昨夜、ニュースをなんとなく見ていたら、「ニームでロックダウン!」という話が聞こえてきて、私としては、ロックダウン=パンデミック・・のイメージが抜けておらずに、「えっ?なんで今ごろ?」と思ってしまったのです。
ところが・・というか、これは、簡単に言えば、極端な治安の悪化のための、未成年者に対しての、夜間外出禁止令がだされたということでした。
未成年者対象とはいえ、この夏のバカンスシーズンに夜間外出禁止令が発令されているニーム(Nimes)(フランス南部ガール県の県庁所在地)では、ここ数ヶ月、ニームの4つの地区では、脅迫、報復、銃撃、さらには、殺人事件が増加しており、特に、ここ14日間で8回の銃撃事件が起こっています。
単なる軽犯罪や事故が増加というのとは違って、襲撃事件、殺人事件が増加というのですから、恐ろしい話です。
これは、麻薬密売に関わるギャング間のさまざまな人身売買行為を統制するための超暴力的な闘争であり、勢力争いと見られていますが、その方法などがかなり残酷で、このそれぞれの勢力が自分たちの力を誇示し、相手を震え上がらせることを目的としているために、隠すどころか、殺人の次第をSNSに載せたりしているところが、想像を超えるところです。
このうちの最も残酷なものは、7月15日に起こった殺人事件で、被害者の19歳の男性が、拉致された後、全身を縛り上げられたあとに、頭部を1発目として3発の銃撃を受け、その後、加害者たちは、遺体にガソリンをかけ、火をつけました。
この様子は、撮影されており、その後、すぐにSNSで公開されていて、被害者の苦痛と、その後の身体の焼け具合を映し出すこの映像は9秒程度のものだそうです。
被害者はニーム南部の出身のかろうじて成人したばかりの若者で、炭鉱労働者であると同時に麻薬密売人でもあり、家族ともども、何日もSNS上で脅迫を受け続けていたと報じられています。
彼の焼け焦げた遺体は、サンベネゼの低木地帯で散歩をしていた人に発見されたそうですが、散歩をしていて、とんでもないものを見つけてしまったこの発見者は、ちょっと立ち直れないくらいの衝撃を受けたことでしょう。
この殺人事件は、もっとも残忍な事件ですが、この他にもバルデグール地区で、自動小銃による襲撃事件で6人が負傷、うち1人が重症、また、ジョルジュサンドショッピングモールで複数の店舗が銃撃を受け、少なくとも、11回の警察との衝突がありました。
このようなかたちで、ほぼ毎日が襲撃事件というこの地域、これでは、無関係の人が巻き込まれる危険も当然あるわけです。
また、このような銃撃の実動を請け負っているのは、未成年者だったりすることも珍しくはない話で、本物の黒幕は、表には出てこないのです。
これらの事件は、ガール県とエロー県の国家警察の合同局組織犯罪課が委託を受けて捜査が続いているようです。
この事件のひとつひとつを見ていると、まるでホラー映画か質の悪いバイオレンス映画のようで、「これ?どこの話よ!」などと思うのですが、私の住んでいるフランスの話なのです。
そこへ行くと、逆に現在のパリは、観光客もいっぱいで、警察官もいっぱいで、ずっと平和な気がしてきました。
ニーム ロックダウン
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