7月14日の革命記念日・パリ祭のセレモニーの後、テレビのインタビューに答えたマクロン大統領は、8月1日から「すべての閉鎖された公共の場所でマスクを必須にする」と発表しました。
「なんで、8月1日なんだよ!明日からでも、さっさとしろ!」と思ったのは、私だけではなかったようで、来週の月曜日から、屋内での公共の場においてのマスクが義務化されることになりました。(コマーシャルセンター、店舗内、映画館、ジムなど・・)
マスクに不慣れな国フランスは、マスクへの抵抗は根強く、コロナウィルスの流行が広まり始めた頃も、マスクをしているアジア人をコロナウィルス扱いして差別したり、ロックダウンになってからも、普通の日常生活を送る分には、マスクは必要ないとか、(そもそもマスクのストックが圧倒的に足りなくて、)医療従事者でなければ、マスクはいらないなどということを政府が発表していたくらいです。
それでも、流行がピークに達していた頃は、医療従事者以外はマスクを買うことができなくて、(幸いにも、なぜか、家には、マスクがあったので、買い物の際はマスクをして出かけられたので、助かりましたが・・)その頃は、やはり、さすがのフランス人もマスクなしでは怖いのか、飛行機で配っているアイマスクをマスクがわりにしている人もいたくらいでした。
我が家に送られてきた紺色のマスク😷 |
それが、ロックダウン解除を前後して、国民には、各市町村からマスクが配られ、薬局やスーパーマーケットでも、マスクが売られるようになり、最初は、奪い合うようにマスクを買って、マスクをして、恐る恐る外出していたフランス人も、時間が経つにつれて、気候も良くなって、感染も少しずつ減少していくにつれて、もはやマスクは、用無しとばかりに、街を歩く人でマスクをしている人は、どんどん減ってきて、道端には、使用済みのマスクがポイ捨てされ、買い物に行っても、マスクをしていない人が見られるようになってきていました。
当然、大量のマスクを仕入れたスーパーマーケットでは、マスクが山積みになっていました。ロックダウン解除の時には、マスクの義務化は、公共交通機関利用の際のみで、その他の場所では、マスクの着用が推奨される・・という内容でしたが、「推奨される・・」程度で、フランス国民がマスクをし続けるはずは、なかったのです。
ところが、ここ2週間ほど(7月に入ってから)バカンスに入ってからのフランスの感染状況は、感染者数が6万を超え、(64664名・7月16日現在)(ちなみに日本は、2979名です)グラフには、危険な上昇のカーブが現れているのです。
ロックダウン時にも、国民のショックを考えて、段階的にロックダウンをしたというマクロン大統領は、今回のインタビューで、「コロナウィルスの第2波が少し始まりかけているという兆候が見えています」「私たちは、警戒して、第2波に向けて準備をしなければなりません、引き続きソーシャルディスタンスを!」という、比較的、ソフトな言い方をしています。
そして、彼は、同時に「第2波に対する準備は、できています」とハッタリをかましていますが、医療の現場では、医療従事者用の安全性の高いマスクや防護服、医療物資等は、未だ十分とは、言えない状態なのです。医療従事者が革命記念日に行ったデモは、単なるベースアップ要求だけのデモではないのです。
このコロナウィルス感染の経過、現状と、政府の発表には、隔たりがあることを感じずにはいられません。
国民の混乱や反発を抑えるために、ロックダウン解除以降、強制事項は避けてきたフランスが、マスク着用の義務化を決定するということがどういうことなのか、事態をしっかりと見つめなければなりません。
ハッタリをかましている政府の発表を鵜呑みにはできません。ロックダウン解除時に約束した週70万件の検査も、実際のところは、はるかにその数字には及ばない状況で、当時、隣国ドイツの検査数の5分の1だった数字が6分の1になっています。(ドイツの検査数が大幅に増えている割に、フランスは増えていない)
ともかく、マスク着用を義務化してくれたことに、私は、少しホッとしています。マスク着用の義務を怠れば、罰金135ユーロが課せられます。罰が与えられなければ、統制が取れない、まことに民度が低いフランスであります。
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