2020年12月7日月曜日

フランスの配送事情の救世主 配送品取扱システム モンディアル・リレーとポアン・リレー


Point Relais®


 フランスの配送事情の悪さは有名で、これまで私が日本へ送った荷物、日本から送ってもらった荷物が何度となく、紛失しています。特にクリスマス前の季節などは、失くなる可能性が高く、娘が小さい時など、娘がこっそり日本のパピー(おじいさんのことをフランス語ではパピーと言います)に頼んで送ってもらったゲームのソフトなどは、かなりの確率で失くなり(盗難)ました。

 配送品を記入する欄には、NINTENDOなどとは、絶対に書かないで!と言っていたのに、父はうっかり?書いてしまうのです・・。

 NINTENDOのソフトでも、開けてみたら、日本語のソフトだったとわかった犯人も開けてビックリがっかりだったでしょうが、一回盗んだものを返してくれるわけもありません。

 特にクリスマス時期は、盗難が多く、この時期に何かを送ってもらうことは、辞退していたくらいです。

 国内の郵便物でも下手をすると日本へ送った郵便物よりも時間がかかったりすることもありました。

 家にいるのに不在通知を入れられたりすることもしばしばで、再送してもらうように電話をすると、近いんだから(実際には、ちっとも近くはなかった)、取りに来いと言われたこともありました。(配送料を払っているのだから、配達してくれと言い返して、結局、届けてもらいましたが・・)

 不在通知を入れられるのが嫌で、しばらく私は、配送先は、日中、必ず人がいる勤務先の会社にしていたくらいです。

 そんな感じのことが度重なったので、私は、フランスの配送事情は全く信用しておらず、長いことネットショッピングなども、最小限に控えてきました。

 しかし、最近になって、フランスでは、配送品の中継ポイントとなる場所を設けて荷物の配送を行うモンディアル・リレー(ルレ)(Mondial Relais)やリレー(ルレ)・コリ(Relais Colis)、クロノショップ(Chrono shop)などのシステムが急成長し、荷物を送るのも、受け取るのも中継地点の代理店が管理してくれるようになったので、配送に関わるストレスが少なくなりました。

 この代理店は、荷物だけを扱っているお店もありますが、その多くは、一般の商店、(多くは、タバコ屋さんやキオスクなどがメインですが、手芸品店やパン屋さんなどが副業としてやっている場合があります)また、大手のスーパーマーケットの受付などで請け負っている場合もあります。

 買い物をして配送を頼む場合は、予め、自分が受け取りに行ける中継地点を指定すれば、あとは、荷物が届いた連絡が来たら、自分の好きな時に受け取りに立ち寄ることができます。また、配送する場合は、ステッカーを自分でダウンロードして、荷物に貼り付けて中継地点に置いてくればいいようになっています。自分で印刷できない場合はQRコードを提示すれば、その代理店がステッカーを印刷してくれます。

 配送料金も郵便局の半額以下で、小さい荷物なら、3ユーロ以内の料金で済んでしまいます。

 中継地点の代理店が荷物を管理するために、自宅配送にかかる人件費がかからず、しかも、盗難のリスクも激減したわけです。

 私は、もっぱら、最近はフランス版メルカリで売れた商品の配送にこのシステムを利用していますが、11月末から、この荷物の中継地点を請け負う代理店は、本業以上にお客さんが多いのではないかと思うほど、時には行列ができています。

 このメルカリの場合は、買い物をする側の人が配送機関を指定し、配送料も支払うようになっているので、相手が指定したモンディアル・リレーかリレー・コリ、クロノショップ、もしくは郵便局のいずれかに持っていくのですが、配送料が倍以上かかる郵便局を指定してくる人は、ごくごく稀です。

 先日は、配送用のステッカーをダウンロードしようとしたら、「今、配送の注文が立て込んでいるので、少し経ってからもう一度トライしてください」という表示が出て、いかにこのシステムが利用されているかを思い知らされました。

 このモンディアル・リレーの代理店は、フランス国内には1万店以上にも膨れ上がり、最近では、スペインに2900店舗、ベルギーに1200店舗、オランダに500店以上の加盟店が加わりました。

 おかげで最近は、配送に関わるストレスが減りました。日本では、当たり前のように自宅に届く荷物。フランスでは、この配送品中継地点ができたことで、自分で荷物を取りに行くことでようやく荷物が無事に届くようになった状態。

 まだまだ日本のレベルには、遥か及びませんが、これでもフランスでは大きな進歩なのです。

Mondial Relay https://www.mondialrelay.fr/ ・Relay Colis https://www.relaiscolis.com/

 

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「高い配送料金を取りながら、ちゃんと品物が届かないフランスの配送事情」

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2020年12月6日日曜日

ブラックブロックがパリを破壊する フランス全土で5万人超えのデモ

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 つい数日前にシャンゼリゼに立ち寄って、イルミネーションの圧巻の美しさに「パリにいるのも良いものだ・・」と思ったばかりです。

 先週末もフランス全土で大規模なデモが起こり、大変な騒ぎでした。コロナウィルス感染も心配ですが、もうここのところ、デモのあまりの暴力化から、土曜日の午後にパリで外出することは、危険を感じるようになりました。

 依然としてグローバルセキュリティ法に反対する動きは根強く、この日は、フランス全土で5万2350人(パリでは5千人)がデモに参加したと内務省から発表されています。先週のデモに比べれば、政府がグローバルセキュリティ法・全面書き直しを発表したこともあり、人数的には、少なくなりましたが、破壊行動の被害は、一向に治ることはありません。

 デモ隊は、午後2時過ぎに、平和的?に行進を開始しましたが、デモが予定されていたルートに沿って、散発的に火が放たれ、ゴミ箱や、バイク、車(少なくとも6台)、トラックなどが燃やされ、近隣の商店が壊され、銀行までが燃やされました。

 前回同様、ブラックブロックと呼ばれる黒い覆面と服装に身を包んだデモに便乗しては、破壊行動を繰り返す集団の犯行です。この破壊行動に及んだ人は、400人〜500人いたと発表されています。この日のパリのデモ隊の規模は、5千人と言われていますので、人数から言えば、約1割がブラックブロックだったわけです。

 デモを行うには、予めそのルート等を申告し、警察の許可を取ることが義務付けられていますが、ブラックブロックの集団もそのルートを元に計画的に破壊行動を計画していることがわかります。

 5000人が参加したと言われるパリのデモは、最終地点のリパブリック広場に到着できたのは、午後6時すぎ、半分以下の2000人でした。彼らは、表向きはデモ隊に参加しているかのように振る舞い、グローバルセキュリティ法反対などのプラカードを掲げたりする役割の人もいるのですが、その実、デモをぶち壊していることは明白です。

 街中に炎が立ち上り、黒煙が立ち昇り、催涙ガスが蔓延し、放水車が人を攻撃し、ガラスが割られ、ブラックブロックと警察の治安部隊が戦う光景は、もはやデモではありません。パリはどうなっちゃうんだろうと不安にかられます。

 ブラックブロックは、2016年頃から登場し始めていますが、その破壊行為は、どんどんエスカレートしています。コロナウィルスによるロックダウンのストレスもあるかもしれません。

 私もフランス生活が長くなるにつれて、時にデモも必要なことではないかと思い始めてはいますが、昨今のような、デモといえば、ブラックブロックが便乗して暴力を振るい、破壊行動を繰り返してデモをぶち壊してしまう現状では、デモをこのまま容認することは、不可能ではないかと思っています。

 近隣の商店などは、デモはもう辞めて欲しいと憤りを露わにしています。

 表現の自由を叫び、自分の意思を表現することが尊ばれるフランスだからこそ、このようなコロナ禍でさえ、デモが認められているのですが、この暴力集団が破壊行動を繰り返す限り、こんな状態が続けられるわけはありません。

 今回のデモでは、42人が逮捕されています。実際に破壊行動をしていたと言われる人々の1割程度です。警察は、徹底的にこのブラックブロックの輩を追跡して、暴力ではない警察の力を見せつけて欲しいです。

 だいたい、ロックダウンの効果でコロナウィルス感染も減少してきたとはいえ、未だ、フランスでは、新規感染者が一日1万人以上いるのです。ノエルを家族で祝いたいんじゃなかったの? こんな状態が続けば、感染者も確実に増加するはずです。


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「グローバルセキュリティ法・全面書き直しとブラックブロック」

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2020年12月5日土曜日

ブラックフライデーと娘の携帯

  

ブラックフライデーでも20%off 今さらながら赤いテープが痛々しい


 娘の携帯電話が危うくなり出して、ヤバい状態が続いていました。前回、帰省した際にも時々、調子が悪くなり、時々、急に画面が消えたりすると言っていました。彼女は、どうにもアクシデントの多い人で、かなり派手な自転車事故を起こして、自転車の修理に行ったら、よくかすり傷で済んだと驚かれたり、忘れ物、落とし物も多く、帰省するときに家の鍵を忘れてきたり、お財布を忘れてきたり、しっかりしているかと思えば、妙に抜けているところがあるのです。

 当然、携帯も数回、失くしており、うっかり落とすこともしばしばで、つい先日も、携帯を落として画面を割って修理に出したばかりでした。画面の修理から戻ってきて、しばらくすると、今度は、本格的に電源が入らなくなった・・画面の修理をした際に接触が悪くなったのかも・・と再び、修理に出しましたが、いよいよ修理不能とのこと。

 今の彼女の世代は、何から何まで携帯で用事を済ます世代、日常生活で何がなくて困るかと言えば、携帯がないことというくらい、携帯電話に依存した生活を送っています。(まあ、今は誰でもそうかも?)現在の彼女の住まいは固定電話というものもなく、テレビもなく、学校や友達との連絡はもちろん、買い物をするのも、銀行口座の管理も映画やドラマを見るのも全て携帯です。

 ネット環境はあるため、パソコンは使えるのですが、実のところ、そのパソコンでさえ危うい状態。もしも突然、パソコンがダウンすれば、いよいよ携帯を買うことさえ容易ではありません。

 彼女は、学生でありながら、現在は、スタージュでフランスのある大手企業の研究部門で働いて稼いでいるので、携帯ぐらい、楽々、買えるはずなのですが、今のところ、貯金が趣味の彼女(普段は、携帯で自分の口座を毎日眺めながら、ニマニマしている)・・どうにも二の足を踏んでいるのです。

 それならば、「クリスマスプレゼントに買ってあげる!」と提案したところ、ご機嫌に快諾。しかし、倹約家の彼女らしく、ブラックフライデーまで待つと言うのです。娘のスゴいところは、それがたとえ、親に買ってもらうものであっても、少しでもいいものを安く買おうとすることです。私が若い頃には、親や祖父母に買ってもらえるとなったら、値段の心配などしたことはありませんでしたから・・。

 コロナウィルスのために一週間延期されていたブラックフライデー、どの程度、値段が下がるかは、疑問でしたが、彼女は絶対に安くなると言い張るので、ブラックフライデーを待っていたのです。

 私は買い物に出たついでに、同じコマーシャルセンター内のお店を少し覗いてみましたが、すでに店舗が営業開始になった時点で、半額セールなどをやっていた上に、これまでセールをやっていなかったお店も20%offなどと、堂々と掲げ、あまりインパクトはない様子。

 営業再開と同時に半額・50%offなどという表示を見てしまっては、どうにも拍子抜けです。

 それでも、ブラックフライデーまで待っていた人は結構いたと見えて、買い物袋を下げている人をけっこう見かけました。このようなコマーシャリズムに乗る人もフランスにも結構、いるものだと感心しました。

 結局のところ、娘が目をつけていた携帯は、ブラックフライデーには、値下げにはならなかったようで、観念した彼女から、カードナンバー教えて・・とメッセージが来ました。携帯電話は、一週間で届くそうで、一週間後には、彼女は溜まっているはずの彼女の口座残高をニマニマしながら眺めることでしょう。


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「フランスの休日営業とショッピング」

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2020年12月4日金曜日

2020年コロナ禍中でもシャンゼリゼのイルミネーションの美しさは圧巻 パリにいて良かったと思う瞬間

 


 パリ中心部に用事があって、ついでにノエルのデコレーションを見て帰ろうと思って、パリの中では、一番好きなヴァンドーム広場のノエルのデコレーション・イルミネーションを見に行ったら、今年は、自粛なのか、経費節減なのか、まったく、いつものような華やかさはなく、ガッカリしたので、このまま帰るのも悔しくて、せっかく近くまで来たのだからと、ちょっと足を延ばして、シャンゼリゼのイルミネーションを見て帰ることにしました。

 シャンゼリゼのイルミネーションは、すでにテレビやネットで見ていて、もう点灯しているのもわかっていたので、こちらは肩透かしを食うことはないと思ったのです。

 友人から、「今年は、シャンゼリゼなんて、誰もいないってよ!」と、聞いていたので、それならそれで、いいじゃない・・人が少ない方がいいし・・・と負けじとヴァンドーム広場からコンコルド広場を抜けて、シャンゼリゼへ歩いて行きました。


シャンゼリゼの下の通り・昔、この辺りにJALの支店がありました

 いつもは、シャンゼリゼの通りの下の方に立ち並んでいるマルシェ・ド・ノエル(クリスマス市)はなく、例年のような賑わいは全くありません。いつもなら、毎年、同じようなものが並び、取り立てて面白いとも思わないのですが、この時期に全くないとなると、それはそれで寂しいものです。

 それでも、散歩がてらなのか?ポツポツと歩いている人はいました。

 自慢じゃないけど、シャンゼリゼには、普段、用もなく、ほとんど行くことはありませんが、クリスマスのイルミネーションが点灯している間は、ちょっと近くまで行けば、足を伸ばしてノエル気分を味わいに行きます。だから、シャンゼリゼに行くのは、一年に一度くらいのものです。

 しかし、シャンゼリゼのイルミネーションは毎年、色もデザインも変わるので、今年は、どんなかな? と見てみたくなるのです。




 人が少ないと同じ場所を歩いていても、なんだか距離感が崩れます。なんだか、いつもは、長く感じられる距離がけっこう、すいすい歩けてしまいます。

 今年のシャンゼリゼは、飲食店がテイクアウトを除いて一切、開いていないこともあり、また観光客もいないこともあって、ノエルのイルミネーションが点灯されているというのに、人の少なさはきっと記録的、逆に考えれば、ゆったりと楽しむことができます。

 同じようなことを考えているのか、シャンゼリゼに来ている人は、悠々と写真を撮ったりして、結構、楽しんでいます。


 


 お店もゆったりと眺めることができます。デモでめちゃくちゃにされたロンシャンのお店がすっかりきれいになっていたり、ノエル仕様なのか、シックな店構えに変わっているH&M、まるでLIDOか?と思われるような店構えになっているSEPHORA(化粧品店)、相変わらず商売っ気満々のピエールエルメなどなど、買い物はしなくても、結構、人の少ないならではのシャンゼリゼを楽しんで来ました。




いつもより目立たない気がするルイヴィトン


 シャンゼリゼは17時に点灯されます。まだ、日が暮れかからない薄暗い中に少しずつライトが灯っていく様子は、ちょっと感動的です。フランスでの生活は、頭に来ることも多くて、スムーズにことが運ばないことも多くてストレスも多いのですが、この美しい街並みに接すると、パリにいて良かったな・・と思う瞬間でもあります。

 コロナならではのこんなに空いているシャンゼリゼ、来年には、去年は空いてて良かった・・と思えるようになっていたらなぁ・・とやっぱり思うのです。




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「シャンゼリゼで起きていたマカロン戦争」

2020年12月3日木曜日

パリは観光地だったんだ・・ お店は開いてもお客はいない

 

お店は開いているものの、ガランとしたヴァンドーム広場の店舗


 寒くなってきて、お天気も今ひとつだけど、パリの中心部に用事があったので、週末から来週にかけては、さらに天気が悪い模様・・やっぱり、今日、行くしかないな・・ノエルのデコレーションもちょっと楽しみだし、たまには、パリの街を歩こうと出かけてきました。

 ところが、もはや12月に入って、準備が遅れている?というわけでもなかろうに、どうにも今年のパリのデコレーションは控えめです。

 いつも通る、ノエルでなくても、きれいにデコレーションされているようなところでさえ、さっぱりなのには、少々ガッカリ・・今年は、自粛ムード?それとも、経費節減なのでしょうか? 

 ガッカリしてから、自分が、実は、デコレーションを結構、楽しみにしていたことに気がつきました。

 用事を済ませて、ノエルのデコレーションなら、ヴァンドーム広場のデコレーションが洗練されていて、毎年、きれいだから、ヴァンドーム広場を通ってみようとオペラ通りから、ルー・ド・ラペを通って、ヴァンドーム広場へ歩いて行きました。

 オペラ通りは、ずーっと前から、通りの商店街?の店舗のオーナーの集まりの方針で(要はケチ)、オペラ通りとして統一されたノエルのデコレーションはなく、有名な通りながら、ノエルは比較的、地味なのですが、それにも増して、このコロナの経済危機の煽りを受けてか、潰れてしまっているお店もチラホラ・・実際に、「閉店のお知らせ・長い間、ありがとうございました・・」などの張り紙がしてあるのを見ると、ずっしりとこのコロナの経済危機を目の当たりにさせられます。

 オペラ通りから、ヴァンドーム広場に抜ける道すがらは、高級な店舗が多く、きれいにショーウィンドウを飾っているので、飾られている洋服などを眺めながら、久しぶりにウィンドーショッピングを楽しみました。

 お店で買い物はしなくても、贅沢な雰囲気の空間に浸るだけでも心地よいのです。おしゃれな人も多く、お店だけでなく、通りを歩く人を見ているだけでも楽しいのです。パリは街の景観を大切にしている街ですが、街の景観を壊すような身なりの人もこの界隈には見当たりません。

        

なにげに写真を撮っても、景色を邪魔する人はいない


 歩きながら、ふと、お店は開いているものの、(飲食店は開いていませんが・・)お客さんがあまりいないことに気がつきました。まあ、平日の昼間だし、そんなに買い物する人もいないか?・・と一瞬、思いかけて、いやいや、いつもは、平日の昼間だろうと何だろうとお客さんはいたな・・と、日常の通りの様子を思い出したのです。

 考えてみれば、そのあたりの高級な店舗のお客さんの多くは、観光客だったのです。それでも、今は、ノエル前でケチなフランス人がバカンスの次に散財する季節です。なので、お客さんが皆無とは言えませんが、高級店舗になればなるほど、お客さんは、観光客なのです。

 「そうだ!パリは観光地だったんだ・・」そんな妙なことを思いながら、ヴァンドーム広場へ着くと、それぞれのお店の前には、統一されたクリスマスツリーが並んでいるものの、いつものようなキラキラした広場全体を包むデコレーションはありません。

 ヴァンドーム広場は広くゆったりとしているので、日頃から、人がいっぱいになることはありませんが、宝飾品をはじめとする、パリでもより抜きの超高級店舗、ショパール、カルティエ、シャネル、ディオール、ルイ・ヴィトンなど、高級ブランド店ばかりのこの場所は、お客さんが少ないどころか、店舗の中にいるのは、退屈そうな店員のみ・・。

 これでは、ノエルのデコレーションどころではありません。

 この近辺は、高級なホテルも沢山ある地域ですが、ホテルも軒並みほぼ休業状態、この機を利用して改装中のところもチラホラ・・。

 夏の数ヶ月を除いては、今年は、ほぼほぼ観光客のいないパリ、こんな状態がいつまでも続けられるはずはありません。

 パリに観光客がいないという厳しい現実をあらためて思い知った久しぶりのパリ散歩でした。


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「ロックダウン緩和でようやく営業許可が下りた店舗」

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2020年12月2日水曜日

スキー場オープンか否かで統一が取れないヨーロッパ フランスがダメならフランス人は隣国へスキーに行く

 


 ノエルと年越しをどうやら家族で祝えることになったフランスは、今度は、スキーがOKになるかどうかが騒ぎになっています。

 隣国のスイスやオーストリア、イタリアなどでは、制限付きでスキー場がオープンになることになったことから、フランスもスキー場を開けろ!と騒いでいるのです。

 スキー場側からしたら、スキーシーズンは限られているため、このシーズンに開けられないのは、大打撃になるのです。

 たしか、前回のカステックス首相の発表では、スキー場は開けてもいいが、リフトはダメという話だったと思いますが、リフトがなければ、事実上、閉鎖と大して変わらない状態です。

 スキー自体は、屋外のスポーツであるし、許可されても良さそうなものですが、リフトの混雑状態やスキーによって、人が集まる状態を危惧しているのです。そして、スキーに行くということは、アフタースキーの空間もあるのです。

 地続きのヨーロッパの中でも、スキー場に関しては、統一が取れていませんが、中でもドイツは、一番毅然とした態度で、スキー場の閉鎖を宣言し、また、ヨーロッパ全体にもスキー場は、閉鎖して欲しいと呼びかけています。

 フランスは現在のところ、ドイツに準ずる姿勢をとっていますが、スイス(ヨーロッパではないけど)やオーストリアなどは、「クリスマスには、リゾートでスキーも食事も楽しむ」と真逆の方向に進んでいます。

 いくら、フランスのスキー場が閉鎖になっても、そんなことで諦めるフランス人ではありません。

 第1回目のロックダウン中の4月のイースターの休暇の時期、気候がよくなってきたこともあり、フランス人は、ロックダウン中にも関わらず、国境を超えて、スペインのリゾート地などへ出かける人が後を経ちませんでした。

 あの頃は国境も閉鎖されていて、イースターの休暇の時期は、警戒体制も厳重に張られていた中、強行に国境を突破したり、中には、プライベートジェットまで使ってバカンスに出かける人まで現れました。

 フランスでスキーができなければ、近隣のスキー場がオープンしている国へ人が流れることは必須です。今回は、ロックダウン状態でもなく、おそらく、12月15日以降は、長距離移動も許可されます。

 国外であろうと、地続きの隣国へは、国境の通過もハードルが低いのです。

 マクロン大統領は、このノエルのバカンス時期に海外でスキーをしたいフランス人を思いとどまらせようと、バカンス突入前に、「制限的かつ説得力のある措置」を取ることを発表しています。

 レストランにしても、スキー場にしても、オーナー側がいくら衛生措置を整えても、お客側が衛生環境を尊重しきれない、感染を防ぎきれない場所でもあります。ましてやスキー場、ウィルスの大好きな気温の低い場所でもあり、感染の危険は高いのです。

 第2回目のロックダウン以来、感染状況は、減少してきていますが、ロックダウンが解除になり、ノエルのバカンスで皆が移動を始め、家族でノエルや年末年始を祝います。そのうえ、スキーにまで出かける人が出ては、無事に済むはずはありません。

 フランスのロックダウンの段階的な解除のカレンダーによると1月20日頃には、レストラン営業開始(感染状態が抑えられていた場合)とされていますが、年末年始が終わって、約2週間後、フランスのコロナウィルス感染は、再び増加状態にあると、私は思っています。

 

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「バカンス好きにもほどがある!フランス人の国をまたぐコロナウィルス外出禁止違反」

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2020年12月1日火曜日

グローバルセキュリティ法・全面書き直しとブラックブロック


 



 フランスで2週間に渡って行われていたグローバルセキュリティ法反対のデモは、それを前後して発覚した警察官による暴力事件により、フランス全土での大規模なデモに発展し、特にパリでは、夕刻にはデモが暴徒化し、大騒動になりました。

 翌日のレピュブリックから、バスティーユにかけての界隈は、騒動により、店舗やキオスクが壊されたり、信号が壊されたり、キャッシュディスペンサーが壊されたり、挙げ句の果てには、フランス銀行まで燃やされ、本来ならば、ノエルのデコレーションでキラキラしているはずの街が廃墟のようになってしまった様子は、悲しいばかりです。

 13万人超えの人々が抗議をしたグローバルセキュリティ法に関しては、警察官による暴力事件による警察への反発もあいまって、簡単なことではおさまりそうもない気配で、このデモは当分、続くだろうとウンザリとしていました。

 ところが、そんな国民の気配を感じてか、昨日、国会のLREM会長(la République en marche・前内務大臣)クリストフ・カスタナーより、「グローバルセキュリティ法・第24条を全面的に書き変える」ことが発表されました。どのように書き変えるかは、また次の問題ですが、とりあえず、法令の施行には、ストップがかかったのです。

 デモという世論が政治を動かしたわけです。

 今回、物議を醸したグローバルセキュリティ法・第24条は、警察官を守るための法律であり、彼らの顔を撮影することを禁じ、それを公開した場合に対して罰則を与えるというものでしたが、撮影自体を禁止したものではなく、公開する場合などには、顔をボカすなどの必要があるという内容なのですが、それを全面的に撮影禁止と受け取ったり、また、映像の加工等の必要から、映像の公開へのハードルが上がり、表現の自由を損なうものであるという反対意見や警察の暴力を抑えるためには、あくまでも映像の公開が必要だという意見などがあります。

 たしかに、先日のような暴力事件があれば、暴力を振るうのが、一般市民であろうと、警察であろうと、気軽に誰もが携帯などで撮影できるようになったことは、後の証拠として残されることから、とても心強いことでもあります。

 ましてや、今回の警察官の事件のように、偽りの報告書で済まされようとしていたことを考えれば、撮影は不可欠とも考えられます。

 しかし、今回のデモを暴徒化させ、騒動を大きくしたのは、ブラックブロックと呼ばれる黒づくめの服で覆面をした暴力集団です。

 今回のデモにも100名前後のブラックブロックが出現しました。彼らは、デモなどの騒ぎに乗じて、破壊行動を起こし、壊した店舗から金品を強奪したり、警察を攻撃したり、破壊行動そのものを目的とするブラック集団です。

 今回のグローバルセキュリティ法の書き変えが、彼ら(ブラックブロック)の行動を正当化するものとなってはなりません。

 グローバルセキュリティ法が国民に受け入れられるように、わかりやすく書き変えられることは必要ですが、彼らの暴力行為が国民の求める結果を勝ち取ったようになってしまわないように彼らの暴力も厳しく追求しなければなりません。

 フランスは、警察の暴力もブラックブロックの暴力も同時に断固として制圧する道を探さなければなりません。

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「騒ぎに乗じて暴れるフランスの暴力集団の存在 ブラックブロック」

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「パリ・アンヴァリッドでの介護者のデモ・1万8千人を震撼させた暴力・ウルトラジョンヌとブラックブロック」

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