2020年11月29日日曜日

フランス全土で13万3千人超のデモで大荒れ パリ・フランス銀行まで燃やされる大惨事

                                                                          

  Des locaux de la Banque de France, situés près de la place de la Bastille à Paris, ont été incendiés par des manifestants en fin d'après-midi. 


 土曜日に、グローバルセキュリティ法に反対するデモが行われることは、予めデモの主催者から届け出が出ており、当初、レピュブリック広場からバスティーユ広場に向かうデモ行進が申請されていましたが、パリ警視庁の許可が下りなかったため、レピュブリック広場飲みの集会に限定されていました。

 ところが、結果的には、デモは、強行され、バスティーユ広場で大騒動になりました。

 先日の警察官による暴力事件がグローバルセキュリティ法に対する国民の反発をさらに大きくし、内務省の発表によると、デモはパリだけではなく、ストラスブール、レンヌ、リヨン、ボルドー、マルセイユなど、フランス全土で133,000人の参加者だったと伝えられています。(デモの主催者側の発表によると50万人)

 このコロナ禍中、この人出だけでも驚異的なことですが、デモの一部に、ブラックブロックと言われるデモなどに紛れて破壊行動を繰り返す集団が、暴れ始め、街頭に駐車してあった車を壊して、燃やし、トラックをひっくり返し、キオスクやブラッスリーなども燃やされ、消防車がひっきりなしに出動していました。

 警察とデモ隊の間には、バリケードが張られ、物々しい戦闘態勢、手榴弾や催涙ガスに放水での攻撃と、日が落ちていく夕刻には、パリは荒々しい光景に包まれました。

  


 極めつけは、バスティーユにあるフランス銀行(Banque de France/フランス中央銀行)が放火され、銀行の前には、警察官の暴力反対の垂れ幕を掲げた人々が、炎に包まれた銀行を背景に雄叫びをあげる恐ろしい光景が繰り広げられていました。

 そもそも、グローバルセキュリティ法に正当に?抗議する人々によって行われていたデモです。この際、コロナウィルス感染のことは、別問題として、政府に抗議することは、時には必要なことでもあると思いますが、その正当な抗議活動を冒涜するかのような、このような暴力的な破壊行動は、決して許されることではありません。

 このデモが行われた土曜日は、約1ヶ月のロックダウンにより営業停止になっていた小売店にようやく営業許可が下りて、営業が再開になった初日でした。この騒動では、少なくともバスティーユ界隈の小売店は、営業などとんでもない状態であったことは言うまでもありません。

 日頃から、血の気が多いと感じることも多いフランス人が、さらに、ロックダウンによりストレス満載状態の国民は、デモで感情を爆発させる度合いも高まっているような気がします。

 このタイミング(コロナ禍中)での、グローバルセキュリティ法の採択、そして、火に油を注ぐような警察官の暴力事件の発覚。

 マクロン大統領も、警察官の暴力事件に対しては、声明を発表してはいますが、いかにも、ごもっとも・・と言えるような、優等生的な内容で、そんな言葉では、国民には響きません。

 少なくとも、事件を起こした警察官に対しては、早急な処分ときっぱりとわかりやすい対応が求められていると思います。

 これからロックダウンを緩めていこうとするフランスは、このような事件も、早急に解決していかなければなりません。

 フランスは、荒れています。

 ようやく下がってきたコロナウィルスの感染状況もロックダウンの緩和とデモや破壊行動でダブルパンチで、再び感染を拡大させてしまう危険を孕んでいます。


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「パリ・アンヴァリッドでの介護者のデモ・1万8千人を震撼させた暴力・ウルトラジョンヌとブラックブロック」

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「防犯カメラで警察官の暴力が暴露されるフランス」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/11/blog-post_28.html






2020年11月28日土曜日

防犯カメラで警察官の暴力が暴露されるフランス

     


 ここ数日、フランスでは、3人の警察官によって、音楽プロデューサーであるミシェル・ゼクレールが過激な暴力を振われた事件で大騒動になっています。

 事件は、先週末、午後8時頃、パリ17区で起こりました。

 警察車両を通過した男性は、マスクを着用していなかったことから、罰金を回避するために彼の利用しているスタジオの敷地内に入ったと言います。彼を追いかけた3人の警官が玄関に入ると彼を捕まえ、殴る蹴る、挙句の果てには、武器まで使って押さえつけ、執拗に暴行が繰り返されました。

 その際に彼は、警察官から「汚いネグロ・・」などの差別的な言葉で罵られ続けたと証言しています。

 彼は警察の暴力を受けた挙句に48時間警察に勾留されましたが、釈放された後に、暴力を振われた現場であるスタジオ内に設置された防犯カメラに、警察官3人が暴力をふるっている様子が録画されていたことから、その動画とともに、暴行を受けた彼自身の画像がSNSで拡散され、マスコミも動き始めました。

 彼はせめて、防犯カメラがあったことは幸いであったと語っています。

 私もTwitterで拡散されている動画を見ましたが、あまりに暴力的で、引き裂かれた腱、開いた頭蓋骨、打撲傷等、怪我も酷いことから、ちょっと目を覆いたくなるような映像でした。


 https://twitter.com/Loopsidernews/status/1331870826652643328


 この最初の投稿に続いて、あまりの騒ぎに驚いて、様子を伺っていた近隣の人が撮影していた動画が次から次へと出てきており、騒動は、どんどん大きくなっています。

 しかし、さらに酷いことには、このミシェル・ゼクレールの勾留に関して、警察官は虚偽の報告書をあげており、この動画の拡散がなければ、この事件は、葬り去られていた可能性があることです。

 この動画の拡散により、警察は、この事件に関して、再捜査を開始し、この事件に関わった4人の警察官が身柄を拘束されています。

 これには、マクロン大統領までが、「法を執行する者は法を尊重しなければならない。憎しみの感情や人種差別を繁栄させてはなりません。私は政府に、フランス人と彼らを保護する人々との間に自然に存在しなければならない信頼の絆を再確認し、あらゆる形態の差別に対してより効果的に戦うための提案を迅速に行うよう要請します。」と声明を発表しました。

 また、マクロン大統領は、この声明の中で、「フランスは、秩序と自由の国であり、不当で恣意的な暴力は許されません」とも述べています。

 たしかに、この事件を起こしたような警察官はごく一部ではあり、全ての警察官がこのために彼らの信頼を失うことがあってはなりませんが、たしかに一部には、このような警察官は存在する話でもあります。このような事件を聞くのは初めてではありません。

 フランスには、人種差別は(意識、無意識の差はあれど)、存在します。警察官のような特別な権力を行使できる立場の人がそれを暴力を持って行使するほど恐ろしいことはありません。私自身も外国人としてフランスで生活し、どちらかといえば、差別されかねない立場です。

 もし、これが、いやこれだけではなく、私の身に危険なことが起こったら、私は、叫び声を上げることができるだろうか? そんなことさえ考えてしまいます。

 今は誰もがスマホを持ち、誰もが簡単に撮影できる時代、「助けて!」だけでなく、「誰か撮影して!」と叫ぶことも必要かもしれません。

 この件は、決して曖昧にすることなく、徹底的に追求してもらいたいです。

 土曜日もグローバルセキュリティ法に反対するデモが予定されていますが、この事件がさらにこのデモをエスカレートさせる発火剤となるような気がします。

 「防犯カメラによって、警察官が逮捕される」こんな恐ろしいことはありません。


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「コロナウィルスによる中国人・アジア人種差別再燃 「アジア人狩り」」

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「ロックダウン解除・第二ステージの幕開けは、2万人規模のデモというフランスの惨状」

(人種差別反対のデモ)

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_3.html




2020年11月27日金曜日

コロナウィルス第2波 制限を緩和していくフランスと手綱を緩めないドイツ

 

  

         

 今週に入って、マクロン大統領から発表されたロックダウン緩和へのステップを歩み始めたフランスとは対照的に、昨日、ドイツのメルケル首相は、新規感染者数に大幅な減少が見られない限り、現行の感染対策を来年の1月初旬まで延長、しかも強化する方針を表明しました。

 新規感染者の推移を見れば、フランスは一時は、一日6万人近かった新規感染者数もどうやら1万人台にまで減少し、ICUの患者もあわや5千人の壁を超えるかと思われていたところが、こちらも少しずつ減少し始め、4,018人(11月26日現在)までに下がっています。

 これまでドイツは、コロナウィルス感染に関しては、被害の大きいヨーロッパ全体の中でも常に優等生で、フランスとは比較にならないほどに、常に感染者数は、フランスよりもずっと少ない状況に抑えられてきました。

 これまでの総感染者数は、フランス 2,183,660人、ドイツ 1,001,965人(半分以下)コロナウィルスによる死者数は、フランス 50,957人、ドイツ 15,706人(3分の1)となっています。

 フランスが医療崩壊を起こして、あっぷあっぷしている時もドイツはいつもフランスを助けてくれていました。

 ところが、メルケル首相の発表を見て、ここへ来て、久しぶりにドイツの新規感染者数を見てみると、なんと、わずかではありますが、ドイツがフランスを追い抜いているではありませんか?(ドイツ14,306人・フランス13,563人・11月26日現在)

 フランスのゆるゆると思われるロックダウン1ヶ月で、よくもここまで下がってきたものだと正直、感心していますが、ドイツとて、ロックダウンと呼ぶのかはわかりませんが、感染症対策の様々な制限をしてきたはず、飲食店の営業や劇場やジムなどの文化施設も閉められ、フランスと違う点といえば、小売店の営業が許されてきたことくらいです。

 にもかかわらず、ドイツでさえも、感染状態が悪化してきているということは、小売店の営業による人の流れが、かなり感染状態に影響していると考えざるを得ません。

 感染状況からすると、フランスは減少傾向、ドイツは増加傾向にあるとはいえ、現在の数字は、どちらも似たような状況で、フランスは、制限緩和の措置をとり、ドイツは、制限を継続、しかも強化するという両極の対応。

 ノエルに向けて、ヨーロッパ諸国が制限緩和を開始する中、メルケル首相は、「今の状況は、目標からは、程遠い。もうひと頑張りしなければならない」としています。

 特に、ノエルのバカンスはスキーのシーズンでもあり、また、ヨーロッパでは、スキー場になっている山を隣国と共有しているようなところがあり、ドイツは、EU全体に対しても、特にノエルのバカンスにスキーをすることを禁止するように呼びかけています。

 フランスは、12月15日以降、ロックダウンが解除となった場合、移動制限はなくなり、72時間以内のPCR検査等の衛生管理規則を守れば海外旅行も許可されることになりましたが、スキーに関しては、スキー場は開けてもいいが、リフトは営業禁止というどこか不明瞭な立場をとっています。

 ヨーロッパという地続きの国々での制限の違いは、このバカンス期間は特に、ある程度は、足並みを揃えなければなりません。

 12月のこの対応の違いが1月には、どのように表れるのか、制限が緩和されることにちょっとホッとしかけたものの、ドイツの対応を見て、やっぱり不安が膨らんでくるのです。


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「ヨーロッパのコロナウィルス感染拡大 国の対策の取り方で明暗を分けた理由」

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2020年11月26日木曜日

段階的なロックダウン緩和〜解除策には、83%のフランス人が賛成

                                           

  Comment vont se dérouler Noël et le Nouvel an cette année ?


 一昨日にマクロン大統領から発表された段階的なロックダウン緩和から解除に向けてのシナリオには、83%のフランス人が賛成しています。

 概ね国民には、好意的に受け入れられたノエル・年末年始の予定ですが、12月15日にロックダウンが解除されるには、一日の新規感染者数が5000人以下、ICUの患者が2500人以下まで減少した場合という条件がついていることを皆、ちゃんと聞いていたのかな?と、ちらっと思います。

 とはいえ、現在のフランスの感染状況を見ると、まだ一ヶ月はあるし、まるで不可能な数字でもありません。

 そんなこともあってか、73%の人が12月15日までは、現在のロックダウンの制限を厳密に尊重すると答えています。(2回目のロックダウンが発令された10月28日の段階では、98%が尊重すると答えていたので、すでに大幅に減少しているとも言えます)

 このロックダウンの制限を厳密に尊重するというのが、もはや、この約1ヶ月間に起こっている数千人単位のデモや数百人にも及ぶパーティーなどのことを考えると、どの程度の尊守なのかはわかりませんが、ひとまず、目の前にぶら下げられたニンジンのために、頑張るつもりになっているのかもしれません。

 しかし、ともかくも週末からは、生活必需品以外の店舗も営業が許可され、20キロ、3時間以内の外出は許可され、ノエルには、家族と過ごすための移動も許可され、ノエルを家族と祝うこともできるのですから、多くの人が賛成というのも、そりゃそうだろ・・と、思います。

 しかも、ノエルと年末年始に関しては、「個人の自覚を持っての自粛して過ごすことを要請する」などという、「ここは、日本か??」と思うような政府の物言いで、そんなことが通用するほど、フランス国民は甘くありません。

 ノエルと年末に対してのこの政府の取った措置は、そりゃ〜国民には受け入れられるだろうけど、だからと言ってフランス人がおとなしくノエルと年末年始を過ごすわけがなく、政府は第3波への大きなリスクを背負ったのです。

 かといって、ノエルを制限するようなことがあれば、それこそ暴動でも起きかねないフランスです。もはや、国民のノエル圧を抑えきれない政府が半ば妥協して提案したとしか考えられません。

 何が起こっても、政府のせいだと責任転嫁する国民には、今回の政府の提案に反対する理由はありません。残り17%の反対の人は、おそらく、少なくとも1月20日までは営業が出来ないレストランやバー、ホテル、スポーツジムなどに関わる人々だと思います。

 しかも1月20日に営業ができるという確証もないのですから、怒り心頭なのも当然理解できます。(その上、このノエル・年末年始後の感染状況は、悪化している可能性大なので、さらに、それより先に延期されることも充分に考えられます)

 今日、近所にちょっと買い物に出かけましたが、街は着々とノエルのデコレーションが進み、街に出ている人たちも、とりあえずのメインイベントであるノエル・年末年始の目処がついたことから、どこかホッと落ち着きを取り戻したかのような雰囲気が漂っていました。

 今週の土曜日から営業が許可されたお店は、まだ今日の段階では営業していないものの、店内では、さっそく営業再開の準備をしている様子でした。

 とりあえずは、多くの人が当面のおおよそのプランが出たことで、少しホッと落ち着きを取り戻している雰囲気が、これまで先の見えない不安というものが、どれだけ人を変えていたのかと・・そんな不安定な状況が続くことへの心理的な影響の大きさを逆に思い知らされた気がしたのです。

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「フランスの感染がおさまらないのは政府の責任というフランス人」

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2020年11月25日水曜日

フランスのロックダウン緩和へのステップ マクロン大統領の会見




 フランスのロックダウン緩和は、とりあえず、今週末の全ての商店がオープンすることから始まることになりました。大方の予想では、12月からと言われていただけに、一週間早くなった全てのお店の再開は、明るいニュースです。

 そして、これまでどおり、外出許可証は必要ではありますが、自宅から20km、3時間以内の外出が認められるようになります。沢山のお店がオープンしても、行けないじゃん!と思っていましたが、パリは狭いのです。行きたい所もそうあるわけでもありませんが、とりあえず、行こうと思えば、いつでも行けるようになることは、思いのほか嬉しいことです。

 さらに、12月15日には、ロックダウンが解除になり、映画館、劇場、美術館などが再開し、外出規制が撤廃されますが、夜9時から午前6時までの時間帯の外出制限措置(夜間ロックダウン)が取られます。

 普通の生活が近づいてきました。

 しかし、レストラン、バー、スポーツジムなどは、年内の再開はできませんが、どうやら、ノエルを家族で祝うことはできるようになるようです。

 特に12月24日と31日は、夜間ロックダウンも撤廃されるという甘々な措置、公道での集まりは禁止されていますが、今は、まだロックダウン状態でさえ、ここ数日のデモの人出を見ていると、これが守られることは、どうにも信じ難く、今からシャンゼリゼが人で埋まる様子が目に浮かぶようです。

 つまり、ノエルのバカンスには、皆が家族に会うための移動を始め、衛生管理に気をつけてと呼びかけてはいるものの、ほぼ、例年に近い年末年始を迎えることになりそうです。

 そして、このまま、感染状態が減少していった場合は、(一日の新規感染者数が5000を下回っている場合)、1月20日には、レストランやスポーツジムの営業が認められるようになります。

 マクロン大統領から、ロックダウンの緩和についての発表があると聞いて、小売店等の再開は、おおよそ予想がついていましたが、一番の問題は、ノエルをどうするのか?が最も気になっていましたが、まさかの24日と31日の開放に、今から、クリスマスイブと大晦日の惨状が目に浮かぶ気がします。

 これまでの締め付け?られた生活の鬱憤が、ノエルと年末年始に一気に爆発するような気がするのです。

 例年の一般的なフランス人の傾向としては、ノエルは家族と過ごし、大晦日は、友人と騒ぐという人が多く、特に31日は、レヴェイヨンと言われ、年明けのカウントダウンの瞬間は、より多くの人が集うのです。

 マクロン大統領からの発表があった数分後には、SNCF(フランス国鉄)の予約サイトは400%に膨れ上がり、これまで予約を躊躇していた人々が一気に予約を開始したようです。

 さっそくみんな、出かける気まんまんです。ちなみにフランスにはGO TOキャンペーンはありません。

 この会見で、マクロン大統領は、「第2波のピークは過ぎたけれども、依然として、深刻な状態、なんとしても、感染の第3波、第3のロックダウンは、避けなければならない」と話していますが、このノエルと年末への対応を考える限り、第3波は確実、1月20日のレストラン再開は、絶望的だと思います。

 しかし、フランス人の様子を見ている限り、ノエルをシャットダウンすることは不可能、こうするしか仕方がなかったかもしれないとも思っています。

 私個人としては、12月15日からのロックダウン解除は嬉しくもありますが、その間に、再び、次のロックダウンに備えなければ・・という気分になっているのです。

 フランスのコロナウィルスによる死亡者は、とうとう5万人を突破(50,237人)しました。


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「フランスの年末年始にかけての食事」

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2020年11月24日火曜日

サン・ドニの難民キャンプ解体による避難所要求のデモ

 Les migrants ont installé leurs tentes place de la République à Paris (photo d'association).


 次から次へとよくも、こんなに色々起こるもんだ・・と、ため息が出るほどです。

 一昨日のデモに続いて、またデモ・・です。

 先週の初めにパリ北部、サン・ドニ(セーヌ・サン・ドニ県)の難民キャンプで、警察により、2,500人が追放され、移動先の宿泊施設の解決策がないままに、700人から1,000人の人々が路上に残されました。

 行き先を失くした人々のうち、400人以上が安全を確保するために、パリ・レピュブリック広場に集結して、テントを張り、セーヌ・サン・ドニ県、パリ市役所、政府に対し、基本的権利の尊重と難民に対する警察の暴力の即時かつ継続的な終結と、1,000か所の無条件の即時宿泊施設の設置を要請しています。

 権利の主張は、あらゆる人に共通するようです。基本的権利や警察の暴力に対する抗議はまだしも、無条件の宿泊施設とは意味がわかりません。

 彼らは、同時に、先週のキャンプ解体による避難中に警察がとった暴力的な行動に対して、県と内務省に対する苦情の申し立てもしています。警察のとった暴力行為といえば、さっそく、先日、大きなデモを引き起こしたグローバルセキュリティー法第24条(警察・憲兵隊の撮影を禁ずる法律)の是非が問われる案件です。

 そして昨夜のレピュブリック広場に集結した難民との間にも再度、緊張状態が生じ、警察だけでなく憲兵隊まで出動する騒動に発展しています。

 もともと、サン・ドニといえば、パリ郊外の中でも治安の悪さで有名な地域、私は、20年以上パリに住んでいて、ほんの数回しか行ったことはありません・・というよりも、敢えて近寄らないようにしている場所です。

 サン・ドニ界隈に行けば、難民の多さは一目瞭然、ここはフランス??と思うほどの移民の多さ、治安の悪さは、すぐに肌で感じることができます。治安の悪さを肌でひしひしと感じるってなかなかスゴいことです。

 何か事件が起こる度にサン・ドニの地名が上がり、今回のコロナウィルス感染においても、パリ近郊では一番、感染状態が深刻だった場所です。

 一昨日も、殺人事件が起こったばかり、先日のテロ事件で、共犯で手配された犯人もサン・ドニのアパートで逮捕されており、私の身近なところでは、知り合いのガイドさんが、サン・ドニ界隈のホテルに日本人ツアーのお迎えに行ったところ、強盗に襲われ、殴り殺されたという悲惨な事件もありました。

 移民も多く、生活水準も低く、治安も悪いことから家賃も比較的安く、若者が多いのも特徴で、人が埋もれて暮らしやすい場所でもあります。

 今回、難民キャンプが追放されたことで、パリ中心部での騒ぎに発展して、彼らの意図した通りに注目を浴びましたが、サン・ドニを追放された700人から1,000人近くの人が行き場を失い、パリ近郊を放浪していることになります。

 治安が悪いサン・ドニを避けている私には、避けているものが向こうからやってくるような気持ちにさせられます。

 感染対策も含めて、難民キャンプを追放したと思われますが、追放するだけでその後の準備がなされていない雑なやり方は、また別な混乱を生むだけです。

 ロックダウン中とは思えない光景は、政府がわざわざ作り出している部分もあるのかもしれません。

 この騒動は翌日まで持ち越し、この避難した難民を擁護する人々がちょっと目眩がしそうなほどの規模で、再びレピュブリック広場に集合し、デモを行っています。


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「コロナ禍中でも続くフランス人の権利の主張」

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2020年11月23日月曜日

シャンゼリゼのイルミネーション点灯がフランス人のノエル気分に火を灯す

 Image


 昨日、毎年、恒例のシャンゼリゼのイルミネーションが点灯されました。これから1月まで、シャンゼリゼは美しいイルミネーションに彩られます。

 私も毎年、一度は、このイルミネーションを見物がてら、まだ、日が落ちきらない、一番ライトアップがきれいに見える時間を見計らって、シャンゼリゼの近くに買い物に出かけて、立ち寄っていましたが、今年は、行けるかどうか??

 シャンゼリゼのイルミネーションをきれいに写真を撮るのには、ジョルジュⅤ(メトロ駅)よりちょっと下あたりが綺麗に撮れます。

 シャンゼリゼのイルミネーションは、街路樹に付けられるライトの色やデザインが毎年、変わり、今年は、どんなデザインになっているのか? それを見届けるのも楽しみにしています。やはり生で見るシャンゼリゼのイルミネーションは、圧巻です。

 今年のシャンゼリゼの点灯式は、例年よりは、ずっと縮小されてはいたものの、カウントダウンが行われ、そんな映像だけ見ていると、ロックダウンを忘れそうになります。

 2年前にシャンゼリゼのイルミネーションを見に行った時は、ちょうど、黄色いベスト運動が盛んに行われていた頃で、不謹慎にも、シャンゼリゼのイルミネーションに加え、警察車両の青いライトがきれいだと思ったりしたことが、すごく印象に残っています。

 シャンゼリゼのイルミネーションとともにシャンゼリゼの下の方にオープンするマルシェ・ド・ノエルも今年は、どうなることやら・・毎年毎年、同じもので、変わり映えもしませんが、季節の風物詩でもあります。

 しかし、今年は、マルシェ・ド・ノエル以上に営業許可を心待ちにしている一般の小売店、今週には、マクロン大統領から発表があるとのことで、色々な情報が錯綜しています。

 営業が許可されるかどうかなどの情報に紛れて、来年、3月初めから3回目のロックダウンが始まりますという政府から出されたという偽造文書まで流されています。ちょっと考えてみれば、目先の営業許可を出すか否かということでさえも、躊躇している状況で、3月からのロックダウンの発表を政府ができるはずもないことは、すぐにわかることです。

 現在のところ、ロックダウンの効果で、新規感染者も1万人台にまで減少してきて、緩和に向けて勢いづきそうになっている国民を「今回の発表はロックダウン解除ではない!」としきりにブレーキをかけていますが、どうやら、小売店の営業は許可されるのではないかという見方が強いです。

 だいたい、数千人規模のデモが許可されて、生活がかかっている小売店の営業が許可されないというのは、おかしな話です。

 マスク着用や店舗内の人数制限、衛生管理を行えば、営業は可能だと思います。どうしてもマスクをし続けることができず、滞在時間も長くなり、衛生管理がお客さん側の良識に委ねられるのレストランやバーについては、年内の営業は不可能なようです。

 しかし、シャンゼリゼのイルミネーションの点灯は、フランス人のノエル気分に火を灯したようなもの・・着々と近づくXデー(ノエル・クリスマス)は、もうすぐそこまで来ています。

 これまでの様々な出来事に対する政府の対応を見ていると、ノエルを家族で祝うことを全面的に政府が禁止することはあり得ません。とはいえ、到底、野放しにできる状態でもありません。

 新規感染者は減少したものの、ここ一週間のフランスでのコロナウィルスによる死亡者は4,209人と1時間に25人が亡くなっている状況、4月以来の驚異的な数字を記録しています。

 ノエルのバカンスの移動を許可するタイミングや家族での集まりの人数制限など、問題は山積みです。黄色いベスト運動などで、あれだけ嫌われていたマクロン大統領も支持率が41%と上昇しています。

 このノエルと年越しを迎える重大な局面をどう乗り切れるのか? 夏のバカンス解禁で大失敗している前科を持つフランス政府が、夏のバカンスに次いで、フランス人が大切にしているノエルをどう対処するのか? フランスは、国民の良識に頼れる国ではないのです。

 この重大な局面、全て、マクロン大統領の裁量にかかっています。

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「フランスの国会を騒がせる「フランス人のクリスマスを迎える権利」」

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