EU(欧州連合)は、アメリカとの貿易協定を締結し、EU製品への15%の関税のほか、7,500億ドルのエネルギー購入(特にロシアのガスの代替を目的としていると伝えられている)と6,000億ドルの融資を約束しました。
当初の30%という提案からは、減らされたものの、なぜ?あまりに一方的に見える協定に、これほど早く屈服してしまったのか? なぜ?欧州はアメリカに踏みにじられるままにしているのか?などなど、怒りの声も多数、上がっています。
この報を受け、フランソワ・バイルー首相は、珍しく怒りを爆発させ、この協定は、服従であり、欧州にとっての暗黒の協定であると表明しています。
これは、ユーロの対ドル上昇により生まれたものであるという見方もあれば、今後の免除対象品目の交渉は、まだ続いているという見方もあります。
すでに航空機部門や特定の化学物質、特定の農産物および重要な原材料に関しては、この免除対象品目に加えられています。
これに続くものとして、フランスにとって、大きな影響を受けると言われているワインやスピリッツについては、先行きが見えない状態が続いています。
2024年にEUは、最大の輸出市場であるアメリカに50億ユーロのワインを含む80億ユーロ相当のアルコールをアメリカに輸出しています。そのうちの約半分はフランスが占めており、合計で24億ユーロ相当のワインと15億ユーロ相当の蒸留酒がアメリカで販売され、これは、アメリカの輸出量の約25%に相当します。
例えば、ボルドーワインの売上げの20%はアメリカでの販売によるものと言われています。
彼らが関税の免除を求めるのも無理からぬことであることは言うまでもありません。
しかし、一方では、この手の国際ニュースに対しては、通常ならば、すぐに反応し、なんらかのステートメントをSNS上などで発表するマクロン大統領が現在のところ沈黙を続けているのには、なにか、別の動きが水面下で行われているという見方もあります。
この貿易協定が締結されてしまった今、望みの綱は、この免除対象品目のリストがどの程度に拡大されるかですが、これは、週末に発表される予定とのことで、この時点で何らかの説明がマクロン大統領からなされるのではないか?とも言われています。
これら欧州からの輸出品に関する課税に対して、現在のところ、アメリカ製品に対しては0(ゼロ)となっていることについて、特にIT(情報技術)、電子機器などの分野では、欧州には、代替品を生み出す能力がないということも同時に指摘されていることでもあります。
いずれにしろ、なんだか振り回されている感が拭えないこの貿易戦争の行方は、まだまだ、混迷していきそうな気配です。
欧州・米国間 貿易関税15%
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