2020年3月12日木曜日

フランス人の買いだめと、コロナウィルス騒ぎの中、どこか漂う緊張感



買いだめの典型とも思えるトイレットペーパー、小麦粉、パン、クラッカーなどを買い込んでいるカート


 フランスでは、何やら、ヤバそうな気配が漂い始め、きっと、週末には、混雑するだろうから、今日のうちにでも、少し、買い物をしておこうと、スーパーマーケットへ行きました。

 すると、平日の中途半端な時間ながら、結構な人出で、しかも、買いだめ・ストックであろう買い物の人がほとんどで、フランス人にも、コロナウィルスの危機感がいよいよ高まってきている事を感じます。

 どのカートにも、共通するトイレットペーパーの大きなパッケージ、明らかに備蓄と思われるような、小麦粉、パン、パスタ、クラッカー、水、サラミなどの保存できる食品などを淡々と買い込んでいます。

 トイレットペーパーだけをひたすらに買い込むというような買い方は、していませんし、最低限の生活必需品をある程度、とりあえず、少しずつ買いだめしているといった印象で、パニック状態になっているようには、感じられないところが、救いです。

 買い込むものが、日本ならば、さしずめお米だったりするだろうところが、パンや小麦粉やパスタやクラッカーだったりするところが、改めて、フランスは、小麦の文化なんだなぁ・・と妙なところに感心したりもします。

 平日のスーパーマーケットで、これだけの人出というのは、クリスマス前の時期のようですが、さすがに、クリスマス前のようなウキウキした感じはまるでなく、みな、淡々ととりあえずの買い物をこなしているといった感じです。

 今週末などは、きっと凄い人出になるのだろうと思いながら、私もどこか、重苦しい気分でセルフレジへ行くと、いつも顔を合わせる店員さんが、明るく、「ボンジュール!サバ(元気)?」と声をかけてくれて、なんだか、日常と変わらない様子でいてくれることに、とてもホッとした気分でした。

 フランス人の店員さんは、概して、愛想がなく、感じが悪いのですが、顔見知りになると、これまた、人が変わったように、親しみを表現してくれて、明るく声をかけてくれるところもフランスならではです。

 今朝も、起きて、外から、パトカーだか、救急車だかのサイレンがしばらく聞こえていたら、なんとなく、いつも以上に、不安な気持ちになっている自分に、落ち着いているつもりではいても、どこか、気持ちの中に緊迫感・緊張感を持っているのだなぁと感じます。

 とりわけ、感情を激しやすいフランス人ですから、ひとたび、本格的なパニック状態になった時には、いくばくかとコロナウィルスよりも、フランス人がパニック状態になった時のことを心配している私なのです。











2020年3月11日水曜日

海外での出生届の提出 大使館もところ変われば・・さまざまで・・




 私が娘の出生届を出したのは、コートジボアールの首都、アビジャンにある日本大使館でした。当時、コートジボアールの日本大使館は、アビジャンの中心地にあるビルの中の一室にあり、薄暗くて、閉鎖的で、おまけに、防犯上なのか、応対してくれる大使館員の人の顔が見えないように、スモークガラスが貼ってあり、はっきり言って、感じ悪いことこの上ありませんでした。

 行ったことはありませんが、刑務所の面会でさえ、相手の顔は、見えるだろうに・・と思ったものです。

 その上、コートジボアールでの日本人の出生届など、滅多に受け付けることがないためなのか、慣れていない様子で、応対もおぼつかないものでした。

「そりゃーそーでしょーよ! アビジャンでお産する日本人なんて、おそらく何十年に一人でしょーよ!」と心の中で毒づきながらも、フランス人の主人ではなく、日本人の私、本人からしか受け付けないと言われたことに、憤慨していたのでした。

 出生届には、提出期限があるために、産後間もないにも関わらず、大使館に出向くだけでも大変なのに、その上、再三、先方の揃えた書類に不備があり、度々、出向かなくてはならず、挙げ句の果てに、名前のローマ字表記について、「日本の外務省に問い合わせます。」と言われて、数日間、待たされ、私の方も初めてのことで、おぼつかないところを、不明瞭な対応が続いたために、私も不安と怒りが爆発し、最終的に提出する際には、書記官の人に、「たしかに、これで、間違いがありません。」ということを書面で一筆書いてもらったほどです。(後になって、面倒なことになっては、いけないと思ったのです。)

 それでも、日本大使館よりも、もっと凄かったのは、出生証明書を出してもらいに行った(こっちの方は、主人が行ってくれましたが・・)現地の市役所で、相手が外国人だから、これは、ボレると思われたのか?「出生証明書を出して欲しいなら、カラーテレビを一台持って来い!」と言われたとか・・・。

 もちろん、そんなものは、持って行きませんでしたが、書類は、すんなりとは済まずに、間違いが多く、こちらも数度にわたり、訂正をしてもらわなくてはならずに、本当に閉口しました。

 それから、数ヶ月後にパリに引っ越した時に、パリの日本大使館に出向いた時には、あまりに明るく、綺麗で、すんなりと事が進むことに、同じ日本大使館でもこんなに違うものだと感激したものです。

 日本大使館でも、国によって、ずいぶんと違うものなのです。

 












2020年3月10日火曜日

フランス・欧州におけるコロナウィルス対応




 在留邦人向けに、外務省から、「欧州における新型コロナウィルスに関する注意喚起」が、送られてきました。

 イタリア、フランス、ドイツ、スペイン、スイス等を始めとする欧州において、新型コロナウィルス感染症の新規感染者が多数報告され、件数も増加しており、感染も地理的に拡大の傾向にあるので、感染の可能性に注意し、最新情報を入手し、感染予防に努めるようにとのこと。

 特に、イタリアの一部の地域は、感染症危険レベルが高く、スイス、スペイン、ドイツ、フランスも危険レベル1が発出されています。

 3月8日付の各国政府の発表によれば、スイス、スペイン、ドイツ、フランスにおける新型コロナウィルスの感染症例数は、
 スイス:281例(うち死亡2例)
 スペイン:589例(うち死亡17例)
 ドイツ:902例(うち死亡0例)
 フランス:1126例(うち死亡19例)
と、なっています。

 感染症例が7000人を超える勢いのイタリアを除くと、フランスでの感染症例が多いのも、私は、わからないでもない気がしているのです。

 中国から発症し、当初、日本に停泊していたクルーズ船で多くの感染者が出たことなどから、アジア人を回避しさえすれば、感染しないとでも思っていたような節もあり、やたらとアジア人が避けられたり、差別されるといった話が聞こえてきました。

 街中から、マスクや消毒用のジェルなどが売り切れたり、トイレットペーパーやパスタの買い占めに走ったりしているわりには、街中でマスクをしている人は、あまり、見当たらず、5000人以上、人が集まる集会などは、禁止されているにもかかわらす、先週末にも、年末から続いている年金改革反対のデモがけっこうな規模で行われたり、マラソン大会が予定どおり行われたり、はたまた、奇をてらったのかもしれませんが、パリでは、物騒な事件が起きています。

 「人との接触は、出来るだけ、控えましょう!」との呼びかけにもかかわらず、91%の人は、まだビズ(挨拶がわりに頰を合わせる)をし続け、75%の人は、まだ握手をし続けているといいます。

 まるで、コロナウィルスは、フランス人だけでいる分には、感染しないと思っているとしか思えないような理解不能な状況なのです。

 ヨーロッパでは、感染者数が爆発的に増加している地域を封鎖されたはずのイタリア北部の人は、北イタリアから逃れようと、パニック状態になっているといいます。

 ヨーロッパは、陸続きですから、感染しだしたら、街を封鎖しようと、身勝手な行動に走り、人々が逃げ出すなど、感染が蔓延するのは、目に見えています。

 WHO(世界保健機構)も、「パンデミック(世界的な感染の流行)の恐れが非常に現実的になっている」と発表しています。

 非常に身勝手な認識の仕方をして、パニック状態で激しやすいフランス人に、的確な情報を冷静に受け取り、賢明な行動をとってしてほしいと切に思っています。

 




2020年3月9日月曜日

フランス人の若い女の子は、前髪を切らない





 日本の若い女の子、特にアイドルと言われる女の子たちを見ると、ほとんどの女の子が前髪がある・・というか、前髪を切っていることに気付かされます。

 たかが、前髪、されど、前髪です。

 フランスの若い女の子は、前髪を切りません。いや、前髪を切る子がいたとしても、ごくごく少数です。

 「どうして、フランスの女の子は、前髪を切らないのかな???」と娘に聞いてみると、間髪入れずに、「かっこ悪いから・・」と言います。

 それは、美的感覚が違うことによるのかもしれませんが、日本人が可愛い、良いと思う女性像とフランス人が良いと思う女性像の違いが、前髪の有る無しに現れているような気がするのです。

 前髪を切ると、顔が小さく見えるということもあるかもしれませんが、全体的に若く、幼い印象になります。若い女の子の場合、可愛らしい・・極端に言えば、あどけないとさえ言えるような、そんな感じが好まれているのではないかと思うのです。

 女性が可愛らしく、どこか、守ってあげたいと思われるような印象を感じさせる部分を持っています。

 一方、フランスの女の子にとっては、可愛い、特に幼く、あどけないということは、どちらかというと未成熟というニュアンスでとらわれかねないところがあり、そういった可愛さというよりも、むしろ、きれい、美しい、カッコいいことが好まれる傾向にあります。

 これは、単なる美意識や文化には、とどまらず、女性の社会的な位置付けをも表しているのです。

 女性がどのような存在であることが、社会で一般的に好まれているか? 可愛らしい、どこか幼く、あどけない印象が好まれているのか? 可愛いよりも、美しく、カッコいい印象が好まれているのか? 

 もちろん、美的感覚や、人によって似合う髪型というものもあるとは思いますが、その社会で一般的に好まれている印象やニュアンスから、社会の中の女性の位置付けというものが、髪型、特に前髪に表れているような気がするのです。

 いみじくも、国際女性デーである日に、そんなことをふと思ったのです。






2020年3月8日日曜日

フランス人は、ゼリーを食べない




 私は、ゼリーが好きで、家ではよく、デザート用に、コーヒーゼリーなどを作ります。食事の後、淡白で、サッパリしたゼリーは、口当たりも喉越しも良く、カロリーも控え目で、なかなか良いデザートだと思っているのです。

 日本だと、コンビニを始め、ゼリーを使ったデザート・スイーツは、数多く売られていて、たくさんのフルーツが入ったゼリーや、熱湯を注ぐだけでできる自分で作れるゼリーなど、バラエティーに富んでいて、色々な味を楽しめます。

 ところが、フランスでは、スーパーマーケットなどのデザートのコーナーにもゼリーはないのです。デザートといえば、チーズ類か、ヨーグルト、さもなければ、クリームを加工したムースなどの乳製品系のものばかりなのです。

 ヨーグルト、フロマージュブラン、チョコレートムース、フラン、クレームアングレーズ、マロンクリーム、クレームブリュレ、クレームキャラメルなどなど、クリーム系のものなら、種類も豊富で、色々なものの中から選ぶことができます。

 また、彼らは、ホイップクリームも大好きで、いちごなどのフルーツにも、これでもかと思うほど、山盛りのホイップクリームをかけて食べるので、スプレー式のホイップクリームもなかなかポピュラーです。

 多分、乳製品好きで、あくまでクリーム系のものが好きなフランス人には、ゼリーは、物足りない、味気ないもののように感じるのかもしれません。ですから、スーパーマーケットなどのデザートを置いてあるコーナーには、あんなにたくさんのデザートが置かれているのに、ゼリーは、全く置いていないのです。

 売っていないのならば、自分で作るしかない・・と、ゼリーを作ろうと思っても、ゼラチンは、日本ならば、大抵は、粉末状ですが、フランスでは、硬くて薄いシート状のもので、とても溶けにくく、量も測りにくくて、使いづらいのです。

 あくまでも、フランスは、消費者にとって使いやすいようにするという観念が薄い、いや、ないのです。

 こんなところでも、いちいち、フランスのダメさ加減を自覚させられるのです。

 粉末状のゼリーといえば、ゼリーというよりは、ジュレといって、コンソメ味のついた前菜の一品に使うような、自分で野菜などをテリーヌのような型に入れて作るものならば、わりと一般的に、どこのスーパーマーケットにも置いてあります。

 それでも、時々は、ゼリーが食べたくて、硬いシート状のゼラチンを買ってきては、不器用に硬いゼラチンを溶かしながら、自分でゼリーを作っているのです。

 ゼラチンは、コラーゲンも含まれている、ローカロリーの、とても優秀な食品であるにも関わらず、フランスに広まらないのは、フランス人の好み、食文化がかなり保守的であることにもよるのかもしれません。



 











2020年3月7日土曜日

娘の帰省




 娘が一人暮らしを始めて、一年半が経ちました。学校が一週間以上のお休みに入るとパリに帰ってきます。それは、さながら、私が日本に帰国するときの様子のようで、とにかく、食べることに真剣で、一食も逃すことなく、食べることに重きを置いています。

 日頃、自炊をしている彼女にとって、普段、自分で作ることができない料理をここぞとばかりに食べて行くのです。

 私が日本に帰国する時と違うのは、彼女が出来るだけ、外食を避けていることで、フランス料理嫌いで、何よりも和食党の彼女にとっては、パリでは、いくらでも和食も、外で食べられるとはいい、彼女曰く、「たとえ、ラーメン一杯であっても、安くて12〜15€(1500円程度)の和食は、コスパが悪すぎ・・」だそうで、できる限りを、家で食事をできるようなスケジュールの組み方をしているのには、苦笑してしまいます。

 それは、家で食事をすれば、自分の好きなものが、出てきて、しかも、お金を払うわけではないし、自分の慣れ親しんだ、好みのものが出てくるのですから、そのほうがいいに違いありません。

 ましてや、今回のように、私が日本から帰ってきたばかりで、日本食品がたくさんある状況においては、なおさらのことです。

 私の従姉妹が娘へと持たせてくれた娘の好きなお店の揚げまんじゅうなども、滅多にニコリともしない彼女が、溢れんばかりの笑顔で、それはそれは愛おしそうに、わざわざ、そのために日本茶なども入れ直して、じっくりと味わい、しかも、その後、しばらくは、余韻を味わいたいからと、他のものは、口にしません。

 その食への情熱には、我が家の遺伝子をひしひしと感じさせられます。

 そんな娘の様子に刺激されるのか、猫のポニョまでが、エラいがっつき様で、自分のキャットフードは、そっちのけで、私たちの食事に突進してくる様子は、我が家の遺伝子が乗り移っているようで、ちょっと怖いほどです。

 あまりの勢いで私たちの食事に突進してくるポニョに閉口して、食事をしている部屋からポニョを締め出したら、今度は、その仕返しとばかりに娘の部屋のベッドの上で、💩をするという恨みを込めた行動に出て、しかも、悔しくて、どうしても💩をしようとしたけれど、なかなか出ないのを絞り出そうとしたような形跡。

 猫のそんな食い意地までもを湧き起こす娘の帰省時の食への執念は、凄まじいものであるに違いありません。

 考えてみれば、娘の帰省は、私の日本への帰国と同じ、里帰りのようなもの。

 自分の日本への帰国時のことを省みれば、娘やポニョの様子にも、何も言えないなと思いながら、明日は、娘のために何を作ろうかと考えています。

 










2020年3月6日金曜日

新たに娘が見つけた居るだけでいいというフランスでのアルバイト




 依然として、失業率が高く、若年層においてさえも厳しいフランスの雇用情勢の中、若者の学生アルバイトとて、見つけるのは、容易ではありません。

 これは、フランスの経済が低迷していることはもちろん、その雇用形態と、本来ならば、労働者を守るための法律に起因しています。

 つまり、一度、雇ったら最後、解雇することも容易ではなく、若者を含めた新規の雇用が難しい状態になっているのです。

 そんな中、いわゆる日本には、有り余るほどある学生アルバイトのような仕事でさえ、なかなか、若者にもその機会が巡って来ないのが現状なのです。

 こういった状況の中、娘は、一人暮らしを始めて以来、彼女の現在の住まいの近くの私立の学校と契約している、エチュード(正規の学校の授業が終了した後の補習授業)を提供する会社と個人契約して、補習授業の講師のアルバイトをしています。

 ある程度、自分の学校の授業などのスケジュールと調整できることもあり、彼女は、やる気のない生徒に対しても、かなり厳しい、おっかない先生として、アルバイトを続けてきました。

 それが、昨年末あたりに、もう一つ、土日をメインにしたバイトを見つけたといって、新しいアルバイトを見つけてきたのです。学校の先輩がこれまで続けてきたアルバイトで、彼女が留学を機会にその仕事を辞めるために、後任を探しているとのことで、何やらとにかく楽そうな仕事だとか・・。

 果たしてそれは、ほぼほぼ、居るだけでいい、というアルバイトでした。先方は、「とにかく、時間だけは、きっちりしてくれればいい」ということで、駐車場のモニタールームで、モニターを監視して、たまにやってくる駐車場の利用者の質問に答えるだけで、その間は、勉強をしていても構わないし、食事もその場所で取ってくれれば、いつ、いくらでも食事の時間をかけても構わないという、またとない楽チンなアルバイトでした。

 モニターを眺めて、何か問題があれば、連絡をするだけ、(しかし、問題など、そうそう起こるものでもありません。)決して危険なことに自分で対応しようとしてはいけないというお仕事です。

 時間をキッチリ守ってくれる人というだけでも、フランス人の場合は、かなり絞られるのかもしれませんが、それにしても、そんなアルバイト、そうそうあるものではありません。

 以来、彼女は、自分のパソコンやレポートを抱えて、せっせとアルバイトに通っているのです。アルバイトでお金をもらいながら、彼女は、せっせとレポートを仕上げ、自分のしたい勉強をし、たまにやってくる駐車場のお客さんから、「勉強していて、エライね〜!」などと、お褒めの言葉を預かるのだそうです。

 この失業率の高い国で、こんなに楽チンなバイト、しかし、これも6月から始まる彼女のスタージュのためにあと3ヵ月ほど。

 美味しい話は、そう長くは続かないものです。