2025年10月18日土曜日

警察官も出動する騒ぎになったマルセイユのギャラリーラファイエット閉店クリアランスセール

  


 ギャラリーラファイエットがマルセイユの2店舗を閉店することを発表したのは今年1月初旬のことでした。それから、半年以上が経過し、いよいよ閉店を目前に控えて、閉店するマルセイユのギャラリーラファイエットでは、在庫処分のクリアランスセールがスタートしました。

 ふつうの在庫処分とは違って、この2店舗のクリアランスセールは店内の棚にある商品と在庫の全てを処分することが目的なため、一部のブランドでは、一部の商品もしくは全ての商品を回収し、自社ブティックや他の店舗で再販売することを選択していますが、とはいえ、デパート全体に残る商品は数万点にも及びます。

 靴やコート、ランジェリー、美容製品、家具、あらゆる種類のテキスタイルまで、デパートまるまる空っぽにするわけですから、もの凄い商品数です。

 それを処分するためには、割引もふつうのセールに比べて、思い切りもよく、最大80%引きまでというかなりの割引率になるために、多くの来客が見込まれていました。混雑を予想して、店舗は警備員の増員など、セキュリティを強化して臨んでいたはずでした。



 しかし、見込みは全然、甘く、実際にこの閉店セールが開始された水曜日には、予想以上の大勢の人が押し寄せ、現場は大混乱に陥り、大勢の来客というよりも群衆が押し寄せ、乱闘の末に、強盗未遂事件までもが発生し、警察官が出動する大騒動になり、予定よりもずっと早い時間で閉店となり、翌日の開店も正午過ぎになりました。

 事態の深刻さに鑑み、警察官が現場に派遣され、衝突と暴力行為を鎮圧するために介入、警察官が軽傷を負っています。

 業績不振のために閉店するお店に制御不能なほどの来客で埋め尽くされるというなんという皮肉な話。大勢の来客に慣れていなかったのか?それとも、特別な割引にお客さんたちが熱狂・興奮しすぎていたのか?いずれにしても、哀しい話です。

 私はマルセイユのギャラリーラファイエットには行ったことがないので、どのようなお店なのかはわかりませんが、そもそも、ほんの一部の例外を除いて、やはりデパートというものは、今、ほぼほぼオワコン(この言葉自体ももうひょっとすると使われていないのでしょうか?)なのかもしれません。

 先日、たまたま、パリのギャラリーラファイエットに行って(実際に行ったのはグルメ館の方で、本館の方は、ちょっと中を通って、相変わらず、ドームがきれいだな・・と眺めただけですが・・)ここだけは、いつ来ても、すごい人だな・・と思ったばかりです。

 パリのギャラリーラファイエットは、その例外に入るのかもしれません。


マルセイユのギャラリーラファイエット閉店セール大混乱


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2025年10月17日金曜日

メトロ10号線で運行を開始した新車両 MF19とパリの鉄オタくんたち

 


 未来の地下鉄車両がメトロ10号線で運行を開始するというので、ちょうど、その日は予定がついたこともあって、運行開始当日に、野次馬根性で見に行ってきました。

 私は特別、電車にもメトロにも興味があるというわけでもないのですが、「未来の地下鉄」とか、「将来的にはこの新世代の車両がパリの地下鉄路線の半分を占めることになる」とかいうので、どんなハイテク?どんな新車?と気になったのです。




 あとになってわかったことですが、この車両、まだ、あんまり本数も多くなく、当面は午前9時から16時まで、走行区間も10号線のほんの一部(ポルト・ドートゥイユ駅とラ・モット・ピケ・グルネル駅間)だけだそうで、何時にその車両がやってくるのかもわからず、まあ、見れたら、ラッキー!くらいの軽い感じでした。




 個人的には、以前RER E線がサンラザール駅まで開通した頃に見た、なんだかキラキラした感じなのかな?と思っていましたが、技術的なことはわかりませんが、わりとふつう。

 やっぱり私みたいな野次馬がけっこういると見えて、けっこう車内も混んでいたので、実感できなかったのかもしれませんが、大きく、これまでの他線の新車と思われるものと、そこまで大きく変わった感じはありませんでした。




 しかし、さすがに乗ってみると、新車の匂い(電車にも新車の匂いっていうものがあるのですね・・)、なんとなく、プラスチックというか、なんかケミカルな感じの匂いがしました。

 行く先の表示の電光掲示板が今までよりも広く、長く、おそらく見やすくできているんでしょうが、今のところ、「Bienvenue ligne 10」(10号線にようこそ)としか表示されていませんでした。




 細かいところは、なんとなく、ポールなどが全体に丸みを帯びている感じ、窓が大きいこと、ドアが幅広なのが特徴的かな?と思います。携帯のチャージができたりするUSBポートがところどころにあるのは、他の車両にも既に登場しているので珍しくはありません。

 正直、日頃、10号線というのは、ほぼほぼ乗る機会がないため、これまでの車両というものを知らなかったのですが、帰りに折り返しの電車に乗ってみたら、なかなかな年季が感じられ、椅子の布は擦り切れ、落書きを消した形跡があったりと、まあまあ汚くて、なるほど・・と思いました。

 なにせ、ふだん、ほとんど行ったことがない駅なので、折り返しはどこ?とまず出口を上がっていくと、駅の窓口に小さな人だかりができていました。のぞき込めば、何やら、大きな紙のようなものを配っていて、パリの鉄オタくんたちが、集結しています。

 さきほど、ホームでも写真を熱心に撮っている人たちがいて、パリにも鉄オタくんっているんだな・・と遠巻きに眺めていたのですが、思いがけずに彼らの固まりの中になんとなくすっぽり入ってしまうかたちになりました。

 駅の窓口では、新しい車両の紙の模型とステッカー、クッキーなどを配っていて、「せっかくだから、私も欲しいな・・」と並んでいると、近くにいた男の子が「これ欲しいんでしょ!ひとつどうぞ・・」と分けてくれました。

 すると、周りにいた男の子たち、そして駅員のおばさんまでもがクッキーやステッカーも欲しいでしょ・・とMF19のマーク入りのクッキーを出してきてくれました。




 きっと、鉄オタくんたちにとったら、またとない貴重品をこんな見ず知らずの野次馬おばさんにまで分けてくれるなんて・・ととっても感動しました。

 私は、これまで日本でもフランスでも鉄オタくんと呼ばれる人々に接したことはなかったので、初めて、ちょっとだけお話しましたが、彼らがとっても優しい目をした人たちで、優しいのは目だけではなく、本当に優しくて、しかもとても繊細そうで、(余計なお世話ですが・・)この人たち、こんなに優しくて普通の社会を渡っていけるのだろうか?とちょっと思いました。

 ちょっとこれまで出会ったことのない独特な世界観を持った不思議な雰囲気(決して悪い意味ではない)の人々でした。

 彼らの情報によれば、この新車両の中には、1台だけ、茶色いおタカラ車両があるそうで、残念ながら、その日は、もう運行は終了して車庫入りしているとのこと。

 せっかくだったら、そのレア車両も見てみたかったのに残念でした。

 でも、正直、この日、私は、未来の新車両を見れたことよりも、ふつうに生活していたら、絶対に接点がありそうもない、この鉄オタくんたちと、ちょっとだけでも触れ合えたことが感動的な1日でした。


メトロ10号線 MF19


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2025年10月16日木曜日

携帯3個持ってパリに来ている娘 私たちは、携帯に縛られている?

  


 娘はお年頃にもかかわらず(関係ないかもしれないけど・・)、どこに行くのもとても荷物の少ない人で、日頃、ふらっとでかけたりするのには、バッグも持たず、に手ぶらで出かけることが多く、旅行に出かけるにしても、非常に荷物はコンパクトで、私が若い頃に比べたら、考えられない身軽さ・・これじゃ、男の子みたいじゃん!と思わないでもありません。

 しかし、今回、娘がパリに来るのには、パソコン2台、携帯3台とそれに伴う充電器等々、電子機器が彼女の少ない荷物のかなりの割合を占めています。

 もっとも、彼女がパリに来るときには、私があれこれと、主に食料品をあれ買ってきて、これ買ってきて!と頼んでいるので、結局は、申し訳ないことに、恐らく、私の食料が大部分を占めるのですが、パソコン2台に携帯3台には、ちょっと驚きます。

 そもそも、パリに来ても、仕事をするから、こうなるのかもしれませんが、パソコンも携帯もそれぞれ会社用と自分用のそれぞれ1台。そして、携帯に関しては、自分の携帯ですら、フランスの携帯と日本の携帯と会社の携帯。

 まったく、しょっちゅう何か忘れ物をしたり、落とし物をしたりする娘がよくも携帯3台も持って失くさないものだと母としては、それだけでも感心するところです。

 しかし、携帯というもの、依然として私は、しっかりと使いこなせているとは言えないし、どちらかといえば、好きではないのですが、携帯がないとか、繋がらないとなると、途端に不安になってしまう状態でもあります。

 私は携帯は1台しか持っていないので、日本に行った時には、SIMカードを買って(今はe-simが使えるようになった)利用しているわけなのですが、この外国に行って、携帯のwifiが繋がるようにしなければ、いられない!とけっこう焦ってしまうことに、そういえば、少し前までは、そんなものなかったのにな・・と思わないでもありません。

 とはいえ、今は、携帯でなんでも情報を得ようとすることに慣れてしまっている今、街中の観光客を見渡しても、地図を片手に歩いている人など、すっかり見かけなくなっているし、人から道を聞かれることもめっきり減った気がします。

 反面、それだけ、携帯に縛られているような・・そんな気がしないでもありません。

 今度、バカンスに出るときには、思い切って、携帯をオフにして・・などと思わないでもありませんが、もはや、そんな勇気はなくなっているのです。


携帯電話


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2025年10月15日水曜日

新?首相 セバスチャン・ルコルニュⅡ 年金改革の停止を提案

  

 

 すったもんだの挙句にフランスの首相は、在任期間の最短記録を更新したと言われたセバスチャン・ルコルニュ首相が再任し、そんな経緯から、彼の新政権はルコルニュⅡ(ルコルニュⅡ世)などと呼ばれています。

 今回は、一応、組閣も終了し、各大臣の任命も行われています。

 とはいえ、来年度の予算審議を控えて開催される16日に開催される国民議会をまえに、ルコルニュ首相は、先制攻撃というか、防御というか、議員に対し今後のロードマップを説明しました。

 なにしろ、怒りに湧き上がっていた議員たちが予算を決めるよりも何よりも、そのまえに政府を倒す気満々で、国民連合(右派)と一部の左派は、首相の不信任動議の採決を行おうと手ぐすねを引いて待っている状態です。

 今回の彼の首相再任にあたっては、一度は自ら首相を辞任し、それが受理され、公にも首相再任は考えていないと宣言したうえでの、まさか・・いや、やっぱり・・の再任。生半可なことでは彼はこの火中の栗どころではない厳しい要職を受けるにあたって、マクロン大統領は、彼に全権を与えているという噂もあります。

 この期に及んでも、絶対に他党派に首相の席を与えなかったマクロン大統領もなかなかな根性だとも思いますが、首相の再任命の前日、各党派のトップを大統領官邸に呼ぶメールが夜中の2時くらいの時間に届いたと各リーダーが明かしており、さすがのマクロン大統領も相当、悩みに悩んだ末の選択だったと思われます。

 とはいえ、今回のルコルニュⅡの先制攻撃ともいえるスピーチは、とりあえずの政権転覆をなんとかして回避するためなのは、明白で、彼は自らの再任について、「フランスには予算が必用だからこそ、私は大統領の任命を引き受けた」と説明しました。

 生半可なことでは納得しそうもない議員たちを前に、彼はなんと、暴動騒ぎまで起こして決定した「年金改革の停止」を提案。これは、社会党が長いこと求め続けてきたことです。

 そして同時に、年金改革をごり押しして通した憲法49条3項を放棄することを約束。つまり禁じ手はもう使いませんという宣言です。

 年金改革に関しては、具体的には2023年の年金改革を2027年の大統領選挙まで停止、2028年の退職年齢の引き上げは2028年1月までは行わず、保健期間についても据え置きの2028年まで170四半期のままとなります。

 この年金改革の停止により、「2026年に4億ユーロ、2027年に18億ユーロ」の費用がかかることを付け加えたうえで、これにかかる費用は、貯蓄によって補填される必要があるため、「社会パートナーとの合意に基づく年金と労働に関する会議」の場を設けると発表しました。

 そもそも各党派はもちろんのこと、国民の最も関心の高い年金改革問題について、大きく譲った提案に世間も驚いています。

 また、難しいと言われている予算案(特に赤字削減問題)については、支出削減を継続することは急務であるとしつつも、「本質的に改善可能」であると断言。社会保障や税務における不正行為への対策を強化することで他の節約も実現するとし、また、中小企業への減税に加え、一部の超大企業を対象とした的を絞った例外的な増税を実施。税の最適化を規制する措置を提案することを発表しました。

 その他、もろもろ、細かいこともあるのですが、それはここでは省略させていただきますが、彼は、ここでちょっとしびれることを宣言しています。

 それは、「国家予算と社会保障予算に関する討論はここ(国民議会)で行い、ここで決めるものであり、決して財務省が決めるものではない!私自身が規範を示す!」と、「日本の国会でも言ってよ!」と思うようなことを堂々と宣言しています。

 そして、「会議が終結すれば、政府は合意を法律化する」と明言。

 たしかに、ハッキリさせなければ、この混乱は繰り返され続けることになります。

 それでも、まだ、この彼の提案が受け入れられるかどうかは、まだ定かではないだけでなく、彼自身の不信任動議の行方もまだ、わかりません。

 しかし、年金改革の停止を提案した時点では、社会党からは拍手が沸き起こったというのですから、一筋の光が見えてきた気もしないではありません。

 若干39歳の首相ですが、個人的には、思っていたよりもずっと頼もしい感じがしてきました。


年金改革停止


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2025年10月14日火曜日

サルコジ元大統領 10月21日パリ・ラ・サンテ刑務所へ収監決定

  


 サルコジ元大統領に懲役5年の実刑判決が下って約2週間、予定どおり、サルコジ元大統領は、国家財務検察庁(PNF)からの召喚状を受け取り、その日程と場所を告げられました。

 元大統領は、判決を不服として控訴したものの、仮執行猶予付きの拘禁命令により、収監されることになります。

 彼が収監されるパリ・ラ・サンテ刑務所は、パリ14区にあり、6年前に全面改装されて、2019年初頭に再開したばかりの比較的、新しい刑務所で、脆弱な立場にある人々の安全を確保するために隔離された「脆弱者区画(QPV)」があることで知られています。

 これまでにもピエール・パルマード、ベルナール・タピ、パトリック・バルカニーといった著名人も受けいれたことでも有名な場所でもあります。

 刑務官によれば、いかなる人物も優遇措置を受けることはないとのことではありますが、元国家元首ともなれば、刑務所側が優遇というよりも、中での争いごとを避けるための配慮が必用になることは言うまでもありません。

 とはいえ、彼は、他の受刑者と同様に、個人収監通知書、つまり比較的個人的な質問票への記入を求められました。内容は、「うつ病ですか?」、「監視すべき自殺の危険性はありますか?」、「治療や投薬が必用な依存症はありますか?」などの質問です。

 彼が入るのは、9平方メートルの個室。ベッド、ワードローブ、シャワーに加え、テレビと冷蔵庫も利用可能(利用料を支払った場合のみ)。他の受刑者と同様に、週3回の面会室と24時間利用可能な携帯電話の利用権が与えられますが、利用できる電話番号は裁判所が許可した番号に限られます。

 それでも、刑務所内で携帯もテレビも冷蔵庫も利用可能とは、驚きです。

 ただし、個室から出ることは元大統領という立場場、制限を受けるとのこと。このいわゆる社会的脆弱者区画では、1日に2回、専用の中庭に出て、他の受刑者と会うことなく独りで過ごすことができます。

 これは、携帯電話を持ち込んだ他の受刑者がサルコジ氏の動画を撮影したりするリスクを避けるためとしています。

 しかし、サルコジ元大統領は、収監後、ただちに彼の弁護団は、釈放を求める申し立てを請求することができるようで、審査は最大で2カ月以内に行われるというので、彼がノエルまでには、出られる可能性もあり得るという見方もあります。

 この申し立てに対して、70歳以上の高齢者は減刑の恩恵を受けられる可能性が高いともいわれているものの、これは、最終的な有罪判決が下された場合に限られます。しかし、サルコジ元大統領は、控訴しており、6ヶ月以内に再審が開かれる予定になっているため、この控訴がこの申し立てを遮るものになる可能性もあります。

 しかし、なんとかして、逃れるかと思っていましたが、とにかく一度は、お入りになることになりそうです。


二コラ・サルコジ元大統領 パリ・ラ・サンテ刑務所


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2025年10月13日月曜日

認知症ってそんなに急激に悪化してしまうものとは驚いた・・

  


 イタリア旅行中に、従姉妹にLINEで、脳天気にイタリアの美しい海や現地で食べた美味しいものの写真などを送っていたら、「バカンス満喫中に悪いんだけど、ママの体調が急激に弱って、ここ1週間くらいで急に歩けなくなってしまって、トイレにさえも一人で行けなくなってしまって、入院させたところで、バタバタしています・・」という返事が返ってきて、なんだか申し訳ない気持ちになってしまいました。

 実は、今回、娘がパリに来るときに、従姉妹には、一緒に来ない?などと、誘っていたのですが、「ママを長期間、2日以上、家に一人で置いてくることはできないから、ちょっと無理だな~」と言っていたのです。

 今年の夏頃から、叔母は、急激に弱り始め、その時も、従姉妹によると、「もうほとんど、一日中寝てばっかりいるの・・」と言っていたのですが、まだ、その頃は、食事は自分で取れるし、思い出したように起きてきて、食事する・・けど、トイレなどは、自分で行っている」という話だったのです。

 それが9月に入ってから、急激に弱ってしまって、とうとう一人で歩くことができなくなり、もう一日、何回もトイレに連れて行くだけでも大変になってしまって、そんな一週間が過ぎて、とうとう音を上げて、入院することになったのです。

 90を過ぎている叔母ですが、とても社交的な明るい性格で健康そのものの人でした。

 ところが、この入院によって、10日くらいの間にあっという間に認知機能が低下してしまったらしく、そのまま同じ病院に入院させておくことが不可能になり、介護施設探しに奔走した結果、ちょうど今月オープンしたばかりの施設に入ったばかりとのこと。

 ずっと家で介護してきた従姉妹にとっては、何よりも、このあまりに急激な母親の認知機能の低下が何よりもショックだったようで、「ほんとに、こんなに急激に悪くなっちゃうものなの?」とその事実が受け入れがたいことのようで、今まで、「どんなことがあっても家を動きたくない!死ぬまでこの家にいる!」と言っていた叔母も、もう自分がどこにいるのかも、ほとんどわかっていない様子だとのこと。

 最初に、歩けなくなってしまって病院に入院した時には、まだまだ自分で携帯で電話してきたり、持って行った差し入れを自分で食べていたりもしたようなのですが、1ヶ月の間に、もうすっかり、介護なしには無理な状況になってしまったらしいのです。

 まだ施設には入ったばかりらしいのですが、これがまた、費用が1ヶ月40万円程度かかるということで、大変そう・・。でも、もうお金には代えられないし・・とのことでしたが、当然のことながら、誰もがそんな金額を払えるわけではないし、やっぱり老後は大変なのだなと実感した・・一方、でも、お金持ちっているものだな・・まさに入ってくるご老人たちの身なりも全然、違うもん・・昨日、入ってきたおじいさんなんて、ハットにステッキ姿で現れた・・と感心していました。

 上には上がある高級介護施設ですが、これが区の特別養護介護施設だと、費用はだいたい半額以下・・だけど、2年待ちとかなのだそう・・。それは無理な話でしょう。

 従姉妹にとっては、この1ヶ月、激動の1ヶ月だったようですが、ずーっと母親と二人暮らしだった彼女には、新しい生活にまだまだ慣れなくて、別居生活をしていると思うようにしている・・と言いながらも、日々、母親のところに行っては、一生懸命、話しかけたり、面倒をみたりして、なんとか回復してくれないか・・と頑張っている模様。

 しかし、今の状況では叔母が自宅に戻ることは絶望的な感じで、それも辛くてたまらない様子でした。

 老いて、弱っていく家族の状況を受け入れることは辛いことです。


認知機能の急激な低下



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2025年10月12日日曜日

娘との旅行で・・・Googleってこんなに便利だったのね・・

  


 こんなこと、今さら書くのもデジタル世代の人にとったら、つまらない当然の話なのかもしれませんが、どうにもデジタル機器に苦手意識が拭いきれず、実際に、上手く使いこなせていない私にとっては、娘と旅行していて、彼女が自由自在にGoogleのあらゆる機能を見事に使いこなしている様子には、毎度のことながら、驚かされます。

 行く先々の地図は、もちろんのこと、オンタイムのあらゆる情報が入ってくるのは、今の旅行には、素晴らしく便利な機能です。

 今回のイタリア旅行では、車を借りて、移動したのですが、携帯を車のナビに繋いで、道にも一切、迷うことがなく、また、その時の渋滞の情報から、警察がどこで、検問をしているだとか、今、事故が起こったから、道を変更した方が良いですよ!とか、そんなオンタイムの情報が入ってくるので、すごいもんだと、驚くばかりです。

 娘に、「日本で運転するときも、Googleのお世話になっているの?」と聞くと、日本だと、Googleをナビにしている人は、ヨーロッパほど多くないから、利用者からの情報も少ないから、これほどの精度には、ならないのだとか・・。まあ、日本は日本で別のナビがいっぱいあるけどね・・とのこと・・なるほど・・です。

 ちょうど、高速道路を走っていたときに、大きな事故に遭遇し、ちょうど、渋滞がはじまりかけ?くらいのところで、その情報が入ってきたので、私たちは、横道に逸れたのですが、隣に見える高速は、全く動かない状態になっていて、皆、諦めて、車を降りて、歩いたりしていたりするのが見えました。

 10分ほど走ったところで、高速道路でかなりの大型トラックが横転しているのが見えて、すれ違いにチラッと見えただけですが、まだ、トラックの中の人を救出している最中で、炎天下の中、この渋滞にまともにハマってしまっていたら、大変なことになっただろう・・とゾッとする思いでした。

 また、行く先々でのレストラン探しも娘がGoogleで探してくれるのですが、このチョイスがこれまた素晴らしく、私など、同じ画面を見ても、一体、どのお店を選んだらいいのか全くわからないのですが、彼女の勘は天才的で、本人曰く、値段と点数とあとは、写真で選んでいるというのですが、今回の旅行も1つもハズレはありませんでした。

 イタリアなので、そうそうハズレはないと思うのですが、それにしても、差はあるわけで、あまりにたくさんあるレストランで、ちょっと繁華街を外れたような場所にあるお店でも、娘の選ぶお店は見事に賑わっていて、味も確かなのです。

 そうなってくると、もう海外旅行でも携帯は必須のアイテムなので、その代わりに地図というものを持つ必要もなく、ガイドブックですら、必用ないわけです。

 どおりでパリでもガイドブック片手に・・という旅行者もあまり見かけなくなったはず・・。私は、知らず知らずのうちに、なんだか取り残されている感がします。

 私は娘のおかげで、かろうじて、そんな時代の変化を垣間見てのっかることができていて、その恩恵にもあずかれているわけですが、同時になんとなく自分が情けない気もしてくるのでした。


Google Googlemap


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2025年10月11日土曜日

セバスチャン・ルコルニュ首相再任 大混乱中の政治・・フランスにしても、日本にしても・・

  


 フランスでは、昨年の欧州議会の選挙の右派が大勝を果たした頃から、政治の混乱は激しくなり始めました。これに危機感を感じて誰もが驚く突然の国民議会解散と総選挙で、マクロン大統領にとっては、さらに悪い状況に陥り、大統領の派閥が議会の過半数を失うどころか、第一党でさえもなくなってしまいました。

 それからというもの、首相が決まっては、ほぼほぼ、何もできないまま辞任・・ということが続き、昨年末も、今年度の予算案が決められないままに、年を越すという最悪の事態を迎え、それからも、また数人首相が交代し、現在は、次期首相の指名が誰になるのか?とずっとテレビなどでも、喧々囂々と激しい討論が続いています。

 日本にしても、自民党が国会での過半数を失って以来、外から見ていても、なんか、似たような状態だな・・と思っていますが、日本とフランスは政治の仕組みも違い、フランスは、首相といっても、大統領の下にいる立場。そして、その首相は、大統領が任命するというかたちなので、現在、もっぱら、非難の的になっているのは、マクロン大統領です。

 当面の差し迫った課題は、来年度の予算をまた年内に決められなくなること、そして、その予算案に際しての財政赤字をどうやって縮小していくか?何を削るのか?ということなのですが、インフレが進み、生活が苦しくなっている国民が悲鳴をあげているという意味ではフランスも日本も同じことです。

 一般市民というか、国民の立場からすれば、国の言われたとおりに高い税金をきちんと払い、まじめに働いて、生活しているというのに、お金が足りなくなったから、おまえたちの補償を減らすとか、先延ばしにするとか、さらには、余計に税金を徴収するとか・・横暴といえば、横暴なはなしです。

 これまで、赤字が累積されるまで、放っておいたのは、政治家で、ウクライナなどの他国には、気前よく大金を投じて、フランスの場合は、ド派手なオリンピックなどまでやっておいて、自分たちが使うお金を見直したらどうなんだ!と思うのも当然の話です。

 フランスに関して言えば、もう話はどんどんこじれていくようで、これがカップルとか、夫婦などだったら、しばらく距離をおいて、冷静に見直そう・・などと言うことになりそうな気もしますが、国の政治となれば、待ったなしです。

 少なくとも、年に何回にもなる首相交代劇で、政府が停止状態になるたびに、国の政治は中断状態。今回の首相交代劇に関しても、9月の初めに就任して、組閣が26日間も据え置き状態の挙句に組閣発表の直後に辞任。約1ヶ月間は、またフランスの政治はストップ状態です。

 先日の辞任するセバスチャン・ルコルニュ首相は、来週の月曜日が予算案を年末までに決める時間的リミットだと言っていましたが、これも絶望的な感じです。

 すったもんだの挙句に辞任したセバスチャン・ルコルニュ首相が首相に再任されたということで、また大論争が起こりそうです。


セバスチャン・ルコルニュ首相再任


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2025年10月10日金曜日

南イタリアのビーチの若者たちになんだかホッコリさせられた・・

  


 パリは9月の記録的な寒さを記録しているというのに、南イタリアは、9月下旬というのに、まだまだ泳げるくらいの気温で、当然、ビーチも真夏の賑わいほどではないにせよ、日中は、パラソルがないとちょっときついくらいの陽ざしで、けっこうな人が水着姿で子どもを遊ばせていたり、ビーチに寝転んで読書していたり・・とそれぞれが太陽の光と海を楽しんでいました。

 今回、私が訪れたプーリア地方・・イタリアの東側・・イタリアをブーツで例えるとちょうどかかとの部分にあたる地域で、私は、なんといっても美味しい食べ物(特に魚介類)はもちろんのこと、美しい海を見たい・・美しい海を眺めていたい・・と思っていました。

 このあたりの海岸線には、無数の美しいビーチがあって、車でちょっと走ると、次々とビーチがあって、本当に、このあたりだったら、ひとつずつビーチをめぐっても、相当な日数がかかると思われます。

 ビーチも場所によって、様々で、多くは砂浜のビーチなのですが、そのビーチの手前は、ちょっと珍しい感じの少し赤っぽい(オレンジっぽい)色の土が続いていて、ちょっとどこか、かつて、私がいたアフリカの土地(アフリカ・・私のいたアフリカはもっと赤っぽい土でしたが・・)を彷彿とさせる感じもありました。

 その赤土には、たくさんのオリーブの木が植わってて、これまで見たことのない種類の美しい景色でした。

 その無数にあると思われるビーチは、場所によって、差があるものの、そこそこ人がいて、人が少なめ(ハイシーズンにはいっぱいなんだろうけど・・)だな・・と思われる場所には、地元の人っぽい若者たちが、本当に日常の延長なんだろうな・・という感じに、遊びに来ているのも、なんか羨ましい光景でした。




 そのビーチには、海に沈む夕日が見たい・・ということで出かけたビーチだったのですが、地元の若者たちが戯れていて、サッカーボールを蹴っているかと思うと男女がビーチに並んで座って、何やら黙々と、それぞれが下を向いて、雑誌?とペンを持って、一生懸命にやています。

 そもそも私は、この暑い場所で読書したりするのもよくわからないのですが、ビーチでサングラスをして本を読んでいるという人はけっこう多いのです。しかし、そういうのは、どちらかといえば、年配の人が多くて、こんな若者たちがビーチで何をやっているんだろう?と、妙に目にとまったのです。

 よく見てみると、彼らは、「SUUDOKU」をやっているらしく、かなり熱中してやっています。しかも、それぞれが、小さな雑誌のような「SUUDOKU」本を持って・・。

 この「SUUDOKU」、10年くらいまえ?いや?もっと前かもしれない・・は、フランスでもけっこう流行っていた時期があって、メトロの中などで、よく、この「SUUDOKU」本を筆致にやっている人をよく見かけたものです。

 今は、携帯ばかりで、紙の本でさえも読んでいる人がずいぶん減ったし、久しぶりに見たな・・「SUUDOKU本」そんな感じでした。

 なんだか、ビーチでこの「SUUDOKU」に夢中になったり、ビーチでボールを蹴ったりして遊んでいる南イタリアの地元の若者たちに、妙にアナログな感じで、なんだか妙にホッコリさせられたのでした。

 なにもビーチでやらなくても・・とも思うのですが、逆に考えれば、彼らにとっては、ビーチがそんなに特別な場所ではないということで、とても羨ましい感じがしました。


SUUDOKU


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2025年10月9日木曜日

辞表提出済みのセバスチャン・ルコルニュ首相がインタビューで語ったこと

 

    

 史上最短記録を樹立したセバスチャン・ルコルニュ首相に対して、マクロン大統領からは、2日間の間に最終交渉を行い、国の安定のための綱領を定める責任を課せられていました。

 この48時間の間、フランス国内は政界のみならず、世論も荒れに荒れ、各政党がここぞとばかりにマクロン大統領を攻め立て、もはや内閣というよりも、「大統領辞任」を求める声が強くなり、これまでマクロン大統領の腹心と言われていた人々からも、彼を否定するような発言が飛び出し、特にマクロン大統領を支持しているわけではない私でも、ちょっと見るに堪えない惨状となっていました。

 これまでも、「マクロンやめろ!」の声は、けっこう上がっていたのですが、今回ばかりは、なかなか真実味が増してきたような気がしたのも事実です。

 こんな混乱状態の中では、誰と誰が会ったとか、何を話したか?とか、憶測に過ぎない話なども、盛沢山に出没するわけで、全てを真に受けてはいけないと思っていましたが、そんな中、エリザベス・ボルヌ(元首相)が年金改革を一時停止にしてはどうか?というような発言をしたため、また、それが新しい火種になったりもしていました。

 年金改革案を49.3条(首相の権限において、採択せずに法案を通すこと)を発令して、大暴動まで起こして、通した年金改革です。「自分たちの身が危うくなれば、あんなに強引に押し通した年金改革でさえも、あっさり取り下げるのか?結局は、自分が可愛いだけじゃないか!」などの声もあがって、これがまた逆効果になったのです。

 そして、48時間が経過する間に、辞表を出しておいて、結局は続投するのではないか?とまで言われたセバスチャン・ルコルニュ首相は、夜のニュース番組で、この48時間と今後の展望を語りました。

 彼は、予定どおり、首相は辞任すると断言。今後48時間以内に次の首相が任命される予定であると発表しました。彼は今日までの48時間の間の各政党の党首との話し合いから、「複数の政党が共通予算案で合意する用意があると考えている」、「特に左派政党はフランスの安定と予算を望んでいるが、条件を付けている」、「とても困難な状況ではあるが、道はまだ開けている」と大統領に伝えたことを説明しました。

 首相は「党派的な思惑によって、政権構成は行き詰っている」と認め、ほんの14時間で終わった自分が行った組閣に関しては「いくつかの点を見落としていた」、「政権構成に関して一つ後悔があるとすれば、それは、次期大統領選への野心とは無関係なチームでなければならなかった」と告白しています。

 実際に、そう遠くはない2027年の大統領選挙が今回の政治的混乱に無関係ではないことは、今回の騒動を批判して声を挙げている政治家の面々を見ても思い当たる発言がけっこうあります。

 彼は、自分がもう首相を辞任しているということからか、どこかスッキリした顔つきでもありましたが、予算案は月曜日に提出されると話しています。

 しかし、その前の大問題は、48時間後に任命されるであろう首相が一体誰なのか?どの党派の人物なのか次第で、また、問題はぶり返されることは確実。

 また、マクロン大統領の陣営を置いたのでは、問題は繰り返され続けることは確実です。


セバスチャン・ルコルニュ首相


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2025年10月8日水曜日

新型コロナウィルス感染急増と新たな変異株「フランケンシュタイン」

  


 秋の深まりとともに、今年も新型コロナウィルスの感染者が増加する季節になってきたようです。9月の最終週のデータによると、この9月末の1週間の新規感染者数は、33,461人を記録しているそうです。

 これは人口10万人あたり50人の感染率です。

 このコロナウィルス感染の急増により、フランス国内の薬局では先週1週間で15万個の検査キットが売れに売れ、現在、セルフ検査キットが品不足に陥っているそうです。セルフ検査キットの中で最も売れているものは、子どもと高齢者用の検査キットとのこと。

 今回の新型コロナウィルス感染の急増には、「フランケンシュタイン」というニックネームを持つ新型変異株が大きく影響していると言われています。

 欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、この新たな変異株は、9月初旬に記録された感染者の80%以上を占めていました。

 この新たな変異株の学名は「XFG」で「フランケンシュタイン」というのは、ニックネームのようなもので、2つのオミクロン亜変異株が融合したため、「フランケンシュタイン」と呼ばれています。

 つまり、2つの異なる変異株が融合して出来上がった変異種であることから、人間の身体の一部から作られた、あの有名な架空の生き物を彷彿とさせるハイブリッドウィルスということでこのニックネームがつけられたようです。

 このフランケンシュタインは、感染力が非常に強いものの、危険性は高くないと言われてますが、専門家によると、ここ数週間、高齢者施設で依然として感染拡大が確認されており、重症化による入院も増加しているということで、高齢者や化学療法を受けているガン患者、慢性的な肺、心臓、腎臓の感染症など健康上の問題を抱え、感染リスクが高い人は、一層の注意が必用だと警告しています。

 しかし、フランス公衆衛生局は、今回の新型コロナウィルス感染の流行は、ワクチン接種キャンペーンの開始を早めるほどではないという判断を下し、ワクチン接種キャンペーンは、従来の予定どおりの10月14日から、インフルエンザワクチン接種と併せて開始すると発表しています。

 一時は、少し具合が悪いと「もしかして?コロナ?」と不安に思ったものですが、そんなことはすっかり忘れていました。しかし、忘れた頃にやってくるコロナウィルスとインフルエンザ・・という感じになっています。

 キャンペーンが始まったら、ワクチン接種に行ってきます。


新型コロナウィルス感染急増 新型変異種フランケンシュタイン


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2025年10月7日火曜日

セバスチャン・ルコルニュ首相 辞任 史上最短の在任期間 フランス政府の危機

 

         


 こんなに政局が急速にガタガタと崩れていくものかと、フランス人ではない私でさえも、驚愕する事態がフランスでは起こっています。

 前首相のフランソワ・バイルー氏が辞任して、24時間も経たないうちに任命されたセバスチャン・ルコルニュ首相は、首相任命から、なんと組閣人事発表まで26日もかけて、ようやく10月5日(日)の夜に内閣人事が発表されました。

 私は、そのニュースをなんとなく、サラッと眺めて、明日、じっくり見てみよう・・と思っていました。

 ところが、その14時間後の月曜日の朝、今度は、突如、首相が辞表を提出して、マクロン大統領がそれを受け入れたというビックリニュースが飛び込んできて、「なんなの?これは?どうなってるの?」とビックリした次第です。

 この1ヶ月未満という記録的なスピードでの首相辞任は、当然、国全体を揺るがす大騒動になっており、朝早くに発表された首相辞任のニュースで株価は急落。SNS上だけでなく世論が大炎上しています。

 この首相のスピード辞任、特に組閣人事発表からの速攻辞任には、組閣人事に対する各政党や世論からの大反発によるものと見られており、この組閣人事の構成が前政権からの引継ぎ、つまり大統領陣営がかなりの割合で含まれていること、特にブルーノ・ル・メール氏(長年、マクロン政権で財務相を務めてきた人物で国防・軍事に関しての経験はないらしい)の国防相という人事への反発であるという声も大きいと言われています。

 ブルーノ・ル・メール氏に関しては、マクロン政権がかなり崩れ始めた頃に、自ら財務相を辞任し、どこかの大学の教授として、若者と意見をかわしつつ、フランスの将来について考える・・というようなことを言っており、私としては、まことに清々しい引き方だ・・と感心していたのですが、さらに混乱した状況において、なぜ、政界に復帰することを了承したのでしょうか? 彼は、今回の人事を受け入れるにあたって、「政府に参加するという私の決断は専ら使命感から下したものでした。私の決断が一部の人々から、理解不能で虚偽で不相応な反応を引き起こしていることを承知しています」と述べていました。

 とにかく、この組閣人事発表から、首相退任による組閣取り消しにより、前日の夜に任命された大臣たちは、公式に任命が交付されているために、何もしない14時間のおかげで、各自(大臣たち)が3ヶ月間の給与28,000ユーロの給与が支払われることになり、この任命の総費用だけでも、約50万ユーロかかることなども、報道されています。

 あまりの世間の怒りに慌てているマクロン大統領は、辞表を受け取ったものの、セバスチャン・ルコルニュ首相に対して、2日後の夜までに最終交渉を行い、国の安定のための綱領を定める責任を委任したと大統領府は発表しています。

 ここまでグダグダになって、今さら解決策などあるのだろうか?と思ってしまいますが、今後、しばらくは、離せなくなりそうです。

 今回の首相に関しては、「来年度の予算を通すまでに何人の首相が必用か?」などと嫌みな見出しの報道などがされていましたが、冗談ではなくなってきました。

 1ヶ月未満で職を放棄してしまった新(前)首相に対して、国民の反発もさぞかし強かろう・・と思いきや、世論調査によると4人のうち3人のフランス人は、セバスチャン・ルコルニュ首相の辞任は正しかったと答えているそうです。


仏首相 1ヶ月未満のスピード辞任


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2025年10月6日月曜日

バスの検札がやっぱり物々しくて・・

  


 パリ市内では、バスやメトロなどの公共交通機関のコントロール(いわゆる検札)に遭遇する機会は珍しくありません。先日、バスに乗ったら、まず、チケットをチン!とチェック?する機械が壊れていて、何回かやってみても、赤いランプがついて、ブーッという音が鳴って、一瞬、「どうしよう?」と思って、運転手さんの方を見たのですが、運転手さんは、知らん顔をしているし、次に乗った人もまた、チケットを機械にかざすと、ブーッとなっていて、「あ~これは、機械自体が壊れているんだから、しょうがないよね・・」と思って、そのままバスの中に進もうとしました。

 それにしても、運転手さん、機械が壊れているのは、彼はもうわかっているんだったら、なんか、説明してくれればいいのに・・と思っていたら、そのあとにすぐにバスの入口と出口から検札軍団(5人くらいのいかつい男の人たち)が乗ってきて、チケットのチェックが始まりました。

 あいかわらずの物々しさ・・すごい威圧感だな・・「ただでさえ、ちょっとバス待たされたのに、これで、また時間がかかる・・こんなのやってたから、バスがなかなか来なかったんだな・・」と思いつつ、それでも、自分はチケットをチェックしてもらって、そうそうに、奥の方の空いていた席に座って、「早く、検察なんて終えて、さっさと出発してくれ・・」と思いながら、なんとなく、様子を伺いながら、待っていました。

 いつものことながら、検察軍団は、5~6人が1組になって、動いているのですが、メトロの駅などならば、スペースが広いので、さほど威圧感もないのですが、狭いバスの中だと威圧感がハンパありません。

 それでも、ふつうにチケットをもっていれば、正当に乗車しているわけですから、文句のつけられようもなく(実はチケットは持っていても、チン!と機械に通していなければ、罰金対象になります)、怖いこともないのですが、小心者の私は、チケットを持っていなくて、詰問されているのを見るだけでも、ちょっとビビってしまいます。

 その時は、中学生くらいの男の子と女の子ひとりずつ(一緒にいたわけではなく、別々に乗っていた)がチケット不携帯で違反切符を切られていました。

 男の子のほうは、わりと素直に身分証明書を出して、おとなしく?従っていたのですが、女の子の方が、少々抵抗したらしく、そのままバスの中で尋問が開始。

 少し離れたところにいたので、詳しい内容は聞こえてこなかったのですが、フランス語で話していたので、地域の学生なのだと思いますが、検察官の方が女の子に向かって、「バスに乗るのは、初めてじゃないだろう?」というフレーズだけでしたが、彼女は一体、ナント言い訳をしたのでしょうか?

 しかし、大男たちに囲まれて、責められ続け、しばらくすると、彼女は、半べそをかき始めました。その間、バスは停車したまま、10分経ち、15分経ち・・と時間が経つにつれて、今度は、乗客の方が怒り出して、「自分たちは、仕事中なんだ、こんなに待っちゃいられない!その子と一緒におりて、続けろ!」とバスの中から怒号が湧き始めましたが、検察官の方は、「この先でランデブー(アポ)が入ってる!それに彼女は未成年なんだ!」とよくわからない説明。しかし、ついに乗客の怒号に負けて、検察官とその女の子は、一緒にバスを降りて、ようやくバスは発車しました。

 そもそも、キセルをしたその子が悪いのは、当然なのですが、その検察官たちも、臨機応変に対応ということがすんなりできないものなのか?そんなにすったもんだしてバスを20分以上も停めてしまうことに何の呵責も感じないのか?と、ちょっと、そっちの方に疑問を感じてしまったのでした。


バスの検札


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2025年10月5日日曜日

SNCFを装った「ストライキ後の払い戻し」請求の詐欺メール

  


 まったく、ぼんやりしていられない世の中・・度重なるストライキの挙句に、そのストライキによる払い戻しを装った詐欺メールが横行しているらしいのです。

 ここのところ、新年度になってから(9月から)の度重なるストライキには、皆が少なからずうんざりしているところだと思いますが、今回はSNCF(フランス国鉄)のサイトを装ったホンモノのサイトにそっくりなビジュアルに作られており、詐欺サイトの指示どおりに画面を進めていくと、個人情報、特に銀行の情報がごっそり盗まれる仕組みになっています。

 今回は特にサイトがほぼほぼ、SNCFのホンモノのサイトとそっくりに出来上がっているため、非常に巧妙にできていますが、一部の列車が運休となった9月18日のストライキに関して、ユーザーに29.99ユーロの補償を提示するメールのようです。

 「9月18日の混乱により、29.99ユーロの払い戻しが可能です」とこんな感じです。

 詐欺メールの送信者は、SNCFを装い、標的のユーザーに個人アカウントで払い戻しの詳細を確認するように促してきます。

 その後、ユーザーはリンクをクリックするように促され、SNCF Connectのオンラインチケット購入プラットフォームを巧妙に模倣したサイトへと誘導されます。

 一見すると、このメッセージは、まるで疑いようのないSNCFからのメッセージに見えてしまいます。SNCF Connect(詐欺メール)のデザインは、ホンモノのSNCFと同じデザインで出来ているのです。

 送信元「nrp@sncf.fr」は確かに信憑性があり、内容もユーザーの名前も綴りも間違いなく伝えてきます。

 メッセージには、約束された払い戻しの詳細は個人アカウントで直接確認できると書かれており、「手続きは迅速かつ安全です」と豪語し、リンクをクリックするように促してきます。

 リンクをクリックするとSNCF Connect のウェブサイト(模倣して作られた偽物)にリダイレクトされ、ご丁寧にロボットではないことを確認するためのキャプチャーコードの入力が求められます。

 そして、払い戻し確認のため、個人情報とクレジットカード番号の入力を求められます。詐欺師は、データに直接アクセスし、データが盗まれてしまいます。

 ホンモノのSNCF Connectは、これらの詐欺メールが横行していることに対して警告を発しています。

 偽物を見分ける方法として、送信者のアドレスを注意深く確認するように呼び掛けています。通常ホンモノのメッセージには、@mail.sncfconnect.com、@mail.sncf-connect.com、@info.sncf.com、@connect.sncf、@info.sncf-voyageurs.comといった識別子が含まれています。これらの識別子で終わらないアドレスの場合は、警戒が必用だと言っています。

 私の場合は、「ん??なに?このメール?」と思った際には、そのままそのリンクをGoogleなどで検索してみます。すると、だいたい、詐欺の警告が出ているので、それですぐに削除してしまいます。

 一番簡単な方法です。

 しかし、さんざん、ストライキで迷惑していて、イラついているときなど、「払い戻し!」などというメッセージがきたら、ついうっかり「そりゃそうよ!返してもらわなきゃね!」などと乗っかってしまいかねない気もします。

 まったく、ストライキで足止めを食って痛めつけられ、その後にそれを補償してもらうための詐欺にひっかかるなんて、まったく二重に痛めつけられることになります。

 ほんとに皮肉なことですが、この種の詐欺師などは、ほんとよく気が付くし、よく働くな・・と感心してしまいます。


SNCFストライキ後の払い戻し詐欺


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2025年10月4日土曜日

超ファストファッションSHEIN 今度は百貨店へ進出

  


 超ファストファッションの象徴的な存在であるSHEIN(中国)が仏婦人服ブランドPimkie と業務提携したことで、業界に大激震が走り、Pimkieはフランス衣料品業界から除名処分を受け、業界からは、「悪魔との共謀!」とまで言われて、大バッシングを受けていますが、今度は、そのSHEIN・・ソシエテ・デ・グラン・マガザン(SGM)との独占提携を発表し、フランス国内の百貨店(最初は、6店舗)に店舗をオープンすることを発表しています。

 ソシエテ・デ・グラン・マガザン(SGM)・SGMグループはギャラリー・ラファイエット7店舗やBHVを保有およびフランチャイズしています。

 今回のSHEINの店舗がオープンするのは、SGMの傘下?にあるギャラリーラファイエット(リモージュ、アンジェ、ディジョン、ランス、グルノーブル)とパリのBHVです。

 この物理的な店舗の出店(元来は、オンラインによる販売のブランドのため)は、とりあえずは、試験的に6ヶ月間ということになっているようですが、一時的なポップアップではなく恒久的なものになる予定です。

 実際の店舗のオープンは11月ということになっているらしく、どのような価格帯の商品が陳列されるのかはわかりませんが、これまでの、いわゆる百貨店のどちらかといえば、高級品を扱っている店舗構成を見ても、その中にどのように同化させるのかはわかりませんし、品質が多少悪かろうと、低価格であるからこそ売れに売れ、フランス国内では2,300万人の消費者を抱えているSHEINがどのように?この百貨店の中に入っていくのか?いけるのか?は、大いに見ものであると思われます。

 しかし、一方では、その百貨店自体も、業績は不調続きで、ここ数年でフランス国内のギャラリーラファイエットが何軒、クローズしたか覚えていられないほどで、パリのギャラリーラファイエットこそ、観光客の動員でそこそこ、生きながらえていますが、この百貨店側からしても起死回生のチャンスを狙っているともいえます。

 こうなってくると、もうこれは、繊維業界、衣料品業界だけに留まる話ではなくなってきます。

 しかし、パリのBHVなどを例にとってみれば、あれだけの一等地に店舗を構え、テナント料を払い、またスタッフも雇って、あれだけの低価格の商品を売ることでお店を存続させていくのは、並大抵のことではないとも思われ、ただ、パリのBHVにも出店しているという、そのブランド自体のイメージの格付けを上げるような目的のためで採算度外視してもよいのなら、あり得ることかもしれません。

 このSHEINのフランスでの物理的な店舗の展開については、やはり、同業他社の小売業からは、すでに悲鳴も上がっており、フランス全国衣料連盟(FNH)も同様に憤慨し、「1860年創業の老舗でパリを代表する百貨店でもあるBHVのような店が、ファッションの最悪な商品に頼ることに同意していることは、とても残念なことで、想像力とプロ意識の欠如を露呈している」とまたシビアな意見を発表しています。

 また、この件に関しては、パリ市長も「パリは略奪的な多国籍企業の安易なショーケースになるつもりはない!」全面的に反対の意見を公表しています。

 今回SHEINがオープンする店舗のひとつでもあるリモージュ市は、プレスリリースでこの店舗のオープンに対しては、強く反発し、反対の署名運動まで開始されています。

 今後、ますます大論争が盛り上がりそうなフランス国内でのSHEINの店舗展開は、まだまだフランスのファッション業界に激震を起こし続けそうな気配・・11月にBHV内の店舗がオープンしたら、見に行って来ようと思います。


SHEIN フランス国内の百貨店に進出


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2025年10月3日金曜日

子どもを性的虐待から守る新システム正式稼働開始 子どもに関わる仕事に携わる人が提示しなければならない証明書

  


 すでに政府により、2024年9月から6つの県で試験運用され、2025年3月からは他の23県でも運用が開始されている「児童との就労に危険とみなされるプロファイルの特定」により、子どもを性犯罪者から守るシステムが10月1日から正式にスタートしました。

 これにより、幼児・児童に関わる仕事に就労する(ボランティア等も含む)ためには、採用時および、その後、定期的にこの「優良証明書(Attestations d'honorabilité)」の提示が義務付けられます。

 具体的には、この証明書は、当該者に犯罪歴がなく、性暴力犯罪加害者自動登録簿(FIJAIS)に登録されていないことを証明するもので故意に就労を妨げるものではなく、子どもを犯罪・特に性加害、性暴力から守ることを目的としています。

 フランスでの求人に応募する場合、児童に関わる仕事ではなく、一般の企業であっても、犯罪歴がないことを証明する証明書の提出を求められる(これもオンラインで簡単に取得できるようになっています)ことがありますが、今回のシステムでは、児童施設等の子どもと関わりのある仕事に就労する場合には、この証明書(子どもと共に過ごすことが不適切と考えられるような犯罪歴等がないこと)の提示が義務付けられるようになるということです。

 この証明書発行のためのオンラインプラットフォームが既に稼働を始めており、試験運用も含めて、これまでに34万2000件の証明書を発行しているということで、このうち、1,700人以上の申請者が証明書の発行を拒否されており、そのうちの80%が児童保護の仕事に従事していたという恐ろしい事実も明らかになっています。

 DGSC(児童社会サービス総局)は、この証明書の発行が拒否された就労者に関しては、雇用主は、「個人的な理由による解雇手続き」を行わなければならないとしています。

 このシステムは、児童保護サービス(ホームスタッフ・ファミリーアシスタント)および幼児ケアサービス(保育士・チャイルドマインダー)に勤務する専門家とボランティアもスクリーニングを受けることになります。

 この制度は教育者、家族介護者、保育士だけを対象としているわけではなく、性暴力のかなりの割合が未成年者によって行われることもあるため、家族介護者の家庭で暮らす13歳以上の青少年もスクリーニングの対象になっています。

 また、児童性的虐待画像を所持していたことにより、有罪判決を受けた者も多く、これは、特にこの類の画像を所持している者が実際の虐待行為に及ぶ確率が高いためと説明されています。

 このシステムで全ての性暴力から子どもを守り切れるものではないとは思いますが、特に再犯率が高いと言われる性暴力に関する犯罪から子どもを守るには、必用なスクリーニングではないかと思われます。

 また、児童養護施設などに関しては、家庭環境に恵まれない子どもが集まっているために、擁護施設であると同時に、悪質な人物からターゲットにされやすい場所にもなりやすい場所でもあるため、そのような場所での就労者のスクリーニングは慎重に慎重を期すべきであるのではないかとも思われます。

 国立児童保護庁もこの制度は、とても有意義であると説明しています。

 

児童に関わる仕事に携わるための証明書

 

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2025年10月2日木曜日

自分への判決に対して司法を批判したサルコジ元大統領を約20人の弁護士が告訴

  


 「2007年の大統領選挙運動資金をリビアから調達することに関する共謀罪」で懲役5年の実刑判決を受けた二コラ・サルコジ元大統領は、この判決直後から、この判決に対する批判意見を表明してきました。

 元大統領という立場の者が懲役5年の実刑判決という衝撃に世間は大いに注目し、また、彼の発言に同調する者も多く存在し、彼の発言がフランスの司法制度への反発の動きを盛り上げてしまうことに繋がってもいるようです。

 サルコジ氏としては、自分は無実だ!こんな判決は承服しかねると、反論を表明するのは、ある意味、理解できることではあるものの、実際には、この一部の世論の盛り上がりが、この裁判における裁判長への殺害予告などの脅迫などに繋がっていることも見逃せない事実でもあります。彼の発言は裁判官に対する憎悪を増長させているところがあるのです。

 この殺害予告に関しては、すでにパリ検察庁が2件の捜査を開始しています。

 今回の約20人の弁護士によるサルコジ氏に対する告訴状は、特に先週の日曜日のJDD誌に掲載された彼の発言に対してのもので、主には、「自身の有罪判決が法の支配のあらゆる限界を侵害している」と述べている部分、また、「自身に対する訴訟を法の支配に著しく反する行為」としている部分、そして、「嘘、陰謀、侮辱(判事からの侮辱)に屈しない」としている部分について問題にしています。

 原告側は、「これらの発言は、二コラ・サルコジ氏が控訴を表明している裁判所の判決に対する単なる批判と見なすことはできない。司法制度の信用を故意に失墜させる行為であり、司法の公平性と独立性に対する国民の信頼を弱める可能性が高い」とし、サルコジ氏を法廷侮辱罪と司法の権威を毀損した罪で告訴しています。

 誰もが裁判所の判決を批判する権利を持っており、サルコジ氏にも自己弁護の権利があります。しかし、限界がある。彼の司法制度に対する露骨な攻撃を放置することはできないと告訴した弁護士は語っています。

 訴状には、「二コラ・サルコジ氏の言語道断かつ危険な発言は、私たちの業務とイメージに物質的にも精神的にもダメージを与えている」とあります。

 また、サルコジ氏は元大統領という立場であるとともに弁護士でもあり、自身の発言の重大性とそれが世論に及ぼす直接的な影響がいかばかりであるかということは、自身が承知していることは、言うまでもありません。

 すでに懲役5年の実刑判決を受け、その他にも複数の裁判を抱えているサルコジ氏、またひとつ裁判が増えたところで・・というところなのかもしれませんが、現在70歳の彼の残りの人生は、裁判に明け暮れることになるのかもしれません。


20人の弁護士がサルコジ氏を告訴


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2025年10月1日水曜日

フランスでは医師に対する暴力が急増している・・

  


 全国医師会協議会(CNOM)の報告書によると、2024年には、約2,000件の医師に対する暴力事件が報告されており、これは、1年で26%増加という数字、特に2021年以降の3年間を見ると、95%増となっており、確実に懸念されるべき増加の傾向を顕著に示しています。

 これらの暴力事件の影響を最も受けているのは、一般開業医で事件報告数の約4分の3(63%)を占めています。しかし、実際に被害を訴える医師は少ないのが現状となっているようです。ということは、実際の暴力事件の数は、これを遥かに上回る数字であるということで、これは深刻な状況であると言えます。

 暴力は現在、都市部、地方都市にかかわらず、多くの専門分野とあらゆる診療現場にも影響を及ぼしています。

 この患者(あるいはその家族などの同伴者)の暴力行為の原因は、「治療に関する非難(32%)」、「処方箋の拒否(17%)」、「待ち時間や予約時間の長さについて(8%)」などが挙げられていますが、近年は特に処方箋や証明書などの偽造が著しく増加しており、事例の4分の1を占める結果となっています。

 また、医師に対する暴力には、様々な形態があり、最も多く見られるのは個人的な暴行であり、暴言や脅迫(61%)、窃盗または、窃盗未遂(8%)、身体的暴行(5%)などが挙げられています。

 医師に対する暴力が急増している背景には、特にパンデミック後に急増している背景から考えるに、このパンデミックという時期を境に、社会的にも経済的にも精神的にも鬱屈したものが沸々と湧き出している感があり、医師が不満の受け皿になっていると見ることもできます。

 ただでさえ、医師不足が叫ばれている世の中で、こんな暴力事件に巻き込まれるとなれば、さらに医師は不足し、医師が不足する事態は、さらに事件を増加させる原因になりかねない負のループを辿ることに繋がっていきます。

 私個人の立場から考えると、かかりつけのお医者さんはもちろんのこと、ここ数年で、今まで行ったこともなかった専門医にも診てもらう機会が増え、なかば自分の命を預けているような存在の人々で、このような人々に対して、暴力行為など思いも拠らぬことで、また、私がお世話になっているお医者さんたちがこのような目に少しでもあっているとしたら、絶対に許せない思いでいっぱいです。

 しかし、世の中におきている事件や現象などを見るにつけ、明らかに、不安定で奥底には怒りが潜んでいるようなことが多い気がするのは、辛いことです。

 また、この全国医師会協議会(CNOM)の報告書では、「この医師に対する暴力事件の増加は一時的なものではなく、永続的な現象になりつつあり、このような現象は、医師業界全体にとって構造的な問題となっている」と指摘しています。


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2025年9月30日火曜日

ウィーン⇔パリ、ベルリン⇔パリの夜行列車12月14日から運休

 


 オーストリア国鉄は、ウィーン・パリ間、およびベルリン・パリ間の夜行列車が12月14日をもって運行を終了すると発表しました。

 オーストリア国鉄のプレスリリースは、この夜行列車の運行停止をフランス側のパートナー撤退に伴うものとしています。

 つまり、フランス運輸省は、これらの列車の運行資金に不可欠なSNCFへの補助金の支給の停止を決定したのです。

 今回のフランス運輸省からの通告は、「ウィーン・パリ間、ベルリン・パリ間の夜行列車の運行に関する公共契約が2026年まで停止」というものですが、今後、未来永劫にわたって、停止されるものと、はっきりしたものではありませんが、夜間列車好き?マニア?からしたら、絶望的な状況です。

 とはいえ、夜行列車は一定の人気を誇っているものの、鉄道会社にとっては、依然として採算のとれない商品となっており、フランス政府はこれまでこの路線に多額の補助金を出し続けてきており、ベルリン・パリ線には、年間約1,000万ユーロを支出してきています。

 多額の財政赤字を抱えるフランスとしては、なんとかこの赤字を縮小するために、削れる予算は、できるだけ削る方向に舵をとっているのは、当然のことだとも思いますが、一方では、(EU 欧州連合が国際鉄道路線の資金調達を困難にしている一方で)、航空旅行に関しては税制上の抜け穴を利用して、航空券1枚あたり、30~40ユーロの隠れた補助金を受け続けているという指摘もあります。

 言い換えれば、最も環境を汚染する移動手段が巨額の補助金を受けている一方で、より健全な代替手段を阻害していると非難する声もあるのです。

 公には、環境問題を掲げ、飛行機での移動よりも鉄道での移動を呼び掛けたりもしているものの、実際には、結果的には、料金や時間の問題で、圧倒的に飛行機に軍配があがってしまうのも事実です。

 理想と現実といってしまえば、それまでですが、現実的にウィーン・パリ、ベルリン・パリを移動するのに、夜行列車を利用するというのは、限られた鉄道ファンならばともかく、個人的には、安全面にも不安を感じないわけにもいかないし、快適性などを考えても、まず、これらを利用しようという気にはなりません。

 現在まで復活していた夜行列車は、一時(2015年当時)陥ったこれらの夜行列車廃止の状態へ逆もどりしていると言えるのかもしれません。

 これらのフランスで運行している唯一の2本の夜行列車が消滅することは到底受け入れられないと一部の鉄道ファンの間では、署名運動が始まっているようですが、このシステム自体が運営しきれないものである以上、今後の継続は難しいのではないかと思われます。

 

ウィーン・パリ間、ベルリン・パリ間 夜行列車運休


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2025年9月29日月曜日

CDG(シャルルドゴール空港)ターミナル2G

  


 娘がパリに来てくれた時には、必ず一緒に旅行をするようにしていますが、ここ数年は、もうお決まりのように、イタリアばかりに行っています。

 何よりも二人ともイタリアが大好き・・イタリア料理が大好きなこともあるのですが、イタリアとひとくちに行っても、地方地方によって、また、全然、趣も違って、いつも新鮮な驚きや喜びを感じることができるのもまた、楽しいところです。

 よく考えてみれば、イタリアと一括りにしてしいまいがちですが、どの国でも地方地方によって、その土地の風土?や郷土料理のようなものがあるわけで、同じパスタの国!と思っていても、パスタの形も違ったり、土地の名産の野菜だったり、魚介の種類も違ったりと様々な味を楽しめます。

 ここ数年は、同じイタリアでも南イタリアばかり訪れているのですが、比較的、観光客ズレしていない地域が良い・・ということで、今回はプーリア地方を選びました。イタリアをブーツに例えると、かかとの部分の場所です。

 場所だけ選んで、あとは、娘の他のスケジュールとの兼ね合いもあるので、飛行機やホテルなどの手配は娘に頼んで(あとでお金は払うからお願い!と頼んでいる)、予約してもらっていたのですが、飛行機に関しては、前回、トランザビアでフライトの遅延で、延々、空港で待たされた嫌な思い出があったので、今回はエアフランスにしてもらいました。




 パリ出発にあたって、ターミナル2Gというのは、わかっていたのですが、考えてみれば、「2G」なんて、あったっけ?」と思うのですが、初めてのターミナルでした。

「2F」までは、そういえば、聞き覚えもあったのですが、2Fまで行ってから、「あれ?2Gってどこ??」と、一瞬、焦りました。「2G」は、「2F」から、ナベット(バス)が出ていて、それに乗って、5分くらいで行けます。

 「2G」に着いてみると、シャルルドゴールにこんなスペースあったんだ!とビックリするようなこじんまりとしたスペースのターミナルで、それなりに整っていますが、りはっちゃくはエアフランスがほとんどで、(といってもあまり便数は多くありませんが・・)たまにエアチャイナなどもあるそうです。



 ターミナルは広くないので、行ってしまえば、その後の移動はラクですが、比較的小型便なので、搭乗には、タラップをのぼっていくタイプです。

 人が少ないので、手荷物チェックなども、すごく早くて、これは、逆に便利なところもあります。



 とりあえず、シャルルドゴール空港の2Fまで行って、「あれ?2Gってどこ?」と不安に思う方がいらしたら、2Fから無料ナベットバスが出ていますので、安心してください。ちょっと特別な感じのあるほんわかとしたターミナルです。


CDG Terminal 2G シャルルドゴール空港ターミナル2G


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2025年9月28日日曜日

「今こそ強硬なストライキの時だ!」10月2日 SNCF大規模動員ストライキ

  


 「全てを封鎖せよ!」と呼びかけられた9月10日、18日のデモ・ストライキにより、政府は2日間の祝日を廃止し、医療費控除額を倍増する法令の停止を決定しています。

 これでは飽き足らないSNCF(フランス国鉄)の全組合は、さらに強硬なストライキを10月2日に決行するように呼び掛け、今度は「今こそ強硬なストライキの時だ!」と以下の声明を出しています。

 「9月のデモ・ストライキにより、一部に関しては、新年度の財政削減案を取り下げたものの、新首相はそれ以外に何の変化も示さず、退職年金の凍結、社会保障の削減、公務員の人員削減、そして失業保険のさらなる削減についての受け入れがたい措置に対しては維持したままです。」

 「政府は超富裕層への影響がわずかであるような新たな歳入源を拒否し、労働者、不安定雇用者、退職者、その他大勢に負担を強い続けることを望んでいます。」

 「現在、政権の権力はかつてないほど脆弱であり、マクロン大統領は、2年間で5回も首相交代を余儀なくされ、政権は過半数に届かず、すでに圧力に屈しています。」

 「今、ここで動員を拡大することで、この緊縮予算の放棄、憲法第49条3項で定められた64歳定年制の撤廃、賃金と年金の引き上げ、病院、学校、大学への資金提供、国の再工業化への投資、民間企業への2,110億ドルの公的支援の条件付け、そして巨額の富と利益への課税を実現できるときなのです。」

 「2026年の緊縮予算を撤回せよ!」、「社会と財政正義のために!」、「緊縮予算は、超富裕層と大企業への優遇措置とともに、廃止せよ!」

 などなど、CGT(全国組合連合)は、このように、新たに10月2日のストライキを呼び掛けています。

 要は、前回のデモ・ストライキにより、一部、我々の意見が通ったが、まだまだこれくらいでは、納得できない! 現在、政権が脆弱であるからこそ、今こそ強硬なストライキ・デモ活動を行うことで政府に我々の思いを知らしめ、要求をつきつける!というもので、「今こそ!」というのは、「政府がかつてないほど脆弱である今」という意味のようです。

 CGTはサイトの中で、デモに必要なチラシなどのキットを拡散し、デモ当日には、マグカップやエコカップなどを持ってきてください!と書いてあるので、なんでカップ??と思ったら、当日は、スープとドリンクを無料で提供します!とのことでした。

 ヤレヤレ、いつまで続くのか?このデモとストライキ。言っていることはわからないでもないけれど、だったら、現在の記録的な財政赤字は、どうするの?という気がしないでもありません。


10月2日大規模動員ストライキ


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2025年9月27日土曜日

9月ってこんなに寒かったっけ? と思ったら、パリは40年ぶりの記録的な寒さらしい

 


 季節の変わり目には、毎度のことながら、周囲の人々の衣替えの早さには、驚かされるパリですが、今年の秋は、ことのほか、もうすっかり冬支度をしているパリジャン・パリジェンヌに、「そういえば、まだ9月だよね・・いくらなんでも・・」と思うような感じで、もうダウンを着て、マフラーをして・・といういで立ちの人も少なくありません。

 9月の半ば過ぎくらいだと、下手をすると、まだ残暑に苦しんでいる時だってあるのに、なんなの?この寒さは・・・と思っていたら、どうやら、9月の気温としては、40年ぶりの寒波、1985年以来のことだそうで、寒がり(暑がりでもある)の私としては、厳しい季節に突入。すでにしっかり着込んでいます。

 先日は、最高気温が10.8℃だったというのですから、それは寒いわけです。

 例年だと、今ごろは、一年のうちでもっとも色々な格好をしている人が混ざり合っている時期なのですが、今年は、さすがにもう冬服の装いの人がほとんどです。

 記録的な寒さとはいえ、歴史上では、4番目の9月の低気温だそうで、もっとも気温が低かったのは1919年9月の9.9℃なのだそうです。とはいえ、史上最も気温の低かった年と比べても1℃も違わないのですから、なかなかな寒さです。

 そのうえ、お天気もどんより・・雨が降ったりやんだりのはっきりしないお天気で、なんだか気持ちまで沈みがちになりそうです。

 とはいえ、寒かったこの気温がずっとこのまま続いて冬になってしまうというわけではないらしく、翌週には、また太陽が顔を出し始め、日中の気温も17~18℃から20℃くらいまでには、上がるだろうということなので、まだまだ冬本番ということにはならなそうです。

 気温が急激に下がるということは、インフルエンザやコロナウィルスが再び蔓延し始めるという現実もあり、実際に、すでにここのところ、コロナウィルス感染症かインフルエンザか判断がつきにくい症例が激増しているそうです。

 私のところにも既に、インフルエンザワクチン接種のご招待状?が届いており、???なんかやけに、今年は、早くない?と思っていたのですが、この急激な感染拡大が背景にあったのです。

 このどちらか判別しにくい(インフルエンザとコロナウィルス)症例としては、極めて典型的なもので、鼻咽頭炎(のどの痛み、鼻水、くしゃみ、涙目)、発熱、身体の痛みなどが挙げられ、感染しやすい人の場合、全身の健康状態の悪化という形で現れることがあるそうです。

 コロナウィルス感染を疑って外来受診をしている人は、昨年の同時期に比べると15歳未満では43%増、成人では29%増となっているそうで、今後、一層の注意が必要なようです。

 

40年ぶりの9月の低気温


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「大きな雹(ひょう)が降る5月のパリ」

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2025年9月26日金曜日

二コラ・サルコジ元大統領に有罪判決 実刑5年の衝撃

  


 普段は、日中はあまりテレビもSNSも見ないようにしているのに、たまたま出かける前に、メトロが動いているのかを確認しようと開いたら、「元国家元首サルコジ懲役5年の実刑」というニュースが目に入ってきて、さすがにビックリして、テレビをつけました。

 これまでも、サルコジ元大統領は、たくさんの裁判を抱えていて、ついこの間も執行猶予付きの有罪判決が出て、足に装着するブレスレットの着用命令が出ていて、それでさえ、「えっ?ほんとに、サルコジが電子ブレスレットつけるの?」と思った記憶があります。

 今回は、実刑ということで、どうやら刑務所に収監されるのを免れるのは、もはや難しいのではないか?という見方が濃厚ではあります。しかし、彼の弁護士は、「サルコジが刑務所で眠るハメに陥らないように全力を尽くす」と発表していますが、がけっぷちから、もう片足が落ちかけている感じです。

 今回の有罪判決は、「2007年の大統領選挙運動資金をリビアから調達することに関する共謀罪」で、この事件に関しては、すでにサルコジ政権の元大臣2人(クロード・ゲアン氏(受動的贈賄と偽造)とブリス・オルトフ(共謀罪)で有罪判決を受けています。

 今回のサルコジ元大統領に関しては、国家財務検察庁(PNF)の代表者らは、3月下旬、サルコジ元大統領に対し懲役7年を求刑し、「過去30年間で最も悪名高い独裁者の一人と汚職協定を結んだ」と非難し、サルコジ元大統領は、2011年以来、一貫して無実を主張してきました。

 今回懲役5年の判決を受けたサルコジ元大統領は、まださらに裁判を抱えており、2012年大統領選挙の資金提供をめぐる上告審が10月8日にも控えています。

 今回の判決は、仮執行を伴う執行猶予付き拘留命令として言い渡されたもので、彼はただちに収監されることはありませんでしたが、検察庁から1ヶ月以内に召喚され(10月13日)、拘留日が通知されることになっています。

 控訴してもこの安全措置は、停止されることはなく、実際に拘留されることになるはずなのですが、彼の弁護士が「彼が刑務所で眠ることにならないように全力を尽くす」と言っているということは、なにか別の可能性があるのかもしれません。

 もうテレビのニュースなどでは、刑務所の独房の様子などが何気なく流されながら、彼はおそらくパリの中心部にある刑務所?に収監されるだろうとか、安全のために彼は独房に入ることになるだろう・・とか、言っています。

 判決後は、このような場合は弁護士のみがコメントする場合がふつうなのかとも思いますが、サルコジ元大統領は、自分自身でカメラの前に立って、「法の支配にとって極めて重大な問題である」、「私は無実だ!」と判決に異議を唱える意向をすぐに表明。

 懲役5年の実刑判決を受けながら、これほど堂々としている人もなかなかいない・・さすが前大統領・・という感じで、「私は刑務所で眠るが胸を張って眠る」とかなり独特な感じです。

 もはや収監は免れようがないという状況の中で、彼が控訴したとしても「公判前拘留制度」の下で拘留され次第、元大統領は釈放を請求するという手があるとも言われていますが、これには、控訴裁判所は、2ヶ月以内に判断を下します。控訴裁判所が許可すれば、前大統領は、控訴審が審議されるまでの間、電子監視下または、司法監督下に置かれる可能性もありますが、たとえ、比較的短期間であっても収監は避けられないと見られています。

 どの刑務所に収監されるのかはわかりませんが、彼をお迎えする側の刑務所にとっても、かなり気を使わなければならないお客様にちがいなく、それなりの準備が必用なのかとも思われます。

 現在、70歳のサルコジ元大統領。

 元大統領という立場で収監とは・・。

 しかし、権力者に対しても、容赦なく司法の鉄拳が下るというのは、胸のすく思いがするのは、正直なところでもあります。少なくとも、彼のためにすでに有罪判決を受けている人が多数いるのですから・・。

 裁判には、彼の3人の息子が来ていたそうですが、そういえば、前の会社の同僚で息子がサルコジの息子と同級生だって言ってた人がいたけど、あの人どうしてるかな??と全然、関係ないことを思い出しました。


サルコジ前大統領実刑5年


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2025年9月25日木曜日

マクロン大統領 ニューヨークの路上通行止めでトランプ大統領に直電

 


 マクロン大統領がニューヨークの路上で通行止めのための足止めを食い、警備のためのニューヨークの警察官と押し問答する映像が拡散されて話題となっています。

 国連本部でパレスチナ国家承認に関する演説を終えたマクロン大統領は、トランプ大統領専用車列通過のために通行止めにされていた道路で足止めを食い、警察官に「私はフランスの大統領だ!これからフランス大使館に行くので通してほしい」と頼んだものの、警備のための警察官は、「すみません、大統領、これからトランプ大統領の車両が通過するため、どなたもお通りになれません」と丁重に謝りながら対応しています。

 それでも、納得がいかなかったのか? マクロン大統領は、その場で携帯を取り出し、トランプ大統領に直電し、「あなたのおかげで全てが封鎖されていて、足止めを食っている・・」と直談判をしています。

 結局、現場を把握しきれないトランプ大統領が直電を受けたといって、警備を緩めることができるわけはなく、マクロン大統領は、結局、トランプ大統領の車両が通過したのち、警備に守られながら、30分ほどニューヨークの街を歩いてフランス大使館に向かったそうです。

 このブロックのおかげで、「非常に友好的な電話会談で、いくつかの国際問題について意見交換することができた」とマクロン大統領側近は、説明してはいますが、警備のための通行止めでさえ、フランスの大統領ならば、「どうぞどうぞ、お通りください・・」と言われると思ったのでしょうか? 恐らく、この日、通行止めに遭遇したVIPは、他にもいたと思われますが、黙って引き下がらないのは、いかにもフランス人と言いたいところでもありますが、なんとなく、通行止めに遭っただけで、大統領に直電まで入れる・・よく言えば押しの強さ、というか、なかなか強引な・・というか、傲慢な印象も受けます。

 日本の首相だったらば、間違いなく、黙って迂回する道を通るであろうと思われますが、引き下がらずに大統領に直訴とは・・。結局、マクロン大統領本人が思うほどには、アメリカでは、彼は特別扱いが叶わなかったという悪目立ちしただけの感じ。

 また、逆にマクロン大統領が通行止めを食ったのが、日本で、もしも、同じようにマクロン大統領に詰め寄られたとしたら、また、首相に直電がかけられたとしたら、毅然とお断りすることができただろうか? そんなことも想像してしまいます。

 しかし、結局、フランス大使館まで歩いて行った際には、周囲の人々の写真撮影などにも応じながら、なかなかご満悦そうだったマクロン大統領、結果的には、それが大変、有意義なことであったかのように、自分にも周囲にも知らしめようとするところも、私が言うのもなんですが、なんとなく、鼻につく気がしてしまうのです。


マクロン大統領 ニューヨークで足止めでトランプに直電


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2025年9月24日水曜日

こんなのあるの?パリでバス泥棒!

  


 時々、信じられないようなことが起こるパリですが、なんとRATP(パリ交通公団)のバスが盗難に遭いました。

 どうして?そんなことがあり得るの?と思いますが、俄かに信じ難い話が起こるのも、これまたパリなのです。

 週明けの超早朝(深夜)の時間帯、パリ・モンパルナス駅でバスの運転手が休憩をとっている間にホームレスの男がバスを盗み、バスを運転して逃げました。

 停めていた場所からバスが消えていることに気が付いた運転手は、直ちに、RATP車両のリアルタイム監視を担当する旅客規制情報センター(CRIV)に連絡しました。

 バスは位置情報確認システムにより、ポルト・マイヨ周辺にいることが確認されましたが、環状道路に向かっている模様でした。

 最終的には、警察に通報がいき、バスが停車していた場所から約13㎞離れたポルト・バニョレで車両とともに犯人が確保されました。

 パリ地域ネットワーク旅団(BRF)に委託された捜査の初期調査結果によると、バスの運転手は休憩中にキーをイグニッションに差し込んだままにしていたことが示唆されています。バスはイシー・レ・ムリノからボビニーまでを走るN13夜行バスでした。

 RATPは、これに対し、バスはキーではなく、ドアのジッパーをあけると、ボタンを押すだけで発車すると釈明しています。(釈明になっていないと思うけど・・)

 私は、パリ市内を走っている夜間時間帯のバスには、乗ったことがないのですが、日中の時間帯の場合、運転手さんが次の発車時刻までの短い時間帯に休憩をとっている場合、バスのドアを開けたままにして、乗客がバスに乗って待っていられるようにしてくれている車両も珍しくはないのですが、こんな盗難事件があったとすると、今後は、運転手がバスを離れるときには、乗客はバスの中で発車を待つというようなことができなくなるかもしれません。

 幸いにも、盗難にあったバスには、乗客はいなかったそうで、負傷者も出ていないということです。

 しかし、もしも、停車中のバスに乗客が乗っていた状態のままバスが盗まれて、突如、発車したら・・と思うとそれはそれで恐ろしい話です。

 このバスを盗んで運転して逃げようとしていたホームレスの供述は、発表されていませんが、この人物は特に警察にマークされていた人物ではないということだけが、明らかにされています。

 深夜、というか、早朝時間帯とはいえ、バスが盗難に遭うなんて、初めて聞いた!と驚いたのですが、実はRATPのバスが盗難にあったのは、これが初めてではないそうで、2024年5月には、元RATPの運転手が勤務時間外にバスを盗み、乗客を乗せて移動したということがあったそうで、また、同年7月には、別の盗難事件も発生していたようです。

 今回の事件も含めて、RATPは、バスのセキュリティー強化を訴え、苦情を申し立てているということです。

 苦情を申し立てる前に、休憩時間中とはいえ、バスの停車時の管理を徹底させるのが先では?と思うのですが、いかにもパリな訴えです。

 それにしても、このバスを盗もうとしていたホームレスは、バスを盗んでどうしようとしていたのか?それもなかなか気になるところです。


パリRATPバス盗難事件


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2025年9月23日火曜日

年に一度の娘の帰省

  


 娘が日本で就職してから、早いもので、もう4年も経ってしまいました。娘がグランゼコールを卒業し、娘の就職については、あまり心配していませんでしたが、ちょうどパンデミックの時期でもあり、色々なことが予定どおりにいかなくなってしまった時期でもあったので、本人は、卒業していた留学やスタージュなどがキャンセルになったりして、大変だったろうと、今になって思います。

 でも、時はどんどん過ぎて行っているので、考えてみれば、「そういえば、彼女が日本に行ったのはいつだったっけ?」などと思い出さなければいけないほどで、逆にパンデミックがあったから時期を覚えている・・そんなところもあるかもしれません。

 当時は、パリから日本への直行便が飛んでおらず、日本に出発する時期がギリギリまで定まらず、また、直前にPCR検査をしなければならなかったり、日本に到着してからすぐに、近くに感染者がいたから、しばらくは、外出できなくなってしまったりと、着いてからもトラブルに見舞われたりもしました。

 あれから彼女はすでに1度転職し、また、現在の会社でも契約形態が代わったりしていますが、彼女の日本での生活は概ねというか、想像以上に順調なようです。

 私が娘に会えるのは、私が日本に一時帰国をした時と、娘が年に一度、フランスに帰省するときだけなのですが、ふだん、電話では、わりと頻繁に連絡をとっているものの、実際の彼女の生活ぶりを垣間見えるのは、やはりしばらく一緒の時間を過ごせる時間です。

 とはいえ、なんだか、よくわからないうちに、バタバタと家を出て行ったのが幸いしたところもあって、逆にすんなりと親離れ、子離れができた気もしています。

 いつも一緒にいるわけではないからこそ、会うたびに、頼もしくなり、どんどん仕事も忙しくなっているようで、一緒に旅行に行っても、仕事の連絡をとりつつ、合間合間の時間に仕事をしていたりしていて、(まるまるお休みをとってきているわけでもないらしい)、会うたびに忙しくなっているみたい・・それでも、寸暇を惜しんで動き回っています。

 私が娘の年頃には、時代も違いますが、親から盛んに「そろそろ結婚したら・・」と相手も定まらないうちから、なんとなく急かされているようなところもあり、また、当時は、世間的にも20代のうちには・・というようなプレッシャーもあったような気がします。

 今、娘がそんな年頃になってみると、私は、娘に早く結婚してほしいと思う気持ちは、さらさらなく、良い相手がいれば、もちろん結婚して、子どもを持てたらよいだろうと思う反面、むしろ、焦って、ろくでもない相手と・・なんてことだったら、結婚しなくてもいいと思っています。もっとも、娘は極めてマイペースな子なので、あまりまわりのことには、左右されない感じでもありますが・・。

 それは、周囲を見ていて、結婚したことによって、大変なことになってしまっている人も少なからず見てきたこともあり、逆に私の親はなんでやたらと結婚結婚と言っていたのか?なんで結婚したら、安心できると思っていたのか?と不思議に思うくらいです。

 今回は、娘は私との旅行の他に、お兄ちゃんのいるドイツに行ったり、フランス国内を旅行したり、現在、彼女の働く会社の本社に行ったりとスケジュールはびっちり。

 ずっと一緒にいるわけではないのですが、いつもよりはずっと身近で、娘の変化や成長を感じられる時間は、私にとっても、貴重なひとときでもあります。


娘の帰省


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2025年9月22日月曜日

熱い水道水は飲まないでください

  


 昨今、食品への有害物質混入の話は珍しくない話ですが、なんと、今度は水道のお湯が有害だという話です。

 ここ数年、ネスレグループのミネラルウォーター問題が取り沙汰されて、ペットボトルの中にマイクロプラスチックが混入しているとか、水源自体が汚染されていて、それを隠蔽していたらしいとか、ミネラルウォーターを濾過する過程で違法精製が行われていたとか・・水に関しての有害物質?問題は、そんな話でした。

 しかし、今回は、水は水でも水道水・・。しかもお湯。お湯ならば、殺菌されていそうなイメージもあるのですが、実はそうでもないらしいのです。

 これは、Eau de Paris (パリ市水道局)も警戒を呼び掛けています。

 熱い水道水というのも、一見、妙な気もするのですが、水道の蛇口から出るお湯のことで、「熱い水道水には、細菌や微量の金属が含まれている可能性があり、どちらも(細菌、金属)健康に有害であるため、コーヒーをいれるためのお湯や麺類などを茹でる際に、お湯をわかすのに少しでも早くと水道水のお湯を使わないように、お水からお湯をわかすようにしましょう!」という呼びかけです。

 温水や熱湯が滞留すると、細菌などの微生物の増殖が促されるというのです。給湯器を利用している場合はこれに該当するとともに、この温水は給湯器と蛇口の間の配管に滞留する場合もあるということです。

 残念ながら、細菌を殺す目的で、このお湯(お水)をやかんに入れて温めなおしても効果はなく、世界保健機構(WHO)は、水から細菌を取り除くためには、少なくとも1分間以上、沸騰させる必要があると説明しています。

 理由はこれだけではなく、残念ながら、熱は特定の金属の腐食を加速させる傾向があり、お湯をタンクに貯めたり、かなり古い配管をとおって循環させたりすると、熱によって多くの金属が溶解し、その後、飲む水に混入します。

 これが健康によくない・・特に定期的に使用することは避けるべきだと言っています。

 我が家の場合、お湯はタンクで湧かされていて、いつも水道の蛇口からお湯も出るようになっていますが、私の場合は、幸いなことに水道のお湯を飲んだり、食べ物を茹でるのに水道のお湯を使うことは、ありませんでした。

 特にパリ市の場合、また特に旧建築の場合などでは、かなり古い配管のところも多いと思われるので、こんな話が浮上してきていると思われます。

 しかし、言わせてもらえば、原理的には、タンクに溜まったお湯が金属を溶かしてしまうということは、ずっと昔から変わっていないことで、ここに来て、そんな話が浮上するということは、逆に水質のチェックをするようになったのか、わかりませんが、まあ、ひとまず、健康に有害であるという注意喚起が呼び掛けられれば、少しでも危険が回避されるのかもしれません。

 特に小さい子どもがいる家庭などでは、避けられるリスクはできるだけ避けたいもの。

 健康に有害なものばかりがどんどん指摘されて、鬱々ともしてきますが、やはり知っておきたいことでもあります。


水道のお湯は有害


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2025年9月21日日曜日

仏婦人服ブランド Pimkie SHEINとの提携で業界から締め出し

  


 フランスの婦人服ブランド Pimkieは、中国の超ファストファッション大手SHEINとの業務提携を行い、Pimkieブランドの既製服がこのSHEINのプラットフォームで一部の商品を販売できることになったと発表しています。

 ところが、この業務提携は、アンチファストファッションを叫んでいるフランスの繊維業界からは、大バッシングを受け、Pimkie はフランス商業同盟(Alliance du Commerce)に加盟する衣料品小売業連盟から全会一致で除名されています。

 そもそも、この婦人服ブランド Pimkieは、2018年頃には、世界30ヶ国で700軒以上を展開する人気ブランドであったものの、ここ最近では、すっかり業績不振の一途をたどって不特定多数の人員削減が続き、ついには、破産宣告まで受けて、正直、私はもう、とっくに倒産してしまったものと思っていました。

 しかし、Pimikiは2022年に3社の投資家に売却されており、現在の主要株主は、Lee Cooper(75%株式所有 米国Iconix Brand Groupの子会社)となっています。

 この業務提携により、Pimkieは、世界160ヵ国に販売できるプラットフォームを得ることができ、また、SHEINにとっては、アンチファストファッションを閉め出そうとしているヨーロッパの市場に食い込むチャンスを目論んでいます。

 ところが、このビジネスモデルには、フランスの既存の衣料品メーカー、業界全体は、強い反発を示して、大激怒しています。

 ここ数年にわたり、この超ファストファッションには、業を煮やして、最近では、本格的な閉め出しに向けて動いているこの業界には、まさしくこのモデルが成功してしまえば、なすすべもなく、駄々洩れ状態になりかねない絶対に許せない業務提携。

 パンデミックが拍車をかけたSHEINやTemuといった超低価格の巨大プラットフォームが大きく、この業界に食い込んで以来、Camaïeu、Kaporal、C & Aなどの同業他社も閉店を余儀なくされ、その他、多くのブランドも苦境に立たされています。

 それが、こちら側にいたと思っていた身内から、身売り同然?の業務提携により、敵に塩を送るかのごとき業務提携に応じて、フランスの繊維業界全体をさらに苦境に立たせようとするとは何事であるか!ということなのです。

 「この提携は真の裏切り行為であり、犯罪的な陰謀である!我々のビジネス全体を弱体化させるものであり、悪魔との共謀だ!」と強い言葉でののしっています。

 たしかに、フランスの繊維業界、衣料品小売業にとっては、仰る通りの話だとは思うのですが、しかし、だからといって、このフランス商業同盟(Alliance du Commerce)に加盟する衣料品小売業連盟が、「だったら、このアンチファストファッションに対抗できる策を持っているのか?」といえば、どうにも相手を叩くだけで、具体的な秘策は見えてこないのも現実です。

 結果的にこのPimkieとSHEINの提携でPimkieが成功する確約はなく、SHEINに利用され、食われるだけのものになる危険性すら無きにしも非ずです。

 しかし、現在の状況を見れば、このような業界の反発は予想できたはずのことであり、Pimkieとしては、捨て身の覚悟かもしれません。

 このような業界全体の猛反発を受けての今後のPimkieの成り行きからは、しばらく目が離せない気がしています。


PimkieとSHEINの提携


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2025年9月20日土曜日

イギリスのホスピスで見てきたことが、最近になって、本当の意味で理解できるようになった・・

  


 フランスに来てから四半世紀以上が過ぎ、最初は夫と娘の3人で暮らしていた我が家は、まず、夫が先立ち、それから一人で子育てをし、娘が無事、フランスでの学業を終了し、独立をして以来、私は一人暮らしになりました。

 常日頃から思うのは、海外で生活している人は、そもそも、自分の生まれ育った家族からも離れ、海外に出てくる時点で、ある程度、一人で生活することに耐えられる人が多いようにも思いますが、私は正直言って、一人で生活することが、こんなに寂しくないのか?、こんなに孤独を感じないでいるのは、ちょっとヤバいのではないか?と思われるレベルでもあることは、ちょっと気恥ずかしい気もするくらいです。

 娘が独立した当初は、それまで娘中心の生活、スケジュールから食べ物から、全て娘がよりよく生活できるために・・と思って生活してきたので、それは、なんとなく、気が抜けたような感じになった時期があったのも事実です。

 しかし、そんな生活にも慣れ、軌道にのってくると、なにもかも自分の好きなようにできる生活が快適でもあり、もともと我儘な私が自分の好きなようにできるため、それが夫であろうと娘であろうと、自分以外の人と生活するのは、もう無理だろう・・と思うほどになってしまいました。

 それは、娘がもう少し、近くにいてくれれば・・と思うこともあるのですが、今は、メールでもラインでもいつでも連絡は取れるし、話もできるし、空き家になっていた日本の家に住んでいてくれることは、また、別の意味で大いに助かることもあるのです。

 もはや、私にとって、娘は元気で楽しく生活していてくれて、たまに会えれば、充分に幸せで、彼女がこの世に存在してくれているということだけで、充分に満たされる気持ちなのです。離れていても、彼女は私の支えなのです。

 そんな私が、今、そんな心持ちになりながら、若い頃、死生学(thanatology)の勉強をしていた時があって、それが高じて、イギリスにあるホスピスでしばらく勉強させていただいていたことを思い出しています。

 それは、もう命の期限が間近に迫っている患者さんたちと話すために、病室を廻っていた時のこと、さすがに高齢の方が多かったのですが、患者さんたちが口にするのは、それぞれの家族の話題がほとんどでした。

 とうとうと家族の自慢話や微笑ましい話を聞いていて、人間にとって、最後の最期に大切に思うものは、家族なのではないだろうか?と思ったりもしました。

 彼ら(彼女ら)の家族は、もちろん、側にいるわけではなく、時には、よく話を聞いてみると、もうその家族は亡くなっていた・・なんていう話もありました。もうその存在そのものが彼らの心を満たしてくれる・・そんな存在であることを聞いて、やっぱり家族というもは、大切なものなんだ・・とわかったような気持ちになっていました。

 V.フランクルの「夜の霧」という話の中にもそんな話が出てくるのですが、今、まさに、私が娘に対して思う感情は、そんな感じなのだな・・と実感している気持ちです。

 そんなホスピスでの経験の後、私は、自分が死ぬ前にそんなふうに思える家族というものを持ちたいと思ったものです。そして、それを大切にして、生きていくべきだと思ったものです。

 残念ながら、思いがけずに夫は早くに他界してしまったので、夫との時間は短かったのですが、その分、娘は大切に育ててきました。

 今、無事に娘は独立してくれて、離れていますが、いつでも彼女がどこかにいてくれることだけで、私は一人でいても、心が満たされているのです。


孤独が寂しくない


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2025年9月19日金曜日

若い時にたくさん遊んだり、多くの経験をしておくことはやっぱり大切なんだな・・と思う

  


 最近、歳のせいか?体調がいま一つ思わしくないこともあってなのか?色々なことが億劫に感じることが多くなってきてしまいました。

 日本に行くことでさえも、長距離フライトやら時差ボケやらなんやらが、けっこう気が重くて、以前のように、手放しで「日本への一時帰国!楽しい!」とは思わなくなってしまいました。

 まあ、日本への一時帰国に関しては、両親が他界してしまったということもあるのですが、現在、日本には、娘が住んでいるので、娘に会いたい気持ちはあるのですが、そこまでの情熱がなかなか湧いてきません。

 また、若い頃から旅行が大好きで、知らないところに行ったり、見たことのない景色を見たりすることは、とても楽しく、行けば行ったで楽しいのですが、これもまた、以前のような情熱がなくなってしまいました。

 以前は、なかなか取れないお休みには、寸暇を惜しんででも娘を連れて旅行していたのに、自分の変わりようには、情けない思いをしています。

 第一には、気力と体力の問題で、双方が私の行動を妨げているような気がします。

 スポーツなどに関しても、かろうじて今でも続いているのは、水泳くらいなもので、もうなんかすると思わぬ怪我をしたりして、その後、長いこと身動きがとれなくなってしまうので、ついつい躊躇してしまいます。

 こうして書いていると、立派な老人というか、老化の一途を辿っている気がしますが、最近、思うのは、若い時にやったことがあることに関しては、この重い腰が少しだけ軽くなるような気がします。

 旅行に関して言えば、以前住んでいたことがあるとはいえ、さすがにアフリカ(コートジボアール)に行きたいとは思わない(黄熱病の予防注射をしなければならないのが一番嫌・あの若かった時でさえ、予防接種の後、死ぬほど苦しかったのです)のですが、最近は、もっぱら、イタリアばかり(といっても、同じ場所ではありませんが・・)で、たまには、どこか別の国にしようか?などと思ったりもするのですが、やっぱりイタリアに行きたい・・となってしまうのは、別にイタリア語ができるわけでもないのに、イタリアを選んでしまうのは、やっぱりイタリア(特に料理)が好きなこともありますが、なんとなく、馴染みを感じるところがあるわけで、若い頃の経験って歳をとってから、大切なんだな・・とつくづく思うのです。

 あまり深くは考えずに娘には、子どもの頃にできるだけ多くの経験をさせてあげたいと思って、ありとあらゆるスポーツをさせ、色々な国に行く機会を与えてきましたが、それは、彼女が歳をとってからも、きっと良いことだったんだろうな・・と身をもって感じているのです。


若い頃の経験・体験


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2025年9月18日木曜日

パリでおススメの両替所 MERSON

  


 昔に比べるとパリのいわゆる両替所というものは、かなり減りました。買い物等もかなり少額のものでもカードで買い物が可能となり、カードを持っていれば、ほぼほぼ現金は必要ないくらいになったので、当然といえば、当然なのかもしれません。

 とはいえ、全く現地の通過を持っていないで歩くというのも、心もとないとは思いますが、この両替所も気をつけないと、とんでもない、ぼったくりのようなお店もあるので、気を付けるに越したことはありません。

 また、このような悪徳両替所は、一度、替えてしまうと、二度と戻してくれなかったりもするので、まあ、できれば気を付けた方がいいと思います。

 一度、日本人の知人が「両替してきた!」というので明細を見せてもらうと、酷くレートが悪いうえに、ものすごい手数料をとられていたので、「ちょっと、これはないんじゃないの?」とすぐに(たった今両替したところで、その5分後くらい)これ、取り消してください・・と言っても、絶対に戻してくれなくて、悔しい思いをしたことがあります。

 例えば、日本円からユーロに両替するとして、日本円の売りと買いが逆に書かれていたり、レートはまあまあ悪くなくても、手数料が恐ろしく高くて、実際に替えてみて、手にすると、「えっ?これだけ?」となってしまうことも少なくありません。

 もっとも、ほぼほぼカードで済んでしまう今、あまり高額な両替をする必用もないので、大したことではないかもしれませんが、現在は、日本円はすごく下がってしまっているので、ますます、なんだ?これだけ?という気分になると思います。

 私が知っている両替のお店でまあまあ良心的と思われるのは、「MERSON」という両替所で、ここは、同じ通り沿いにもたくさん両替所がありますが、だいたい、このお店が一番レートもよく、しかも手数料も取られないので、私が日本から持ってきた日本円を両替する時には、だいたいこのお店で両替します。

 現在の日本円のレートの悪さには、ちょっとウンザリしますが、それでも、両替所によっては、さらに酷いことになるので、もし、時間的な余裕があれば、少しでもレートの良いところに行くにこしたことはありません。

 比較的、パリの中心地の近くですので、なにかのついでに行くのも可能だとも思います。

 近くには、蝋人形館(Musée de Grévin) があります。

 


🌟MERSON    33 Rue Vivienne 75002 Paris      9:00~17:45


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