2025年1月3日金曜日

1月3日はフランスで最も死亡者の多い日

  


 「フランスでは、1月3日に死者数が年間最多になる」という話は、四半世紀近くフランスにいる私でも、今まで全然、知りませんでした。

 しかし、これは、どうやら紛れもない事実なようで、2004年から2023年の間、1月3日というこの日は、平均1,900人が命を落としています。

 この数字は、通常?平均1日1,600人の死者数を19%も上回っているという、ちょっと見過ごせない数字で、この不吉なデータは複数の要因が重なっていると考えられています。

 日本なら、毎年、毎年、必ずどこかから聞こえてくる、お正月にお餅を喉につまらせて死亡する事故がありますが、フランスの場合の原因は何なのでしょうか?

 その一つには、気温の低下が挙げられており、気温の低下とともにインフルエンザや新型コロナウィルスなどの季節性ウィルスの活発化するためと言われています。

 しかし、この気温が低下するのは、なにも1月3日に限ったことではなく、これが大きく起因していることは、紛れもない事実ではありますが、この日の死亡に直接、起因しているとは考え難いかもしれません。

 一番に考えられるのは、年末年始のお祝いの席、家族や友人たちとのパーティーで、中でもノエル・クリスマスのお祝いは、フランス人にとってのビッグイベントの一つ。家族によっては、人生の終焉を迎えつつある人が愛する家族と最後の時間を共有するために、なんとか命を振り絞って乗り越えようとすることを望み、このことが、驚くほど強力な生きる力を生み出し、最後の猶予期間を過ごす人も珍しくないようですが、これは、長く続くものではなく、その楽しい家族との時間ののち、力尽きるのが1月3日となる・・というシナリオは、起こり得るものです。

 それに加えて、この時期、過剰な食事、アルコール、またその準備のストレスも加わり、これらのすべてが心血管系に大きなダメージを与えます。慢性疾患、特に心臓病を患う人々にとっては、致命的な結果を招きかねないことになります。

 INSEE(国立統計経済研究所)によれば、1月3日にこの死者数のピークを迎えるのは、決して偶然ではないと分析しています。

 クリスマスがなければ、それまで生き延びられなかった人がこの日を目標に生き延び、命が尽きる場合や、この年末年始のお祝いの暴飲暴食やストレス、もしくは、この席でのウィルスの感染・・などなど、特に高齢者には、最も楽しく、また最も危険なタイミングなのかもしれません。

 また、若者にとっても、年末年始は、危険なタイミングでもあり、交通事故が急増(+23%)すると言われるのは、なんと1月1日で、その他、アルコール、疲労、長旅が重なる危険な季節でもあります。

 一方、一年で最も死者の少ないのは、8月のバカンスシーズンなのだそうで、近年の温暖化による熱波にもかかわらず、最近の予防対策のおかげで酷暑のために死亡にまで至るケースは減少しているようです。

 しかし、考えようによっては、最も大切にしたい家族との楽しい時間を過ごして、その後にあっという間に人生の終焉を迎える・・というのも、悪くない最期の迎え方なのではないか?と思わないでもないのです。


1月3日は最も死者の多い日


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2025年1月2日木曜日

2025年に向けてのマクロン大統領の演説

  


 ここ数年にわたって、新年を迎えるにあたっての大統領の演説は、だいたい聞く習慣がついているのですが、今年の演説は、大統領府の意向なのか?2024年を振り返る映像が組み込まれたりしていて、いつもとちょっと違う感じでもありました。

 ふつう映像込みで流されたりすれば、少し説得力が増す気もするのですが、私がひねているのか?なんだか印象操作をしようとしているというか?作られた感じがして、逆にすっと入ってこない気がしてしまいました。

 マクロン大統領は、この演説で、2024年の国民議会の解散はフランスにとって、解決策よりも多くの分裂を議会にもたらし、平穏よりも不安定をもたらしてしまったことを認め、これは自分の責任であったと述べています。

 それは、誰の目から見ても明らかなことであったとはいえ、大統領自らがこのような演説の機会に自身の口からそれを認める発言をしたことは、大きなことです。

 しかし、この先がさすがマクロン大統領のしびれるところで、「現在の議会は多様性において国を代表している」と説明。分裂を多様性に言い換えて、正当性を主張するあたり、さすがです。

 2024年の「ノルマンディー上陸80周年記念式典」や、「パリオリンピック・パラリンピック」、「パリ・ノートルダム大聖堂の再開」を振り返る映像を流しながら、「我々は共に、フランスには不可能なことはないことを証明してきた!」と述べ、2025年こそ、フランス人はさらに決意を新たに団結していかなければならない、「集団的回復の年でなければならない!」と呼びかけています。

 そして、彼はまた、「フランスが魅力的であり続けること!」、「より働き、より革新すること!」、「雇用を作り出し続けること!」、そして、「財政を維持することで成長を確実にすること!」を約束しています。

 しかし、現在のフランスは財政を維持するどころか、記録的な債務を抱えており、その債務は雪だるま式に増加しているわけで、「より働き」という部分は、フランス人にとっては、ハードルが高いことは、彼自身も重々承知してしかるべきで、そのうえ、より革新するための支出は、さらなる債務を膨れ上がらせる要因のひとつにもなっているわけで、この辺りが、国民とはかけ離れていると言われる所以ではないかと思われます。

 結局、彼が失敗を認めた国民議会の解散がもたらした不安定さの話から、一周まわって、結局、いつもと同じことを言っているにすぎず、分裂している議会からは、「傲慢で権威主義的」という酷評も飛んでいます。

 一方、これはEUメルコスールに関することを話しているのだと思いますが、「欧州は、世間知らずに終止符を打たなければならない覚醒の時でもある」とも述べています。

 「他者によって決められた法律(この場合は貿易法)に覚醒せよ!」、「補償もせず、将来の準備もせずに他人に依存させるすべてのものに「NO!」を突きつけよう!」と言っています。

 このマクロン大統領が言っているのは、メルコスールに関することですが、「この他者によって決められた法律に覚醒せよ!」という部分は、日本にも当てはまることではないか??などと思ったりもするのでした。

 しかし、総体的には、マクロン大統領の演説は以前のような力強さが感じられなくなっている気がしました。


マクロン大統領 年初演説


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2025年1月1日水曜日

年越しの一日 あけましておめでとうございます

  



 2024年もあと1日となった日、つまり大晦日の日に、私はギリギリまで仕事が終わっておらず、なんとか済ませたのが午後2時頃で、「はて?どうしよう?」と考えたところ、2025年のカレンダーが家には、全くないことに気が付いて、慌てて銀行にカレンダーをもらいに行きました。

 この間、美術館に行ったときに来年のカレンダーを買おうかな?と思ったのですが、いまいち気に入ったものがなくて、そのうち他で探そうと思っていたまま、忘れていました。

 銀行などでくれるカレンダーには、フランスの祝祭日はもちろんのこと、学校のバカンス期間なども書いてあるので、便利なのです。今となっては、私には、学校のお休みは直接には、関係ないのですが、旅行などに出かけるときには、その期間は避けるので、そのために便利です。

 本当は、いつもは、OVNIという日本人が作っているフリーペーパーがあって、OVNIの12月号についてくるカレンダーには、フランスの祝祭日と日本の祝祭日の両方が載っているので、とても便利なのですが、今年は、入手しそこないました。

 メトロもけっこう混んでいて、移動中らしい小型のスーツケースを持っている人もけっこういるし、スーパーマーケットに寄ってみれば、ノエルの食品が少しずつ値下げし始めていて、フォアグラなどが軒並み安くなっていました。

 そんなこんなで家に戻るともう夕方、簡単にお雑煮の下準備をしたりしているうちに、SNSをのぞいたりしていると、もう日本では、年が明けたらしく、日本の人たちはさかんに「あけましておめでとう!」と言っています。

 日本に続いて、シンガポールやオーストラリアなどの年越し花火が流れてきて、いつものことながら、ちょっと出遅れた気分になります。

 冬時刻では、日本とは8時間の時差があるので、フランス時間の午後4時に日本は年明けです。日本が年越しをしてからフランスでは、8時間後に2025年を迎えます。年が変わるたびに思うのですが、この「2025」という4ケタ数字がしばらくは慣れません。

 2024年になったばかりのときも、「2024」という数字がなんだかしっくりこなかったのですが、「2024」はオリンピックのおかげでふだんよりも余計に「2024」が強調されることが多かった気がするので、より刻み込まれている感じです。

 夜8時には、マクロン大統領の演説をテレビで見て、それからシャンゼリゼでのショーを見ながら、年越しそばを食べました。

 いつもの毎日と同じようなひとコマですが、年越しです。

 華やかで、なかなか騒々しいシャンゼリゼの様子を見ながら、年越しは、除夜の鐘を聞きながら過ごす日本の年越しの方が圧倒的に私の好みです。いつもなら、シャンゼリゼでのカウントダウンのショーを見るのですが、今年は、司会者が私の大嫌いな人だったので、あまりちゃんとは見ませんでした。

 小さい頃は午前0時まで起きていることが大変だったな~とか、年越ししてから、お風呂に入っていると、お風呂場の外、遠くから除夜の鐘が聞こえてきたな~とか、そんなことを思い出しています。

 しかし、最後のカウントダウンの凱旋門の花火だけは、見事できれいでした・・が、年々、激しい花火になっているような気もします。

 そんなこんなで年が明けました。みなさまあけましておめでとうございます。


大晦日 年越し


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