2020年6月19日金曜日

コロナウィルスに振り回された娘の教習所通いが再開 今のフランスの教習所はUberみたいになっている




 ロックダウンが解除になって、最近、娘がフランスの自動車運転免許取得のための教習所通いを再開しました。そもそも、娘と運転免許は、つくづく相性が悪いというか、タイミングがことごとく悪いのです。

 彼女が最初に免許を取ると言い出したのは、18歳の時で、しかも、自動車の運転免許ではなく、バイクの免許を取ると言い出したのです。

 そもそも彼女は、柄にもなく、車などの乗り物が苦手で、特に長距離を移動する場合の自動車での移動や、スキー合宿に行ったりするときに乗らざるを得なかった長距離バスや、ナポリからカプリやイスキア島へ移動したりする比較的小さな船なども苦手で、長いこと、乗り物酔いに悩まされてきたので、車というものがあまり好きではなく、車は嫌いだったはずなのに、それでもバイクなら・・と言い出したのです。

 飛行機やTGVなどは、大丈夫なので、恐らくガソリンの匂いがダメなのかもしれません。これは、彼女の義理のお兄さんも同じなので、もしかしたら、主人の方の家系なのかもしれません。

 とにかく、最初は、車は嫌いだから、バイクの免許を取りたいと言い出したときには、私は、恐らく多くの世間の親が思うように、「危ないから、やめて! 私は、お金は、出さないからね!」と言って、反対しましたが、彼女の意思は硬く、娘は、自分で、それまでお小遣いやお年玉を貯めていた貯金を使って、バイクの教習所に申し込みをしてしまったのです。

 それが、18歳の2月頃のことです。その頃、彼女は、グランエコール進学のためのプレパー(準備学校)に通っており、当然、学校の勉強は、想像以上に猛烈に忙しく、申し込みをしただけで、結局、教習所通いは、できないまま、時間は過ぎて行きました。

 そして、翌年の11月になって、連休か何かでポッコリ空いた4日間だけ、集中的に勉強して、あっさり筆記試験(交通法規)だけは、受かっていました。

 しかし、またさらに翌年、時間ができてから、短期間、教習所通いを始めたものの、結局、その後のグランエコールが地方の学校に決まり、教習所通いは、断念せざるを得なくなりました。

 そして、昨年になって、将来の就職を考え始めた娘は、筆記試験も通っていることだし、この際、自動車に切り替えて、CVに自動車の運転免許があることを書き加えたいと言い出し、当時、彼女が住んでいた地方で、自動車の運転免許を取ると言い出し、(交通法規に関する筆記試験は、バイクに挑戦したときにすでに合格していたものが、そのまま適用され、実技試験に進める有効期限が5年間あります。)教習所に通い始めたのが、今年の2月。

 しかし、3月半ばにロックダウンになって、教習所通いは、再び中断してしまい、ほとほと、免許とは、縁がないんだね・・と話していました。

 彼女の本業である学校での授業のカリキュラムも全て終了し、(残りの一年は、スタージュや留学等の予定で学校には、行かない)彼女は、パリに戻ってきました。本来ならば、6月からは、ロンドンにスタージュに行く予定になっていたのに、それもリモートワークに切り替わって、彼女は、今、パリの自宅で自分の好きな時間に仕事をしているので、現在は、比較的、時間の自由が効くのです。

 しかし、ロックダウンが解除になっても、引っ越してしまったのでは、当然、再び、教習所通いも、もう無理だと思いきや、彼女の契約している教習所は、サイトが統括する教習所の教官の手配サービスのようなもので、フランス全国どこにいても、空いた時間と場所を指定すれば、教習を受けることができる教習所のUber(ウーバー)のようなもので、パリにいて、比較的、時間も自由になることから、再び、彼女のウーバー教習所通いが始まったのです。

 教習所の教官を手配するサイトを運営する会社は、料金も安く、教官側にとっても、教習用の車を借りて、自分の好きな場所を選んで、好きな時間に仕事ができるため、双方にとって、便利なシステムになっています。

 ですから、実際の教習所という建物も存在せず、今、このご時世ですから、サイトの運営会社から、「アルコールジェルを必ず自分で持参して下さい」などという注意が入ってきて、え〜??自分で持っていくの?とビックリしましたが、かなり、フリーなシステムのようです。実際には、先生が用意していたそうですが・・。

 かなりの大学は、閉鎖されたまま、授業が終わってしまった大学も多く、免許を取りたい年頃の若者たちは、今、比較的、時間がある人が多く、そんなウーバー教習所も予約を取るのが大変なようです。

 彼女も、ロンドン行きが可能になれば、ウーバー教習所でも、いくら場所は、自分で選べるとはいえ、あくまでもそれは、フランス国内での話で、再び、教習所通いは中断されることになります。

 この先、どうなることかわかりませんが、つくづく、娘と運転免許は、相性が悪いと思わざるを得ないのです。彼女は、そもそも彼女は、しっかりしているようで、自転車ですら、事故が多く、歩いていてもやたらと転びます。そんなことからも、どう考えても、彼女に運転は危険で、親の私としては、彼女の運転免許取得は、今でも、あまり、賛成ではないので、これで再び免許取得がポシャってくれればいいと、心の中では、こっそりと願っているのです。

 だいたいフランス人の運転は荒いことでも有名ですから・・。

<関連>「フランス人と車」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/10/blog-post_25.html

2020年6月18日木曜日

ロックダウン以来3ヶ月ぶりのパリのメトロ


メトロの駅構内のいたるところに貼ってあるステッカー

 フランスのロックダウンが解除になって第2ステージ、第3ステージと進む中、毎日のようにデモだの暴動だのという話ばかりが流れてきて、もはや、テレビのニュースでは、コロナによる一日の死亡者数などの発表もなくなるほど、コロナウィルスの話題は、もうかすんで来てしまっています。

 しかし、注意深く、感染者のデータを見ていると、ここ数日のフランスの新規感染者の数は、152、344、458と、ここ3日間上昇してきており、これが単に検査数が上がったことによるのか、感染が広がっていることなのかは、わかりません。

 でも、頻繁に数万人単位の人出のデモや暴動の中で、再び、人が街を行き来するようになれば、再び、感染拡大、ロックダウンにもなりかねないと思い、今、動けるうちにと銀行の用事を済ませておこうと3月のロックダウン以来、3ヶ月ぶりでメトロに乗って、出かけました。

 ロックダウン中はもちろん、これまでは、出来るだけ移動は、健康のためにも、歩くか、自転車での移動に留めて頑張ってきたのですが、久しぶりにメトロに乗ってみようか?と、私としては、意を決して出かけたのです。

 久しぶりの駅は、すっかりコロナ仕様に様変わりしていて、駅の構内の床には、いたるところに「人との距離を取りましょう」と書かれた丸いステッカーが貼られており、メトロの乗り口にも、ステッカー、メトロ内の座席にも、人との距離を確保するために、ひと席ごとに、「この座席には、座らないでください」と書かれたステッカーが貼ってありました。駅までは、バスなどの交通機関の利用を避けるのか、トロチネット(キックボード)を持参している人も結構、多いようでした。
 
トロチネットを片手にメトロを待つ人

 当然、人が座ってしまえば、そのステッカーは見えなくなるわけで、どうにも不規則なステッカーの貼り方だと不思議に思っていると、何のことはなく、ステッカーを無視して座っている人がいるから、どうにもおかしいことになっていることに気付きました。
 やっぱりです。ルールはあっても、フランスでは、みんながルールを守るわけではないのです。
 
本来ならば、人と人とが向かい合わないようにステッカーは貼られている

 街中は、もうマスク姿の人は、まばらですが、駅構内に入ると、さすがに罰金135ユーロが怖いのか、マスク率は、100%でした。さすがにフランス、マスクもみんな様々で、色とりどり、中には、真っ赤なマスクに黒いコートを来た、素敵な女性も見かけました。マスク込みでのマスク映えのするファッションを楽しんでいる人もいるところが、フランスらしいとも思いました。

よく見ると、彼女のマスクには、トリコロールが付いている

 ラッシュアワーではなかったこともあるかもしれませんが、思ったよりは、メトロも普通に運行されており、最初は、緊張していた私も、なんだか、帰る頃には、いつもと変わらない気分に戻っていました。

 しかし、昨日、SNCF(フランス国鉄)の駅で、マスクなし、切符なしで乗車していた黒人女性が駅員に止められたことで、女性が駅員に噛み付いたために、駅員が取り押さえたところ、暴力を振るわれたと訴えている女性の話がSNSで炎上し始め、問題になっています。女性は、自分は、妊娠中にも関わらず、暴力を振るわれたと言っているようですが、噛み付かれた駅員の方も、感染の危険を考えれば、ある程度の力で止めないわけにはいきません。

 悪いのは、もともと、マスクなし、切符なしで乗っていた自分の方なのに、全く、怖い女性がいるものです。ともかくも、こんな場面に巻き込まれずに、幸いでした。

 久しぶりに乗ったメトロは、いつもと同じ駅に、バリアやステッカーがたくさん貼ってあるだけで、思ったよりも同じ風景で、たった3ヶ月だけなのに、懐かしいような、ちょっと嬉しいような気持ちになりましたが、いつもと違っていたのは、やはり、人と人とが、全く話をせずに、口をつぐんでいることです。

 いつか、日本に行った時、地下鉄に乗って、混雑している地下鉄の中があまりに静かなのに、改めて気が付いて、驚いて、思わず、「静かだな〜」と口をついて出てしまって焦ったことがありました。パリのメトロの中は、いつもは、そんなにシンとしてはいないのです。ということは、きっと、どこかで誰かの話し声が聞こえているのです。人と近づいてはいけないということは、寂しいことです。いつの間にか、シンとした地下鉄より、どこかざわざわしているメトロが心地よくなっていた自分にも驚きました。

 そんなことを考えながら、久しぶりのメトロに、なんとなくドキドキした一日でした。

 
<関連>「パリで時々、目にする光景」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post.html

 
 
 




2020年6月17日水曜日

パリ・アンヴァリッドでの介護者のデモ・1万8千人を震撼させた暴力・ウルトラジョンヌとブラックブロック


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 16日のパリでの医療介護者のデモは、事前にパリ警察に届けが出ており、午後2時半から18時に行われる予定で、警察の許可を得た正当なものであったはずでした。

 コロナウィルス騒動以前より、長期にわたり、医療介護者、国立病院関係者による不満は、積み重なっており、昨年から、時々、ストライキやデモなどが起こっていました。そこへ、コロナウィルスの感染爆発で病院はフル回転で、危険を侵しての仕事の連日に医療介護者の怒りも相当なレベルに達しており、ロックダウン中に病院視察に立ち寄ったマクロン大統領と医療介護者との間に、衝突が起こり、激しい言い合いになったこともありました。

 今回のデモでは、医療介護者は、医療のための十分な医療物資や、人出、労働条件、昇給などを掲げて、デモは、午後2時半に、パリ厚生省のビル近くの出発地からの、スタートの段階では、順調に、開始されたのです。医療介護者のデモは、フランス全土の主要都市で、同時に進行して行われたもので、フランスの国立病院の組合により統括された、正当なデモであるはずでした。

 ところが、この医療介護者のデモの中に白衣などを着て、医療介護者に変装していたデモを暴徒化する集団が紛れ込んでいたのです。厚生省を出発して、デモ隊の行列がアンヴァリッドに到着した時、紛れ込んでいた偽医療介護者や黒い服に身を纏った一団に、本来のデモは中断せざるを得ない状態に陥りました。

 彼らは、大声で叫びながら、駐車してあった車を道の中央に運び、転がし、車を燃やし、弾丸やバクチク、石を投げつけ、街には黒い煙が上がり、通りかかったバスの窓ガラスを割り、運転手に石を投げつけ、通りかかった人に襲いかかりました。駆けつけた警察も、最初は、後ずさりする様子にどうなることかと思いましたが、催涙ガスを用いて応戦し、数時間後には、沈静化しました。
       
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暴徒化した人たちにひっくり返され、道の中央に運ばれる車


 最初にこのニュースを聞いた時は、医療介護者のデモがなぜ、暴力化するのか、意味がわかりませんでした。ところが、このデモを暴力化させたのは、ここのところ、フランスで、ウルトラジョンヌ(Ultras-jaunes・gilets-jaunes(黄色いベスト運動のデモ(ジレジョンヌの際に暴力行為に及ぶ人々)やブラック・ブロック(Black Block)と呼ばれる他人のデモに便乗して、暴力行為におよび、社会を荒らすグループの存在でした。

 彼らは、デモの情報を得ると、集団でデモに紛れ込み、暴力行為におよび、街を破壊し、暴れます。今回のパリでのデモも、「暴徒化したのは、私たちではない!私たちは、彼らによって、デモの機会を奪われてしまったのだ!」と医療介護者は、嘆いています。

 これだけ大勢の騒動にも関わらず、逮捕者は、16名のみというのにも納得が行きません。

 アンヴァリッドといえば、ロックダウン直後にパリ市民がアンヴァリッド前の広場にピクニックに訪れ、人が密集しすぎだと問題になった場所です。それも、そんなに前の話ではありません。あの時も、思わず眉をしかめた私でしたが、今の状況を考えれば、全く微笑ましい風景でした。

 フランスは、いつからこんな物騒な国になってしまったのか? 毎日のように聞こえてくるデモや集団による街への襲撃に、言葉を失います。

 北京では、コロナウィルス感染の第2波が来た模様・・などというニュースも聞こえてきますが、毎日のように、フランスのどこかで、数万人単位のデモのニュースを見ていると、フランスだけが無事なわけがない、やはり、再びロックダウンになる前に、色々、用事は、済ませておこう・・と思うのでした。


<関連>
「マクロン大統領のパリ病院訪問での医療従事者との衝突・コロナウィルスと戦う医療従事者と大統領の直接対決」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/05/blog-post_16.html
 

2020年6月16日火曜日

4夜連続、フランス・ディジョンでのチェチェンコミュニティの暴動


Dijon : nouvelles violences ce lundi après un week-end agité

 
 先週末から、4夜連続、そして、月曜日には、日中から、フランス・ディジョン(フランス中部・ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ、コートドールの首府)では、チェチェン(北コーカサス地方の北東部に位置するロシア連邦に位置する共和国)のコミュニティのメンバーによる暴動で、せっかくロックダウンが解除された街が震撼とし、店舗は、コロナウィルスとは、別の理由で、再び、ロックダウンのような状況になっています。

 ことの始まりは、16歳のチェチェン出身の少年が、ディジョンのドラッグのディーラーのグループによって「殴打」され、重症を負ったことに端を発しています。16歳の少年とドラッグのディーラーとの関係は、わかりませんが、その事件をチェチェンのコミュニティの一部が、SNSで発信し、ディジョンに住むチェチェンのコミュニティだけでなく、近隣諸国(ベルギーやドイツなど)のチェチェンのコミュニティからも援軍が参加し、ディジョンのドラッグのディーラーに報復するとして、ディジョンのダウンタウン・グレジル地区に集まり、暴れているのです。

 4夜連続で、鉄棒と拳銃で武装し、フードを被り、覆面をした何十人(百名近く)もの人々がグレジル地区に集まり、月曜日には、街中で車を暴走させた挙句に、車は燃えているバリケードに突っ込み、炎上しました。運転していた男は、重症を負って、病院に搬送されましたが、酩酊状態での運転であったことが明らかになっています。

 街には、拳銃の音が鳴り響き、車やゴミ箱が燃やされ、ひっくり返され、近隣の店舗は、全て閉店、近隣の住民にも数十名の負傷者が出て、外出ができない、再びロックダウンのような状態の日が続いています。

 現場には、数百名の警察が出動し、この日の騒ぎは一応、沈静化しましたが、チェチェンのコミュニティのグループは、我々の仲間が安全にディジョンで生活できるようになるために必要であれば、自分たちは、毎日でも、いつでもやってくると、今後の報復活動の継続を予告をしています。

 この事件の原因となっている16歳の少年が攻撃されたのが、ドラッグのディーラーとのいざこざということからして、まともな?騒ぎでは、なさそうですが、ともかくも、このロックダウン解除の第3ステージが開始された途端にデモ、暴動と再び、店舗・街を閉鎖しなければいけない状況が、各地で起こっており、経済再開にアクセルを踏み始めたフランスは、前途多難のようです。

 世界には、どこの国にも外国から来ている移民のコミュニティがありますが、(当然、フランスにも日本のコミュニティもあります)日本のコミュニティがフランスでニュースになったのを聞いたことはありません。外国にいても、大人しく、行儀の良い日本人にとったら、このような騒ぎを起こすことなど、想像もつかないことです。

 チェチェンコミュニティのこの騒ぎを起こしている人たちは、ディジョンの人たちを怖がらせることが目的ではないと言いつつも、結果的には、住民が外出できないような状態に追い込んでいることをどう思っているのか? 正当な手段で訴えればいいものの、これでは、デモの方がまだマシ・・と思ってしまうのです。

 フランスの平和への道のりは、遠そうです。

<関連>「フランス人の熱量」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_11.html


 
 



 

2020年6月15日月曜日

マクロン大統領の勝利宣言 ロックダウン解除第3ステージ突入・「俺たちは、よくやった」





 14日、日曜日の午後8時、マクロン大統領は、エリゼ宮より、明日からのロックダウン解除の第3段階突入と今後についてのスピーチを行いました。ロックダウン以来、しばらくの間、フィリップ首相からの発表が続いていたので、マクロン大統領が正式にスピーチを行ったのは、久しぶりのことです。

 彼は、マヨット、ギアナを除くフランス全土は、明日(15日)から、グリーンゾーンになることを発表しました。長いこと、テラスの営業のみで、店内営業を禁止されていたパリ・イル・ド・フランス地域を含むレストラン・カフェ等も明日から店内でも営業できることになりました。

 また、EU圏内での国境は解放され、これまで禁止されていた高齢者施設での面会も認められるようになりました。一週間の準備期間を設け、保育園、幼稚園、小学校、中学校は、22日から、通学することが義務化されます。つまり、義務教育の範囲内の学校は、完全に再開されるということです。

 また、これまで閉鎖されていた映画館等についても、22日から、安全な措置を取った上での開館が許可されます。

 そして、前の段階で、発表されていた統一地方選挙は、予定どおり6月28日に実施されます。

 また、このコロナウィルスによるロックダウンのために疲弊したフランス(この経済危機は、フランスばかりではなく世界的なパンデミックによる世界恐慌であることを付け加え、)の経済と雇用について、フランスは、労働者の解雇を少しでも避けるために、5000億ユーロを投入したことを明らかにし、今後も、更なる努力を続け、できる限り、増税は、しない方針を表明しました。

 マクロン大統領は、

「3月17日のロックダウン以来、我々は、国民が総力をあげて、協力し合い、困難な状況を次々と乗り越え、足りない医療施設や医療機器に対応して、創意工夫をしながら、数百名の患者を地方の病院に搬送したり、時には、近隣諸国の力も借りながら、この3ヶ月の間に戦いを続けてきました。

 そして、今、以前の生活に戻る道のりを築き始める段階にたどり着きました。

 本当に皆が協力して、頑張った結果です。

 しかし、コロナウィルスとの戦いは、まだ終わっていません。この戦いのために、犠牲になった人の命を忘れてはなりません。これまでの私たちの戦いで培った国民が共に心を合わせて、新しい道を築いていくことをフランスは、誇りを持って立ち向かっていきましょう」

と述べました。

 彼は、ここ数週間にわたって起こっている人種差別問題についてのフランスで起こっている問題についても、あらゆる差別、反ユダヤ主義などに直面する問題について、真摯に対応していくことを言及しました。

 そして、具体的な日付は定めずに、「7月に」再び、新しい道を具体的にしていくこと、若者のための教育、訓練、仕事への大規模な投資について発表することを約束しました。

 「私たちの最優先事項は、まず、強力で、生態学的で、主権的で統一された経済を再建することです。アメリカや中国に屈することのないよう、フランス及びヨーロッパの独立・再構築、フランスの団結、権力と責任の新たな均衡化を軸に、この危機を乗り越えるために、皆で、この意志を一緒に持ち続けましょう」と彼はスピーチを締めくくりました。
 
 3月17日のロックダウンからの3ヶ月間、被害者数からすると、決して誇れる結果ではなかったフランスを、ここまで讃え、スピーチを開始して5分も経たないうちに、フランス人お得意の「俺たちは、よくやった!」自画自賛・自信満々モードに突入してから、なんだか、マクロン大統領の、自分で自分のスピーチに酔いしれるような感じに、私は、逆に妙に冷めた感じになってしまったのでした。


<関連>「コロナウィルスに関するマクロン大統領のテレビ放送を見て思うこと」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_13.html











2020年6月14日日曜日

ロックダウン解除とはいえ、またパリで1万5千人超えのデモ フランスは、なぜデモを止められないのか?


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 13日(土)、パリでは、1万5千人を超える人が、先日から続いている警察の暴力と人種差別に抗議するデモに参加しました。このデモは、前日から、すでに、午後2時半にリパブリック広場からオペラ座に向けての行進と見られており、近隣の店舗、レストラン、カフェなどは、危険回避のため、ロックダウン解除後に、せっかく再開し始めた店舗をこの日は、閉店することを余儀なくさせられました。

 最終的に、デモ隊は、リパブリック広場に集結し、2時間ほどの抗議集会が行われました。近隣の建物の上からは、「JUSTICE POUR LES VICTIMES DU RACISME ANTI-BLANC(反白人種差別の犠牲者のための正義)」と書かれた大きな垂れ幕が降ろされ、人々は、人種差別と警察の暴力について、訴えました。

 そもそも、前日からわかっているこのような集会が、10人以上の集会は、禁止とされている中で、なぜ止められないのかは、フランスの複雑な事情によるもので、10人以上の集会は、禁止できても、デモ(抗議活動)を禁止することができないのは、人々の口を塞ごう、抗議・意見を主張する機会を奪うと見なされ、それこそ人権問題に繋がるという厄介な問題なのです。

 ロックダウン解除直後にデモ禁止に反対するデモという厄介なデモも起こりましたが、マナーを守って?デモをする限りは、フランスでは、デモを完全に否定することはできないのです。


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警察のバリアにより立ち往生するデモ隊の人々







 
 結局のところ、警察がデモ、スタートの地点から、バリアを張り、デモの進行の妨害をしたことで、根気負けした人々は、リパブリック広場に到達する前に退散したので、当初の予測では、1万5千人から2万人と言われていた人出も、1万5千人程度でおさまりました。(おさまったという数字ではありませんが・・)

 夕刻になって、集会も終盤に近づいた頃、デモが緊迫した状態に達し、迫撃砲や投射物を投げ始めた段階で、警察もそれに反撃して、催涙ガスを発砲し始め、デモ隊が暴れ始めたことを機に、警察が一気にデモ隊を解散に追い込み、パリのリパブリック広場でのデモは、思っていたよりも早く?に収束しました。

 通常のデモ?は、夕刻になって、薄暗くなる頃から、デモ隊が興奮し始めて、ゴミ箱を燃やしたり、周囲の店を壊したりの凶暴な行動に発展するのですが、今回の場合、暗くなり始める前に、一気に収束に向かったのは、むしろ、警察側がデモ隊が騒ぎ出すのを待って沈静化したという、ある意味、デモを禁止できない警察側の作戦であったのかもしれません。結果、このデモでは、26人が逮捕されています。

 ちなみに、このデモは、パリだけでなく、リヨン、マルセイユなどの地方都市でも同日に起こっています。

 とはいえ、今は、コロナウィルスの危険もまだ残る状態であり、このようなデモによる感染拡大の危険は、常に存在しているのです。このデモを見ていた医療従事者が、「コロナウィルスによって、どれだけの人が犠牲になり、どれだけ苦しんできたか、忘れないでほしい、まだ、ウィルスは、消えてない!」と叫ぶように訴えていました。

 フランスは、多くの犠牲を強いてロックダウンをして、感染を抑えてきたのです。人種差別や警察の暴力について訴えたい気持ちは理解できますが、未だ、色々な制限下にある生活をしている状況での数万人規模のデモは、どう考えても、コロナウィルスによる犠牲者を増やすことに繋がっているとしか思えないのです。

 それにしても、こう激しやすい人々をロックダウンできたということは、大変なことだったんだな・・と改めて、思わせられます。


<関連>「フランス(ヨーロッパ)でコロナウィルスが広まる理由」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_19.html
 








 




2020年6月13日土曜日

フランス人のこだわり


réussir la cuisson de son entrecôte de bœuf et de ses grillades


 半分、フランス人なのに、フランス料理が苦手な娘のおかげで、我が家は、あまり、外食というものをしません。だいたい、パリの外食は、日本のように、「ワンコインでランチ」なんていうわけには行かず、10ユーロ以下で食事をできるレストランは、ほとんどありません。

 それでも、フランス人にとって、カフェやレストランは、とても大切なもので、必ずしも大したお料理ではなくとも?フランス人は、好んで外食をします。外食は、単に食べるということだけでなく、人と会って、話すということでもあるからです。

 しかし、だからと言って、フランス人が何でもいいから、外食するというのも少し違います。最近は、健康志向からか? カフェのランチなどでもサラダを食べている人が多くなりましたが、一般の庶民的?なカフェでは、メニューも、どこも似たり寄ったりです。

 簡単な、クロックムッシュやサラダ、オムレツ、ステークフリット(ステーキとフライドポテト)、ローストチキンなどなど、ごくごくシンプルなものでも10ユーロを下ることはなく、ということは、ちょっとしたランチでも12ユーロから15ユーロは、かかるので、少なくとも1500円から2000円近く、かかるということです。

 ですから、特別に行ってみたいレストランとか、たまには、ゆったりした気分を味わいたいとか、友人と会って一緒に食事をするとか、そんなことでもなければ、我が家は、あまり外食をしないのです。つましい生活です。

 その代わりと言っては何ですが、たいていのものは、家で工夫して作ります。そして、これ、「外で食べたら、いくらだろう?」などと言いながら、自己満足に浸ります。我が家は、和食?に偏りがちなので、当然、外食すれば、高くつくのですが、それを家で食材を工夫したりして作って、何だか、安上がりになった気がして、満足するのです。

 今日のお昼に、家にあったインスタントラーメンと野菜をたくさん使ってタンメンのようなものを作ったのです。ただのインスタントラーメンですが、たくさんの野菜からもいい味が出て、ガーリックパウダーや胡椒などを効かせて、我ながら、なかなか良いお味に仕上がったのです。そして、いつもの「これ、外で食べたら、いくらだろう?」を始めたのです。

 しかし、あっさりと娘は、「これは、ダメ!インスタントだから、いくら美味しくても、売れないよ!」と言うのです。そうなんです。フランス人は、ファーストフードなどは、別として、どんなにシンプルなものでも、インスタント食品には、お金を出したがりません。まあ、当然といえば、当然ですが、彼らの日常の食事のレベルを考えるとちょっと意外なこだわりでもあります。

 フランス人は、外食の場合、それが手作りであることにこだわります。フランス人に関わらず、誰でも、それなりのこだわりは、ありますが、時々、??と思うことにも、彼らは、こだわります。「手作りのもの」というこだわりにしても、例えば、パリのラーメン屋さんなどでも、しつこく、この麺は、手作りの麺なのか?と店員さんに確認している人を見かけます。まさか、ラーメン屋さんで、インスタントの麺を使っているところはないと思いますが、それでも、しつこく確認するところに彼らの手作りへのこだわりを感じます。

 だからと言って、彼らがインスタント食品を全く食べないわけではありません。むしろ、彼らは、日常では、日本人のように手間暇かけて、何品も食事の支度をしたりはしませんし、冷凍食品やチルド食品もよく利用しています。ただ、外食に関しては、それを許容しません。

 手作り以外にも、フランス人がこだわりを持っていることがあります。それは、缶ビールをどこか、下に見ていることです。若い男の子などでも、大きな顔をして、「缶ビールなんて、飲んでるの?」なんて、偉そうに言う子もいます。まだ、そんなにお酒の味をわかっていなさそうな若い子がそう言うのは、おそらく、彼の家庭で、両親がそんなようなことを言って、瓶ビールにこだわっているのでしょう。しかし、実際のところは、若者は、安い缶ビールを飲んでいるのですが・・。

 考えてみれば、フランス人は、こだわりを持つことを美徳とするようなところがあります。そして、また、それについて、とうとうと語ります。他人には、理解しがたいこだわりであっても、それぞれが自分のこだわりを大切にしています。そして、それは、時にかなり頑固で頑なでさえあり、苦笑させられることもしばしばです。

 でも、そんなこだわりへの必死さも、一歩ひいて眺めてみれば、ちょっと可愛い気もするのです。



<関連>「パリのランチ・お弁当、外食、日本食事情」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_3.html