ある時、会社で同僚と話している時に、「カフェで座ってコーヒーを飲む人の気が知れない!」と、息巻いて話している二人がいました。
???と、聞き耳を立てていると、彼女らは、同じコーヒーを飲むのに、高いお金を払って座って飲むことが、信じられない!と言っているのです。
フランスでは、カフェでコーヒーを飲む時に、カウンターで立ち飲みするのと、席に座って飲むのとでは、若干、値段が違うのです。
日本だと、いわゆる「お茶する」と言うのは、座ってゆっくりしたいとか、ゆっくりおしゃべりしたいとか、そんなニュアンスですが、フランス人は、カウンターでも、ゆっくりおしゃべりするのです。
さすがにケチなフランス人、お茶するにも、同じコーヒーを飲むのに、座って高いお金を払うことはしません。
考えてみれば、彼らは、立っていることに、あまり抵抗がないのかもしれません。
かと思うと、彼らは、カフェのテラスで、埃と排気ガスと雑踏に紛れてお茶を飲んだり小さいテーブルで不自由そうに、食事をしたりするのも好きなのです。
寒い冬でも、カフェの外に置かれた小さいテーブルには簡単な暖房が備え付けられていることが多いのです。
街の景色を眺めているのか、街行く人を眺めているのか、それとも自分を見せているのか、わかりませんが、まずは、外のテーブルから埋まります。
私なら、暑い夏には、エアコンの効いている、寒い冬には、温かい室内が断然、良いし、まあ、気候が良い時など、ちょっとビールやワインを一杯・・なんていう時には、外もいいなと思うのですが、さすがに食事になるとゆっくり、埃も排気ガスもないきれいなところで・・と思ってしまいます。
ついでに言わせてもらうと、デザートを食べないフランス人というのも、あまりいません。食事をしても、たとえ、デザートを食べないことはあっても、最低、必ず、コーヒーだけでも飲みます。
そういえば、お弁当を持ってくる時にも、必ず、デザートを持っています。
ですから、外で食事をすると、食事が終わると、ウェイターがやってきて、「デザートは?」と聞かれます。「いらないです。」というと、「じゃあ、コーヒー?」「コーヒーもいらないです。」というと、ちょっと怪訝そうにされます。
そして、食事中もデザートを食べながらも、延々と喋り続けます。
こうして、考えてみると、たとえ、カフェで立ち飲みしようと、テラスで排気ガスを吸いながらお茶を飲もうと、彼らは、マイペースに、ゆったりと街の景色を楽しみ、会話を楽しんでいます。
食事が終わると、そそくさと出て来ようとする私は、なんだか、まだまだ、人生を楽しみきれていない気がしてきました。
<パリのカフェ>