2020年5月8日金曜日

フランスのロックダウン解除 フランスは、国民の命と経済の両方を守ることができるのか?

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 フランスは、3月17日以来の約2ヶ月間のロックダウンを5月11日に解除することを発表しました。

 前回のロックダウンの延長と解除の発表以来、地域ごとの段階的な解除ということで、フランスの地図を感染状況、病院の空き状況などによって、赤、黄色、緑の三色に色分けしてきましたが、今日の発表では、赤と緑の2色になりました。

 色分けをし始めてから、赤から黄色、緑へと変わった地域もありましたが、結局のところ、イル・ド・フランス、オー・ド・フランス、グランエスト、ブルゴーニュフランシュコンテの4つの地域、およびマヨット県は、赤のまま、残りました。

 ところが、赤の地域は、解除は、延期と思いきや、厳しい条件付きということで、他の地方と同じ段階で、「ロックダウン解除」という決断を下したのです。

 数日前に、マクロン大統領が小学校(イル・ド・フランス地域にある学校)を訪問し、マスクをして、子供たち(親が医療従事者だったりする家庭の子供が通学している生徒が数人だけの教室)と接したりしている様子を報道したりして、すっかり、解除モードをアピールして、子供たちにも、「来週からは、クラスメートも少しずつ学校に来るようになるよ!」などと、話したりしていたので、まさか・・と思っていたのです。

 わざわざ、色分けしておきながら、同時に解除するのは、解せませんが、それだけ、経済的にも逼迫した状況なのだと思います。ここのところ、一日の死者数も減少してきているし、ICUにいる重症患者数も減ってきています。しかし、レッドゾーン(赤の地域)は、未だ、ICUも満床状態で、余裕がありません。私は、そのための、色分け、段階的な解除と受け取っていましたが、この状態が長引くことは、明白で、リスクを冒してでも、ウィルスとともに生きていくことを模索し始めなければならないと判断したのでしょう。

 検査数を週70万に拡大し、陽性者は、隔離し、感染者の感染源の追跡も開始します。

 特に、イル・ド・フランスは、症例の多さは、予想以上としながらも、ロックダウンを解除することは、人口も多く、依然としてリモートワークが推奨されるものの、公共交通機関の混雑は避けられないイル・ド・フランスは、特にリスクは高いと思われます。

 公共交通機関の利用は、11才以上の乗客には、マスク着用が義務付けられ、マスクをしていない場合は、罰金135ユーロが課されます。また、ラッシュアワー(6:30~10:30, 15:30~19:30)には、職業証明書や外出証明書(通勤以外の止む終えない理由の場合)の携帯が必要となります。
中学は、閉校のまま、公園や庭園なども解放されません。自宅から100キロ以上の移動には、新たな証明書が必要となります。(原則的に禁止)

 とはいえ、カフェやレストラン、映画館などは、営業は、開始できないものの、40万の企業が再開され、87万5千人の人が仕事を再開します。全国の学校の80〜85%が再開するとしており、幼稚園、小学校の一部の学年の授業が段階的に再開されますが、実際に登校する生徒は、せいぜい6人に1人だと予想されています。

 こうした決断には、経済的な逼迫と同時に、近隣のヨーロッパ諸国が、少しずつロックダウン解除を始めていること、特にドイツのロックダウンが順調なことにも影響されているのだと思います。

 しかし、最初から、ドイツは、全く違う対応をしてきているのです。死者数も重症化する患者もフランスとは、桁違いです。当初から、検査・陽性者の隔離を繰り返し、現在も、検査数は、桁違いです。国民性も違います。2ヶ月間の監禁生活でのフランス人のストレスは、相当なものです。

 ドイツが順調だからと言って、フランスが同じように行くと考えるのは、危険です。フランスのロックダウン解除の鍵は、検査と隔離がどれだけ徹底して行うことができるかにかかっていると思います。

 公共機関だけでなく、マスクの着用が推奨されるとの発表以来、各市町村からの住民へのマスクの配布が始まっています。我が家にも昨日、紺色のマスクが届きました。各市町村は、住民からの突き上げを食って、マスクの配布の有無は各市長の政治生命がかかっていると言っても過言ではありません。

 しかし、マスクをすると、マスクをしていることで安心して、フランス人が再び、手を洗わなくなるかもしれない・・などと心配する人がいるような状態でのロックダウンの解除は、本当に心配です。実際に、この解除に猛烈に反対している赤い地域の市長さんもいます。

 今日も、何度、救急車のサイレンを聞いたか、わかりません。

 6月2日には、5月11日以降の感染状況の変化により、解除が広範囲の業種に広まるか、それとも再び、逆戻りするかの発表があるそうです。

 ロックダウン時には、他に選択の余地がない状況でしたが、今回は、他の選択もあったはず。兎にも角にも、国の将来に関わる重大な決断が下されたのです。

 フランスは、国民の命と経済の両方を守ることができるのか?
 



















 

2020年5月7日木曜日

ロックダウン後、2回目の買い物 生まれて初めてフランスでマスクを買いました!




 トイレットペーパーの買い置きは、してあったつもりで、まだまだ、あるある・・大丈夫・・と思っていたのに、いつもと勝手が違う状況で買い物をしたせいか、(単なるドジなのですが・・)買い置きしてあったのが、トイレットペーパーではなく、まさかのキッチンペーパーで、・・ロックダウンが解除になる前、ギリギリの今週末にでも買い物に行こうと思っていたのが、急遽、前倒しで、買い物に行くハメになりました。

 今週から、一般大衆向けにマスクの販売が解禁になったため、人出が多くなっているかと思い、開店と同時に行ったのですが、すでに、少しですが、並んで入場を待つ状態。ロックダウン以来、一度、買い物をしたきりだった私は、トイレットペーパーの他にも買い物が色々とあり、みるみるカートは、いっぱいになりました。

開店前からおとなしく並ぶ人々

 販売されているはずのマスクは、混乱と人だかりを避けるため、店内に陳列されてはおらず、レジで会計の際に頼めば、買えるということでした。

 1ヶ月ぶりのスーパーマーケットは、店内もすっかり、コロナモードが整えられて、透明なプラスチックのバリアや、人と人との距離を取る目安となりやすいために、床のあちこちに、物々しい色のテープが貼られていましたが、店員さんも、お客さんも、この状態に少し慣れたようで、先月、感じられたような、異様な緊迫感は、薄れていました。とはいえ、誰もが話をすることもなく、黙々と買い物をする様子は、いつもとは、全く違う光景です。

店内いたるところにこの表示

街中では、マスクをしていない人が増えているようで、心配していましたが、スーパーマーケットの中は、思ったよりも多くの人がマスクをしていたのには、少し、ホッとしました。欠品が多かった棚にも日常どおりとは、言わないまでも、先月、見たような、まるっきりガランとした棚は、見当たりませんでした。

 前回、意外にもガランとしていたチョコレートの棚も満杯になっていましたが、よく見てみると、いつものラインナップとは、少々、違いました。

 もちろん、トイレットペーパーも補充されていましたが、皆が家にいるために消費量も多いためか? 買い物の回数を減らすことを目的としているのか、あるいは、この際、大量に売ることを目的としているのかは、わかりませんが、大きなパックのものが多く、少々、戸惑いました。

 なかなか買えないと言われていた小麦粉も、どうやら、ポルトガルから輸入したらしい見慣れないパッケージのものが売っており、元々は、輸出用に生産されているものではないらしく、ポルトガル語のみの表記なので、それが、一体、小麦粉なのかどうか、少し迷ってしまいました。
 
 近くにいた男性も、「これ、小麦粉かな?」と迷いながら、手にしていました。いつもなら、ここで、話が始まるはずだ・・と思いつつ、ちょっと寂しい気持ちになっていました。フランス人は、知らない人にでも、わりと気さくに話しかけ、買い物に出ても、結構、知らない人と話をしたりするのですが、そんなことがまるでないのは、やはり、緊張感からなのでしょう。売られている商品の名前や値段の表示もないのも、日本では、あり得ないことだと思いながらも、この状況では、致し方ないのかもしれないな・・と思いながら、2袋の小麦粉を手にしたのでした。

 とりあえず、欲しかった食料品を夢中で、カートに詰め込んでいると、見慣れない新しい商品が登場しているのにも気がつきます。消毒用のアルコールジェルなどが、手に入りにくいためか、お酢を使った除菌スプレーなるものなども見つけました。(私は、買いませんでしたが・・)
 
お酢の除菌スプレー

 買いたい物をたくさん詰め込んで、レジに並ぶ段になって、マスクのことを思い出しました。お客さんの一人が「マスクはないのか?」と叫び出したからです。「マスクはレジにあります!」「マスクは、もうありません!」という声・・。私は、誘導されたレジが運の悪いことに、この期に及んで、小切手で買い物をしようとしているお客さんの後になってしまい、小切手がなかなか通らずに、延々と待たされるハメになりました。

 しかし、ようやく私の支払いの番になって、最後に、一応、「マスクは、ありますか?」と聞いてみたら、意外にも、「あるわよ!」というので、「じゃあ、下さい。」と言ったところで、まさかの割り込み客が登場。残り2パックのみだというので、割り込み客と、「じゃあ、一つずつ・・」と分け合うことにして、マスクを1パック買ってみました。

カーフールで販売しているマスク5枚セット2.9ユーロ

 フランスで、マスクを買ったのは、初めてでした。5枚入りで、2.9ユーロ(約350円)、政府が指定した上限の値段、1枚95セントよりは、安いものの、それでも、やっぱり、高いような気がします。

 想像以上に時間がかかり、帰ってくると、慣れないマスクをしているせいもあり、うっすら汗ばんで、すぐに、買ってきたものを消毒したり、自分も着替えたりして、ガックリ疲れました。

 ロックダウン50日目、2回目の買い物でした。















2020年5月6日水曜日

深刻なコロナウィルスの後遺症 求められる早期の段階の治療


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 これまでの、フランスのコロナウィルスの感染者数は、約17万人(169462名・5月4日現在)、死亡者は、25201人に上っています。単純に計算すれば、死亡率は、15%近くなります。

 そんな状況の中、5万人近くの人が回復しています。

 しかし、回復したとはいえ、その後遺症に苦しみ続けている人も少なくありません。特に、集中治療室での治療を受けていた人には、後遺症が残るケースが多いのです。

 集中治療室での治療の際に行われる人工呼吸器を長い期間、装着することが合併症を引き起こします。挿管され、換気され、鎮静されるという事実は、体の代謝亢進を引き起こします。これは、私たちが過剰なカロリーを消費するため、筋肉が溶けることを意味します。したがって、歩行に戻ることが困難になる可能性があります。

 また、動かないことによる腎不全や血管血栓症のリスクもあります。

 病気によって引き起こされる後遺症のほとんどはウイルス自体によるものではなく、肺だけでなく心臓、腎臓、肝臓、または脳にも損傷を与える可能性のある過度に強い免疫反応によって引き起こされる炎症によるものです。

 ですから、コロナウィルスから回復したとはいえ、その他の臓器等の損傷による後遺症が残る可能性が高いのです。

 回復したと言われている人の多くは、脚部の血栓、筋萎縮、疼痛、倦怠感、心臓疾患、呼吸の苦しさの継続に苦しんでいるのです。また、長期にわたる鎮静状態による影響から、認知障害を引き起こすケースも多いと言います。

 コロナウィルスの最も深刻な症状の一つは、急性呼吸窮迫症候群と呼ばれるもので、これが、肺線維症を引き起こし、肺の結合組織の治療不良を引き起こし、呼吸困難に陥ります。

 呼吸困難を起こして、フランスで入院し、その後、人工呼吸器を装着されてからは、意識がなく、目が覚めたら、ドイツの病院で寝ていたという男性は、今は、回復して(コロナウィルスは陰性になり)、フランスに戻り、自宅に戻っていますが、現在も、歩行困難が残り、会話をしているとすぐに息苦しくなってしまう、倦怠感、頭痛などの症状が残っていると言います。彼は、これから長い期間をかけての日常生活へのリハビリ(長時間の歩行と呼吸の訓練)に取り組むことになっています。

 後遺症の残るケースは、重症化してしまった場合に、より、リスクが高くなることから見ても、早期の段階での治療が必要なのであり、つまりは、広範囲にわたる検査の拡大が必要なのです。

 前回のマクロン大統領の演説では、症状のある人のみの検査を週70万人を目標に行うとしていましたが、症状を感じないまま、回復する人も多いとはいえ、コロナウィルスの特徴からも、自覚なしに感染を撒き散らす危険を考えれば、症状の有無に関わらず、検査をするようにしてほしいと思うのです。





2020年5月4日月曜日

コロナウィルス・ロックダウン解除 安全は、保障されるか?


Des passagers dans le métro, le 16 mars.


 フランスの5月11日のロックダウン解除まで、一週間となりました。フランスでは、ウィルスの感染が収まっていない状況でのロックダウン解除に際しての安全の確保について、盛んに語られています。

 テレビでは、正しいマスクの付け方、はずし方を解説したりしていますが、同時に、そのマスクが、手に入りにくい状況も報じています。今週から、一般大衆に向けて発売されるマスクも、まずは、医療機関に廻すべきではないか?との声も上がっています。

 また、人の往来に不可欠な公共交通機関であるSNCF(フランス国鉄)やRATP(パリ交通公団)は、「今の状況では、5月11日の段階での安全を保障できない」ことを発表しています。「リスクがあることを伝えるのは、とても、大切なこと」としています。

 昨年の12月から長期間、続いた公共交通機関のストライキの際などは、間引き運転で、混雑する電車に乗り込もうとする人々で、我れ先に電車に乗り込もうと争う様子に地獄絵図を見るようだと思いましたが、今回は、それに感染の恐怖が加わるのですから、交通機関の混乱は、安易に予想できます。

 そのため、自転車や車で通勤する人が増えましたが、それが可能な人も限られており、交通機関の安全の問題は、ロックダウン解除の際の大きな課題となります。

 また、「防護」「検査」「隔離」と軸としたロックダウン解除の「検査」に関しても、一週間に70万件という目標を掲げていますが、準備も難航しており、すでに、ミッション・インポッシブルなどと揶揄されています。

 ただ、PCR検査の費用の負担に関しては、国民健康保険でカバーされることも同時に発表されていますので、アメリカのように、生活貧窮者が検査費用の負担を案じて、検査を拒否するようなことには、ならないと思います。

 また、「隔離」に関しては、ここ数日間に、海外にいるフランス人の帰国に際して、空港でのチェックが甘いことが指摘されています。現在、飛行機の便数も極端に減っているため、出発地の空港では、人との距離を取るように、うるさく呼びかけられていたのに、実際に、いざ、飛行機に乗ると、満席状態、入国の際の健康チェックも、あまり厳しいものではなく、入国後は、2週間は、行動を控えるようにとは言われるものの、その後の追跡もなく、大勢の人が、そのまま、野に放たれている状態です。

 もともと、衛生観念の低い、モラルに欠ける人々が2ヶ月間のストレス状態から、ある日、解き放たれたら、どうなるか?

 「今回、ロックダウン解除ができなかった地域に関しては、さらに規制が厳しくなる。」としていますが、あと一週間となった今も、課題は、山積みのようです。



 

2020年5月3日日曜日

フランスのコロナウィルスとの戦いーこれまでの軌跡のルポルタージュを見て


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  ここ数日、フランスでは、コロナウィルスによる、ここ2ヶ月近くの状況の経過を50分ほどにまとめたルポルタージュがテレビで流されています。BGMや解説もつけられ、ドラマチックに仕上げられていますが、これが、ここ1〜2ヶ月で起こってきたことで、私もニュースで毎日、見てきた場面のごく一部であることに、呆然とさせられます。

 もしも、一年前の私がこの映像を見ていたら、SF映画だったとしても、あまり、リアリティを感じなかっただろうと思う映像ばかりです。

 マクロン大統領のロックダウン宣言、パリから逃げ出す人々で溢れかえるパリ・モンパルナス駅、ロックダウン当日、商店街で買い物を続ける人々に、「家に帰れ!1m の距離を取れ!」と、怒鳴り散らす警官たち。

 きっと、叫んでいる警官たちも、まだ、今ひとつ、理解していなかったのでしょう。マスクもせずに、人々の前で大声で怒鳴り散らしていました。

 次第に、フランス人も(人との距離をとって)並ぶということをするようになります。

 しかし、時すでに遅く、医療崩壊を起こして、病院内、ICUで奔走する医療従事者の様子。増加し続ける死者。3月31日の夜から、4月1日にかけて、救急車で運ばれてきた患者が病院に入れない状態になったと証言するパリの医療統括責任者。

 それから始まったドイツ・ルクセンブルクなどへのたくさんの機械やスタッフが同伴してのヘリコプターでの重症患者の搬送、TGVでの国内の他地域への搬送。

 16歳で亡くなった少女をはじめ、すでにテレビで報道された犠牲者の面々。家に閉じ込められた人々の生活の様子。家族との面会ができずに、個室に閉じ込められた高齢者施設の老人が感情を失っていく様子。

 空っぽになった世界中の街、人のいなくなった街に現れ始めた動物、大気汚染の解消された美しい街。

 これらの映像の記録は、きっと、後世までも残されて、語り続けられる貴重な映像となるでしょう。そして、今を生き続ける人のためにも、この現実を受けとめ、色々なことを感じて、深く考えるテキストとなるでしょう。

 私たちが、これまで、あたりまえのように送っていた日常生活の中で、何が大切なことだったのか、否応なしに考えさせられます。私は、ロックダウンの生活を、残りの私の人生をどうやって生きていくかを考える機会だと思っています。

 リモートワークをしてみて、無駄だと思われていた通勤の時間が、気持ちの切り替えには、必要な時間だったり、UberEatsなどで、宅配をしてみて、外食というものは、単に美味しいものを食べるというだけではなかったこと・・そして、人を避けなければならず、人に近寄れないことが、どんなに不自然で、人をギスギスさせることだったのか? 

 それでも、パリでは、40年ぶりの大気汚染が解消されたと聞かされると、これは、人間が痛めつけた地球を救うためのコロナウィルスという荒療治だったのかもしれないと思ったりもするのです。

 まだまだ、この危機は、当分、収まりそうもありませんが、このルポルタージュを見て、映像の記録というものは、大切なものだな・・と思った次第です。



 このルポルタージュは、全編フランス語なので、わかりづらいところもあるかもしれませんが、映像ゆえ、言語がわからない方にも、ある程度、伝わると思います。
https://www.bfmtv.com/mediaplayer/video/ces-55-jours-qui-ont-change-la-france-revoir-le-grand-reportage-de-bfmtv-1244010.html


2020年5月2日土曜日

ロックダウン解除に向けて、圧倒的にマスクが足りないフランス


Image de masques FFP2, ici vendus à Amsterdam.


 昨日から始まった、ロックダウン解除予報から、解除が見込める地域を始めとして、今、それぞれの地域で頭を抱えているのがマスクの確保です。

 感染が広がり始めた当初は、政府も、「一般人のマスク着用は、意味がない。」と言っていたのに、さすがに、「マスクは、した方が良い。」に変わり、フランスでも、3週間前くらいまでは、ほとんどの人がマスクをしていました。

 ここへ来て、すっかりロックダウン解除気分で、気が緩んでいる人が増え、驚くほどマスクをしている人が減りましたが、実際に解除になった場合は、どうなるのでしょうか?

 ロックダウン以来、主に医療機関などのために、大量に中国等から輸入されたマスクが空港に到着すると、警察や軍の警備の車に先導されて、大仰に運ばれています。マスクの盗難事件が相次いだためです、

 そして、現在は、ルイヴィトン、ディオール、サンローランなどのフランスの大手のブランドを始め、多くの繊維業者がマスクを製造しています。

 それでも、圧倒的に足りないマスク。
 まずは、どこよりも医療機関を優先とされるマスクの分配は、ロックダウンの解除が見込まれる地域でも、全国民に充分に行き渡るほどは、ないのです。どこの市町村も、「これだけの注文をしています。」というばかりで、実際にストックがどれほどあるのか、マスクが到着しても、まずは、医療機関を優先とすると、全ての人にマスクが行き渡るかどうか、明言できない状態です。

 現在のところは、薬局でも、一般人へのマスクの販売は、禁止されています。

 ロックダウン解除後の公共交通機関でのマスクの着用は義務付けられていますが、一般人の外出の際は、「マスク着用を推奨する」ことに留めているのは、マスクの確保ができていないからです。

 市町村によっては、洗って再利用することができるマスクを配布しているところもありますが、(私の住んでいる地域では、11日以降に発送するという通達が届いています。)いくら洗うことができるとはいえ、毎日、通勤するとなると、消耗品ゆえ、充分ではありません。

 ロックダウン解除を一週間後に控えた来週からは、一般人向けのマスクの販売が解禁になり、全国の薬局、タバ(Tabac)(タバコや雑誌などを売っているお店)、スーパーマーケット等でマスクの販売が解禁になります。

 大手スーパーマーケットは、カーフール 225百万枚、ルクレール 170百万枚、インターマルシェ 90百万枚と、それぞれに、すでに販売用に確保しているマスクの数を発表しています。マスクの価格の高騰を恐れて、政府は、サージカルマスクの価格の上限を95セント(約110円)に設定しています。

 しかし、ボジョレーヌーボーの解禁ならぬ、マスク売り出しの解禁とは・・。

 というわけで、来週は、マスクの争奪戦が予想されます。ロックダウン解除になったら、皆の気が緩んで、しばらくは、これまで以上に危険になるだろうと、食料品や薬の買い物は、解除の前の週にしようと思っていた私は、とんだ、見込み違いをしていたようです。

 これまで、マスクを毛嫌いしていたフランス人の間で、まさか、マスク争奪戦が始まるとは・・。

2020年5月1日金曜日

5月11日のパリのロックダウン解除は延期になる? ロックダウン解除予報マップ


Coronavirus : carte des départements, masques, Ligue1… l’essentiel de l’actualité du 30 avril

 フランスのロックダウン解除の判断の指標とされる、ウィルスの循環状況や、コロナウィルス対応の病床の占拠状況などを地域ごとに、色分けされたロックダウン解除予報マップのようなものが、発表されました。

 この発表が、今日から、天気予報のように、毎日、発表されると聞いて、私は、成績表を待つような気持ちで、見ていました。

 ロックダウン解除される地域は、緑、そうでない場合は、赤とされていたのに加えて、オレンジ(オレンジと呼んでいるけど、私には、黄色に見える)=どちらに転ぶかわからない地域の3色に分けられています。

 これは、今後、5月7日までの感染状況や病床状態の変化によって、各地域の色は、変わっていくことがあり得ます。

 日頃のニュースからも、イル・ド・フランス(パリを中心とする地域)や、フランスのオーバーシュートの震源地となったグラン・エスト(フランスの北東部の地域)などは、被害も大きく、ロックダウンになって以来、医療崩壊を起こして、病院に患者が収容しきれずに、廊下に溢れていたり、必死に、重症患者を他の地方に搬送していたりしたので、充分に無理なことは、明白であったのですが、地図を見て、「あ〜〜やっぱり、ダメだった・・」と思った自分に驚いたくらいです。

 実際のところは、今の状況では、私は、ロックダウンの解除はして欲しくないし、怖くてたまらないし、考えてみれば、地域ごとにロックダウンを解除すると言った時点で、パリのロックダウン解除は、あり得ない話だったのです。

 逆に、被害者も医療崩壊の度合いも激しいパリをロックダウン解除するなら、何も段階的にロックダウン解除などという必要はないわけです。

 もしも、パリがロックダウン解除になるとしたら、かなり厳しい制約付きの解除になるだろうし、そのようにしてもらわないと困ります。

 これから、長い間、きっと、毎日、天気予報を見るように、この地図を見るのが習慣化するのかもしれません。これが、この先、将来、ロックダウンが解除された時に、地域ごとに、日本の花粉情報のように、より細かい状況がわかれば、少し、危険な地域を避けられたりすることがあるかもしれません。

 天気予報に加えて、ウィルス予報・・今まで、考えもしなかったことが現実になっています。

 この地図を前もって発表することで、国民の意識が上向きに向かう効果が現れてくれればと思いますが、不安材料が、もう一つあります。

 マラリアの治療薬(予防薬)であるクロロキンを使ったコロナウィルスの治療でフランスでは、一躍、英雄扱いされている、マルセイユ医大の感染症の研究の権威、ラウルト教授がテレビのニュース番組のインタビューで、「コロナウィルスの感染は、落ち着いてきているし、第二波が来ることは、SFのように、信じ難いことだ。」と発言したのです。

 このような影響力が絶大な人の発言が、国民を一気に油断させる一旦にならないかと心配しています。

 彼は、インタビューに対して、感染症研究の視点から言えば、コロナウィルスの致死率は、大したことはないもので、季節的なものも影響しているので春から夏にかけてウィルスは減少するであろうと答えています。

 しかし、感染が少しずつ減少してきたのは、一ヶ月半にわたるロックダウンの効果であるに違いないのです。

 彼の話を聞いていると、彼は、あくまで研究者であることをひしひしと感じます。「治療薬が開発されて認証されるまでに一年かかったとして、その時に、治験対象者がいるかどうか?」などという、ちょっと信じ難いことまで語っています。

 クロロキンの投与に関しては、賛否両論あり、投与のタイミングの難しさ、副作用などもあることから異論も出ていますが、とかく、影響力のある人物の楽天的とも受け取れる発言が、今、綱渡りの状態であるフランス国民の気を緩ませるきっかけとならないことを祈るばかりです。