昨年のロックダウンの段階的な解除の発表にあったとおり、7日、今後のフランスのコロナウィルス対策についてのカステックス首相の会見が行われました。
年明けの感染状況次第で、これまでの制限に関する再検討を行い、感染状況が改善していた場合は、映画館・劇場などについての営業再開などについての可能性もあり得るとしていました。
しかし、これは、当初から、ノエルや年末年始の人が集う機会を控えていた12月の後半を過ごした直後には、ちょっと考えづらいことで、予想どおり、11月のロックダウン解除発表時よりも感染状況は、悪化しており、映画館・劇場等の再開は、延期されることになり、1月20日前後には再開か?と見られていたレストランの再開も2月半ばすぎまで延期となりました。
現在のフランスの感染状況は、1日の新規感染者が2万人強の状態、現在、2万5千人がコロナウィルスのために入院しており、集中治療室の約半分がコロナウィルス患者で占拠されている状態が続いています。
クリスマスから約2週間が経ちますが、1日の新規感染者が2万人超えとはいえ、ノエルによる極度の感染爆発が起こっている兆候はありません。しかし、年末年始の影響が確認できるのは、来週以降であり、依然としてフランスは、厳しい状況にあり、感染が上昇していることには、変わりなく、今後、数日の感染状況によっては、さらに厳しい制限が追加される可能性があることも示しています。
実際に現在の15地域での午後6時以降の夜間外出禁止地域に加えて、さらに10地域が追加されることが発表されています。
イギリスで広がっている変異種も、イギリスとの国境閉鎖をしたにもかかわらず、すでにフランスに広がり始めているという話もあり、また、年末年始影響がまだ、影を潜めていることもあり、今後の感染拡大は、依然として心配される状況であることには変わりありません。
しかし、今回のカステックス首相の会見では、今年のフランスは、とにかくワクチン接種の拡大を第一目標にしていくことが発表され、この5日間で4万5千件のワクチン接種が行われたことを報告し、さらに、1月18日からは、75歳以上(高齢者施設居住者以外も可能)の人はワクチン接種が受けられるようになり、(65歳以上の人は、3月から可能になる)予約システムが完成し、現在、1月末までには、100万人にワクチン接種が行える準備ができたことを発表しました。
これまでワクチン接種をするかしないかは、本人の自由選択によるものとしてきたフランスですが、基本的には、その姿勢は、変わらないものの、「ワクチン接種を受けてください!あなたの愛する人がワクチン接種を受けるのを手伝ってあげてください!」と積極的にワクチン接種を呼びかけるようになりました。
年末からワクチン接種の進行状況が周囲のヨーロッパ諸国に比べて極端に遅れていたことを大バッシングされたフランス政府は、その巻き返しに加えて、今後、ワクチン接種を広げることに一気にアクセルがかかった形となりました。
これが上手く運んでいけば、まさに災いをアクセルにして、ワクチン接種は、当初の予定よりも早く進むことになります。
しかし、世論調査によれば、現在のところ、ワクチンを受けると言っている人は、全体の38%、フランス人の45%は、ワクチンを受けたくないと言う人が上回っています。
この世論を踏まえてか?カステックス首相は、会見の中で、ワクチンは安全なものであり、副作用が起こるのは、10万人に1人の極めて稀なことであることも説明しています。
ワクチン接種の拡大とともに、次に心配されるのは、2月半ばの冬のバカンスです。スキー場の閉鎖は、とりあえず、2月半ばまで延長されることになったものの、また、冬のバカンスの直前になれば、一悶着あることは、必須です。
現在、直面している感染の増加への対応とワクチン接種の拡大、それでもカステックス首相の会見は、圧倒的に自信に満ちたワクチン拡大による今年の希望が中心で、本来ならば、延期されるレストランや劇場などの再開問題は、あまり注目されませんでした。
実際に動向が好転するかどうかはわかりませんが、先日の日本の首相の緊急事態宣言を見たばかり、フランス政府の堂々とした力強い牽引力を余計に感じたのでした。
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「フランスのワクチン接種が大幅に遅れをとっている理由」
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