2019年7月7日日曜日

おたくのお嬢さんが刺されそうになりました!?・・バカンス中のサマーキャンプでの話




 フランスの学校は、とにかく、お休みが多いです。

 夏は、2ヶ月強、11月には、トゥーサンといって、いわゆるハロウィンの期間に2週間、ノエル(クリスマス)に2週間、冬休みに2週間、そして、4月にイースターのお休み2週間、プラス、学校のある時でも、水、土、日は、お休みです。

 学校に入った当初は、あまりにも、お休みが多いので、数えてみたら、一年の三分の一はお休みになっていることがわかり、唖然としました。

 小さい時から、休みグセがこうやってついていくから、フランス人は働かなくなるんだ・・なんて、思ったりもしました。(これは、私の勝手な見解です。もちろん、すごーく働いているフランス人もいます。)

 とにかく、常に子供のおやすみとバカンスに追い立てられている気分で、それでも、せっかくの空いた時間は出来るだけ有効に使えるようにと頭を悩ませたものでした。

 特に、夏休みは長く、多くのフランス人の家庭は、2ヶ月のうち、3週間から4週間は家族で過ごし、あとは、Centre de loisir (サントロドロワジル)(休みの間に子供を預かってくれて、様々なアクティビティを体験させてくれます。)に預けるか、一ヶ月近くのコロニー(サマーキャンプのようなもの)に子供を行かせています。

 我が家も夏休みは仕事の都合で、お休みが取りづらかった私は、フランスの学校がお休みになってすぐに日本へ連れて行って、日本の小学校に通わせるか、もっぱら、娘をコロニーに行かせていました。

 夏休みのバカンスの予約は、3月頃に始まります。(バカンスの用意だけは、早いフランスです。)コロニーは色々なところが主催しているものがありますが、主人が公務員だった関係で、財務省主催のコロニーに援助があることもあり、毎年、参加させてもらっていました。公務員天国と言われるフランスの美味しい部分を享受させて頂いた次第です。

 娘はスポーツがとても好きなので、夏、冬、春のコロニーで、随分とたくさんのスポーツを体験させてもらいました。ダイビング、サーフィン、カヌー、カニオニング(紐なしバンジージャンプのようなもの)、スキー、乗馬などなど。親にはとても付き合いきれないようなスポーツもたくさんありました。このコロニーのおかげで、娘は、本当に沢山の場所を旅をしてきました。

 また、フランスの全土にいる財務省関係者の子供たちが集まってくるため、日頃は狭い世界で暮らして、限られた友達としか付き合いがない娘も色々な人がいることを学んだようです。

 そんな中、中学に入ったばかりくらいの頃だったでしょうか? ある夏のコロニーに出かけている最中に、私の仕事場に直でコロニーのディレクトリス(責任者)から、電話が入りました。”あの、落ち着いて聞いてください。大丈夫なんですが・・本当に、大丈夫なんですが・・ある女の子におたくのお嬢さんが刺されそうになりまして・・” という一報に、私は、耳を疑いました。

 どうやら、同室、4人部屋の女の子の中で、夜、部屋の電気をつけて寝るか、消して寝るかで、口論となり、その中の一人が持っていた小さいナイフを取り出して、襲いかかろうとしたとか・・。責任者の女性は、この件が、娘や他から私の耳に入る前に、先手を打って、いち早く私に連絡を入れてきたと思われるのですが、この話を聞いて、慌てて、財務省にいる知り合いの人に頼んで、手を打ってもらいました。

 だいたい、子供がナイフを持って、旅行に来ていること自体も異常だし、それを取り出して、人に襲いかかるというのも、ちょっと普通では考えられないことです。

 幸い、大事には至らず、その後も無事に旅行は続き、案外、娘の方は、ケロっとして、”ちょっと、いじけてる子がいただけだよ・・。”と言っていましたが、”感情のコントロールができない人もいるのだから、そういう人は、刺激しないようにしないと・・" と諭したのでした。

 日頃は、私立のかなり、厳しい学校で育った子供たちだけの中にいる娘も、社会に出れば、色々な人と付き合わなければなりません。そんな経験も良い教訓となったのではないかと思うことにしました。

 しかし、まあ、子育てって、本当にいろんなことが起こるものです。 













 
 

2019年7月6日土曜日

日仏カップルの離婚と親権問題について




 離婚は結婚の何倍も大変です。
 ましてや、子供がいて、しかも、国際結婚の場合は、なおさらのことです。

 最近も、日仏カップルの離婚で、離婚した日本人の母親が子供を日本に連れ去り、父親に会わせないという事例がフランスで騒がれ、カメラを連れたフランス人の父親が日本の子供に会いに行く様子が報道され、物議を醸しており、ついには、マクロン大統領まで、元夫側を支持する声明を発表する大騒動となっています。

フランスで放映された「日本・誘拐された子供たち」
https://www.youtube.com/watch?v=MJVKHztFQUc&t=4s

 このドキュメント番組の放送では、一方的に男性側だけの主張を報道しており、母親側の言い分は一切、入っていないので、この番組の情報のみでは、実際の離婚の事情や、なぜ、子供を父親から遠ざけるのかは、わかりません。

 日本では、離婚の際、単独親権(片方の親が親権を持つ)が採用されていますが、フランスなど多くの国は、離婚後も共同親権(両親が共に親権を持つ)が一般的です。

 共同親権を認めているフランスでは、片方の親が一方的に子供を連れだし、もう片方の親が子供に会えない状態は誘拐と考えます。そして、子供が親に会う権利が優先されていて、子供は双方の親が責任を持つとの考え方から、離婚した後であっても子供は両親のもとを互いに行き来することができます。

 双方の国の異なる法律の間に入り、問題を解決するために定められたハーグ条約というものがあります。これは、国境を越えた子供の不法な連れ去りや留置を巡る紛争に対応する国際的な枠組みとして、親子の面会交流の実現のための締約国間の協力等に定めた条約です。
 フランスは元より、日本もこれに同意しています。

 しかし、問題は、法律以前のことで、この父親が常軌を逸して、強引に子供に会いに行って、泣いたり、騒いだりして、子供を怖がらせていることです。自分が子供に会いたいという自分の感情が、先に立ち、そのような振る舞いに子供が何を感じるかを全く考えていないことです。そして、それをただ、拒絶しているこの母親にも私は、納得がいきません。

 国際結婚をして、不幸にも離婚という結果になったけれども、同時に、二人は子供の親であり、もし、父親がDVなどの問題のある人物だったとしても、(いや、そうだったら、なおさらのこと)父親をあんなに興奮させずに、なんとか、弁護士をたててでも、話し合いをし、何らかの解決策を講ずる手立てはあるはずです。

 この夫婦は、周りの多くの人を巻き込んで、迷惑をかけていますが、一番、傷ついているのは、子供であることには、間違いありません。二人で子供を持った以上、子供にとって、何が良いのかを、たとえ、面と向かってではなくても、きちんと話し合って、解決する責任があると思うのです。自分たちではなく、子供のためのことを考える責任です。

 一番、深く傷ついているのは、子供です。





2019年7月5日金曜日

夏にバカンスで閉めるフランスのプールとラーメンを出さないラーメン屋





 私がパリに来たばかりの頃は、ラーメン屋と言えば、パリにも数件しかなく、いわゆる日本人街と言われた、パリ、オペラ界隈にある、Rue Ste.Anne (サンタンヌ通り)を中心に(それは、現在でも変わりませんが)、ひぐま、サッポロラーメン、北海道などのラーメン屋さんがあったくらいでした。

 ところが、昨今の日本食ブームに乗って、日本のラーメン屋さんは、現在では、倍以上に膨れ上がり、今やパリには、一体、どんだけあるの? っていうくらい、ラーメン屋さんがあるのです。

 しかも、こと、サンタンヌ通りに関して言えば、お昼や夕食時には、大行列の大人気。値段は、日本のラーメンに比べれば、数段高く、日本円に換算すると、まず千円以内で食べれるラーメンはないでしょう。それでも、パリでの他の外食と比べたら、安いということでも人気があることもあるのでしょうが、まあ、とにかく日本ブーム、日本食ブームに火がついている状態と言って良いでしょう。

 しかし、今年のパリは、猛暑で、ラーメン屋ながら、暑くてラーメンを出さないラーメン屋が登場しました。(他の丼物などのみの営業となっていました。)これには、びっくりでした。う〜ん!さすがだ!フランス!

 けれど、これに似たようなことが、他にもあるのです。

 それは、うちの近くの市営プールです。なんと、夏にバカンスで閉めてしまうのです。
 夏に閉めてしまうプールって考えられますか? これにも、さすが、フランス! プールの職員もきっちりバカンスを取るんだ!と呆れたものでした。

 バカンスとなると、さすが、フランス人、徹底しています。
 きっちり、夏のバカンスは取るんです。たとえ、それがプールであっても・・。
(もちろん、パリのプールが全部、閉まるわけではありませんが。)

 このプール、現在は、夏の間どころか、改装のため2年くらい前からクローズされていて、最近、やっと、工事が開始された模様です。(工事が開始されるまでに2年かかるのです。)完成予定は、2021年となっていますが、さて、どうなることやら・・。
 
 期日どおりに工事が終わるというのも俄かに信じ難いのがパリの実情。パリに住んでいらっしゃる方なら、わかっていただけるのではないかな?と思います。

 そして、夏休みの間、学生である娘は、家庭教師のアルバイトをしたいところなのですが・・これまた、アルバイトの口はありません。なぜなら、フランス人は夏休みの間は、勉強しないからです。これにもビックリです。

 日本であれば、受験生にとったら、夏休み、冬休みなどは、それぞれ夏期講習などがあったりして、集中して勉強する期間です。しかし、フランスの学生は、夏休みは勉強しないのです。これだけ徹底して、バカンスを満喫するフランス人。

 改めて、そのバカンスにかける情熱の徹底ぶりには、感心させられるばかりです。

 



















2019年7月4日木曜日

ハーフだって楽じゃない・・・ハーフの子



 最近、着物屋さんの広告で、「ハーフの子を産みたい方に・・」というコピーが炎上していましたが、そもそも、「ハーフ」というのは、どういう位置付けをされているのだろうかと考えてしまいました。うちにも、一人、ハーフがいますので・・。

 このコピーの是非をどうこう言うつもりはありませんが、まあ、私、個人的には、大騒ぎしすぎじゃない??と思います。

 しかし、このような広告を打つからには、もともと、広告主は、ハーフの子をプラスに考えてのことだったと思うのですが、ハーフだって、いいことばかりじゃありません。

 だいたい、必ずしも、美男美女というわけでもありませんし、バイリンガルになるのだって、簡単なことではありません。まあ、実際には、生活する国、場所の方に大きく偏るのが普通だと思うのですが・・。

 そして、両親のバラバラの文化の不均衡を埋めながら、育ちます。

 私は、フランスに住んでいるので、日仏ハーフの子供(フランスでは、なぜか franco-japonais フランコ・ジャポネと言います。)
(なぜ、双方の呼び方が自国を先に持ってきた言い方なのかは、不明です。)の話になってしまいますが、実際にフランスに住んでいる日仏ハーフの場合、多分、日本語を捨てて、フランス語で生活している子の方が多いでしょう。

 多少の日本語ができる場合は、まあまあ、あるでしょうが、読み書きとまでいくと、かなり、割合はグンと下がると思います。実際、娘も小学生の頃は、公文に通わせていて、小さい時は、かなりの人数の子供が来ていましたが、学年が上がるにつれて、みるみる減っていきました。

 やはり、学年が上がるにつれて、本業!?の学校の勉強が大変になっていくので、そちらが優先ということになるのでしょう。

 娘は、一時、別の理由で、日本語の勉強は、中断したこともありましたが、また、バカロレアのオプションの科目を日本語で取ることにしてから、しばらく、別の日本語の学校にかなり集中して通いました。

 また、バイリンガルになったとしても、母国語というものは、そのどちらか一つに重心をおいた形が理想だといいます。
 言葉というのは、単なるツールだけではなく、その背景には、その国の文化や習慣を纏ったものだからです。
 ですから、どちらかが、しっかりしていないと、その子のアイデンティティーがぐらついてしまいます。

 実際に、小さい頃の娘がよく言っていました。それは、日本に行っても、外人、フランスにいても外人と言われることです。”日本でも外人、フランスでも外人”って、一体、私は、なに人なの?と娘はよく、ボヤいていました。

 つまり、日本人は、”ハーフ” と呼びながらも、実際には、ハーフは、外人扱いなのです。それでも、フランスでは、元々が、純粋なフランス人の方が少ないくらいの多民族国家なので、外人扱いは、日本ほどではなかったようですが・・。

 そんな、娘のボヤキに対して、私は、”両方だよ。あなたは、あなたなんだから、なに人かということは、そんなに気にしなくてもいいんじゃない!?と言葉を濁していました。

 普通は、小さい頃は、自分がなに人かなんて、あまり考えません。いや、小さい子供ではなくとも、日本にだけ住んでいれば、あまり、自分が日本人であることを意識せずに暮らしています。
 しかし、そう考えていくことは、決して悪いことではないと思うのです。それぞれの国を彼女なりの視点で見つめて育つわけですから、それぞれの国の良いところ、悪いところを案外、冷静に見ています。

 ”フランスは、これだからダメなんだ!・・” とか、" 日本はスゴい国だけど、相当、歪んでいるところもあるね・・" とか、両方の国を俯瞰して見ているようなところがあります。

 もう、大きくなって、そうやって、偉そうに話している娘を見ると、こちらの方が、あなたは、なに人なの?と言いたくなるくらいです。

ハーフ 

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2019年7月3日水曜日

学校選びは人生の岐路 娘の通ったフランスの学校はなかなか厳しい学校だった




 娘が通っていたのは、私たちの住んでいる地域にあるカトリック系の学校で、私立の幼稚園から高校までの一貫教育の学校でした。娘は、小学校から高校まで、その学校にお世話になりました。私立といっても日本のように入学金などなく、ことのほかお金がすごくかかるということもありませんでした。

 以前にも書きましたが、たまたま私の職場の近くにあった学校の、あまりのレベルの低さ、生徒の態度の悪さに、学校選びは、ちゃんとしないと大変なことになるという危機感を持ち、地域の私立の学校を当たってみたのです。

 最初に学校に様子を見に行った時に、もう、生徒の顔つきが全然、違うので、一目で、この学校なら、大丈夫だと思いました。顔つき、って、凄いですね。良きにつけ悪しきにつけ、子供でも、生き様は如実に顔に表れています。

 さて、実際に学校に入ってみると、かなり、厳しい学校でした。

 小学校の面接の際に、ディレクトリス(校長先生)にあっけらかんとして、”ボンジュール!”と無邪気に挨拶した娘に、キリッとまっすぐ娘の目を見て、「”ボンジュール、マダム” と言うのですよ。」と毅然として、おっしゃった校長先生の姿勢が教育にも見事に反映されていました。

 小学生の時から、先生に反抗するようなことがあると、Baisse les yeux ! (目を伏せなさい)と怒られます。これを聞いて、軍隊みたいだ・・と思ったものです。・・が、しかし、このフランスの状況で、一定の年代には、ある程度、先生が毅然として、絶対的に強い姿勢でいることは、必要なのかもしれないとも思うのでした。(実際に強いといっても手をあげたりするわけではありませんから。)
 
 授業の進み方も他校と比べると随分、早かったようですし、日常生活の態度などについても、かなり厳しい学校でした。(娘の学校しか知らなかった私は、これがフランスの学校なのだと思っていたのですが、かなり例外的だったようです。)

 また、中学校からは、成績にも、Vie Scolaire という評価 (生活態度に対する点数)があり、満点だと20点ですが、生活態度が悪かったり、遅刻やおしゃべり、忘れ物などが多かったりすると、20点からどんどん、マイナスされていき、それは、成績の総合点に反映されます。

 しかし、この点数によって、落第したり、退学になったりということは、ないものの、態度が悪い生徒は、結果としては、成績も下がり、そのような道を歩むことになる子供もいたこともあるそうですが、結局、学校全体が真面目に取り組むような空気になっていたようです。

 小学校から中学校に上がっていき、そして中学校から高校に上がるにしたがって、知らない間に、いなくなっている生徒さんも、ああ、そういえば、あの子もいなくなってる・・という感じで、ポツポツと思い当たりました。多くは、授業についていけなくなって、転校を進められて、転校して行ったようでした。

 そして、中学から高校へと上がるにつれて、ますます、進学校の色が濃くなっていきました。
 
 バカロレアのための3時間テスト、4時間テスト(バカロレア=高校卒業資格試験のようなもので、約1週間近く、一科目につき、3時間から4時間のテストが続きます。)のための練習のテストの時間が毎週、設けられ、テストの度に、自分の点数と平均点がネットを通じて、発表され、休み時間になると、皆、携帯で点数をチェックして、点数が、0.1上がったとか、下がったとか、戦々恐々としていたそうです。
 フランスでも、そんなこと、やってるんだーと思っていましたが、娘などは、その学校側の煽りに見事に乗せられて、一喜一憂していました。

 また、クラスの成績の順位などにも、親の方もかなり敏感で、順位は公表されてはいないものの、PTAのクラスの代表の人には、知らされているため、自然と(?)漏れ聞こえてくるようで、”おたくは今回も順位がよくて、良かったわね・・”などと、他のお母さんから娘の成績の順位を聞いたりすることもあり、”なんだかなあ〜” と微妙な気持ちになったものです。

 私自身は、人と比べることは嫌いだし、子供のためにも良くないと思っているので、全く煽られることはありませんでしたが、けっこう、親の方も他人の子供の成績に、躍起になっているんだなあ〜と、敢えて、ますます、煽られまいと思ったくらいです。

 また、年に一度、新年度の始まりに行われる、クラス毎の父兄への説明懇談会のような場での、周りの親の熱心さにも、ビックリしたものです。

 自分の子供の苦手科目について、効果的、かつ合理的に勉強させられるサイトのようなものは、ないでしょうか?とか、体力的に長時間のテストに緊張感が続かないのですが、どう対策をしたら良いでしょうか?とか、凄く、前のめりで、中には、両親揃って来ている家庭もあって、親がこんなに一生懸命なんだ!とビックリした覚えがあります。

 逆に、高校生にもなって、親にこんなに必死になられたら、子供の方もプレッシャーだろうし、逆に萎えてしまいそうな気さえしてしまう、と、私は、なんとなく、斜にかまえているようなところがありました。

 また、先生の中でも、本当に教師という仕事をこれだけ、真剣に、かつ、計画的に、モチベーションを持ってやっておられるのは、素晴らしいなあと思える先生のお話を聞いて、何度か関心、いや感動した覚えがあります。やはり、良い先生との出会いも、子供の人生に大きなものをもたらしてくれます。

 私には、フランスの学校に関する知識はなかったので、これまで、フランスの学校というのは、こういうものだと思っていたのです。フランスの教育は、素晴らしいなあ・・と。しかし、現実の社会を見ると、その結果が・・これ!? どうして?と長い間、疑問だったのです。

 でも、娘の行っていた学校はあまり一般的な学校ではなかったようです。

 学校の教育への姿勢も、それに集まる親の教育に対する姿勢も全然、違います。

「朱に交われば赤くなる」とか、「水は低い方に流れる」とか言いますが、子供の学校環境の違いは、本当に大きいのです。これが、フランスの社会の格差なのだ。と今になって納得がいく思いです。

 家から比較的近い私立の学校はその学校だけで、それほど熟考して決めた学校ではありませんでしたが、結果的にとても良い学校で、娘がもし、他の学校に行っていたら、娘の人生はまるっきり違ったものになっていたことでしょう。

 学校の選択は、人生の岐路と言っても、過言ではありません。


フランスでの学校選び





2019年7月2日火曜日

フランスでの児童保護、親権などに関する怖い話



 フランスでは、離婚率が高く、その分、間に入った子供たちが両親の間を行ったり、来たりしているケースがとても多いです。ただ、日本と違って、親権がどちらかだけと決められてしまうとは、限らないので、どちらかに偏るケースは少ないかもしれません。

 しかしながら、問題がない訳ではありません。やはり、メインにどちらと暮らすかで揉めることは少なくなく、そのため、学校の送り迎え等の機を使って、夫婦間で、子供の連れ去りのケースなどもあるため、学校側もお迎えの際には、誰が迎えに来た場合に子供を渡すのかを明確に届けることを義務付けています。

 また、児童保護に関しても、度々、通報などの措置が取られ、実際に必要な場合があるから、そのような措置が取られているのですが、単なる、嫌がらせで通報したりする場合(うちの場合も何に対する嫉妬をされて、そんな嫌がらせを受けたのかわかりませんが、両親が揃って、普通に育てているのに、あの家は、子供を学校に通わせていないなどの通報をされて、呼び出しを受けたことがありました。そんな嘘の通報をしても、学校に問い合わせれば、娘が学校に毎日、ちゃんと通っているのは、明白なのに、嫌なことをする人がいるものです。)もあるのです。

 また、実際に児童保護をする必要のある家庭から、子供を救うという目的でチェックしている機関があり、本来、保護が必要な場合が大半ではあるのでしょうが、片親であったり、外人だったりして、少しでも弱みがあり、一度、目をつけられると、子供を育てる資格がないと判断されて、無理矢理、子供を取り上げられてしまうというケースもあるのです。

 私の知人の日本人の男性は、奥様が病気で、子供を抱えて、子育てに奮闘しておられました。それでも、彼は、しっかり仕事をしながらも、子供にたっぷりの愛情を注いで、むしろ、工夫しながら、楽しんで子育てをしていたのです。

 しかし、ある日、その機関に目をつけられ、子供を取り上げられそうになったと言います。児童保護案件に強いと評判の弁護士さんに相談しながら、方策を考え、実態を調べてもらったそうです。

 すると、その保護機関では、子供の保護をするたびに、一人につき、2000€の報奨金が出るとかで、中には、その報奨金目当てに躍起になって、やたらと難癖をつけては、子供を取り上げる悪徳な人がいるそうなのです。

 そして、彼は、弁護士とも相談の上、結果、フランスの治外法権となる日本へ子供を連れて、日本へ帰る決断をし、今では、奥様と子供とともに、日本で、家族で暮らしています。

 何という怖い話だと、私も娘が成人するまでは、その弁護士さんの電話番号を握りしめて、何かあったら、この人に相談しよう、出来るだけ、突っ込まれることのないように、目立たないように・・とビクビクしていました。別にやましいことは、何もないのですが、いざ、難癖をつけられたら・・勝てるかわからない・・と思っていたので。

 実際には、そんなケースは稀なのでしょうし、多くの子供が虐待や、育児放棄や、両親の離婚紛争などから救われているのでしょうが、善人の顔をした悪魔もいることを忘れてはいけないと、思うのであります。

2019年7月1日月曜日

フランスでの子供の歯科矯正





 娘は、歯と髪の毛が生えるのがとても遅くて、髪の毛は、2歳になっても、肩にかかるくらいまでしかのびずに、歯も2歳になるまで一本も生えてきませんでした。

 パパは歯が生えてこないことを心配していましたが、娘は、歯が無くても、逞しく、何でも食べていましたし、私としては、何なら、虫歯にならなくていいな〜、なんてお気軽に考えていました。

 心配しなくても、歯は2歳になったとたんに、ドバーっと、あっという間に、ほぼ一度に全部の歯が出てきました。歯が生え揃って、まもなくして、パパがかかりつけのお医者さんに頼んで、処方箋を書いてもらって、虫歯になりにくくなる薬を飲ませていました。そのおかげかどうかは、わかりませんが、娘はこれまで一度も虫歯になったことがありません。

 そんなわけで、歯が生え変わる時期も、人よりも遅く、周りのお友達がみんな大人の歯に生え変わって歯科矯正を始めても、まだまだ、乳歯のままでした。

 フランスでは、歯科矯正が当たり前で、歯並びが悪いことをとても嫌います。そして、費用もそれなりにかかりますが、かなりの部分を保険がカバーしてくれます。ですから、フランスの子供たちは、かなりの割合で、小学校低学年くらいの年齢になって、乳歯が生え変わると、歯科矯正用の矯正器具をつけ始めます。

 おかしなもので、娘は、周りの子供達が歯科矯正をするのをとても羨ましく思っていたようです。

 そして、周りの子供たちから、2年ほど遅れて、彼女の歯科矯正は始まりました。
フランスは、医者も全て、分業制で、まず、歯科矯正専門の歯医者にいき、また、歯科矯正専門のレントゲンの医者のところに行き、そのレントゲンを持って、再度、歯科矯正の歯医者に戻って、治療が始まります。

 個人差はあると思いますが、結構、締め付けて、矯正していくので、慣れるまでは、かなり、痛みを伴うため、また、処方箋を書いてもらって、痛み止め等を薬局に買いに行きます。

 何なら、普段の医者も同じです。かかりつけのお医者さんに行って、処方箋を書いてもらって、検査に行き、また、医者のところに戻って、治療を受け、処方箋をもらって薬局に行って、薬を買います。とにかく、何でも時間がかかります。

 話は、それましたが、歯科矯正は、結局、3年くらいかかったでしょうか? 途中、緩んだ器具を調整してもらったり、2ヶ月おきくらい通ったでしょうか?

 これまた、子供の成長期には、フランスでは、必ず通る道のひとつであります。