2020年9月17日木曜日

ブリヂストン・フランス・べチューン工場閉鎖 ①

 

 L'usine Bridgestone de Béthune


 私は、今日まで、ブリヂストンの工場がフランスにあることを知らず、娘は、ブリヂストンが日本の会社であることを知りませんでした。「だって、日本語っぽくない名前じゃない?」という娘に、創業者の石橋さんという人の名前をとって、STONE BRIDGEの語呂をよくするために、前後をひっくり返してできた名前らしいよ・・と言うと、なるほど・・と彼女も納得していました。

 つまり、ブリヂストンは、どこの国の会社かどうかは別として、その名前は、フランスでも多くの人に知られている会社なわけです。

 ブリヂストンが欧州内の乗用車用タイヤ市場の収益構造悪化のため、フランス・べチューン工場を閉鎖することを発表したことが、トップニュースで扱われているのを見て、工場の閉鎖そのものよりも、私は、ブリヂストンがトップニュースで扱われていることに驚いたのです。

 乗用車用タイヤを生産するこの工場の従業員は863人、フランスのボルヌ労働相とパニエリュナシェ経済閣外相は連名で、「ブリヂストンは、欧州内の別の工場のためにべチューン工場への投資を長年怠ってきた、工場閉鎖は全く同意できない」と発表しています。

 これを聞いて、改めて、私は、フランスで労働者を雇うということは、大変なリスクだと思いました。ブリヂストンは、べチューン工場の操業継続のためにあらゆる可能性を検討した結果、競争力を維持しながら、同工場の操業を維持することは困難であると発表しています。

 フランスの労働組合の強さは、ちょっと経営者が気の毒になるレベルで、コロナウィルス騒動後、多くの会社が人員削減や工場閉鎖に陥っていますが、その度に組合の抵抗は、相当なもので、そもそも、平常時ですら、気に入らないことがあるとすぐにデモやストライキといった権利が認められ、その権利を横行して反発するのですから、経営者側から見れば、フランスの労働者ほど使いにくいものは、ないんじゃないか??と思ってしまいます。

 それでも、ブリヂストンは、タイヤ部門において、2005年には、シェアトップのフランスのミシュラン社を抜き、以来、世界シェアトップを貫いているので、今回閉鎖されるフランスのべチューンとて、良い時期もあり、メリットもあったのでしょうが、同工場の生産性は、そもそもコロナ以前からの過去10年間で40%も減少しており、ヨーロッパに10ヶ所ある同社の工場の中でも最低なのだそうです。

 ブリヂストンは、この工場閉鎖に関わる人員について、誠実な対応をすることを約束していますが、そもそも、フランスでは、会社の都合により(業績悪化等)、社員を解雇するためには、契約形態や勤続年数にもよりますが、大変なお金がかかるのです。

 それでもなお、工場閉鎖を決めたのには、おそらくコロナウィルスが引き金を引いたことには違いありませんが、そうでなくとも、フランスでフランス人を雇って継続するメリットがないわけで、もともと、人件費もアジアなどの諸外国に比べて安いわけでもなく、かといって、生産性よく働くわけではもなく、バカンスだけはたっぷり取り、何かと言えば、デモだストライキだと騒ぐフランス人を雇って工場を続けて良いことは、何もなく、その上、国民はドケチで、買うのは、中古車がメイン。少しでもダメージを少なく食い止めるために、工場閉鎖は、もっともな選択だと思われます。

 そもそも業績悪化のために会社が工場を閉鎖すると下した決断に労働相や経済閣外相が工場閉鎖は認められないなどというのもおかしな話です。会社自体も生き残りをかけて必死なのですから、会社は労働者への慈善事業ではないのです。

 いい加減、あまりに労働者ファーストに偏ったフランスのやり方は、経営者サイドから見れば、生産性が悪く、デメリットばかりが目立ち、このままでは、国際競争の中では、置いてきぼりを食い、多くの国のフランスにある工場等が撤退することになりかねないのではないかと思っています。

 ちなみに全然、無駄な情報ですが、フランス人はブリヂストンをブリジェストンという人が多いです。


<関連>

「ブリヂストン・フランス・べチューン工場閉鎖 ②」

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「権利を主張するわりには、義務をちゃんと果たさないフランス人」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_61.html

「フランスの雇用問題」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/09/blog-post_6.html




2020年9月16日水曜日

幸せの感受性 海外生活でみつけた幸せを感じる方法

 



 昨晩は、なぜか、明け方まで寝付かれずに、朝、早くには、起きれずに、起きる前から背中の全面が痛くて不調そのもの、なんか1日のサイクルも狂ってしまいました。

 朝ごはんも食べたような食べないような・・いつもなら、午前中に済ませるはずのことが立て込んで、なんだか逆にバタバタで、お昼を食べようかと思っても、なんだか何にも食べたくなくて・・なにも作る気がしなかったのです。

 夜だったら、買い置きの生ハムやチーズとちょっとサラダでも作ってワインで終わり・・にしてしまうところですが、昼間から飲むというのも何だかなぁ・・と考えていたら、そうそう酢飯だったら、ちょっと食べたいかも・・と冷凍してあったご飯をチンして、すしの子を混ぜて、ベランダのシソを摘んできて細く切って混ぜて・・。

 このところハマっているオクラをさっと茹でて刻み、冷蔵庫にあったえのき茸にお醤油、砂糖、白ワイン(みりんが切れているので、砂糖と白ワインでゴマかす)をかけてフタをしてチン・・これを刻んでおいたオクラと和えて、ちょっとお酢を加えてネバネバするまで混ぜて、ご飯にかけて出来上がりです。

 それに、パンとビールで作ったぬか床に寝ているきゅうりを出して、切って・・おわり。

 とても質素な食事ですが、我が家には、とても贅沢な食事です。そんなお昼ご飯を食べながら、こんなものが贅沢に幸せに感じられるのも海外にいるからで、日本にいたら、きっと、こんなものは、どこででも手に入る大したことない材料で、いくつかあるおかずのほんの一つの箸休めくらいにしかならなくて、なんの有り難みも感じないだろうなと思ったのです。

 このわけのわからない献立も、たまたま家にあるもので思いついたものですが、そもそもきゅうりもシソも自分で毎日毎日、手入れして大切に育てたもので、ぬか床さえも、どうしてもぬか漬けが食べたくて、全粒粉のパンを細かくしてビールでふやかして、昆布を入れたりしながら、作って奇跡的に成功したぬか床、今や我が家の家宝です。


               パンとビールでつけたお漬物


 こんなわけのわからないことばかりやっていますが、手に入らないものをなんとか自分で育てたり、作ったりする、質素だけど、ていねいな暮らしが、私は、今、とても気に入っています。

 いつでも、どこでも、何でも手に入る日本の暮らしは快適ですが、満たされすぎて、幸せを感じにくくなっていたかもしれません。毎日食べることは、小さなことですが、大きな幸せでもあります。

 お金を出せば、簡単に手に入るものではなく、質素にていねいに暮らすことが今の私には、喜びです。

 しかし、その反動で日本へ行った時には、一食も無駄にするものかとあちこちで美味しいものを食べまくり、その上、これでもかというくらい、パリに食料品を持って帰るのですから、決して大口は叩けません。

 でも、これは、食べることに限らず、何にでも当てはまることなのかもしれません。何でも簡単に手に入る、便利な生活に慣れすぎると、逆にちょっとのことで、イライラすることが多くなってしまうかもしれません。満たされすぎると、不足分がより気になり、もっともっとと欲にはキリがありません。

 贅沢なことも好きな私ですが、日々の生活は、シンプルに質素に、無駄のないように、ていねいに暮らすことが心地よくなっている最近の私です。生活がシンプルになってくると、とても小さな単純なことがとても幸せに感じられます。

 私がこんな風になってきたのも、多分に年齢のせいもありますが、ひとえにフランスでの不便な暮らしの賜物だと思っています。


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「便利な生活がもたらすもの フランスへの修行ツアーのススメ」

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2020年9月15日火曜日

宗教に傾倒しすぎる義理の息子 フランス人の宗教

 


 私が彼に最初に会ったのは、彼が高校生の時で、真面目で、まっすぐな好青年といった印象でした。ちょうど、「バカロレアの試験に通ったよ・・」という報告に、主人が大げさに喜んでいるのに対して・・「C'est normal・・あたりまえだよ・・」と、笑っていたのが、つい少し前のことのように感じられますが、あれからもうずいぶんと時間も経って、あの時に想像していた彼の将来とは、全く違う道を進んでいます。

 彼は、主人の前の奥さんとの間の長男で、お母さんの影響を誰よりも強く受けて育っています。

 というのも、主人が離婚した最たる理由は、彼の前妻の度が過ぎる宗教への傾倒で、新興宗教ではないようですが、最初は、家族揃って通っていた教会から、やがて、生活全てが教会に振り回される形になり、主人は脱退してしまったことがきっかけでした。

 フランスは、カトリック教徒が多くを占める国ですが、実のところ毎週、日曜日に教会のミサに出かける敬虔なクリスチャンは、ほんの僅かでしかありません。

 以前、私は、日曜日も仕事に出ることが多かったのですが、日曜日の朝、いつもより本数の少ないバスには、いつも同じメンバーが乗っていることが多く、その中に、綺麗に身なりを整えた、いかにもこれから教会のミサに出かけると思われる上品な老婦人がいて、なんか、素敵だな・・と思ったこともありますが、逆に言えば、それだけ、目を引く珍しい存在であると言うこともできます。

 彼の前妻はプロテスタントの信者で、年を重ねるとともに、教会に深く傾倒するようになり、日々のお祈りから、週数回の教会通い、教会の行事などが日常生活の中心になっていき、当然の如く、子供たちの教育にも教会の教えが色濃くなっていき、テレビやゲームは、禁止、本も内容によっては制限がかかり、家の中のものは、どんどん教会への寄付に消え始め、明らかに一般の日常生活からかけ離れたものになっていきました。

 主人には、前妻との間に3人の息子がいますが、下に行くほど、母親との関係を壊さない程度に教会との距離をおいており、末っ子の男の子は、教会から逃れるために日曜日になると、よく我が家に避難しにきていました。

 おばあちゃんから買ってもらったという家では禁止されているゲームやハリーポッターの本などは、我が家に全て置いてあり、自分の家では禁止されているテレビやDVDを我が家で楽しそうに見ていました。

 しかし、反対に長男である彼は、母親以上に信仰に生活を捧げる生活になり、普通に経済系の大学を卒業して、有名な銀行に就職して、主人も喜んでいたのですが、結局、自分は、信仰に生きたいと主人とは大げんかをして、せっかく就職した銀行も辞めてしまいました。

 だからと言って、牧師さんになるわけでなく、教会のために働いても生活の糧になるわけではありません。現在は、教会関係の子供の小規模の学校の先生や様々な慈善事業や難民救済?など、まともな収入はないのに、なんだか、いつも、とても忙しそうにしていますが、彼には、深い信仰心が根本にあるので、全く迷いがありません。

 人に迷惑をかけるわけでもなく、贅沢は望まず、一生、ジャガイモだけを食べて暮らすことも厭わないと言うのですから、彼の人生は彼の納得するように、生きればいいと思いますが、ふと、それほどまでに彼を極端に宗教に走らせるものは、何なのか?と思います。

 実際、とても親切で、こちらからほとんど連絡をしなくても、気にかけてくれたり、おそらく頼めば、すぐに飛んできてくれると思います。

 しかし、こちらが宗教お断りといくら話しても、おかまいなしに、お祈りを唱えたりするのには、かなり抵抗があります。

 年齢を重ねるとともに、明らかに普通の生活からかけ離れている人であることが、目に見えるように彼自身の洋装にも表れています。

 彼自身は、心底、善意の人、悪意は全くないのはわかっていますが、善意であるだけに余計に救いようがなく、しかし、強烈なエネルギーと我の強さには、少々、引いてしまいます。悪気がないと言うことは、自覚がないだけに、時に悪意がある場合よりもタチが悪いこともあります。

 日常のフランス人のサッカーの試合やお祭り騒ぎ、デモなどでの興奮ぶりと熱量には、驚かされることも多いのですが、その熱量が宗教に向かった時には、こうなるのか・・と、そもそもの彼らの情熱は、やっぱり日本人とは違うのかな・・と思うのです。


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「海外での新興宗教の勧誘」

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2020年9月14日月曜日

フランスでの日常の食料品の買い物 ② フランスのチーズ等 料理せずに簡単に食べられる食品

 



 食べることが大好きながら、断然、日本食党の我が家は、普段からあまり外食をしないのですが、ロックダウンに引き続き、ロックダウンが解除になっても、圧倒的に家で食事をすることが多く、限られた食材で、色々と工夫しながら、食事の支度をしているのですが、さすがに、もう自分の作るものにも飽きてきて、お料理にも飽き飽きしてきて、そうなってくると、フランスで簡単に買えて、簡単に食べられるもの・・を買ってくることが多くなってきました。

 フランスで美味しいものといえば、パン、チーズなどの乳製品が一番、お手軽で簡単に食べられる食品ですが、今日は、お料理をしたくない時のために我が家で買いおきをしているフランスならどこでも買えるだろう食品をご紹介します。

 パンは、バゲットが一番、シンプルで食べやすいのですが、長期保存ができないため、買い置きはできません。そこで、我が家の買い置きのパンの代用品は、こちら↓です。


 

 左は、全粒粉のハードタイプのパンでうっすら自然の甘みが感じられて美味しいです。中央は、スウェーデンのクリスプブレッドで素朴でシンプルな味、物足りないと感じられる方もいるかもしれませんが、スモークサーモンやタラマなどとよく合います。右は、まさにクラッカーですが、このTUCのチーズ味は不思議なことに日本のスナック菓子カールのチーズ味の味に似ています。


 これらのパンに塗って食べるのが、こちら↓です。

        


 左がタラマといって、魚卵(鱈)の塩漬けを菜種油やクリーム、物によってはカラスミ等を混ぜて作られたディップのようなもので、簡単に言うなら、たらこクリームのようなものです。パスタに混ぜたり、茹でたジャガイモと和えてサラダのようにもできます。

 右は、コンコイヨット(カンコイヨット)という常温でもとろーっととろけた状態のチーズで、比較的、しつこくない、日本人にも食べやすいチーズです。これには、ナチュールとガーリック風味のものがあります。私のオススメはナチュールです。


 そして、肉類は、こちら↓

 
           

 左は、生ハムの塊(少しずつ削りながら食べるので切ったものよりも経済的だと思ったら、この間、あっという間に娘に食べられてしまったので、実際のところは経済的かどうかは検討中)、中央は、ソフトサラミソーセージのようなもので、これも少しずつ切ってサンドイッチなどにもできるので、便利で美味しいです。また、このソフトサラミ(に限ったわけではありませんが)によく合うマイーユのバルサミコ味のマスタードが私は、好きです。

 そして、保存食の野菜はこちら↓


         

 左のピクルスは、日本でも売っているのを見かけましたが、酸味がキツ過ぎずに歯ざわりも良いので気に入っています。右のブラックオリーブは、缶詰の物の中では、クレスポのタネを抜いていないブラックオリーブが塩味が濃過ぎず、実もしっかりしていて、グニョグニョになっていないので、美味しいです。

 チーズのお気に入りはこちら↓

  

 左が、カマンベール、中央はコンテ(本当は、18ヶ月が好きです)くせがあまりないわりにはコクのあるとても美味しいチーズです。右は、ミモレット、ハードタイプの味の濃いチーズで、熟成具合にもよりますが、カラスミのような味のものもあります。

 他にも、常備食は、まだまだありますが、とりあえず、目についたものをご紹介しました。私がお料理をしたくない時には、これらのものをちょっとずつ、つまみながら、ワインを開けて、食事がわりです。

 これらの食品は、フランスでは、特別に高価なものではなく、どこのスーパーマーケットでも、普通に売っているものばかりです。

 もしも、フランスに来られることがあれば、(当分、無理そうですが・・)お料理する必要のないものばかりなので、ピクニックのような食事をしてみてはいかがでしょうか?


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「フランスでの日常の食料品の買い物 ① フランスの野菜」

2020年9月13日日曜日

新規感染者1万人突破・フランス人のコロナウィルスへの危機意識が低いのはなぜか?

 

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 すでに、先週の段階で、1日の新規感染者数が9000人を超え、限りなく1万人に近づいていたフランスでは、この週末、夏のバカンスの間の約2ヶ月間、中断していた黄色いベスト運動が再開を宣言し、土曜日のデモには、6000人が参加。うち2500人はパリ。300人が逮捕、165人が拘留されました。

 それでも、午前中の段階から、デモで23人逮捕・・と報じられていたので、どうなることやらと思っていたら、デモに乗じての暴徒化を防ぐための早い時間からの警察の取り締まりは、かなり厳しかったようで、シャンゼリゼ(今週末は、デモ禁止になっていたけれど・・)をはじめとする、これまでデモから参考にした被害が大きくなる危険性の高い地域では、通行人に身分証明書の提示を求めるなどの警戒体制が敷かれ、大きな被害は、避けられたようです。

 バカンス明けの最初のデモということで、盛大に盛り上がることが予想されたデモも厳重な警察の警戒により、甚大な被害にはならず、(とはいっても、燃えている車も2台は見ましたし、催涙ガスの応酬の現場もなかったわけではありませんが・・)人数も全国で6000人、パリで2500人のデモというのは、フランスのデモとしては、それほど多くの人出ではありません。

 しかしながら、昨夜には、とうとう新規感染者数も1万人を突破し、10561人とコロナウィルスが蔓延し始めて以来(ロックダウン時の最悪の状態も含めて)最高記録を更新しています。

 現在、フランスでは、ツール・ド・フランスというフランス全土にわたる23日間に及ぶ自転車のロードレースが開催中で、フランス全土に渡り、ツール・ド・フランスの通過地点には、多くの人が沿道に集まり応援する、フランスでは、大きな行事の一つでもあります。

 本来は、毎年7月に開催されるレースですが、今年は、コロナウィルスの影響で9月に延期されていました。結果的には、7月の感染状況よりもずっと悪化した現在にこのレースが開催されていることは、なんとも皮肉な愚策であったと言わざるを得ません。

 このツール・ド・フランスには、多くの企業がスポンサーとして参加しており、経済復興の意味もあったと思われますが、屋外とはいえ、多くの人が集まり、歓声をあげて応援するような行事の開催になぜストップをかけなかったのかは、甚だ疑問です。

 実際に、このツール・ド・フランスの視察に行ったカステックス首相は、このツール・ド・フランスの幹部と車に同乗し、後日、その幹部がコロナウィルスに感染していたことがわかり、現在、自粛を余儀なくされ、毎日のように検査を受けています。(現在のところ、首相の感染は認められていませんが・・)

 昨日、急激な感染拡大の対応策として発表された項目の一つにあった、なぜかこの時点で、無症状感染者や感染者との接触があった者に対する自粛期間を2週間から1週間に短縮したのも、実際には、その必要がないということよりも、2週間の自粛では長すぎて国民が規則を守らないからという、「子供かよ!!」という理由であり、本当に開いた口が塞がらないとはこのことです。

 また、フランス人は、家族、親族、友人間では、まるで感染しないかの如く勘違いしているかのように、友人、家族間の集まりを避けません。私は、個人的には、フランスでは、実は、この比較的、小さな集まりの間での感染が少なくないのではないかと思っています。

 自分の主張はしたいだけして、義務を果たさないのが、フランス人ですが、マスクを義務かといえば、家計を逼迫するなどと言って騒ぎ、今やマスクは、さすがのフランスでもどこでも手に入り、バカンスに出かけるお金はあっても、マスクは家計を逼迫するという甚だ身勝手な理屈を振りかざすのです。

 自分がしたいようにするために、それを正当化するために屁理屈をこね、いちいち抵抗する。駄駄を捏ねるできの悪い子供を甘やかす親・・禁止して罰金・罰則を設けなければ言うことを聞かない子供に手を焼く親・・。

 国民を褒めることが大好きで、「我々は、マスクもしているし、手も洗っている!すごく努力をしている!」とテレビで大威張りのジャーナリストを見ると、「それ、威張るところ?」と、もはや、ため息も出ません。

 そんな国民と政府の関係がコロナウィルスの感染拡大を深刻にしているような気がしてなりません。

 「パニックを起こさないで!」と盛んに言うマクロン大統領を見て、「パニックを心配してロックダウンのタイミングが遅れて、どれだけ被害が大きくなったと思ってるの?少しは、危機感を持てよ!」と言う私に、フランス人社会の中で育ってきた娘は、「フランス人が本当にパニックを起こしたら、どうなると思ってるの?」と娘は言います。

 検査数が増えているから、感染者数も増加しているとも言えますが、フランスの検査数は、他のヨーロッパ諸国と比べても、決して飛び抜けて多いわけではなく、感染者数だけが飛び抜けている事実は、深刻な現実として受け止めなければなりません。

 ダメな子供に甘々な対応をいつまで許しているのか? 政府の対応がもどかしくてなりません。


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「権利を主張するわりには、義務をちゃんと果たさないフランス人」

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2020年9月12日土曜日

新規感染者が1万人に限りなく近づいたフランスの政府の対応


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 一昨日のフランスの新規感染者数は、9843人と限りなく1万人に近づき、当日夜には、マクロン大統領は、「感染拡大回避の対策案を翌日、発表します。くれぐれもパニックは起こさないでください」とだけ声明を出していました。

 まさか、再びロックダウンということはないにせよ、何らかの措置が発表されるものと私も注目していました。ところが、感染拡大回避の対策発表は、大統領からではなく、カステックス首相からのもので、しかも、思ったほどのインパクトのあるものではありませんでした。

 内容は、

 ●パリ・イル・ド・フランスを始めとする42の地域がレッドゾーンに指定されたこと

 ●逼迫してきた検査体制に関して、症状が出ている人、感染者と接触が認められた人、症状が悪化するリスクが高いと考えられる人、医療従事者を優先して、時間帯によって予約制をとり、感染追跡のための人員2000人を新たに追加すること

 ●検査の結果、陽性と診断された人、感染者と接触した可能性のある人の隔離期間をこれまでの14日間から7日間に短縮すること

 ●今後も引き続き、マスク着用義務、ソーシャルディスタンス、手洗い等を守ること

という、何とも拍子抜けな内容でした。

 現在のフランスは、感染者が増加しているのは、決して無症状の感染者ばかりではなく、入院が必要な患者、さらには、重症患者も着々と増加しており、ICUの患者は、ここ一週間で150人以上増加しており、地域によっては、ICUの空きがほとんどなくなっているところもあり、とても深刻な状況です。

 実際に、家にいても、救急車のサイレンの音が再び、頻繁に聞こえてくるようになり、現在は、ロックダウン中とは違って、交通事故等も考えられるわけですが、それにしてもなかなか騒々しく、夕方には、何やら、ヘリコプターまで飛び出したので、何か起こったのではと慌ててテレビをつけたくらいです。

 実際に、コロナ以前の救急車のサイレンがどの程度だったか思い出せないのですが、救急車がかなり忙しく稼働しているらしいことは、家の中からでも感じることができます。

 そんな中、カステックス首相の発表に比べて、よっぽどインパクトがあったのは、夏のバカンス中は、中断していた黄色いベスト運動が活動復帰を宣言したことです。12日(土)から、各地でデモが再開されます。

 パリでデモが予定されているのは、黄色いベスト運動だけではなく、VTC運転手によるデモ、青少年の非行に関するデモ、人種差別に関するデモ、クルド人に関するデモなど少なくとも5つのデモが予定されています。

 パリ警視庁は、すぐにシャンゼリゼ、ポルトマイヨ、コンコルド広場、サンラザール駅、大統領府、内務省、国民議会、オテルマティニョン、ノートルダム人、パリ警視庁、トロカデロ広場、シャンドマルスなどでのデモを禁止する旨、発表しました。

 デモに乗じて暴徒化して、店舗等を破壊する人が現れるため、前日の夜からシャンゼリゼの多くのお店は、シャッターを降ろして、バリケードを張る警戒体制を取っています。経済復興のために、感染拡大の危険を侵して営業している店舗もせっかくの土曜日が再び台無しになります。

 まったく、1万人近い感染者が毎日出ている国で、デモをやろうとしている人がいることは、ほんとうに理解に苦しみます・・というか、はっきり言って、やっぱりこの人たちは、バカなんじゃないかと再び、呆れています。

 ヨーロッパの中でも特に感染拡大が広がっているフランス(とスペイン)です。

 今、自粛した生活を送らなければ、いつまでも延々とこの生活が続くのです。もう既にみんなバカンスで発散してきたのではないのですか? 本当に、いい加減にしてほしいです。

 これから、秋が深まり、気温も下がり、インフルエンザなどの流行も始まれば、プラスに働く材料は少ないのです。

 フランス政府は、コロナウィルスの対応だけでなく、デモ対応に追われています。

 主にシャンゼリゼ、バスティーユ、シャンドマルスを囲んだ広範囲に渡り、デモが禁止されていますが、必ずしもそれをおとなしく守るような人たちではありません。

 コロナウィルスと闘い、デモと闘い、同時にいくつもの相手と闘うフランス。

 ひとまず、コロナウィルスという全世界共通の敵と闘っている間は、他は勘弁してもらいたいです。

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「フランスは、いつも誰かが何かを訴え、戦っている フランスはデモの国」

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「パリ・アンヴァリッドでの介護者のデモ・1万8千人を震撼させた暴力・ウルトラジョンヌとブラックブロック」

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2020年9月11日金曜日

海外生活と兄弟関係

 


 私の両親は、兄弟姉妹が多く、父は4人兄弟の末っ子で、母は、5人兄弟の長女でした。両親ともに、結婚後も兄弟とは、それぞれの兄弟は、とても仲が良く、自ずと私は、小さい頃から親戚づきあいがとても多い家に育ちました。

 私の実家は、同じ敷地内に2軒の家が建っていて、隣には、父の兄家族が住んでいました。なので、隣には、従姉妹も二人いて、そのうちの一人は、私と同い年だったので、小学校までは、毎日、一緒に学校に通いました。

 母の実家も車で10分くらいのところにあり、そこにも祖母をはじめ、2軒の家が同じ敷地内に建っていて、母の兄弟、2家族が住んでいました。私は、祖母が誰よりも好きだったので、運転免許をとった時には、まず、一人で運転して、祖母の所に行けるようになるのが目標でした。私も車で買い物に出かけた帰りなどに、祖母のところに寄れば、叔父や叔母が頻繁に顔を出し、おしゃべりをしたりして、楽しい時間を過ごしました。

 小さい頃から、誰かの誕生日、敬老の日、お正月などなど、何かとみんなで集まって食事をしたりする機会が多く、子供の頃は、「また〜〜??」と、少々、気が重かった時期もあるくらいでした。

 しかし、そんな積み重ねがあったこともあり、祖父母が亡くなる時には、みんなで交代で看病し、特に祖母の時には、最期の半年間は、ほんとうに家族一丸となって、祖母を看取り、その時の結束から、その後も一段と皆が仲良くなったような気がしています。

 我が家の場合は、父との確執もあり、弟は大学の途中からほとんど、家にいないような状況でしたし、就職と同時に地方勤務を希望し、さっさと家を出て行きました。彼は私より少し前に結婚したのですが、子供ができるまでは、仕事の都合で弟夫婦は別居状態、私が結婚したのは、弟に子供ができて、すぐの頃で、弟は子供のこともあって、東京勤務になりましたが、私は海外に出てしまったので、弟とは、彼が就職した頃から、滅多に顔を合わすことはなくなりました。

 その後、弟はアメリカに転勤になり、ますます会わなくなりました。アメリカとフランスでは、学校のお休みの時期もずれていて、弟も私もそうそう自分の都合の良い時に日本に帰国できるわけでもなく、滅多に一緒の時期に帰国していることもなかったので、ほんとうに弟に会うのは、何年かに一度、オリンピックなみの頻度でした。

 しかし、決して弟とは、仲が悪いわけでもなく、一度、私の家族に一大事が起こった時は、忙しい中、週末だけの短い期間でしたが、弟がアメリカからわざわざパリまで来てくれたこともありました。あの時ほど、本当に弟がいてくれてよかったと思ったことはありません。

 男女の兄弟の場合、そんなものなのか・・とも思っていますが、彼の奥さんは、親戚づきあいを嫌っているのか、儀礼的に皆で集まる時以外は、一切、関わりを持とうとしません。以前、私は、何かのお礼だったか?何度か彼女宛てに手紙を書いたこともあるのですが、いつも返事は弟からで、そのうち、こちらから彼女に連絡を取ることもやめてしまいました。

 彼には、女の子が一人いて、うちの娘の2つ年上なのですが、聴覚障害を持っていて、同じ年頃の女の子、そんなことにも、少々、複雑な思いがあるのかもしれません。

 そんな調子だったので、母は、看病する間もないくらいにあっという間に亡くなってしまいましたが、父の最期の時にも、私たちもそうそう帰国もできず、父の病状と看護については、時々、メールで連絡をとったりしていましたが、結果的には、隣に住む叔母と従姉妹にとても、負担をかけてしまった上に、父の気難しい性格も災いして、弟の奥さんと親戚の間で揉めてしまい、弟から、なんとか、一週間でもいいから、日本に帰れないか?と電話があって、慌てて帰国したこともありましたが、それ以降、さらに、距離が遠のいた感があります。

 弟は、今も別の国で、海外生活を送っており、父が亡くなった後も、父の葬儀と一周忌の際に顔を合わせて以来、ほとんど会っていません。彼は、海外にいるといっても、日本企業に勤めているので、それなりに日本に行く機会も多いと思うのですが、仕事も結構な要職にあり、うちの両親は二人とも亡くなってしまいましたが、彼の奥さんの家族も抱えているので、それなりに忙しくしていると思って、あまり連絡をとることも、ありません。

 このコロナ渦の中、日本に帰っているのかどうかもわかりません。フランスがロックダウンになった直後くらいに、「仕事の関係のヨーロッパ支社の人から、アジア人がコロナ扱いされて辛い思いをしているという話を聞いたけれど、大丈夫? なんなら、日本にしばらく帰っていたらどうですか?」というメールをもらいましたが、その頃は、すでに簡単に動ける状態ではなく、「心配してくれて、ありがとう。でも、こちらは、そう簡単に動けそうにありません。」という返事を送ったきりです。

 彼が小さい頃は、気が弱くて、何かあると、すぐにお腹が痛くなってしまった弟。隣に住む同い年の従姉妹と、つきまとってくる年の離れた弟をからかって遊んだ話を今でも、二人にイジメられて大きくなったと大きく話を盛って笑い話にしている弟。

 私には兄弟は、一人だけなので、娘にとっては、従姉妹は日本に、一人だけです。私には、従兄弟・従姉妹が13人います。全員と密に付き合いが続いているわけではありませんが、従姉妹とは、今も弟以上に仲良くしてもらっています。

 色々な事情もありましたが、娘のためにも、私が弟家族とそのような関係を築いて来れなかったことをとても残念に思っています。


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