2020年6月7日日曜日

ロックダウン解除・抑えきれないデモとレストラン・カフェの営業制限の矛盾


Image

 
  6月2日にパリで起こった、アメリカのジョージフロイドという黒人男性が警察の暴力によって死亡した事件から派生したデモは、未だ、続いていて、デモは禁止されているにも関わらず、今週末にも再び、パリ、マルセイユ、ボルドーなどを中心に、再び、多くの人が集まりました。

 パリでは、コンコルド広場から、エッフェル塔近くのシャン・ド・マルス公園などに約5500人、マルセイユでは、約3500人、ボルドーでは、約2500人が集まり、人種差別と警察の暴力に反対して集まりました。

 もはや、このコロナウィルス感染のおさまりきっていない状態でのデモ、最初は、あまりにたくさんの人出を見たときには、開いた口が塞がらないほど仰天しましたが、もはや、1000人単位での集まりを、いつの間にか、前回のデモが20000人(パリだけで)という数字と比べたら、まだマシ・・と思うようになってきて、だんだんと、起こっている事態について、感覚が麻痺してきてしまっているような気がします。(週末のデモの人出は、フランス全土で23300人と発表されています)

 コロナウィルスによる被害についても、4月3日あたりから、一日の死者数(感染者数ではなく、死者数です)が1000人を超える異常な日が半月以上続き、一日の死者数が100人を切り始めた最近では、まるで緊迫感が違ってきてしまい、昨日(6月6日)の死者数が31人だったというニュースをみて、少しホッとしてしまっている自分に気付いてハッとさせられます。

 慣れというものは、怖いもので、考えてみれば、海外生活を最初に始めたロンドンで、(ずいぶん昔の話ですが・・)度々、起こるメトロなどでの爆弾騒ぎなども、最初は、戦々恐々としていたのに、周りがあまりにあっさりとしているのに驚いていましたが、次第に自分も驚かなくなってきて、今や、フランスでは、日常のようなデモや暴動のような騒ぎも、日常が戻ってきた・・ように感じるのですから、平和ボケならぬ、危機ボケ?の波に飲み込まれてしまいそうな自分に気付いて、時々、ハッとさせられます。

 とはいえ、今回は、目に見えぬ、得体の知れないコロナウィルスに、やはり気を緩ませるわけには、いきません。

 10人以上の集会が禁止とか、レストランは、店内の営業が禁止だったりして、営業がテラスだけに限られている中、テラスをかなり無理に拡張して、歩道や道路さえも通行止にまでして、なんとか営業を再開している人たち、横断歩道の脇に置かれたテラス席でも、意地でも(そんな無理矢理なテラスでも)カフェのテラスの場所を死守している人たちは、このデモの人出をどう感じているのでしょうか? この人出を回避せずに、レストランの営業に制限をかけられていることに、憤りを感じているに違いありません。

距離を取るために信号の先にテラス席を作っているビストロ


 確かに、人種差別は、フランスに根深く存在します。この問題に抗議の声をあげるのも理解はできます。しかし、今のタイミングは、いけない。フランスのマスコミも、このコロナの渦中のデモの是非ではなく、人種差別問題自体を取り上げています。多くの若者がこの問題に立ち上がって抗議をするということを讃える声も多く挙がっています。

 しかし、今はまだ、多くの人が感染を控えるために仕事もできずにいるのです。

 カフェでの和やかな時間を大切にするのも、デモなどで自己主張するのも、どちらもフランスの文化の一部で、通常ならば、どちらもある程度のバランスを保って、なんとか共存しているフランスですが、現在は、どうにもそのバランスが歪(いびつ)な状態です。

<関連>「レイシスト・差別的な言動」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_56.html

 

2020年6月6日土曜日

ロックダウン解除後のフランス版メルカリサイトでの人気商品




 ロックダウン中に、この際とばかりに、家の中を片付けた人も少なくないと思います。類に漏れず、私も少々、家の不用品を片付け、もう、この際、いらないものは、処分しようと一時、ストップしていたフランス版、メルカリのようなサイトを一つ増やして、出品してきました。サイトによって、得意分野が違うので、二つのサイトにそれぞれ違うタイプのものを出品しています。

 日本のメルカリのサイトは、日本の緊急事態宣言の最中も取引が続いていて、手に入りにくくなっていたマスクや食料品の一部などを買い占めて、高値で売買するというようなことも起こっていたようですが、フランス版メルカリサイトでは、出品は、できるものの、ロックダウン中の取引は、一切、中止されていました。

 たとえ、商品?が売れても、郵送するために出かけたり、手渡しに行ったりすることも不可能でしたし、衛生的にも問題とされていたのだと思います。タダでさえ、外出できずにネットで買い物をする人が増えた状態に、追い討ちをかけるような配送業者への負担も考えられたのだと思います。ロックダウンと同時に、すぐに「取引停止」のお知らせが届きました。

 ロックダウンが解除されて、取引も再開されましたが、ここのところ、ロックダウン中に出品しておいたものが、少しずつ売れ始めて、少しだけですが、思わぬ、お小遣い稼ぎができています。

 買ったまま、全く袖を通していなかった洋服や、娘が子供の頃にほんの少ししか使わなかったゲーム類、やたらと可愛すぎる日本の文房具類や、プリンターが壊れて、違う機種に買い換えたために使えなくなった買い置きしてあったプリンターのインク、主人が買い集めた訳の分からない世界各国の民芸品のようなものなどなど、我が家の中には、いらないものが山ほどあるのです。

 何かを買い集めるということは、楽しいことでもありますが、後になってみると、なんで、こんなものを??と思うことも少なくありません。日本の実家を数年に渡り、片付けている身としては、今や、何かを集めるとか、そういったことが、いかに虚しいことかと感じてしまうのです。

 そういう私もフランスに来て以来、かなりの香水を集めており、気に入った香水を見つけては、買っていた時期があり、それは、いつの間にか、おそらく、私の一生に使い切れないほどになっていました。

 娘は、あまり香水は、好きではなく、彼女はいらないと言うし、整理してみれば、同じものがいくつもあったり、もう飽きてしまった香りのものも多く、思い切って、サイトに少しずつ載せてみたところが、さすがの香水好きのフランス人、他のものに比べて反応が違います。

 最初は、これまでロックダウンで買い物ができなかったために、とにかく買い物をしたい人がいるんだな・・ぐらいに思っていましたが、今週末は、フランスでは、母の日ということもあって、「母の日のプレゼントにしたいから、急いで送ってください」などと、メッセージがついていて、ここのところ、頻繁に郵便局通いです。

 母の日に香水を送る・・しかも、出来るだけ安い値段で探す(フランスの場合、値切り交渉も半端ないです)・・なんか、いかにもフランスな感じです。しかし、今さらながら、やっぱり、フランス人って香水、好きなんだなぁとつくづく思います。

 ところが、我が家の近くの郵便局の業務の一部を請け負ってくれていたお店がコロナの煽りを受けて、なんと今週末で閉店。なんとも、残念なことです。こんなところにもコロナウィルスが影を落としていることを、これから、色々な場面に遭遇しながら、実感していくのだと感じています。

<関連>
「メルカリとルボンカン(フランス版メルカリ)に見るやたら礼儀正しい日本人とめんどくさいフランス人」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_60.html

「香水を楽しむフランス人」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_87.html


 

2020年6月5日金曜日

ロックダウン解除・約5ヶ月ぶりで、かかりつけの医者へ


いつもと同じの静かな待合室


 私には、もう20年近く、かかっている近所のかかりつけのお医者様がいて、家族揃って、同じお医者様にお世話になってきたので、娘も小さい時からお世話になっていて、娘の成長の過程も家族の歴史も、その間の病歴なども全て、承知していて下さるので、とても、頼りにしています。

 今の地域に引っ越してきたばかりの頃には、近所の他のお医者様にも行ってみたことがあるのですが、結局、小さい頃の娘の希望で(彼女がきれいだから・・という、とても安易な理由でしたが・・)、彼女のところに通うようになりました。

 しかし、娘の直感は、正しく、彼女は、いつも冷静で、的確で、ちょっと見たところは、いかにも育ちが良く、賢そうな、上流階級のフランス人という感じで、少し冷たい印象もありますが、予約時間には、きっちり時間を守って見てくれるし、これまで私たちの身に起こった、なかなかの深刻な状況の時でも、冷静に的確に対応してくれていたし、何と言っても、長い付き合いなので、気心が知れていて、良い関係を保っています。

 私は、数年前から、いくつかの薬を毎日、飲んでいて、定期的に彼女のところに通って、一応のチェックをしてもらい、3ヶ月分の処方箋を書いてもらっています。その際に、既往症とは、関係ない鎮痛剤や軽い安定剤から胃薬、腰痛に効く塗り薬なども、まとめて処方してもらえるように、家の常備薬のための薬のリストを自分で作って持って行って、処方箋に加えてもらっています。そうすることで、大抵の薬は、保険でカバーされるので、我が家は、滅多に薬屋さんでお金を払うことはありません。(パリ節約術です。)

 話は、それましたが、私は、今年の2月に日本に行く予定にしていたので、1月末に彼女のところに行って、いつものように薬を3ヶ月分、処方してもらっていました。

 そして、日本から帰ってきたのが、2月末、それから、あれよあれよという間にロックダウンになり、いつも飲んでいる薬が切れてしまいましたが、当時、コロナ以外では、到底、医者にはかかれない状況から、期限切れの処方箋で2ヶ月間は、薬局で、いつもの薬を出してもらえたので、彼女のところにも行くことはありませんでした。

 しかし、ロックダウンが解除されて、薬が今週末には、切れてしまうので、約5ヶ月ぶりで、彼女のところに行くことになりました。しかし、付き合いも長い彼女、近況を聞くような電話も迷惑だろうし、どうしているのだろう?と、ずっと思っていました。

 けれど、感染がおさまってきたとはいえ、やはり、医者に行くのは、怖い気持ちもあったので、人があまり重ならなそうな、朝一番の時間に予約を入れました。

 果たして、待合室で人と出会わすこともなく、物々しく、警戒のテープが貼られたりしていることもなく、いつもと同じの静かな待合室でした。診察室に入ると、すぐにアルコールジェルを使うように言われたことと、彼女がマスクとフェイスシード付きのメガネをしていること以外は、いつもと変わらぬ診察室でした。

 このあたりでも、たくさんの感染者が出て、ここにもたくさんのコロナウィルスの患者が来たし、ピーク時には、パリのサンルイ島の病院に応援に行っていたという彼女ですが、自分の診療所に戻った今は、これまで医者にかかれなかった人たちの予約でいっぱいのようで、私の診察中にかかってきた電話にも、「今日は、もう予約がいっぱいいっぱい!今日はもう、5分でさえ、時間は取れないの!急ぎでなければ、別の日にして!」と言って、予約を断っていました。

 実際に、コロナウィルスの患者さんとも、たくさん接し、病院での悲惨な状況にも立ち会ってきた彼女は、コロナウィルスの恐ろしさを目の当たりにして、「これから数年は、警戒を怠ってはいけない・・そもそも、中国が早い段階で国をシャットダウンしないから・・」と、いつもは冷静な彼女にしては、珍しく怒りを露わにしていました。

 しかし、診察が終わって、処方箋を書いてくれて、私が彼女の診療所を出るのを見送ってくれる時には、いつものエレガントな彼女に戻っていました。

 ロックダウンからこれまで、確かに医者にかかれなかった人がたくさんいて、今後、しばらくの間は、彼女は、コロナウィルスの患者同様、それ以外の患者さんの対応に追われることでしょう。コロナ以来、医療従事者に対面したのは、初めてのことでしたが、一瞬、彼女が見せた、怒りの表情が忘れられない一日でした。

 何はともあれ、彼女が無事でホッとしました。

<関連>「フランスの医者の大盤振る舞いな薬の処方」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post_67.html

2020年6月4日木曜日

ロックダウン解除・パリのレストラン・カフェもテラス席で営業再開


Image


 パリのレストラン・カフェに日常の一部が戻ってきました。まだ、店内の営業は、認めたれていないため、店の外のテラス席のみの営業、しかし、実際にテラス席のある店舗は、全体の40%にしか過ぎす、急遽、パリ市役所に申請して、店舗の前の歩道のスペースや道路の駐車スペースなどの公共スペースの一部にテラス席を儲ける許可がおり、細い道路沿いなどは、通行止めになっている場所もあります。

 パリの街は、ロックダウン解除の第2ステージが始まる日の午前0時から、カフェのオープンを待ちわびていた人たちで、賑わいました。当日の夜は、テラス席に予約まで入る盛況ぶりで、予約をしていなかった人の行列ができたほどです。

 日本と違って、並ぶことが大嫌いで、とても苦手なフランス人も、この2ヶ月間のロックダウン生活で、スーパーマーケットなどにも、距離をとって並ばなければならなかったおかげで、ちゃんと列に並ぶという習慣がついたようです。並んでまで、楽しみたいレストランのテラスでのひと時、フランス人にとって、カフェ、テラスは、ほんとうに息をするように当たり前な日常の一部だったことを彼らの満面の笑みから垣間見た気がしました。

 ロックダウンになるという前夜、パリのカフェやバー、レストランは、年末のカウントダウンのように多くの若者が集まる騒ぎになりましたが、今回の解除第2ステージでのカフェ、レストランでの彼らは、若者だけではなく、年配の人も大勢いて、穏やかで、どこか、落ち着きを見せながらも、晴れやかな、日常を取り戻した嬉しさを隠しきれない表情が印象的でした。

 「バカンスでもない、特別なことでもない、カフェのテラスでコーヒーが飲める日常が戻ってきたことが何よりも嬉しい。」と何気ない日常の幸せを噛み締めているのでした。真の喜びというのは、ごくごく普通の日常を噛みしめることなのかもしれません。

 レストラン側も衛生面を考慮して、メニューは、これまで使用していた紙のメニューから、携帯でQRコードをかざすとメニューを読み込むことができるようになっていて、そのまま、携帯で、注文、支払いができるシステムを採用しているお店も多いようです。

 もともと、フランス人は、今回のコロナ対策は、関係なしに、テラス席が大好きです。特に、気候が良くなって、日も長くなった季節には、テラス席は、満席で、店内は、ガランとしている・・なんていうことがよくあるものです。

 私としては、小さなテーブルで、排気ガスにまみれ、人通りも多い落ち着かないテラスのスペースを好むフランス人が理解できないと思っていましたが、改めて、彼らが楽しそうにテラスでの食事やコーヒーを楽しんでいる姿を見ると、やっぱりこれがパリだよね!となんだか嬉しくなるのも不思議です。

 ロックダウン中の美しいパリの景色を何度も映像で見ましたが、やはり、レストランやカフェに人がいる様子は、街が生き返った感じです。

 レストランやカフェの営業のために、駐車スペースがなくなったり、道路が通行止めになったりして、苦情が出ても、おかしくはないのですが、彼らにとっては、むしろ、テラス席が拡大されることは、大歓迎なのかもしれません。

<関連>「パリのカフェに見るフランス人の日常の楽しみ方」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/12/blog-post_85.html
 

2020年6月3日水曜日

ロックダウン解除・第二ステージの幕開けは、2万人規模のデモというフランスの惨状

 
Image

 昨日は、午後から、やけにパトカーだか、救急車だかわからなかったものの、窓の外から聞こえてくるサイレンの音が途切れませんでした。コロナウィルスの感染拡大以来、ロックダウン中にも、救急車のサイレンは、頻繁に聞こえてきていて、また、誰かが搬送されているんだ・・と思いながら、感染の恐怖を家の中で感じていました。

 ここ数日は、それも少し、おさまって、サイレンの音がずいぶんと減って、感染の度合いもおさまってきたのだな・・と感じていた矢先でしたので、サイレンの音がまた、切れ目なく聞こえてくるのを、「また、感染爆発? まさかね・・」などと思っていました。

 ロックダウンが解除されたわけで、交通事故などもあり得るとは思いながらも、そのサイレンの音がいつまでも続くのには、何かが起こったのだ・・と思わざるを得ませんでした。案の定、事件は、起こっていました。

 ロックダウン解除の第2ステージ(さらなる解除段階)に突入したその日に、パリの裁判所前で、2016年7月19日に警察の逮捕の約2時間後に亡くなったという24歳の黒人男性アダマ・トラオレの死への抗議と正義を訴えるために、約2万人の人が集まり、大規模なデモ・抗議が起こったのです。4年前に起こった事件です。

 これは、明らかに、アメリカで起こったジョージフロイドの警察官による死亡事件に触発されており、彼らは、「アメリカで起こっていることは、フランスで起こっていることを反映している!」と訴えています。

 昼過ぎから始まったデモ・抗議行動は、夜になるにつれてエスカレートし、午後9時頃には、石が投げられ、アメリカの旗がポールに吊りあげられてデモ参加者によって焼かれ、ゴミ箱が焼かれ、パリ(17区)の路上のあちこちに、炎が上がりました。

 物々しいバリアを持った防護体制の警察や憲兵隊、消防が駆けつけ、数時間後には、沈静化しました。

 ロックダウンが解除されたとはいえ、パリは、まだレッドゾーンで、10人以上の集会は禁止されています。10人以上の集会の禁止など、どこ吹く風で、2万人とは、もう呆れ果てて言葉がありません。全く、禁止事項など、意に介していない人が、少なくとも2万人もいるのです。長い監禁生活のストレスもあると思いますが、禁止されているデモが2万人に膨れ上がるまで放置するということは、警察がまともに機能していないということです。

 ロックダウン解除がさらに進んで、フランスには、少しずつですが、日常が戻りつつあります。公園も解放され、レストランやカフェのテラスでは、ようやく取り戻した日常に満面の笑みを讃えて楽しいひと時を過ごす人で賑わいました。

 しかし、残念ながら、こうしたデモや暴動もフランスの日常のひとつなのです。
これで、パリにコロナウィルス感染の第2波が来なかったら、奇跡です。

<関連>「フランス人の熱量」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_11.html


2020年6月2日火曜日

コロナウィルスによるフランスの経済危機・賃金削減か?人員削減か?


Image


 パリのカルチェラタンは、学生街で知られる街ですが、多くの書店が並ぶ街でもあります。今回のコロナウィルスによるロックダウン、パンデミックの影響で、カルチェラタンの書店も一つ、また一つと閉店に追い込まれています。

 この界隈は、いわゆる普通の書店から、専門書を扱う書店、また、古本屋さんも数多く並んでいます。フランス人には、古い本を重用する習慣があり、学校の教科書なども年度の始まりに配られると全ての教科書にカバーをし、出来るだけきれいに使うことを心がけ、一年の終わりには、学校に返却することになっていて、紛失したり、破損したりした場合は、弁償させられます。(余談ですが、海外にいても、義務教育の期間は、無料で国民に新品の教科書を配布してくれる日本とは、エラい違いです)

 ですから、比較的、古本を使うことには、抵抗がなく、いらなくなった本を買い取ってもらったり、買いに行ったりすることが多いのです。我が家も、娘がプレパー(グランエコールの準備学校)に通っている頃は、カルチェラタンに学校に指定された教科書を探しに行ったり、いらなくなった本を買い取ってもらいに行ったりしました。

 今回、閉店したのは、考古学、古代史、建築を専門とする書店ですが、この先、次々と閉店する書店が続きそうです。

 また、ボルドー・トゥールーズ、マルセイユに3つの空港に拠点を置くアイルランド系の航空会社ライアンエアーは、コロナウィルスの機器により経営危機に陥り、フランス国内の従業員に対し、2020年7月より、5年間の給与の削減(5年後に、給与100%回復)、退職するかの二者択一を迫っています。パイロットの場合は、最大20%、客室乗務員(労働時間も年間2000時間から1600時間に削減)の場合は、最大10%の給与削減を提案しています。

 経営者側は、会社を崩壊させないための止むを得ない方策としています。

 給与の削減、労働時間の削減を受け入れて、5年間の減給に耐えて、少しでも安定した道を選ぶのか? それとも、この際、思い切って退職して、数年間、失業手当を受けながら、その間、スキルアップのための勉強や準備をして、新しい道を進むのか?(フランスの失業者への手当は、手厚いのです) 

 これは、ライアンエアーに限らず、多くの企業に起こり得ることで、おそらく、選択肢さえない場合も多いと思いますが、たくさんの人が、苦渋の選択を強いられることになります。

 これから先、同様の問題で、度々、摩擦が起こることは、明白です。ごくごく普通の当たり前だった生活が戻るには、なかなか時間がかかりそうです。

 先ほど、郵便物を送りに近所のtabac(タバ・タバコやロト、雑誌などを扱うとともに郵便局も併設するお店)が来週末に閉店するという貼り紙がしてありました。ヤレヤレ、便利だったのに、コロナウィルスの煽りを身近に感じる・・と思っていたら、その後、携帯に、メガネ屋さんから、閉店のお知らせの通知が入りました。当たり前の生活が戻る前に、もはや、立ち直れない状態になっているお店を続々と知るのが、ロックダウン解除の第2ステージの開始の日というのは、残酷な現実です。


<関連>「5月11日のロックダウン解除についてのフィリップ首相の演説 弱者が滅び、強者が生き残る社会」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/11.html











2020年6月1日月曜日

「STOP COVID 」フランスの感染者追跡アプリは、国民に浸透するか?





 6月2日正午、ロックダウン解除、第2ステージ突入と同時に、フランスでは、各自のスマホに「STOP COVID」という感染者追跡アプリを無料でダウンロードできるサービスがスタートします。アプリは、非常に簡単にインストールできるようにできています。

 これは、自分を守り、他者を守り、感染の連鎖をすばやく止め、コロナウィルス流行の第2波を回避するための取り組みをサポートすることを目的としています。

 すでに、コロナウィルス感染拡大防止の一環として、韓国、中国、シンガポールは、あらゆる戦略に加えて、2月、3月からモバイルの連絡先追跡アプリケーションを展開していますが、フランスでも、このアプリに関しての取り組みがなされていないことを2ヶ月ほど前から問題視されてきました。

 原則として、STOP COVIDは、半径1メートル以内で15分以上、陽性の診断を受けた人の近くにいる事を75%〜80%を警告することが可能で、個人情報については、すべて隠された中で、個人の自由を犠牲にすることなく、できるだけ早く対応できるようになっています。

 例えば、メトロの誰かの隣に座っている人、スーパーマーケットで並んでいて、もし、近くにいた人が病気であった場合に、その危険を警告してくれます。警告を受けた人は、症状がなくても、できるだけ早く検査を受けて治療するか、ウイルスの伝染の連鎖を断ち切るために監禁することができます。

 この警告は、コロナウィルスのテストで陽性と判定された人が、まず、このアプリを利用することが大前提で、また、より多くの人がこれを利用しない限り、意味のないものになってしまいます。

 しかし、このアプリの利用は、あくまでも任意であり、強制的なものではありません。
ユーザーが自発的にスマホにアプリをダウンロードして、利用しない限り、意味がありません。これが、もし、5月11日の最初のロックダウン解除の段階で利用できるようになっていれば、その時点では、かなり、危機感を持った人も多く、多くの人がこのアプリを利用し、国民の間に浸透していったと思いますが、ロックダウン解除から一ヶ月近く経ち、すっかり、解放されたモードの現在に、このアプリのサービスがスタートしたとしても、利用する人が一体、どれだけいるかは、甚だ疑問です。

 今の解放モードのフランスでは、マスクでさえ、義務化された場所以外では、しなくなっている人が大部分で、人が集まり、集い、大規模なデモまで、起こっている状況です。

 そんな状況の中、アプリを使って、人の動きに注意を払うとは、考えにくいのです。

 自由と権利を主張するフランス人には、強制を強いるか、罰則でも与えない限り、行動制限や、統率を取ることは、甚だ困難なことで、一度、解放してしまった今、感染の第二波を防ぐために・・などと言っても、これまでの監禁生活のストレスも合間って、再び、第二波が本当に起こってしまうまで、残念ながら、統率は、不可能と見ています。

 3月のロックダウン開始についても、国民のショックを考えて、段階的に・・などという方策をとったがために、ロックダウンのタイミングが遅れ、大惨事となってしまいました。今回の「STOP COVID」のアプリのサービススタートにしても、最初のロックダウン解除のタイミングにすべきでした。

 まだ、サービスがスタートする前から、こんな事を言うのもなんですが、せっかくの試みも、タイミングが悪ければ、意味がありません。フランスでは、「国民の良識に委ねる・・」などと言う絵空事は、通用しません。

<関連>「コロナウィルス対応 日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、衛生観念はやっぱり凄いなと思う」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_28.html