2020年12月12日土曜日

ノエルに向けて治安の悪化するパリ

 

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  常日頃から、決して治安が良いとは言い難いパリも、ノエルが近づく頃になると、一段と治安が悪くなります。

 先日は、パリ6区のブルバード・サンジェルマンの高級衣料品店(モンクレール)に黒づくめの11人の男がお店になだれ込むように入店したと思ったら、大量の商品を持ち去るという強奪事件が起こりました。

 防犯カメラに映った犯行の様子は、万引きというには、あまりに堂々としていて、暴力などは、一切なかったのですが、大人数の黒づくめの集団に店員も圧倒された様子で、いささかの抵抗もしておらず、なだれ込んだ人々が商品を持ち去るのを遠巻きに眺めている様子が残されていました。

 一般的に高級店は、セキュリティーがキツいのですが、店員は、このような事件が起こった場合は、「犯人を捕まえようとしたり、抵抗したりはしない、犯人には接触しない」という教育がなされています。これもまた、フランスらしいところですが、「それは、セキュリティの仕事であり、店員の仕事ではない」ということです。安全性の面からも、これはあながち間違いでもないかもしれません。

 お店の方も当然、商品には、保険がかけてありますから、無駄な抵抗をして、暴力を振るわれたりするよりは、良いかもしれません。しかし、売れるはずの商品が失くなってしまうのですから、1カ月間、ロックダウンのために営業できなかったお店にとっては、ようやく営業再開したところにこの被害は、大きな痛手には違いありません。

 白昼堂々の犯行ながら、犯人は捕まっていません。まことに物騒なことで、こんなことが横行しては、たまったものではありません。今は、皆がマスクをしているために、このような人が街にいても目立ちにくいのかもしれません。

*犯行の様子

https://twitter.com/BFMTV/status/1337477830209376259


 年末の治安の悪さも、身近なところでは、郵便物の紛失、盗難が多くなり、日本からの荷物は特に狙われます。日本の郵便局では、「こちらの方が安全ですよ!」と勧められるらしいクロノポストは、フランスで一番、盗難に遭う可能性が高いのです。

 クロノポストの小包は、配送状況の追跡ができるようになっていますが、いざ、追跡をしてみると、届いていないのに配送済みなどとなっていることも少なくありません。配送済みとされてしまえば、それ以上、追跡の仕様がありません。

 また、知人がこちらから日本へ送った荷物がいつまでも届かないので、おかしいと思っていたら、郵便局の窓口の女性が素知らぬ顔をして、彼女が送ったはずのマフラーをしていたのを見つけ、(限定商品であったために、同じものが出回っていないことから発覚)大騒ぎになったこともありました。

 スリ、置き引き、強奪なども、この時期になると、一段と多くなります。この手の?仕事をしている人もノエルに向けて、お金が必要な時でもあり、12月は、犯罪者にとっては、かき入れ時です。今年は、観光客がほとんどパリにはおらず、例年に比べると、街にもずっと少ないので、スリも随分と収入が少ないかもしれません。

 また、空き巣の被害も少なくありません。空き巣は、定期的に巡回を行っており、留守にしている家のポストなどには、(バカンスで長期間、家を空ける家庭も多いため)留守であることを確認した印として、小さなテープが印に張られていたりします。

 フランスの空き巣は、かなり大掛かりなものも多く、家の中身をごっそりと引っ越しのように持っていかれてしまうこともあり、家に帰ると家の中がからっぽだった・・などという話も聞きます。金目のものを狙うのではなく、かなりダイナミックです。

 自転車の盗難の様子などを見ていると、頑丈な鍵で繋がれた部分だけを残して、タイヤからサドルまで盗まれて、無惨に鍵で繋がれた部分だけが残っている様子を見ると、こんなものまで盗んでどうするの?と思うようなものも、何から何まで持ち去る空き巣がいることも頷ける気がします。

 コロナウィルスだけでなく、犯罪も蔓延するパリ、無事に生活できていることが奇跡のような気さえしてきます。


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「パリの盗難被害 パリの泥棒は、なかなか捕まえてもらえない」

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2020年12月11日金曜日

やっぱりノエルが最優先のフランス 12月15日以降のロックダウン解除の方法

  


 結局のところ、フランスのノエルは死守されることになりました。「死守」という言葉を使うにあたって、意味を確認したら、「命がけで守ること」だそうです。

 まさに今年のノエルは、命がけです。それでもフランスは、「ノエルを家族と過ごす権利」を最優先した決断を下しました。

 15日からのロックダウン解除は、前回の段階的なロックダウン解除の発表よりも、若干、制限が厳しくなり、21時以降の外出禁止が20時に前倒しになり、12月31日の大晦日もこの夜間外出禁止令が敷かれることになりました。(ノエルの夜間外出禁止の制限はありません)

 そして営業が再開されるはずだった劇場、映画館、美術館等の営業再開は、少なくとも3週間延期になりました。

 これは、ロックダウン解除の条件にあげていた1日の新規感染者数が5000を下回っていた場合という条件をクリアすることができなかったためで、先週は、1日の新規感染者数の平均は、11,000程度で、大幅に目標数値を上回っているためです。

 ロックダウン解除の制限が厳しくなったのは当然の結果ですが、とりあえずは、「ノエルを迎える権利」さえ守っておけば、大多数のフランス人は、納得するわけで、来週からのノエルに向けてのフランス国内の人々の大移動が始まります。

 来週からは、さらにPCR検査数を拡大し、より多くの人に検査を受けるように呼びかけています。

 映画館、劇場関係者等は、この結果は、概ね予想されていたものの、「これまでに映画館、劇場でクラスターは一度も起こっていないのに、理解できない」と憤りを露わにしています。

 コロナウィルスの感染リスクだけを考えるならば、皆がマスクを着用し、おとなしく黙って鑑賞する映画館、劇場は、ノエルのための国内大移動や家族が集まっての会食に比べたら、感染拡大のリスクはよほど小さいはずなのです。

 にもかかわらず、ノエルを最優先するフランスです。これまでもフランス人にとってのノエルは、大事なものだということは、わかっていましたが、これほどまでに優先されるということには、あらためて、驚かされています。

 フランスでは、お正月よりもノエルの方が比重が大きく、年末年始のお休みも元旦1日だけで、1月2日からは、しれ〜っと仕事が始まります。日本でいうお正月をノエルに置き換えてみても、例えば、日本には、喪中の年は、お正月を祝わない習慣がありますが、フランスには、喪中という観念はありません。

 もしも、喪中という習慣があれば、少なくとも5万人以上が亡くなっているフランスです。どれだけの家庭がノエルで集まらなくなるのだろうか?などとも思ってしまいます。

 感染拡大を考えれば、明らかにノエルを禁止する方が有効でもあるにもかかわらず、ノエルを禁止することはできないことから、せめて映画館、劇場、美術館の営業再開はストップしておこうというところでしょう。

 映画館・劇場・美術館は、ノエルの犠牲となりました。

 また、ノエルの会食に際しては、6人以内が好ましいとしていますが、この6人には、子供はカウントしないことになっており、6人の大人プラス子供となれば、結構な人数になります。人数制限があることから、家族の集まりを数回に分けて行う予定にしているという家庭もあります。

 とはいえ、大晦日の夜間外出が禁止になったことで、ノエルで感染した人がさらに別のコミュニティで集まり、さらに感染を拡大させるリスクは少し減りました。とはいえ、外出さえしなければ良いのですから、8時までに集まって、家でパーティーをして、翌朝帰るということになるのでしょう。

 結局、ノエルを止められない甘々なロックダウン解除となりましたが、そんな弱くて緩いところもフランス人の人間らしさを感じられるところでもあるような、私の中にもそんな気持ちがどこかにあることも否定できません。あまりにキッチリしすぎることが苦しく感じ、緩い中で自分がきっちりするくらいが生きやすいような気もしているのです。

 とりあえず、15日からは、外出証明書もいらなくなり、3時間以内という時間制限も20km以内という距離の制限もなく、自由に出かけられるようになることには、煩わしさがなくなり、少しホッとしています。


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「フランスの国会を騒がせる「フランス人のクリスマスを迎える権利」」

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2020年12月10日木曜日

リサイクルショップ・エマウスがノエル前に繁盛しているフランスの一面

 


 今日、買い物に行ったら、意外にも繁盛しているお店があってビックリしました。

 それは、エマウス(Emmaus France)というリサイクルショップでした。フランス人は、車などは、中古車の方が売れているくらい、中古品にあまり抵抗がないこともあり、また、蚤の市なども、盛んな文化的な背景もあり、時には、掘り出し物があったりもするので、この手のお店は、珍しくはありません。

 エマウスは、フランスでは有名なリサイクルショップで、その商品は、全て寄付された日用品、衣料品、装飾品から食器類、書籍、玩具、家具に至るまで広範囲のものを扱っています。売り上げは、全て生活困窮者に向けての寄付にまわされ、そこで働く人々も社会的弱者の社会復帰を目的としています。 

 寄付された衣料品などは、選別され、全てきれいにクリーニングされています。


季節柄クリスマスの飾りなども

             

   


 私も家の中を片付けて、不用品が出ると、このエマウスに寄付しています。家具などの大きなものに関しては、頼めば、取りにも来てくれます。

 リサイクルショップで不要なものを寄付という形で処分できる、また、買い物すれば、その分は、社会的弱者への寄付になる・・そんなシステムがフランスには、定着しています。もちろん、リサイクル品なので、値段も安いので、倹約家のフランス人には、人気があるのかもしれませんが、それが、寄付にまわるということが、彼らのハートを一段と満足させるのです。

 個人主義で利己的で身勝手なことを主張するイメージのあるフランス人ですが、意外にもフランス人は、困っている人には、とても親切な一面があります。弱い立場の人には、特に親切で、寄付をするということが日本よりも身近な行為であるような気がします。

 このエマウスというシステムは、倹約家でありながら、寄付ができるというフランスらしいシステムなのです。

 そんなリサイクルショップがこのノエル前の買い物をする時期に結構、繁盛しているところは、なかなかフランスの好ましいところでもあります。

 年末になると、土曜日などは、スーパーマーケットの前には、ビニール袋を持った人がいて、「生活に困っている人のために、何か買ったものを入れて寄付してください」という団体がいて、出口には、寄付される食料品を回収する人が待機していたりします。意外と品物は集まっています。

 

こんなものを買って寄付してくださいというポスター

 日頃は、やたらと権利を主張し、勝手だなぁと思うことも多いフランス人ですが、こんな一面があるから、どこか憎めない気もするのです。

 



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「フランス人はロックダウンでも着々とノエルの準備をしている」

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「メルカリとルボンカン(フランス版メルカリ)に見る、やたら礼儀正しい日本人とめんどくさいフランス人」

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「ロックダウン解除後のフランス版メルカリサイトの人気商品」
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2020年12月9日水曜日

フランスのコロナウィルスワクチン接種



 

 イギリスでヨーロッパ最初のコロナウィルスのワクチン接種が行われ始めたことで、フランスのワクチン接種はどうなるのかが注目されています。

 フランスでのコロナウィルスワクチン接種に対しては、政府は、15億ユーロ(約1900億円)を投じて、国民健康保険加入者には、全額無料、しかし、強制ではなく、希望者のみに行うとしています。

 フランスは、検査も無料なら、ワクチンも無料、そんなところは、とても助かります。

 ワクチン接種は、12月29日から、高齢者を優先に、まず高齢者施設の入居者100万人を中心に開始されます。その後、2月を目処に心臓疾患や糖尿病などのリスクの高い人1400万人への接種が開始され、一般の人に浸透していくのは、2021年春頃と、3段階にワクチン接種を進めていく予定にしています。

 ところが、世論調査によると、ワクチンを接種すると言っている人は、フランス人の53%のみ(ワクチン接種をしないと言っている人が61%)で、他国(日本69%、アメリカ64%、イギリス79%)と比べても、かなり低い数字です。

 フランスが使用するとされているファイザー社やビオンテック社のワクチンに関しては、このワクチンの元になっているRNA(遺伝物質)が非常に壊れやすいために、マイナス80℃での保管が必要で、解凍してから5日以内に投与できるようにする必要があり、その保管体制等にも厳重な管理が必要で、フランスにそれがきっちりとできるかと思うと、私自身も疑心暗鬼になってしまいます。(基本的に信用していない)

 フランスでは、一般の?ワクチンなどに関しては、処方箋をもらって、自分で薬局にワクチンを買いに行き、それを持って注射してもらいに行くという方法が取られていますが、コロナウィルスワクチンに関しては、保管の問題もあり、特定の病院などが、ワクチン接種に指定されるものと思われます。

 フランス人が容易に新しいものを受け入れないのは、国民的な気質でもあります。

 ましてや、コロナウィルスが登場してから、僅か1年足らずで開発されたワクチンです。その効果は、95%と発表はされていますが、副作用などに関しても、まだ、はっきりと明らかになってはいません。

 このワクチンは、RNAという遺伝物質を人工合成して作られているワクチンで、体内の細胞を抗ウィルス薬を製造する細胞として利用するというものです。

 このパンデミックの勢いで、すがるような気持ちで多くの国がワクチン獲得に躍起になっていますが、この後、ワクチンによる事故が起こらないとも限りません。

 以前、母が「薬を飲むなら、昔からある薬にしておけば、リスクは少ないわよ・・なぜなら、もう長い年月を経て、人体実験が行われてきたのだから・・」と言っていたことを思い出しています。一番、感染リスクの大きい高齢者を優先にワクチンの接種を行うのもわかりますが、ワクチン自体の安全性を考えると、高齢者に限ることも少々、疑問でもあります。

 いつまでも、現状が続くのもしんどいですが、とりあえずワクチン接種が始まって、少なくとも、しばらく様子を見てから・・という人も多いと思います。とりあえずは、マスクとある程度の衛生管理で回避できるのであれば、当分は、ワクチンには、尻込みする気持ちもわからないでもありません。

 どちらにしても、一般人にワクチンが廻ってくるのは、来年の春以降、それまでにワクチンの効果も問題もいやでも目にするようになると思うので、当分は、成り行きを見守りたいと思っています。

 ワクチンをしても、副作用もなく、以前のような生活ができるようになるのであれば、やはり、魅力的でもあります。

 ほんの一年前には、たとえ遠いとはいえ、行こうと思えば、明日にでも日本へも行けたのにと思うと、すぐにワクチンを打ってもらいたいとも思います。長い海外生活の間には、4〜5年、日本へ行けなかった時期もあるのですが、行けないと思うと、やたらと行きたいと思うのです。

 私は、日常生活であまり外出ができないことや、人と会えないことは、それほどストレスでもないのですが、気軽に旅行ができないことが、辛いのです。

 ワクチンの開始で、うっすらと明るい兆しが見え始めましたが、まだまだ普通の生活に戻れるには、長い道のりのようです。


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「無料で受けられるフランスのインフルエンザのワクチン」

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「フランスの医者の大盤振る舞いな薬の処方」

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2020年12月8日火曜日

15日のロックダウン解除は無理 フランスの感染減少が止まった

 

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 11月6日には、一日の新規感染者数が6万人を突破したフランスは、その後、ロックダウンの効果が比較的順調に現れ、11月末には、1万人前後にまで減少しました。

 正直、ここまで急速に減少したのは、奇跡的なことだと思っていましたが、マクロン大統領は、この感染の減少を受けて、11月24日に段階的なロックダウンの解除を発表しました。

 このまま、減少していくかと思いきや、新規感染者の減少はピッタリと止まり、(止まるどころか若干上昇傾向にあります)マクロン大統領が提示したロックダウン解除の条件の一つである、「一日の新規感染者数が5000人以下になっていた場合」をクリアできない可能性が高まってきました。

 15日までには、残すところ、あと一週間と迫り、先週の一日の新規感染者数は平均10,500人程度、一週間で半減することは、まず不可能です。

 考えてみれば、1万人に迫った時点で、ロックダウンを緩和し、小売店が一斉に営業許可になり、人がより外に出るようになり、毎週のように数万人単位のデモが起こり、気温も一段と下り、ロックダウンを緩和した状況で、感染がこれ以上減少する理由は一つもないのです。 

 にもかかわらず、フランス人は、ノエルを家族で迎える気、満々で、一度は、今年の家族の集まりはなしにしよう、あるいは、リモートにしようと言っていた人々も、やっぱり、家族で集まろうと計画し直している家庭が多いのです。

 年配の人ほどリスクが高いにもかかわらず、あと何回ノエルを家族と過ごせるかわからないと思うのか、ノエルを家族と過ごすことに執着しています。しかし、命がけのクリスマスを楽しめる気持ちが私には理解ができません。

 昨日、現在のこの感染状況を受け、保健総局長であるロックダウンおじさんことジェローム・サロモンが会見を開き、感染減少がストップしている状態を説明しました。

 折しも、11月末にサンクスギビングデー(Thanksgiving Day)(感謝祭)を制限なしに祝ったアメリカで、再び、コロナウィルス感染が広まり、一日の新規感染者数が17万人を突破し、一日の死者数が1,000人以上を記録し、特に感染状態の深刻なカリフォルニア州は、再び、ロックダウンになっています。一日に17万人が感染とは、恐ろしい状況です。

 このサンクスギビングデー後のアメリカの状況は、充分、ノエル後のフランスにも起こりうる状況です。

 とはいえ、フランス政府は、恐らく、今さらノエルを家族で祝うことを禁止する勇気はなく、ノエル以外の制限解除、「映画館・劇場・美術館等の再開」を中止するか、外出制限の時間帯を変更するか、少なくとも24日と31日は、時間制限なしに外出が許可されるという点を廃止する方向に進むのではないかと私は、考えています。

 現在の段階では、水曜日には、マクロン大統領が国防会議を開くことが報じられていますので、その会議で、15日のロックダウン解除がどのように変更されるかは、今週中には、明らかになると思われます。

 わずか一ヶ月間で6万人から1万人前後まで感染が減少したフランスは、2週間で1万人から5千人に減少することも不可能ではないと考えていましたが、やはり、今回も事態を甘く見ていました。気温が1度下降するごとにウィルスは活発化し、感染率が上昇することは、もはや明らかで、現に、気温が低い地域での感染拡大が深刻になっています。

 こうなってくると、ヨーロッパ内が制限緩和に移行し始めた中、唯一、手綱を緩めなかったドイツの対応が正しかったのではないかと思うのです。

 どちらにしても、ノエルと年末年始の後の年明けには、第2波がおさまる前に第3波がやってくるのは、確実で、今回のこのノエル問題への政府の対応によって、第3波の波の高さが変わってきます。どうか厳しい措置をとって欲しいと思っているのは、私だけなのでしょうか?


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「コロナウィルス第2波 制限を緩和していくフランスと手綱を緩めないドイツ」

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2020年12月7日月曜日

フランスの配送事情の救世主 配送品取扱システム モンディアル・リレーとポアン・リレー


Point Relais®


 フランスの配送事情の悪さは有名で、これまで私が日本へ送った荷物、日本から送ってもらった荷物が何度となく、紛失しています。特にクリスマス前の季節などは、失くなる可能性が高く、娘が小さい時など、娘がこっそり日本のパピー(おじいさんのことをフランス語ではパピーと言います)に頼んで送ってもらったゲームのソフトなどは、かなりの確率で失くなり(盗難)ました。

 配送品を記入する欄には、NINTENDOなどとは、絶対に書かないで!と言っていたのに、父はうっかり?書いてしまうのです・・。

 NINTENDOのソフトでも、開けてみたら、日本語のソフトだったとわかった犯人も開けてビックリがっかりだったでしょうが、一回盗んだものを返してくれるわけもありません。

 特にクリスマス時期は、盗難が多く、この時期に何かを送ってもらうことは、辞退していたくらいです。

 国内の郵便物でも下手をすると日本へ送った郵便物よりも時間がかかったりすることもありました。

 家にいるのに不在通知を入れられたりすることもしばしばで、再送してもらうように電話をすると、近いんだから(実際には、ちっとも近くはなかった)、取りに来いと言われたこともありました。(配送料を払っているのだから、配達してくれと言い返して、結局、届けてもらいましたが・・)

 不在通知を入れられるのが嫌で、しばらく私は、配送先は、日中、必ず人がいる勤務先の会社にしていたくらいです。

 そんな感じのことが度重なったので、私は、フランスの配送事情は全く信用しておらず、長いことネットショッピングなども、最小限に控えてきました。

 しかし、最近になって、フランスでは、配送品の中継ポイントとなる場所を設けて荷物の配送を行うモンディアル・リレー(ルレ)(Mondial Relais)やリレー(ルレ)・コリ(Relais Colis)、クロノショップ(Chrono shop)などのシステムが急成長し、荷物を送るのも、受け取るのも中継地点の代理店が管理してくれるようになったので、配送に関わるストレスが少なくなりました。

 この代理店は、荷物だけを扱っているお店もありますが、その多くは、一般の商店、(多くは、タバコ屋さんやキオスクなどがメインですが、手芸品店やパン屋さんなどが副業としてやっている場合があります)また、大手のスーパーマーケットの受付などで請け負っている場合もあります。

 買い物をして配送を頼む場合は、予め、自分が受け取りに行ける中継地点を指定すれば、あとは、荷物が届いた連絡が来たら、自分の好きな時に受け取りに立ち寄ることができます。また、配送する場合は、ステッカーを自分でダウンロードして、荷物に貼り付けて中継地点に置いてくればいいようになっています。自分で印刷できない場合はQRコードを提示すれば、その代理店がステッカーを印刷してくれます。

 配送料金も郵便局の半額以下で、小さい荷物なら、3ユーロ以内の料金で済んでしまいます。

 中継地点の代理店が荷物を管理するために、自宅配送にかかる人件費がかからず、しかも、盗難のリスクも激減したわけです。

 私は、もっぱら、最近はフランス版メルカリで売れた商品の配送にこのシステムを利用していますが、11月末から、この荷物の中継地点を請け負う代理店は、本業以上にお客さんが多いのではないかと思うほど、時には行列ができています。

 このメルカリの場合は、買い物をする側の人が配送機関を指定し、配送料も支払うようになっているので、相手が指定したモンディアル・リレーかリレー・コリ、クロノショップ、もしくは郵便局のいずれかに持っていくのですが、配送料が倍以上かかる郵便局を指定してくる人は、ごくごく稀です。

 先日は、配送用のステッカーをダウンロードしようとしたら、「今、配送の注文が立て込んでいるので、少し経ってからもう一度トライしてください」という表示が出て、いかにこのシステムが利用されているかを思い知らされました。

 このモンディアル・リレーの代理店は、フランス国内には1万店以上にも膨れ上がり、最近では、スペインに2900店舗、ベルギーに1200店舗、オランダに500店以上の加盟店が加わりました。

 おかげで最近は、配送に関わるストレスが減りました。日本では、当たり前のように自宅に届く荷物。フランスでは、この配送品中継地点ができたことで、自分で荷物を取りに行くことでようやく荷物が無事に届くようになった状態。

 まだまだ日本のレベルには、遥か及びませんが、これでもフランスでは大きな進歩なのです。

Mondial Relay https://www.mondialrelay.fr/ ・Relay Colis https://www.relaiscolis.com/

 

<関連>

「高い配送料金を取りながら、ちゃんと品物が届かないフランスの配送事情」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_37.html

2020年12月6日日曜日

ブラックブロックがパリを破壊する フランス全土で5万人超えのデモ

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 つい数日前にシャンゼリゼに立ち寄って、イルミネーションの圧巻の美しさに「パリにいるのも良いものだ・・」と思ったばかりです。

 先週末もフランス全土で大規模なデモが起こり、大変な騒ぎでした。コロナウィルス感染も心配ですが、もうここのところ、デモのあまりの暴力化から、土曜日の午後にパリで外出することは、危険を感じるようになりました。

 依然としてグローバルセキュリティ法に反対する動きは根強く、この日は、フランス全土で5万2350人(パリでは5千人)がデモに参加したと内務省から発表されています。先週のデモに比べれば、政府がグローバルセキュリティ法・全面書き直しを発表したこともあり、人数的には、少なくなりましたが、破壊行動の被害は、一向に治ることはありません。

 デモ隊は、午後2時過ぎに、平和的?に行進を開始しましたが、デモが予定されていたルートに沿って、散発的に火が放たれ、ゴミ箱や、バイク、車(少なくとも6台)、トラックなどが燃やされ、近隣の商店が壊され、銀行までが燃やされました。

 前回同様、ブラックブロックと呼ばれる黒い覆面と服装に身を包んだデモに便乗しては、破壊行動を繰り返す集団の犯行です。この破壊行動に及んだ人は、400人〜500人いたと発表されています。この日のパリのデモ隊の規模は、5千人と言われていますので、人数から言えば、約1割がブラックブロックだったわけです。

 デモを行うには、予めそのルート等を申告し、警察の許可を取ることが義務付けられていますが、ブラックブロックの集団もそのルートを元に計画的に破壊行動を計画していることがわかります。

 5000人が参加したと言われるパリのデモは、最終地点のリパブリック広場に到着できたのは、午後6時すぎ、半分以下の2000人でした。彼らは、表向きはデモ隊に参加しているかのように振る舞い、グローバルセキュリティ法反対などのプラカードを掲げたりする役割の人もいるのですが、その実、デモをぶち壊していることは明白です。

 街中に炎が立ち上り、黒煙が立ち昇り、催涙ガスが蔓延し、放水車が人を攻撃し、ガラスが割られ、ブラックブロックと警察の治安部隊が戦う光景は、もはやデモではありません。パリはどうなっちゃうんだろうと不安にかられます。

 ブラックブロックは、2016年頃から登場し始めていますが、その破壊行為は、どんどんエスカレートしています。コロナウィルスによるロックダウンのストレスもあるかもしれません。

 私もフランス生活が長くなるにつれて、時にデモも必要なことではないかと思い始めてはいますが、昨今のような、デモといえば、ブラックブロックが便乗して暴力を振るい、破壊行動を繰り返してデモをぶち壊してしまう現状では、デモをこのまま容認することは、不可能ではないかと思っています。

 近隣の商店などは、デモはもう辞めて欲しいと憤りを露わにしています。

 表現の自由を叫び、自分の意思を表現することが尊ばれるフランスだからこそ、このようなコロナ禍でさえ、デモが認められているのですが、この暴力集団が破壊行動を繰り返す限り、こんな状態が続けられるわけはありません。

 今回のデモでは、42人が逮捕されています。実際に破壊行動をしていたと言われる人々の1割程度です。警察は、徹底的にこのブラックブロックの輩を追跡して、暴力ではない警察の力を見せつけて欲しいです。

 だいたい、ロックダウンの効果でコロナウィルス感染も減少してきたとはいえ、未だ、フランスでは、新規感染者が一日1万人以上いるのです。ノエルを家族で祝いたいんじゃなかったの? こんな状態が続けば、感染者も確実に増加するはずです。


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「グローバルセキュリティ法・全面書き直しとブラックブロック」

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