2020年7月10日金曜日

コロナウィルス第2波は、いつ来るか?




 先日、アパートの換気口の掃除業者の人が来てくれた時に、「バカンスには、行くんですか?」と聞いてみたら、「とんでもない!まだウィルスは、あちこちにウヨウヨしているんだよ!」と即答されたので、「あ〜フランス人でも、こんな風に思っている人もいるんだ・・」と少しホッとしました。

 彼らは、たくさんの家を回る清掃業者の人たちなので、多くの人に屋内で会うわけで、しかも清掃という仕事をしているので、普通の人よりも意識が高いのかもしれません。

 しかし、街中は、すっかり緊張感も緩み、マスクをしている人もかなり減り、レストランなどもだんだん、いつもと同じような人出になってきていますし、バカンスに出かける人も大勢います。どんどん、以前のような日常に戻りつつある気配です。

 一方、昨日、東京にいる友人から、「東京の感染者の多さには、閉口してしまいます。早く普通の日常に戻りたい。」という内容のメールをもらいました。ここのところ、日本の新規感染者数が増加してきていることは、知っていましたが、やっぱり、大変、問題視されているようですし、やはり、普通の日常には、まだまだ戻れない・・と思っているようです。私としては、やはり、日本の反応の方が普通だと思うのです。

 もともと、コロナウィルスの被害がフランスと日本は、比較するまでもないほどなので、おかしな話ですが、フランスは、昨日も今日も新規感染者が663名、621名と600名を超える数字で、現在は、ヨーロッパの中でも(検査数もそれほど多いわけでもないのに)ダントツの数字なのです。

 ロックダウンが解除になった途端にデモだ、音楽祭だ、と目にするたびに気が遠くなりそうな人出が続いてきたのですから、むしろ、この数字で留まっていることが不思議なくらいです。

 すでに、ドイツやスペイン、オーストラリアなどは、一部の地域で再ロックダウンになっているそうですが、フランスでは、今のところ、そのような地域はありません。これまでの状況を見ていると、ウィルスの拡散には、どうやら気温が関係していると思われる状況が多く、たとえ、この夏の間は、第1波のような感染爆発は起こらなくとも、感染者を一定以上キープしたままで、秋から冬を迎えれば、それは大変なことになります。

 うんざりすることに、そんな秋を迎えた頃の9月17日、年金問題に関する大規模なストライキが行われることが発表されています。ストライキやデモもバカンス期間中は外すのがフランスなのです。

 現在、再ロックダウンの措置をとっている国も、これ以上の感染爆発を起こさないためにやっているのであって、3月〜4月のような危機的状況に陥っているわけではありません。この段階で、小規模でのロックダウンや警告は、秋以降の状況に大きく差が出てくるような気がしています。

 日本は、もともと完全なロックダウンの措置を取らずにここまで来ましたが、現在もその警戒を怠らずにいることは、やっぱり日本、凄いなと思います。日頃から、街中も国民も清潔で、マスクをする人が多い日本がこんなに頑張っているのに、感染者600名を超えても、すっかりバカンス気分のフランス人には、ため息が出ます。

 今日、家の外から、パリ祭の航空ショーの練習のために轟音で飛んでいく飛行機の音が聞こえてきました。いつものパリ祭とは、形を変えるようですが、やはり、パリ祭は、行われるようです。革命記念日であるパリ祭は、全国民を高揚させる不思議な力を持っています。バカンス突入に加えて、パリ祭でさらにアクセルがかかりそうなフランスに、私は、大いに不安を感じています。


<関連>「フランスでコロナウィルスが広まる理由」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_19.html

 

2020年7月9日木曜日

娘の初めてのおつかい 近所のパン屋さんの超絶美味しいバゲット




 昨日、出かけたついでに、昔、よく行っていたパン屋さんの近くを通ったので、懐かしくなって、寄ってみました。そのパン屋さんは、特に有名なパン屋さんではないけれど、地元の人には、人気のパン屋さんで、特にバゲットが美味しくて、私が立ち寄ったのは、お昼どきだったこともあって、お店の外まで行列ができていました。

 外がカリッとしていて、中がふんわり、もっちりとしているバゲットは、もうそれだけで、ごちそうで、あとは、美味しいバターがあれば、十分に満足な食事になり、少しずつちぎりながら食べていると、あっという間に食べてしまうので危険です。

 大のパン好きのフランス人である主人がそのパン屋さんに行くと、大抵、バゲットを2本買って、家に着いた頃には、もうすでに一本は、なくなっているという状態です。

 フランス料理があまり好きではない娘でさえ、バゲットは、大好きで、彼女は、友達と出かけたりしても、よく、バゲットと生ハムなどを買って、ピクニックをしているようです。それが一番、安上がりで美味しい軽食だと彼女は、そのスタイルを頑なに守り通しています。

 以前とほとんど変わらない、その店先で並んでいたら、昔、娘が小さい頃に(幼稚園くらいかな?)そのパン屋さんの手前で、パパにバゲットを買って来なさいと言われて、尻込みしていた娘を思い出しました。強気なくせに、妙に内気なところもある娘は、お店で〇〇ください・・と、自分で買い物をすることがなかなかできなくて、やっと、初めて一人でお買い物ができたのが、このパン屋さんでのバゲットだったのです。

 「Une baguette pas trop cuite s'il vous plait(焼けすぎてないバゲット一本ください)」と言って買うんだよ!とパパに言われて、(フランス人は、バゲットを買う時に、その焼け具合まで注文することが少なくありません)渋々、一人でパン屋さんに入って行った娘、それでも、パンを抱えてお店を出て来た時の得意げな顔は、忘れることはできません。

 日本の人気TV番組で、「はじめてのおつかい」という番組があったと思いますが、フランスでは、幼少の子どもを一人で外出させることはないので、娘が一人でおつかいに行くことは、ありませんでした。

 娘の幼少期、娘に「はじめてのおつかい」をさせてみたかったのですが、(きっとおかしなことを言ったり、やったりしているはず)それも叶いませんでしたが、日本の小学校に短期通学させて頂いていた時は、(こちらの学校が夏休みになってすぐに日本に行って、1〜2週間、通わせて頂きました)下校時に、勝手に近所の果物屋さんなどに顔を出して、毎日、挨拶を欠かさなかったという話を後になって果物屋さんに聞いて、驚いたこともありました。

 そういえば、おつかいではありませんでしたが、色々な経験をさせたくて、パン好きのパパが、パン屋さんに頼み込んで、一日、パン屋さんで娘にパン作りをさせてもらったこともありました。また、主人は、ちょっと良さげなレストランなどに行くと、ちょっとお客さんが引けたタイミングを狙って、レストランの人に頼み込んで、娘だけ、厨房を覗かせてもらうように頼んだりもしていました。

 小さい頃は、内気だった娘に前へ前へと押し出そうとしていたパパでした。

 その甲斐あってか、娘は、今では、ちょっと偉そうなくらい堂々と振る舞う娘になりました。食いしん坊の我が家の教育の根本には、いつも、食べ物が絡んでいるのです。


<関連>「チーズとバゲットが好きすぎるフランス人の夫」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_8.html

 

2020年7月8日水曜日

マスク着用を注意したバスの運転手が暴行を受けた末に脳死状態 フランスの治安 


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 フランスの南西部、ヌーベル・アキテーヌ圏のバイヨンヌで、日曜日の夕刻、乗客の乗車時にマスク着用の注意をしたところ、20代前半の男性の4人組にバスから引き摺り下ろされ、殴打され、重傷を負い、現在、脳死状態という悲惨な事件が起こりました。

 フランスでは、現在のところ、公共交通機関を利用する場合は、マスクの着用が義務付けられていますので、運転手は、当然の注意をしたまでのことです。こんなことってあるんでしょうか? 私は、この話を聞いて、震撼としました。

 この事件以来、バイヨンヌ、アングレ、ビアリッツ及びその周辺の都市に公共交通サービス会社Chronoplus(クロノプルス)の従業員、約300人は、この事件に対して怒りを露わにし、彼らの安全が確保されるまでは、仕事をすることができないと、ストライキ状態で、地域の交通サービスは、混乱状態を引き起こしています。

 彼らは、少なくとも葬儀が行われるまでは、仕事を放棄することを決定し、水曜日には、運転手の家族と同僚の主導で、デモが行われることになっています。
 また、デモです。

 事件が起こったバイヨンヌ地区は、取り立てて危険な地域ではありません。ですから、そのような場所で、こんな悲劇が起こることは、余計に恐怖を覚えます。私は、パリに住んでいるので、パリの様子しかわかりませんが、街中では、マスクをしている人は、本当に減りましたが、さすがに公共交通機関の中でマスクをしていない人は、今のところ、見かけたことはありません。

 どのような国や地域でも、一定の割合でどうしようもない人がいることは、事実ですが、コロナウィルスの感染が犯罪の引き金になってしまうような人災は、これからもしばらくは、続くと思っていた方がよいのかもしれません。それだけ、人の心も荒れている状態なのかもしれません。

 私自身は、これまで、フランスで命の危険を感じるような場面に遭遇したことはありませんが、それでも、知り合いのガイドさんが、日本人の観光客が泊まっているホテルに迎えに行った際に、お金目当ての強盗に襲われて、亡くなってしまったり、中国人の同僚が自宅の近くで携帯電話を強奪するために、いきなり見知らぬ人に殴られたりと身近なところでは、何度か恐ろしいことが起こっています。
 
 もともと、治安がいいとは、言えない国なのです。

 しかし、そのいずれも、これまでは、金品を奪うためのもので、マスクをしていないことを注意されて・・などということではありませんでした。

 コロナウィルスは、そのウィルスそのものによる犠牲者だけでなく、感染状態が引き起こす別の形の災害も起こっているのを見せつけられた気持ちです。

 そして、事件から一週間、運転手さんは、亡くなりました。コロナ渦の中も仕事を続け、コロナウィルスの感染からは、逃れられて元気に仕事をしていた人が、人間によって、殺された事実には、やるせない気持ちにさせられます。


<関連>「コロナウィルス監禁生活でのストレスの矛先 DV・暴動」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_21.html

 


















2020年7月7日火曜日

やっぱりウンザリする10年に一度の滞在許可証の更新


フランスの滞在許可証更新のための5本指の指紋認証の機械


 10年に一度のことなので、ついつい、あの嫌な感じを10年後には、忘れているのですが、行ってみると、やっぱり嫌なのが、滞在許可証の更新手続きです。

 私は、ちょうど、今年がその10年に一度の更新の年に当たっていて、6月の半ばに有効期限が切れることになっていました。いつもは、何もしなくとも数ヶ月前に、更新手続きについてのレターが届き、必要な書類を揃えて、役所に手続きに行っていたのですが、なにせ、前回の更新手続きは、10年前のことで、なんだか、漠然と、嫌な感じだったという記憶しかなく、昨年末に友人に、「来年は、更新手続きなんだよね〜」とボヤいたら、「最近は、ネットである程度、できるようになっていて、予約を取って、決められた日に書類を揃えて持って行くだけで済むようになったから、随分、楽になったよ!」と言われて、10年の間にフランスも少しは、進化したんだな・・と思っていました。

 ところが、今年に入って、そろそろ、お役所から書類が届くかな?と思っていたところに、まさかのロックダウン。ロックダウンになったのは、3月だったので、6月までは、まだあるから・・と、嫌な宿題を後回しにするような感じで、しばらく、知らん顔をしていたのですが、5月にロックダウンが解除になった頃から、まだ書類が来ないのは、おかしい・・とサイトを調べて見てみると、私の滞在許可証のちょうど前日の日付のものまでは、自動的に数ヶ月は延長になるので、サイトで手続きしてくださいと書いてあり、一日ずれている私は、どうすんのよ!と思って、電話をしたところ、サイトを見てくださいと一言だけ言われて、(書いてないことを聞きたいから電話してんだろ〜が!!と思ったけど・・)ガチャンと電話を切られ、たまたま、悪い人に当たってしまったのかもしれない・・と別の日に再び電話をしても、やはり同じ対応で、途方に暮れて、仕方なく役所宛に事情を説明するメールを送ったのです。

 すると、しばらくして、今は、手続きが滞っているから、そのうちレターが届くまで、そのままで良いですとの回答で、なんとも落ち着かない状態が続いていましたが、それから一週間くらいして、更新手続きの呼び出し状が届きました。

 そして、必要な書類を揃えて、呼び出し状にあった日時に、いよいよ10年振りの更新手続きに行ってきたのです。普段は、まるっきり用事がないので、場所さえもうろ覚えで私は、早めに家を出たのでした。

 今回は、日時に加えて窓口まで指定してあったので、少しはましになったのかも・・と思いきや、やはり、外にまで行列ができていて、時間や窓口まで指定されているのに、何の行列なのか?意味がわからず、入り口にいる人に聞いても、「あなたは、時間より早いから、まだ待ってて!」というだけで、そのうち、また中から出てきた女性が、ガナリ立てるように呼び出し状を回収に回り始め、全員、ちゃんと並べと威張り出し、また、横入りする人までが表れ、それを統制しようと声を張り上げるのでした。

 あ〜〜これだった・・この嫌な感じ・・説明がない上に、予定どおりでもない感じ、人種差別とは言いたくありませんが、外国人に対して、どこか威圧的な態度に出るこの種の職種の人たちを10年振りに思い出した気がしました。

 ようやく中に入れてもらえたのは、指定の時間をすでに過ぎた時間、しかも指定されてあった窓口は、閉められています。それから、一時間近く待たされたところで、隣に座っていた女性に「あなたの時間は、何時?」と聞かれたので、11時と答え、「あなたは?」と聞き返すと、なんと、「9時」というのを聞いて、私は、気が遠くなる気分でした。その時点ですでに12時近く、彼女は3時間も待っているのです。

 黙っていてはいつになることやら・・と、一体、どうなっているのか、聞きに行くと、「順番ですから・・」と言われたものの、まもなく私の名前が呼ばれ、手続きにこぎつけたのです。フランスでは、何事も、黙っておとなしくしては、泣きを見るのです。

 実際に手続きに当たってくれた人は、比較的、穏やかな人で、わりとすんなりと手続きは進みましたが、両手5本指の指紋を取られたのには、びっくりしました。(以前は、確か、指一本だった気がします)そして、指紋認証の機械のそばには、アルコールジェルもなく、消毒されることもなく、私は、終わった後に慌ててトイレに行って、手を洗ったのでした。

 そして、もう一つびっくりしたのが、とりあえず、正式なカードを受け取れるまでの申請中に携帯しておく仮のカードの期限が2021年の1月5日までになっていたことで、書類を受け取ってから、カードを発行するのに、そんなにかかるの??と、驚いたのです。

 カードが出来上がったら、SNSで連絡しますからと言われつつ、なにせ、3月から7月分の滞在許可証の発行が滞っているのですから、時間がかかることは、覚悟しなくてはなりません。

 今回は、コロナウィルスのロックダウンのために、通常ではない混乱状態の時期に当たってしまったことは、ありますが、それにしても、この滞在許可証を発行する役所の異様な雰囲気に、思わず、日本に帰れば、こんな嫌な思いもしないのにな・・と思ってしまった一日でした。

 それにしても、弱い者には、やたらと威圧的に出るわりには、縁故やお友達にはやたらと優しいこの手の人たち、これほどあからさまではないにしても、日本にも、この手の人は、いるのですが・・やっぱり、これほど酷くはありませんね。


<関連>「日本人は、黙って我慢すると思われている」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/02/blog-post_4.html

2020年7月6日月曜日

同い年の小池百合子都知事と仏大統領夫人のブリジット・マクロン 注目される二人の違い


Brigitte et Emmanuel Macron, un couple présidentiel


 東京都知事に小池百合子氏が再選されて、そのニュースを見ていたら、彼女のプロフィールが改めて、公開されていて、「67歳」とあったのを見て、「ブリジット・マクロンと同い年なんだ!」と私は、妙な感想を持ちました。

 東京都知事とフランスのファーストレディーという、国も立場も違う二人ですが、どちらも、それなりに世界的にも注目される二人が同い年ということに、なんだか妙な驚きを覚えたのです。調べてみると、正確に言えば、もう少しすると東京都知事の方が一つ年上になりますが、その年代の女性が堂々と世に出て活躍されていることは、同じ女性として、嬉しいことです。

 私は、フランスにいるので、どちらかというと、ブリジット・マクロンの方がテレビや雑誌などでも見かける機会が多く、目にする機会も多いのです。そうでなければ、小池百合子67歳・・と聞いて、ブリジット・マクロンと一緒だ!とは、思いません。

 ブリジット・マクロンは、マカロンで有名な老舗のショコラティエのブルジョアの家に生まれ育ち、21歳の時に一度目の結婚をして、3人の子供をもうけ、当時、彼女が教師として勤務していた高校で、15歳のマクロン少年と出会い、なんとマクロン少年は、17歳で当時、既婚者であった彼女にプロポーズ。(彼女は、当時42歳)

 当時の高校でスキャンダルになり、マクロンは、パリのさらに優秀な高校へ転校しますが、なんと、彼女もその後、パリに転職しています。それから間も無く、彼女の離婚が成立した翌年に、彼女は、マクロンと結婚しました。

 マクロンの政界進出とともに、25歳の年齢差のカップル、しかも、二人が出会った当初は、彼女は既婚者であったというスキャンダラスな取り上げられ方をしましたが、そこあは、フランス、必ずしも致命的なスキャンダルとはならず、むしろ、ブリジット・マクロンは、「ブリジット・マニア」「フェノメノン・ブリジット」などと、好意的な印象を持たれるようになりました。
 今では、マクロン大統領以上に好感度が高いかもしれません。

 ファーストレディーということから、そのファッションなども頻繁に注目され、つい先日の統一地方選挙の投票に向かう際に彼女が持っていたバッグは、2710ユーロのルイ・ヴィトンのインペリアルサフランのショルダーバッグだった・・などと書かれていました。

 彼女のファッションは、全体的にシンプルで控えめですが、シンプルながらも、どこかに必ずエスプリが効いていて、何よりも67歳という年齢を感じさせない圧倒的なスタイルをキープしており、膝上丈のワンピースやスカートが多く、あくまでも自分のファッションスタイルを貫いているように見えます。(彼女は、ルイ・ヴィトンがお好み?のようで、ワンピースやバッグもルイ・ヴィトンのものが多いです)

 しかし、彼女のファッションは、決して派手すぎることはなく、彼女自身が自分のことを「私は、ファーストでもなければ、ラストでもない、私は、私。」「夫婦で一つだとしても、ハッキリしていることは国民が選んだのは、夫であって、私ではない。」と言っていることが、彼女のファッションや立ち振る舞いにも表れているような気がするのです。

 彼女の恋愛・結婚は、なかなかなドラマチックなものにも関わらず、彼女自身が絶世の美女というわけでもなく、ギラギラした感じもなく、しかし、静かに自分を貫いていることに多くの国民が共感するのは、彼女の知性と、自由さと、控えめに振る舞いながらも情熱的で、マクロン大統領が大統領選で勝利した際には、「ブリジット、あなたなしで今の私はいない」と言わしめた彼女の女としての、そして人間としてのチカラに違いありません。

 立場も違いますが、東京都知事もブリジット・マクロンのように、愛を貫くパートナーがいたら、もう少し、好感度も上がるかもしれない・・などと、同い年の二人を見て、下世話なことを思ったのでした。



<関連>「美しく歳を重ねるフランス人のマダム」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_52.html
 






 

 








2020年7月5日日曜日

夏のバカンスに突入するフランス TGV予約状況は、ほぼ例年どおり


La SNCF attend 800.000 voyageurs dans les trains pour ce premier weekend de départs en vacances


 昨日、買い物に行ったら、魚売り場のコーナーにいるおばさん(お姉さん?)に、「Bon Vacance !」(ボン・バカンス!)と声をかけていた人がいたので、「どこに行くの?」と尋ねたら、「モンペリエ!」となんの躊躇いもなく、満面の笑みで、答えてくれました。

 「この迷いのなさは、やっぱり凄いな・・フランス人・・」と思う私は、やはり、フランスでは少数派なようで、この週末からフランスは、やっと再開された学校も年度末を迎えて、夏休みに突入し、早々に80万人の人がバカンスに出発します。

 それでも、今のところは、海外旅行は、二の足を踏んでいる人がいる分、国内でのバカンスに出る人が多いのか、SNCF(フランス国鉄)は、バカンス突入の最初の週末でのTGV(新幹線)の座席のほぼ、8割型埋まっているとのことで、コロナウィルス感染の影響で、予約は、減っていると思いきや、ロックダウン中に予約を躊躇っていた人が一気に予約を始め、現在、予約のペースは、非常に好調で、昨年の同時期とほぼ同じ状況なのだそうです。

 TGVの低価格のウィチケットの販売数は、急激な予約の増加により、歴史的な記録を塗り替えたと言います。

 フランスは、14日が革命記念日(パリ祭)で祝日のため、7月にバカンスを取らない人でも来週末は、月曜日の一日を休めば、ちょっと長めの週末になるため、150万人の旅行者が見込まれています。

 フランス人にとって、夏のバカンスは、一年のハイライトでもあり、多くの人が一ヶ月近いバカンスに出かけます。多くの会社が○千人解雇、失業者が溢れている状態でもバカンスに出るフランス人。フランスでは、失業者にもバカンスが認められており、バカンスに出かけている間も失業保険は支給されます。

 ロックダウン中に仕事をできなかったり、学校へ行けなかったのだから、その分、夏のバカンスを削って、補習をしたり、仕事をしてもいいのでは?とも思いますが、そんなことは、フランス人にとっては、ありえないことで、ロックダウンの宣言とともに、夏のバカンスは、予定どおりの日程で・・と、追加の項目があったほどです。

 そんな中、スペイン北東部、カタルーニャ地方のリェイダ市周辺の人口約20万人の地域は、感染拡大のため、再びロックダウンの措置が取られたというニュースが入ってきました。ヨーロッパの中では、一番最初にロックダウン解除を始めたスペインのこの状況がフランスに遅れて起こらないとは言えません。

 最もバカンスに出る人が多い、バカンスの本番は、8月ですが、その頃に、フランスは、どうなっているのでしょうか?



<関連>「二週間しか行かないの? フランス人のバカンス感覚」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/12/blog-post_25.html









2020年7月4日土曜日

フランス内閣総辞職 フィリップ首相の退任 引き際の美学


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新任のジャン・カステックス氏を迎えるエドワール・フィリップ元首相


 フランスは、7月3日、エドワール・フィリップ首相率いる内閣総辞職を発表しました。フィリップ首相の後任として、官僚出身のジャン・カステックス氏が新首相として任命されました。

 フィリップ首相は、2017年、マクロン大統領就任時より、黄色いベスト運動や、コロナウィルスのパンデミックなどの危機的状況の対応に、国の屋台骨として当たってきており、特に、今回のコロナウィルス対応に関しては、より厳しい状況に陥ってきた段階からは、マクロン大統領は、登場しなくなり、フィリップ首相が矢面に立ち、苦しい状況の中でも、真摯に対応してきた結果、最近の世論調査では、マクロン大統領の支持率が35%なのに比べてフィリップ首相の支持率は43%で、彼の支持率の方がかなり高いことが報道されていました。

 ロックダウン解除には、消極的で慎重であったフィリップ首相は、経済回復を急いでいたマクロン大統領との間に確執があったとも言われていますが、実際にその段階では、国民も学校再開には、疑念を持っている中で、国会での質疑応答で、「あなたの子供も学校へ行かせるのですか?」などと、詰め寄られ、苦しそうに、しかし、誠実に回答していたのが、とても印象的でした。

 言わば、あくまでマクロン大統領は、上から一方的な声明の発表の仕方で、困難な状況には、彼が前に押し出されて、直に説明するという苦しい立場に立たされてきました。しかし、そんな彼の態度が逆に国民には、評価されるという、マクロン大統領にとっては、皮肉な結果となっていました。

 先週末の統一地方選挙で、フィリップ首相は、ル・アーブル市長選に勝利しており、首相を辞任することは、決まっていたわけで、今回の首相交代については、彼の覚悟の上の決断であったのです。

 新首相を迎えるフィリップ首相は、むしろこれまで以上に頼もしさを感じられる悠然としたにこやかで晴れやかな表情で、彼の退任の挨拶には、さらに賞賛の声も上がり、彼の退任を惜しむ声も多く聞かれます。

 マクロン大統領は、2年後に控える大統領選の再選に向けて、内閣を一新して、まき直しにかかったとも言われていますが、コロナウィルスの感染も続いている中、経済も停滞し、毎週のようにおこるデモやストライキから、国民が混乱状態であることは、明らかな中、これを機に国の気運を一新することも必要なのかもしれません。

 しかしながら、国民に支持されているフィリップ首相を失うことは、リスクでもあり、(57%の国民が彼の首相継続を望んでいました)、新首相カステック氏がどのような人なのかは、現時点では、多くのフランス人もあまりよく知らない状況で、カステック氏の手腕が注目されています。

 今の段階では、彼がかなりのエリートであることは、わかっていますが、ちょっと見には、キツい南仏訛りのフランス語にどこか冴えないスーツ姿、彼が首相となって、これから洗練されていくのを見届けるのも楽しいかもしれません。

 それにしても、フィリップ首相の引き際?は、なかなか見事でした。もしかしたら、ル・アーブル市長に就任して、2年後には、大統領選挙に立候補するのでは?という声もありますが、ひとまず、現段階での首相退任に際して、特にここ数ヶ月間の彼の発言などを振り返ってみると、なかなか人間味の感じられる人であったと、そして、首相としての引き際もなかなか見事なものであったと、改めて、私も世論と同じように、彼の人間味あるところを好意的に感じています。

 引き際というのは、難しいものですが、やはり、なかなか大事なものだと彼の退任を見て、改めて思い知らされた気持ちです。

 しかし、もしかしたら、彼が2年後の大統領選に立候補すると考えるならば、これは、彼の新たなスタートであったのかもしれません。


<関連>「5月11日のロックダウン解除についてのフィリップ首相の演説 弱者が滅び、強者が生き残る社会」