2020年4月16日木曜日

コロナウィルス ロックダウンの中、アマゾン フランス閉鎖 ポチッと買物できても配達するのは生身の人間




 WEBサービス会社・アマゾン フランスは、4月14日、ナンテール裁判所での略式審理において、コロナウィルスの感染が広がる中、従業員の安全と健康を保護する義務を明らかに無視しているとし、「食品、医療、衛生用品」を除き、24時間以内に全ての配達を停止するように命じられました。これに違反した場合、一日あたり、100万ユーロのペナルティが課せられることになります。

 アマゾンは、これを不服とし、上訴する意向を示しては、いますが、この判決により、アマゾン フランスは、5日間、フランス国内の全てのアマゾンの倉庫を閉鎖し、アマゾンフランスのサイトも4月16日〜20日まで、閉鎖することになりました。
 この閉鎖期間中、従業員には、報酬の100%が支払われます。

 そもそも、コロナウィルス以前から、アマゾンの労働環境の劣悪さは、フランスだけでなく、アメリカ、イギリス、日本など、たくさんの国で問題になっています。

 その悲惨な状況は、実際に配送の仕事に潜入したルポライターなどのレポートを目にすることがありましたが、安い賃金で、過酷な労働を強いられる人間扱いされないような社風には、疑問が上がっていました。

 フランスでも、アマゾンの倉庫や配達に関わる人から、犠牲者が出ていることがニュースに上がっていましたが、この労働者が強いフランスという国において、信じ難いことだと思っていたのです。

 しかし、今回、コロナウィルスの感染により、アマゾンに調査が入り、その労働環境、特に、このような非常時での会社側の労働者への安全環境が保たれていないことが確認され、今回の業務停止状態になったのです。

 現在のロックダウン状態で、通常以上の注文が入り、商品の管理も配達も煩雑を極め、飽和状態になっている最中の、このアマゾンのロックダウン状態。

 消費者にとっては、命綱とも言える状態でありながらも、実際に配達などの仕事に当たる人にとっては、私たちが今、家庭で受け取ったら、全てを消毒するようなダンボールを満足な装備もなしに、一日にいくつも、何人の人に接して配達し、感染の恐怖に怯えながら仕事をして下さっていることには、本当に言葉が見つかりません。

 アマゾンの配送をしている人は、この最中、安い賃金で、感染の恐怖に怯えながら、マッサージオイルとゲームソフトを配達していることに、絶望的な気持ちになると語っています。

 私自身は、普段から、フランスは、配送事情が悪く、頼んだものが、まともに届かないことも多いので、あまり、ネットショッピングは、しませんが、このような状況、買い物に自分で行けない人にとっては、大切なサービスの一つです。

 経済活動に貢献すると、大義名分を掲げて、気軽にネットショッピングを続ける人も多いようですが、注文は、ネットでポチッと簡単にできても、実際に配達をするのは、生身の人間なのです。

 この状態を放置していれば、本当に生きていくのに必要な配送さえも受け取れなくなってしまいます。

 5日間の閉鎖の後も、アマゾン フランスは、当面の間、配達は、「食品、医療、衛生用品」に制限されることが検討しているそうです。

 今回のアマゾン フランスの例は、実は、氷山の一角で、人命よりも、会社や国の経済状態を重視するところは、たくさんあるのではないかと思っています。

 フランスの死者数は、17167名(4月15日現在)に上っています。

 

 







 















2020年4月15日水曜日

フランスのロックダウンの延長と解除の発表への国民の反応



 昨日の大統領のロックダウン延長と解除に関する演説は、フランスの国民の94.4%が見ていたそうで、視聴率としたら、大変なものです。

 当然のことですが、自分たちの生活、命に関わることですから、国民の注目が高いのも当然です。

 昨日のブログにも書きましたが、私の想像が当たっていたとすると、マクロン大統領の思惑どおり、国民の感心は、ロックダウンが一ヶ月近く延長されることよりも、5月11日のロックダウン解除の方に一気に傾きました。

 少なくとも、ロックダウンの延長に対する反発がなかっただけでも、大統領の思惑の大事なところは、果たされたのではないかと思っています。昨日の発表は、あくまでも、ロックダウンの延長がメインだったと思うのです。

 「もう、家にばかりいるのは、飽き飽きした! 外に出たい! 仕事に戻りたい! 学校に戻りたい! 日常の生活を取り戻したい!」と、思ってはいても、ワクチンも治療法もなく、確たる治療法もなく、完全にコロナウィルスが消滅していない状況で、実際に、ロックダウンが解除されるかもしれない=学校が始まる、仕事に戻る・・ロックダウンが解除されるかもしれないとなれば、どんな、状態で、その時に臨めばいいのか、政府側が、準備してくれることだけでなく、各々が準備すること、回避しなければならないこと、心構えしなければならないことは、山ほどあります。

 そして、それをどんな風に乗り越えていくべきなのか? 人々は、考え始めました。少なくとも、なぜ?あと一ヶ月近くもロックダウンするのか?という声は、聞こえてきませんし、むしろ、「おいおい、ロックダウン解除なんて、大丈夫なのか?」という声さえ、出ています。

 現実的には、医学的な専門家は、学校の開始は、全く無理だとは、言わないまでも、とても難しいだろうとの見方が多く、学校開始前に全員の検査を行うべきだとか、また、学校側としても、1クラスが通常は、30人ほどの授業をいつもどおりに行うことは、無理で、どのように学校を再開したらよいか? それなりの対応の仕方を考えなければならないとか、ロックダウンで、閉ざされていた思考回路が動き始めた感じがしています。

 待ちかねていたように仕事の開始の準日を始める人も多く、一ヶ月の延長発表にも関わらず、少なからず、国民の姿勢は、前向きになり始めたと思います。

 しかしながら、現実は、5月11日という、一先ずの区切りの日程が発表されたにも関わらず、集中治療室の患者数は、ほんの少しだけ減ってはいますが、(6730名・4月14日現在)、死者数は、前日よりも増えており(762名・+188)、5月11日のロックダウン解除が徐々にとはいえ、実際に行われるかどうかは、甚だ疑問です。

 だいたい、死者数が600になったとか、700になったとか、こうして、毎日、数字を追っていると、その数字に麻痺している気さえしてしまいます。

 一人の命がなくなることは、大変なことなのに、こんな風にケタ違いの死者数が発表される毎日がやはり、どれだけ異常なことなのか、自覚し直さなければいけないとハッとさせられます。

 外出禁止になって、約一ヶ月、そして、さらに一ヶ月、どう過ごしていくかで、それから先の生活も変わっていくのだと、意識しながら、生活しなければと思っています。

 それでも、長引く監禁生活に、平気なつもりでいても、イタリアの大聖堂で歌うテノール歌手の歌声や、遠隔にも関わらず、集まって演奏しているオーケストラの音楽を聴いて思わず、うるっとしてしまったり、どこか、心がこわばっている自分にも気付かされます。

 毎日、ベランダでスクスク育ってくれる野菜たちが、ささやかな、しかし、大きな喜びになっています。














2020年4月14日火曜日

コロナウィルス・ロックダウンの延長と徐々に解除していくことを同時に発表したマクロン大統領の真意


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 「フランス人は、マクロン大統領を信頼しているか?」 
演説が始まる少し前のニュースのタイトルには、こんなタイトルがつけられていました。

 フランス国民の多くが注目していたマクロン大統領の演説は、コロナウィルスとの戦いが始まって以来の第一線で働く医療従事者をはじめ、この状況下で働き続けている商店、交通機関、警察、運送関係等々、そして、外出禁止の生活を守り続けている人に対する感謝から始まりました。

 そして、ロックダウンの効果は、表れているものの、イル・ド・フランス(パリを中心とした地域)やグラン・エスト(フランス北東部の地方)での医療対応の飽和状態や現在の一日の死者数、集中治療室にいる患者数などを考えても、未だ、到底、ロックダウン解除の状況ではないことなどを述べ、5月11日までのロックダウンの延長を発表しました。

 そして、同時に、あくまでも、国民がルールを守り、ウィルスの拡散が現実的に減速した場合という前提で、5月11日には、段階的に保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校を再開すること、一般の人の仕事も徐々に再開することを発表したのです。(ただし、レストラン、カフェ、映画館、劇場、美術館は、引き続き閉鎖、イベント、集会なども同様に少なくとも7月中旬までは、禁止。EUの国境も当面、閉鎖。)
(15日以内に11日以降の詳細な計画を発表する。)

 そして、更なる経済的援助、特に、観光業、飲食業、ホテル業等の経済的打撃の大きい部門、最貧員層の人々に関しては、特別な措置を取ることを、4月15日以降の閣議で決定すること、さらに、5月11日からは、症状のある全ての人にコロナウィルスの検査を行い、陽性者は隔離し、治療を行い、皆が安全に社会生活を始めるために、全ての国民にマスクを配布することも付け加えました。

 しかし、私は、この5月11日という日程の発表は、最低でも、あと一ヶ月以上は、ロックダウンが必須な状況で、財政的なことも含め、何よりも国民があと一ヶ月のロックダウンの状況をいかに受け入れやすくするかを考え抜いた、あくまでもロックダウン延長を目的とした発表であったと思っています。

 5月11日という日にちが、どのように選定されたか、(これまでの感染者の状態や感染の推移や、それまでに、物資的や環境的に政府が準備することができる日程から設定されたと思われますが・・)はっきりとは、わかりませんが、2週間ずつ細切れに、延長を発表されるのでは、国民の意識も緩みやすく、最低でも必要な期間の日付を設定することで、ある意味、これまでに相当なストレスを溜め込んでいる監禁生活に目標のようなものができ、その後の生活に向けての準備をすることもできます。

 そして、それまでは、(5月11日までは、)今まで同様、むしろ、より厳しく外出禁止の規則を守ってほしいと訴えたのです。

 これまでも、外出禁止ではありましたが、天気が良いから、バカンスに入ったから・・とふらふらと出歩き始めてしまうフランス人を、さらに、長期間、コントロールするためには、どうしても、はっきりとした日にちの目標の設定が必要であったように思います。

 もちろん、未知の病気であり、世界的なパンデミックになっている状況、この感染がどのように変化していくのかは、わかりません。

 いみじくも、スペインが、一足先に、リスクを冒しながらも、一部、社会活動を再開し始めたことから、俄かに、色めき立ち始めようとしていたフランス人を牛耳る、最良とまでは行かないまでも、よくよく考えられた政策であったような気がしています。

 5月11日という日にちを突きつけられたフランス人が、今後、一ヶ月近くの外出禁止をどれだけ守って生活することができるか? 今のフランスの感染状況は、本来ならば、5月11日という日程が設定できるような甘い状況ではありません。
 少しでも気が緩めば、さらなる感染拡大は、充分に考えられることです。

 「とりあえず、予想し得る範囲内で日程を設定し、それまでに、そのための準備は整える。だから、それまでは、外出禁止を尊重するように。もし、それが出来ずに感染が更に拡大すれば、さらなるロックダウンの延長もあり得る。」ということです。

 多くの国民は、さらに一ヶ月近いロックダウンの延長は、致し方ないこととは、わかっていても、生半可な説明では、国民を納得させることは容易ではなく、ロックダウンの延長と同時に、ロックダウンを徐々に解除していく日にちを同時に発表するという方法は、ロックダウン下にある国民の心情や、国民の動きを鑑みながら、ロックダウンの延長という少なからずショッキングな事実以上に、ロックダウン解除実施の現実的なリスクに国民の注目を移行させることであったと思います。

 特に、5月11日の学校の再開については、リスクが高すぎると、既に批判的な見方が広まりつつありますが、とにもかくにも、彼の真意は、ロックダウンの延長とその徹底であったことに違いありません。

 「5月11日にロックダウンを徐々に解除する。」というのは、あくまでも、ウィルスの拡散が現実的に減速した場合という前提ですから、たとえ、学校再開は時期尚早という声が上がったとしても、それは、いくらでも変更できることで、彼の第一の目的であった、一ヶ月近いロックダウンの延長に、なんら、問題はないことなのです。



 

































 

2020年4月13日月曜日

注目されるマクロン大統領の決断 コロナウィルス・ロックダウン延長



 今晩、マクロン大統領からの発表があるというアナウンスがあり、今のフランスの状態で、外出禁止が解除されることはないことは、国民の誰もがわかっています。しかし、このマクロン大統領の発表が外出禁止の延長であるとしても、それが、いつまで延長になるのか、今後の見通し、政策は、どうしていくのか、大変な注目が集まっています。

 すでに、フランスがロックダウン状態になってから、1ヶ月近く経っていますが、ここ数日、ようやく一日の死者数、集中治療室にいる患者数が減少してきているものの、未だに、イル・ド・フランス(パリ近郊の地域)などの感染者の多い地域では、病院の病室の占拠状態は、300%以上と、悲惨な状況です。

 ロックダウンの宣言をする段階では、フランスの厚生省の関係者によると、国民のショックを最小限にするために、段階的に行われたそうですが、そのロックダウンの数日間の遅れが、どれだけの人の命を奪うことになったか、計り知れません。

 ここへ来て、国民への経済的な援助は、ありながらも、立ちいかなくなる会社も失業率も増加し、この先、ロックダウンがさらに長く続いていくことになると、経済的な逼迫も、より切実なものになり、大変、重要な局面です。

 大方の予想によると、5月の中旬までは、必須という話ですが、中途半端な状態で、ロックダウンを解いてしまっても、再度、感染が爆発した場合は、これまで以上の被害に及ぶことは間違いなく、かといって、このままロックダウンが続いては、経済的にも大変、厳しい状態に陥り、病人を支える経済力にも影響が出てしまうのです。まさに、崖っぷちの状態です。

 少なくとも、ロックダウンの解除は、検査体制の徹底と、全国民に行き渡るマスクの確保ができない限り、不可能と言われています。

 コロナウィルスの感染拡大が始まってから、私は、これまでにないほどフランスの報道と、日本での報道を毎日、見ているので、国や、状況が違うので、一概に比較はできないと思いつつも、ついつい、影響を受けていたのです。

 というのも、日本の政府の対応などを見ているせいか、マクロン大統領の声明は、とても明瞭で、説得力があると感じていたのです。

 ところが、翌日、マクロン大統領の発表を控えて、フランスのマスコミでは、「今回の発表では、なぜ、ロックダウンを延長するのか? その期間の設定の根拠は何なのか? 前回の彼のスピーチには、躊躇が感じられ、説得力がなかった。今回は、もっと、明瞭に説明してもらいたい!」と言っているのです。

 フランスの世論は、マスコミを含めて、とても厳しいです。
国民性の違いと言ったら、それまでですが、事は、多くの国民の命、国がこれ以上の大混乱に陥るか否かの重大事です。マスコミも含めて、厳しく政府を追求することも必要なのです。

 大統領の決断に国民が納得して、一致団結して、さらにコロナウィルスと戦っていくことができるかどうかは、彼の裁量にかかっているといっても過言ではありません。

 当然、フランスのテレビなどの報道では、フランス国内の報道でいっぱいいっぱいで、せいぜい、ヨーロッパ、イギリス、アメリカの現場などで、日本の様子が細かく報道されることは、ありません。

 むしろ、ところどころで、日本や韓国などのアジアの国々では、マスクをする習慣があるから感染者が少ないとか、日本は、マスクを国民に配ることにしたらしい(スゴい)などと報道される程度です。

 政府の対応が詳しく報道されずにいて、よかったかも???



 










 













 

2020年4月12日日曜日

バカンス好きにもほどがある!フランス人の国をまたぐコロナウィルス外出禁止違反


    Une policière à la frontière en l'Espagne et la France, le 17 mars.

 今週末は、イースターの祝日に入り、学校も休みになり、気温も上がり、陽気も良くなり、まさにバカンス日和です。しかし、現在は、もちろん、バカンスに行くことは、もちろん、外出さえも許されていません。

 フランスでは、先週に引き続き、週末の3日間に渡って、16万人の警官・軍を動員しての警戒に当たっています。先週は、陽気に誘われた人々が、街中やブーローニュやヴァンセンヌの森に溢れ出し、パリは、日中の運動のための外出まで禁止になってしまったほどです。

 バカンスを家族で過ごすことを何よりも大切にしているフランス人にとって、とても辛いことであるのは、わかりますが、これだけの警戒があるにも関わらずなお、取り締まりを突破して、しかも、地続きであるとはいえ、国境を超えて、バカンスに行く人がいることには、驚きを禁じ得ません。

 中には、プライベートジェットで移動してまで、捕まる人までいるそうです。

 フランス人の富裕層には、ニースやカンヌ、ビアリッツやモナコなど同様にスペインにセカンドハウスを持っている人が多いのです。

 スペインもフランスも国境を封鎖しているので、どうやって、スペインに入ったのか、
わかりませんが、カタルーニャ、バルセロナの北にあるコスタブラバの海辺のリゾート地などで、現地のスーパーマーケットなどからのフランスナンバーの車があるなどの通報により、これまでに数十人のフランス人が罰金を課せられ、強制的にフランスに帰されています。(スペインでの罰金は一人につき600€=約72000円)

 スペインは、ヨーロッパでは、イタリアに次いで、被害者の出ている国、フランス同様、軍や警察を動員して、厳重な警戒に当たっています。ここ一週間ほど、スペインでの死亡者は、減少傾向にありますが、トータルでは、フランス以上に死亡者の出ている国なのです。

 スペインのいくつかの都市の入り口には、警官と、コンクリートのブロックまで使って、都市への侵入を阻止しようとしています。

 そんな中、自分の家とはいえ、バカンスに出かけて、国をまたいで双方の国に感染を広げ、ビーチに出ることもレストランに行くことも外出さえできないのに、あくまでバカンスに出ようとする人々が本当に理解できません。

 私は、日本人ですが、フランスの住民として、スペインに対して、申し訳ないような気持ちになるのも、不思議な感覚です。

 スペインの人々もこれまでの監禁生活に耐え続けているだけに、フランスからやってくる人たちのせいで、さらに長く監禁生活が続くことになってしまう・・と、フランスからのバカンスのための人々の侵入が許し難く、激しく怒っています。フランスだけでなく、スペインにまで迷惑をかけてまで出かけるバカンスとは、何なのか?

 フランスは、ここ数日、少しだけ、死者数も集中治療室での患者も減少傾向にありますが、依然として、2000人以上の人が新たに入院し、7000人近い人が重症の状態にあり、今も、余裕のある地域に重病人が搬送され続けているのです。

 そして、コロナウィルスのために、心臓疾患等の他の緊急を要する人の命が失われるという悲惨な状況も起きているのです。

 さらに、先週末、今週末の人出の増加による感染者の増加が、心配されています。

 大きな生活の変化を余儀なくされる状況で、多くの人の価値観や人生観が変わっていくきっかけになっているかもしれません。

 







2020年4月11日土曜日

フランスの高齢者施設でのコロナウィルス問題とノートルダム大聖堂のセレモニー
























 昨日までのフランスの死者数13197名(4月10日現在)のうち、少なくとも、4599名は、Ehpad(エパッド)という高齢者施設での犠牲者と発表されています。

 この少なくとも・・と、つけられるところが、この施設での問題を浮き彫りにしています。それは、この死亡者数でさえ、正確に把握できていないという意味です。

 3月に入ってから、雲行きがおかしくなり始めたフランスでは、コロナウィルスのためのロックダウンが宣言されて、しばらくして、この高齢者施設での問題が、表面化したのです。

 時は、すでに遅しで、この高齢者施設もシャットダウンされ、心配する家族も面会することもできずに、施設の中では、悲惨なオーバーシュートが起こっていたのです。フランスの全国に広がるこの施設での感染は、当初、隠蔽されており、面会に訪れている家族をも頑なに拒否し、問い合わせ続けて、前日までは、何の問題もないと言われていたはずのおばあちゃんが、翌日、問い合わせたら、「昨夜、急に亡くなったと言われた、こんなことは、ありえない!」などという証言もあります。

 この高齢者施設での感染は、寝たきりの高齢者よりも、むしろ、ある程度、自分で自分のことをできる高齢者が、日常、外出できる人が、街の中を移動しており、外から感染を持ち込み、施設の中で、一緒に食事をしたり、お茶を飲んだり、アクティビティーをする人たちの間で、感染していきました。

 中には、フランスでの全国的なオーバーシュートの感染源となったフランスの北東部、ミュールーズにある教会での集会に参加していた人もいたとのこと。

 施設の対応如何では、ここまでの惨事には、ならなかったかもしれませんが、何よりも、症状が出始めてから、悪化するスピードの速さに対応が間に合わず、元来のスタッフ不足は、緊急時の対応には、到底足らずに、マスクもない環境での介護の仕事にスタッフが悲鳴をあげて、SNSで、その劣悪な環境を訴え始めたのです。

 特に被害の多かった施設のある地域の市長は、高齢者施設ゆえに、これまでも定期的に死亡診断書にサインすることは、あったけれど、それは、せいぜい、月に2回程度のことで、このコロナウィルスが蔓延し始めてから、毎日毎日、酷い日には、一日に、5回も6回もサインしているというのです。

 高齢となれば、感染して、重症化する可能性は高く、施設内に医療チームはいるものの、なぜ、ここまでの悲惨な状況になるまでに至ってしまったのか、今は、国中が混乱状態にあるため、他に問題も山積みで、その高齢者施設のことだけが、騒ぎになっているわけではありませんが、遺族の中には、すでに弁護士をつけ、訴訟の用意をしている人もいるのです。

 こんな混乱状態の中、イースターを迎えるタイミングで、昨年の4月15日に、火災で崩れ落ちかけたパリのノートルダム大聖堂では、人のいない大聖堂の中で行われたセレモニーがテレビ中継されました。

 昨年のノートルダム寺院の火災も衝撃的な事件でしたが、今、このパンデミックで世界中が苦しむ中の、工事中のノートルダム大聖堂のセレモニーは、大聖堂の中、ヘルメットを被って現れる神父や防護服を纏った人が周囲を囲む、いつもとは、全く違うノートルダムの様子が流されました。

 人のほとんど入っていない大聖堂の中で、一人の女性が歌うアヴェマリアの歌は、声の響き方も違い、哀しみが、より響きわたるのでした。

 崩れかけたノートルダム、国中、世界中にコロナウィルスが蔓延する混沌とした状況。
 映画でさえ、リアリティがないような現実の中のノートルダムの静かな空間を、どこか、しんとした気持ちで眺めていたのでした。

*ノートルダムでのセレモニーの映像
 https://twitter.com/BFMTV/status/1248543792031911936

2020年4月10日金曜日

緊急事態宣言後の日本のコロナウィルス対応は、甘い




 コロナウィルスがフランスで、あっという間に蔓延し始めてから、私は、家の中に引きこもりながら、ひたすら、フランスと日本の様子を見てきました。

 明らかに、世界中の皆が想像していた以上に、強力で、凶暴で、残酷なウィルスが拡散されていく様子には、ただただ、驚くばかりです。

 今となっては、ダイヤモンドプリンセス内のコロナウィルスの感染者が出た騒動など、遠い昔の話のように感じます。

 感染は、あっという間にヨーロッパ中に広がり、アメリカでの感染の広まりも物凄い速度です。

 そんな欧米の様子を目の当たりにしながらも、なかなかアクションを起こさない日本をほんとうに心配していました。先日、それでも、ようやく日本でも、「緊急事態宣言」が出たと聞き、少しホッとしていました。

 しかし、その実情は、あまり、緊急事態として浸透しておらず、愕然としています。

 というのも、昨日、日本にいる親友に、「どうしてる?」とメールを送ったのです。
彼女の仕事柄、全てカバーできるわけではなくとも、リモートワークが可能な職種なので、当然、リモートワークになっていると思っていたのです。

 ところが、リモートワークは、一週間交代で、彼女は、まだ、丸の内のオフィスまで通勤しているというのです。丸の内には、出勤せざるを得ない人が結構いて、昼食時などには、やっと開けているお店が混雑している状況なのだそうです。

 おまけに彼女の会社は、会社の組織替えがあったとかで、5月の連休には、絶対にレイアウトを変更しなければならないそうで、連休前には、パッキングのために出勤させられることになっているのだとか・・。

 この状況で、絶対に変更しなければならないレイアウトとは、何なのか? 全くもって、理解不能です。
 私は、彼女のメールを読んで、絶望的な気持ちになりました。この会社には、危機感がないのだな・・と。

 彼女の会社は、決して、零細企業ではないのです。少なくとも、丸の内にオフィスを構えられるほどの経済力もある会社なのです。もの凄い威力を持ったウィルスで世界中が苦しんでいる、人の命に関わることを一番に考えられないのは、信じ難いことです。

 フランスは、未だに死者が増え続け、死亡者数は、12210名(4月9日現在)に上っています。感染者数が117749名と発表されていますから、単純に計算すれば、死亡率は、10%以上です。(実際は、感染者数は、全て把握しきれていないと思うので、死亡率は、もう少し低いと信じたいですが・・)

 フランスは、ロックダウンのタイミングが遅すぎましたが、ロックダウン後は、国家で必死で対応して、3週間経っても、未だ、この人数なのです。フランスは、色々問題も、ありますが、発展途上国ではありません。

 かなり厳しい罰則まで制定してのロックダウンをしてさえ、フランスのランジス市場(日本の築地・・じゃなくて豊洲?市場のような場所です。)の一部の建物は、死体安置所として使われるようになりました。コロナウィルスを甘く見てはいけません。

 パリは、フランスの中では、大都市ですが、その実、東京の山手線内に収まるくらいの大きさしかありません。東京で、感染爆発が本格的になれば、その被害は、フランスの比ではありません。

 日本が、このままの状況を続ければ、感染爆発は、避けられません。たくさんの人が亡くなります。今は、まだ、確たる治療法もワクチンもないのです。感染しても、発症するまでに時間がかかり、その間に感染を撒き散らし、ひとたび悪化すれば、あっという間に重症化し、助かる可能性は、とても低いのです。

 多くの在外邦人は、日本の様子を外から見て、警笛を鳴らしています。実際に、身近に被害が及んで、その恐ろしさを実感しているからです。政府のせいにしても、命は助かりません。

 もちろん、日本でも、たくさんの人が努力をして、精一杯の自粛をしていることでしょう。この多くの人の努力が無駄にならないように、日本のトップに立つ人たちは、このような状況で、通勤しなければならない私の友達のような人の気持ちをわかって欲しいと切に思っています。