2020年1月5日日曜日

フランスの美容院は、大雑把で雑・・




 ここ数年は、日本に行く用事が多く、年に2〜3回は、日本に行っているので、美容院は、日本へ帰国時に行くことにしています。

 しばらく、日本へ行けなかった時期もあったので、その間は、ずっと、パリの家の近所の美容院へ行っていたのですが、ひとたび、日本の美容院の心地よさを思い出してしまえば、なるべく、パリの美容院には、行きたくないと思ってしまうのです。

 日本の美容院は、私の帰国時の至福の時間でもあります。座り心地の良い椅子に、頭皮や手のマッサージまでしてくれて、帰国して、長いフライト疲れの私は、ついつい眠ってしまいそうになるくらいです。

 それに比べて、パリの美容院は、自分の好みのヘアスタイルやカラーリングなどのニュアンスを理解してもらえることは稀で、また、趣味もあるので、きっと、感覚が共有できる美容師さんに出会えれば、違うのかもしれませんが、長いことパリにいて、未だに出会えていません。

 超高級なサロンなどに行けば別なのかもしれませんが、一般的なフランスの美容院は、概して、大雑把で雑です。

 雑なだけあって、仕上がりもびっくりするくらい早いのですが、日本のような、何度も細かくブロッキングして、少しずつ切っては、とかしてを繰り返し・・というような、丁寧で繊細なカットではなく、その場は、ブローまでしてもらって、一応、なんとか、格好はつくのですが、少しでも、髪が伸びてくるとすぐに乱れてしまうという、なんとも、不満足な結果になるのです。

 それは、フランス人との髪質の違いもあるのかもしれません。

 以前、イギリスに留学していた頃に、ロンドンにある、ヴィダル・サッスーンの学校に通っている日本からの美容師の留学生に会ったことがあるのです。日本からは、当時、ひとクラス4名以内と人数制限があるほど、人気の学校でした。

 彼が言うには、ヨーロッパの人の髪質は、日本人の髪に比べて、ずっと扱いやすく、また、型もつけやすいので、なんとなく、カッコ良く、出来てしまう。

 サッスーンで学んで、ひとしきり簡単にできるような気になっても、実際に日本へ帰って、日本人の髪を扱うようになると、日本人の髪はずっと手がかかり、型もつけにくいので、逆に日本に帰ってから挫折してしまう人もいるとか・・。

 きっと、フランスの美容院も、髪質などというものは、あまり、考慮に入れずに切ってくれてしまうので、なかなか、満足できる仕上がりにはならないのかもしれません。

 そのくせ、そこそこの値段をとるのです。その上、やたらとトリートメントしましょうかとか、スプレーしましょうかとか、上乗せ料金になるサービスを進め、こっちにしてみれば、「早いのだけが取り柄なんだから、余計なことは、してくれなくて良い!」と思うのであります。

 そんな風だから、いつも日本行きのチケットをとったら、すぐに、日本の美容院の予約をとるのです。

 ああ、早く、日本の美容院に行きたいです。










2020年1月4日土曜日

お国柄が現れるフランスの中華料理




 世界中、どこへ行ってもあると思われるチャイニーズレストラン。類にもれず、フランスにもチャイニーズのお店は、山ほどあります。

 多分、一番多いのは、気軽に食べることができて、テイクアウトもできる中華とベトナム、タイ料理などのアジア系の料理がミックスされたようなお店です。最近は、その中に日本食と思われるものも混ざっていて、エビフライをTEMPURAなどという名前で売っていたりします。

 フランスで、共通する一般的なチャーハン(Riz Cantonais / リ・カントネ)は、なぜか、味の素が大量に使われた、炒り卵とハムとグリンピースを入れて炒めてある、全体的に白いイメージのボヤッとした味のチャーハンで、パエリアと並んで、冷凍食品として売られていたり、学校の給食にまで登場するので、フランス人には、人気のメニューなのだと思われますが、はっきり言って、あまりおススメではありません。

 私は、普段、出不精なので、あまり、外食はしないのですが、中華料理だけは、中華街に買い物に行くついでに、食事に行くことも多いのです。
 何より、中華料理は、家庭の調理器の火力では、できない強火でサッと調理された野菜の炒めものなどが食べたいからです。

 私がよく行く中華料理のレストランは、値段もお手頃で、頃合いを見計らって行かないと並ばないと入れない、中国人シェフが腕を振るう人気のお店で、中国人のお客さんが多い中、フランス人のお客さんも結構いて、入れ替わるお客さんや、お料理のオーダーや配膳の人が慌ただしく行き交う中、ロゼのワインなどを飲みながら、悠々と食事をしています。

 フランス人が中華のレストランで必ずと言っていいくらい注文しているのは、鴨料理(Canard laqué / カナール・ラッケ)(うっすら甘い五香粉の香りのするソースをつけながらじっくり焼かれた鴨)なのです。

 うちの主人なども、中華料理に行けば、必ず、カナール・ラッケを食べます。

 皮がパリッと焼けていて、五香粉の香りと、鴨のしっとりとした、それでいてなかなか食べ応えのある肉がフランス人には、人気なのでしょう。もともと、鴨は、フランス料理でも、マグレ・ド・カナールなどでも親しまれている料理でもあり、フランス人の味覚には、合うのかもしれません。

 中華料理を食べに行っても、取り敢えず、フランス料理にも近いメニューを選ぶところも、フランス人らしさを感じ、同時に、フランス人の味覚は、かなり保守的なのだなあと思わされます。

 そう考えてみると、カナールラッケは、デコレーション等を変えて盛りつければ、ヌーベルキュイジーヌとして、フレンチにも出てきそうな気さえします。

 そして、私には、もう一つ、中華料理を食べるフランス人に関して、不思議に思っていることがあります。
 
 中華料理といえば、ある程度以上の人数で食事に行けば、みんなで小皿に取り分けて、分け合って食べるイメージがあるのですが、フランス人は、みんなで分け合って食べたりせずに、一人一人が注文して、それぞれが、自分の注文したものを別々に食べるのです。

 自分の食べたいものを自分が注文して、自分のものを自分で食べる。

 中華料理の食べ方にもフランス人の気質が見えるような気がするのです。






2020年1月3日金曜日

フランス人は、イタリアを下に見ている





 日本では、フランスもイタリアも、きっと似たような位置付けで、どちらも、おしゃれで、ヨーロッパの中では、きっと、比較的、印象の良い国の部類に入っているのだと思います。

 フランス料理もイタリア料理も人気があり、フレンチやイタリアンのレストランも日本には、たくさんあり、ちょっとおしゃれなデートなどでは、フレンチやイタリアンは、きっと同じレベルで存在しているのではないかと思います。

 日本人に人気の観光地としても、フランスは、安定の人気の国の一つですが、イタリアも同様に人気があり、どちらかというと、今や、イタリアの方が人気があるくらいです。

 ところが、フランス人は、なぜか、イタリアを下に見ているのです。

 これは、私が、フランスに住み始めて、初めて気が付いた意外な事実でした。

 まあ、誇り高く、愛国心旺盛なフランス人ですから、フランス人は、フランスが好きだということが、一番の理由だと思うのですが、同じ、ヨーロッパの隣国の中でも、ことさら、イタリアを下に見ていることがフランス人の言葉の端々に垣間見れます。

 きっと、ドイツやイギリスなどには、経済的にも、社会的にも、大きく出ることもできず、国民性も明らかに異なり、大っぴらに嫌ったり、バカにしたりすることはできないのでしょう。

 フランス人からすれば、イタリアは、経済的にも、ずっと下で、貧しく、貧しいがゆえの狡猾さを嫌悪し、警戒もし、脳天気でルーズで・・・となるのです。

 フランス人が第二外国語として、選ぶのも、ドイツ語かスペイン語が主流で、イタリア語は、大きな選択肢の中には、入っていません。学術的にも特視する点も見当たらず、フランス人がドイツやイギリスに留学することはあっても、ファッションなどの特別な業界以外で、イタリアに留学するなどという話も聞いたことがありません。

 私にしてみれば、表面的には、気難しく、気取って見えるフランスも、イタリア同様、基本的には、ラテン系で、ルーズで、気分屋で、似ているところも多いと思うのですが、そんなことをフランス人に言おうものなら、大変です。

 似ているからこそ、鼻につき、経済的に下で貧しいからこそ、ここぞとばかりにイタリア人を下に見るフランス人も、実は、イタリア人ほどには、陽気にもなりきれず、楽観的に人生を達観することもできない愛国心とジェラシーの裏返しなのかもしれません。

 しかし、意外と日本人には、知られていない、このフランスとイタリアの微妙な関係。
改めて、観察してみると面白いかもしれません。

 













2020年1月2日木曜日

お正月は、元旦のみ。フランスに、三が日はない




 フランスは、クリスマスをイブからクリスマス当日にかけて、盛大に祝いますが、祝日自体は、25日のみで、御用納めのような年末の区切りはなく、(実際には、クリスマスの期間にバカンス休暇を取る人は多いですが)31日には、新年へのRéveillon (レヴェイヨン)=カウントダウンは、あるものの、休日でもなく、年が明けて、1月1日の元旦のみが祝日で、2日からは、あっさりと仕事も始まります。

 ですから、この時期に、バカンス休暇を取らない限り、この、主には、食べるのに忙しい行事を乗り切るのは、大変です。タダでさえ、日頃から、食べることばかり考えている私にとっては、この食の一大行事の年末年始は、いつも以上に食べ物のことばかり考えています。

 12月の24日のクリスマスイブの日も、家族間で、人を招いたり、招かれたりが多い中、仕事を終えてからのディナーの準備に気忙しく、実際に慌ただしい時を過ごすことになります。

 24日、25日のメニューをあらかじめ、考えて、24日までに買い物を済ませ、下準備を済ませて、クリスマスイブ、クリスマスとのアペリティフから始まるディナーをせっせと用意します。

 自分自身も食べながら、常に満腹状態での次の食事を作り続ける二日間を過ごし、26日には、仕事です。

 日本人の私としては、大晦日の年越しそばや、お正月のお雑煮やおせち料理も、娘に日本の文化を伝えたい気持ちや、自分自身も一年の区切りを感じたいことから、フランスに来てからも、欠かしたことはありません。

 きっと、海外在住の日本人の多くの人が同じようなことをしているのではないかと思います。海外にいるからこそ、より、日本のお正月を感じたいという気持ちが湧いてくるのです。

 日本なら、お正月の三が日くらいは、ゆっくりして・・という感覚が染み付いていた私には、お正月早々、1月2日から仕事、お正月早々に仕事が始まることに最初は、なんだか、しっくりこない感じが拭えませんでした。

 実際には、私自身は、仕事上、元旦の日から出勤していましたので、元旦のお雑煮は、夜に・・となっていましたが、しかし、そんな生活も、いつの間にか習慣になっていました。

 ですから、きっと、年末年始の特別な食事のスケジュールは、年越しそばとお雑煮、おせち料理が加わる分だけ、フランス人以上に忙しい気忙しい、特別な一年の食の行事がたて込む時期なのであります。

 食いしん坊の私としては、忙しいけれど、楽しくもあり、クリスマスを盛大に食べて過ごしながらも、年越しそばとお雑煮と少しのおせちを欠かせない日本人なのであります。

 そして、たとえ、三が日が休みでなくても、年越しそばと、お雑煮と、少しのおせち料理、最悪、特におせち料理でもないものをお重箱に詰めて食べれば、お正月を迎えた気持ちになるのです。

 考えてみれば、私にとっては、宗教心も行事の意味も何もなく、ただ、ひたすら、食べることで、一年の区切り区切りを感じている超単細胞なのです。

 

 

2020年1月1日水曜日

パリの年越しと、シャンゼリゼのカウントダウン 日本語のオーシャンゼリゼ





 フランスの大晦日の年越しは、17時から、メトロなどの交通機関が無料で解放されることから、始まります。

 昼過ぎにちょうど駅にいた私は、17時からパリ市内の交通機関が無料で解放されるというアナウンスを聞いていましたが、これは、毎年と同じことながら、今年は、一ヶ月近くものストライキが続いているため、今さら、ほんの一日、無料でメトロを解放することをどこか、シラけた思いで、聞いていました。

 これだけ、一般市民を困らせておいて、今さら、偉そうに無料開放のアナウンスとは・・間引き運転で、通常では、考えられないような混雑したメトロに乗りながら、ますます、腹立たしい気持ちになりました。

 夜には、これも、毎年のことですが、大統領の2019年を振り返りつつ、新年に向けての国民向けのスピーチが流され、すぐさま、大統領のスピーチを聞いた街の人々や、スタジオに招かれたコメンテーターが喧々囂々とコメントする様子が流されます。

 昨年は、黄色いベスト運動で、今年は、年金改革に反対するデモやストライキがおこり、混乱の最中ですが、マクロン大統領がある程度は、歩み寄るが、年金改革に関しては、譲らないと声明を発したこともあり、気の毒なほど、マクロンが嫌われている様子が流されていました。

 それ以外の大晦日のトップニュースは、カルロスゴーンが日本からレバノンに逃げたことが報じられていました。

 シャンゼリゼでの年明けのスペクタクル(ショー)は、23時半頃から始まりますが、多くの人が、17時頃から集まり始め、シャンゼリゼは、あっという間に人で埋め尽くされます。
 

 今年は、ストライキの影響で、例年に比べると、若干、人出は少なかったものの、それでも、30万人の人出で賑わっていました。

 ストライキのイライラから、見事に気持ちを切り替えられるものだと感心しますが、この凱旋門、シャンゼリゼの大晦日のショーは、4ヶ月前から準備された、やはり、壮大なショーでした。
 
凱旋門、シャンゼリゼのショーの演出をする人々


音楽と映像を駆使したスペクタクルは、なかなか見応えもあり、シャンソンや現代的な音楽も使われ、最後は、凱旋門の背景に壮大な花火が打ち上げられて終わります。

 ショーを紹介するニュースでは、世界一美しいシャンゼリゼのスペクタクルをご覧くださいと、相変わらずのフランス人らしい、自信満々のキャスターの紹介で始まります。

 今回は、途中、日本人にも広く知られるオーシャンゼリゼの歌が流され、歌詞の2番は、なんと日本語訳の歌が流されるというサプライズな演出もありました。


オーシャンゼリゼの歌が日本語で流された動画

 2019年は、前年から続いていた黄色いベスト運動が記録更新のように続く中、ノートルダム火災や42℃という記録的な暑さを更新し、年末には、また一ヶ月を越そうとしているストライキやデモで大混乱満載のフランスでしたが、2020年は、少しでも、良い年となりますようにと祈っています。

 




2019年12月31日火曜日

フランスの年末年始にかけての食事




 フランスで、一番、季節感が味わえるのは、やはり、クリスマスから年末年始にかけての食事だと思います。

 明らかにクリスマスが一年の一大イベントと見なされている様子がその食料の豪華さや、豊富さ、圧倒的な量からもわかります。

 12月に入ると、スーパーマーケットやデパートの食料品売り場などは、莫大な量のフォアグラや、鴨肉、シャポン(普通の鶏よりもひとまわりもふたまわりも大きな去勢鶏)、キャビア、トリュフ、生ガキ、生ハム、スモークサーモン、テリーヌ、タラマ、いくら、オマールなどのエビやカニ、貝類が盛り合わせてあるシーフードのプレート、たくさんのチーズがのったプレート、シャンパン、ワイン、山積みにされたチョコレート、ブッシュ・ド・ノエルと呼ばれる丸太の形をしたケーキ、などなど、高級な食材で溢れかえります。

 日頃は、スープにハムにチーズとパン・・などという、かなり質素な食生活を送っている家庭が多いフランス人も、クリスマスや、年末年始には、ここぞとばかりに贅沢な食事を楽しみます。

 クリスマスイブとクリスマス当日、大晦日、元旦と続く、パーティーメニューに何を作るか? 何を食べるか?のテーマは、毎年のことながら、皆が楽しみながら、思考を凝らします。

 日本だと、クリスマスには、チキンという印象があるかもしれませんが、フランスでは、クリスマスの時期にしか、あまりお目にかかれないシャポン(大きな去勢鶏)が登場します。

 赤ワインの煮込みなどもありますが、多くは、栗やレバーなどをコニャックで風味付けしたものをお腹に詰め込んで、丸焼きにします。

 チキンよりも見た目にも立派で大きく、食べ出もあり、テーブルを華やかに飾るので、カッコつけたがりのフランス人には、好まれます。

 クリスマスは、家族で過ごし、大晦日から元旦にかけては、友人と過ごす人が多いのですが、どちらにしても、ただでさえ、食事に時間をかけるフランス人、ほぼ、数日、食べ続ける生活が続き、ほとんど、フォアグラのために飼育されている鴨のような状態になります。

 しかし、このフォアグラ状態は、まだまだ続きます。

 元旦もようやく終わり、クリスマスのバカンスも終わって、ヤレヤレという頃にまた、ガレット・デ・ロワという、アーモンドペーストを包んだパイ菓子を食べるという公現説(1月6日)の行事が控えています。

 ガレット・デ・ロワは、中にフェーブと呼ばれる陶製の小さな人形が一つ入っており、家族で切り分けて食べ、フェーブが当たった人は、ガレット・デ・ロワを買うと、必ず付いてくる王冠をかぶり、祝福を受けて、一年間、幸運が継続すると言われています。

 この時期になると、しばらくの間、家庭だけでなく、会社や友人などの間でも誰かしらが、ガレット・デ・ロワをシャンパンやシードルなどとともに買ってきては、王様ゲームのようにして食べるということが続きます。

 これで、一区切りではあり、ようやく落ち着きますが、2月2日には、ラ・シャンドゥルール(キリスト教の行事)でクレープを食べる日もあります。

 とにかく、年末年始にかけてのこの食事に、私たち、日本人は、海外在住といえども、大晦日の年越しそばや元旦のおせち料理やお雑煮をなんとか、挟み込みます。

 おせち料理などは、揃えるのも難しいのですが、そこは、なんとか出来るものだけでもとお重箱に詰めたりもしてみます。

 私は、今年は、誘惑に負けて、フライングで、年もあけていないのに、ガレット・デ・ロワを食べてしまいました。

 こうして、毎年毎年、年明けには、深く深く、ダイエットを決意するのであります。

 

2019年12月30日月曜日

理解できないストライキの続行



今年の12月に始まった年金改革に反対するストライキは、一向に解決の兆しが見えません。ストライキが始まって以来、もうそろそろ、一ヶ月が経とうとしています。

 今日も、買い物に行こうとして、トラムウェイ(パリ市内を走る路面電車)に乗ろうとしたら、通りを黙々と歩く人々がやたらといて、嫌な予感・・・やっぱり、電車は、来ないのです。

 なんとか、歩くことはできても、買い物をして、帰り、荷物を持って、延々と歩く元気はなく、敢え無く、断念しました。

 もはや、数々の記録更新を目指していると言わんばかりの長期戦で、これだけ大規模なストライキが続くのは、30年ぶりとのことで、パリ市内、パリ近郊の交通機関、メトロなどは、自動運転の2線を除いては、何本かに一本の間引き運転のみという状態がずっと続いています。

 公共交通機関が使えないことから、車は大渋滞で、パリ市内と郊外を結ぶ環状線は、600キロの大渋滞を記録し、ひたすら困って、足を求める人が押し寄せ、Uber(ウーバー)などの価格も急上昇し、ストライキとは、関係ありませんが、今年の夏の42℃という異常な暑さの新記録更新とともに、2019年は、フランスでは、暮らし辛い記録が次々と更新された一年となりました。

 昨年の11月から続いていた黄色いベスト運動がようやく下火になってきたところに、再び開始された感のある今回の年金改革のデモやストライキ。

 フランスの年金制度の赤字は、明らかで、今後も赤字は膨らみ続けるのは、明白なのにも関わらず、時代とともに改革していかなければならないのは、必須なのに、既得の優遇された権利にしがみつき、反抗を続けるのには、全く納得がいきません。

 だいたい、ストライキというもの自体、気に入らないから働かない・・という、まるで、駄々っ子のような振る舞いが、私には、理解できません。

 この間に、働きたくても働けない人がどれだけいることか、クリスマス、年末年始のシーズンの観光客が、どれだけ足止めを食っていることか? 今後の観光客がどれだけ二の足を踏むようになるか? 経済的な損失は、計り知れません。

 この間に、払い戻されたチケットは? 働きたくても働けずに利益をあげられなかった会社や、観光収入等のこの損失は、誰が払うのでしょうか?

 毎年毎年、いや、日常茶飯事のように行われているフランスのデモやストライキで、都市機能が麻痺し、経済が停滞していることは、必須です。

 逆にこんな状態が毎年毎年続いて、フランスが先進国の地位を保っているのが不思議なくらいです。逆に、こんなことが毎年毎年、日常のように、続いても経済が回っているフランスという国の持久力というのは、相当なものなのかもしれません。

 しかし、一般庶民の私としては、多くは望みませんので、普通の生活を普通に送れるような生活が1日も早く、戻ってくれることを祈りながら、新しい年を迎えることになりそうです。