2021年1月19日火曜日

学校閉鎖に踏み切る基準 フランスの年少者の感染増加

  



 先週の初めから、週末にかけて、3クラスにまたがって、27人の感染者(生徒22人、教師5人)が確認されていたオワーズ県(パリから30㎞ほどの地域)の小学校が18日から26日までの8日間、学校を閉鎖することを発表しました。

 すでに先週から感染が確認されていたために、週の初めに1学級が閉鎖され、キャンティーン(給食)が閉鎖され、週の終わりにさらにもう1学級閉鎖され、それでも次の対策に踏み切らない学校に対して、保護者からは、学校閉鎖の要請が出されており、週明けには、290人の生徒のうち、登校したのは、20人のみとなっていました。

 そもそも5000人しかいない村で、1つの学校での27人の感染は大きなものでしたが、できる限り学校は閉鎖しないという政府の方針や学校閉鎖に踏み切る明確な規則がないことから、学校を閉鎖する決定が保護者が誘導する異例な形となりました。

 年が明けてからというもの、フランスでは、わずか10日間で、10歳未満の陽性率が3%から10%と3倍以上、増加しており、学校の衛生環境やキャンティーン(給食)施設の衛生対策の改善が求められています。

 この年少者の感染の急激な増加の原因は、より年少者に感染が広がりやすいというイギリス変異種の性質が疑われており、この変異種がフランス国内に想像以上に拡大していることが懸念されています。

 政府は、フランスにおけるイギリス変異種は、陽性検査結果の1%と発表していますが、この年少者の急激な感染拡大から、実際には、それ以上に存在している可能性が指摘されています。

 あくまでも、学校閉鎖は、最終的な措置としていたフランス政府ですが、学校閉鎖に関する規定を学級内3人以上の陽性者がでた場合には、学級閉鎖、同学年で複数のクラスにまたがった場合は学校閉鎖を考えるといった基準(今回の場合は、この基準)が必要となってきました。

 現在、フランスでは、ワクチン接種は、リスクの高い高齢者を中心に進められていますが、それを嘲笑うかのような年少者の感染拡大に、ため息が出てしまいます。

 まさに、最も今、恐れられているイギリス変異種は、細胞に直に侵入するために感染力が強いと言われており、ドイツなどは、2月中旬までのロックダウン延長や在宅勤務の厳格化に加えて、特定地域での高性能FFPマスクの着用義務を検討しています。

 フランスでも、一般に広まっているサージカルマスクや布マスクでは、充分に感染が防げないのではないか?という声が上がり始めています。

 クリスマス、年末年始から2週間以上が経過した今、急激な感染爆発は起こっていないものの、1日の新規感染者数が2万人強という高い状態を徐々に増加しながら保っている(集中治療室の患者は2800人突破、1日の死者数は11月末以来の400人突破を記録)フランスは、まだまだ、依然として爆弾を抱えている状態なのです。


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「世界中が警戒しているイギリス変異種  日本変異種の出現も・・」

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2021年1月18日月曜日

コロナウィルスワクチンに対する世界と日本の温度差

  



 フランスでは、1月18日(月)から75歳以上の希望者には、コロナウィルスのワクチン接種が可能になりました。一週間ほど前から始まった電話やネットでのワクチン接種の予約は、アクセスするだけでも大変なようで、あっという間に来月末までいっぱいになっています。

 ワクチン接種に関しては、ヨーロッパで大幅な遅れをとったことが年明けに発覚して以来、フランス政府は、大バッシングを受け、政府は当初のワクチン接種のスケジュールを見直し、この18日からの75歳以上へのワクチン接種が始まることになったのです。

 フランスでワクチン接種が思うように進まなかったのは、ワクチンの保管に必要な特別な温度を保つ冷凍庫の確保やワクチン接種場所の設置などの段取りの悪さはもちろんのこと、ワクチン接種を高齢者施設の居住者を優先にしたことから同意書を確保することが想像以上に手間取ったことや、ワクチンに対して慎重かつ懐疑的な国民性のためでもあったと言われています。

 しかし、年末から多くの国でワクチン接種が始まり、周囲のヨーロッパ諸国とのあまりのワクチン接種の進行状況の違いが露見するとフランスは、一気に危機感を強めて、ワクチン接種の強化対策に乗り出したのです。

 ワクチン接種に関しては、現在のところ、イスラエルが圧倒的に世界一を独走しており、1日、15万人がワクチン接種を受けており、100人あたりの接種率は11.55%に達しています。(それに次ぐイギリスが1.47%です)

 イスラエルは、パンデミックの初期段階から、ワクチン確保の交渉を始めており、ファイザー・ビオンテックのワクチンを確保し、現在、ファイザーからのワクチンの供給が滞っているヨーロッパと比べても安定した供給を確保しています。

 多くの国でのワクチン接種が進み始め、実際の効果は目に見えない状況ではあるにしろ、特に際立った副作用もあまり見られていない(全くないわけではない)ことから、ワクチン接種に対して、当初は、懐疑的であったフランス国民もワクチンを受けたいと言っている人が56%にまで上昇し(+14%)、ワクチン接種を希望する人がアンチワクチン論者を上回り、65歳以上に限れば、77%がワクチン接種を希望するように変化してきています。

 ロックダウン寸前の多くの制限を強いられている生活に嫌気がさしてきていることも理由の一つであると思いますし、また、通常の日常生活を取り戻すためのワクチンパスポートの計画も水面下では、ヨーロッパ各国で進んでいると言われています。

 そんな中、日本人の私としては、気になるのは、日本のワクチン接種の状況です。

 日本は、あくまでも慎重な態度をとっているのか、あまりワクチン接種に関する進行状況は聞こえてきません。

 日本も感染状況が悪化し、緊急事態宣言が発令されたりしているとはいえ、やはり、ヨーロッパでの感染状況は日本とは桁違いであることから、ヨーロッパは、ワクチンによって日常生活を取り戻したい意向が強く、国の方針も違うのかもしれません。

 とはいえ、ヨーロッパでこれほど躍起になり、多くの国がワクチン接種を進めている中、日本では、2月の下旬からと、のんびり構えていることを私はとても不思議に感じています。

 日本は、これに加えて、絶望的とはいえ、オリンピック開催問題も抱えているのに、ワクチンを急がないのは、やはり、オリンピックは諦めているのかとも思いきや、18日の国会で、菅首相は、「人類が新型コロナに打ち勝った証」として、「世界中に希望と勇気をお届けできる大会を実現するために準備を進める」と語ったようで、どうにもこのチグハグな感じに不安を覚えるのです。


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「今年のフランスのコロナウィルス対策は、ワクチン接種が最優先事項」

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「フランスでコロナウィルスワクチンが浸透しにくい理由」

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2021年1月17日日曜日

雪でもコロナでもデモはやる でも、18時以降の外出禁止を守るために急ぐフランス人

  

サクレクール寺院の前でスキーをする人まで登場


 土曜日の朝、私が起きるのを待ち構えていた猫のポニョが、いつもは、食事の時以外は、気ままに過ごしているのに、ピッタリと私にくっついて離れず、ずっと私に寄り添ってくれていたので、「どうしたのかな?」と思っていました。

 気がついてみたら、窓の外は、結構な量の雪が舞っていて、「初雪だ〜!」と、私は、のんびり構えていました。

 パリは、寒い所ではありますが、雪が降ることはあまりなく、降ってもすぐにやんでしまうので、滅多に雪が積もることもありません。

 ところが、今回は、すぐに雪がやむことはなく、昼過ぎになる頃には、雪はうっすらと積もり、一面が雪景色になるくらいになっていました。

 雪といえば、子供ばかりではなく、どこか華やいだ気分も湧いてくるのですが、パリでは珍しい雪にサクレクール寺院の前の丘には、スキーをする人まで現れました。

 フランスの1日の新規感染者は、ここのところ、スタンダードに2万人を超える状態になっており、この土曜日から、夜間外出禁止がフランス全土で18時に前倒しになるという規制が強化される状態でありながら、日中のデモは許可されているという不思議な状態なのです。

 雪の中にも関わらず、いつもほどの勢いではありませんでしたが、バスティーユ、レピュブリック広場で、結構な人数がデモに参加。雪でもコロナでもデモは決行です。

 ここまで来ると、あくまでも抗議の姿勢を崩さない意志の貫き方は、ある意味、スゴいなと感心してしまいます。

 それでも、土曜日は、18時以降夜間外出禁止の初日。どの程度、守られるのか?と半信半疑でもありましたが、警察の警戒も厳しく、また店舗も18時には、閉店、消灯、お客さんの方も18時までに家に帰らなければならないというリズムに慣れておらず、普段、時間を守らないことが当たり前のフランス人が時間を守ろうと急いで慌てている様子から、考えてみれば、時間を守るという点においてだけでも、フランス人にとっては、大変なことなのだろうな・・と思ったりもしました。

 これまでも20時以降は外出禁止という規則はあったのですが、夜のこの時間の2時間の前倒しは、かなり厳しいものです。ましてや土曜日という多くの人が休日の一日、来週、仕事や学校が始まってからのこの規制は、やはり、かなり厳しいものになるに違いありません。

 しかし、やはり、罰金付きの規則というのは、スゴいもので、18時を過ぎたパリの街は、ほぼ夜中のような景色。1日、パリには珍しい雪やデモで高揚した街はシンとして、寒いピンとした空気も手伝ってか、思わず、昨年の2月のロックダウン時を思い出してしまいました。

 そこで、ビクビクしてばかりでは終わらないフランス人、さっそく、我が家のアパートの上の階では、どうやら、ガヤガヤと人が集まっている気配。

 全く懲りない、どうしても群れたいこの人たち、罰金を払わずに、なんとか人と集うことを決して諦めはしないのです。


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「決死のお迎えで、ある日、気付いたこと・・フランス人は、走らない」

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2021年1月16日土曜日

フランスの高等教育機関の授業体制への抗議に対するマクロン大統領の手紙


Coronavirus : "Il va falloir encore tenir", Macron répond à une étudiante en détresse


 ストラスブール(フランス北東部・グラン・テスト圏の首府)のシアンスポ(Sciences-Po)(行政系の特別高等教育機関・エリート養成校)の19歳の学生がマクロン大統領宛てに送った「学生を大学や学校から締め出すコロナウィルス対応に抗議する内容の手紙」がフェイスブックに公開され、彼女の意見に賛同する声が多くの学生によって、拡散されたことから、マクロン大統領が彼女に返答する形で彼女宛てに出した手紙とともに、大学以上の高等教育機関の授業体制について、最注目されています。

 多くの教育機関、特に、保育園、幼稚園、小・中学校、高校に関しては、現在、フランス全土が18時以降の夜間外出禁止や様々な生活制限が強いられることになっても、余程の緊急事態にならない限り、学校は閉鎖しない(高校に関しては、一部制限あり)とする態度を貫いているフランス政府も、大学以上の高等教育機関については、ほぼリモートワークが続いているケースが多く、登校が許されない状態が続いています。

 彼女は、大統領宛ての手紙の中で、大学から締め出された形の現在の状況から、「私は生きながら、死んでいるような気がする」「希望がない、自分の人生が無いような気がする」「多くの学生が社会から隔絶された状況から忘れられている」「このコロナウィルス感染の危機、経済危機から、孤独に陥り、精神的にも追い詰められ、大学教育を諦め、中退してしまう人もいる」などを綴り、「授業に戻ることは、多くの学生にとって有益なこと」と対面授業を求める高等教育機関の授業体制の見直しを求めています。

 このパンデミックの中、苦しい環境は、全ての人に共通するものではありますが、人生の重大局面を迎えている将来的に繋がる大切な教育を受け、将来を見据えるタイミングに局面している年頃の学生にとっての苦悩は、計り知れないものであると思われます。

 実際に我が家にも同じ年頃の娘がいるだけに、他人事ではなく、先日、普段は、あまり感情を激さない彼女がこのパンデミックによる若者が被っている困難を家で叫んでいたことを思いました。

 今の時代を生きている人には、それぞれが大なり小なり人生が狂ってしまった人も多いと思いますが、我が家の娘もまた、イギリスの大学の研究室でスタージュするはずだった予定は、全てリモートになり、日本への留学も断念(しかもドタキャン)(一応、延期ということになっている)し、代わりに思っても見なかった会社でスタージュをすることになり(それでもスタージュ先が見つかっただけマシ、多くの人が失業している中、スタージュの機会を得られない学生も多い)、今後の予定も、いくつもの可能性を探りながらも、先が見えない状態です。


 シアンスポの19歳の学生がSNSで社会に呼びかけた訴えにより、マクロン大統領が彼女に宛てて書いた手紙も公開されています。

 マクロン大統領は、「親愛なるハイディ、私は、あなたの怒りがわかります。2020年に19歳という年齢を迎えていることは、どれだけ困難に直面しているか、私は、とても深く考えています。このパンデミックはあなた方から多くのものを奪ってしまっていることも理解しています。それでも、率直に言って、私たちは、まだ頑張らなくてはなりません。これは、単純な公式には、当てはまりません。私は、あなたにもう一度、数週間、努力することをお願いします。あなたを駆り立てる勇気を示すために頑張ってください」という内容の手紙を送っています。

 私は、この19歳の女の子が自分の怒りを大統領宛の手紙を綴り、SNSで世論に訴えかけ、それが拡散されてマスコミを巻き込んで、ついには、大統領からの手紙を受け取ったことにちょっと感心しています。実際に、高等教育機関の授業体制が即座に変更されるかは疑問ではありますが、再検討されるきっかけには、なったのではないかと思っています。

 この深刻な感染状況の中、デモなどという手段ではなく、手紙やSNSを利用した彼女の抗議の仕方は、いかにも現代に生きる若者の賢明なものであったと思います。彼女が起こしたこのようなアクトに、「生きながら死んでいる」と綴っている彼女が、少なくとも困難の中でも賢明に生きていることを感じるのです。

 そんな学生をよそに、土曜日は、また、パリ市内及び、フランス全土で総合治安法案に対する抗議デモをはじめ複数のデモが実施される予定になっています。

 これ以上、デモなどで、感染をさらに拡大し、若者の将来を奪うことを許せない気持ちでいます。


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「娘の留学ドタキャン コロナウィルスによる被害」

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2021年1月15日金曜日

フランス全土・夜間外出禁止18時へ 入国制限も強化へ

    


 今週の土曜日(1月16日)から、フランスの18時以降の夜間外出禁止がフランス全土に広がることになりました。18時門限となれば、通勤して仕事をしている人にとっては、なかなか厳しい制限となります。

 この制限は、少なくとも15日間続けられるということです。

 子供を預けて仕事をしている人(フランスでは、ほとんどの人がそうなのですが・・)にとっては、仕事を終えて、子供を迎えに行って、18時までに家に帰るというのは、なかなか大変なことです。

 とはいえ、18時に子供を迎えに行けば、家に着くのも18時を過ぎてしまうわけですが、それに関しては、許可証を携帯すれば許可されることになっています。

 今回のコロナウィルス対策強化に関しては、店舗の営業も18時までということで、日曜日営業に踏み切った店舗などは、この18時以降の外出禁止が全土に渡ることを見越しての対応であったと思われます。

 もっとも、フランスは、共働きが多いので、日用品の買い物は、土曜日にまとめてしている人が多いので、土曜日の混雑具合が増すくらいでしょうか? しかも、日曜にまで買い物ができるとなれば、それも土日に分散されることになるので、買い物問題は、ハードルは低いかもしれません。

 それでも、幼稚園や学校は、閉鎖することはありませんが、学校内、室内でのスポーツ等は禁止され、キャンティーンは、衛生管理、環境をさらに工夫、強化し、お弁当を持ってくることも推奨されるようになるとか・・高校に関しては、クラスを半分の数に規制する条件で開校、学校内では、週30万件のPCR検査を強化することを発表しています。

 また、フランス入国に関しても入国条件を大幅に強化し、EU圏外からの入国者については、入国時に72時間以内の検査による陰性を提示することが必要となり、入国後も1週間の隔離が求められるようになります。

 日本などに比べると、「まだやってなかったんかい!」と思われると同時にEU圏内からの入国者にこれを適用しないのは、ヨーロッパ中が感染の渦の中にいることを考えると、どうにも納得がいかないことでもあります。

 また、多くのことが禁止されている中、高齢者施設への面会が「衛生管理に充分に気を配った上で」という条件は付くものの許可されていることや、18時以降に許可されることの中に動物の散歩という項目があることも(人間の散歩はダメでも動物の散歩はOK)少々、不思議というか、フランスらしいところでもあります。

 特に、最もリスクが高い高齢者施設を最優先にワクチン接種を進めているとはいえ、まだ、充分にワクチン接種が進んでいない中、外部からの人との接触は、避けるべきではないかと思うのです。実際に、再び、高齢者施設でのクラスターも起こり始めているのです。

 高齢者と動物には優しいフランスです。

 18時以降の外出禁止となれば、かなり厳しい生活になりますが、感染症専門家の中には、これでは不十分としている人も少なくありません。

 また、逆に18時以降の外出禁止は、17時から18時の時間帯に余計に混雑状態になると警告を発している人もいます。

 しかし、完全なロックダウンになることを思えば、まだまだ全然、威圧感は違います。

 とはいえ、夜間外出禁止が全国に広まるには、それなりの感染悪化の状況があるわけで、とりわけ、イギリス変異種の広がりは、脅威で、これは、従来のウィルスよりも30%から70%は感染力が強いとされ、潜在的に子供に対する感染力も強く、現在、フランスでは、100件の感染のうち、1〜1.5件がイギリス変異種によるものであり、毎日200件から300件の感染が確認されていることを思えば、これが今まで以上に広がる危険性は充分に考えられます。

 現在の段階で、少しでも感染を抑えるためになんらかの措置を取ることは、やはり必須。

 なんとか、この18時以降の夜間外出禁止で、感染状態が好転し、完全なロックダウン状態だけは、避けられますように・・。

 しかし、ドイツが「少なくとも4月までのロックダウン」を発表していることを考えれば、淡い期待なのかもしれません。


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「夜間外出禁止に対応する営業時間変更から日曜営業するフランス」

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「フランス人の男性のお買い物」

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「フランス人のダンナはよく働く」

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2021年1月14日木曜日

世界中が警戒しているイギリス変異種   

  


 

 昨年の12月に入った頃からの感染拡大にヨーロッパの多くの国は、非常に警戒し、ロックダウンを始めとした非常に厳しい制限をとっている国が多いのです。12月の段階では、まさかのドイツまでもが感染状況が深刻化し、学校閉鎖や店舗の閉鎖など、クリスマス前にも関わらず、かなり厳しい体制をとってきました。

 その後、イギリスで変異種が検出され、変異種の感染力の速さ、強力さが発表され、実際にイギリスの感染状況も日に日に新規感染者数、重症化するケースの多さ、死亡者数などは、記録を更新し続け、一ヶ月間に4倍以上も膨れ上がってしまったイギリスの医療崩壊の様子がフランスでも毎日のように報道されています。

 フランスでは、2度目の感染拡大のピークを昨年10月に驚異的な数字を記録して以来、10月末からの約1ヶ月間のロックダウンにより、1日の新規感染者数が6万人から1万人近くまでに減少したこともあり、(他のヨーロッパ諸国とは、感染の波の時期がずれている)、充分に危険な状況にも関わらず、どこか余裕で、他国の厳しい制限について語っている奇妙な状況が続いています。

 とはいえ、フランスの12月初旬からのロックダウンの緩和以来、1万人近くまで減少した1日の感染者数は、現在は、2万人を超えています。フランスの感染者の増加は、比較的緩やかではあるものの、結果的に数字から見れば、1カ月間で倍以上に膨れ上がっているのです。

 現在、多くの国が警戒しているのは、元来のコロナウィルス感染はもちろんのこと、イギリスの変異種の威力に警戒している状況が見て取れます。

 イギリスからの入国禁止は、もちろんのこと、イギリスの変異種の特徴の一つである子供の感染率の高さから、イギリスはもちろんのこと、デンマーク、オーストリアー、ドイツ、オランダなどの国は、学校を閉鎖しています。

 フランスでは、あくまで学校閉鎖に踏み切るのは、最終段階としており、現在の制限は、夜間外出禁止、レストラン、映画館、劇場、スポーツジム等の営業停止で感染の悪化している25カ所の地域に関しては、夜間外出禁止が20時から、18時に前倒しになる程度で、他国のようなより厳しい制限には至っていません。

 しかし、フランスの状況は、ある程度、緩やかな上昇とはいえ、確実に悪化していることに変わりはなく、今後、フランス全土で夜間外出禁止が18時になるとか、週末だけロックダウンになるとか、色々、噂が飛び交っています。

 現在、公になっている変異種といえば、イギリスでの危機的状況から、圧倒的にイギリスの変異種が注目されていますが、フランスで変異種についての話題になれば、南アフリカの変異種に加えて、最近は日本の変異種も必ず話題に上がります。

 日本での変異種の検出は、ブラジルからの旅行者から検出されたとのことなので、その変異種を確認し、WHOなどに日本が報告したことから、日本変異種という呼ばれ方をしてしまっていますが、その日本変異種については、世界が注目しているにも関わらず、日本では、大々的には、報道されていない(騒がれていない)ことが、なんだか少し妙な気もします。

 しかし、後に、日本変異種については、イギリス変異種、南アフリカ変異種、ブラジル変異種にかき消されつつあります。

 いずれにせよ、感染拡大の波を10月という他のヨーロッパ諸国とはずれた時期に一度迎えてロックダウンし、一度は、波の高さを抑えたことから、現在のフランスでは、他のヨーロッパ諸国とは一線を画し、どこか余裕の対応を続けていることが、今後、かえって悲惨な状況を生むのではないかと心配しています。

 もともとフランスは、愛国心からか?根拠のないことに関しても、どこか他国を下に見る傾向があり、そんな感じが現在のコロナウィルス対応に現れているような気がします。

 今のフランスは、とても、そんな余裕をこいている場合じゃないんですけどね・・。


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「他国の感染悪化を余裕で語るフランスに唖然とする」

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2021年1月13日水曜日

夜間外出禁止に対応する営業時間変更から日曜営業するフランス

     

お客様のために2月7日から毎週日曜日午前中営業しますというお知らせ


 コロナウィルス感染対策の一つとして、フランスでは、現在、夜間外出禁止(20時以降禁止・25カ所の地域では、18時以降禁止)の措置が取られています。この夜間外出禁止は、12月のロックダウンの段階的な解除が始まった時点で再開されましたが、夜間外出禁止ということは、事実上、営業時間の短縮ということなのです。

 この夜間外出禁止が開始された直後に、このスーパーマーケットなどは、開店時間を通常の9時から8時に前倒しにしたのには、ビックリしました。さすがのフランスもノエル前のかきいれ時には、頑張るんだな・・度重なるロックダウンにやはり必死に取り返しにかかっているな・・などと思っていたのです。

  

20時に閉店するため、8時開店にしますというお知らせ

 しかし、これは、ノエル前だけでなく、年が明けた現在も、夜間外出禁止の制限が続いているため、開店時間前倒し営業は続いています。

 そして、現在は、イル・ド・フランス(パリ近郊地域)は、夜間外出制限の時間は、20時のままですが、18時に前倒しになっている地域は、どんどん拡大しており、全国的に18時になるのでは・・?という話もちらほら出てきています。

 そんな状況に対応してか、日曜日は休みだった店舗が日曜営業への扉を開き始めました。

 私がフランスに来て、とても不便だと思ったことの一つに日曜・祭日は、基本的にお店はお休みで、買い物に行けないということでした。今では、慣れましたが、多くの人がお休みで買い物に行きやすい日になぜ?営業しないのか?すごく疑問でした。

 パリ市内には、通りによって、日曜日の営業許可が下りる場所と許可が下りない場所があり、場所によっては、日曜営業が不可能な場所もあります。

 また、大規模な店舗などは、組合が強く、従業員が日曜日に働くことを受け入れない会社もありますし、それなら、失業者も多いことだし、日曜日だけ働く人を雇っても良さそうなものですが、フランスの組合は、「自分たちの領域が侵される」という理由で、これさえも受け入れないのが現状です。

 フランスの労働組合の強さは、驚異的です。

 日曜日の営業許可を持っている店舗は、日曜日に出勤する従業員には、ドゥーブル・ペイエ(ダブルペイ)と言って、日曜出勤には、日割り計算で倍近い賃金を支払わなければなりません。(契約時にこのダブルペイはなし(アルバイトなど)としている会社もあり)

 クリスマス前の時期やバーゲンの最初の週だけは日曜営業をしているところもありますが、そんなわけで、フランスの日曜営業は、なかなか広まらないのです。

 しかし、今回は、多分、コロナウィルス感染対策の一環である事実上の営業時間短縮のための特別対策と思われますが、なんとか、これが定着してはもらえないものか?と密かに思っています。

 とはいえ、このスーパーマーケットの日曜営業は午前中だけ、コロナ以前から日曜の午前中だけは営業しているというスーパーマーケットは、ちらほらあったので、その仲間入りをしただけですが、カーフールといえば、フランスでは最大手のスーパーマーケット。他店に与える影響は少なくないと思っています。

 年中無休、深夜営業も珍しくないコンビニのたくさんある日本と比べたら、あまりに次元が違う話で、意味不明かもしれませんが、フランスは、こんな国なのです。


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「フランスの雇用問題」

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「ブリヂストン・フランス・べチューン工場閉鎖 ①」

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