2021年2月7日日曜日

フランスの銀行と日本の銀行

  


 

 私がフランスに来て以来、フランスの銀行口座は、フランスに到着してすぐに作った口座が一つのみで、ずっと20年以上、過ごしてきました。

 私など、大してお金を持っているわけでもなく、いくつもの銀行にばらばらと口座を持っていても、私が死んだ時にできるだけ、面倒をかけないように、シンプルにしておこうと思っていたのです。

 私がこれまで使っていた銀行は、いわゆるフランス大手の銀行ではなく、主人の仕事の関係で、外務省関係の人が多く使うという、ちょっと特殊な銀行で、パリにも店舗が一店舗しかなく、用があれば、そこまでわざわざ出向かなければならないので、ちょっと不便だな・・とは思っていたのですが、これまで長いこと、フランスにありがちなトラブルらしいトラブルもほとんどなく、これがフランス人かと思うくらい、対応も早く、いつも感じがよく、なんとなく、そのままにしていたのです。

 わざわざ銀行に行くのは、面倒だとはいっても、振り込みや支払いもオンラインやカードで済むようになったし、フランスでは、最近、随分と下火にはなったとはいえ、振り込みの代わりに小切手で支払うことも多かったので(特に払った払わないといういざこざ対応のために、小切手の番号で、これで払ったという証明にすることが簡単なので、これまで私は、結構、小切手も使っていました)、実際に銀行に出向くというのは、クレジットカードの期限が切れて新しいカードを受け取りに行く時か、小切手が切れた際に受け取りに行くくらいしか、銀行に行くことは、ありませんでした。

 それが一昨年あたりから、口座管理料(日本の銀行には、ないようですが、フランスでは、口座を持っているだけでお金がかかります)の値段がグングン上がり出したことが、気になり始め、わずかではありますが、一年分の利息が入った時点で、口座管理料がもっと安く、近所にも支店がある銀行に切り替えようと思っていたのです。

 ところが、昨年から半年以上続いていた私のビザ(滞在許可証)書き換えがすんなり進まなかったことから、(ビザがないと公的な手続きは何もできない)銀行口座のことも伸ばし伸ばしになっていました。

 今年に入って、銀行から送られてきた口座管理料は、年間で200ユーロ以上(約25,000円)、(クレジットカードの手数料等は別)大した金額を管理してもらっているわけでもないのに、こんなに取られるのか!と憤慨し、そこまでお金のかからない新しい銀行の口座開設を申し込んだところです。

 そういえば、フランスの銀行には、通帳というものもありません。

 クレジットカードにしても、フランスのカードは、日本のようにポイントを貯めるとか、買い物をした分でマイレージが貯まるとか、そんなお得なシステムもないのは、日本のシステムが恨めしい限りです。

 日本の銀行も金利は、定期預金でも、普通預金でもほぼ変わらないほどの本当にほぼないに等しいくらいの金利ですが、(フランスの銀行の普通預金には、もともと金利というものは、ありません)フランスも金利がここ数年でグングン下り、比較的金利が良いと言われていたLivret A(リブレA)でさえも0.5%にまで下がっています。

 口座開設にあたっては、ネットで手続きを済ませたのですが、銀行から電話があり、予約をとって、足りない書類を持って来てくださいと言われて、久しぶりに銀行に行って、改めて日本の銀行とは違うなぁと思ったのは、人が極端に少ないことや完全予約制であることです。

 予約制は結構なのですが、手続きが一度で完了しないところは、さすがのフランス、最低でもあと一度は行かなければならないようです。

 私は、日本の口座もそのままにしているので、日本に帰国する度になんだかんだと銀行に出向く用事もあるのですが、ここ数年は、帰国する度にこの支店はここに統合されました・・と店舗が減っていきますが、銀行には、お客さんももちろんのこと案内をする人などの数の多いこと・・。

 日本はサービスが至れり尽くせりなので、それなりに人出もいるのかもしれないので、一概に、同じように語ることはできませんが、フランスの銀行と日本の銀行を客観的に見たら、まるで別の機関を運営しているように感じます。

 私は、金融機関については、詳しくないので、どういうわけでこの違いが起こるのかはわかりませんが、考えてみれば、とても不思議なことです。

 たまたま、私の使っている銀行(日本の)だけのことなのかもしれませんが、まず、銀行に入るといる案内係って必要なのか?と思うのです。そして、聞きたいことがあっても、案内係が役に立ったためしがないのです。

 驚いたのは、前回、帰国した際に必要に迫られて、口座を開く羽目になった銀行から、口座開設後に書留親展で封書が届き、何事だろうか?と中を確認すると、担当の行員からの手書きの挨拶状でした。

 口座を新規に開設してくれた人には、手書きの挨拶状を送るというのが、その銀行のマニュアルなのかもしれませんが、いかにも昔の日本の年配の世代の人が言いそうなしきたり?が、今の日本でも、続いているのかということにちょっと唖然としたのでした。

 それとも、私がフランスの生活に慣れてしまって、ドライになってしまったのでしょうか?

 あまり用をなさない案内係や手書きの挨拶状を書留で送るような余分な人を雇うくらいなら、もう少し利息がなんとかならないものか?と思ってしまいます。

 これまで、色々と口座引き落としや自動振り込みにしているものを変更するのも面倒なこともあって、放ったらかしにしていたフランスの銀行の乗り換えも、手続きは、銀行側が全てやってくれるということで(ちゃんとやってくれるか、できるかは、また別問題)、口座管理料やカードの手数料など、結構、差があるので、たまには、見直しするべきかもしれません。

 現在、外出制限で、バカンスにも行けない中、この際、こういう作業を少しずつやって行くのに、良いタイミングなのかもしれません。


<関連>

「私がフランスで、未だに小切手を使う理由」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_15.html

「滞在許可証更新手続きのトラブル アクセス不能なフランスのお役所」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/01/blog-post_22.html

 


2021年2月6日土曜日

オー・ド・フランスの高齢者施設で111人中106人感染のクラスターを起こした新しい変異種の出現

    


 オー・ド・フランス、エーヌ県にある高齢者施設でクラスターが発生していたことが公表され、その感染率等のあまりの数字の高さから、心配する声が上がっています。

 1月の初旬に最初の感染が確認されたこの高齢者施設では、すぐに衛生管理を強化し、隔離等の措置と取ったにもかかわらず、111人の居住者のうち106人が感染し、うち27人が死亡するという悲惨な状況を生んでいます。

 この感染に関するサンプルを検査した結果、これまでにあまり普及していない変異種の存在が明らかになっています。この変異種は、昨年12月末から中東、アメリカで、1月からはスイス、フランス(ブルゴーニュ)で検出されているものと同種のものであると判明しています。

 現在のところは、この新たな変異種がこれまでのコロナウィルス(オリジナル)と比べて、より伝染性、死亡率が高いものかどうかは確認されていません。

 CNR Institut Pasteur(パスツール研究所・国立生物学・医学研究所)は、イギリス、南アフリカ、ブラジルで発見された変異種と同じように、「懸念される変異種」としては、その新変異種を考慮していませんが、このクラスターの発生により、この変異種に関する再調査が行われることになっています。

 しかしながら、111名中106人感染、27名死亡という事実は見過ごすことはできず、これが、高齢者施設というリスクの高い環境であったことが原因であったのか? また、この施設の衛生管理に問題があったのか? 確認はできていません。

 フランスでは、昨年3月からのロックダウン時には、禁止されていた高齢者施設の面会は、以後、解禁されており、外部からの感染も充分に考えられるところです。

 また、開始されているワクチン接種も高齢者施設を最優先にすでに開始しているにもかかわらず、高齢者施設において、このような極度の割合での感染が起こり、クラスターが発生しているということは、ワクチンの有効性にも疑問が生じてきてしまいます。

 もっとも、この高齢者施設の住民のどの程度がワクチン接種を済ましていたのかどうかは、わかりません。

 どちらにしても、少しでも気が緩み、衛生管理が疎かになれば、このようなクラスターは、あっという間に起こる状況にあり、特に高齢者施設のようなリスクの高い場所での面会の制限などは、あって然るべきではないかと思っています。

 ただし、この地域の保健庁は、ここ一週間、職員の間に新しい感染は起こっていないと明言しています。

 フランス人は、もともと日常を清潔に保つ習慣がない人たちなのです。日本人が普通の日常生活送っている状況がおそらく、フランス人が現在、感染にすごく気をつけて生活している状況なのではないかと思うことがあります。

 フランスは、家の中を土足で歩き回り、一度使ったティッシュは再度使わずに捨てましょうと厚生省が呼びかけなくてはならない国なのです。

 ウィルスは、変異していく性質を持っているものですが、また、このクラスターの発生により、新しい変異種の懸念がフランスでは起こり始めているのです。


<関連>

「フランスの駅とトイレの先進国とは信じ難い臭さ」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_27.html

「フランスのゴミの収集 フランス人の衛生観念」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/02/blog-post_6.html

 




2021年2月5日金曜日

ロックダウンは最終手段という姿勢は崩さないフランス カステックス首相の記者会見

        

   Discours de Castex : vacances de février, vaccins... Les annonces


 昨夜、カステックス首相の記者会見が行われるというので、多くのフランス国民が注目していました。とはいえ、先週のような緊急会見ではなく、数日前から予定されていた会見、しかもカステックス首相の会見と聞いていたので、この会見がロックダウンに踏み切る会見とは思っていませんでした。

 しかし、今週末から冬休みのバカンスに入るフランスは、バカンスに際して、何らかの制限が加わるのではないかとは思っていました。

 18時という約束どおり、きっちり18時に始まった会見にカステックス首相は、なぜか、満面の笑みをたたえて登場し、依然として危険な状態ではあるものの極度の感染爆発は迎えておらず、現在の制限内容に変更はなく、さらに衛生管理、検査、隔離を強化しつつ、現在の時点では、ロックダウンをせずにできることで、感染拡大を回避していく方針を発表しました。

 ロックダウンは、あらゆる事業、教育機関を止め、国民を経済的にも精神的にも追い詰めてしまうものであり、あくまでも、最終手段として考えるのは、当然といえば、当然のことです。

 夜間外出制限を始めとする、あらゆる制限に関する取り締まりを一層、強化することで、現在の制限内に留め、リモートワークを全くしていない企業に対しての指導も行っていくとしています。

 すでに一週間で39%の取り締まり体制の強化により、罰金を徴収された数は、53%増加しています。

 若干の増加はしているものの、ほぼ数値は横這い状態を保っている段階で、確かに現在の制限でさえ、まだ引き締める余地があるフランスでは確かにロックダウンの前にまだまだできることがあるのかもしれません。これでロックダウンが避けられるなら、こんなに良いことはありません。

 私がこんな風に感じたのも、その記者会見の見事さで、会見は、首相をはじめとして、厚生大臣、労働大臣、内務大臣、産業大臣が同行し、あらゆる角度から、理路整然とそれぞれの管轄に関わる現状と対策を述べ、質問に応じて、微塵も淀むことなく回答する、どっからでもかかってこいという確固としたものであったたこともあるのかもしれません。

 どんなものでも跳ね返す鉄のバリアって感じだったかな?

 質問に応じて首相が各担当大臣に回答を振り分け、首相がほどよいタイミングで纏めるその会見は、充分にトップ内で話を練り込んでいる証拠であり、またそれぞれがきちんと話すことができる、フランス人の話す能力を感じます。(口ばかりが達者というところもありますが・・)

 特に、政治家の話す能力は、大事だなぁ・・とこの会見であらためて、感じたのでした。

 とはいえ、今週末から始まるバカンスに関しては、移動制限は設けないとしており、(クリスマスの時ほどの移動は見込まれていないが・・)その点に関しては、不安が残ります。

 横這い状態とはいえ、非常に高い数値での横這い状態、いつでもロックダウンになる可能性があり、バカンス期間の途中で突然、ロックダウンになった場合には、自宅に戻る長距離移動は、許可されるという妙に具体的な内容も含まれていました。

 ヨーロッパ内では、現在はスペインが一番、1日の新規感染者が多く(スペインは制限が一番緩い)、次いでフランスが2位という高い感染者数を維持?し続けており、フランスは、もはや、一時、驚異的な感染者数を叩き出していたイギリス(現在も死者数は多い)やドイツを追い越しています。

 ロックダウンを望んでいる国民が半数以上を占めているフランスは、国民の危機感も高くなっていて、今日、買い物に行ったら、入り口のアルコールジェルの消毒のスペースには、人が並んでいたのには、びっくりしました。

 なんとか、国民の危機意識を保ちつつ、ロックダウンをせずに乗り越えられれば良いのですが、今にも爆発しそうな状態に少しも気は緩められないのです。


<関連>

「コロナウィルスに関するマクロン大統領のテレビ放送を見て思うこと」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_13.html


「カルロスゴーン会見に見るフランス人流の自己主張の仕方」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_9.html

 

2021年2月4日木曜日

「コロナがどういう形であろうと東京オリンピックは開催する」とは何と思いやりのない言葉なのか?

   Les Jeux Olympiques de Tokyo doivent débuter le 23 juillet prochain


 これまで、東京オリンピックに関しては、これまでフランスでは話題に上ることもありませんでしたが、先日、ちらっとニュースでオリンピックに関するニュースをさらっているのを見かけました。

 フランスのラジオ局RTLなどが実施した世論調査によると、今年夏のオリンピックの開催を望まない・開催されないだろうとの回答が多数を占めています。

 当然です。世界はオリンピックどころではないのです。

 つい先日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長が「私たちはコロナがどういう形であろうと必ずオリンピックを開催する」「やるかやらないか?という議論を超えて、どうやってやるのか、新しいオリンピックを考えよう」などと発言していることが、伝えられています。

 「コロナがどういう形であろうと・・」とは、どういうことなのでしょうか?

 「やるかやらないか?どうやってやるか?」ではなく、どうやってやめるか?でしょう。

 オリンピックが開催されないことは、残念なことではありますが、それ以上に残念なのは、多くの人々がコロナウィルスで苦しむ状況の中での、このような思いやりのない発言です。

 幸いなことは、これが日本の総意として伝えられてはおらずに、開催か否かについて、日本国内でも意見が分裂していると伝えられていることです。

 現在のヨーロッパは、ほぼ昨年のコロナウィルス発生時のような、またそれ以上と思われるピークを再び迎えつつあり、一日何千人もの人が亡くなっているのです。

 躍起になって進めているワクチン接種も供給が間に合わずに難航しています。

 世界は、オリンピックよりも何よりも、まずこの感染を抑え、ワクチンによって、なんとか日常を取り戻したいと思っているのです。多くの人が、オリンピックを開催するために選手らのワクチン接種が優先されるべきではないと考えています。

 フランスも今、ロックダウンか否かで日々、ニュースは持ちきりです。森会長の発言が取り上げられるほどニュースに余裕もないことは幸いです。

 昨日は、現在、危機的な状況を迎えているポルトガルで、病院の前で救急車の渋滞が起こり、埋葬の間に合わない棺が冷蔵室で山積みになっている映像が繰り返し流されています。

 このような近隣諸国の危機的な状況を見て、あらためてコロナウィルス感染の恐ろしさを再認識し始め、フランス人の55%は、昨年3月のような厳しいロックダウンを自ら望んでいる状況なのです。

 夏までこの状態が続くとは思えないし、思いたくはありませんが、昨年と同じサイクルで感染が続いているということは、昨年、オリンピックを断念した時と、同じ状況にあるということです。

 ワクチンは開発されましたが、ワクチン接種には、時間もかかり、また、変異種に対しての有効性は、減少するとも言われています。

 フランスでは、東京オリンピックを2024年に延期してパリオリンピックを2028年に開催することが最も良い解決策だとも言われています。

 

<関連>

「世界は、オリンピックどころではない 日本人は、世界のニュースを見るべき」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_21.html

「どんなことがあっても、東京オリンピックやるの???」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/10/blog-post_5.html






2021年2月3日水曜日

コマーシャルセンターのロックダウンとバカンス容認のチグハグ

   

コマーシャルセンター内の通信関係の店舗も今回の制限で営業停止


 滞在許可証の更新のいざこざで、印刷をしなければならない書類が立て込み、印刷用の用紙が一気になくなっていたことに気付いて、慌てて買いに行こうとして、「これは、食料品でもないし、生活必需品でもないから、スーパーマーケットの中の文具類を置いているコーナーも閉鎖になっているはずだから、もしかして、買えない??」と、ちょっとギョッとしながらも、前回のロックダウンの際も、閉鎖とはいえ、ゆるゆるにテープが張られているだけで、きっと買えるな・・と目論んで、近所のコマーシャルセンターに入っているスーパーマーケットに出かけました。

 果たして、私の予想を超えて、スーパーマーケット内は、ゆるゆるのテープが張られることもなく、全く何の制限もされておらず、無事に?買い物はできたのです。恐らく、スーパーマーケット側も先週末に発表されたばかりの制限に、急ぐこともないと思っているのか? 注意されたら、テープを貼ればいいくらいに考えているのかもしれません。

 しかし、目的の買い物を済ませて、スーパーマーケットを出て、あらためて、コマーシャルセンターの中を見回すと、ほとんどの店がシャッターをおろし、電気も消えてガランとしています。

 10月末のロックダウンの時には、生活必需品を扱う店舗の枠には、通信機器を扱う店舗や電気製品を扱う店舗が含まれていたのですが、今回の制限では、それらの店舗は、コマーシャルセンター内では、営業許可になっておらず、全店閉店です。

 ロックダウンをしない方向でとしていた政府の発表から、このコマーシャルセンター内の様子を見ると、これは、前回のロックダウン以上だと愕然としました。開いているのは、スーパーマーケットと薬局だけです。これでは、昨年3月の最初のロックダウンの時のようです。

 もっともこれは、コマーシャルセンターのことで、一般の小規模の店舗は午後6時までは営業しているわけなので、ロックダウンとは違いますが、コマーシャルセンター内の光景は、ちょっとショッキングでした。

 考えてみれば、政府の発表のとおりなのですが、この状況は、私の中で具体的にイメージできていませんでした。

 今回の制限は、ロックダウンをしないで感染を抑えるということで、夜間外出禁止の取り締まりも、これまでの3割以上の人数を動員しての厳しいもので、取り締まりにより発生する18時前後の渋滞は、かなりのものです。

 ロックダウンをしないとはいえ、かなり厳しい制限下になってきた感じがひしひしとしてきたフランスですが、どうにも解せないのが、今週末から始まる冬休みのバカンス中の制限が今のところ、全くなしで、「どうぞバカンスには、お出かけください」という姿勢です。

 海外からの出入国に関しては、EU圏内の例外を除いては、禁止になっているものの、多くの店舗を営業停止にしながら、ここでまた、バカンスにより国内での感染を流通させてしまうことに歯止めをかけないのは、理解不能です。

 まったく、フランス人のどこまでもバカンスファーストには、閉口してしまいます。

 コマーシャルセンター内のメガネ屋さん(チェーン展開のお店)からは、「現在、コマーシャルセンター内の店舗は営業できませんが、店内には、係のものが待機しているので、営業している店舗との連携をご紹介できますので、お気軽にご相談ください」とSNSでメッセージが入っています。

 こんな風に商売熱心なのは、フランスにしたら珍しいことで、度重なる営業停止による必死さが伝わってきます。こんな思いをして、店舗を閉鎖しているのに、「バカンスには、どうぞお出かけください」とするチグハグさには、甚だおさまりのつかない気分です。

 昨夜、マクロン大統領は、テレビのインタビューで、夏の終わりまでには、希望者全員にワクチン接種が終了することを約束し、「現在の対応については、毎日、感染者数、病床占拠率(特に集中治療室)、感染率、変異種の拡大推移等を毎日分析して、その時に最も適した対応をしているので、現在の措置に関しては、自信を持っている」と語りました。

 その、あまりに自信満々の様子に私は、呆気に取られた気分で、この自信満々でいられるところも一種の才能だと妙な感心をしてしまいました。

 しかしながら、心配されるイギリス変異種は、1月1週目には、感染者の7%程度だったものが、現在は、20%にまで上昇しています。

 ウィルスが活発になる気候も合間って、このままの感染状況が続けば、一歩でも間違えば、昨年の感染爆発と同じタイミングで2月末から3月にかけて、再び同じ時期に同じことが起こります。今やウィルスが気候の影響を大きく受けているということは、明白ではありますが、しかし、同じことを再び繰り返すのは、あまりに愚かしい気がするのです。


<関連>

「フランス人の金銭感覚 フランス人は、何にお金を使うのか?」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/10/blog-post_62.html

「バカンスを何よりも優先するフランス人 フランスに Go Toキャンペーンはいらない」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/07/blog-post_12.html

「コロナウィルスの感染は、明らかに気温が影響している ドイツの食肉処理工場で1500人感染」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/1500.html

2021年2月2日火曜日

フランスの文化チャンネル カルチャーボックス Culturebox


Raphäl Yem et Daphné Bürk (France  Télévisions)


 フランステレビジョン(国営)は、2月1日から、文化チャンネル・カルチャーボックス(Culturebox)を開設し、コロナウィルス感染対策で文化施設が閉鎖されているため活動ができない状態のアーティストと一般の人々とのつながりを再構築するため、500万ユーロ(約6億4千万円)の予算を投入し、一般家庭の地上波テレビ・チャンネル19で、フランスのあらゆる文化的なプログラムを無料で見ることができるサービスを開始しました。

 この無料チャンネルは、文化施設が再開されるまでの期間限定とされていますが、ひとまず、3ヶ月間は、24時間アクセス可能です。

 月曜日は、劇場でのミュージカルや演劇など、火曜日は、クラッシック、バレエ、オペラなど、オランジュ音楽祭で歌われるカンタータ「カルミナブラナ」で始まり、レンヌのオペラハウスで行われた「白い貴婦人」なども見ることができます。水曜日はコンサートです。

 このように曜日によってプログラムが組まれており、金曜の夜には、コメディの舞台、週末には、ドキュメンタリーや航空ショー、日曜日には、美術館などが見られるようになっています。

 また、来週には、学校のバカンスが控えていることもあり、バカンス期間には、「私の最初の白鳥の湖」、「ピーターと狼」、「海中の20,000のリーグ」、「勝者を愛する」などの若者向け、家族向けのプログラムも用意されています。

       


 驚くべきは、このチャンネル開設の動きのスピードの速さで、これは、1月12日、ヴァイオリニストのルノー・カピュソンがツイッターでフランスの文化のためのチャンネルを作ることを呼びかけたことから、始まっています。この呼びかけが、崩壊の危機に瀕している文化部門のための公共サービス側の強い連帯を構築し、一気に実現化しました。

 また、これに対する文化省の動きも早く、この呼びかけからまもなく、フランステレビジョンの仕様を変更する法令を採択し、新しいチャンネルが放送できるようになりました。

 このチャンネルは、現在、活動の場所を奪われているアートとエンターテイメントの世界が健在であることを強調することを目的として始まったことではありますが、日頃、行きたいと思いつつ、行こうと思えばいつでも行けるにも関わらず、バレエやオペラ、コンサートなどには、滅多に足を運ばない私などには、家にいながら、無料で舞台芸術を見ることができる思わぬ僥倖です。

 もちろん、劇場で見るような臨場感は味わえないものの、フランスの芸術に触れることができるチャンスです。

 また、国がかりで、これらのフランスの芸術、文化を守ろうとしているところが、いかにもフランスらしいところで、嬉しくもあり、頼もしくもあります。

 この外出もままならぬ時期の思わぬサービス、家で楽しめることが増えて、感染回避の一端をになってくれることになるとさらに嬉しいです。

 この時期にテレビで触れた舞台芸術に、いつの日か、直に触れられる日には、今までには、いなかった層の人々が劇場に足を運んでくれるようになることを期待しています。

 私も自由な日常が戻ったら、ちょっとおしゃれをして、劇場に足を運びたいです。

 日本の素晴らしい芸術や文化も国は守ってくれているのかな? とふと思います。

 日本の芸術や文化は世界に誇れるものです。


<関連>

「ことごとくフランス人の習慣が裏目に出ているコロナウィルスの感染拡大」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/08/7000.html







 

 





2021年2月1日月曜日

コロナ禍で、日本では可能でもフランスでは不可能なこと フランス人に黙食はあり得ない

  


 3月からのパンデミックで、フランスで、一番、営業停止期間が長く、割りを食っている業種の一つは、レストラン業界です。3月から5月にかけてのロックダウン期間はもちろんのこと、ロックダウンが解除されても、レストランの営業は、すぐには許可されませんでした。

 夏の間の数ヶ月は、営業できたものの、秋からはまた営業停止、昨年以来、営業できたのは、ほんの数ヶ月のみ、今後の営業再開の見込みも全く立っていない状態です。

 本当にどうやって、乗り切っているのか、姿を消してしまう店舗もチラホラ目立ち始め、残念で、心が痛みます。

 食事の際には、マスクを外さなければならないことから、一番、感染の危険性が高いとされ、食事の際にどれだけ飛沫が飛んでいるのかという検証をしているNHKの映像が、一時、フランスのテレビでも頻繁に流されていました。

 先日、フランスのテレビ番組のインタビューに答えて、パリのレストランのオーナーが長きに渡って営業できない現状を訴え、「自分たちも衛生管理に気を配り、営業することは充分に可能だ!」「日本なんて、ずっとレストランも営業を続けている!」と言っているのを聞いて、「日本を引き合いに出すとは・・と、ちょっとな〜〜」と思ったのです。

 それは、フランス人にとっての外食というものが、日本とは、全く違うものであるからです。フランス人にとって、外食するということは、食事そのものよりも、人と会うことであり、人と喋ることであるからです。

 日本では、「黙食」を呼びかけるレストランが登場して、この呼びかけが広がりつつあるというニュースを見ましたが、フランスで、「黙食」は、あり得ません。レストランで黙って食事をしているフランス人などは、滅多に見かけることはありませんし、むしろ、「本当によく喋る人たちだな〜」と思うことの方が多いです。

 食事中の彼らの会話の様子は、まさに最も危険とされる「口角泡を飛ばして」喋る印象があります。日頃から、身振り手振りのジェスチャーを加えながら、大袈裟に喋るフランス人は、仲の良い友人同士の食事中などは、特に勢いよく喋っています。

 科学的な根拠はわかりませんが、なんだか、日本語の発音というのは、フランス語に比べて、飛沫が飛びにくい言語であるような気もしています。

 フランスでは、感染対策とはいえ、もしもレストランが営業しても、「黙食」を呼びかけるレストランもないでしょうし、それをお客さんが受け入れるとも思えません。たとえ、お店側がどんなに衛生管理に気を配っても、座席の間隔をあけるとか、アルコールジェルを設置するとか、その程度のことで、お客さんに「喋るな!」とは、言えないだろうし、言わないと思います。

 これがフランスの日常生活の文化であり、習慣であると言えばそれまでなのですが、フランスでは、「黙食」が受け入れられる文化ではないのです。

 「日本ではレストランもずっと営業している!」と訴えていたパリのレストランのオーナーは、日本のレストランの「黙食」の話を聞いたら、どんな反応をするのか? 逆に聞いてみたい気がします。

 しかしながら、あれほどフランス人が忌み嫌っていたマスクをする習慣ができただけでも、フランスでは、一年前までには、考えられなかった日常の変化です。それでも、最近ようやくマスクをするようになったフランス人には、くしゃみをする時にマスクをずらしたり、大声で叫びたい時にはマスクを外したり、意味不明の行動が目につきます。

 無意識にやっていることなのでしょうが、日常の生活習慣、ことに細かな衛生に関わる習慣というものは一朝一夕には、培えるものではなく、つくづくフランス人の日常の生活習慣というものは、悉く、何から何まで、ウィルス感染に最適なものなんだなぁ〜と、思うのです。


<関連>

「コロナウィルス対応 日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、衛生観念はやっぱり凄いなと思う」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_28.html