2021年3月16日火曜日

アストラゼネカのワクチン使用停止が招く混乱と不信感

    アストラゼネカ社のワクチンについては、先週、すでにその安全性が確認できるまで使用を中断することをデンマーク、ノルウェー、アイスランド、ブルガリア、アイルランド、オランダ、スペインが発表していました。 いずれの国も同社ワクチンによる副反応(血栓症)への懸念によるものです。 今週になって、ドイツが血栓ができるリスクは低いものの、リスクを排除することはできないとして、ポール・エーリッヒ研究所(PEI)の助言に従い、アストラゼネカのワクチン接種を中止することを発表しました。 このドイツの発表から雪崩式に、フランス・マクロン大統領が欧州医薬品庁(EMA)によるアストラゼネカ製ワクチン...

2021年3月15日月曜日

コロナウィルス セルフ検査キット発売開始

     今週から、フランスの薬局やスーパーマーケットでは、コロナウィルス感染を自宅で自分でチェックできる検査キット(Auto Test Covid)の発売が解禁になります。 これには、偽陰性、偽陽性の科学的な信頼性への懸念もあり、また、陽性の場合のフォローアップが難しいために、長いことフランス政府では、この発売許可を保留、検討し続けてきましたが、最近、これと同種の市販のデバイスが、スイス、スロベニア、オーストリア、イギリスなどの他のヨーロッパの近隣諸国で採用され、数日間、子供たちの学校への復帰などをサポートしている実績も踏まえ、フランスもこの検査キットの販売許可に踏み切ることにな...

2021年3月14日日曜日

フランスはアストラゼネカのワクチン接種は続行 アストラゼネカのワクチンの安全性への波紋

  デンマーク、ノルウェー、アイスランドの3ヶ国は、アストラゼネカのワクチンが血栓を形成する懸念があることから、このワクチン接種を当面の間、停止することを発表しました。 まだ、開発されて間もないワクチンで、疑心暗鬼になりやすい中、いくつかの副反応例が報告されていましたが、オーストリアでの49歳の看護師がワクチン接種後に重篤な出血性疾患を起こして死亡したことがワクチン接種の停止決定の引き金を引いたようです。 しかし、同様の問題が起こったイタリアでの症例等も合わせて調査した結果、この問題が、アストラゼネカの同じロットから起こっていることが判明し、同じロットから配送されたワクチンを使用していた、他...

2021年3月13日土曜日

フランスのコロナウィルスによる死亡者数9万人突破

   マクロン大統領によるコロナウィルス感染対策の最初のスピーチがあったのは、昨年の3月12日、保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学とフランスの全ての学校を閉鎖するという内容のものでした。 生まれて初めての経験で、私は、その頃は、まだまだパンデミックという状況をはっきりとは自覚していませんでした。 しかし、それから数日後、生活必需品の買い物以外は、一切、外出禁止という厳しいロックダウンが発表され、しかも、発表の翌日の正午から・・という急転直下の展開でした。 人々は、買いだめに走り、街には、「ソーシャルディスタンスを取れ!」とがなり立てる警察が闊歩し、軍用車が走り、マクロン大統領が「我々は、今、戦争状態にある」と言った、その通りの状況に国中が一変しました。 あの頃は、ウィルスに関する情報も充分ではなく、厚生相が堂々と公の場面で、「一般の人には、マスクは必要ではない」などと言っていたのでした。今から考えれば、なんと恐ろしい情報発信だったことでしょう。 少なくとも今の時点では、マスクなしの生活は、考えられません。 それから2ヶ月ほどのロックダウンを経て、感染が減少し始め、夏のバカンスシーズンには、まさかの結構な人数の人がバカンスに出かけ、秋になると案の定、感染は再び増加し始め、10月末には、再び、ロックダウンでした。 2回目のロックダウンは、学校は閉鎖せず、工場なども稼働したままのロックダウンで、最初のロックダウンほど厳しいものではありませんでしたが、1ヶ月のロックダウンで、ある程度、感染は減少したため、フランス人が命とバカンスの次に大切にしているノエルを家族と過ごすことは許されました。 しかし、ノエルの時期を前後して登場したイギリス変異種を始めとする変異種の拡大により、再び、フランスは危機的な状況を迎えています。 いみじくも、最初のマクロン大統領のスピーチから、ちょうど一年のこの日、フランスのコロナウィルスによる死亡者数は9万人の王台を突破(90,146人)、集中治療室の患者数は、4,000人を突破(4,033人)、これまでの総感染者数が400万人を突破(4,015,560人)しました。 一年間で9万人の死亡者(ちなみに日本は8,451人です)とは、あらためて、恐ろしい数字です。そして、これは、まだまだ終わってはいないのです。 特にイル・ド・フランス(パリを中心とする地域)の感染状況は深刻で、すでに90%以上は埋まっている集中治療室の患者を100人以上、週末の間に他の地域に移送することが決まり、大移送作戦が始まっていますが、想像以上の混乱状態で、移送するそばから、新たに入ってくる患者の対応におおわらわです。 それもそのはず、ただでさえ、人員不足の病院で、患者の移送には、一人に対して数名のスタッフが付き添わなければならず、新たに入ってくる患者と交差する状況が混乱を生むのも当然のことです。 また、これは、イギリス変異種による感染の特徴として、入院=ただちに集中治療室へ直行という重症化へのスピードが早いため、病床、しかも集中治療室の占拠率が必然的に高くなるわけです。 そして、イギリス変異種感染のもう一つの特徴は、これまでの感染者よりも低年齢化しているということです。比較的、若い世代の急激な病状の悪化は、最低でも2週間は集中治療室での治療が必要なだけでなく、一旦、症状が治っても、症状の満ち引きを繰り返す長期コロナ感染症(COVID...

2021年3月12日金曜日

イル・ド・フランス 崖っぷちの政府の対応策は患者の他地域への移送

   フランスのコロナウィルスの感染状況は、夜間外出禁止、ニースやダンケルクなどの地域的な週末ロックダウンの対策をとりながらも、急激な感染増加は避けられているものの、確実に悪化を続けています。 急激な感染増加はしていないとはいえ、すでに先日も1日の新規感染者数が3万人を突破し、年明けには、2,634人だった集中治療室の患者数も約50%増加し、3,918人にまで達しています。 すでに、フランスは、ヨーロッパ内で、最も感染が悪化している国になっています。 中でも、イル・ド・フランス(パリを中心とする地域)の集中治療室の占拠状態は、最も深刻な状況で、すでに90%以上が埋まっている状況、現...

2021年3月11日木曜日

東日本大震災から10年・マクロン大統領の日本へのメッセージ

   東日本大震災から10年、「FUKUSHIMA」は、世界中に知られる有名な場所になり、フランスでも、おそらく「FUKUSHIMA」を知らない人はいないでしょう。 あの日、朝、起きて、習慣のようになっていたテレビの朝のニュース番組をつけると、まだ、ぼんやりとした頭に「ジャポン・TSUNAMI・・」という声が聞こえてきて、「えっ?」と思って、画面に目を向けると、流されていく車や家の映像に、思わず二度見して、果たしてこれは、現実の映像であるのだろうか?と、座り直して、テレビに釘付けになったのを覚えています。 「TSUNAMI」という言葉は、あれ以来、フランスにもしっかりと定着し、今回コロナウィルスの感染状況を表すにあたっても、「TSUNAMI」がやってきた・・などの言い方をしているのを時々耳にします。 フランスでは、現地のニュースで日本のニュースが流れることはあまりありませんが、あの時ばかりは、連日連夜、FUKUSHIMA・・FUKUSHIMA・・と、何日も特番が組まれ、荒れ果てた被災地の様子や被災者が避難所でもきちんと並んで配給を受けている様子なども逐一、報道されていました。 その頃、通っていたスポーツジムなどでも、居合わせたフランス人に、「あなた、日本人でしょ、あなたのご家族は大丈夫だった? 大変だったわね・・日本人は、あんなに大変なことがあっても、慌てず、礼儀正しく、我慢強くて、きちんと並んで・・スゴいわね・・フランスであんなことがあったら、みんな殺し合いになるわよ・・」などと話しかけられることが何回もありました。 あの時は、「なるほど、フランスであんなことがあったら、みんなパニックになって、さぞかし大変なことになるだろうな・・本人たちもちゃんとわかっているのだな・・」などと、心の中でこっそりと思ったりしていたものです。 そして、形は違いえども、昨年から、コロナウィルスによるパンデミックというなかなかな困難な局面に世界中、ほぼ同時に直面している今、震災などの危機をくぐり抜けてきた日本とフランスはやっぱり違うんだな・・とあらためて感じています。 それをどこまで実感しているかは別として、抜かりのないマクロン大統領は、3月11日、ツイッター上で震災から10年に際しての日本へのメッセージを発表しています。(以下全文) 「Mon...

2021年3月10日水曜日

嫉妬による嫌がらせから起こった14歳の殺人事件 セーヌ川に捨てられた少女

   このところ、フランス各地で、10代の半ばのティーンエイジャーの事件が続発しています。 その多くが地域のグループ同士による抗争がエスカレートした乱闘から、ナイフなどの凶器による傷害事件や殺人事件です。 昨日もパリ16区の高校前で数十名が関与するグループ間の乱闘から3人が負傷し、1人が刺されるという事件が起こっています。ここのところ、このような傷害事件が続いているので、正直、またか・・という気持ちもありますが、これがパリ16区という高級住宅街で起こっていることはショッキングなことでした。 この事件がこの高校の生徒が関係しているものかどうかはわかっていませんが、この高校(Lycée...