2020年6月14日日曜日

ロックダウン解除とはいえ、またパリで1万5千人超えのデモ フランスは、なぜデモを止められないのか?


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 13日(土)、パリでは、1万5千人を超える人が、先日から続いている警察の暴力と人種差別に抗議するデモに参加しました。このデモは、前日から、すでに、午後2時半にリパブリック広場からオペラ座に向けての行進と見られており、近隣の店舗、レストラン、カフェなどは、危険回避のため、ロックダウン解除後に、せっかく再開し始めた店舗をこの日は、閉店することを余儀なくさせられました。

 最終的に、デモ隊は、リパブリック広場に集結し、2時間ほどの抗議集会が行われました。近隣の建物の上からは、「JUSTICE POUR LES VICTIMES DU RACISME ANTI-BLANC(反白人種差別の犠牲者のための正義)」と書かれた大きな垂れ幕が降ろされ、人々は、人種差別と警察の暴力について、訴えました。

 そもそも、前日からわかっているこのような集会が、10人以上の集会は、禁止とされている中で、なぜ止められないのかは、フランスの複雑な事情によるもので、10人以上の集会は、禁止できても、デモ(抗議活動)を禁止することができないのは、人々の口を塞ごう、抗議・意見を主張する機会を奪うと見なされ、それこそ人権問題に繋がるという厄介な問題なのです。

 ロックダウン解除直後にデモ禁止に反対するデモという厄介なデモも起こりましたが、マナーを守って?デモをする限りは、フランスでは、デモを完全に否定することはできないのです。


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警察のバリアにより立ち往生するデモ隊の人々







 
 結局のところ、警察がデモ、スタートの地点から、バリアを張り、デモの進行の妨害をしたことで、根気負けした人々は、リパブリック広場に到達する前に退散したので、当初の予測では、1万5千人から2万人と言われていた人出も、1万5千人程度でおさまりました。(おさまったという数字ではありませんが・・)

 夕刻になって、集会も終盤に近づいた頃、デモが緊迫した状態に達し、迫撃砲や投射物を投げ始めた段階で、警察もそれに反撃して、催涙ガスを発砲し始め、デモ隊が暴れ始めたことを機に、警察が一気にデモ隊を解散に追い込み、パリのリパブリック広場でのデモは、思っていたよりも早く?に収束しました。

 通常のデモ?は、夕刻になって、薄暗くなる頃から、デモ隊が興奮し始めて、ゴミ箱を燃やしたり、周囲の店を壊したりの凶暴な行動に発展するのですが、今回の場合、暗くなり始める前に、一気に収束に向かったのは、むしろ、警察側がデモ隊が騒ぎ出すのを待って沈静化したという、ある意味、デモを禁止できない警察側の作戦であったのかもしれません。結果、このデモでは、26人が逮捕されています。

 ちなみに、このデモは、パリだけでなく、リヨン、マルセイユなどの地方都市でも同日に起こっています。

 とはいえ、今は、コロナウィルスの危険もまだ残る状態であり、このようなデモによる感染拡大の危険は、常に存在しているのです。このデモを見ていた医療従事者が、「コロナウィルスによって、どれだけの人が犠牲になり、どれだけ苦しんできたか、忘れないでほしい、まだ、ウィルスは、消えてない!」と叫ぶように訴えていました。

 フランスは、多くの犠牲を強いてロックダウンをして、感染を抑えてきたのです。人種差別や警察の暴力について訴えたい気持ちは理解できますが、未だ、色々な制限下にある生活をしている状況での数万人規模のデモは、どう考えても、コロナウィルスによる犠牲者を増やすことに繋がっているとしか思えないのです。

 それにしても、こう激しやすい人々をロックダウンできたということは、大変なことだったんだな・・と改めて、思わせられます。


<関連>「フランス(ヨーロッパ)でコロナウィルスが広まる理由」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_19.html
 








 




2020年6月13日土曜日

フランス人のこだわり


réussir la cuisson de son entrecôte de bœuf et de ses grillades


 半分、フランス人なのに、フランス料理が苦手な娘のおかげで、我が家は、あまり、外食というものをしません。だいたい、パリの外食は、日本のように、「ワンコインでランチ」なんていうわけには行かず、10ユーロ以下で食事をできるレストランは、ほとんどありません。

 それでも、フランス人にとって、カフェやレストランは、とても大切なもので、必ずしも大したお料理ではなくとも?フランス人は、好んで外食をします。外食は、単に食べるということだけでなく、人と会って、話すということでもあるからです。

 しかし、だからと言って、フランス人が何でもいいから、外食するというのも少し違います。最近は、健康志向からか? カフェのランチなどでもサラダを食べている人が多くなりましたが、一般の庶民的?なカフェでは、メニューも、どこも似たり寄ったりです。

 簡単な、クロックムッシュやサラダ、オムレツ、ステークフリット(ステーキとフライドポテト)、ローストチキンなどなど、ごくごくシンプルなものでも10ユーロを下ることはなく、ということは、ちょっとしたランチでも12ユーロから15ユーロは、かかるので、少なくとも1500円から2000円近く、かかるということです。

 ですから、特別に行ってみたいレストランとか、たまには、ゆったりした気分を味わいたいとか、友人と会って一緒に食事をするとか、そんなことでもなければ、我が家は、あまり外食をしないのです。つましい生活です。

 その代わりと言っては何ですが、たいていのものは、家で工夫して作ります。そして、これ、「外で食べたら、いくらだろう?」などと言いながら、自己満足に浸ります。我が家は、和食?に偏りがちなので、当然、外食すれば、高くつくのですが、それを家で食材を工夫したりして作って、何だか、安上がりになった気がして、満足するのです。

 今日のお昼に、家にあったインスタントラーメンと野菜をたくさん使ってタンメンのようなものを作ったのです。ただのインスタントラーメンですが、たくさんの野菜からもいい味が出て、ガーリックパウダーや胡椒などを効かせて、我ながら、なかなか良いお味に仕上がったのです。そして、いつもの「これ、外で食べたら、いくらだろう?」を始めたのです。

 しかし、あっさりと娘は、「これは、ダメ!インスタントだから、いくら美味しくても、売れないよ!」と言うのです。そうなんです。フランス人は、ファーストフードなどは、別として、どんなにシンプルなものでも、インスタント食品には、お金を出したがりません。まあ、当然といえば、当然ですが、彼らの日常の食事のレベルを考えるとちょっと意外なこだわりでもあります。

 フランス人は、外食の場合、それが手作りであることにこだわります。フランス人に関わらず、誰でも、それなりのこだわりは、ありますが、時々、??と思うことにも、彼らは、こだわります。「手作りのもの」というこだわりにしても、例えば、パリのラーメン屋さんなどでも、しつこく、この麺は、手作りの麺なのか?と店員さんに確認している人を見かけます。まさか、ラーメン屋さんで、インスタントの麺を使っているところはないと思いますが、それでも、しつこく確認するところに彼らの手作りへのこだわりを感じます。

 だからと言って、彼らがインスタント食品を全く食べないわけではありません。むしろ、彼らは、日常では、日本人のように手間暇かけて、何品も食事の支度をしたりはしませんし、冷凍食品やチルド食品もよく利用しています。ただ、外食に関しては、それを許容しません。

 手作り以外にも、フランス人がこだわりを持っていることがあります。それは、缶ビールをどこか、下に見ていることです。若い男の子などでも、大きな顔をして、「缶ビールなんて、飲んでるの?」なんて、偉そうに言う子もいます。まだ、そんなにお酒の味をわかっていなさそうな若い子がそう言うのは、おそらく、彼の家庭で、両親がそんなようなことを言って、瓶ビールにこだわっているのでしょう。しかし、実際のところは、若者は、安い缶ビールを飲んでいるのですが・・。

 考えてみれば、フランス人は、こだわりを持つことを美徳とするようなところがあります。そして、また、それについて、とうとうと語ります。他人には、理解しがたいこだわりであっても、それぞれが自分のこだわりを大切にしています。そして、それは、時にかなり頑固で頑なでさえあり、苦笑させられることもしばしばです。

 でも、そんなこだわりへの必死さも、一歩ひいて眺めてみれば、ちょっと可愛い気もするのです。



<関連>「パリのランチ・お弁当、外食、日本食事情」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_3.html



 

2020年6月12日金曜日

フランスは、いつも誰かが何かを訴え、戦っている フランスは、デモの国


           Des policiers réunis devant le commissariat du 3e - LyonMag


 いつものことですが、フランスは、ロックダウン解除以来、どうにも騒がしい事ばかりが続いています。ロックダウンという厳戒態勢が徐々に解除されて、当初は、国民も恐る恐るウィルスがまだ残る世界に出ていくことに、どのような体制をとったら良いのかを手探り状態で、子供を学校に通わせる親もごく一部に限られていました。

 しかし、時間が経ち、感染の状況が改善していくにつれ、ロックダウン解除の第2ステージに突入すると、堰を切ったように、アメリカでの人種差別の問題を孕んだ警察の暴力に抗議する動きに触発されて、フランスでも同様の被害にあった問題についての抗議のデモが始まりました。

 それにつれて、同様の被害にあったという人たちが次々と名乗りをあげ始め、訴えを起こすケースが続き、昨日は、14歳の少年をはじめとする4家族が警察の不法逮捕と警察から受けた暴力への訴訟を始め、警察の暴力が公になり、暴力を受けた少年がテレビのインタビューに、ボコボコに殴られて、腫れた顔をさらして答えたことから、事は大きくなりました。

 その少年が暴力を受けた事件は、アメリカのジョージ・フロイドの事件で世間が騒いでいる時期に起こっており、どうにも、理解ができません。ある程度の権限を持った立場である警察官のマイノリティーに対する暴力は、やはり見過ごすことは、できません。

 今の時代、事件が起これば、どこかで誰かが必ず映像を残しており、次々と出てくる映像がすぐにSNSからマスコミに広がります。

 相手が未成年の少年であることもあり、騒ぎが大きくなれば、これでは、またデモが起こるのでは・・と思っていたところに、世間の反応を鎮めるつもりで、内務大臣・クリストフ・カスタナー氏が、記者会見で、警察官の職務権限等に対する見直しを行うと発言したところが、今度は、全国の警察官の反感を買い、全国規模での警察官による抗議運動が始まりました。

 フランス各地の警察で、警察官が並んで、次々に自分の前に手錠を捨てていくというパフォーマンスで自分たちの怒りと正義の訴えを始めました。

 このような芝居じみた?パフォーマンスと抗議は、フランス人のオハコとするところで、最後は、マルセイエーズ(フランス国歌)をみんなで歌いながら、志気を高めるというおきまりのコースです。

 国に抗議しつつも、マルセイエーズを歌うのは、あくまで、フランスは、こうではあってはならないという、それぞれが、それぞれの正義を掲げて、それぞれが、上から目線の愛国心の表れであることも、フランスらしいところです。

 特に、今の時期のデモは、控えてほしいけど、抗議はしつつも、その根底には、揺るがない愛国心があるっていいもんだな・・とも思います。デモは、人権に関わる権利であり、これを禁止する事はできません。フランス人にとって主張する事は、食事をするのと同じくらい当然のことなのです。

 決して、黙ってはいない、いつも誰かが何かを訴え、戦っている、デモの国・フランスが、ロックダウン解除とともに戻りつつあることを日々、感じています。

<関連>
「フランス人のプライド」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_6.html

「日本人は、黙って我慢すると思われている」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/02/blog-post_4.html

 

2020年6月11日木曜日

ロックダウンの我が家の収穫 ベランダでの野菜の栽培のコツ

昨年、咲いたきゅうりの花


 我が家は、毎年、春から夏にかけて、日本の野菜をベランダで育てるのが、もう、ここ何年もの毎年の恒例行事のようになっています。初めは、アフリカに住むことになった時、日本のものがどの程度、手に入るかもわからずに、全く知らない異国の地に行く際に、「手に入らないならば、自分で作ればいいじゃない!」と言って、母が持たせてくれた枝豆のタネをアフリカのベランダの一角で育て始めたのが最初でした。

 フランスに引っ越してからも、当初は、パリ郊外の街に住んでいたために、通勤にも一時間近くかかっていましたし、娘もまだ小さくて、通勤と送り迎えと娘の教育とで、いっぱいいっぱいで、とても家庭菜園などをしている時間はありませんでした。

 少しずつ思い出したように、ベランダ菜園を始めたのは、今のアパートに引っ越してきてからでした。日本に行くたびに、野菜のタネを手に入れて、最初から変わらずに植え続けているのは、紫蘇と三つ葉や小ねぎ、ニラなどの薬味類が中心で、これまでに、ナスやシシトウなど、色々なものに挑戦してきました。

 しかし、結局のところ、一番、育てていて、楽しいのは、夏のきゅうりで、育ち始めると、成長が著しく、ジャックと豆の木のようにグングン大きくなって、夏の間の日除けになるくらいベランダをいっぱいに緑が覆ってくれるので、毎年、5月に入った頃に、きゅうりの種まきを始めるのです。

 基本、フランスでは、手に入りにくいものを育てるのが、我が家の鉄則で、フランスにもきゅうりは売っていますが、日本のようにカリッとした歯ざわりの良いきゅうりは、簡単には、手に入らないのです。フランスのきゅうりは、やたらと大きくて、日本のきゅうりのようなカリッとした食感がないのですが、フランス人の主人に言わせれば、日本のきゅうりは、水分が足りない・・などと言います。なるほど、そういう解釈もあるのね・・と思わせられますが、まあ、人の好みはそれぞれです。

 今年は、思わぬことで、3月中旬からロックダウン状態になり、初めは、恐怖と戸惑いで、気持ちの余裕もありませんでしたが、4月に入った頃から、やたらと気候が良くなり、外出せずともこの太陽を使えるではないか!?と、いつもより早くにベランダ菜園を開始したのです。

 種まきは、焦って早すぎる時期に植えると失敗するので、きゅうりを植えるには、まだ早く、手持ちの野菜のタネから、フランスの気候でも早めに植えても大丈夫そうな、水菜、春菊、小かぶ、小松菜などを植え、少ししてから、スナックえんどうを植えました。

 外出ができない中で、思いのほか、天気だけはやたらと良く、野菜は、グングン育って行きました。毎日、たくさんの人が亡くなるニュースばかりを聞く毎日で、狭いベランダで土をほぐしながら、野菜が育ってくれるのを毎日、見ることが、私の気持ちを穏やかにしてくれていました。毎朝、毎晩、野菜の苗に水をやる規則正しい生活もロックダウン中の生活の習慣作りには、とても有効でした。

 いつもは、5月の連休が過ぎた頃に始めるきゅうりの種まきの前に、我が家のベランダは、すでに緑で埋められていました。しかし、毎年のハイライトであるきゅうり栽培を諦めるわけには行かず、今は、これまでの水菜や春菊のスペースは縮小し、きゅうりのスペースを拡大しています。

 それでも、今年は、ついつい色々なタネが育つのが嬉しくて、また、いつもより、たっぷり時間があったので、調子に乗って、枝豆なども育て始めたため、ただでさえ狭い我が家のベランダ(畳一畳半くらい?)には、場所がなくなり、家にあった板を組み合わせて、棚がわりにしたり、ついには、プランターや植木鉢まで足りなくなり、いらなくなったお鍋や花瓶にまでタネを撒いてみました。今のところは、お鍋や花瓶に植えられた枝豆もちゃんと芽を出して、育っています。

 夏、暑くなり、きゅうりも大きくなり始めると、鳩が日除けにやってきて、巣を作ろうとし始めるのが恐怖ですが、風鈴を吊るしたり、アルミホイルを細く切ってぶら下げたり、鳩よけ対策もできるようになりました。

 幸いにも、我が家のベランダは、陽当たりが良く、毎年250本くらいのきゅうりが収穫できます。

 きゅうりのシーズンが終わると、長くツルを撒いたきゅうりの茎や葉っぱが枯れると、結構なゴミになりますが、これも細かくして、夏の間、きゅうりを育ててくれた土をほぐしたものと一緒に大きなバケツの中に少し入れ、家庭の野菜のくずや揚げ物に使った油などを少しずつ入れては、夏の間に使った土をかぶせて、来年用の土を作っていきます。

 翌年、新しい土も買い足しますが、一年の間にすっかり新しい土になった昨年からの土も一緒に使います。昨年からの土に少し肥料を混ぜて、新しい土と混ぜます。私は、野菜の栽培は素人なので、全くの自己流ですが、これで、何年もたくさんの野菜を育てています。

 野菜が育っていくにつれて、土が少しずつ沈んでいくので、そこには、土を足してあげます。あとは、毎日、朝晩、欠かさず水をやるくらいで、太陽と土と水で野菜は育ってくれます。太陽と土と水のチカラは、本当に偉大です。

 ロックダウンのような、特別な環境で、買い物にもなかなか行けない中で、自分で黙々と野菜を育てるのは、人間が自分で食べるものを自分で作る、余計なものを削ぎ落としたシンプルな生活の一部ができていることに、妙な落ち着きと、静かな気持ちと、満足感があるのでした。

 ロックダウンが解除になっても、これから夏にかけて、ますます青々としてくるベランダを楽しみたいと思っています。

 ベランダやお庭のある方、野菜を育てるのは、楽しいですよ!


<関連記事>「コロナウィルス・ロックダウン生活と海外生活」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/05/blog-post_19.html

 

 

2020年6月10日水曜日

ロックダウン解除・ぐんぐんと日常に戻りつつあるパリ エッフェル塔も再開決定




 フランスは、6月2日から、ロックダウン解除の第二ステージが始まって、その日に2万人規模のデモが起こり、それからは、一ヶ所に2万人とまではいかずとも、毎日のようにデモが続いています。

 それでも、現在のところは、デモの影響で、感染が拡大した兆候は、現れてはおらず、テレビのニュースでも、これまでのように、コロナウィルスの感染による死亡者数や重症患者数がトップで扱われることは、なくなりました。

 ここのところ、コロナウィルスの影がどんどん薄れていくことを感じます。(実際には、昨日の一日の死者数は87名(6月9日)という状況なのですが・・)

 これまで、閉鎖されていたメトロの駅も新たに31ヶ所が再開することになり、6月25日午前10時には、第二次世界大戦以来、最長期間(3ヶ月以上)閉鎖されていたエッフェル塔も、一部ではあり、マスク着用義務(11歳以上)という条件付きではありますが、再開されることになりました。

 私にとっては、エッフェル塔は、家の窓から、夜になると、ライトアップされた姿を眺めるだけなので、ロックダウン中も変わらず、キラキラ輝いていたエッフェル塔で、再開されたとて、あまり感慨は、ありませんが、やはり、フランス・パリのシンボル的な存在であるエッフェル塔の再開は、フランスのロックダウン解除の象徴的な出来事の一つであるに違いありません。

 それにしても、今のところは、解除の度に、条件の一つに加えられるマスク着用の義務化ですが、もともとマスク嫌いのフランス人にとって、今後、マスクは、今まで以上に、ますますコロナウィルス下の体験を連想させる、忌み嫌われる存在になりそうです。

 現在のところは、一応、タテマエのように掲げられている10名以上の集会の禁止の中で大々的に行われているデモでさえ、すでにマスクをしていない人も多く、フランスでは、3万人近い人が亡くなっているというのに、全く恐れることなく、どれだけ、マスクが嫌いなんだ!と思います。

 買い物の際に店内で義務付けられているマスクのために、ショッピングの気がそがれると、売り上げの減少も、マスクが影響しているとさえ言われています。

 現在のところ、パリのレストラン・カフェでは、テラスのみの営業しか許可されていないことも、ここ数日の悪天候で、業を煮やし始めているレストランの経営者から、6月22日を待たずして、再開させて欲しいという声が上がり始めています。もちろん、飲食を伴うレストランでは、マスクは、店員以外は、誰もしていません。

 あくまで、表向きは、慎重に・・という態度をとっている政府ですが、次回のロックダウン解除のステージは、6月22日に発表されることが決まっていますが、その発表を待たずして、次なるステージが7月10日であるということが、発表されました。これは、いよいよバカンスシーズン突入と、7月14日のパリ祭(フランス革命記念日)でのコロナ払拭モードへの切り替えの大きな区切り、緊急事態宣言解除では?と考えられています。

 ぐんぐんと日常に戻りつつあるパリ、このまま、本当にマスクを取ることができるのか? 日常が戻ってくることは、嬉しい反面、私にとっては、今のところは、マスクを取りたい気持ちよりも、マスクをしない恐怖、皆がマスクをしないで感染爆発をしたトラウマの方が大きいのです。


<関連>「私はウィルスではない フランスでのアジア人差別」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_31.html

 









 

2020年6月9日火曜日

マスクのポイ捨ては、罰金135ユーロ でも、フランス人は、ルールは守らない


Jeter son masque par terre pourrait bientôt coûter très cher


 フランスでは、6月7日、環境担当国務長官が、マスクのポイ捨て(実際には、マスクだけでなく、タバコやゴミも含まれる)に対する罰金を現行の68ユーロから、135ユーロに引き上げることを発表しました。

 しかし、おそらく、現行犯ではなければ、捕らえられないマスクのポイ捨てのための取り締まりが行われるとは、考えづらく、実際には、何の効力もないと思っています。そんなルールなど、「そんなの関係ない!」とばかりに無視されることでしょう。

 テレビの報道などでも、道路に捨てられたマスクを問題視する報道が取り上げられていましたが、果たして、実際に街を歩いてみると、やはり、マスクが捨てられているのを度々、見かけます。

 フランス人が日本へ行くと、街中のゴミ箱が少ないのに驚くと言いますが、実際には、ゴミ箱の少ない日本の方が、街にゴミが少なく、清潔なのも事実です。

 先日、日本では、政治家が、欧米の国に対して、「オタクの国とは、民度が違うと言ってやるとみんな絶句する」という発言が炎上していましたが、彼の物の言い方や、そのことを公的な場所で発言することは、何かと物議を醸すのはわかりますが、「民度が違う」という、そのこと自体は、事実です。

 フランスの学校では、道徳教育というものもなく、道徳心やモラルというものの概念がとても薄いのです。

 何事にも罰金を課さなければ、徹底しないのは、今回のコロナウィルスの完全なロックダウン状態にして、不要の外出を取り締まり、罰金を課さなければ、国民を治められなかったことからも、明らかです。

 それは、日頃からの生活のあらゆるところで、見られることで、海外生活をしたことのある人には、何かと心当たりがあることだと思います。ルールを守るとか、清潔を保つとか、周囲の迷惑を考えるとか、郵便物がなくならないとか・・(挙げればキリがありませんが・・)日本では、あたりまえのことがあたりまえでないことに、海外に出たことがある人ならば、誰もが最初は、困惑した経験があると思います。

 それでも、普通の日常ならば、一つ一つの事柄を裏返しにして、自由な「文化」という言葉に置き換えることができる点もありますが、それは、自分の行動を正当化する詭弁にすぎません。

 しかし、今回のような有事に、それは、通用しません。

 もはや、フランスは、マスクのポイ捨てどころか、マスクをしない人が大多数で、皆がマスクをしているのは、取り締まりが厳重で、罰金を課される公共交通機関を利用する際くらいです。

 そして、何より怖いのは、人々が、もはや、警察など恐れていないことです。もともと、フランスでは、よほどのことをしない限り、刑務所行きなんてことはないのです。

 この時期のデモでさえ、警察が抑えることができません。今は、特にアメリカで起こったジョージ・フロイドの事件で、人種差別問題から、なぜか、問題は、警察の暴力問題に置き換えられつつあり、(フランスには、アメリカのような人種差別は存在しない、これは、警察の暴力問題であるとフランスのマスコミは人種差別問題を政府が認めない)、ますます、警察が国民を取り締まることに慎重になっています。

 小さい頃から、日本とフランスの両方を見て育っている娘は、「あたりまえのことがなぜできないのか?」「でも、あたりまえのことができないのがフランス」と二つの国を冷静に見ています。

<関連>
「パリの盗難被害 パリの泥棒は、なかなか捕まえてもらえない」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_6.html

「パリでは、日本ではあり得ないことがたくさん起こる・・」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_11.html



 

 




2020年6月8日月曜日

パンデミックによる留学・スタージュ・インターンシップのキャンセル




 6月のフランスは、年度末に当たる月で、娘の通っている学校などは、5月末には、授業は、終わってしまっていました。というのも、本当ならば、学校のプログラムにより、6月1日より、スタージュ(日本でいうインターンシップのようなもので、スタージュ先は、海外、国内ともに、個人個人で選択します)で、イギリスの大学の研究室に行くことになっており、それが、今回のコロナウィルスのパンデミックの影響で、イギリスには、行けなくなってしまったのです。

 彼女のクラスでは、フランス国内だけでなく、海外でのスタージュの予定をしていた人も多く、半分以上の人のスタージュの予定がキャンセルになってしまい、今も必死にスタージュ先を探し続けている人が大勢おり、7月の半ばまでにスタージュが決まらない場合は、それに変わるプログラムを学校側が用意して、夏のスタージュに行くはずの期間は、そのプログラムを消化することによって、一応、その期間をスタージュをしたと同じような換算をすることになっているそうです。

 そもそも、スタージュどころか、国内・海外共に、失業者に溢れているわけですから、普段、スタージュを受け入れている会社等にとっても、それどころではないのです。

 彼女の通っているエコールは理系のエンジニア養成のエコールで、エンジニアのライセンスを取得するには、企業や大学の研究室、研究機関等でのスタージュの経験がトータルで10ヶ月間、必要になっています。

 娘は、昨年、すでに、フランスの大手の製薬会社でのスタージュを2ヶ月間、経験したものの、彼女にとっても、残り8ヶ月間のスタージュの義務が残っているわけです。幸いにも、彼女の行くはずだったロンドンにある大学の研究室は、リモートワークを受け入れてくださり、彼女は、今のところ、パリの自宅で、ロンドンの大学の研究室の仕事をさせていただいており、3ヶ月間のスタージュは、どうやら消化できそうです。

 彼女のイギリスでのスタージュが決まったのは、昨年のクリスマス、その時点で、スタージュの始まる日と終わる日はわかっていたので、早めに取った方がユーロスターのチケットも安いから・・と早々に往復のチケットを予約していたのですが、それもキャンセルせざるを得なくなりました。当然、今回のようなキャンセルの場合は、全額返金だとばかり思っていたのに、クーポンでの返金という拍子抜け。別に予約していた宿泊施設は、全額返金されるとのことですが、未だ、返金されていません。

 とはいえ、何より、リモートワークとはいえ、スタージュが全くのキャンセルにならなくて、幸いでした。彼女のスタージュの予定は、6月から8月末までの3ヶ月間の予定なので、今後、パンデミックの状況が改善されれば、途中から、実際にロンドンへ行ける可能性もまだゼロではないのです。

 しかし、考えてみれば、この時期に留学などの予定にしていた人も大勢いるわけで、逆にフランスに留学に来ていた学生の多くも母国に帰国してしまっています。パンデミックにより、多くの人の人生が変わってしまいました。

 今年、就活をしている人にとっても、ここ何年間かで最も厳しい年になってしまったことでしょう。この不況がいつまで続くのかは、わかりませんが、娘も本来ならば、今の学校卒業、就職まで、あと一年です。今の不況が年単位で続くことは、もはや明らかで、彼女は、今の学校を卒業してから、さらに次の学校に進んで、就職の時期をずらした方が良いかもしれない・・と、複数の道を考えているようです。

 人生の岐路に、選択肢がある場合とない場合とがありますが、今は、多くの人が人生の岐路に立たされていることを、未だ、学生である娘を見ていても、しみじみと考えさせられます。思い描いていた人生とは、違う方向に軌道修正しなくてはならない状況でも、長い人生で見れば、それが、結果としては、良かったと思えるように、娘には、たくましく、この状況を乗り切って行って欲しいと思っています。


<関連>「学校選びは人生の岐路・娘の通った学校は、なかなか厳しい学校だった」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_54.html