2020年4月30日木曜日

フランスのロックダウン解除 学校再開には、大多数が反対! 川崎病に酷似した症例の報告






 昨日のフィリップ首相のロックダウン解除に関する発表から、一夜明けて、さっそく、フランス国民の世論が浮き上がってきました。

 「防護(マスク)」「検査」「隔離」を核とした方針で進むこと、また、ロックダウンの解除は、ウィルスの感染状況、地域ごとの病院の受け入れ状態などの推移を分析をして、段階を追って行われること、リスクが一定以上に下がらない地域は、ロックダウンは、続けられること。

 それに際して、100キロ以上の移動が制限されること、公共交通機関や再開される会社のオフィスや店内では、マスクが義務化されることなどなど、大方の提案に関しては、好意的な反応でした。

 しかし、子供の学校再開に関しては、そのリスクに危惧を抱き、反対の意見が多いです。もともと、ロックダウン前から、まず、最初に閉鎖になった学校を、なぜ? 最初の段階で、再開するのか? 何よりも、学校へ登校した場合の子供の安全が保たれることが、信じ難いというのが大きな理由です。

 もともと、フランスの学校は、学校にもよりますが、なかなか、清潔とは言い難く、蚤やシラミが蔓延したり、トイレがビックリするほど汚かったりという状況で、そんな状態の学校が、清潔を通り越えて、四六時中の除菌状態などの充分な衛生的な環境を確保できるのか? 他にも、子供たちの管理、給食など、たくさんのリスクを孕んでいるのです。

 そんなところに、追い討ちをかけるように、フランスでは、ここのところ、14歳以下の子供に、高熱、全身の血管に炎症が表れ、目の充血、発疹、手足や唇や舌が赤くなる、川崎病に非常に症状が似た重篤な集中治療が必要なケースが多発していることが、警告され、学校再開に歯止めをかける一旦を担っています。

 過去3週間にわたり、パリ地域で、この症状で、集中治療を受けて入院した炎症性症候群の子供25人の症例が報告されており、急激な同じ症例の増加に警笛が鳴らされています。

 この症例が出現したのは、コロナウィルスが蔓延がピーク状態に達してから、約1ヶ月後のことです。同様の報告が、イギリス、イタリア、ベルギーなどでも上がっており、コロナウィルスに感染している場合と感染していない場合とがあり、その関連性は、はっきりとはしていませんが、もとより、通常は、ヨーロッパでは、あまり発症例のない川崎病のような症状の発症は、コロナウィルスが原因、あるいは、引き金となっていることが疑われています。

 現在のところは、まだ、フランスでは、この症状に関する死亡者は出ていませんが、子供用のICUの病床は、大人用のICUに比べて非常に少ないために、これ以上、同様の子供の症状が増え続ければ、あっという間に手に追えない状態になることは、必須なため、注意が呼びかけられています。

 コロナウィルスに続いて、この謎の子供の病気の出現に、ロックダウン解除、しかも、学校の再開には、大きな障壁が立ちはだかった感じです。

 しかし、そんな状況の中、学校が再開するかどうかもわからない状態で、学校の夏のバカンスの日程は、予定通りと発表、報道されるフランスがやっぱりな・・と思いつつも、なにか、しっくりこないのです。

 

2020年4月29日水曜日

5月11日のロックダウン解除についてのフィリップ首相の演説 弱者が滅び、強者が生き残る社会


Edouard Philippe évoque le déconfinement à l'Assemblée nationale le 28/04


 5月11日のロックダウン解除についてのフィリップ首相の演説は、何とも歯切れの悪いものでした。

 「今後のコロナウィルスの対応は、「防護(マスク)」「検査」「隔離」を核としていきます。」とし、5月11日までのマスクの確保、検査数の拡大(一週間に70万件を目標としている)、そして、検査の結果、陽性が認められた者は、隔離する方針を発表しました。

 これに関しては、最もなことであり、実現すれば、それに越したことはありません。

 しかし、11日まで、待たずとも、少なくとも、現在も、出勤している人には、マスクを配るべきだし、検査も準備が出来次第、すぐにできる限りの検査を始めたらいいのにと思います。

 公共交通機関を利用する場合、また、再開する商店、会社のオフィスなどは、マスクの着用が義務付けられることになりますが、それ以外の一般大衆に対しては、マスクの着用は、推奨する・・に留まり、強制ではありません。恐らく、強制できるほどのマスクの確保が期待できないのでしょう。

 学校の再開は、小さい子供・幼稚園・小学校から始まりますが(強制ではありません)、教室での人数や、衛生環境を充分に整えること、中学生以上は、マスクの着用が義務付けられます。

 リモートワークが可能な仕事の人には、引き続き、リモートワークが推奨されますが、商店等に関しては、充分な衛生環境の配慮の元での営業が認められるようになります。
しかし、レストラン、カフェ、映画館、劇場等は、引き続き、営業は、できません。

 しかし、それもこれも、5月7日の時点で、地域ごとに感染状況、病院の受け入れ状態などの推移を分析をして、リスクが一定以上に下がらない場合は、地域によって、ロックダウンは、続けられるとのことでした。

 小さい子供から、学校を再開することは、感染のリスクが低いことが理由に挙げられていますが、実際のところは、働かなければならない親を仕事に行ける環境を作るためです。しかし、現在のところは、リモートワークができるような仕事についている親は、子供を学校に行かせることに対しては、とても懐疑的です。

 フランスの小学校は、6月末までですから、それまでの数週間、できる限りの衛生環境を整えて、リスクを侵しながら、10人ずつなどの授業を交代に行うことにどれだけのメリットがあるのかと思うところもあります。

 ロックダウン以来、フランスの学校は、ネットでの授業が続けられていますが、ネット環境がない家庭、パソコンが一人一台ない家庭などは、授業についていくことが難しく、格差が著しくなってきました。

 生活に困窮する家庭では、危険な状態にも関わらず、子供を学校に行かせなければならないし、自分も危険を侵して、仕事に行かなければならない。親が仕事に行かなければならない家庭が必ずしも生活に困窮している家庭とは、限りませんが、フランスの格差社会が、このコロナウィルスの危機により、浮き彫りになっている感が拭えません。

 しかし、具体的な発表に、取り立てて、新しい内容は何もなく、首相、自ら、最悪の選択肢の中からの最もリスクの低い選択をしたと、言わなくても良いことを言うような、トップとしての牽引力の全く感じられない演説でした。

 このような、有事には、国民に対しての説得力、納得させるチカラがとても大切なことだと思いました。

 生中継をしていたテレビのスタジオでは、フィリップ首相の発表は、当日の段階では、不評が多く、「何もはっきりとしない発表は、国民を不安にするばかり、ヨーロッパの隣国でも、こんなにハッキリしない発表をするトップはいない!今日の彼の発表で、ハッキリしている唯一のことは、「まだ、わからない。」という事だけだったと辛口の批評をしています。

 歴史的なウィルスの感染による世界的な危機で、弱い者が犠牲になり、強い者だけが生き残る・・救いようのない状況が、今まさに、起こっていることを、現実として、受け入れなければならないのが、堪らないのです。

 

































2020年4月28日火曜日

コロナウィルス対応 日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、衛生観念はやっぱり凄いなと思う


Image


 フランスがロックダウンになった頃、日本は、まだ、「オリンピックをやるかどうか?」なんていうことを言っていて、「なに言ってるの? 日本は大丈夫? 世界中は、大変なことになっていて、オリンピックなんて、とんでもない話なのに・・」と、とても、心配していました。

 なんだか、外から見ていると、悠長な日本の政府の対応を見ながら、ヨーロッパの悲惨な状況を鑑みるに、日本とて、とてもただ事では、済まされないと、ヤキモキしながら、フランスのニュースとともに、日本のニュースも見守っていたのです。

 日本は、緊急事態宣言という、ロックダウンとは、違う形をとりましたが、完全なロックダウンの状態を取っていないにもかかわらず、かなりの割合で、人の行き来が減り、危なっかしい感じもありますが、大多数の国民のモラルに支えられて、今のところは、ヨーロッパのような悲惨な状態には、至っていません。

 日本でも、中には、なんとか、隙をついて出かけようとしている人もいるようですが、これは、あくまで、ロックダウンには、なっていない状態でのことで、一体、世界中のどこで、ロックダウンせずにこれだけ、国民が自粛できる国があるでしょうか?

 例えば、それが、フランスだったら、まるで収拾のつかない状態になって、壊滅的な状況を産んでいたに違いありません。(今でさえ、充分に悲惨な状況ですが・・)

 フランスでは、4月13日にロックダウンの延長と5月11日にロックダウンを徐々に解除することが発表されて以来、国民の意識は、一気に緩み始めました。報道の大部分は、ロックダウン後の話題になり、段階的な解除がどのように行われるか?という議論から、夏のバカンスは、どうするのか?などと言う話題まで持ち上がっています。

 そんなマスコミの報道を反映するように、世間は、未だロックダウン中にもかかわらず、すっかり解除モードに移行しつつあります。

 まず、一番に驚くのは、マスクをしている人が極端に減り始めたことです。ロックダウン後は、マスクの着用を義務化するべきではないか? などという検討をされているにも関わらず、世間の解除モードは、もはや歯止めが効かない状況です。これだけの危機を経験したにも関わらず、この危機感の薄さ、モラルの低さには、呆れ返ります。

 念のため、今も救急車のサイレンが一日に何度も聞こえ、一日の死者が437人(4月27日現在)これまでに23293名が亡くなっている状態でのことです。

 それにひきかえ、日本では、ロックダウンでもないにも関わらず、大半の国民は、自粛して、外出を控え、皆、マスクをし、健康管理に気を配り、清潔を心がけています。フランスがロックダウン状態で、手を洗えとか、一度使ったティッシュは捨てましょう!とか呼びかけていることは、平常時でも、日本人は、当たり前のこととして、やっていることなのです。

 先日、たまたま、日本のネットショッピングのサイトのランキングを見たら、「パルスオキシメーター」という、血中の酸素濃度を測る機械が一位になっていました。マスクや除菌ジェルなどなら、いざ知らず、一位が「パルスオキシメーター」という、ある意味、通常の日常生活では、使わないものです。この機械が有効に使えるか否かは別として、この自分の健康を真剣に考え、何とかしようとしている日本人に、改めて、感心したのです。

 これは、多分、テレビ番組か何かで、報道されたりしたのだと思いますが、コロナウィルスが急激に悪化するのは、実は、症状の悪化は気付かないうちに進行していて、実際に呼吸困難を感じた時には、手遅れになるという話から、そのために、その予兆を血中の酸素濃度をチェックして変化を自分で見逃さないようにしようと考えた人々なのだと思います。

 以前、私は、フランス人は、災害に慣れていないから、もし、ことが起こったら、パニックを起こして大変になる・・という内容のブログを書いたことがありましたが、まさに、そのとおりでした。パニックを起こさないように、ロックダウンを強行し、警察や軍が取り締まり、まさに、ばったりと封じ込めの状態になりました。

 フランス国民を封じ込めるには、軍まで動員しなければならないのです。

 そして、ロックダウンなしに、フランス人は、ウィルスの蔓延を抑えることはできなかったでしょう。(今でも抑えきれていませんが・・)ロックダウン下の厳しい制約の下で、たとえ、罰金が課せられても、外出する人は、後を絶ちません。

 あくまでも、国民がルールを守り、ウィルスの拡散が現実的に減速した場合という前提で発表されたロックダウンの解除も、今の国民の雰囲気からすると、さらにロックダウンの延長などということになれば、暴動でも起きかねない雰囲気です。

 まだ、ウィルスが静まりきれていない状態でロックダウンを解除しようとするのですから、これまでの監禁生活のストレスも合間って、大変なことになるのは目に見えています。この解除を強行するということは、政府もさらなる犠牲者が出ることは、覚悟の上での解除なのだと思っています。

 そんな、フランスと比べると、日本人の一般的なモラルの高さ、清潔さ、真面目さ、辛抱強さ、規律の正しさ、健康管理の意識の高さは、世界中に誇れるものだとつくづく思うのです。

 私は、今、フランスにいるからこそ、日本人のそんな国民性を、改めて、尊いものだと感じています。

 フランスでは、日本は、マスクをする習慣があるから、感染者が少ない(ヨーロッパと比べて)などと言っていますが、それは、決して、マスクだけのおかげではないのです。


<関連>
「災害に免疫のないフランス人がパニックを起こして、アジア人全体を傷つけている」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/02/blog-post.html


 

 












2020年4月27日月曜日

ロックダウン中でも恋愛を求め続ける恋愛大国フランス マッチングアプリの成功


 


 コロナウィルスの蔓延で、多くの犠牲者が出て、多くの国がロックダウンや自粛規制を余儀なくされ、世界中が経済危機に直面しています。

 フランスでは、ロックダウン解除に向けて、少しでも、業績回復に向けて、再開への準備を始めた会社が多くあります。TOYOTA FRANCE の工場が再開に向けて、いち早く、準備にかかり始めたという報道がありました。しかし、今、車を急いで生産したところで、誰が車を買うのかと思ってしまいます。

 しかし、多くの産業が停滞しても、この機に応じて、確実に業績を伸ばしている会社も確かにあるのです。医薬品・医療機器、衛生用品関係、パスタ・小麦粉等の食品などは、急激に売り上げを伸ばしています。

 そんな中で、フランスで、意外なところで、驚くべき成功を収めているのが、出会い系サイトのアプリです。ソーシャルライフが最小限に抑えられたことで、出会い系アプリサイトは、これまでにないブームが起こっています。

 実際に、すぐに会うことが不可能にもかかわらず、フランス人は、新しい出会いを求め、登録者は、増加の一途を辿り、登録者が増加しているからこそ、見逃されないように、プロフィール写真を工夫して、撮り直し、ラブストーリーを構築していきます。

 実際に在宅勤務や失業している人など、一人暮らしの独身者は、出会いを求めて、多くの時間をこのために費やしていると言います。

 ロックダウンで外出できない中、工夫を凝らして写真を撮り、プロフィールの説明に何とか、相手を魅了する文言を考え尽くします。私自身は、マッチングアプリは、やったことがありませんが、それをのぞいてみるだけでも、けっこう、楽しめるかもしれません。

 実際にすぐには、会えないことから、会話の場は、FaceTimeやスワイプ(SWIPE) に置き換えられ、会えない分だけ、アクセス回数は多くなり、会話時間も長くなります。会えないからこそ、会いたくなる衝動にかられながら、彼らは、ロックダウン中も恋愛を楽しむことを忘れないのです。

 ロックダウンの最中でさえも、恋愛大国のフランスは、健在しているのです。

 フランスのマッチングアプリは、意外にも、かなり広い年齢層の間に広がっています。以前、主人の友人のけっこうな年齢のおじさまがマッチングアプリで出会った女性とデートした話を聞いたことがありましたし、つい先日、娘の義理のお兄ちゃんが、マッチングアプリで出会った女性と、付き合い出したと思ったら、あっという間に婚約!結婚式は、ロックダウンのために延期になりましたが、身近なところでもけっこう聞く話です。

 一度も会ったことのない人と2ヶ月近くもの、現実の世界から遠ざかっているロックダウン状態で、恋愛して、ロックダウン解除になった際に、急に現実に戻り始めた世界で、実際に会ったら、すっかり冷めてしまう・・なんていうことも、大いにあり得る話ではあると思いますが、そこは、懲りないフランス人、また、新しい出会いを求めて、新たな恋愛を探し始めることでしょう。

 Tinderというアプリケーションソフトウェアは、3月29日に、一日のスワイプ(SWIPE)のアクセス数、30億回を記録しています。
(これは、フランスだけでの数字ではありません。)


















2020年4月26日日曜日

フランスは、やっぱりダメだ・・と、絶望した理由 コロナウィルスは、蔓延し続ける




 5月11日のフランスのロックダウン解除の詳細は、4月28日(火)に発表されることになりました。発表される内容に関して、皆、ああでもない、こうでもないと色々と言っていますが、専門家や、政治家が様々なデータや危険性、リスクを考慮しながら、必死にその方法を模索している様子が伝わってきます。

 感染がおさまっていない状態でのロックダウン解除は、ロックダウン以上に難しく、あらゆるところに気を配りながら、慎重に行われなければならないと、私は、息を呑む気持ちで、ニュースで語られていることやSNSなどでの情報収拾をしながら、自分は、どうしたらいいのかを考えていました。
 
 しかし、つい先ほど、目にした、今夜のパリの18区の様子を見て、私は、絶望的な気持ちになりました。それは、大通りに面した広い歩道で、大音量で音楽をかけて、大勢の人たちが集まって、踊っている映像でした。若者だけではありません。白髪の老人までが、音楽に合わせて、女性と手を取り合い、踊っているのです。

 通りかかって、その様子を楽しそうに、写真を撮る人々を合わせれば、悠に100人以上は、いたでしょう。マスクをしている人など、誰もおらず、まるで、コロナウィルスが出現する以前の世界を見ているようでした。

 ただ、違うのは、そこに現れる警察車両が数台見えることです。

 まもなく、警察が取り押さえ、解散させられたとのことですが、この、あまりのフランス人のモラル?の低さには、もはや、言葉もありません。この楽しそうに音楽に合わせて踊る人々の様子から、なんの罪悪感もためらいも感じられないところが、ますます絶望的な気持ちにさせられます。

 今は、まだ、フランスは、ロックダウン中で、死亡者やICUにいる重症患者数も減少してきているものの、これまでの死亡者は、22245名(4月25日現在)に達しており、今も一日に389名も亡くなっており、4870名の人がICUで生死の境をさまよっているのです。

 アメリカなどで、ロックダウンで生活に貧窮している人たちがデモをする様子なども、この状況で、自殺行為だと思って見ていましたが、今夜のパリ18区の様子に比べたら、まだ、ましです。彼らが生活に貧窮して、働きたいと訴えるのは、コロナで死ぬか、生活できなくて死ぬかというギリギリの状態ですから、まだ、わからないではないからです。

 しかし、このパリの歩道で大音量をかけて、踊っている人たちは、微塵も理解ができません。

 ロックダウン解除の日が決まり、私は、ロックダウン解除後にタガが外れるだろうフランス人が出るだろうことをとても心配していました。

 しかし、ロックダウン解除まで、まだ2週間以上あるというのに、今からこの状態では、どんなに、知恵を絞って、対策を練っても、どんなに検査を拡大しても、虚しいばかりです。

 この人たちは、一体、何を考えているのか? 何も考えていないのか? 本当に理解不能です。この状態で、ロックダウン解除の日を迎えれば、その頃には、再び、地獄のような感染爆発は、必須です。

 フランス政府は、ロックダウン解除の仕方以前に、この人たちをコントロールする方法を考えなければなりません。



<パリ18区で楽しそうに踊る人たちを投稿しているツイート>
https://twitter.com/CocoChrist/status/1254125416421437440

2020年4月25日土曜日

コロナウィル感染・自宅隔離の危険性 フランスは、これで失敗した


Image

 フランスのテレビでは、厚生省が頻繁にコロナウィルスに対する呼びかけのコマーシャルを流しています。

 少し前までは、「もしも、咳が出たり、熱が出たりしたら、家にいてください。他人との接触を避けてください。そして、あなたのかかりつけのお医者さんに電話で相談してください。通常は、病状は、数日、安静にしていることで回復します。しかし、もし、呼吸が苦しくなったり、息切れがするような、深刻な病状が出てきた場合は、すぐに☎️15に電話してください。」という内容でした。
(現在は、違う内容のものが、大半になっていますが・・)

 咳が出たり、熱が出たりしたら・・医者にかかりなさい!ではなく、家にいてください・・というところで、ズッコケそうなところですが、これが、みるみる感染が拡大してして、医療崩壊を起こしてしまったフランスには、あまりの事態の急激な変化と感染拡大の速度の中で、とりあえず、取れる処置だったのです。

 ところが、結果的に、それは、家庭内での感染に加えて、手遅れになり、病院に入る状態に陥った時には、即、ICU行き、呼吸器を必要とするケースに繋がり、致死率を上げて行きました。

 全ては、最初のロックダウンのタイミングが遅く、かなりのウィルスの蔓延状態になってからの後手後手の対応になってしまったことに、端を発しているのですが、今の日本を見ていると、フランスが辿ってきた最悪のシナリオに似ているような気がしてなりません。

 日本では、ホテル業者などが、感染者受け入れを名乗り出ている、感染者の隔離ができる宿泊施設が確保できた・・などというニュースを見ていたので、少し、安心していたのですが、肝心な検査が充分にできない状態は、致命的なうえ、せっかく確保できている宿泊施設を充分に稼働できていないでいることは、とても残念なことです。

 コロナウィルスの性質を考えれば、感染してから悪化するまでのスピードが異様に早く、自宅待機などという悠長なことをしていては、手遅れになる可能性が高いのです。

 コロナウィルスは、無症状のまま感染している状態の人が、感染を何倍にも撒き散らす恐怖と共に、コロナウィルスによって起こる肺炎が、サイレント(無症候性)低酸素症という酸素欠乏を本人が気付かない初期から起こしていることがわかってきています。

 検査もできず、病院にも行けずにいる場合、他に手立てはないわけで、自宅で血中の酸素濃度をチェックできる機械(パルスオキシメーター)が急激に売れています。

 つまり、実際に本人が息苦しさや呼吸困難を感じた時点では、すでに、肺炎は、かなり深刻な状態に進行しており、ICUに直行する事態に繋がってしまいます。

 ですから、フランスは、この観点からしても、「熱や咳が出始めたら、家にいて下さい。息苦しさを感じたら、救急車を呼んでください!」という呼びかけは、結果、多くの重症患者、呼吸器の不足、死者を増加させる結果となりました。そして、一度、ICUに入れば、その治療は、長期化するのもこの病気の特徴です。

 ICUでの治療の長期化は、後遺症の危険も増加させます。

 もちろん、そのまま、状態が落ち着く場合もあるのですが、どちらにしても、熱や咳などの症状が発症した時点で、すぐに、PCR検査をする必要があったと思います。
フランスの場合は、感染爆発に気付くのがあまりにも遅くて、そんな余裕がなかったのですが・・・。

 一番の課題は、PCR検査がもっと、広範囲で容易に行われる環境を作ることです。何でも、フランスの数倍のスピードで、事が運ぶはずの日本に、できないはずは、ないと思うのですが、どうも、政府が絡むと途端に減速するところが、外から見ていて、どうにも歯痒いばかりです。

 そして、このウィルスの進行の経過の仕方を、一番最初に体験してきたはずの中国が、情報を公開してくれていれば、どれだけの世界中の命が救われたかと思うと残念でなりません。

























2020年4月24日金曜日

フランスのコロナウィルスによるロックダウン解除のトリセツ(取説)


La gare Saint-Lazare, le 18 mars 2020, à Paris.


 フランスでは、一ヶ月近く延長されたロックダウンも、ロックダウンの解除問題で、解除に際する準備期間としては、むしろ、短いくらいに、慌ただしい期間となってきています。ハッキリ言って、ゴタゴタしています。

 未だ、コロナウィルスが蔓延している状態でのロックダウンの解除には、たとえ、段階的にとはいえ、地域ごとに進めるかどうか、人々の地域間の移動の問題、交通機関など、あらゆる所に気を配らなければなりません。

 学校の再開に際しては、環境整備から、授業の進め方、給食の問題、子供の指導。

 特に、大量のマスクの手配は必須で、とりあえず、イル・ド・フランス(パリを中心とする地域)の交通機関の利用者には、マスクが無料で配布されることになったようです。(現在のところ、一般市民は、マスクを容易に手に入れることは困難です。)

 レストランやカフェ、映画館などは、一先ず、先送りとされていますが、それ以外の再開される商業施設、商店に関しても、お客様との距離を取りながら、商品を手にとって、試してみたり、試着したりすることにも注意が必要な中の再開は、困難を極めます。

 今は、それぞれの場面で、ロックダウン解除に際しての取説、ロックダウンマニュアルを必死に模索しています。

 しかし、私は、一番、取説が必要なのは、国民(大人)の意識の、衛生観念の教育だと思っています。子供は、教師が指導しますが、大人は、余計に始末が悪いのです。

 マスク一つをとってみても、もともと、フランス人にとっては、馴染みのないもので、むしろ、マスクをしている日本人などを、とても奇妙な目で見ていた人たちで、それを四六時中、自分たちが、つけて歩くというのは、彼らの美意識にも反するうえに、不愉快なことに違いないのです。

 マスクをつけていることが、息苦しいのか、マスクをしているのに、その意味を考えずに、鼻をずらしていたりする人がいるのには、呆れ返ります。正しいマスクの付け方から、教育しなければ、なりません。

 駅や街中で、用を足したり、その道路に平気で座り込んだり、土足のまま家に上がることも、手をこまめに洗うことも、うがいをすることも、一度使ったティッシュは、使わずに捨てることも、まるで、日本の幼稚園で教えるようなことを、何が不潔なのかを教えなければなりません。

 そして、何より、長期間の閉じこもり生活で、精神的にも疲弊している国民が解放された時の歯止めの効かなさが何よりも怖いのです。ダイエット後のリバウンドのような状況になりそうな気がしてならないのです。

 すでに、ここ数日、これまでは、ロックダウンのために、発生していなかった交通事故が発生し始めています。もうすでに、家に閉じこもりきれずに、外出して事故を起こしているのです。

 ICUにいる重症患者は、減少傾向にある(5053人・4月23日現在)とはいえ、これは、コロナウィルスの患者数で、他の病気でICUに入っている患者を加えれば、7500人以上に上ります。これは、大幅に満床状態をオーバーしている状態で、しかも、未だに500人以上の人が亡くなっているのです。

 これまでの一ヶ月半近い、ロックダウンの状況でさえ、おさまらない感染状況で、ロックダウンを解除しての、さらなる感染拡大が起これば、医療関係者とて、疲労困憊の状態ですから、収集がつきません。

 5月11日まで、あと2週間弱、その間に、どうか、賢明な判断で、キッチリとしたロックダウン解除の取説ができることを祈っています。