2020年9月4日金曜日

日本は海外に住んでいても教科書を無料でくれる

 


 新年度に入って、学校が始まれば、フランスの学校でも、一年の始めには教科書が配布されます。しかし、それは、ほとんどの場合、一年間、教科書を借りるということで、新年度には、その一年間お借りする教科書のブックカバーをする仕事が待っています。

 借り物なので、汚したり、破損したり、紛失したりした場合は、弁償しなければなりません。一年の始めには、学校からクラスごとに揃えなければならないノートやファイル、ペン、定規、計算機などの細かいリストが配られ、そのリストに従って、一通りの買い物をしなければなりません。

 ノートの大きさ、ページ数、様式など、細かい指定で、だいたいカーフールなどのスーパーマーケットには、新年度の前になると、リストを片手に買い物をする人で溢れます。品切れのものや売っていないものなどが必ずあって、たいていは、一度の買い物では済みません。結構な手間と時間がかかります。

 さしずめ、日本ならば、同じものを揃えるならば、学校側が業者に委託して販売すると思われますが、学校側の仕事が増えるのが嫌なのでしょうか? この不思議なフランスの風習?は、毎年のように続いています。

 教科書をカバーする透明のシートも一緒に買ってきて、色々な持ち物に名前をつけるのと同時に一冊一冊、教科書にカバーをするのですが、以前、娘の友達が家に来て、一緒に教科書のカバーをするのを手伝っていたら、不器用なフランス人の本のカバーの無様なことにびっくりしたことがありました。

 同じく、娘の友人のお誕生日会に呼ばれていた時に、一緒に行こうと言っていたママ友が「ちょっと、まだ、プレゼント、買ってないから、付き合って!」と言われて、付き合って、彼女がプレゼントをプレゼント用の紙に包むのを見て、あまりの杜撰さに驚いたこともありました。フランス人は、概して、不器用な人が多いのです。というか、大雑把で、日本のようにきっちりしていないのかもしれません。

 話は、それましたが、そんな風にフランスでは、教科書は、一年間、お借りするもので、一年の終わりには、きっちりお返しすることになっています。教科書は、まあ、一年が終わってしまえば、手元にあっても、もう使わないことも多いので、フランスらしい合理的といえば、合理的なシステムです。

 そんな中、日本は、日本国籍を持っている子供には、海外に住んでいても、義務教育の間は、希望者には、教科書を無料で配布してくれます。教科書は、科目によっては、一年に2回、上巻・下巻と配布されるので、(前もって予約が必要ですが・・)私は、娘が小学校・中学校の9年間、年に2回、教科書を受け取りに通いました。(以前は、在仏日本人会が請け負っていましたが、今は、大使館で配布しています)

 たいていは、平日の時間帯なので、教科書をもらいに行くときは、昼休みをずらして取って、(昼休みは大使館は、休みなので)メトロで数駅、バタバタと大使館に駆け込んでは、仕事に戻る、そんなことを一年に2回ずつ、続けていました。

 きれいな新品の教科書を海外にいても、無料で配布してくれる国など、そうそうあるものではありません。私の職場には、色々な国からの外人もいましたが、そんな話は、聞いたことはありません。

 自分が育った頃とは違う、今の教科書は、なかなか自分自身が読んでも興味深いものですし、私は、特に娘に日本語をしっかり学んで欲しかったので、これは逃すものかと9年間分の教科書を全て頂いてきました。

 これらの本を自分で調達するとなったら、個人としたら、相当な負担になるはずのものなので、とても助かりました。

 教科書は、今でもほとんど取ってあり、娘が日本語検定を受験したりした際には、日本語の勉強に使っていましたし、今、自分の専門分野である生物の教科書などは、日本語では、こういう言葉を使うんだ・・などと、中学校の教科書を開いたりもしています。

 日本の学校の様子や社会の仕組みなどもわかりやすく書いてあるので、今さらではあっても、大人になってから読んでも結構、勉強になります。

 私は、日本のそんなところは、やっぱり日本は、凄いな・・と、誇らしくもあり、ありがたくも思っています。海外にいても、日本人としての教育を配慮してもらえることがとても嬉しいのです。そんな国は、そうそうないのです。

 海外在住の方で、このシステムをご存知ない方は、ぜひ、せっかくの機会を利用しては、いかがですか?

 国によって、配布方法は違うと思われますが、フランスは、大使館がやっているので(もしかしたら、場所を提供しているだけかもしれませんが・・)大使館に問い合わせれば、わかると思います。


<関連>「フランス人は不器用なのか?」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/09/blog-post_3.html

2020年9月3日木曜日

再婚・養子縁組・大学進学・就職 イレギュラーなママ友の人生

 


 学生時代の友人や昔からの友人が長続きして付き合いが続いていくのは、なかなか容易なことではありません。ましてや一生のうちには、自分の生活圏や生活環境がどんどん変わっていく中で、それを維持していくのは、よほどのことであると思っています。

 また、思わぬことで、なぜか、妙に縁がある人というのもいるものです。

 私など、海外に出てしまっているので、日本での学生時代からの友人などは、もう片手で十分に足りるほどで、また、真の意味での友人がいれば、それで十分、満足しています。

 また、海外に出たら出たで、そこでまた、新しい繋がりができるので、それはそれで良いのです。

 そんな友人関係の変化が娘にも見えてきて、私は、なるほど・・と遠くから娘の友人関係を眺めています。彼女は、小学校から高校まで同じ私立の学校に通っていたので、高校卒業までの12年間は、彼女の友人関係は、あまり変わることはありませんでした。それだけ強固な繋がりかと思いきや、もうすでにそれぞれが別の道に進めば、バラバラになっていきます。

 その中で、小学校からの仲良しで、バレエなどのお稽古事も一緒、高校卒業後に進学したプレパー(グランドエコール準備学校)も一緒、同じ理系の道を進みながらも選考は違い、グランドエコールは、別々の学校(それぞれ別の地方)へ進みましたが、彼女とは、今も付き合いが続いているようです。

 彼女は、小さい時から優秀で、小学校の時に飛び級をして、娘のクラスに入ってきてからの付き合いなので、本当は、娘よりも一つ年下です。

 私は、仕事で時間の自由が効かなかったこともあり、時間的にも余裕がなく、ママ友付き合いというものをほとんどしてきませんでしたが(内心、此れ幸いと思っていました・・)、それでも、彼女のママは、とても行動的でアクティブな人で、バレエのクラスの世話役や市役所のイベントに顔を出したりしていたので、そんな私でさえも、会えば、少しは、話をしたり、困ったことがあれば、アドバイスをしてくれたりしていたので、他のママたちよりは少しは、彼女のことを知っていると思っていました。

 彼女は、ご主人とは再婚で、しかもかなり年が離れていて、彼女の子供二人は、養子だということは知っていました。彼女のご主人には、前の奥様との間に子供がいて(すでに成人して、独立している)、その上、養子を迎えるということは、並大抵なことではないな・・それだけでも、彼女は、すごくバイタリティーのある人だと思っていました。

 フランスでは、子供のできない人が養子縁組するケースは、少なくなく、うちの主人の兄も養子です。

 しかし、そんなプライペートなことは、娘から話を漏れ聞くだけで、彼女と直接話したわけではありません。そして、つい最近、娘と留学費用の話をしていて、その友人が留学費用を借金したという話を聞いて、”えっ? なんで??”という話になり、”だって、彼女のママは、つい最近まで働いてなかったんだよ! おまけにパパはもう年金暮らしだし・・”という話を聞いて、びっくりしたのです。

 フランスでは、だいたい、共働きが普通で、お母さんが仕事をしていない家庭というのは、極端に少ない上に、ましてや彼女を見ていれば、とてもバリバリ仕事をしていそうな感じだったので、てっきり、仕事を持っているのだとばかり勝手に思い込んでいたのです。

 それぞれの個人の事情には、余程、親しくなければ、立ち入らないフランスですし、私自身も、あまり他人のプライベートは、相手が自分から話さない限りは聞くこともありません。

 娘が高校を卒業してから、もう4年が経ち、それ以来、いや、それ以上に娘がバレエをやめて以来ですから、もう6年くらい、私は、彼女のママには会うことはありませんでした。

 この間の6年の間に彼女のママは大学に入り直して、つい最近、就職したばかりなのだそうです。

 私よりも若いママではありましたが、さりとて決してもう若いわけでもありません。そんな中、大学に通い直して、仕事に付いていたとは・・今さらながら、凄い人だったと思いました。

 色々な面で、順番が普通とは違いますが、年の離れたご主人と結婚して、子供二人を養子に迎え、子育てもそろそろ目処が付いたところで、大学に入って勉強しなおして、就職。

 かなりイレギュラーな人生ではありますが、自分の子供ではない子供を立派に育て、自分も勉強し直して、就職。話を聞いてみれば、人それぞれには、なかなか色々な事情があるものですが、まさに自分の人生をたくましく切り拓いて生きている彼女に、改めて、尊敬の意を抱いたのでした。


<関連>「義兄夫婦のフランス人の家族」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/09/blog-post_11.html

2020年9月2日水曜日

新年度が始まったフランス 学校も再開・仕事も再開


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 長いバカンスも終わって、フランスは新年度が始まりました。子供は、学校へ、大人は仕事へとまるで仕事場に行く大人までが、新学期が始まるように感じられるのがフランスらしいところです。

 8月に入って、感染者が爆発的に増えたフランス。学校も仕事もリモートにしないのかな?と思うところですが、会社も学校もマスク着用を義務化して新年度に臨むところに、この先、長く続きそうなコロナウィルスと共存していこうとする姿勢が感じられます。

 会社内でのマスク着用義務に関しては、反対の声も上がっていますが、今のところ、フランスでは、大きな騒ぎにはなっていません。(ヨーロッパの中では、ドイツなどで、マスク義務化反対の大きなデモなどが起こっています。)

 とはいえ、学校も11歳以上の子供はマスク義務化、従わない場合は、それなりの制裁も考えているという強気な態度。義務化されない11歳以下の子供でも、マスクをしている子供は、少なくないと思います。

 はるか昔のことになりますが、娘が小学校に入学した9月1日のことを思い出します。娘は、小学校から私立の小学校に通うことが夏休みの間に急に決まったのです。

 フランスでは、日本でいうお受験のような入学試験がないので、我が家が申し込んだ時点では、定員オーバーということで断られ、ウェイティングリストに載せてもらっていたのですが、直近の成績が奇跡的にオールAという成績をもらってきたために、念の為に成績表を希望していた学校に送ったら、面接に来てくださいと学校から連絡をもらい、急遽、9月の最初から入学許可が下りたのです。

 ですから、急なことでもあり、周りのお友達のほとんどは、公立の学校への入学だったため、周りは知らない子供ばかり・・ましてや、なかなか厳しい学校で、娘はともかく、少なくとも私は、とてもドキドキしていました。

 9月1日の朝、夫婦揃って娘を学校まで送り、彼女の新しい学校生活のスタートを見届けるつもりでした。ところが、親が送っていけるのは門の前までで、そこから先は、保護者とて、中に入ることもできません。入学式もありません。

 娘は、私たちの方へ、「じゃあね!」と軽く一回手を振ると、意気揚々と学校へズンズン入って行きました。パパは、「一度も振り返らない!」と、グングン学校に入っていく娘が不満そうでしたし、私に至っては、たくましく学校生活に入っていく娘が心配なような、たくましく、頼もしいような、複雑な気持ちで、うるうるしてしまったほどです。

 あの時の気持ちを思い出すと、今年、新入生として入学する子供を持つ親御さんたちは、通常の不安プラス感染のリスク・・どんなにか不安で心配かと思うとちょっと胸が痛くなります。

 フランスの学校は、低学年は、短縮授業ということもなく、いきなり、朝8時半から16時半(エチュード(宿題を見てくれる授業)も含めると18時までギッシリの授業が始まります。

 ただでさえ、慣れない学校生活でマスクや手洗い、ソーシャルディスタンスを取らなければならずに友達と触れ合うこともできないのです。それでも、きっと子供の方がそれなりの方法を見つけて、友達とも工夫をして遊んだりしていくのだと思います。

 しかし、感染者が出れば、たちまちクラスターが発生してしまうリスクもあります。しかし、恐れて逃げてばかりいては、前へ進めない・・今のところ、幸い重症化している人は、少ないため、いくつかの失敗を重ねながらでも、手探りでウィルスと共存していく道を歩まなければならないのかもしれません。

 3月のロックダウンから数えれば、約半年ぶりの学校に行けることを嬉しそうにしている子供たちを見ると、そんな風にも思えてくるのです。


<関連>

「学校選びは人生の岐路 娘の通った学校はなかなか厳しい学校だった」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_54.html


「入学式も卒業式もないフランスの学校」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/09/blog-post_7.html

 









 

2020年9月1日火曜日

バカンス帰りの12台のTGV・最大20時間の遅延に見舞われた5000人の旅行者

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 9月の新年度に滑り込みで帰郷する人々で溢れかえる8月30日(日)の夜、フランス南西部からのTGVが電気系統のトラブルによりストップし、計12台の車両がブロック、5000人の旅行者が足止めを食い、翌日、夕方、最大、20時間遅延したTGVがパリ、モンパルナス駅に到着しました。

 この時期、ただでさえ、TGVという密閉空間でのコロナウィルスの感染拡大が心配される中、なぜ、電車が止まっているのか、復旧にはどれだけかかるのかなどの的確な情報もなく、また、時折、発表される情報もコロコロ変わり、水も食料もないまま、高齢者や子供も含む多くの人が電車内での夜明かしを余儀なくされました。下の写真は、乗客が、「水も何も支給されない中、コロナが蔓延する中、TGVで夜明かしする様子をツイッターに投稿していた写真です。

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 今さら誰もフランスのTGVに時間どおりの発着を期待してはいませんが、今、このタイミング(コロナウィルスの感染者が再拡大している、しかも、夏休み終わりの最終日)での遅れ、しかも20時間の遅延という記録的な遅れは、もうこれは事故です。

 しかし、この驚異的な遅れにも関わらず、乗客は、イライラは募りながらも暴れたりする人が出なかったことも、これまた奇跡的です。

 日頃からパリでもメトロが急に駅と駅の間で停車したり、駅で止まったまま発車しなかったりすることは、よくあることで、また、何の説明もないか、あるいは、テクニカルプロブレムの一言で終わり、また、しばらくこの電車は動きません・・と言った途端に発車・・などなど、電車のトラブルの例えをあげれば、キリがありません。

 この日常を考えれば、20時間遅延したTGVのアナウンスなどがどんな具合であったのかは、容易に想像がつきます。

 情報がない中、ましてや夜中に、電車の乗り換えや、諦めてホテルに泊まることも簡単ではありません。

 先週には、フランスのコロナウィルスの1日の新規感染者は7000人を突破している中でのこの事故でのTGVでの20時間の缶詰状態。この12台のTGVがクラスターになっている可能性は低くありません。

 日本の東海道新幹線は、年間13万本運行し、自然災害などによる遅延も含めて、平均遅延時間は、24秒だという話を聞いたことがあります。遅延時間を秒単位で測ること自体が驚きで、フランスから見れば、まるで違う時代か違う宇宙の話のようです。

 20時間といえば、パリから日本への直行便は、12時間弱、羽田に着いて、家に帰って寝ているほどの時間です。もはや遅延と言える時間なのか?疑問です。

 さすがの遅延大国フランスも20時間の遅延に対しては、遅延のために利用したホテルの費用など、旅行者向けの「追加費用の全額」とチケットの返金、3倍返しを発表しています。


<関連>「ストライキ大国・フランス」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/10/blog-post_46.html

2020年8月31日月曜日

フレンチパラドックス 先進国で意外と肥満の少ないフランス


 娘が冬用のコートが欲しいと言って、ネットでコートを探していました。先日、ネットショッピングで注文したコートは、無事、届いたものの、生地がいま一つで、ポケットもないということで、返品してしまったのです。

 それで、別のコートを探そうと、再び、ネットをのぞいていて、これどうかな?この色どう?などと、一緒にサイトを見ていたら、メーカーによっては、必ずしもスタイル抜群のモデルさんばかりではないことに気づいて、驚いたのです。

 最近は、痩せすぎは良くないという風潮からか? ごくごく、その辺りにいそうな決してスマートではないモデルさんも使われているのです。とはいえ、メーカーによっては、従来どおりのスタイル抜群のモデルさんを使っているところもあるにはあるのです。

 しかし、そもそもフランスでは、フレンチパラドックスと言われるように、アメリカなどのように極端な肥満体型の人は、あまり見ることがありません。フレンチパラドックスとは、フランス人が、相対的に喫煙率が高く、脂肪が多く含まれる食事を摂取しているにも関わらず、冠状動脈性心臓病にかかることや肥満体型が比較的少ない学説から生まれた造語です。

 フランスには、フランス人が大好きなバター・チーズ・クリームなどの乳製品、フォアグラやパテ、サラミなどの肉類を加工した脂肪と塩分を豊富に含んだ食品が溢れているのです。

 フランス人はアメリカ人と比較して4倍の量のバター、60%増のチーズ、3倍近い豚肉を食べているそうですが、にも関わらず、フランス人の方が圧倒的に肥満が少ないことをバラドックスと表現されているのです。

 これには、同時にフランス人が摂取している赤ワインが影響しているとも言われていますが、フランスでは、地味に学校給食などでの食事の提供にかなり配慮がされている結果とも言えます。

 テレビなどの広告では、5 légumes par jour(1日に5種類の野菜を取りましょう)とか、油や糖分の多い食品は控えましょうなどと呼びかけられていますし、ファストフードの広告などにも、このような文言が付け加えられています。

 娘が通っていた学校のキャンティーンでは、学校側の健康的な食事アピールがもの凄く、特に、「うちの学校では、フライドポテトは出さない!」を自慢にしていました。(私は、内心、フライドポテトを出さないということがそんな自慢することなのか?と思っていましたが・・)

 以前、娘が高校生の頃、彼女の通っていた高校では、短期間ですが、アメリカの高校との交換留学の制度があり、私も、「良い機会だから、ぜひ、行ってらっしゃい!」と留学を勧めたのに、食べることが何より好きな娘は、指定されている高校のキャンティーンのメニューを調べあげ、それが、ハンバーガーとピザとタコスの繰り返しなのを知って、こんなの毎日食べる学校は嫌だと理由をつけて、留学をやめてしまったことがありました。

 一生、ハンバーガーとピザとタコスを食べ続けよ!というわけでなし、せっかくのチャンスを勿体無いことをしてしまったと私は、思っていますが、少なくとも、フランスの学校では、ハンバーガーとピザとタコスの連続のような給食はありません。

 フランスの給食は、一応、前菜、メイン、デザートと一応、コースのような献立になっています。

 大学になるとキャンティーンの他に、カフェテリアというものも置いている大学も少なくありませんが、キャンティーンがある一定の健康基準を満たした一般的な食事を提供するのに対して、カフェテリアは、菓子類、ジュースやファストフード的な食品を扱っています。

 このカフェテリアを学内に設置するには、ペナルティーとも言うべく特別料金を支払う必要があり、また、消費者側の学生にとっても、カフェテリアは、キャンティーンに比べて、若干高めの料金設定になっています。

 そもそも、フランス人が日常の食事を爆食いしている印象はなく、家庭での食事は意外にも質素で、外食したりしていても、時間をかけて、多分、あんまり好きではないであろうサラダなどを気取って食べていたりするのを見かけるにつけ、フランス人はフランス人なりの食生活への美学があるものと思われます。

 ましてや、先進国の中でも圧倒的に肥満の少ない日本の食生活への配慮はパラドックスどころか、やはり他の先進国から比べると桁違いの気遣いであることは、紛れもない事実です。

 たまに日本に行って、若い女の子を見かけるにつけ、「細〜い!」と思うことは、多いです。フランス人の若い女の子は、骨格が違うこともありますが、日本人ほど細〜い女の子は、あんまり見かけません。

 とはいえ、ある程度は、自分を律して肥満を回避できているフランス。

 今は、自分を律して、コロナウィルスをなんとか回避することはできないものか?と思っています。

 

<関連>

「フランスの学校のキャンティーン・給食」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/10/blog-post_11.html

「フランス人のビックリする日本食の食べ方」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_69.html

「フランスの弁当(BENTO)ブーム」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/11/bento.html












  



2020年8月30日日曜日

フランスでの安倍首相の退任の報道

  



 フランスのテレビニュース等で日本についての報道がされることは、あまりありません。

 私もフランスに来て、20年以上になりますが、日本について最も大きく報道されたのは、東日本大震災についての報道でした。あの時は、どのチャンネルもトップニュースの扱いで、朝、起きて、習慣のように、何気なくテレビをつけたら、ジャポン、ジャポネ、ジャポネーズ・・の連呼に、まだ、しっかり目が覚めていなかった私もさすがに、画面に目が釘付けになりました。

 寝ぼけ眼で見えたテレビの映像は、津波の映像で、海だか川だかもわからない大波に車や家が流されている衝撃的な画面を呆然と眺めた朝を今でも忘れることができません。

 その後も被災地の様子や原子力発電所の放射能の問題など、フランスのテレビ局が製作した、いくつもの番組がかなり長い期間、報道されていました。

 その時に比べると、今回の安倍首相の辞任については、さすがにスルーされることはありませんでしたが、辞任を発表した当日の夜のニュース(45分ほどの番組)の最後に、わずか1〜2分の尺で、「日本の首相・SHINZO ABE(65歳)は、健康上の理由から、退任することを発表しました。」のみ。

 フランスにとって、日本という国、日本の政治は、45分のうちの1分くらいの関心事なんだな・・そんなものなのか・・まあ、全くスルーされないだけマシか・・やっぱりね・・と、ちょっと、残念なような、ふてくされたような、妙な気持ちになりました。

 新聞等では、もう少し詳しく掲載している紙もありましたが、安倍首相の辞任についての詳細よりも、辞任の原因とされている潰瘍性大腸炎についての話題に内容が逸れる記事も少なくありません。

 しかし、中には、むしろ、かなり辛辣な書き方をしている紙もあります。

 安倍首相の支持率がかなり低下し、彼の地盤である山口県でさえも彼が充分な力を持っているかどうかは疑問視されているとか、長期政権の記録をかろうじて上回った直後だとか、コロナウィルス対策で迷走したとか、これまでの数々の汚職スキャンダルについての追求を逃れてしまう可能性がある・・などなど・・。

 こんな風に、日本では、大きなニュースであるはずなことが、フランスでは、ほとんど無関心であることに直面したりすると、日頃、日本ブームだの、日本が好きなどという人の話を聞くことはあっても、やはり、フランスにとって日本は遠い国・FAR EAST なんだな・・と、ちょっと寂しく感じるのです。


<関連記事>

「日本はフランス人になぜ愛されるのか? フランス人は日本をどう見ているのか?」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_96.html

2020年8月29日土曜日

ことごとくフランス人の習慣が裏目に出ているコロナウィルスの感染拡大


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 フランスのコロナウィルスの新規感染者数、一昨日は、6000を超えて、びっくりしていたら、昨日は、軽やかに7000超え(7379人)で、毎日のように5000・6000・7000と1000人単位で増加しています。

 昨日、買い物に出かけたら、グッと人も増えており、「あ〜みんな、帰ってきている」ことを実感しました。まあ、来週には、9月に入り、学校も始まることですし、当たり前のことです。毎年、夏の終わりに空いていたパリにあっという間に人が戻って増えてきて、また、混雑した街に戻ることをちょっと残念に思うのですが、今年は、少しわけが違います。

 フランス人が何より大切にしているバカンスの結果が今の感染状況ですし、挨拶がわりにビズー(頰と頰を合わせる)をしたり、握手をしたり、とかくスキンシップが多い習慣も、靴のまま家に入る習慣も、お風呂にあまり入らない習慣も、マスクを嫌う習慣?も、ことごとく彼らの日常の習慣は、コロナウィルス感染対策には、裏目にでることばかりです。

 昨日、パリ・マルセイユなどで、全域が屋外でも全てマスク着用が義務化されたこと等を受け、オードセーヌの製薬研究所を訪問し、マスコミの前に立ったマクロン大統領も、「マスクがたとえ、恥ずかしいものであり、痛みを伴うものであったとしても、ウィルスの循環を避けるためには、どうしても必要なものであることを述べました。

 彼は、「私もあなた方のようにマスクを着用するのは好きではないし、ラテン民族である私たちにとって、ソーシャルディスタンスを取ることは、私たちの習慣にはありません。しかし、現在の状況は、それらが合理的な方策であり、ウィルスと共存する方法を学んでいかなければならない」と続けました。

 大統領自身がマスクが恥ずかしいとか、嫌いだとか、痛みを伴うなど言うのも、正直すぎて、ちょっと驚くところですが、「何としても国単位での再ロックダウンは、避けなければならない」と訴える彼の必死さが表れています。

 この新規感染者数の爆発的な増加は、4月以来の記録を更新中で、ロックダウン解除以来、ヨーロッパの中では、危険とされていたスペインを追い越し、メキシコを追い越し、ブラジルに迫る勢いです。

 それでも、今のところは、まだ重症患者数は、そこまで増加はしていませんが、実際に、陽性患者の中でも、症状が見られる人の割合が増えており、若者の間で広がった二次感染の結果として、50歳以上の年長者の入院が増えており、現在の統計によると、一人が 1.4人に感染させている状態で、このままでは、1万人を突破する日もそう遠くないと見られています。

 フランスは、この感染急増の波に乗ってしまった状況で、9月には学校も再開され、多くの人が職場に戻り、デモまでが戻ってきて、感染拡大がどのようにして抑えられるのか? ほんとうに心配でなりません。

 とはいえ、ワクチンも治療薬もないものの、3月〜4月の感染拡大の時に比べれば、コロナウィルスに関する対処法は、この半年間で多くのことを学んだはずです。病院に入院しても、回復するケースも増えたし、4〜5週間は、ウィルスと闘う猶予期間が生まれてきたと言います。

 とはいえ、前回のロックダウン時には、ロックダウン宣言3〜4日の遅れが1000人単位の死者を生んだと言われているため、感染症の専門家は、次回、ロックダウンが必要と判断された際には、地域ごとでさえも、躊躇なしに即刻、ロックダウンが必要だと話しています。

 秋を迎え、気温も下がり、人々の日常生活も始まり、インフルエンザの流行も始まる何一つプラスに作用するものが見当たりません。涼しくなって、過ごしやすい季節が不安な季節となってしまいました。

 前回、3月、4月のロックダウンの際は、これから日も長くなり、明るくなる季節であったことがどんなに救われたかと思いましたが、これからの季節はまさに逆。なんとか、これ以上、感染が広がらないことを祈るばかりです。


<関連>「フランスでコロナウィルスが広まる理由」

 https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_19.html