フランスといえば、デモ・ストライキ、と、すぐに連想されるくらい、フランスは、デモやストライキが多い国です。さすがにロックダウン中は、デモもストライキもありませんでした。
ロックダウンが解除されて、晴天にも恵まれて、街に人が出始め、場所を見つけては、集まり、ピクニックを始めたり、ビーチにも、解き放たれた空間を楽しむ人があふれ始めていますが、解き放たれたのは、平和に?友人や家族との時間を過ごす人ばかりではありません。
ロックダウン解除が解除になり、日常生活を取り戻しつつあるということは、フランスに、デモやストライキが戻ってくるということでもあります。
ロックダウン解除後、最初の週末から、さっそく黄色いベスト運動のデモが各地で起こり、その他、昨日は、数百人の抗議者がパリの公立病院を守るためのデモが行われました。
また、アルジャントゥイユ(パリの北西10kmに位置するイル・ド・フランスにある街)では、4夜連続で、バイクの事故で亡くなった青年の死(警察の取り締まりの際の事故)に抗議する人が集まり、夜中に、警察官270人が動員される騒ぎとなり、18本の火炎瓶が見つかったことから、4人が逮捕されました。
そして、グランエスト(フランス北東部)のミュールーズでは、無許可の車両を使用したヘルメットを着用していない自転車に乗った17歳の少年が、過大な速度で追いかけた警察から逃げようとして、別の車に衝突する事故を起こし、彼は軽度の頭部外傷で病院に運ばれましたが、数時間後、近隣に約50人が集まり、道路をバリケードし、監視カメラが破壊され、警察署の隣でゴミが焼け落ちる騒動が起きています。
ロックダウン解除になったことから、夜中までも、街には人が出て、それをいつも以上に警戒する警察の追跡から、交通事故が起こり、その事故に対する抗議のデモが起こる。
コロナウィルスの蔓延がおさまらない状況下では、最悪の悪循環です。
フランス人にとって、デモは、日本に比べると、ずっと身近なもので、日常生活の一部のようなものです。ともすると、フランス人は、デモなどの抗議行動をすることに誇りを持っている感さえあります。約2ヶ月間、外出もできず、不満は溜まる一方で、抗議活動もできなかったフランス人にとって、日常が戻ってきたということは、抗議活動=デモやストライキが再開するということでもあるのです。この状況下にも関わらずです。
先週末の黄色いベストのデモの一部は、デモ禁止に抗議するデモという妙な構図。実際に、デモを禁止することはできませんが、10名以上の集まりが禁止ということで、デモもいつも以上に警戒されています。
普通の日常的な社会生活も、経済の疲弊から、コロナウィルスと共存しながら、経済を再開させる道を模索しているところですが、フランスでは、デモでさえも、一部の過激な暴動に発展するようなデモは、別として、デモに参加する人もマスク着用、ソーシャルディスタンスを取りながらのデモになり、コロナウィルスとの共存の道を取っていくのかもしれません。
しかし、今のところ、フランス各地で起こっているデモはまだ、その道に辿り着くには、遥か遠いところにあり、もともと、デモといえば、何かに抗議する怒りから発しているもので、ついついヒートアップする性質のもの、しかも、これまでの監禁生活での鬱憤も蓄積されているため、はっきり言って、荒れています。
<関連>「ストライキ大国・フランス」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/10/blog-post_46.html