなりの改訂が必要かも・・と思ったりしています。
今年は、すでに日本人や中国人などのアジアからの観光客以外は、ほぼコロナ前の人出に戻ったと言われており、観光地と言われる所は、それなりに、結構、賑わっています。
パリに観光に来る方はどこへ行くのか?あらためて考えてみると、「これだけは見逃せない!」 とかいうものも、ピンと来なくなってしまっているのですが、ルーブルやオルセーなどの美術館か、シャンゼリゼ、エッフェル塔、ノートルダム寺院、モンマルトルの丘のサクレクール寺院などでしょうか?
しかし、ルーブルやオルセー、シャンゼリゼ、ノートルダム寺院くらいまでは、まあまあ観光客が集まるとはいえ、そこまでウッとくる感じはないのですが、モンマルトル・サクレクールは地域が少し離れていることもあり、なかなかどうして、他の場所とは違う人のいるエリアです。
パリで日常生活を送っていても、だいたい自分のテリトリーとまでは行かないまでも、だいたい行くところは限られていて、パリといっても、場所によっては、かなりガラが悪いというか、これがパリ???と思うようなところもあって、明らかに治安の悪そうな場所には近寄りません。
自分の時間に自分の身を置いて、心地よいと思う場所でなければ、不愉快な思いをするだけで、わざわざ行く必要もないのです。
ロックダウンが明けて、それまで閉鎖されていた美術館などが一斉に再開した時、それでもまだ、観光客は戻ってきていなかった頃に、えらく久しぶりにルーブル美術館に行って、ガラガラでスイスイ見れるルーブル美術館を堪能してきたことがありましたが、それ以来、あまり観光地らしいところには、行くこともなく、この間、たまたま近くに用事があって、エッフェル塔を見てきて、周囲の変わりようにびっくりしました。
そして、また、そんな変化を楽しみに、先日、急に思い立って、久しぶりにモンマルトルの丘にあるサクレクール寺院に行ってきました。娘が小さかった頃は、なぜか、サクレクール寺院は彼女のお気に入りで、彼女はなぜか、サクレクール寺院を「神様のおうち」とよび、行きたがったので、時々、連れて行っていました。
私としては、サクレクール寺院は丘の上にあるだけあって、丘の上にのぼるまでの階段を上がったり降りたりして、娘が疲れてくれることを期待していただけなのですが、行けば行ったで美しいし、それなりに楽しんではいました。
しかし、明らかに他の場所(ルーブルやノートルダム、シャンゼリゼなど)とは、メトロの中から、乗っている人々の様子が違い、特に駅の周辺から丘に向かう道なりは、明らかにガラが悪く、怪しげな人がちらほら。そういえば、そうだった・・と思い出したのでした。
近辺のお店などは、若干変わっていても、一眼で観光客でもなく、住民でもなさそうな人々が観光客目当てに近寄ってくる人々は変わらないのです。
メトロの駅を上がってすぐのところに、炭火でとうもろこしを焼いて(といっても、日本のようなとうもろこしではない)売っている人がいて、「いくら?」と聞いたら、「3ユーロ」というので、びっくりして(ちょっと前に別の場所で1ユーロだった)、「えっ??じゃあいらない」と言ったら、焦って「あなたには特別に1ユーロにするから・・」と言ってきたのですが、もう気分悪くて、「もういらない・・」と通り過ぎました。観光客だと思ってぼったくろうとしたんだ・・と思うと、嫌な気分になったのですが、同時に、ヤレヤレ、そういえば、ここはこういうところだった・・ということを思い出したのです。
そこから、丘に向けて上がっていく細い道の途中には、賭博のようなものを観光客を集めてやっている人々がいて、人だかりが・・そして、それを通り過ぎると、偽物のミッキーマウスがいて、嘘・・と思ったのですが、それでも嬉しそうに一緒に写真を撮る人の人だかりができていて、こんな偽ミッキーマウスは以前はいなかったけど、誰が何のためにこんなことをやっているのかと思うと、ちょっと不気味な気もしました。
丘の上の教会の前には、エッフェル塔のキーホルダーや何やら細かいお土産物を布の上に広げて売っている人がたくさんいて、バケツに水や飲み物を入れて売って歩いている人もいます。
値段も段ボールの裏などに書かれたようなもので、明らかにぼったくりの値段で売られています。彼らが布の上にお店を広げているのは、警察の取り締まりが来たら、広げていた布をそのまま包みあげて、すぐに逃げられるためです。
サクレクール寺院に入るには、一応、セキュリティチェックがある |
まあ久しく観光地っぽいところに来ていなかったので、観光地ってこんなもんだったかな?と思いながら、教会の中をぐるっと回って、教会の裏手にあるモンマルトル広場へ。
ここは、レストランが多数、混在しているだけでなく、絵描きさんの溜まり場でもあり、自分の作品を売っている人もいれば、似顔絵書きをしている人々がたくさんいるところです。
この一画は、古い街並みが緑の木々とともに残されていて、とても美しい場所なのですが、最近の絵描きさんは、似顔絵広場に場所を確保できていない絵描きさんが、「あなたの絵、描きますよ!」近寄ってきて、呼び込みまがいのことまでするようになっているのには、びっくりしました。
似顔絵を描いてもらっているのは、子供連れのお客さんが多く、子供の顔を描いてもらっている人が多かったのですが、1枚、20分で、だいたい50ユーロから60ユーロ(約8,000円)ということで、これが高いのか安いのか、よくわかりません。
モンマルトル地区(パリ18区)は市長がこの地区をユネスコの世界遺産登録を目指していて、交通規制をしたり、さまざまな試みをしていると聞いていたのですが、この観光客を食い物にしようと集まってくるガラの悪い人々が、何よりもこの街を汚している気がしてなりません。
パリはたしかに美しい街なのですが、こうやって観光地らしきところに足を踏み入れれば、観光客とともに、必ずこの怪しげな人々が集まっているのには、げんなりさせられるのです。
モンマルトルの丘 サクレクール寺院
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