パリには、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーをはじめとするセクシュアルマイノリティの総称)の人が多いような気がします。
もしかしたら、特に多いわけではないのかもしれませんが、そのことを隠さずに堂々と生きている人が多いので、LGBTの人が住みやすく、日本人でもパリの方が居心地が良いのかもしれません。
実際に、同性で婚姻関係を結んでいるカップルも、いくつか知っています。
そんな中でも、私が多く知っているのは、もっぱら、ゲイの人が多いのですが、皆、とても、インテリで、礼儀正しく、おしゃれで、レベルの高い暮らしをしています。
ですから、仕事の関係で、ご一緒することがあったりしても、とても、頭の回転もよく、気働きもよく、博学なので、話をしていても、とても興味深く、大変、勉強になります。
いわゆる女装などをしているわけではないので、ちょっと見には、わかりませんが、少し、話していると、だいたい、すぐにわかります。(本人も隠していないので・・)
その中でも、私が知るゲイの人の中に、強烈な印象のとても、おもしろい、日本人のおじいさんがいました。
私が勤めていた会社の役員の人と知り合いで、自宅には、ファックスを置いていないからと、ファックスの受信や送信をうちの会社でやったりして、事務所がわりのようにしていましたので、彼宛にファックスが届いたりすると連絡してあげたりしていました。
彼は、80も過ぎていたと思うのですが、とても元気で、饒舌で、いつもエネルギーに満ち溢れ、非常に博識で、ブローカーのような仕事をしていたのか、交友関係もとても広く、芦田淳やジョエルロブションとは、特に親しい様子で、よく、彼らの話を聞かせてくれました。
ロブションのところで、食事をしたりしても、決して、バスやメトロには乗らずに、健康のためと、必ず、歩いてやってくるのです。
また、フランスやイギリス、アメリカの財界人、日本の芸能人などにも知り合いが多く、普通の人は、とても足を踏み入れる機会がないような、晩餐会のメニューやミシュランなどにもきっちり意見をする人で、その常に前向きな姿勢には、度々、舌を巻きました。
古い時代の人ですから、パソコンなどは、一切、使わない代わりに、驚くほどに筆まめで、また達筆で、日本語はもちろん、英語やフランス語の手紙なども、美しい文章と美しい文字で綴り、よく、彼の書く手紙をコピーさせてもらって勉強させていただきました。
多方面にわたる手紙を全て、保管し、また、驚くほど、記憶しているので、以前の記憶から、保管していた手紙や写真をすぐに引き出してくることができるのにも、感心させられるばかりでした。
おしゃれにも行き届いた人で、その日の服装に合わせた靴はもちろん、靴下から、時計や一緒に持つ紙袋まで、しっかりとコーディネートされていました。
また、地方に住む現在の恋人との逢瀬も欠かすことなく、定期的に彼の元へと訪れていました。
今となっては、芦田淳もジョエルロブションも亡くなってしまいましたが、彼は、きっと元気に、今日もパリの街を歩いていることと思います。