私のフランスの滞在許可証は、10年ごとに更新するもので、昨年のロックダウン中にその更新手続きの時期が重なってしまったことが、そもそもの不運の始まりでした。
いつもなら、滞在許可証の期限が切れる数ヶ月前に、更新のための必要書類と、この日に書類を提出しに来てくださいという通知が届くのですが、今回は、それが届きませんでした。
何回か電話しましたが、「サイトを見てください!」とだけ言われて、電話は切られ、仕方なくメールで問い合わせると、しばらくして、「今は、手続きが滞っているから、そのうちレターが届くまで、そのままで良いです」との回答。
なんとも落ち着かない状態が続いていましたが、それから一週間くらいして、更新手続きの呼び出し状が届きました。
3月から5月にかけての最初のロックダウンでは、ほぼ、全ての人が外出できなかったし、お役所も閉まっていたので、その間の手続き分が滞っているので、仕方なかったとも思いますが、指定された日時に出向くと、もの凄い人。
日時が決められているのになぜこの状況? しかも、いつものことながら、すこぶる感じが悪いのです。まるで、犯罪者を追いやるような人の整理の仕方にウンザリでした。
しかし、長時間を要したものの、その日は、書類を提出し、「新しいカードができたら、SNSで連絡します。」と言われて、とりあえずの仮のカードをもらいました。
その仮のカードの期間が6ヶ月間と異様に長かった時に、嫌な予感はしましたが、まあ、さぞかし、手続きをする人が溜まっているのだろう・・さすがに6ヶ月もあれば、大丈夫だろう・・くらいに思っていたのが甘かったのです。
私の仮のカードの期限は今年の1月5日までで、なかなか連絡が来ないと思ってはいましたが、この間には、再び、2回目のロックダウンまで挟まったので、また遅れているのだろうと思っていました。
しかし、この仮のカードの期限の1ヶ月前になっても連絡が来ない状態に、さすがに、私は、焦り始めました。12月は、クリスマス、年末年始と、ただでさえ働かないお役所は、ますます働かなくなり、機能が著しく低下するからです。
それからは、何回電話しても、「サイトでアクセスしてください!」と言われて、ガチャンと切られ、何回メールを送っても、何の返答もありません。
これはどうにもならない!と、役所宛に書留で手紙を送りましたが、それでも返事はないままに、とうとう年を越してしまい、ついに期限が切れてしまいました。
今回は、仮のカードの期限が多少切れても大丈夫・・などという確認も取れない状態で、電話もダメ、メールもダメ、手紙もダメで、全く、アクセス不能です。
直接、出向いても、予約以外は受け付けないと言われることは承知していましたが、周囲の人に相談しても、「とにかく、直接、行ってみるしかないよ!」と言われて、入れてもらえなかった時は、せめて、渡して来ようと、一度、提出した書類を再び全て、揃えて、手紙も添えた一揃えを持って役所にも再び出向きましたが、役所前には、警官が立ちはだかり、どうしても入れてもらえません。
警備の警官の方も自分の言われた「予約のない人を入れない」という仕事をしているだけなので、彼らには、それ以外の人を通す権限もありません。
せめて、受付に用意した手紙と書類を置いてこようと、受付だけにでも行かせて欲しいと頼んでも、受付さえも、コロナ対策のために閉鎖されているとのこと。持って行った書類を渡してくることさえできませんでした。
このままでは、私は、不法滞在者です。
絶望的な気持ちで私は、家に帰り、フランス人に相談すると、この種のトラブルの相談に乗ってくれる機関に問い合わせてくれました。
その機関は、すぐにメールに返信をしてくれて、すぐに弁護士を紹介してくれました。こうなったら、法に訴えるしかないということです。彼女もフランス人だけあって、「満足に働かない役所の人のために、絶対に引き下がってはいけない!諦めちゃいけない!」と落ち込んでいる私を励ましてくれました。
彼女は、他の色々なケースも調べ上げ、滞在許可証の申請、更新手続きに関して、多くのトラブルが起こっていること、そのためのデモまで起こっていることを教えてくれました。
しかし、どれだけ多くのトラブルが起こっていようと、それが許容できるものでも、安心できることでもありません。
年末年始にかけて、いくらこちらが問い合わせても、アクセス不能の状態に、私は、不安が募り、「こんな思いをするくらいなら、もう日本に帰ろうか? いや、滞在許可証がないならば、帰るしかないのではないか?」などと鬱々と夜もよく眠れない日々でした。
そして、弁護士に送る書類も手紙も全て揃えて、明日には送る・・と思っていた時に、まるで、何事もなかったように、役所から、「あなたの滞在許可証は、すでにできています。このナンバーでサイトで予約をとって、225ユーロの収入印紙とこれまでの滞在許可証、仮のカードを持って、取りに来てください」とメールが入りました。
全く、何というタイミングなのだろうか? このタイミングで、12月に私が送った手紙を彼らがようやく目にしたということなのでしょうか? 朗報ではありましたが、どうにも狐につままれたような、俄には信じがたい気持ちでした。
そして、昨日、滞在許可証の受け取りに行くと、あいも変わらず、役所の前には、凄い行列、予約は、人が溜まる前の朝一番に入れたのに、長い行列に怒声を浴びせる警官。
もうここ一ヶ月のことで、疑心暗鬼になっていた私は、カードを受け取って、しっかり内容を確認するまでは、安心できないと緊張していました。
しかし、中に入ると、さすがに朝一のこと、大して待たされることなく、あっさりカードを受け取りました。記載されている内容に誤りがあったら、この場ですぐに言わなければ・・と思っていた私は、カードの内容もその場でチェックしてまたビックリ!特別に申請したわけでもないのに、カードは、CARTE RESIDENT PERMANENT(永住)になっていました。
別に文句をつけることでもないので、そのまま受け取りましたが、この永住になった経緯はよくわかりません。調べてみると、10年の滞在許可証を2回以上更新した場合は申請可能だとなっているのですが、特にそのための申請をしなくても自動的に変更されることは知りませんでした。
とはいえ、10年後の書き換えがないわけではなく、これは、フランス人のIDの書き換えも15年に一度はしなくてはならないので、同じと言えば、同じです。
私が何度となく送ったメールにも、手紙にも、結局のところ、返事はないままに、突然の「カードができてます」のメールでおしまい。ここ数ヶ月のゴタゴタは、何だか責任の所在がわからないままに、まるで何もなかったように消えていきます。
結局のところ、カードの更新は済んだので、良いと言えば良いのですが、役所の不備が全くなかったことのようになってしまうこの状態。
問題が表面化しないのですから、改善されることは、なさそうです。
<関連>「やっぱりウンザリする10年に一度の滞在許可証の更新」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/07/blog-post_7.html