2025年9月2日火曜日

フランスで新生児スクリーニングが拡大 新たに3つの重篤疾患も対象に・・

  


 フランスでは新生児スクリーニングの対象が拡大され、乳児脊髄性筋萎縮症、重症複合免疫不全症、極長鎖アシルコエンザイムA脱水素酸素欠損症があらたに対象に加わりました。

 脊髄性筋萎縮症を含む3つの重篤疾患は、9月1日から、出生時にスクリーニングされます。

 これまでフランスでは、生後2~3日以内に乳児のかかとから、数滴の血液を採取し(吸取紙に採取する検査)が義務ではありませんが、強く推奨されており、13の疾患について、無料で検査が提供されてきました。

 私が出産したときには、こんな話は全然、知らなかったので、まあ、フランスではなく、アフリカでの出産だったため、今になって、こんな話を聞くと、「え~~~?こんな検査、本当はしなければならなかったんだ!」と驚くばかりですが、幸いにも、娘は健康に育ってくれたので、助かりましたが、これからフランスで出産する方がいたら、このような検査が無料で提供されていることは、知っていてもいいかもしれません。

 今後は、あらたに3つの重篤疾患を含む16の検査をしてくれるわけですから、万が一に備えて、一応、やってもらった方が良いのではと思います。

 今回検査に加えられた3つの疾患の中でも、乳児脊髄性筋萎縮症(SMA)は最も多く、7,000人に1人の乳児に発症します。これは不可逆的な神経筋変性を特徴とする非常に重篤な遺伝性疾患です。最も重篤な場合、罹患した乳児は2歳になる前に死亡し、急速に摂食障害や呼吸困難に陥ります。

 しかし、早期治療によって、その影響を大幅に削減することができます。

 他の2つの疾患はさらに稀です。重症複合免疫不全症(SCID)は30,000人に1人の割合で発症し、乳児の免疫系を著しく弱めますが、生後2ヶ月以内の骨髄移植で治療可能です。極長鎖アシルコエンザイムA脱水素酵素欠損症(VLCAD)は100,000人に1人の割合で発症し、出生時から高度な栄養管理が必要となります。

 まさに万が一に備えてという確率ではありますが、万が一にもこれらの重篤疾患が認められた場合、早期治療ができるか否かは、大変な違いが生まれます。

 フランスは長らく、この分野では先進国であり、過去50年間で4万人の子どもがスクリーニングによって治療を受けてきました。

 しかし、イタリアなどは、出生時に約40の疾患をスクリーニングしているそうで、現状では、まだまだ・・という声も多いそうです。

 まったく、私は、自分が出産した時には、何の知識もなかったので、今になって聞いて、びっくりすることが多いのですが、本当に無知な親のもとに生まれた娘が無事に健康に育ってくれたことは、奇跡的なような気がしています。


新生児スクリーニング拡大


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2025年9月1日月曜日

エッフェル塔などへのテロ攻撃を計画していた未成年者2人逮捕・起訴

  


 パリでシナゴーグ(ユダヤ教の礼拝堂)やエッフェル塔へのテロ攻撃を計画していた未成年者2人(2008年生まれの17歳と2010年生まれの15歳)がジハーグ主義的(外部からの攻撃への抵抗のためや安定を手にするためのの闘い)な暴力行為を計画していたとして、逮捕・起訴されています。

 2023年以降、この種のへの未成年者の関与が急増しており、テロ対策関係者の間で懸念の的となっていることを受けて、彼らは犯罪的テロ共謀罪で起訴されました。

 アラブ系イスラム教徒の家庭出身のこの10代の若者たちは、暗号化されたメッセージサービスで作成された専用グループで互いに連絡を取り合っており、彼らはイスラム国に強い関心を持ち、そのプロパガンダを拡散していました。彼らは、このメッセージサービスの中で、海外でもジハード攻撃を行うことを話し合っており、超暴力的なコンテンツの熱心な視聴者でもありました。

 彼らはすでに関心の段階を超えており、すでに行動を起こすことを検討しており、様々な暴力行為の計画を練っており、反ユダヤ主義と中東戦争を背景にしたシナゴーグやジハード主義の象徴でもあるエッフェル塔などの具体的な場所も選んでいました。

 2人の未成年者たちは、すでにこの計画のための武器入手の段階に入っており、サイバー犯罪のスーパーマーケットともいえるダークウェブにおいて、武器の調達の準備を進めていました。しかし、この2人の未成年者たちは、テレグラムでのチャットグループに参加していたために、面識があるわけではないといいます。

 この互いに面識のないもの同志が、犯罪を計画して実行に移そうとするというのは、最近の未成年者のネットによる犯罪加担の特徴でもあります。

 国家反テロ検察庁(Pnat)は、「数年前には、テロ関連犯罪で起訴された未成年の数は、片手で数えられるほどだったが、2023年には15人、2024年には18人、2025年には、既に7月1日の時点で11人に達している」と報告しています。

 今回の2件の新たな起訴により、今年の起訴は既に13人になっています。

 弁護士や裁判官など、司法に携わる者によれば、これらの少年たちが過激化(主にジハード主義運動)する前には、非行少年ではなかったこと、そして、その多くが極度の内気さを露呈していたり、家庭環境が脆弱であったりすることなど、いくつかの特徴があると述べています。

 9月には、14歳と15歳のときに、ベルギーのイスラエル大使館に向けて、トラックを爆破する計画をたてた3人の少年の裁判がパリで行われる予定だそうです。

 まだ、若いのに・・というべきか、若いからこそ、無謀なことに強烈なエネルギーを傾けようとしてしまうのか? 

 恐ろしいことです。


未成年者のテロ攻撃計画


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2025年8月31日日曜日

フランス料理の人気はすたれているのか?

 


 ちょっと別の記事で、「パリの観光地?で食事をしている観光客を見てみると、カフェやブラッスリーのような感じのお店で、多くの人が食べているのは、ピザ・・もしくはハンバーガーなどだ・・」という話を書いていて、ピザってすごいな!と思うと同時に、フランス料理って人気なくなってきているのかな?と思わざるを得ない気がしてきました。

 今や、パリのカフェやブラッスリーのようなお店では、クロックムッシュ(やクロックマダム)が置いていないお店が多くなって、ハンバーガーを置いているお店はが増えた気がします。

 そして、見事なサイズのハンバーガーをフランス人はそういったお店で食べるときには、器用にナイフとフォークで食べているのも奇妙といえば、奇妙な光景です。ハンバーガーに代わるフレンチといえば、クロックムッシュだとも思うのですが、たとえ、そのお店にあったとしても、これを食べている人はあんまり見かけなくなりました。

 まあ、似通った(似てはいないけど、なんとなくパン(パイ)生地を使ったお料理という意味では、キッシュのような軽食ですが、こちらもレストランで食べている人はあんまり見かけないし、むしろ、ブーランジェリーやお惣菜のお店でテイクアウトのものを買っている人は、けっこういるかもしれません。

 また、おやつというか、軽いスナック?のフレンチの定番といえば、クレープだと思うのですが、こちらもまた、以前に比べると、ずいぶんとお店が減ったような気がします。

 いわゆる日本で売っているクリームやフルーツなどで、豪華にデコレーションなどしたクレープではなく、フランスのものは、お店で食べるものでなく、テイクアウトなどの場合はかなりシンプルなものです。

 まあ、クレープが消えた・・とまでは行きませんが、以前に比べるとずいぶんすたれたような印象があります。

 このクレープに代わってといったら、みもふたもないのですが、最近、やたらとアイスクリーム屋さんが増えたような気がします。しかもイタリアのアイスクリーム屋さんです。

 考えてみれば、フレンチの代表的な料理といったら、何なんでしょうか?たしかに、パンの類、バゲット、クロワッサンやパンオショコラなどのヴィエノワズリー?は、美味しいし、お手軽ではありますが、これだけで食事というには、寂しく、また、一方で思い浮かぶのは、フォアグラとかトリュフとかエスカルゴ?などは、これもまた、美味しいものではありますが、そうそう気軽に食べられるものでもありません。

 となると、フランスに行って、「これが食べたい!」と思われるものはなんなのでしょうか?また、ピザなどのように、どの国にもかなり深く浸透して人気の食べ物ってフランス料理にあるのでしょうか?

 そこへ行くと、日本のお寿司やおにぎりなどは、今やかなり深く浸透し、簡単な食事におにぎりや巻きずしなどを抱えている人はパリにも多いし、かなり世界的にポピュラーな食べ物になりつつある気もします。

 ところが、サンドイッチなどは、まあ、どの国でもあるもので、フレンチにはカウントしないとすると、ほんと、これこそは!という人気のフランス料理ってないんじゃないか?と今さらのように思うのです。

 私など、旅行先を選ぶときは、美味しい食べ物があるところを探すようになっていますが、海外の観光客がフランスに行って、ぜひ!あれを食べたいって思うようなものが、ぼやけてきてしまっているというか? 食べ物にも流行りすたりがあるとはいえ、これは!というものが、フレンチにはないような気がするのですが、いかがでしょうか?


フランス料理の低人気


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2025年8月30日土曜日

パリの超おススメ インド料理のお店 Delhi Bazaar

  


 私は、あまり外食をする方ではありませんが、色々、評判を聞いたりして、これは行ってみたい!と思うところがあれば、行ってみるようにはしていますが、私の信条としては、外食の高いパリでは、高いからといって、必ずしも美味しいわけでもなく、むしろ、これで、こんなにするの??と思うところも少なくありません。

 つまり、高いからといって必ずしも美味しいとは限らないのですが、まあ、これだけ出せば、美味しいだろうな・・と思うようなところは、あまり興味がなく、お値段がまあまあ、納得のいく範囲内のところで、美味しいお店を探すことが楽しいのです。

 そして、もう一つの外食の目的は、自分では、作れないであろうものということで、逆に言えば、そこそこのものならば、多少、良い食材を揃えれば、自分で作った方が絶対に全然、美味しい(自分の好みにできるということもありますが・・)と思ってしまうのです。

 まあ、友人とおしゃべりするために外食をすることもありますが、そんな時も、私はできるだけ、日頃から行きたいお店を見繕っておいて、友人に「行きたいところがあるんだけど、ここ行ってみない?」と提案します。

 今回みつけたインド料理のお店は、最近、パリ市内になぜかインド料理屋さんが増えたな・・と感じていて、家の近所にもインド料理のテイクアウトもやっているレストランができて(中華料理のお店が潰れて、新しくお店ができたと思ったら、インド料理でした)、最初は、「なんで?インド料理?」と思ったのですが、どうやら、爆発的に増えているというほどではないにせよ、気を付けてみていると、「あれ?こんなところにもインド料理?」と思うことが増えたという程度です。

 しかし、これだけ増えているということは、きっと美味しいインド料理屋さんがあるはずだ・・と思い、探したところ、見つけたのが今回のお店です。

 以前にも、ここ本当にパリ?と思うようなインド人街みたいな場所があって、その中の一軒に行ったことがあったのですが、そこは「まあ、悪くはないけど・・」という程度で、そこまでの感動はありませんでした。

 しかし、今回のお店はちょっと感動的でした。

 まず、店内に入ると素晴らしいスパイスの香り・・調理中のスパイスの香りが漂い、胃をまさに直撃。




 テラス席にしますか? 店内の静かな場所が良いですか? それとも厨房の近くが良いですか? と聞いてくれたので、私は、ぜひ、厨房も覗いて見たかったので、厨房の近くの席にしてもらいました。

 活気のある厨房というものは、一目でわかります。けっこうたくさんの男性がキビキビと働いていて、見ていて全く飽きません。




 そして、接客してくれる店員さんが、とにかく感じよくて、「初めてですか?」、「ハイ、初めて来ました!」というと、丁寧にメニューの説明をしてくれます。そんな超感じのよいお姉さんに「一番人気のメニューは何ですか?」と聞いてみたら、「バターチキンですよ!」と即答してくれたので、「それでは、そのバターチキンをお願いします」と注文。



 本当は、なにかのメインとガーリックかチーズのナンをサイドに頼もうと思っていたのですが、「バターチキンには、スパイスの効いたバスマティのライスが一番合うわよ!」と教えてくれたので、ここは素直にお姉さんの教えに従い、ライスを注文しました。




 店内はとても賑わっていて、満席、時間帯がよかったのか、外に人が並んでいるほどではありませんでしたが、夜などは、ほぼほぼ予約しないと入れないとか・・。




 しかも、お値段が非常に良心的で、いわゆるアントレみたい(インド料理ではなんというかわからない・・すみません)なものは、10ユーロ以内、タンドリーなどのグリルが10ユーロ程度(ラムだと15ユーロ)、メインのカレーなどは、13ユーロから22ユーロまでで、今回、私が食べたバターチキンとライスで16.5ユーロでした。

 出てきたバターチキンは、それはもうコクがあって、それこそ、このスパイスの配合は、絶対に自分ではできないお料理です。また、中に入っているチキンもたっぷりあって、またグリルしてあるものが煮込んであるので、まだ、そのグリルの香ばしさがそのまま残っていて、これはもう絶品でした。

 パリでランチでこのクォリティでこのお値段。そうそうあるものじゃありません。

 後で、クチコミ等を見てみたら、とにかくこのお店のお料理のクォリティとお値段、そして、このお店の店員さんが感じよいとみんなが絶賛。リピーターも相当多いようで、「家族がどうしても行ってごらん!というので、来たけど、来てよかった!」などと、書いていました。

誰か知らない人が頼んでいたデザート 
美味しそうだったけど、お腹いっぱいで食べれませんでした


 私も最近は、こう言っては何ですが、そうそう外食で感動することも滅多にないのですが、ここは、スパイスの威力もあいまって、また、正直、そんなに期待していなかった(特に、前回、言ったインド料理のお店は大したことなかったので・・)のもあって、余計に感動したのでした。

 帰り際、お姉さんに「すっごく美味しかったです!絶対にまた、来ます!」と宣言して、ごきげんなランチタイムを過ごしました。

 美味しいものに感動して、思わず笑顔になって、ニコニコしている自分に、私って、単純だな~と思いつつ帰途についたのでありました。

 パリでインド料理??と思う方も多いかもしれませんが、ここは、かなり良かったです。

 

🌟Delhi Bazaar  71 Rue Selvan 75011 Paris  

      月~金12:00~14:30, 19:00~22:30, 土、日 12:00~15:30, 19:00~22:30

       英語のメニュー


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2025年8月29日金曜日

パリの大気汚染は、ここ10年間で改善してきているらしい・・

  


 エアパリフ(Airparif 独立機関)がパリ市と共同で実施した調査によると、パリの大気汚染は、2012年から2022年の10年間で、大幅に改善したと報告しています。

 2012年から2022年の間にパリの道路交通量は34%、環状道路は7%減少しています。

 エアパリフは、これらの取り組みは、地方、国、欧州といった様々なレベルで実施された公共環境政策の結果であると述べています。

 これらの対策により、パリ市民がさらされている大気汚染レベルは、二酸化窒素(NO2)で平均40%、微粒子状物質(PM2.5)で平均28%減少し、道路交通からの二酸化炭素排出量は、35%減少しています。

 大気汚染問題については、特にパリは様々な規制が厳しく、車に関しては、当初は、日によって、ナンバープレートが奇数とか偶数とか、運転できる日が限られていたりした時期もありましたが、ここ最近では、住民や、警察、救急、あるいは、配達用の車などの特別な車両以外は、通行できない地域が増え、本当に車が減った印象があります。

 また、特にパンデミックの間に広まった自転車利用についても、大きな道路の車線には、だいたい自転車用レーンが設けられるようになり、また、かなりの人がけっこうなスピードで走っていたりするのには、驚かされるほどです。

 こんな調子で自動車への規制がものすごくうるさいので、車を手放してしまった人も多いような気がします。

 ちょっと郊外に出れば、それこそ車がないと生活するのに大変不便だったりするようですが、実際にパリ市内の場合は、公共交通機関もほぼ、くまなく網羅されているし、そもそも通れる道は、かなり限られていて、目的地に行くのに、すごく遠回りしなければならなかったり、行く先々で、駐車スペースには、酷く苦労するし、そのうえ、路上駐車(合法スペース)などしようものなら、いつ車上荒らしに遭うか、ヘタをすると燃やされたりしかねないし、あまりにリスクが大きすぎるのです。

 なので、我が家のアパートの駐車場などは、現在の場所に引っ越ししてきたときには、ほぼほぼ駐車場は、満車の状態だったのに、現在では、駐車してある車は、半分どころか、2~3割くらいしか、停まっていないんじゃないかと思うくらい車が減っています。

 パリの場合は特に、健康な人が生活するのには、車なしでも全く困らないので、こうして、大気汚染が実際に改善されてきたという話を聞けば、これでよかったんじゃないかな?とも思います。

 規制ばかりが厳しくなっていくと、なんか鬱々とした気分にもなりがちですが、こうして、成果があらわれてくれば、こういう規制も必要だったと思うのですから、勝手なものです。

 東京とパリでは規模が違いすぎて、東京でパリのような規制を敷くのは不可能だとは思いますが、東京ではどんな大気汚染対策をしているのかな?と少し気になります。


パリ大気汚染改善


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2025年8月28日木曜日

秋には本当にフランスにバター不足の危機がやってくるのか?

  


 夏の間の猛暑は私たち人間だけでなく、動物たちにとっても苦しい季節でもあります。この夏の異常な猛暑は牛乳生産に深刻な影響を与えており、それにつれて、バター生産も危機に陥る可能性があります。

 また、この猛暑だけでなく、ブルータング病(昆虫によって媒介される反芻動物に感染するウィルス性の病気)の流行も重なり、乳牛たちも苦しい夏を過ごしました。

 この現象により、牛乳の搾乳量は、特に6月末から7月初旬にかけて、大幅に減少したために、バター不足に陥るのではないか?という懸念の声が拡がり、実際にブーランジェリーやパティスリーなどの間では買い溜めを始めている者も出始めているというのです。

 しかし、国立酪農経済専門職連携専門センター(CNIEL)によれば、実際には、一般消費者向けのバターに関して、スーパーマーケットの棚からバターが消えるようなことにはならないし、バター不足に陥る恐れはないと断言しています。

 近年、フランスではバターの消費量が増加しており、特にペストリーなどの商品が好調となっています。それは、一般消費者である私がブーランジェリーなどを覗いて歩いているときにも感じることで、以前に比べると、ブーランジェリーに並ぶペストリーの種類が驚くほど増えてきたと思います。

 まあ、これも需要と供給のバランスによるものなのでしょうが、これがまた、よく売れているようです。外食の値段があまりに高くなったので、それを台頭するかたちで、ブーランジェリーが手を変え、品を変え、外食を台頭するかたちで、発展を遂げているような気がします。

 また、専門家によれば、熱波やブルータング病の流行にもかかわらず、今年の牛乳搾乳量は、2024年と同程度になる見込みであり、また、近年のフランスでは、牛乳の搾乳量が増えなくても、バターの生産量は増やすことができる技術があるといいます。

 これを裏付けるように農業省のデータによると、今年の5月末のバター生産量は、2024年の最初の5ヶ月と比較して、1.7%増の16万2,029トンでしたが、一方、牛乳の搾乳量は、同時期に0.9%減少しています。

 実際には、バターはほぼ例年どおりに生産できているわけです。

 しかし、牛乳やバターなどは国内需要だけでなく、海外市場が大幅に伸びており、輸出は44%増と驚異的な伸びを記録しています。海外の方がより高価格で売れるために、これらの業者が輸出に力を入れ始めていることは、まぎれもない事実。

 2017年には、この国内需要と海外への輸出のバランスが崩れ、一部のメーカーがフランスの小売業者よりも海外への輸出を優先させてしまったために、国内ではバター不足が起こり、買い溜め現象が起こり、混乱が起こったことがありました。

 今回も原因が何にせよ、バター不足が起こるかもしれない!という推測がこれ以上広まれば、また、以前のような本当にスーパーマーケットの棚からバターが消えるようなことになりかねないかもしれません。

 個人的には、バターはあってもなくてもいい・・くらいのものですが、フランス人にとっては、日本でお味噌やお醤油がなくなるくらいの感じかもしれません。

 しかし、冷静に状況を見極め、慌てず、ムダは買い物をしないように、気をつけたいものです。


バター不足の危機


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2025年8月27日水曜日

8月の最後の週のパリは・・

  


 多くの人がバカンスに出て、その間、お休みにしてしまうお店もけっこうあるパリは、夏のバカンス期間中は、なんとなくガランとした感じで人も少なく、観光客が多い場所にさえ行かなければ、この時期ならではの独特な静けさがあって、私はこの期間が好きです。

 しかし、8月も最終週となり、新年度が近付いてくると、ぼちぼちとパリジャン・パリジェンヌたちは、パリに戻ってきています。

 それでも、本格的に日常に戻るのは、9月に入ってからなので、まだ人々が戻り切っていない、それでも閉めていたお店が再開している、この9月までのギリギリ若干人が少ない今週は、空いているパリを楽しめる一週間です。

 なので、この8月の最後の週の1週間は、いつもなら、混んで大変なお店やレストランに行っておきたい!となんとなく、去り行く夏を惜しむかのごとく、毎日、忙しく出かけています。

 このバカンス期間閉まっていたお店なども、ほんのり日焼けした人たちがバカンス気分の余韻を引きずっているような感じでどこかほんわか気分が漂っているのは、なんとなく微笑ましいところもあるのですが、気をつけないと、大変な目に遭うこともあります。

 先日、あるお店で、このバカンス気分が抜けきっていない感じのおばさんがいて、お会計をしてもらったところ、なんかおかしい??と思って確かめてみたら、なんとまるまる100ユーロ違っていました。

 すぐにその場で気が付いて、申し出たからよかったものの、危うく大惨事(私にとっては大金!)になるところでした。

 指摘すると、さすがにおばさんも、焦って「ごめんなさい!」とすぐに謝って、訂正してくれたのですが、こちらもボーっとしていたら、そのままになってしまうところでした。

 夏のバカンス期間中は、けっこうバカンスに入っている正規職員の代わりに学生らしき若いアルバイトの子たちがいて、この子たちは、何をやるのもキビキビ素早くて、感じもよくて、この期間にこの若い子たちの接客に遭遇するのが楽しみでもあるのですが、バカンス期間が終わると、この学生さんたちもアルバイトを終えて、姿を消してしまうのがとても残念な気持ちになります。

 こんなことを言うのは、おばさんたちには失礼なのですが(私もおばさんの身の上で・・)、パリでおばさんの接客に遭ったら、要注意、特にバカンス明けのこの時期は、さらなる注意が必要かもしれません。


8月最終週のパリ


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2025年8月26日火曜日

フランソワ・バイルー首相 首相辞任の危機 9月8日信任投票

  


 フランソワ・バイルー首相は、25日、「財政管理」という重要課題について、9月8日の国民議会の臨時会期前に憲法第49条第1項に基づき、その日に総合政策声明を発表し、政府の責任を問うと発表しました。

 年金改革問題の際に多くの国民から大反発をくらった憲法第49条第3項は、首相の権限において、採決なしに法案を突破させるものでしたが、今回の憲法第49条第1項は、(場合によっては、一般的な政策声明を発表したのち)政府の政策に関する責任を国民議会で決議するというものです。

 バイルー首相はこの方法を選択する目的について、国家の財政的危機がいかに深刻でいかに緊急を要する問題であるのかという核心的な問いを明確に提起することであると説明しており、過剰債務のリスクを指摘し、それが我々に重くのしかかる差し迫った危険であると考えており、「今年は660億ユーロ、来年は最大で750億ユーロに達する見込みであり、国家予算の中で最大のものになる」と予告しています。

 この採決は二者択一の極めてシンプルな決定で、一般的な政策声明の採決で、過半数を得れば政府は承認され、過半数を得られなければ政府は倒れる。つまり、政府が政権を維持するためには、絶対多数の賛成票を得る必要があり、国民議会が政府の政策表明を否決した場合、「首相は、辞表を共和国大統領に提出しなければならない」と憲法第50条に定められています。

 バイルー首相の説明していることは、もっとも急を要する問題に集中するという意味では、正攻法と思えないこともありませんが、実際には、彼は自らを政権崩壊の危機に晒すリスクを孕んでいます。

 実際に6月に発表された財政削減案については、国民からの多くの反発も呼んでおり、実際に9月10日には、それに抗議するカタチで大規模デモ・ストライキが各方面から発表されています。

 すでに政府内の各党、マリン・ルペン氏がRNは政府の信任投票に反対票を投じると表明しており、また、LFI(自由民主党)、PCF(共産党)、UDR(統一民主党)も同様の意を表明し、社会党も信任投票などあり得ない!と主張しています。

 もう現時点で、この9月8日の採決の結果は、ほぼ絶望的と見られますが、これから約2週間の間にバックヤードでどのような話し合いが行われるのか?また、それによって、結果がひっくり返されることがあるのか?

 この無謀とも思える首相の発表にフランスは騒然となっています。


憲法第49条第1項 9月8日


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2025年8月25日月曜日

RER C線の乗客が発見したセーヌ川に浮かぶ4体の遺体

  


 ショワジー・ル・ロワ近郊のセーヌ川で、付近を通過するRER C線の乗客からセーヌ川に浮かぶ遺体を目撃したという通報により、4体の遺体が発見されました。

 パリ及び、パリ近郊のメトロや電車の車窓からは、セーヌ川が見える路線もけっこうあり、そんな地点を通過する時は、なんとなく、セーヌ川を眺めて景色を楽しむことも多いのですが、まさか電車の中から遺体が浮いているのを目撃するなどということがあるのだろうか?あったとしたら、それは、もうとっても驚くだろうな・・と。

 セーヌ川には、色々なものが浮いていますが、まさか人間の遺体・・しかも4体も・・。

 通報により駆け付けた消防隊が遺体を確認し、殺人事件として捜査が開始されました。

 検死の結果、2体の遺体には、絞殺を思わせる激しい傷が確認され、残りの2体についても原因不明の疑わしい痕跡が確認されたそうです。

 被害者4人は男性で、クリテイユ在住の48歳のフランス人男性(遺体発見現場周辺を頻繁に訪れていた可能性あり)、ショワジー・ル・ロワ在住の21歳のアルジェリア人男性、そしてホームレスの男性2人(21歳のアルジェリア人男性と26歳のチュニジア人男性)でした。

 犠牲者のうち1人は下半身が裸の状態で、もう一人はズボンを足首まで下した状態で発見されています。

 容疑者は市場や建設業界で働いている24歳のアルジェリア生まれの男性で、遺体発見現場近くの不法占拠住宅に住んでいて、被害者の一人の文書を所持していたと言われ、被害者と容疑者を結び付ける物的証拠として押収されています。

 また、アルジェリア人の被害者が行方不明になった翌日から彼の携帯のSIMカードを使っており、またチュニジア人の被害者が行方不明になった翌日に容疑者は彼のクレジットカードを使用したと見られ、その映像が防犯カメラに残されていました。

 遺体の身元確認作業は指紋、生物学的証拠、DNA鑑定が行われ、比較的速やかに判明したそうです。

 遺体発見現場周辺は、同性愛者の出会いの場として知られている場所なのだそうで、この被害者たちの中の少なくとも1人は同性愛者であったことがわかっており、被害者たちは、ここを頻繁に訪れていた者たちであることが確認されています。

 容疑者は、これまでの経歴については簡単に述べたものの、現在のところ、事件に関するコメントは拒否しているようです。

 しかし、この容疑者は、すでに今年の1月に車両損壊を伴う窃盗罪で9月には裁判の予定だったそうで、また8月にも、盗品受領罪で刑事命令の召喚状を受け取っていた、云わば札付きの人物であったそうです。

 彼の身柄は現在、公判前拘留で確保されていますが、殺人事件に関しては、被害者4人が行方不明になった日がバラバラにずれていることから、一度に4人が殺害されたわけではないことがうかがえますが、それにしても同じ場所に遺体を遺棄したことが、全ての殺人を紐づけることになってしまいました。

 容疑者は口を閉ざしているため、動機は金銭目的であったのか?はたまた人間関係のトラブルによるものであったのかは不明です。

 しかし、パリプラージュだの、セーヌ川で泳ぐ遊泳場だのある同じ川(少し場所は離れているとはいえ・・)で人間の遺体が浮いているとは・・何と言ってよいのか、言葉がみつかりません。


セーヌ川に浮かぶ4体の遺体


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2025年8月24日日曜日

「9月10日 全てを封鎖せよ!」9月に大規模ストライキがやってくる!

  


 長い夏のバカンス期間の終わりがもうすぐそこにやってきたことを実感させられるのが、新年度の始まりとともに、呼び掛けられる9月からのストライキの呼びかけ・・というのは、いかにもフランスです。

 今年の新年度は、「9月10日!全てを封鎖せよ!」というスローガンが掲げられ、このストライキやデモの動きを各方面が同時に行い、集結させることで、インパクトを大きくしています。

 ストライキといえば、常にまず先頭に立つのは、鉄道関係で、現在のところは、SNCF(フランス国鉄)、そして、それに続いて、全国タクシー連盟、薬局、薬剤師業界、パリ公立病院協会(AP-HP)、鉱業・エネルギー連盟などがなまえを連ねています。

 それぞれに訴えは様々ではありますが、基本的には、7月に発表された政府の財政削減策に反対するものです。

 SNCF(フランス国鉄)に関しては、現在のところ、Sud-Rail(南レール)だけが、鉄道部門の全労働者に対し、「鉄道部門のあらゆる活動を阻止する!」と呼びかけ強力なストライキを構築することを呼び掛けています。

 また全国タクシー連盟(FNDT)については、患者輸送費改革に反対しており、9月5日から空港、駅、国境、燃料配給所、さらにはパリ・シャンゼリゼ通りまで封鎖する予定にしています。

 そして、薬局に関しては、ジェネリック医薬品に関して提供できる商業割引の削減に抗議するもので、8月中にもすでにストライキが行われていましたが、9月に入ったら、それを一層、動員を強化するという予告通り、この動きを強化する模様で、9月18日にも薬局の閉鎖が続き、その後、9月27日からは、毎週土曜日も閉鎖されると予想されています。

 エネルギー部門では、CGT鉱山エネルギー連盟が9月2日に結集を呼び掛けており、最近のエネルギーコストの上昇を強く批判しています。

 イル・ド・フランス地域では、AP-HP病院グループ(38の施設と約10万人の医療従事者を擁護する)のCGT、FO、CFTC、UNSAの各組合がパリ公立病院(AP-HP)全体の統一ストライキに供えるために、8月25日から総会を開催するよう呼び掛けています。彼らもまた、医療分野における経済対策に抗議する意向を示しています。

 こうなってくると、あと、思い当たるのは、学校などの教育部門ですが、現在のところは、学校関係についてのストライキの予定は、まだ発表されていません。

 このようなストライキは、いつものことではあるものの、また、大混乱を引き起こすことは明白ですが、ここがフランスのフランスたる所以で、国民の70%は、政府予算に抗議するデモに賛成していると言われています。さすがです。おフランス。


9月10日 フランス全土封鎖


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2025年8月23日土曜日

La Poste フランス郵便局 税関規制の厳格化を受け米国への小包配送を停止

 


 トランプ大統領によって発令された大統領令により、8月29日をもって米国への小包配送に対する免税が廃止されます。つまり、これまで免税措置が取られていた800ドル未満の郵便配達物に、欧州連合(EU)からの他の製品と同じ水準、つまり15%の税金を課されることになります。

 La Poste(ラ・ポスト フランス郵便局)は、米国の税関規則の厳格化を受け、個人間の100ユーロ未満の贈答品を除き、8月25日をもって米国への小包配送を停止すると発表しました。

 フランス郵便局は、プレスリリースで、「仕様や技術的手続きが未完成であり、準備期間が極めて短いため、やむを得ず、この結果を下した」と説明しています。

 この米国への小包配送停止を決定しているのはフランスだけではないようで、ベルギー、スペイン、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、オーストリア等の他の欧州諸国もこの米国への小包配送の停止を発表しています。

 要は、急な発表により、準備ができていないため・・ということなのでしょうが、迷惑千万な話です。しかも、安くなる話ならともかく、余計にお金がかかるようになる話なので、余計に腹立たしく感じます。

 ラ・ポストは、年間平均約160万個の小包を米国に発送しており、そのうち80%は企業からのもので、20%は個人からのものです。しかし、ラ・ポストによると、クロノポストは、通常通りに営業しているために、この影響は受けないとのことです。

 個人的には、米国に小包を発送することはないので、あまり影響はないのですが、この配送料金のうえに、さらに税金・・というのは、なんだかモヤモヤするところです。

 数年前からフランスも例えば、日本から受け取る小包に対して税金がかかるようになりましたが、これも、いま一つ、その基準が曖昧で、何にどれだけ税金がかけられているのかもわからないまま、税金の金額だけ請求されて、それを支払わなければ、小包は送り返すことになります・・と脅されるので、仕方なく払いましたが、こんな些細な小包になんで?税金かけられるの? 発送の際にも恐らく高い配送料に加えて税金を払っているのに、またさらに受け取るときに税金とは・・腹立たしいばかりです。

 また、こちらから、海外に小包を送る場合(私の場合は日本へ送る場合)ですが、そもそも国際郵便そのものに慣れていない郵便局員というのもなかなか多いわけで、郵送料と税金を払ったにもかかわらず、届かないという危険性もあります。

 なので、なるべく国際郵便を受け付けなれている郵便局からの方がマシだと思い、一時は、職場の近くの郵便局を利用していました。

 かと思うと慣れているだけあって、郵便局内での盗難事件もけっこうあったりして、一度、同僚が日本の友人に宛てて送ったはずのマフラーを素知らぬ顔をして郵便局員が身に着けて窓口に出ていたのを彼女がみつけて、大騒ぎをしたことがありました。

 たまたま、そのマフラーが特別に作ってもらった一点ものの限定品だったために、発覚した模様です。

 なにしろ、米国の今回の関税だけでなく、小包の発送に関しては、トラブルなしには語れないくらい、常に問題が山積み。

 さらなる問題が起こるまえにサービス自体を停止してしまうというのも、一時的だろうとは思いますが、まあ、トラブルを避けるためには、賢明なのかもしれません。


米国への小包配送停止


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2025年8月22日金曜日

食品のカドミウム汚染 チョコレートの過剰摂取に警告

  


 フランスの消費者保護団体 UFC-Que Choisirは、食品に含まれているカドミウムが健康に及ぼす被害について警告を発し、中でも、とりわけチョコレートやココア製品には、健康に有害(特に子ども)な重金属であるカドミウムが相当量含まれているとし、過度な摂取を控えるように呼び掛けています。

 これは、フランス人にとっては悲報といってもよい話で、フランス人はチョコレートが大好きな国民で、日常のお菓子類にしても、実にチョコレートを使ったものが多く、また、なにかといえば、「ショコラ」・・スーパーマーケットなどの売り場の大きさだけでも、その人気のほどがうかがえます。

 また、季節が変わっても、チョコレートは、手を変え品を変えといった感じで、ちょっとした贈答品や、例えば、なにか人にプレゼントとか、手土産などを探そうとするとき、「困ったときのチョコレート・・とりあえず、チョコレートにしておけば間違いない・・」と思ってしまうほど、「まあ、チョコレートでよいか・・」と、ちょっと良さげなチョコレートを探したりします。

 実際に、チョコレートが嫌いという人は、あまり聞いたことがなく、万人受けする間違いないものとして存在しています。

 そのチョコレートが、健康に有害とは・・困った話です。

 体内に蓄積し、心血管疾患、腎臓疾患やガンのリスクを高めるというこの「カドミウム」は、すでにフランス食品環境労働安全庁(ANSES)によって、「体重1㎏あたり1日0.35マイクログラムのカドミウム」に設定されています。

 そして、それぞれの食品は、概ねこの基準値を遵守していますが、消費者側が偏った摂取や過剰摂取をしている場合には、自ずとこの基準値を超えてしまっている場合が少なくないと言います。

 2021年にフランス公衆衛生局が発表したデータによれば、フランス人の平均カドミウム汚染率が倍増していることが示されており、医療専門家によれば、フランスの子どものこの汚染率は、アメリカやドイツの子どもの4倍になっており、アメリカやドイツは政府に向けて、国民を守るために必要な措置を講じるように書簡を送っています。

 また、カドミウムは、穀物や野菜の生産に使用されるリン酸肥料にも含まれており、私たちが消費する穀物や野菜は多かれ少なかれ、汚染されています。これらの野菜のための肥料を生産するためにフランスは、リン鉱石の90%をモロッコとチュニジアから輸入しており、悪いことに、この地域のリン鉱石は、世界の他の地域のリン鉱石と比較して、特にカドミウム含有量が高いのです。これがフランスが他の国よりもカドミウム汚染の影響を受けている理由のひとつと言われています。つまり、劣化するにつれてカドミウムを放出する岩石と畑に散布されるリン酸肥料の両方が存在するということになります。このカドミウムは植物の根を通して吸収され、最終的に食品を汚染することになっています。

 チョコレートに話を戻せば、さらに質の悪いことには、チョコレート(チョコレートバー、チョコレート菓子、シリアル、チョコレートパウダー、チョコレートスプレッドなど)の中でも、とりわけ、オーガニック製品の場合は南米産のカカオを使用していることが多いため、非常に高濃度のカドミウムが含まれている可能性が高いというのですから、健康のために、わざわざ選んでいるオーガニック食品が実はより身体に有害だった・・という事実は、始末の悪いことです。

 そのため、保健当局は、全てのカカオ愛好家、一般の人々に対し、食生活の多様性を推奨しています。特に子どもと妊婦に対しては、注意を促しています。

 つまり、幅広く、色々なものを食べていれば、なにか一定の有害物質が蓄積される危険性が低いということです。

 しかし、生きにくい世の中になりました。


チョコレートに含まれるカドミウム問題


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2025年8月21日木曜日

EUの空港における機内持ち込み手荷物の100ml 液体制限がまもなく撤廃へ まもなくっていつ?

  


 飛行機に乗るときの機内持ち込み手荷物の液体制限については、毎度のことながら、面倒なことで、大変、嫌な思いもしてきました。

 飛行機に乗る前の手荷物チェックでは、手荷物から100㎖以内に詰め替えた化粧水や香水などをジップロックのような袋に入れたものを出したり、パソコンや携帯などの電子機器を取り出したり、ただでさえ混んでいる中、バタバタと荷物チェックをされるのは、不快です。

 一度、もう少しで使い終わりそうな化粧水を旅行先で使いきってしまおうと持って行ったところ、明らかに残りわずかで4分の1も入っていないのは一目瞭然なのに(透明のボトルだった)「容器には、120㎖って書いてあるからダメです!」と没収されてしまったこともありました。まあ、あまり入っていなかったので、大した被害ではないとはいえ、こんなの、いちゃもんそのものです。

 それ以来、もう容器にも気を付けて、必ず20㎝×20㎝の袋に入る範囲内に詰め替えていくようにしています。飲み物なども持ち込めないので、セコい私は荷物検査の直前でガブのみするハメになったりもします。

 日本の空港は、まだ、それでも良心的で飲み物などは、手荷物検査を通った後でも、市内と同じ価格のものを自動販売機で売っていますが、フランスの空港などは、手荷物検査後のエリアでの飲み物は、市内でふつうに買える価格とは違って価格が跳ね上がっていて、「ドリンクを取りあげて置いて、高いものを売りつけるってひどくない?」と毎回思います。

 ドリンクについては、ちょっとまた別なのかもしれませんが、100㎖ルールについては、撤廃の方向で動いているようです。

 すでにヨーロッパでも一部の空港では導入されている新型3Dスキャナーの導入により、最大2リットルの液体持ち込みが可能になる模様で、エジンバラ、バーミンガム、ブリュッセル・ザベンテム空港、イタリアの7つの空港、そして、パリ・シャルルドゴール空港やオルリー空港を含む一部の空港では、このスキャナーが導入されているそうです。

 ヨーロッパでは、2006年の計画的液体爆発攻撃を受けて導入された100㎖ルールが依然として適用されています。複数の空港でこの機械が導入されているにもかかわらず、制限値は、変更されていません。

 実は今年の初めに欧州委員会は、この100㎖ルールの段階的撤廃を発表したものの、一部の加盟国とアメリカとイギリスから、「一定量を超えると非常に稀ではあるものの、スキャナーが爆発性液体を検知できない可能性がある」というフィードバックがあったため、これにストップがかかったと言われています。

 欧州委員会は、新たな試験結果を待っている状態とのことですが、最終決定がいつ下されるかは、不明です。

 しかし、少なくとも、この3Dの高性能スキャナーの導入について、フランスは2030年までには、完了する予定にしています。

 本当にどうにかならない?と思う、この手荷物検査、特に経由便だったりする場合、乗り換えの際にまた、手荷物検査が必用な場合が多いので、前の便が遅れていたりした場合は、もう次の便にギリギリだったりして、もう大変、焦ります。

 それも、その時によって、荷物だけではなく、靴まで脱ぐように言われたりするのには、本当に辟易します。

 とはいえ、残念ながら、安全のためには必要になってしまったこの一連の作業。できるだけ、簡単になってほしいのは、言うまでもありません。


手荷物の100ml 液体制限


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2025年8月20日水曜日

いい加減、学べよ!と自分に言い聞かせた、さんざんな1日

   



 天気も良いし、明日は雨かもという予報に、今日のうちに用事を済ませておかなければ・・と思って、いくつかの場所をまわるつもりで家を出ました。

 まず、バスに乗って、一か所で買い物を済ませたのち、次の目的地へメトロで移動。メトロに乗って、ヤレヤレと思っていたら、メトロは途中までしか行かずにここまで・・と。

 現在、8号線は一部区間が工事のために閉鎖していたのです。あまり頻繁に利用する線でもないために油断していました。そのまま乗っていれば、目的地に行けたのに、仕方なく、別の線に乗り換え。

 ところが、どうしたことか、なんと、乗り換えを間違えるという失態。

 そして、さんざん遠回りした挙句に思っていた時間を大幅にオーバーして、ようやく目的地に到着。これで、そのお店が閉まっていたりしたら、ホント、笑っちゃうよね・・と心の中で思いながら、お店の前まで行くと、何やら、ちょっと笑えない事態に・・今週いっぱいお休みでした。

 なんだか、勝手にこのお店は、夏休みの間も絶対閉めないよね・・と思い込んでいたため、確認もしなかったのです。

 本当にこの時期、公共交通機関を始め、何をするにも効率が悪すぎで、出かける前にちゃんと交通機関やお店がやっているかどうか確認しなければいけないのは、重々、承知していたつもりだったのに、さんざん、時間を費やして、全く、無駄足そのものでした。

 そのあと、ちょっと、食事に行きたいと思っていた場所の候補がいくつかあったのですが、昼食の時間は、たいてい14時くらいまでで、急いで行っても、ゆっくり食事する時間はないため、それは、イヤだ・・と泣く泣くそれまで諦めることに・・。

 こんなんだったら、家を出て、直接、食事に行けばよかったものの、まったくもう何十年もパリにいるのに、夏のこの期間のパリの事情をいいかげん、学べよ!と自分に言い聞かせた次第です。

 しかし、ここのところ、以前に比べて、メトロ等の工事が確実に増えたな・・と。昨年までは、パリ・オリンピックのための準備かと思っていたのですが、オリンピックが終わった今でも絶賛工事は続いているのです。

 パリの場合、まあ、人が少ないこの時期に工事が集中するのはわからないでもありませんが、それにしても、夜間に工事を行うとか、できるだけ利用者に迷惑のかからないようにしようとか、何も、日中に運行をまったく止めてしまう・・しかも長期間にわたって(8号線の工事は8月末まで続くそうです)

 こうなってくると、人が少なくて嬉しい・・なんて言ってたのに、もういい加減、8月が終わってくれないかな?ふつうに効率的に動けない・・などとまで思ってしまいます。

 しかし、心配するまでもなく、8月ももう残すところ、あと1週間と少し。あっという間に人がたくさんのパリが戻ってきます。


パリ バカンス期間


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2025年8月19日火曜日

パンテオン Le Panthéon 偉人たちの墓所

  


 パリ5区にあるパンテオンは、パリの中心にありながら、巨大なドームが青空にそびえる荘厳なパリの歴史的建造物のひとつでもあります。

 パリ5区市庁舎のすぐ前で、しかもリュクサンブール公園からも近いので、たまにお散歩がてらに付近を歩くことがあったのですが、今回、初めて中に入ってみました。





 その独特な建築は、内部は、ドームがあることもあるのか、ちょっとどこかの大聖堂みたいな感じもあり、どこかシンとした雰囲気と涼しさが漂っています。




 正面入り口から入場すると、地上階中央部分には、天井から吊るされた振り子時計が存在し、その奥には、ドーンと大きな像がまるで舞台に上がっているような感じにそびえ立っています。




 そして、ここに埋葬?祀られている偉人たちの墓所は、そのさらに奥にあります。石造りの建物には、荘厳さと歴史が刻まれており、途中、いくつも進入禁止の部分がありますが、その奥には、石の階段などが続いていて、方向音痴の私などは、迷い混んだら、間違いなく、容易には外に出られなくなりそうな感じです。


ルソー


 ここに埋葬されているのは、ヴォルテール(哲学者)、ジャン・ジャック・ルソー(思想家)、ヴィクトル・ユーゴー(小説家)、マルセラン・バルテロ(科学者)、ピエール・キュリー/ マリー・キュリー(物理学者)などなど、最近、ここに新しく仲間入りしたのは、ジョセフィン・ベイカー(歌手・女優)です。


ピエール・キュリー/ マリー・キュリー


 政治家、革命家、思想家、哲学者、画家、軍人、冒険家、小説家、学者などなど、そのジャンルは様々ですが、ひとつひとつの墓所を見て行くと、昔の政治家ほど、派手な棺で装飾も、どちらかといえば派手めです。

ヴィクトル・ユーゴー

 マリー・キュリーなどは、今回、ここで見るまでは、フランス人だったことは知らなかったくらいで、祖国のポーランド(彼女の国籍はポーランドとフランスの二重国籍)は、よく彼女の墓所をフランスに委ねたな・・と思いますが、けっこう、彼女のように、この人フランス人だったの?という人もいます。

 それにしてもフランスに長い歴史の中で選ばれた人々の墓所は、それなりに一見の価値があります。

 以前、この内部(地上階の石像の前の広場?)をテレビで見たことがあったな・・と思いだしてみたのですが、数年前に、マクロン大統領が死刑制度廃止などについてのシンポジウムかなにかを開いた時に会場として使われたのが、ここでした。

 パリには、著名人が眠っている墓地・ぺー・ラ・シェーズなどもありますが、あそこは、あくまでも墓地で一般人の墓所でもあります。また、このパリの真ん中にあり、この荘厳な建物の中にある墓所というのもすごいことです。

 中を見て歩くのも1時間ほどあれば、充分なので、またちょっと違うパリを見るには、ロケーション的にもアクセスがよく、便利でわりと簡単に立ち寄れる場所かもしれません。

 チケットはもちろんネットで事前予約できますが、当日、その場でも簡単に買うことができるし、そんなに待ち時間もありません。

 美術館にちょっと飽きた・・という方もちょっと目先が変わった感じで面白いかもしれません。


パンテオン Le Panthéon / Place du Panthéon 75005 Paris


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2025年8月18日月曜日

娘の有給休暇とフランスの有給休暇

  


 日本で就職して日本で仕事をしている娘。仕事も生活もまあまあ順調で、楽しく、忙しく生活しているようです。まさに独身貴族を謳歌している感じではあるのですが、今年の4月から正社員となり、役職にもついて、ますます忙しく、けっこうな収入を得ているのに、あまりに忙しすぎて、「これじゃ、もう少し貰わないと合わない・・」などとのたまっています。

 忙しすぎて、大変ならば、少しはお休みの日などは、ゆっくりしていたらいいのに、これがまた、休日も忙しく旅行して歩いているので、まあ仕方ありません。でもまあ、本人が楽しく生活できているようなので、何よりです。

 また、今はバカンス期間ということもあって、先月はスイスから1人、今月はフランスから1人、友人が来るとかで、楽しそうです。

 来月には、パリに来ることになっているので、その時に一緒に旅行しようと言っているので、今は、どこへ行くのか検討中。

 娘は基本的には、半分程度がリモートワークなので、リモートワークの場合は、どこにいてもいいわけで、パリに来ても、半分は仕事しているんじゃないかと思います。

 それにしても、「あなた、今の会社は有給休暇は何日あるの?」と聞いてみたら、「11日」とのこと。彼女の現在の生活を見ていると、とても11日とは思えないのですが、リモートワークを上手く利用しているようです。

 彼女が働いている会社はフランスの会社なのですが、その日本支社なので、休暇等は、日本の休日ベースなのだそうで、彼女曰く、「今時期、フランスの本社の人たちは悠々、1ヶ月バカンスをとれていて、すごく羨ましい!」とのこと。

 私は心の中で、「そうでしょ・・そうでしょ・・」と思いながら、フランスで育ってきて、長いバカンス期間に慣れきっていた彼女にとって、有給休暇11日とは、生まれて初めての厳しい経験かもしれません。

 私が日本で仕事していたのは、もう遥か昔のことなので、その時の有給休暇が何日だったのかは、もう覚えていませんが、その頃は、それがあたりまえだったので、特に有給休暇が少ないとか、そんな風に思ったこともありませんでした。

 しかし、私自身、フランスに慣れてしまったので、有給休暇が11日と聞いて、ちょっとビックリしたのも事実です。

 ホントにそうなの?と思って調べたら、だいたい勤続1年未満の場合は10日が平均的で、1年以上になると20日が平均的なのだそうです。

 フランスの場合は、法律で最低でも年間25日以上の有給休暇が認められており、私の場合は、30日でした。1ヶ月ごとに有給休暇が2.5日ずつ貯まっていく計算でした。

 そして、これは、大きな違いと思われるのですが、その有給休暇をしっかりまとめて取れるのがフランス。日本だと、続けて長く休むことは、難しい感じがします。

 しかし、独身で遊び歩いているうちは、まだ良いのですが、これが子どもがいたりした場合は、大変だろうな・・と思うのです。

 実際に途中からシングルマザーになった私は、30日の有給休暇をフルに使ったとしても、さらにその数倍はある子どもの学校のバカンス期間をどうやって凌ぐかということには、本当に苦労しました。

 日本の学校はフランスほど学校のお休みが長くないとはいえ、それにしても働きながら子育てをしている女性にとっては、大変なことだろうな・・と思うのでした。


日本とフランスの有給休暇


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2025年8月17日日曜日

ジェネリック医薬品の割引削減に薬局が激怒!

  


 薬局というものは、一般の商店とは少々異なり、ストライキをしたりすることは、珍しいことです。

 逆に、このバカンス期間で多くの商店がこの期間、お休みしていても、薬局は夏休みの間も変わらず営業していることが多いです。

 しかし、今回は、薬局がデモ・ストライキ。これも夏のバカンス期間には、一般的なストライキは、ちゃっかり行わずに夏休み明け早々にストライキ・・というのがふつうなのですが、このバカンス期間に多くの薬局が閉店・つまりストライキを行いました。

 これは、政府が発表した「ジェネリック医薬品割引削減」の発表を受けてのことで、政府は8月6日付官報に「ジェネリック医薬品の値引き上限を9月までに現在の40%から30%に引き下げる決定」を発表したためです。

 また、これは、長期的な計画の経過地点で2027年までには、20%に引き下げる予定としています。

 現在のジェネリック医薬品の値引き額は薬局の年間利益の約半分に相当するものです。

 フランスでは販売される医薬品の3分の2がジェネリック医薬品です。製薬会社が提供する値引きは薬剤師側の報酬の一部となっています。それを減額されてしまうのですから、怒るのもわからないでもありませんが、どこも不景気な風が吹いている薬局界隈では、これは、地域薬局の存続を脅かすものである!と怒り心頭なのです。

 しかし、超多額の負債を抱える政府としては、赤字を抱えている医療保険部門の費用を削減しようとするのは、これまた当然の話。

 正直、私などは、自慢じゃないが、薬局の大変なお得意様で、毎月、山ほどの薬を処方してもらっています。しかし、全て保険でカバーしてくれるので、実際に私が薬局でお金を支払うことはありません。

 しかし、たまに、処方された薬が品切れで注文して後から追加分を取りに行った利する場合には、自分で料金は支払わなくとも、受領証に値段が記載されていて、「この薬、こんなに高い薬だったんだ!!」と驚くこともあります。

 この製薬会社からの割引と薬局の利益の関係については、よくわかりませんが、逆に考えれば、薬局というものは、医者が処方したとおりの薬をまるで横流しのように売っていくのですから、ずいぶんとちょろい商売だな・・と思ったこともあります。

 実際にお店のレイアウトなどは、実に魅力に欠ける陳列の仕方だったり、同じ商品が横並びに場所をとっていて、「日本の薬局見て勉強してこいよ!」と言いたくなります。

 考えてみれば、薬局というのは、これだけ色々なものがどんどんその企業形態などを変えていく中、まことに前時代的なままフランスに存在しているもののひとつかもしれません。

 しかし、だからといって、一般的な商店とはまた、少々立ち位置が違うのも事実。この薬局のジェネリック医薬品割引問題。政府は9月までに・・と言っているから、この時期にもかかわらず薬局はストライキをしているのでしょうが、さて、9月までに折り合いがつくのでしょうか?


ジェネリック医薬品の割引削減


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2025年8月16日土曜日

ここ数年の大ヒット商品 水分補給タブレットの真の有効性

   


 ここのところ、猛暑日が続いていて、暑いと、「この暑さ!なんとかしてくれ!」と切に思い、一日、一体、何回、気温を確認しているか?わからないくらいですが、毎回、少しでも気温が下がっていますように・・と、祈るような気持ちで携帯の天気予報を開いてしまいます。

 こんな猛暑の中にも、しっかりとヒット商品を狙っている人というのもいるもので、この暑さに付け込んで?(というのも言い方が悪いですが・・)ここ数年、フランスでは、「水分補給タブレット」 なるものが大ヒットしているそうです。

 疲労回復、パーティー後の疲れ、猛暑への奇跡の解決策として売り出されたこのタブレットは、ミネラル塩とフルーティーな風味をベースにしており、発汗による電解質損失を補うものとされています。

 私はこのタブレットの存在を、つい最近、知ったばかりなのですが、だいたいタブレットで水分補給?とは、なんとなく胡散臭く感じるもので、水を飲まずに水分補給?水分補給なら、水飲めよ!とか思ってしまうタイプです。

 大ヒット商品だけあって、既に数社がこの商品に参画し、多くの薬局には、この商品が並べられており、フランスには、550万人以上の愛用者がいると言われています。

 この水分補給タブレットを発売している各社は、口を揃えたように「フランス人の成人の約80%がANSES(フランス国民保健サービス)が推奨する1日1.5~2リットルの水を飲んでいない」とフランス国民の水分補給が充分でないという衝撃的な主張を展開し、そのための最適な水分補給を促すタブレットとして宣伝をしています。

 このタブレットには、ミント、レモングラス、ワイルドベリーなど、様々なフレーバーがあり、より摂取しやすく魅力的にアレンジされていますが、カリウム、マグネシウム、亜鉛などが含まれており、ふつうの水よりも水分補給効果があり、電解質を摂取することで水分補給効果を高めることができると謳っています。

 しかし、専門家によると、その有用性は、実際の健康効果というよりも、商業的なストーリーのうえにのっているものである・・つまり、「のせられるな!」と警告・・。

 これらのタブレットは、結局のところ、わずかな炭水化物の摂取量を抑えることであり、糖分が含まれているために、定期的に摂取すると、体重増加を促進すると語っています。

 これに対し、発売元は、「私たちは水分補給を補うソリューションを提供しており、製品に含まれるブドウ糖の量は非常に少なく、1錠あたり約2グラムで、食事から摂取する糖分過剰摂取とは程遠いもの。もちろん、これは体内の水分補給を改善する製品であり、水の代わりになるものではありません」と弁解しています。

 結局のところ、水分補給だけど、水ではない・・何なんだ!と思ってしまいますが、流行りものとなると、ひとまず、引きたくなる私は、やっぱりあまのじゃくなんでしょうか?


水分補給タブレット


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2025年8月15日金曜日

恐らくパリは今、一番空いている・・

  


 このまま涼しくなるとは思っていなかったものの、やはり戻ってきた猛暑に少々、バテ気味です。しかし、今、恐らく多くのパリジャン・パリジェンヌはバカンスに出かけていると見えて、同じアパートの中も人があんまりいない感じで、エレベーターでさえも滅多に人と顔を合わせることがなく、日頃からそんなに騒がしいわけではないのに、人がいない気配というか、なんとなくしんとした感じが伝わってきます。

 観光地のような場所に行けば、全然、違うのでしょうが、とりあえずは、我が家の近所はとても静かです。こんな感じの静けさが私はとても好きです。

 今日、明日中に終わらせなければない仕事があるために、今日は観念して、扇風機の前を陣取って、黙々と仕事をし、一段落したところで、少し散歩がてらに近所のコマーシャルセンターに買物へでかけました。

 コマーシャルセンター内のお店も、そもそもこの期間は夏休みで閉店してしまっているお店もあるのですが、それにしてもお客さんがまばらなことといったら、ちょっとロックダウンの頃を思い出すくらいでした。

 これでは、わざわざ、この期間にお店をあけておくのもなんだなぁ・・と思いながら、こちらは、やっぱり空いているお店というものは、快適です。

 以前、日本で暮らしていた頃も、お盆休みの頃は、通勤ラッシュも緩和され、なんとなく街がスーッとする感じで、意地でもこの時期には休みをとらない!と思ったのと同じ感じです。

 昨日は珍しくマルシェに買物に行きましたが、こちらのお店の閉店ぶりは、もっと顕著で、お魚を見に行ったのですが、いつもは3軒くらいは出ているはずの魚屋さんも昨日は1軒だけ。そのため、なんだか行列ができているという皮肉な結果。

 行列は嫌なので、別の用事を済ませて、帰りにまた寄ってみたら、もう店じまいの準備中で、未練がましく覗いていたら、「マダム!何にしましょう!」ってすぐに来てくれて、そこまででもなかったんだけど、「タコが欲しいんだけど・・大きいのしか残ってないですね・・買うんだったら、一番小さいのに・・」と言うと、やっぱりやたらと大きなタコで、「ん~~」と渋っていたら、お揉むろに重さを測り始めたので、一応、「それでいくらですか?」と聞いてみたら、35ユーロだと・・。

 「一人だし、食べきれないだろうし、高いしな・・」と言ったら、「25ユーロでどう?もうお店も今日は閉めるし・・」と10ユーロも値引きしてくれるなら・・とタコをまるまる1杯買ってきました。

 それにしても、あんまり予期していなかったお買物。タコって意外と重いんです。

 それが、家に戻ってみると、この暑さの中、まさかのエレベーターが故障。思いタコを下げつつ我が家はなんと8階。日々、けっこう歩いているつもりでも階段で8階までとなるともう足はガクガクです。

 ようやく家に辿りついた時には、もうパリが空いていたことなんてすっかり忘れるほどヨレヨレ・・でも、この大きなタコをなんとかしなければ・・と、さっそく買ってきたタコを茹でたり、マリネにしたり、わさび醤油で和えてみたり、タコ飯を作ってみたり、一部を冷凍したりとバタバタ。

 でも、空いているパリでゆったりと・・なんて思っていた私は、結局、貧乏性に重たいタコをしかも階段を8階ものぼって、ひたすら料理。

 まあ、こんなもんです。


空いているパリ


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2025年8月14日木曜日

リステリア症って何? シャヴグランチーズ工場のチーズ 死亡者まで出てリコール

  


 既に販売されている商品(製品)に問題が発覚した場合にその商品(製品)がリコールされることは、決して珍しいことではないので、今回のチーズのリコールの話を聞いても、「ああ、また何かリコールになってる・・」と思っていたら、なんと死亡者まで出ているというので、そこまでだと、なかなかなレベルだな・・と、ちょっとこれは、ちゃんとチェックしておかなければ・・と、聞き流していたニュースを、もう一度、最初から見直しました。

 ブリー、カマンベール、クロミエ、山羊のチーズ・・などなど、クルーズ地方のシャヴグラン社が6月以降に製造した低温殺菌乳製品の多数のチーズ(ソフトチーズ、ブルーミーチーズ、ウォッシュドチーズ)がリステリア菌に汚染されている可能性が大で、フランス全土でリコール対象になっています。

 リステリア症というのは、私はこれまで聞いたことがなかったのですが、要は、細菌による感染症で、今回の騒動では、これまでに21件の症例が特定されており、そのうちの2名は死亡しています。

 典型的な症例としては、発熱が挙げられるそうですが、健康な人の場合は、単なる胃腸炎で済む場合もあります。しかし、より重症化すると、発熱に加え、インフルエンザのような症状、筋肉痛、身体の痛みなどが表れることもあります。

 ことに虚弱体質の人、新生児や70歳以上の高齢者、ガンなどの重篤な病気の治療中の免疫が低下している人にとっては、深刻な事態が発症する可能性があるため、特に注意が呼び掛けられています。

 このリステリア症の始末の悪い点は、リステリア菌に汚染されているチーズを摂取してから感染の発症までに1ヶ月ほどの遅延が生じる可能性があるということで、1ヶ月間の間には、他にもたくさんのものを食しているわけで、原因究明が困難になりやすいということがあります。

 このチーズ、特に珍しいチーズというわけではなく、フランスでは、カーフールやルクレール、オーシャン、リドル、Uなどのごくごく一般的なスーパーマーケットにも置かれている商品のため、現在は、店頭からは、撤収されているとは思いますが、商品が棚に並べられてから、撤廃されるまでの間はふつうに販売していたために、多くの家庭の冷蔵庫にあるか、既に食べてしまっている可能性も考えられます。

 とはいえ、感染症専門家によれば、このリステリア症は、抗生物質で治療が可能なものだそうなので、そこまで神経質になる必要はなさそうです。

 しかし、個人的には、もはや、別に問題のあるものを食べていなくとも、なんやかやと医者通いが絶えない私としては、これ以上、問題は御免被りたく、しばらくチーズはやめておこうかな?(というほど、そんなにチーズを食べているわけではありませんが・・)と思っているのです。


リステリア症 シャヴグランチーズ

 

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2025年8月13日水曜日

クラゲの大量発生で原子炉自動停止

  


 グラヴリーヌ原子力発電所(オー・ド・フランス地域圏・ノール県)の原子炉冷却水ろ過システムにクラゲが流入したため、原子炉4基が自動停止するという事態が発生しています。

 なんで「クラゲ」?と思うのですが、この夏、フランスの多くのビーチでも、クラゲの大量発生が報告されているのです。

 EDF(フランス電力)の発表によれば、原子炉冷却用の水を汲み上げるポンプ場におけるクラゲが大量かつ予期不能なほどに発生のため、グラヴリーヌ原子力発電所の4基が停止しました。

 また、併せて、この2号機、3号機、4号機、6号機の自動停止は、「施設の安全性、作業員の安全性、環境への影響はなかった」と明言。

 そのため、他の2基の発電ユニット(1号機と5号機)は現在メンテナンス中であるため、発電所は一時的に完全に停止しています。

 実際にフランスにある原子力発電所の原子炉で、「メンテナンス中」というものは、意外にも多いものです。

 EDFは、「発電所では、これに対応するチームが動員され、現在、発電ユニットを安全に稼働するために必要な調査と介入を行っています」と発表しており、電力会社の広報担当者によると、「再稼働は、数日以内に予定されている」とのことです。

 また、「他の原子力発電所や太陽光発電などのエネルギー源が現在、稼働しているため、今回の事故による電力網の供給不足のリスクはない」としています。

 クラゲの侵入により原子炉が麻痺するのは、非常に稀なこととはいえ、EDFは、1990年代に既に同様の事例を経験しているとインタビューに応じた広報担当者は回答しています。

 同様の事例は、2010年代にアメリカ、スコットランド、スウェーデン、日本でも発生しているそうです。

 クラゲのような海洋生物の増殖は、気候変動による海洋温暖化だけでなく、マグロなどの直接的な天敵の一部を乱獲することなど、いくつかの要因によるものと言われています。

 地球温暖化はもちろんのこと、自然の脅威は、隙を見ては、攻撃の手をのばしてくる・・そんな気もします。


クラゲ 原子炉停止


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2025年8月12日火曜日

忘れ去られた預金はどうなってしまうのか? CDC・預金保険公庫(Caisse des Dépôts)

  


 紛失?した古い銀行口座、忘れ去られた子どもの頃の貯蓄口座、あるいは亡くなった人の所在不明だった銀行口座や受取人不明の生命保険などの客観的には、放置されていると思われる資金は、最終的には、預金供託金庫、預金保険公庫(Caisse des Dépôts)の預金部門に移管されてしまいます。

 金融機関に対しては、一年間取引がなく、口座名義人からの連絡情報も確認されていない休眠口座(口座名義人による取引も連絡先情報も確認されていない口座)と休眠生命保険契約(満期を迎えているにもかかわらず請求されていない契約)を毎年記録し、顧客の生存を確認することが2017年から法律により義務付けられています。

 実際には、銀行は休眠口座の保有者に定期的に書面で通知し、口座が閉鎖されるのを防ぐように促しているのが通常ではあります。

 原則として、10年間、10年以内に回答がない場合、忘れ去られた資金は、CDC・預金保険公庫(Caisse des Dépôts)に移管され、CDCは、それを保管し、要求に応じて返還することになっています。

 このシステムがスタートして以来、CDCは、90億ユーロを保管しています。

 フランスに忘れ去られているお金が90億ユーロもあるというのも不景気な世の中で、驚きといえば、驚きですが、本人が亡くなってしまっている場合など、資産管理がしっかりしていない場合などは、大いにあり得る話なのではないかとも思います。

 しかし、たとえ、CDCに移管されてしまったとしても、後に正当な手続きを行えば、しっかり返金されるそうで、昨年は、約9万4千人が平均1,573ユーロを取り戻しているそうです。

 原則として10年間の活動停止後、お金は CDCへ。そしてCDCに保管されたお金は、20年間保管されます。そして合計30年経過しても誰も請求しない場合は、国に返還されます。

 この話を聞いて、私の場合は、どうせ、そんなにお金持ってないしな・・と思ったのですが、このCDC行のお金は、むしろ少額であることが多いのだとか・・。なるほど、大金であれば、躍起になって行方を追う人も多いのでしょうが、少額の場合は、忘れてしまったり、手続きの煩わしさから、放置してしまうのかもしれません。

 多くの人が放置?あるいは忘れていたお金は少額のお金の積み重ねで90億ユーロとは・・すごいことです。

 私はフランスでの銀行は1ヶ所と郵便局のみなので、行方不明になりようもありません。


CDC・預金保険公庫(Caisse des Dépôts)


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2025年8月11日月曜日

コントレックスとエパールに計測不能レベルのマイクロプラスチック汚染

  


 またまた「ネスレウォーターズ」??と、もうスキャンダルの常連になりつつあるネスレグループのミネラルウォーター汚染問題で、今度は、ミネラルウォーター「コントレックス」と「エパール」に高濃度のマイクロプラスチックが混入していることが、仏紙メディアパート(MédiaPart)がその詳細を報じています。

 マイクロプラスチックの人間への健康への影響は、明確ではありませんが、多くの研究により、血液、臓器、神経系に蓄積されると言われています。

 メディアパートが明らかにした司法調査によると、コントレックスとエパールのミネラルウォーターから環境中の測定値の最大130万倍に相当するマイクロプラスチックが検出され、これらの高濃度のマイクロプラスチックが検出された原因は、プラスチックの埋立地であると説明しています。

 メディアパートの記事では、フランス生物多様性庁(OFB)と環境公衆衛生被害対策中央局(OCLAESP)の調査を引用して説明しています。

 これまでにもネスレウォーターズは、違法精製を行っていたことや、細菌混入などの汚染問題、もはやペリエの名称剥奪か?とまで騒がれた問題を抱えているネスレグループのミネラルウォーター問題が定期的に取り沙汰され、いくつもの訴訟を抱えています。

 そして、今回は、このコントレックスとエパールのマイクロプラスチック汚染問題に関して、ネスレウォーターズは、コントレックスヴィル、テ・スー・モンフォール、サン・トゥアン・レ・パレ、クランヴィリエの各工場周辺の土壌と水域に有害粒子を漏出させたとして、訴追されています。

 つまり、コントレックスやエパールに計測不能と言われるほどのマイクロプラスチックが混入しているのは、プラスチックの埋立地であることが示唆されているのです。

 この埋立地は1960年代に遡り、埋め立てが行われた場所なのですが、これが、時を経て土の中でマイクロプラスチック、さらには、ナノプラスチックにまで分解され、土壌や地下水系に浸透・分散しているため、分解は著しく、浄化は不可能なレベルに達していて、もはや水源地としては、不適切になっています。

 ただ、現時点では、法的には、天然ミネラルウォーターに含まれるマイクロプラスチックの濃度の規制はないため、ネスレグループは、それを盾に「当局に提出した環境分析結果では、汚染は証明されておらず、当社の製品の安全性は保たれている」と頑として、非を認めない立場を通し続けています。

 しかし、メディアパートは、ネスレが2022年の段階で提出した機密メモも参照し、ネスレ側が「埋立地が水質に影響を与える可能性がある」と問題があることを自覚していたことも指摘。

 これまでも様々な問題を抱えつつもロビー活動などにより、それを回避してきたと批判しています。

 いずれにしても、ミネラルウォーターの消費者は、健康に気を配るからこそ、わざわざミネラルウォーターを購入しているわけで、それを欺くような姿勢は許されないことです。


コントレックス エパール マイクロプラスチック


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2025年8月10日日曜日

エッフェル塔からパラシュートで飛び降りた男 逮捕

  


 また、暑さが少しぶり返してきた感じのパリですが、そんな中、早朝からエッフェル塔に侵入し、パラシュートで飛び降りた輩3人が逮捕されています。

 朝早くから、ご苦労様という感じですが、それを見過ごすわけにはいかない警察官たちにとっても迷惑な話です。

 8月に入って2週目の土曜日の早朝、午前5時20分、ジャックシラク通りでエッフェル塔警備隊が警報を鳴らしました。

 このエッフェル塔からのパラシュートによる降下を試みた3人は、エッフェル塔に不法侵入して、(飛び降りるために)登ろうとしていました。現場で通報を受けた警察とGRIMP(危険環境介入グループ)の消防隊は、介入を試みたようですが、思うように迅速に介入することができずに、3人組のうちの1人は、降下予定地点に到着。

 考えてみれば、エレベーター等も当然、動いていない中、パラシュートで降りるのによい地点まで、パラシュートの用具をかついで登らなければならないのは、大変なエネルギーを要するものです。

 登り遅れていた2人は、追いつかれた消防隊により、足で降りてくるように指示されて、渋々断念。

 しかし、先頭を切っていた男は、パラシュートによる降下に成功し、シャン・ド・マルス公園付近の地上に降りた模様です。最終的にこの男性がどの階から飛び降りたのかは不明ですが、とにかくパラシュートによるエッフェル塔からの降下を成し遂げてしまいました。

 まったくご苦労なことだと思いますが、実はエクストリームジャンプ愛好家にとっては、エッフェル塔からのパラシュートによるジャンプは、偉業とされているようです。

 しかし、パラシュートによるジャンプに成功した者も断念した者も3人揃って、指定建造物、歴史的建造物への不法侵入の罪で逮捕されています。

 今回の件については、エッフェル塔占拠事件管理委員会の代表らが彼らを告訴するそうです。

 このエッフェル塔からのジャンプは、そんなに珍しいことでもないようで、実は、7月10日にすでに2人の男性がエッフェル塔の3階から飛び降りているとのことで、こう度々のこととなると、エッフェル塔の管理体制が問われてくることになります。


エッフェル塔パラシュート降下


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2025年8月9日土曜日

隣人の激しすぎるケンカにビビった!

 


 先日、自宅のキッチンにいたら、外から、もの凄い怒鳴り声が聞こえてきて、何ごとか?とビックリしました。まあ、なにかに腹を立てているんだろうと思いつつも、それがけっこう長く続くので、思わずそっと立って行って、玄関のドアの小さなドアスコープから外を覗いて見ると、隣人が表玄関を開けたまま、何やら、ドアの外に立っている人と、家の中にいる人が激しく言い合いをしていました。

 正確に言えば、怒鳴り声をあげているのは、家の中にいる女性だけで、怒られている男性らしき人は、ひたすら怒られ続けている感じでした。

 それにしても、怒鳴っている女性の怒りは相当なもので、恐らくフランス語で話している(怒っている)のだと思われますが、けっこう訛りが強く、語気も荒いため、全く聞き取れず、一体、何に対して、そこまで怒っているのかは、全くわかりませんでした。私は身近にそんな勢いで怒り続ける人に遭遇したことがなく、いつ手が出るか?モノが飛ぶか?さらなる暴力的な展開になるのでは?と、思ってしまいました。

 このご家族(高校生くらいの息子と40代くらいの夫婦)が越してきてから、もう5年くらいは経つと思うのですが、以前、住んでいたのは、フランス人のおばさんで、基本的には、彼女は、一人暮らし(たまに息子が来ていた)で、たまに、同年代のおばさんが居候していたのか、しばらく他の女性がいたり、バカンス時などは、自分が留守の間は、人に貸していたのか?突然、日曜の夜に若いイタリア人の女の子がドアを叩くので、何ごとかと思って、ドアを開けたら、「パンはありませんか?パン屋さんがやっていなくて・・」などと言われて驚いたこともありましたが、まったく穏便で平和で全く穏やかな隣人関係でした。

 私も忙しくしていたこともあり、ご近所づきあいは慎重にと思って、つかず離れずの感じでいたのですが、わりとおおらかな人で、お休みの日にヴァンセンヌの森で夫と娘と3人でボートに乗っていたら、橋の上から、「お隣さ~ん!」と大きな声で手を振ってくれたり(一緒に行ったわけではなく、偶然に会った)、冷凍庫の霜取りをしているので、その間、冷凍庫のものを預かってくれませんか?とか、私が家でピアノを弾いていたら、友人が来ていたのか?みんなで、ベランダから、拍手喝さいしてくれたこともありました。

 何よりもポニョ(猫)は、ベランダ越しに自由に彼女の家と行き来していて、ポニョは、勝手に別宅のように過ごしていました。

 それが、彼女が引っ越して、今の隣人に入れ替わってからは、ポニョはパッタリとベランダにさえ出なくなったのを見ていて、何やら、ポニョは不穏なものを感じているのかもしれない・・と私までより慎重になりました。

 これがいわゆる動物的感というものなのでしょうか?

 それでも、特に関係が悪いというわけでもなく、顔を合わせれば、気持ちよく挨拶するくらいの感じなのですが、今回のケンカというか、怒り様には、再び、恐れをなしています。

 何に対して、怒っていたのかはわかりませんが、私は、あのように、しつこく怒鳴り声をあげたことは人生のうちで一度もなく、また、周囲にそのような人もいなく、感情の爆発のさせ方が全く違うんだな・・声の出し方とかも全然違うんだな・・と、なんだか見たくないものを見てしまった感じがしました。

 隣人というものは、自分では選べないので、仕方がありませんが、静かに穏やかに暮らしたい私にとっては、ちょっと嫌な光景でした。


隣人


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2025年8月8日金曜日

早々に発表された2026年からの郵便料金値上げ

  


 年末になってくると、続々と来年からの値上げ・・等が発表されますが、今年は、まだあと5ヶ月も残っているというのに、早々に2026年からの郵便料金の値上げが発表されています。

 フランスでは、緊急を要さない郵便物を送るグリーンレター?(切手)が最も経済的で環境に優しい選択肢であり、20gあたり1.39ユーロの料金となっています。

 これは、航空便を使わずに3営業日以内に配達されるため、もっとも多く利用されており、この料金が郵便料金の基本的な金額として挙げられることが多いです。

 来年の話をすると鬼が笑う・・などと言いますが、値上げの話は笑えません。

 現在1.39ユーロのグリーンレター(切手)は、現在の1.39ユーロから、1.50ユーロになるそうで、これだけ見ると、0.11ユーロの値上げで大したことはないように思いますが、値上げされるのは、このもっとも経済的といわれるグリーンレターだけではなく、手紙や小包等、全ての料金が上がるわけで、これらの値上げの平均は、7.4%の上昇だそうです。

 ラ・ポスト(フランス郵便局)は、これらの値上げを利用者の減少とサービスの質の向上のためとしています。

 たしかに、ここ数年、私自身も何かを郵便で送るということは、極端に減り、今まで家賃などの支払いのために小切手などを郵送で送っていたものも、全て、ネットで振込や送金で済んでしまうし、なにかの手続きのための書類なども、多くはネット上で済んでしまうし、もっとも経済的と言われるグリーンの切手でさえも、ほとんど使わなくなってしまいました。

 以前は、けっこう頻繁に友人に手紙を書いたりもしていたのですが、今はメールやLINEなどで済んでしまうので、手紙も書かなくなりました。なので、値上げと言われても、正直、あまり影響はありません。

 これは、全般的に皆に言えることで、実際にラ・ポスト(フランス郵便局)の売上げは、昨年だけでも5億ユーロ減少したそうです。

 サービスの向上などと言っても、フランスの郵便事情は、以前よりはマシになったとはいえ、まだまだ安心できるものでもなく、言わせてもらえば、できるだけ、間に人間が介入しない手段の方が安心なのです。人間が介入すれば、それだけトラブルやミスが生じる可能性が増えるわけで、できればそれを回避したいと思うのは、当然の話です。

 しかし、一方では、なんでもネットで済むようになってきている世の中で、高齢者たちは、ちゃんとこれについて行けているのだろうか?と思うことはあります。

 実際にネットを使いこなせない高齢者などは、これまでどおりの郵便に頼るしかないわけで、年金生活に突入している高齢者にとっては、あまり歓迎できない負担増となり得るものかもしれません。

 私もネットは、あまり充分に使いこなせているとは言えないものの、どうにか、あっぷあっぷでついて行っている状態。ネットの時代になり、便利になっていく半面、それについていけないと、全てにおいて高くつくな・・とある程度、時代についていけなければ、大変だな・・と思っています。


2026年郵便料金値上げ


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2025年8月7日木曜日

ベランダで採れている日本のきゅうり

  


 もうここ10年以上、春から夏、秋くらいまでの間、ベランダで野菜を育てていますが、やはり、その中で一番ちからを入れているのは、なんといっても「日本のきゅうり」です。

 きゅうりはフランスでも買える野菜ではありますが、こちらのきゅうりは大ぶりで味も大味な感じ、そして、なんといっても歯ざわりが日本のものとは違い、やはり私にとっては、あのパキッと気持ちよく折れる感じのきゅうりが大好きで、日本に行ったときには、必ずきゅうりのタネ(だけではないが・・)を買ってきて、夏には、必ずベランダできゅうりを栽培しています。

 毎年、5月の初旬に種まきをして、芽が出て、10㎝ほどの苗になった時点で少しずつ株を分けて、植え替えますが、これが落ち着き始めた頃にだいたい鳩の攻撃が始まります。

 鳩との闘いは、たいてい2~3週間で終わりますが、年々、図々しくなる鳩は、早朝にやってくるらしく、やっと育ち始めた苗を踏み荒らします。なぜだか、その頃に、我が家のベランダで巣作りをしたいらしく、毎朝、起きると小枝が積んであって、ほとんど恐怖です。

 今年は、きゅうりの二次被害で、紫蘇の葉の半分は、鳩に踏み荒らされてダメになってしまいました。その時期は、鳩のクックーという鳴き声が聞こえてくると、棒を携えて、ベランダに出ますが、人間が表れたのを知って、重たそうにバタバタと羽音をたてて、飛び立っていくその気配だけでも、忌々しく、また、気持ち悪いです。

 ここ数年は、ベランダ越しのきゅうりは、蔓を巻いてグングン伸びて、ちょうどよい日除けにもなってくれるし、成長も目に見える感じでグングン育っていくのを楽しんでいます。このくらいになれば、さすがの鳩もきゅうりの棚を乗り越えてまでは入ってこないので、安心です。

 今年は、7月初旬に猛暑だった後は、すっかり涼しくなってしまい、収穫模様は、例年よりは、少ないのですが、それでも1日1~2本は採れています。一人暮らしとしては、充分な量です。

 年によっては、やたらとたくさん採れて、きゅうりのキューちゃんなどを大量に作ったりしたこともありますが、今年は、ぬか漬けと、もろきゅう、サラダくらいですが、このパリッとした歯ざわりがたまりません。

 ぬか漬けは、パンとビールをベースに、昆布や唐辛子などを入れてぬか床を作って、冷蔵庫に保管して、少しずつ、かき混ぜて利用していますが、これがまあまあの出来栄えで、悪くありません。

 私が愛してやまないこのパリッとした日本のきゅうりですが、フランス人の夫に言わせると、「水分の少ないきゅうり」と身もふたもない形容をされて、ガックリ・・しかし、同時に、水分が少ないきゅうり・・なるほどね・・そんな風に感じるんだ・・と冷静に思ったりもしたものです。

 しかし、毎朝、毎晩の水やりをかかさず(けっこうな量の水を撒きます)、蔓がのびてくれば、支柱に結びつけてあげたり、毎日毎日、一生懸命、育てているきゅうり、「水分が少ない・・」などと言われれば(本人は悪気は全くない)、それなら、あなたは、フランスの水分たっぷりのきゅうりを召し上がれ!とちょっといじわるに思ったこともありました。

 かっぱ巻きもやはり、日本のパリッとしたきゅうりだと美味しいし、何にしても美味しいです。

 今の季節は、ベランダに出れば、少しずつ大きくなっていくきゅうりを眺めつつ、いつでもポリポリ日本のきゅうりが食べられるささやかな幸せを楽しんでいます。

 

日本のきゅうり


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2025年8月6日水曜日

ルイヴィトン財団美術館 Fondation Louis Vuitton は思っていたよりずっと良かった!


 


 先日、友人に会ったとき、何気に「どこか良い美術館なかった?」と聞いてみたら、わりと即答で、「Fondation Louis Vuitton(ルイヴィトン財団美術館)がわりと良かったよ!」と返事が返ってきたので、これまで、勝手に「あんまりルイヴィトン興味ないしな・・」などと、まるでお門違いの避け方をしてきた私は、そこで初めて、ルイヴィトン財団だからといって、ルイヴィトンの商品が置いてあるわけでもないんだし、恥ずかしながら、見当違いな印象を勝手に持っていたことに気が付いたのでした。

 彼女は、自分でも絵を描いたり、色々、普段から芸術に触れていることもあり、彼女が言うんだったら、行ってみよう!と思ったのです。

 ルイヴィトン財団美術館はパリ16区、ブローニュの森の近くにあり、メトロの駅からは少し歩きますが、充分、徒歩圏内。さすがにパリ16区だけあって、瀟洒な街並みの中を歩き、Jardin d’acclimatationという遊園地?の続きくらいにあります。




 突如、表れる奇抜な建物に「おっ!これか!」と圧倒されますが、意外にも(私の勝手な印象)、けっこうな人気のスポットなようで、同じ目的地に向けて歩いて行く人の多さにまたビックリ!さすがに駅からは、ずっと「Fondation Louis Vuitton➡」の表示が途切れなくあるので、道に迷う心配はありません。メトロ1号線 Les Sablons駅から徒歩10分程度です。シャトルバスもあるようですが、メトロで充分な気もします。

 





 入口には、少々、行列ができていましたが、行列のわりには、待ち時間は5分ほどですんなり入れました。もちろん事前予約した方がスムーズかもしれませんが、当日、チケットを買うのも全然、簡単です。




 現在は、デイヴィッド・ホックニー(ノルマンディーを拠点に活動しているイギリスの画家・芸術家)の展示をしていました。



 私は、これまでポップアートというかモダンアートというか、この類の作品にはあまりなじみがなかったのですが、小さめ(といっても大きい)の絵をいくつも併せて、1枚の絵に見せるような展示の仕方や、映像や音楽を大きなシアターのように使って、四方から訴えかけてくる感じなど、とっても新鮮で、また単に鑑賞するにとどまらず、全身で彼の作品を浴びれる感じのつくりになっていて、とっても感動しました。




 映像に包まれる部屋では、正面、側面の大画面を前に、カーペットが敷いてあり、大きめのクッション?のようなものが置いてあり、そこに寝転びながら、鑑賞することがあります。




 カーペットに寝転ぶと、自ずと視界が広くなり、全身で作品を味わえるような気持ちに包まれます。

 途中、エレベーターで乗り合わせた外国人観光客に何やら興奮気味に「Amazing!Museum!」とうったえかけられたりもしました。




 いわゆる他のパリの有名な美術館のように旧建築の歴史的建築物で、その入れ物自体が芸術!というのとは違い、新しい近代的な建物の中にありながら、これだけ人を惹きつけるというのも見事なものだと思いました。




 お庭には、いつか、どこかで見たかな?と思うルイヴィトンの大きなトランクと金の彫像があり、お庭続きには、Jardin d’acclimatation(遊園地)にも行けるようになっており、こちらは、ルイヴィトン財団美術館のチケットがあれば(中からなので、当然、皆、持っているはずですが・・)、そのまま無料?で遊園地の方にもアクセスできます。




 こちらの方もなかなかクラッシックな感じのジェットコースターとか、公園の遊具、ボートなどがあり、こちらだけ行こうと思ったら、別に?入場料がかかるところなのですが、ルイヴィトン財団から入れば、両方楽しめるので、お得かもしれません。


 


 現在は、「デイヴィッド・ホックニー」展をやっていますが、これは、8月31日までです。

 9月以降は誰の作品になるのかはわかりませんが、また違う作家のものをどう見せてくれるのか?楽しみです。

 ルーブルやオルセーなどのいわゆるクラッシックなタイプの美術館とはまた、違った趣で、別の楽しさを味わわせてくれるので、とってもおすすめです。

 


🌟Fondation Louis Vuitton 8Avenue du Mahatma -Gandhi 75016 Paris 

 ルイヴィトン財団美術館


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