2020年12月5日土曜日

ブラックフライデーと娘の携帯

  

ブラックフライデーでも20%off 今さらながら赤いテープが痛々しい


 娘の携帯電話が危うくなり出して、ヤバい状態が続いていました。前回、帰省した際にも時々、調子が悪くなり、時々、急に画面が消えたりすると言っていました。彼女は、どうにもアクシデントの多い人で、かなり派手な自転車事故を起こして、自転車の修理に行ったら、よくかすり傷で済んだと驚かれたり、忘れ物、落とし物も多く、帰省するときに家の鍵を忘れてきたり、お財布を忘れてきたり、しっかりしているかと思えば、妙に抜けているところがあるのです。

 当然、携帯も数回、失くしており、うっかり落とすこともしばしばで、つい先日も、携帯を落として画面を割って修理に出したばかりでした。画面の修理から戻ってきて、しばらくすると、今度は、本格的に電源が入らなくなった・・画面の修理をした際に接触が悪くなったのかも・・と再び、修理に出しましたが、いよいよ修理不能とのこと。

 今の彼女の世代は、何から何まで携帯で用事を済ます世代、日常生活で何がなくて困るかと言えば、携帯がないことというくらい、携帯電話に依存した生活を送っています。(まあ、今は誰でもそうかも?)現在の彼女の住まいは固定電話というものもなく、テレビもなく、学校や友達との連絡はもちろん、買い物をするのも、銀行口座の管理も映画やドラマを見るのも全て携帯です。

 ネット環境はあるため、パソコンは使えるのですが、実のところ、そのパソコンでさえ危うい状態。もしも突然、パソコンがダウンすれば、いよいよ携帯を買うことさえ容易ではありません。

 彼女は、学生でありながら、現在は、スタージュでフランスのある大手企業の研究部門で働いて稼いでいるので、携帯ぐらい、楽々、買えるはずなのですが、今のところ、貯金が趣味の彼女(普段は、携帯で自分の口座を毎日眺めながら、ニマニマしている)・・どうにも二の足を踏んでいるのです。

 それならば、「クリスマスプレゼントに買ってあげる!」と提案したところ、ご機嫌に快諾。しかし、倹約家の彼女らしく、ブラックフライデーまで待つと言うのです。娘のスゴいところは、それがたとえ、親に買ってもらうものであっても、少しでもいいものを安く買おうとすることです。私が若い頃には、親や祖父母に買ってもらえるとなったら、値段の心配などしたことはありませんでしたから・・。

 コロナウィルスのために一週間延期されていたブラックフライデー、どの程度、値段が下がるかは、疑問でしたが、彼女は絶対に安くなると言い張るので、ブラックフライデーを待っていたのです。

 私は買い物に出たついでに、同じコマーシャルセンター内のお店を少し覗いてみましたが、すでに店舗が営業開始になった時点で、半額セールなどをやっていた上に、これまでセールをやっていなかったお店も20%offなどと、堂々と掲げ、あまりインパクトはない様子。

 営業再開と同時に半額・50%offなどという表示を見てしまっては、どうにも拍子抜けです。

 それでも、ブラックフライデーまで待っていた人は結構いたと見えて、買い物袋を下げている人をけっこう見かけました。このようなコマーシャリズムに乗る人もフランスにも結構、いるものだと感心しました。

 結局のところ、娘が目をつけていた携帯は、ブラックフライデーには、値下げにはならなかったようで、観念した彼女から、カードナンバー教えて・・とメッセージが来ました。携帯電話は、一週間で届くそうで、一週間後には、彼女は溜まっているはずの彼女の口座残高をニマニマしながら眺めることでしょう。


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「フランスの休日営業とショッピング」

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2020年12月4日金曜日

2020年コロナ禍中でもシャンゼリゼのイルミネーションの美しさは圧巻 パリにいて良かったと思う瞬間

 


 パリ中心部に用事があって、ついでにノエルのデコレーションを見て帰ろうと思って、パリの中では、一番好きなヴァンドーム広場のノエルのデコレーション・イルミネーションを見に行ったら、今年は、自粛なのか、経費節減なのか、まったく、いつものような華やかさはなく、ガッカリしたので、このまま帰るのも悔しくて、せっかく近くまで来たのだからと、ちょっと足を延ばして、シャンゼリゼのイルミネーションを見て帰ることにしました。

 シャンゼリゼのイルミネーションは、すでにテレビやネットで見ていて、もう点灯しているのもわかっていたので、こちらは肩透かしを食うことはないと思ったのです。

 友人から、「今年は、シャンゼリゼなんて、誰もいないってよ!」と、聞いていたので、それならそれで、いいじゃない・・人が少ない方がいいし・・・と負けじとヴァンドーム広場からコンコルド広場を抜けて、シャンゼリゼへ歩いて行きました。


シャンゼリゼの下の通り・昔、この辺りにJALの支店がありました

 いつもは、シャンゼリゼの通りの下の方に立ち並んでいるマルシェ・ド・ノエル(クリスマス市)はなく、例年のような賑わいは全くありません。いつもなら、毎年、同じようなものが並び、取り立てて面白いとも思わないのですが、この時期に全くないとなると、それはそれで寂しいものです。

 それでも、散歩がてらなのか?ポツポツと歩いている人はいました。

 自慢じゃないけど、シャンゼリゼには、普段、用もなく、ほとんど行くことはありませんが、クリスマスのイルミネーションが点灯している間は、ちょっと近くまで行けば、足を伸ばしてノエル気分を味わいに行きます。だから、シャンゼリゼに行くのは、一年に一度くらいのものです。

 しかし、シャンゼリゼのイルミネーションは毎年、色もデザインも変わるので、今年は、どんなかな? と見てみたくなるのです。




 人が少ないと同じ場所を歩いていても、なんだか距離感が崩れます。なんだか、いつもは、長く感じられる距離がけっこう、すいすい歩けてしまいます。

 今年のシャンゼリゼは、飲食店がテイクアウトを除いて一切、開いていないこともあり、また観光客もいないこともあって、ノエルのイルミネーションが点灯されているというのに、人の少なさはきっと記録的、逆に考えれば、ゆったりと楽しむことができます。

 同じようなことを考えているのか、シャンゼリゼに来ている人は、悠々と写真を撮ったりして、結構、楽しんでいます。


 


 お店もゆったりと眺めることができます。デモでめちゃくちゃにされたロンシャンのお店がすっかりきれいになっていたり、ノエル仕様なのか、シックな店構えに変わっているH&M、まるでLIDOか?と思われるような店構えになっているSEPHORA(化粧品店)、相変わらず商売っ気満々のピエールエルメなどなど、買い物はしなくても、結構、人の少ないならではのシャンゼリゼを楽しんで来ました。




いつもより目立たない気がするルイヴィトン


 シャンゼリゼは17時に点灯されます。まだ、日が暮れかからない薄暗い中に少しずつライトが灯っていく様子は、ちょっと感動的です。フランスでの生活は、頭に来ることも多くて、スムーズにことが運ばないことも多くてストレスも多いのですが、この美しい街並みに接すると、パリにいて良かったな・・と思う瞬間でもあります。

 コロナならではのこんなに空いているシャンゼリゼ、来年には、去年は空いてて良かった・・と思えるようになっていたらなぁ・・とやっぱり思うのです。




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「シャンゼリゼで起きていたマカロン戦争」

2020年12月3日木曜日

パリは観光地だったんだ・・ お店は開いてもお客はいない

 

お店は開いているものの、ガランとしたヴァンドーム広場の店舗


 寒くなってきて、お天気も今ひとつだけど、パリの中心部に用事があったので、週末から来週にかけては、さらに天気が悪い模様・・やっぱり、今日、行くしかないな・・ノエルのデコレーションもちょっと楽しみだし、たまには、パリの街を歩こうと出かけてきました。

 ところが、もはや12月に入って、準備が遅れている?というわけでもなかろうに、どうにも今年のパリのデコレーションは控えめです。

 いつも通る、ノエルでなくても、きれいにデコレーションされているようなところでさえ、さっぱりなのには、少々ガッカリ・・今年は、自粛ムード?それとも、経費節減なのでしょうか? 

 ガッカリしてから、自分が、実は、デコレーションを結構、楽しみにしていたことに気がつきました。

 用事を済ませて、ノエルのデコレーションなら、ヴァンドーム広場のデコレーションが洗練されていて、毎年、きれいだから、ヴァンドーム広場を通ってみようとオペラ通りから、ルー・ド・ラペを通って、ヴァンドーム広場へ歩いて行きました。

 オペラ通りは、ずーっと前から、通りの商店街?の店舗のオーナーの集まりの方針で(要はケチ)、オペラ通りとして統一されたノエルのデコレーションはなく、有名な通りながら、ノエルは比較的、地味なのですが、それにも増して、このコロナの経済危機の煽りを受けてか、潰れてしまっているお店もチラホラ・・実際に、「閉店のお知らせ・長い間、ありがとうございました・・」などの張り紙がしてあるのを見ると、ずっしりとこのコロナの経済危機を目の当たりにさせられます。

 オペラ通りから、ヴァンドーム広場に抜ける道すがらは、高級な店舗が多く、きれいにショーウィンドウを飾っているので、飾られている洋服などを眺めながら、久しぶりにウィンドーショッピングを楽しみました。

 お店で買い物はしなくても、贅沢な雰囲気の空間に浸るだけでも心地よいのです。おしゃれな人も多く、お店だけでなく、通りを歩く人を見ているだけでも楽しいのです。パリは街の景観を大切にしている街ですが、街の景観を壊すような身なりの人もこの界隈には見当たりません。

        

なにげに写真を撮っても、景色を邪魔する人はいない


 歩きながら、ふと、お店は開いているものの、(飲食店は開いていませんが・・)お客さんがあまりいないことに気がつきました。まあ、平日の昼間だし、そんなに買い物する人もいないか?・・と一瞬、思いかけて、いやいや、いつもは、平日の昼間だろうと何だろうとお客さんはいたな・・と、日常の通りの様子を思い出したのです。

 考えてみれば、そのあたりの高級な店舗のお客さんの多くは、観光客だったのです。それでも、今は、ノエル前でケチなフランス人がバカンスの次に散財する季節です。なので、お客さんが皆無とは言えませんが、高級店舗になればなるほど、お客さんは、観光客なのです。

 「そうだ!パリは観光地だったんだ・・」そんな妙なことを思いながら、ヴァンドーム広場へ着くと、それぞれのお店の前には、統一されたクリスマスツリーが並んでいるものの、いつものようなキラキラした広場全体を包むデコレーションはありません。

 ヴァンドーム広場は広くゆったりとしているので、日頃から、人がいっぱいになることはありませんが、宝飾品をはじめとする、パリでもより抜きの超高級店舗、ショパール、カルティエ、シャネル、ディオール、ルイ・ヴィトンなど、高級ブランド店ばかりのこの場所は、お客さんが少ないどころか、店舗の中にいるのは、退屈そうな店員のみ・・。

 これでは、ノエルのデコレーションどころではありません。

 この近辺は、高級なホテルも沢山ある地域ですが、ホテルも軒並みほぼ休業状態、この機を利用して改装中のところもチラホラ・・。

 夏の数ヶ月を除いては、今年は、ほぼほぼ観光客のいないパリ、こんな状態がいつまでも続けられるはずはありません。

 パリに観光客がいないという厳しい現実をあらためて思い知った久しぶりのパリ散歩でした。


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「ロックダウン緩和でようやく営業許可が下りた店舗」

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2020年12月2日水曜日

スキー場オープンか否かで統一が取れないヨーロッパ フランスがダメならフランス人は隣国へスキーに行く

 


 ノエルと年越しをどうやら家族で祝えることになったフランスは、今度は、スキーがOKになるかどうかが騒ぎになっています。

 隣国のスイスやオーストリア、イタリアなどでは、制限付きでスキー場がオープンになることになったことから、フランスもスキー場を開けろ!と騒いでいるのです。

 スキー場側からしたら、スキーシーズンは限られているため、このシーズンに開けられないのは、大打撃になるのです。

 たしか、前回のカステックス首相の発表では、スキー場は開けてもいいが、リフトはダメという話だったと思いますが、リフトがなければ、事実上、閉鎖と大して変わらない状態です。

 スキー自体は、屋外のスポーツであるし、許可されても良さそうなものですが、リフトの混雑状態やスキーによって、人が集まる状態を危惧しているのです。そして、スキーに行くということは、アフタースキーの空間もあるのです。

 地続きのヨーロッパの中でも、スキー場に関しては、統一が取れていませんが、中でもドイツは、一番毅然とした態度で、スキー場の閉鎖を宣言し、また、ヨーロッパ全体にもスキー場は、閉鎖して欲しいと呼びかけています。

 フランスは現在のところ、ドイツに準ずる姿勢をとっていますが、スイス(ヨーロッパではないけど)やオーストリアなどは、「クリスマスには、リゾートでスキーも食事も楽しむ」と真逆の方向に進んでいます。

 いくら、フランスのスキー場が閉鎖になっても、そんなことで諦めるフランス人ではありません。

 第1回目のロックダウン中の4月のイースターの休暇の時期、気候がよくなってきたこともあり、フランス人は、ロックダウン中にも関わらず、国境を超えて、スペインのリゾート地などへ出かける人が後を経ちませんでした。

 あの頃は国境も閉鎖されていて、イースターの休暇の時期は、警戒体制も厳重に張られていた中、強行に国境を突破したり、中には、プライベートジェットまで使ってバカンスに出かける人まで現れました。

 フランスでスキーができなければ、近隣のスキー場がオープンしている国へ人が流れることは必須です。今回は、ロックダウン状態でもなく、おそらく、12月15日以降は、長距離移動も許可されます。

 国外であろうと、地続きの隣国へは、国境の通過もハードルが低いのです。

 マクロン大統領は、このノエルのバカンス時期に海外でスキーをしたいフランス人を思いとどまらせようと、バカンス突入前に、「制限的かつ説得力のある措置」を取ることを発表しています。

 レストランにしても、スキー場にしても、オーナー側がいくら衛生措置を整えても、お客側が衛生環境を尊重しきれない、感染を防ぎきれない場所でもあります。ましてやスキー場、ウィルスの大好きな気温の低い場所でもあり、感染の危険は高いのです。

 第2回目のロックダウン以来、感染状況は、減少してきていますが、ロックダウンが解除になり、ノエルのバカンスで皆が移動を始め、家族でノエルや年末年始を祝います。そのうえ、スキーにまで出かける人が出ては、無事に済むはずはありません。

 フランスのロックダウンの段階的な解除のカレンダーによると1月20日頃には、レストラン営業開始(感染状態が抑えられていた場合)とされていますが、年末年始が終わって、約2週間後、フランスのコロナウィルス感染は、再び増加状態にあると、私は思っています。

 

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「バカンス好きにもほどがある!フランス人の国をまたぐコロナウィルス外出禁止違反」

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2020年12月1日火曜日

グローバルセキュリティ法・全面書き直しとブラックブロック


 



 フランスで2週間に渡って行われていたグローバルセキュリティ法反対のデモは、それを前後して発覚した警察官による暴力事件により、フランス全土での大規模なデモに発展し、特にパリでは、夕刻にはデモが暴徒化し、大騒動になりました。

 翌日のレピュブリックから、バスティーユにかけての界隈は、騒動により、店舗やキオスクが壊されたり、信号が壊されたり、キャッシュディスペンサーが壊されたり、挙げ句の果てには、フランス銀行まで燃やされ、本来ならば、ノエルのデコレーションでキラキラしているはずの街が廃墟のようになってしまった様子は、悲しいばかりです。

 13万人超えの人々が抗議をしたグローバルセキュリティ法に関しては、警察官による暴力事件による警察への反発もあいまって、簡単なことではおさまりそうもない気配で、このデモは当分、続くだろうとウンザリとしていました。

 ところが、そんな国民の気配を感じてか、昨日、国会のLREM会長(la République en marche・前内務大臣)クリストフ・カスタナーより、「グローバルセキュリティ法・第24条を全面的に書き変える」ことが発表されました。どのように書き変えるかは、また次の問題ですが、とりあえず、法令の施行には、ストップがかかったのです。

 デモという世論が政治を動かしたわけです。

 今回、物議を醸したグローバルセキュリティ法・第24条は、警察官を守るための法律であり、彼らの顔を撮影することを禁じ、それを公開した場合に対して罰則を与えるというものでしたが、撮影自体を禁止したものではなく、公開する場合などには、顔をボカすなどの必要があるという内容なのですが、それを全面的に撮影禁止と受け取ったり、また、映像の加工等の必要から、映像の公開へのハードルが上がり、表現の自由を損なうものであるという反対意見や警察の暴力を抑えるためには、あくまでも映像の公開が必要だという意見などがあります。

 たしかに、先日のような暴力事件があれば、暴力を振るうのが、一般市民であろうと、警察であろうと、気軽に誰もが携帯などで撮影できるようになったことは、後の証拠として残されることから、とても心強いことでもあります。

 ましてや、今回の警察官の事件のように、偽りの報告書で済まされようとしていたことを考えれば、撮影は不可欠とも考えられます。

 しかし、今回のデモを暴徒化させ、騒動を大きくしたのは、ブラックブロックと呼ばれる黒づくめの服で覆面をした暴力集団です。

 今回のデモにも100名前後のブラックブロックが出現しました。彼らは、デモなどの騒ぎに乗じて、破壊行動を起こし、壊した店舗から金品を強奪したり、警察を攻撃したり、破壊行動そのものを目的とするブラック集団です。

 今回のグローバルセキュリティ法の書き変えが、彼ら(ブラックブロック)の行動を正当化するものとなってはなりません。

 グローバルセキュリティ法が国民に受け入れられるように、わかりやすく書き変えられることは必要ですが、彼らの暴力行為が国民の求める結果を勝ち取ったようになってしまわないように彼らの暴力も厳しく追求しなければなりません。

 フランスは、警察の暴力もブラックブロックの暴力も同時に断固として制圧する道を探さなければなりません。

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「騒ぎに乗じて暴れるフランスの暴力集団の存在 ブラックブロック」

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「パリ・アンヴァリッドでの介護者のデモ・1万8千人を震撼させた暴力・ウルトラジョンヌとブラックブロック」

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2020年11月30日月曜日

ロックダウン緩和でようやく営業許可が下りた店舗

   


 フランスのコロナウィルス感染もロックダウンのおかげで減少傾向にあり、当初の予定よりも一週間近く早く、一般の小売店(生活必需品以外の店舗)もようやく営業許可が下り、土曜日から、一ヶ月近く閉まっていたお店が一斉に開店しました。

 特に欲しいものもなかったのですが、散歩がてら、久々にお店を覗いてみようと、近所のショッピングセンターに行ってみました。土曜日ということもあり、これまで買い物できなかった人がさぞかし、押し寄せているだろうと思っていたのです。

 ショッピングセンターの中は、ノエルのデコレーションがキラキラで、今まで暗く閉ざされていた店舗に明るく電気が灯っているだけで、なんだかちょっと心にも火が灯るような、そんな妙にじ〜んとした感慨がありました。

 あたりまえだった日常が戻ってきた静かな喜びです。

 ところが、いざお店をのぞいてみると、人出は大したことはなく、お店によっては、ガラガラのお店もあって、なんだか拍子抜けした気分でした。

 とにかく、お店に入ってみようと、まずは、子供服のお店に入ってみました。店舗内に足を踏み入れると、すかさず、店員さんが、「全商品50%offです!」と声をかけてきました。例年は、ノエル前の今の時期は、ほぼほぼ値引きはなく、ソルド(バーゲン)が始まるのは、年明けからです。  

営業開始とともに全品半額の子供服のお店


 今年は、一ヶ月のブランクを取り戻すために、そんなことも言っていられないのでしょう。それにしても、今から全品半額とは・・こちらとしては、嬉しい驚きですが、お店の必死さがヒシヒシと伝わってきます。

 この店舗は、フランスでおそらく一番ポピュラーな子供服のチェーン店です。

(Du Pareil au même )デュパレイユ・オ・メム

 お値段も比較的お手頃なわりには、品物も悪くないので有名な子供服のお店です。そんな大手の店舗でさえも、ノエル前から一斉に半額とは・・しかも、半額にしているからといって、お客さんが詰めかけているわけでもありません。

 他のお店はどんなかな?と思って、洋服屋さん数点に入ってみました。コマーシャルセンター内に入っている店舗ですから、ほぼ大手のチェーン店ばかりです。大幅な値引きをしているお店が多いのですが、どこも今ひとつ振わない感じ・・というよりも、お店によっては、商品が充分に置かれていなかったりして、やる気あるの??という感じです。





 これが、個人の商店であるならば、必死にもなっているのでしょうが、大手のチェーン店、おそらく、上の指示で割引にはしているものの、これまで閉店していたために商品の搬入が間に合わないのか? 勝手なことができないのか? いかにもフランスのダメな感じが、こんな危機状態にも表れているのです。

 かろうじて、人も商品も満載だったのは、マリオノ(Marionnaud)(化粧品・香水を扱う店舗)で、クリスマス前に登場するコフレ(詰め合わせセット)が山積みになり、お客さんもひっきりなしに訪れていました。

 さすがに香りの国・フランス、ノエルのプレゼントに香水・・という人は多いのです。

  

クリスマス前には必ず登場する香水の詰め合わせセット

 これから、12月にかけて、クリスマス商戦が始まるわけですが、どうやら、やはり、例年とは違う店舗の様子に私は、少なからずショック・・次回は、もう少しノエルらしい雰囲気を味わいにパリの街中を歩いてみようと思います。


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「香水を楽しむフランス人」

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「フランスのロックダウン緩和へのステップ マクロン大統領の会見」

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2020年11月29日日曜日

フランス全土で13万3千人超のデモで大荒れ パリ・フランス銀行まで燃やされる大惨事

                                                                          

  Des locaux de la Banque de France, situés près de la place de la Bastille à Paris, ont été incendiés par des manifestants en fin d'après-midi. 


 土曜日に、グローバルセキュリティ法に反対するデモが行われることは、予めデモの主催者から届け出が出ており、当初、レピュブリック広場からバスティーユ広場に向かうデモ行進が申請されていましたが、パリ警視庁の許可が下りなかったため、レピュブリック広場飲みの集会に限定されていました。

 ところが、結果的には、デモは、強行され、バスティーユ広場で大騒動になりました。

 先日の警察官による暴力事件がグローバルセキュリティ法に対する国民の反発をさらに大きくし、内務省の発表によると、デモはパリだけではなく、ストラスブール、レンヌ、リヨン、ボルドー、マルセイユなど、フランス全土で133,000人の参加者だったと伝えられています。(デモの主催者側の発表によると50万人)

 このコロナ禍中、この人出だけでも驚異的なことですが、デモの一部に、ブラックブロックと言われるデモなどに紛れて破壊行動を繰り返す集団が、暴れ始め、街頭に駐車してあった車を壊して、燃やし、トラックをひっくり返し、キオスクやブラッスリーなども燃やされ、消防車がひっきりなしに出動していました。

 警察とデモ隊の間には、バリケードが張られ、物々しい戦闘態勢、手榴弾や催涙ガスに放水での攻撃と、日が落ちていく夕刻には、パリは荒々しい光景に包まれました。

  


 極めつけは、バスティーユにあるフランス銀行(Banque de France/フランス中央銀行)が放火され、銀行の前には、警察官の暴力反対の垂れ幕を掲げた人々が、炎に包まれた銀行を背景に雄叫びをあげる恐ろしい光景が繰り広げられていました。

 そもそも、グローバルセキュリティ法に正当に?抗議する人々によって行われていたデモです。この際、コロナウィルス感染のことは、別問題として、政府に抗議することは、時には必要なことでもあると思いますが、その正当な抗議活動を冒涜するかのような、このような暴力的な破壊行動は、決して許されることではありません。

 このデモが行われた土曜日は、約1ヶ月のロックダウンにより営業停止になっていた小売店にようやく営業許可が下りて、営業が再開になった初日でした。この騒動では、少なくともバスティーユ界隈の小売店は、営業などとんでもない状態であったことは言うまでもありません。

 日頃から、血の気が多いと感じることも多いフランス人が、さらに、ロックダウンによりストレス満載状態の国民は、デモで感情を爆発させる度合いも高まっているような気がします。

 このタイミング(コロナ禍中)での、グローバルセキュリティ法の採択、そして、火に油を注ぐような警察官の暴力事件の発覚。

 マクロン大統領も、警察官の暴力事件に対しては、声明を発表してはいますが、いかにも、ごもっとも・・と言えるような、優等生的な内容で、そんな言葉では、国民には響きません。

 少なくとも、事件を起こした警察官に対しては、早急な処分ときっぱりとわかりやすい対応が求められていると思います。

 これからロックダウンを緩めていこうとするフランスは、このような事件も、早急に解決していかなければなりません。

 フランスは、荒れています。

 ようやく下がってきたコロナウィルスの感染状況もロックダウンの緩和とデモや破壊行動でダブルパンチで、再び感染を拡大させてしまう危険を孕んでいます。


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「パリ・アンヴァリッドでの介護者のデモ・1万8千人を震撼させた暴力・ウルトラジョンヌとブラックブロック」

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「防犯カメラで警察官の暴力が暴露されるフランス」

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