コロナウィルスによるパンデミックが始まり、約1年が経とうとしています。その間、感染が拡大したり、ロックダウンや夏に向かう気候にも助けられて、一時は減少したりしましたが、秋から冬にかけて、気温の低下とともにウィルスは再び活発化して、感染が拡大し、第1波、第2波、第3波と何回もアップダウンを繰り返しながら、ウィルス自体も変化しながら拡大を続け、オリジナル?のコロナウィルスから、現在、フランスは、当初のコロナウィルスよりもイギリス、南アフリカ、ブラジルなどの変異種が確実に拡大し始めていることに脅威を抱き、警戒を緩めることはできない状態です。
しかし、ここへ来て、変異種の拡大とは、別に、コロナウィルスに感染した場合に症状が長期にわたって続いている症例が多く報告され、COVID LONG(長期コロナ感染症)として注目され始めました。
フランスでは、感染者の10%〜15%がこの症状に苦しんでいると言われています。
最近のコロナウィルス感染患者は、入院しても、当初よりも入院期間が比較的短期で退院が可能になるケースが増えてきており、軽症の場合は、2週間程度、重症でも3週間程度の入院で済む(もちろん、さらに長期入院の人もいる)とされています。
しかしながら、ある程度、回復しても、一旦、おさまった症状が、数ヶ月後に再び現れたり、退院後も倦怠感、胸の圧迫感が続いたり、少し経ってから、再び、味覚の変化、消化器疾患、吐き気、手足のふるえ、凍った手、体の特定の部分の灼熱感、悪寒、脱毛など、人により、様々な症状があるものの、これらの症状が一時的にひいてはまた、しばらくすると、症状を繰り返す、長期コロナ感染症に苦しみながら生活している人がかなり多いことがわかり始めてきたのです。
ある27歳の若い女性は、昨年の3月に一度感染して以来、胸部、腹部、全身の筋肉の痛みが継続しており、この約一年の間に、一部の症状が消えると他の症状が現れるという状態が続いていると言います。
最初の感染での治療終了後は、症状が変化するたびに、PCR検査を受けても、検査結果は陰性なのです。
もちろん、これらの症状が再感染によるものである場合もあるのですが、彼女のように、検査を行っても陰性であるケースも多く、これは、感染時に身体そのものにダメージを負ってしまっているケースに見られているもので、コロナウィルスが呼吸器、脳、心臓・心臓血管系、腎臓、腸、肝臓、皮膚など、身体のあらゆる部分に影響を及ぼしている結果であるということがわかってきています。
これは、感染した際に重症化した場合だけでなく、軽症で済んだと思われていた人にも、同じように起こる可能性があることがわかり始めており、あらためて、コロナウィルスの恐ろしさを突きつけられている感じです。
この長期コロナ感染症は、長期間にわたる後遺症とも言える症状ではありますが、後遺症が一定の症状が継続する一方、この長期コロナ感染症は、症状が治ったり、数ヶ月後に再び現れる波のような症状を繰り返し、軽症者にも見られる症状だけに、ますますタチの悪いものであるとも言えます。
感染が増加したり、減少したりしながら、パンデミックが長期化していることから、表面化し始めた、この「長期コロナ感染症」へのケアについて、フランス国会は政府に対し、「適応ケアパス」を開発し、職業(仕事)にも影響する病気としての治療の可能性を拡大することにより、深刻で長い形態のコロナウィルスへの対応を強化するように求めています。
それにしても、次から次へと恐ろしい威力を発揮し、進化し続けるコロナウィルス。軽症とて、決して侮ることはできず、とにかく、かからないに越したことはないようです。
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「深刻なコロナウィルスの後遺症 求められる早期の段階の治療」
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