2020年4月19日日曜日

コロナウィルス・ロックダウン下で驚かせられるフランスの変化


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 ロックダウン状況下にあるフランスでは、現在、動いているサービスは、病院、警察、銀行、郵便、スーパーマーケット、薬局など、ごくごく限られているので、全ての人とは、言えませんが、この異常事態が訪れてからというもの、私は、フランスの変化にちょっと驚いています。

 最初に感じたのは、その日の正午から、ロックダウンになるという日の午前中に、明日からは、外出許可証などを携帯しなければ、外出できなくなると聞いて、しばらくは、外出もややこしい事になりそうだと(実際は、大して、ややこしいことは、ありませんでしたが・・その代わりに感染の恐怖が増しました。)、とりあえずの食料を買っておこうと思い、近所のカーフールに買い物に行った時のことです。

 その頃は、今ほど、入場制限をしたり、人との距離を取りなさいとか、特に厳しい制限は、まだありませんでしたが、それでも、皆、ひたすら、黙々と、明らかに、いつもとは、違う種類の買い物を大量にしていることにも、「なるほど、フランス人が買いだめをするのは、パスタや小麦粉なんだ〜」などと妙なことに感心したのと同時に、カーフールの店員の様子にも驚かされたのです。

 フランスの日常では、スーパーマーケットなどは、欠品があっても、長いこと、品出しをしないままで、店員は、ダラダラと固まっておしゃべりをし、携帯をいじり、レジの店員同士でおしゃべりをしていて、レジに並んでいる人々は、延々と待たされたりします。

 レジの人が、野菜などの名前がわからなくて、「これ何?」などと、聞かれたりして、(フランスでは、多くの野菜がパックになっておらず、量り売りでない野菜は、そのままレジに持っていくのです。)思わず、「お前が売ってんだろーが!」と思ったりします。

 何か、品物を探したり、何かを店員に尋ねても、「知らない!」「それは、私の仕事ではない!」は、フランス人の常套句です。ところが、ロックダウン直前の日以来、店員は、心なしか足早に店内を移動し、キビキビと働く様子に、本当に驚いたのです。

 私は、フランスに住んで、20年以上になりますが、スーパーマーケットの店員が足早に店内を移動し、キビキビと働いているのを見たのは、初めてでした。この緊急時でもあり、日本なら、日常でも当たり前のことなので、なんら、不思議はないことだと思いますが、フランスでは、驚きのことなのです。

 また、郵便でさえも、いつもは、国内だと、地方に何か送ったりすると、下手をすると、日本への国際便よりも時間がかかったりするのに、今は、配達の日数が減らされているのにも関わらず、わりと、あっさりと届くのです。

 銀行などにしても、普段だと、やたらと、ああでもないこうでもないと言われたり、ミスが多く、何かと物事が滞りがちなところ、あっさりと事が進みます。国からの補助金もあっさりと振り込まれたという話なども耳にします。

 こんな状況下で不謹慎ではありますが、「やれば、できるじゃん!フランス人!」と、私は、こっそりと思っているのです。

 そもそも、フランス人は、不思議な人たちで、日頃は、「これは、私の仕事じゃない!」とか、「これは、私の責任ではない!」とか、およそ、身勝手な感じを受ける事が、多いのですが、実のところは、身近な人で、本当に困っている人、困難な状況に陥ってしまった人に対しては、びっくりするほど親切で、親身になってくれるところがあります。その時の行動力には、日頃とのギャップも相まって、こちらの方が面食らうくらいです。

 今後、いつになるかは、まだ、一向に見込みがつきませんが、いつか、ロックダウンが解除されて、普通の日常が戻ってきたら、フランス人は、また、元のフランス人の仕事っぷりに戻ってしまうのだろうか?などと、そんなことも、ふと思ってしまいます。

 でも、今は、元の働かない、横柄なフランス人でいいから、ごくごく日常を取り戻せる日が一日も早く来ることを祈っています。もしかしたら、そんな日常が戻ったら、以前は、「チッ!」と思っていた、ダラダラとおしゃべりをしているカーフールの店員を見て、私もどこか、ホッとするかもしれません。銀行、郵便、スーパーマーケット、薬局など、ごくごく限られているので、全ての人とは、言えませんが、この異常事態が訪れてからというもの、私は、フランスの変化にちょっと驚いています。

 最初に感じたのは、その日の正午から、ロックダウンになるという日の午前中に、明日からは、外出許可証などを携帯しなければ、外出できなくなると聞いて、しばらくは、外出もややこしい事になりそうだと(実際は、大して、ややこしいことは、ありませんでしたが・・その代わりに感染の恐怖が増しました。)、とりあえずの食料を買っておこうと思い、近所のカーフールに買い物に行った時のことです。

 その頃は、今ほど、入場制限をしたり、人との距離を取りなさいとか、特に厳しい制限は、まだありませんでしたが、それでも、皆、ひたすら、黙々と、明らかに、いつもとは、違う種類の買い物を大量にしていることにも、「なるほど、フランス人が買いだめをするのは、パスタや小麦粉なんだ〜」などと妙なことに感心したのと同時に、カーフールの店員の様子にも驚かされたのです。

 フランスの日常では、スーパーマーケットなどは、欠品があっても、長いこと、品出しをしないままで、店員は、ダラダラと固まっておしゃべりをし、携帯をいじり、レジの店員同士でおしゃべりをしていて、レジに並んでいる人々は、延々と待たされたりします。

 レジの人が、野菜などの名前がわからなくて、「これ何?」などと、聞かれたりして、(フランスでは、多くの野菜がパックになっておらず、量り売りでない野菜は、そのままレジに持っていくのです。)思わず、「お前が売ってんだろーが!」と思ったりします。

 何か、品物を探したり、何かを店員に尋ねても、「知らない!」「それは、私の仕事ではない!」は、フランス人の常套句です。ところが、ロックダウン直前の日以来、店員は、心なしか足早に店内を移動し、キビキビと働く様子に、本当に驚いたのです。

 私は、フランスに住んで、20年以上になりますが、スーパーマーケットの店員が足早に店内を移動し、キビキビと働いているのを見たのは、初めてでした。この緊急時でもあり、日本なら、日常でも当たり前のことなので、なんら、不思議はないことだと思いますが、フランスでは、驚きのことなのです。

 また、郵便でさえも、いつもは、国内だと、地方に何か送ったりすると、下手をすると、日本への国際便よりも時間がかかったりするのに、今は、配達の日数が減らされているのにも関わらず、わりと、あっさりと届くのです。

 銀行などにしても、普段だと、やたらと、ああでもないこうでもないと言われたり、ミスが多く、何かと物事が滞りがちなところ、あっさりと事が進みます。国からの補助金もあっさりと振り込まれたという話なども耳にします。

 こんな状況下で不謹慎ではありますが、「やれば、できるじゃん!フランス人!」と、私は、こっそりと思っているのです。

 そもそも、フランス人は、不思議な人たちで、日頃は、「これは、私の仕事じゃない!」とか、「これは、私の責任ではない!」とか、およそ、身勝手な感じを受ける事が、多いのですが、実のところは、身近な人で、本当に困っている人、困難な状況に陥ってしまった人に対しては、びっくりするほど親切で、親身になってくれるところがあります。その時の行動力には、日頃とのギャップも相まって、こちらの方が面食らうくらいです。

 今後、いつになるかは、まだ、一向に見込みがつきませんが、いつか、ロックダウンが解除されて、普通の日常が戻ってきたら、フランス人は、また、元のフランス人の仕事っぷりに戻ってしまうのだろうか?などと、そんなことも、ふと思ってしまいます。

 でも、今は、元の働かない、横柄なフランス人でいいから、ごくごく日常を取り戻せる日が一日も早く来ることを祈っています。もしかしたら、そんな日常が戻ったら、以前は、「チッ!」と思っていた、ダラダラとおしゃべりをしているカーフールの店員を見て、私もどこか、ホッとするかもしれません。

2020年4月18日土曜日

マクロン大統領が警告 「コロナウィルスの中国の発表をバカ正直に信じてはいけない!」


Le seuil des 150.000 morts dus au coronavirus a été passé le 17 avril 2020.


 フランスのマクロン大統領は、先日の英国、ファイナンシャルタイムズ紙のインタビューで、「中国のコロナウィルス感染の蔓延に関して、中国の発表どおり「バカ正直に信じてはいけない。」「私たちが知らないことが起きているのは、明らかだ。」と警鐘を鳴らしました。

 マクロン大統領からの、この発言も、アメリカのトランプ大統領が、中国寄りの対応だと非難を続けていたWHOに対しての資金拠出停止を発表したあたりから、WHOとともに、感染元であり、当初に情報を隠蔽しようとした中国に対する世界からの非難の声が再燃し始めたことにあります。

 武漢が感染源であることは、今や、隠しきれない事実であり、感染拡大の原因は、最初の感染を隠蔽した中国にあることは、世界中が承知しているにも関わらず、これを今まで言及できなかったのは、どの国も、自国の対応でいっぱいいっぱいの状況で、中国の責任問題を追求する余裕がなかったからです。

 それが、トランプ大統領の発言により、マスコミのインタビューなども、WHOや中国などに及ぶことになり、今回のマクロン大統領の発言に繋がったのです。

 もともと、アメリカのトランプ大統領は、3月の段階から、「中国が事態を公表しなかったことで、世界が大きな代償を払っている。」と中国を非難して、コロナウィルスを中国ウィルスなどと呼んだりしていましたが、ここへ来て、アメリカでの感染拡大がより深刻になり、感染者数、死者数も世界一になったあたりから、アメリカの初動対応の失敗から逃れたいのか、トランプ大統領の発言も対応も過激になり、中国は、事実を隠蔽するばかりでなく、感染者数や死亡者数を偽って発表しているとし、実際にアメリカの諜報機関が現地での調査に入っています。

 フランスのマスコミでは、「選挙を控えたトランプ大統領は、アメリカの感染者、死者が世界一になることに耐えられないのだ・・」などと言っていますが、フランスとて、中国の態度に怒りを感じていることには、違いありません。

 感染源となった武漢が4月の初旬に感染者がゼロになったとして、ロックダウンを解除する様子をまるで、新年を迎えるように華やかにライトアップしたり、花火を上げたりして祝う派手な報道を世界中に流す様子は、いかにも芝居じみていて、それを、いまいましい気持ちで眺めていた人が、世界中でどれだけいたことだろうかと思います。

 世界の国々と中国、それぞれに政治的な問題もありますが、ともかくも、これからのワクチンや治療薬の開発に際しても、感染源となった場所や経過や感染拡大の詳細な事実を情報公開することは、とても重要なことです。

 少なくとも、問題となった武漢の研究所は、カナダ、アメリカ、フランスの資金で設立されているのです。正しい情報公開の義務があります。

 それにしても、不誠実な中国と真っ向から対決する姿勢を見せるアメリカと、「中国の言うことなど、はなから、バカ正直に信じていない。」と、斜め上から見ている感じのフランス。なんとなく、それらしい感じの反応だなと思うのです。

 

2020年4月17日金曜日

リスクを侵してコロナウィルスのロックダウンを解除し始めたヨーロッパ

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テレビで経済的な問題への質問に答える経済財務大臣


 4月13日のマクロン大統領のロックダウン延長とともに、5月11日から、徐々にロックダウンを解除していくという発表があって以来、これまで、一ヶ月以上、ひたすら、コロナウィルスの感染拡大と、その対応や現状について報道されてきましたが、俄かに、フランスは、ロックダウン解除の方法や、経済的な問題が報道されるようになってきました。

 これまでの一ヶ月、そして、最低でも2ヶ月近くになるロックダウンによる経済的なダメージは、いくら、政府からの援助があるとはいえ、充分ではなく、多くの人々が悲鳴をあげているのが現実です。

 今回のコロナウィルスによるパンデミックでは、被害が最大となってしまった(アメリカを除く)ヨーロッパでは、ロックダウンしていた国が少しずつロックダウンを解除する方向に動きつつあります。

 オーストリア、スペイン、ドイツ、スイスなどの国々が、すでに、段階的なロックダウンの解除に踏み切りました。

 先陣を切って、ロックダウンの段階的な解除を発表したオーストリアは、一日あたりの感染者が1千人超えの状態から、4月6日の段階で200人台にまで減少した時点で、14日からのロックダウンを段階的に緩和していくことを発表しました。

 オーストリアでは、すでに、小規模の店舗、園芸店、ホームセンターから営業を再開、5月からは、美容院、ショッピングセンター等、全ての店舗が営業を再開します。(レストラン、ホテル等に関しては、5月中旬から)

 営業再開に際しては、一定のソーシャルディスタンスが保たれるための入場制限とマスクの着用が条件となっています。

 少なくとも、フランスは、これらのロックダウン解除の先陣を切った国々をある程度、参考にできると同時に、近くの国々が次々と経済活動を再開しつつあるのを横目で見ていれば、国民感情としても、自分たちも・・と煽られることになるのも必須です。

 ここ数日、フランスも感染者は、ごくごく僅かですが、減少傾向にあるとはいえ、未だ、新たに感染が確認された患者は、17164名(4月16日現在)もおり、1日の死亡者は、753名、集中治療室の患者は、減少しているとはいえ、6248名、通常の満床状態は、5000床(集中治療室)のところを遥かに上回っている状態です。

 これから、約4週間の間にどれだけ、減少できるかは、全くわからない状態です。

 フランスも、経済的な逼迫も厳しく、「あくまでも、国民がルールを守り、ウィルスの拡散が現実的に減速した場合」という前提での、経済活動再開の発表では、あったものの、今となっては、そんな条件があったかを忘れてしまったかのように、ロックダウン解除に世論が傾きつつあり、もしも、それが叶わなかった場合の国民の落胆は、幾ばくかと、そのショックもまた、想像するのも恐ろしい気がします。

 ある程度、ウィルスと共生していかなければならないという意見もあるようですが、それは、ワクチンや治療薬が開発されてからの話だと思うのです。これ以上の感染拡大は、何としても、避けなければならないのです。

 今も、救急車のサイレンが聞こえない日はありません。











2020年4月16日木曜日

コロナウィルス ロックダウンの中、アマゾン フランス閉鎖 ポチッと買物できても配達するのは生身の人間




 WEBサービス会社・アマゾン フランスは、4月14日、ナンテール裁判所での略式審理において、コロナウィルスの感染が広がる中、従業員の安全と健康を保護する義務を明らかに無視しているとし、「食品、医療、衛生用品」を除き、24時間以内に全ての配達を停止するように命じられました。これに違反した場合、一日あたり、100万ユーロのペナルティが課せられることになります。

 アマゾンは、これを不服とし、上訴する意向を示しては、いますが、この判決により、アマゾン フランスは、5日間、フランス国内の全てのアマゾンの倉庫を閉鎖し、アマゾンフランスのサイトも4月16日〜20日まで、閉鎖することになりました。
 この閉鎖期間中、従業員には、報酬の100%が支払われます。

 そもそも、コロナウィルス以前から、アマゾンの労働環境の劣悪さは、フランスだけでなく、アメリカ、イギリス、日本など、たくさんの国で問題になっています。

 その悲惨な状況は、実際に配送の仕事に潜入したルポライターなどのレポートを目にすることがありましたが、安い賃金で、過酷な労働を強いられる人間扱いされないような社風には、疑問が上がっていました。

 フランスでも、アマゾンの倉庫や配達に関わる人から、犠牲者が出ていることがニュースに上がっていましたが、この労働者が強いフランスという国において、信じ難いことだと思っていたのです。

 しかし、今回、コロナウィルスの感染により、アマゾンに調査が入り、その労働環境、特に、このような非常時での会社側の労働者への安全環境が保たれていないことが確認され、今回の業務停止状態になったのです。

 現在のロックダウン状態で、通常以上の注文が入り、商品の管理も配達も煩雑を極め、飽和状態になっている最中の、このアマゾンのロックダウン状態。

 消費者にとっては、命綱とも言える状態でありながらも、実際に配達などの仕事に当たる人にとっては、私たちが今、家庭で受け取ったら、全てを消毒するようなダンボールを満足な装備もなしに、一日にいくつも、何人の人に接して配達し、感染の恐怖に怯えながら仕事をして下さっていることには、本当に言葉が見つかりません。

 アマゾンの配送をしている人は、この最中、安い賃金で、感染の恐怖に怯えながら、マッサージオイルとゲームソフトを配達していることに、絶望的な気持ちになると語っています。

 私自身は、普段から、フランスは、配送事情が悪く、頼んだものが、まともに届かないことも多いので、あまり、ネットショッピングは、しませんが、このような状況、買い物に自分で行けない人にとっては、大切なサービスの一つです。

 経済活動に貢献すると、大義名分を掲げて、気軽にネットショッピングを続ける人も多いようですが、注文は、ネットでポチッと簡単にできても、実際に配達をするのは、生身の人間なのです。

 この状態を放置していれば、本当に生きていくのに必要な配送さえも受け取れなくなってしまいます。

 5日間の閉鎖の後も、アマゾン フランスは、当面の間、配達は、「食品、医療、衛生用品」に制限されることが検討しているそうです。

 今回のアマゾン フランスの例は、実は、氷山の一角で、人命よりも、会社や国の経済状態を重視するところは、たくさんあるのではないかと思っています。

 フランスの死者数は、17167名(4月15日現在)に上っています。

 

 







 















2020年4月15日水曜日

フランスのロックダウンの延長と解除の発表への国民の反応



 昨日の大統領のロックダウン延長と解除に関する演説は、フランスの国民の94.4%が見ていたそうで、視聴率としたら、大変なものです。

 当然のことですが、自分たちの生活、命に関わることですから、国民の注目が高いのも当然です。

 昨日のブログにも書きましたが、私の想像が当たっていたとすると、マクロン大統領の思惑どおり、国民の感心は、ロックダウンが一ヶ月近く延長されることよりも、5月11日のロックダウン解除の方に一気に傾きました。

 少なくとも、ロックダウンの延長に対する反発がなかっただけでも、大統領の思惑の大事なところは、果たされたのではないかと思っています。昨日の発表は、あくまでも、ロックダウンの延長がメインだったと思うのです。

 「もう、家にばかりいるのは、飽き飽きした! 外に出たい! 仕事に戻りたい! 学校に戻りたい! 日常の生活を取り戻したい!」と、思ってはいても、ワクチンも治療法もなく、確たる治療法もなく、完全にコロナウィルスが消滅していない状況で、実際に、ロックダウンが解除されるかもしれない=学校が始まる、仕事に戻る・・ロックダウンが解除されるかもしれないとなれば、どんな、状態で、その時に臨めばいいのか、政府側が、準備してくれることだけでなく、各々が準備すること、回避しなければならないこと、心構えしなければならないことは、山ほどあります。

 そして、それをどんな風に乗り越えていくべきなのか? 人々は、考え始めました。少なくとも、なぜ?あと一ヶ月近くもロックダウンするのか?という声は、聞こえてきませんし、むしろ、「おいおい、ロックダウン解除なんて、大丈夫なのか?」という声さえ、出ています。

 現実的には、医学的な専門家は、学校の開始は、全く無理だとは、言わないまでも、とても難しいだろうとの見方が多く、学校開始前に全員の検査を行うべきだとか、また、学校側としても、1クラスが通常は、30人ほどの授業をいつもどおりに行うことは、無理で、どのように学校を再開したらよいか? それなりの対応の仕方を考えなければならないとか、ロックダウンで、閉ざされていた思考回路が動き始めた感じがしています。

 待ちかねていたように仕事の開始の準日を始める人も多く、一ヶ月の延長発表にも関わらず、少なからず、国民の姿勢は、前向きになり始めたと思います。

 しかしながら、現実は、5月11日という、一先ずの区切りの日程が発表されたにも関わらず、集中治療室の患者数は、ほんの少しだけ減ってはいますが、(6730名・4月14日現在)、死者数は、前日よりも増えており(762名・+188)、5月11日のロックダウン解除が徐々にとはいえ、実際に行われるかどうかは、甚だ疑問です。

 だいたい、死者数が600になったとか、700になったとか、こうして、毎日、数字を追っていると、その数字に麻痺している気さえしてしまいます。

 一人の命がなくなることは、大変なことなのに、こんな風にケタ違いの死者数が発表される毎日がやはり、どれだけ異常なことなのか、自覚し直さなければいけないとハッとさせられます。

 外出禁止になって、約一ヶ月、そして、さらに一ヶ月、どう過ごしていくかで、それから先の生活も変わっていくのだと、意識しながら、生活しなければと思っています。

 それでも、長引く監禁生活に、平気なつもりでいても、イタリアの大聖堂で歌うテノール歌手の歌声や、遠隔にも関わらず、集まって演奏しているオーケストラの音楽を聴いて思わず、うるっとしてしまったり、どこか、心がこわばっている自分にも気付かされます。

 毎日、ベランダでスクスク育ってくれる野菜たちが、ささやかな、しかし、大きな喜びになっています。














2020年4月14日火曜日

コロナウィルス・ロックダウンの延長と徐々に解除していくことを同時に発表したマクロン大統領の真意


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 「フランス人は、マクロン大統領を信頼しているか?」 
演説が始まる少し前のニュースのタイトルには、こんなタイトルがつけられていました。

 フランス国民の多くが注目していたマクロン大統領の演説は、コロナウィルスとの戦いが始まって以来の第一線で働く医療従事者をはじめ、この状況下で働き続けている商店、交通機関、警察、運送関係等々、そして、外出禁止の生活を守り続けている人に対する感謝から始まりました。

 そして、ロックダウンの効果は、表れているものの、イル・ド・フランス(パリを中心とした地域)やグラン・エスト(フランス北東部の地方)での医療対応の飽和状態や現在の一日の死者数、集中治療室にいる患者数などを考えても、未だ、到底、ロックダウン解除の状況ではないことなどを述べ、5月11日までのロックダウンの延長を発表しました。

 そして、同時に、あくまでも、国民がルールを守り、ウィルスの拡散が現実的に減速した場合という前提で、5月11日には、段階的に保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校を再開すること、一般の人の仕事も徐々に再開することを発表したのです。(ただし、レストラン、カフェ、映画館、劇場、美術館は、引き続き閉鎖、イベント、集会なども同様に少なくとも7月中旬までは、禁止。EUの国境も当面、閉鎖。)
(15日以内に11日以降の詳細な計画を発表する。)

 そして、更なる経済的援助、特に、観光業、飲食業、ホテル業等の経済的打撃の大きい部門、最貧員層の人々に関しては、特別な措置を取ることを、4月15日以降の閣議で決定すること、さらに、5月11日からは、症状のある全ての人にコロナウィルスの検査を行い、陽性者は隔離し、治療を行い、皆が安全に社会生活を始めるために、全ての国民にマスクを配布することも付け加えました。

 しかし、私は、この5月11日という日程の発表は、最低でも、あと一ヶ月以上は、ロックダウンが必須な状況で、財政的なことも含め、何よりも国民があと一ヶ月のロックダウンの状況をいかに受け入れやすくするかを考え抜いた、あくまでもロックダウン延長を目的とした発表であったと思っています。

 5月11日という日にちが、どのように選定されたか、(これまでの感染者の状態や感染の推移や、それまでに、物資的や環境的に政府が準備することができる日程から設定されたと思われますが・・)はっきりとは、わかりませんが、2週間ずつ細切れに、延長を発表されるのでは、国民の意識も緩みやすく、最低でも必要な期間の日付を設定することで、ある意味、これまでに相当なストレスを溜め込んでいる監禁生活に目標のようなものができ、その後の生活に向けての準備をすることもできます。

 そして、それまでは、(5月11日までは、)今まで同様、むしろ、より厳しく外出禁止の規則を守ってほしいと訴えたのです。

 これまでも、外出禁止ではありましたが、天気が良いから、バカンスに入ったから・・とふらふらと出歩き始めてしまうフランス人を、さらに、長期間、コントロールするためには、どうしても、はっきりとした日にちの目標の設定が必要であったように思います。

 もちろん、未知の病気であり、世界的なパンデミックになっている状況、この感染がどのように変化していくのかは、わかりません。

 いみじくも、スペインが、一足先に、リスクを冒しながらも、一部、社会活動を再開し始めたことから、俄かに、色めき立ち始めようとしていたフランス人を牛耳る、最良とまでは行かないまでも、よくよく考えられた政策であったような気がしています。

 5月11日という日にちを突きつけられたフランス人が、今後、一ヶ月近くの外出禁止をどれだけ守って生活することができるか? 今のフランスの感染状況は、本来ならば、5月11日という日程が設定できるような甘い状況ではありません。
 少しでも気が緩めば、さらなる感染拡大は、充分に考えられることです。

 「とりあえず、予想し得る範囲内で日程を設定し、それまでに、そのための準備は整える。だから、それまでは、外出禁止を尊重するように。もし、それが出来ずに感染が更に拡大すれば、さらなるロックダウンの延長もあり得る。」ということです。

 多くの国民は、さらに一ヶ月近いロックダウンの延長は、致し方ないこととは、わかっていても、生半可な説明では、国民を納得させることは容易ではなく、ロックダウンの延長と同時に、ロックダウンを徐々に解除していく日にちを同時に発表するという方法は、ロックダウン下にある国民の心情や、国民の動きを鑑みながら、ロックダウンの延長という少なからずショッキングな事実以上に、ロックダウン解除実施の現実的なリスクに国民の注目を移行させることであったと思います。

 特に、5月11日の学校の再開については、リスクが高すぎると、既に批判的な見方が広まりつつありますが、とにもかくにも、彼の真意は、ロックダウンの延長とその徹底であったことに違いありません。

 「5月11日にロックダウンを徐々に解除する。」というのは、あくまでも、ウィルスの拡散が現実的に減速した場合という前提ですから、たとえ、学校再開は時期尚早という声が上がったとしても、それは、いくらでも変更できることで、彼の第一の目的であった、一ヶ月近いロックダウンの延長に、なんら、問題はないことなのです。



 

































 

2020年4月13日月曜日

注目されるマクロン大統領の決断 コロナウィルス・ロックダウン延長



 今晩、マクロン大統領からの発表があるというアナウンスがあり、今のフランスの状態で、外出禁止が解除されることはないことは、国民の誰もがわかっています。しかし、このマクロン大統領の発表が外出禁止の延長であるとしても、それが、いつまで延長になるのか、今後の見通し、政策は、どうしていくのか、大変な注目が集まっています。

 すでに、フランスがロックダウン状態になってから、1ヶ月近く経っていますが、ここ数日、ようやく一日の死者数、集中治療室にいる患者数が減少してきているものの、未だに、イル・ド・フランス(パリ近郊の地域)などの感染者の多い地域では、病院の病室の占拠状態は、300%以上と、悲惨な状況です。

 ロックダウンの宣言をする段階では、フランスの厚生省の関係者によると、国民のショックを最小限にするために、段階的に行われたそうですが、そのロックダウンの数日間の遅れが、どれだけの人の命を奪うことになったか、計り知れません。

 ここへ来て、国民への経済的な援助は、ありながらも、立ちいかなくなる会社も失業率も増加し、この先、ロックダウンがさらに長く続いていくことになると、経済的な逼迫も、より切実なものになり、大変、重要な局面です。

 大方の予想によると、5月の中旬までは、必須という話ですが、中途半端な状態で、ロックダウンを解いてしまっても、再度、感染が爆発した場合は、これまで以上の被害に及ぶことは間違いなく、かといって、このままロックダウンが続いては、経済的にも大変、厳しい状態に陥り、病人を支える経済力にも影響が出てしまうのです。まさに、崖っぷちの状態です。

 少なくとも、ロックダウンの解除は、検査体制の徹底と、全国民に行き渡るマスクの確保ができない限り、不可能と言われています。

 コロナウィルスの感染拡大が始まってから、私は、これまでにないほどフランスの報道と、日本での報道を毎日、見ているので、国や、状況が違うので、一概に比較はできないと思いつつも、ついつい、影響を受けていたのです。

 というのも、日本の政府の対応などを見ているせいか、マクロン大統領の声明は、とても明瞭で、説得力があると感じていたのです。

 ところが、翌日、マクロン大統領の発表を控えて、フランスのマスコミでは、「今回の発表では、なぜ、ロックダウンを延長するのか? その期間の設定の根拠は何なのか? 前回の彼のスピーチには、躊躇が感じられ、説得力がなかった。今回は、もっと、明瞭に説明してもらいたい!」と言っているのです。

 フランスの世論は、マスコミを含めて、とても厳しいです。
国民性の違いと言ったら、それまでですが、事は、多くの国民の命、国がこれ以上の大混乱に陥るか否かの重大事です。マスコミも含めて、厳しく政府を追求することも必要なのです。

 大統領の決断に国民が納得して、一致団結して、さらにコロナウィルスと戦っていくことができるかどうかは、彼の裁量にかかっているといっても過言ではありません。

 当然、フランスのテレビなどの報道では、フランス国内の報道でいっぱいいっぱいで、せいぜい、ヨーロッパ、イギリス、アメリカの現場などで、日本の様子が細かく報道されることは、ありません。

 むしろ、ところどころで、日本や韓国などのアジアの国々では、マスクをする習慣があるから感染者が少ないとか、日本は、マスクを国民に配ることにしたらしい(スゴい)などと報道される程度です。

 政府の対応が詳しく報道されずにいて、よかったかも???