2021年1月31日日曜日

ロックダウンしないフランス政府の決断は正しかったか?

 

 Manifestation contre la loi "Sécurité globale" à Paris, le 30 janvier 2021


 現時点では、ロックダウンをしない選択をしたフランス。この選択が良い選択だったと思っているのは、48%、悪い選択だった・・ロックダウンをするべきだったと考えている人は、52%という世論調査の結果が出ています。

 この数字からも規則に縛られることが大嫌いなフランス人でさえも、かなりの危機感を持ってはいるということがわかります。しかし、今となっては、ロックダウンに反対の割合もずっと増えていることも事実です。

 特に若者の間の精神的なダメージによる自殺が増加するなど、「コロナウィルス感染よりも人と関われない孤独が怖い」という若者も少なくありません。

 日曜日から営業停止となるコマーシャルセンターなどには、冬のソルド(バーゲン)のラストチャンスを狙って、かなりの人出で賑わいました。今年のソルドは、例年の予定よりも遅く始まったにも関わらず、また、このタイミングで、また、営業停止です。

 もっとも、ロックダウンせずに、さらなる制限となれば、他に手立てはありません。

 また、あいも変わらず、土曜日のデモは、フランス全土(パリ、リヨン、ナント、レンヌ、ボルドー、ストラスブールなど)で行われ、3万人以上がデモに参加し、警察との衝突で、35人が逮捕されています。

 デモは、グローバルセキュリティ法に反対するデモではありますが、デモの終盤には、こんな生活やってられない!と暴れ出す人までいて、もはや何に対して抗議しているのかわからないようなところもあります。

 デモというのは、本来は、何らかの問題に対して抗議する活動でありますが、フランスでは、一部には、デモをすること自体が目的で、ストレス発散の場のようにしている人もいるのも事実です。

 前日に「現在は、危険な状況ながら、制限を追加しつつ、衛生管理を強化して、ロックダウンは回避して様子を見る」との発表があったばかり・・より注意しなければ、ロックダウンになると言われているのに、デモに出かける人が後を経たないことは、絶望的な気持ちにさせられます。

 グローバルセキュリティー法に関して、今、このロックダウンか否かの瀬戸際の状態で抗議しなければならないことなのか? 全く理解ができません。

 また、日曜日からは、EU圏外の出入国が禁止され、EU圏内でさえも、厳しく制限されますが、感染状態がフランスよりさらに深刻なスペインでは、政府の方針の違いから、22時以降の夜間外出制限はあるものの、それ以前の時間帯には、バーから美術館、レストラン、劇場に至るまで公共施設が閉鎖されていないことから、マドリッドなどには、フランスからの観光客がかなりいるようです。

 急な国境制限とはいえ、現在、スペインにいるフランス人観光客は、急いで日曜日までに帰国するか、それ以降に帰国する場合は、入国時にPCR検査を受けなければなりません。

 現時点では、ロックダウンはしないことを決定した政府も必死であり、警察の取り締まりは、厳しくなったようで、土曜日1日だけで、営業禁止に違反しているパリのレストラン24軒が検挙されたようです。

 今回のロックダウンをしなかった判断は、選挙を控えた政治的な判断であったとの批判も少なくなく、マクロン大統領は、ツイッターで、「私は、自信を持っています。私たちが生きている時間は非常に重要な時間です。一緒に感染を止めるためにあらゆることをしましょう」と呼びかけています。

 しかし、フランスには、夜間外出禁止ならば、夜は、家で人と集い、より感染の悪化したスペインに行って、レストランなどの普通の日常に近い生活を楽しみ、ストレス発散にデモに出かける人がたくさんいるのです。

 高いレベルでの感染状態が続き、ジリジリと増加を続けるフランスは、いつ急激な感染拡大を迎えるかわからない時限爆弾を抱えているようなものです。

 実際に、昨日の新規感染者数は、24,000人を超えており、もはやイギリスの新規感染者数を上回っているフランスなのです。

 結局のところ、猶予が長引いただけで、結局、いずれ、ロックダウンになるのを待っているような中途半端なジワジワと制限が厳しくなる状況は、より一層の国民の動揺を招き、感染も封じ込められない最悪の決断だったような気がしてなりません。


<関連>「まだロックダウンしないフランスの真意」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/01/blog-post_30.html

2021年1月30日土曜日

まだロックダウンしないフランスの真意


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 金曜日の夜18時に、マクロン大統領がエリゼ宮に防衛評議会を招集したというので、これは、いよいよロックダウンだと思いました。

 フランスのコロナウィルスの感染は、劇的な悪化はしていないものの、確実に増加しており、夜間外出禁止の時間前倒し(18時以降外出禁止)が、感染減少には繋がるほどの効果が出ていないことは明らかな状態です。

 防衛評議会は、1時間ほどで終了し、そのおよそ1時間後には、カステックス首相の会見が開かれるというので、その会見内容が注目されていました。

 なぜ、マクロン大統領が出てこないのか? なぜ、カステックス首相が会見するのか? それだけでも、ほんの短い時間にざわつきました。

 しかし、カステックス首相の会見で、今回は、マクロン大統領が出てこなかった理由がすぐにわかりました。つまり、ロックダウンではなかったのです。

 カステックス首相の会見内容は、夜間外出禁止の効果は出てはいるものの、充分ではない。しかし、今しばらく、さらに衛生管理を強化し、状況を見守る猶予期間を取るものとする。

・EU圏外からの入国禁止

・リモートワークの強化

・20,000㎡以上のスーパーマーケット、ショッピングセンターの食料品以外の店舗、コーナーの閉鎖

・夜間外出禁止、営業禁止店舗(レストランなど)の取り締まり強化

・検査・隔離の徹底

 海外からの入国禁止とコマーシャルセンター・スーパーマーケット内の一部閉鎖以外は、これまでと大して変わらない内容の発表は、ほんの5分ほどで終わりました。

 なんだか、肩透かしを食った内容でしたが、この内容の制限のみで、感染が減少するとは考えづらく、「もっと、気をつけろよ! できなければ、ロックダウンだぞ!」という、ロックダウンを決行する過程の精神的なショックや政府に対する反抗回避への1クッションであったような気がします。

 感染症専門家の多くは、今の段階で、これだけの制限に留めることには、かなりの疑問を抱いている人が多く、特に変異種の拡大は深刻であることから、特にパリの医療体制は、かなりの逼迫状態にあり、患者の移送さえも始まっている状態であるといいます。

 1週間後には、フランスでは、冬休みのバカンスに突入するので、その期間にロックダウンを重ねれば、学校を閉鎖する期間をそれに重ねることもできるのですが、その時期に制限がない場合は、逆にまた、多くの人が国内を大移動し、感染を拡大させることになります。

 賛否両論はあるにせよ、多くの人がロックダウンを信じて疑わなかった状態での今回のカステックス首相の発表内容には、やはり、内心は、一瞬、少々ホッとしたものの、しかし、依然として、いずれロックダウンになるであろうという思いには、なんの変わりもありません。

 ただ宙ぶらりんだった状況の中、現在の段階ではロックダウンしないにせよ、動揺する国民の気持ちになんらかの新しい発表が必要なタイミングであったのかもしれません。

 本来ならば、衛生管理は、まだまだ努力の余地が大いにあると思えるフランスではありますが、それができないから現在の状況に至っているわけであり、より具体的な制限や対策がない限り、ロックダウンする以外に道はないのです。

 検査と隔離の問題だけを見ても、検査は、かなり可能な状態ではありながら、肝心の隔離ができていない状態がフランスではずっと続いているのです。

 経済的なダメージや国民の精神的なダメージのために、なんとかロックダウンを回避、あるいは、先送りしようとしているのもわかりますが、危機的状況を迎えれば、結局は、ロックダウンもさらに厳しいものになり、より長いものになることは避けようもありません。

 結局は、感染が爆発的な上昇を見せない限り、ロックダウンには、踏み切れないことに憤りを感じるのです。


<関連>「なかなかロックダウンを決断できないフランス政府と国民感情の動き」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/01/blog-post_28.html


2021年1月29日金曜日

フランス人が日本の感染対策に対してびっくりしていること



 最近、クリスマスも年末年始の行事も終わって、少し落ち着いたのか? どういうわけか?しばらく話していなかったフランス人の友人から、電話がかかってきます。思うように出歩けないので、電話ででも誰かと話したいのかもしれません。

 とはいえ、話題は、コロナ関連のことになりがちなのですが、彼らが共通して怒っているのは、ワクチンの予約が全く取れなくなってしまったことです。両親のための予約を入れようとしているのに、全く、予約ができないのだそうです。

 年が明けて、他のヨーロッパ諸国に比べて、大幅にワクチン接種が遅れていることが発覚したフランス政府は、大バッシングを受け、年が明けるとともに、これでもかというくらい、ワクチン接種の話題で持ちきりになり、政府は、今日は、どれだけワクチン接種が進んだかというニュースを大々的に発表し、かなり、ワクチン接種に躍起になってきました。

 ところが、ファイザー等のワクチン製造販売元に問題が起こり、ワクチンが届かずに、供給が間に合わなくなってきてしまったのです。これは、フランスだけで起こっている問題ではありませんが、元々、ワクチン接種に遅れを取っていて、慌てて、ワクチン接種の枠を拡大したフランスには、特に問題が深刻化しているのです。

 そもそも、このワクチンは、2回接種しなければならないもので、すでに、年初に1回ワクチン接種をした人々は、そろそろ2回目の接種をしなければならないのです。ところが、急にワクチンが届かなくなってしまったのですから、1回目の接種を希望する人の予約は受け付けられないのです。

 新たに予約を入れるどころか、これまで予約した人まで実際に、ワクチン接種を受けられずに予約がペンディングになってしまっている混乱状態なのです。

 まあ、知人やその家族がコロナウィルスに感染して、入院している・・などというニュースではなく、ワクチンが受けられないと怒っているのは、まだ幸いなのかもしれません。

 日本の様子は、どうなの?と聞かれて、「日本も感染は、悪化はしているけど、フランスよりも全然、マシだよ・・」と言うと、「じゃあ、レストランやお店もやっているの?」「時間帯に制限はあるらしいけど、やっているみたい・・」と答えると、彼らはとても、ビックリします。

 考えてみれば、日本は、フランスの2倍の人口を抱えているのに、これまでの死者数は5300人、フランスは、75,000人と日本の15倍近い犠牲者を出しています。(人口比率を考えれば、実質30倍と言うことになります)

 2倍3倍ならばまだしも、これだけの差になると、もはや比較の対象にはなりません。まさに別世界です。

 フランスは、2回のロックダウンに加えて、ほぼ、一年のうちのほとんどの期間をレストランなどは閉鎖したまま、その他に夜間の外出禁止などの日本よりもずっと厳しい措置を続けているのに、現在、再び、3回目のロックダウン間近と言われている状態です。

 私は、彼らに日本の状況を説明しながら、現在、感染が悪化してはいるものの、日本は、フランスに比べてこれだけ感染を抑えられているのだから、やっぱり、凄いな・・と改めて思うのでした。

 考えてみれば、私の父が入っていた介護施設に行った時、もう数年前のことで、コロナウィルスなど、まだ影も形もなかった頃でさえ、施設に入る前の手洗いとアルコールジェルを使用して入ってください・・と言う衛生環境への気の配り方にビックリしましたが、それを考えると、日頃からの衛生観念が全然、レベルが違うのです。

 フランスの高齢者施設に行ったことはありませんが、現在、コロナウィルスが蔓延している状況でさえも、フランスの高齢者施設が、あれほど清潔な状態であるのかどうかは、甚だ疑問、現在のような状況でさえ、日本の通常の衛生レベルに達しているかどうかもわかりません。

 そんな衛生観念の違いは、大きく感染状況にも影響しているのでしょう。

 しかし、ワクチン問題で、頭がいっぱいの彼ら・・「日本は、まだワクチン接種を始めてもいないらしいよ・・」と言うと、さらにビックリするのです。「日本のように、何事も早く進んだ国で、なんで???」と・・。

 

<関連>「コロナウィルスワクチンに対する世界と日本の温度差」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/01/blog-post_18.html

 

 

 

 








 

2021年1月28日木曜日

なかなかロックダウンを決断できないフランス政府と国民感情の動き

   



 ロックダウンは必須だと言われながら、フランス政府はなかなかその決断を下さないまま、一週間以上が経過しています。感染状況だけでなく、経済的な逼迫状態からも、そのロックダウンの詳細を決めかねているのは、理解できます。

 政府の決断は、僅かな期待を込めて、夜間外出禁止を前倒しして、18時にした成果を見届ける2週間後の今週末まで、決定を引き延ばしていますが、残念ながら、その効果は全く現れておらず、新規感染者数も集中治療室の患者数も増加し続けています。

 もしも、この夜間外出禁止の時間帯を早めなければ、もっと急激に増加していたかもしれないので、それなりの効果はあるとも考えられますが、どちらにせよ、感染が拡大し続けている以上、更なる措置を取らざるを得ないことは誰もがわかっています。

 しかし、国民もロックダウンや多くの制限に縛られる生活に経済的にも精神的にも疲れてきていることもあり、営業停止になっているはずのレストランが痺れを切らして営業を始めたり、先日は、パリでは、いくつかのレストランが実は営業していて、ランチタイムなどは、かなりの人が入っているのに、現地の警察が見て見ぬふりをして、営業が続けられているという話を聞いたばかりです。

 昨日は、ニースにあるレストランが営業禁止を無視して、営業を再開し、テラス席は、50人ほどの客が集まり、20人の警察が踏み込み、営業終了を待って、レストランのオーナーは逮捕、お客さんには、135ユーロの罰金が課されました。

 かれこれ、最初のロックダウンから1年近く経過したフランス国民は、昨年の3月の時点では、93%がロックダウンに賛同していたものの、4月のロックダウン延長時には、83%、2回目のロックダウンの10月末には67%にまで低下し、現時点では、58%まで低下しています。

 10月末の2回目のロックダウンの際には、12月には、なんとかクリスマスを家族で迎えるためにという明確な目標もあり、まだ希望もありましたが、現在は、イギリス変異種の急激な拡大により、周囲のヨーロッパの国々も厳しい感染状況の中、次々にさらに厳しい規制が敷かれている中、終わりの見えない今回のロックダウンには、抵抗があるのは、もっともでもあります。

 しかし、この状況をこのまま放置するわけにもいかず、特に、感染力も高く、致死率も高いイギリス変異種の拡大は、深刻で、2週間前には、感染の1〜2%程度であった変異種が現在では、パリ地域では、14%まで上昇しており、2週間で10倍以上にも膨れ上がったことになります。近いうちにコロナウィルスの主流は、イギリス変異種がとって変わるのではないかとする見方をする専門家もいます。

 これらの状況を鑑みるに、現在3,100人まで膨れ上がっている集中治療室の患者数は、2週間後には、4,000人、さらに2週間後には、5,000人まで増加すると予想されています。

 集中治療室に5,000人というのは、フランスの医療システムの崩壊状態に限りなく近づく数字です。政府は、10,000床まで集中治療室は、拡大できると言っていますが、ベッドだけあっても、それをケアーする人出は足りません。

 政府の決断が遅れれば遅れるほど、感染者は増え続け、国民感情も動揺して、迷いが生じてきます。被害を少しでも少なく留め、できるだけ早く感染を収束させるためには、本当は、もう猶予できない状態なのです。

 昨日は、5月に予定されていたカンヌ映画祭が7月に延期されることが発表されました。先の予定ばかりが先行して延期になったり、中止になったりしているのに、目の前に迫っているロックダウンが決められないことをとても、私はとても、もどかしく思っています。


<関連>「変異種による2回目のパンデミックが起こる」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/01/blog-post_26.html

 

 

 

2021年1月27日水曜日

夜間外出制限をめぐりオランダで暴動 オランダに比べるとフランス人は意外と従順なのはなぜか?

Des policiers font face à des opposants au couvre-feu à Rotterdam, aux Pays-Bas, le 25 janvier 2021. (KILLIAN LINDENBURG / ANP MAG / AFP)


 ここ数日間、オランダでの夜間外出禁止に反対するデモが暴動化している様子がフランスでも報道されています。

 オランダの首都、アムステルダムと南部アイントホーフェンをはじめとする国内10カ所以上で、コロナウィルス感染対策の夜間外出禁止に反発する無許可デモが行われ、警官隊と衝突し、石やゴルフボール、爆竹などが投げられ、車や商店にまで放火される暴動に発展しました。

 ユルク(中部フレヴォラント州)では、コロナウィルスの検査施設までが放火されています。いくらなんでも検査施設に放火は、悪質です。

 この暴動では250人が逮捕され、過去40年間で最悪の政情不安だと言われています。ルッテ首相は、暴力は、抗議ではなく「犯罪」と述べ、これらの暴力行動に対して厳しく対処することを発表しています。

 オランダでは、昨年10月からレストランやバーが閉店、12月15日からは、学校や生活必需品以外の店舗も閉鎖されています。

 今回は、それらの制限に加えて夜間外出禁止(21時〜4時半)が追加されたことに対する反発です。

 しかし、このオランダの様子を見ていて、オランダに比べれば、フランス人は、意外と従順に、ロックダウンや夜間外出制限に従っているのだな・・と、私は、妙な感心をしてしまいました。

 フランスでも、このコロナ禍に、デモは度々、起こっていますし、ブラックブロックなるデモに便乗して暴れる集団により、デモが暴動化することもありましたが、それは、コロナウィルスの行動制限に対してのものではなく、最近のデモは、もっぱら、今は、グローバルセキュリティ法に関するデモが中心で、コロナ対策に対してのものは、あまり、ありません。

 ましてや、フランスの夜間外出制限は、18時から6時まで、これに違反すれば、135ユーロの罰金が課せられます。(オランダは21時から4時半まで、罰金は、95ユーロ) オランダに比べれば、格段、厳しい制限をフランス人は、概ね受け入れています。

 この18時の門限を守るために、日頃は急がないフランス人が、帰途を急いでいる様子には、ちょっとびっくりするくらいです。

 これは、フランスの感染状況がオランダよりも深刻であることも理由の一つであるかもしれませんが、ロックダウンなど制限に対するの国民の努力ををちょいちょい褒めつつも、ギリギリのところで締めているフランス政府のやり方は、少なくとも大きな反発を生んでいないだけでも上手くいっている方なのかもしれません。

 オランダでの今回の暴動は、オランダ政府の一貫性のないメッセージが国民の信頼を形成できなかったことが、原因になっていると見られています。

 コロナウィルス流行の初期には、「オランダ人は、法を遵守する国民性で、マスク着用や外出禁止といった措置を取らない方針」としていたにもかかわらず、年末年始以来の度重なる制限の追加にこれまでの怒りが爆発したとも言われています。

 このコロナウィルス対策のための数々の行動制限に関して、政府の説得力、国民をどう納得させられるのか?も、大きな問題の一つです。

 とりあえず、物申すフランス人が度重なるロックダウンや、厳しい夜間外出制限をなんとか受け入れているのも、ある程度、フランス政府は国民を納得させることができているのだなと思ったオランダの今回の騒動でした。

 しかし、むしろ、夜間外出制限を、外出さえしなけりゃいいだろ!とばかりに、夜間は、家で人が群れているのも、フランスの現状の一つなのですが・・。


<関連>「コロナウィルスに関するマクロン大統領のテレビ放送を見て思うこと」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/03/blog-post_13.html 

 


 


2021年1月26日火曜日

変異種による2回目のパンデミックが起こる

  


 イギリス変異種がヨーロッパで猛威を振るっています。

 イギリスでは、すでに一日1,000人以上の死亡者が出る日が何日も続き、ポルトガルでは、この変異種の影響により、40%以上も感染者が急激に増加し、政府が「限界に近い状況である」と発表する非常事態が起こっています。

 このポルトガルのような状況に陥ってしまうことにフランスは大きな危惧を抱いています。

 フランスでも、現在、新規感染者の7〜9%は、イギリス変異種による感染だと言われています。イギリス変異種は、感染速度も速く、感染率も高く、致死率もこれまでのコロナウィルスよりも30%〜40%高いことが、イギリスのボリス・ジョンソン首相からすでに発表されており、フランスの科学評議会の議長フランソワ・デルフライシー氏は、「イギリス変異種による2回目のパンデミックが起こる」「このままの状況を続ければ、(早急に、さらなる制限を設けなれば)、フランスも3月中旬には、壊滅的な状況に陥る」と警告しています。

 1回目のパンデミックも終わらないうちに2回目のパンデミックが起こるという表現を使うことから、科学技術評議会によって予想されている変異種の拡大と、その猛威への懸念の大きさがわかります。

 つまり、同じ感染者数でも、これまでのコロナウィルスとは、重症化し、死亡する比率が高いわけですから、単にこれまでと同じ推移で感染者数や入院患者数を見ていては甘いということです。

 フランス政府は、現在のところ、ロックダウンが必要であることは充分に認識しつつも、その時期や方法を計りかねています。現在の段階では、3回目のロックダウンとして、

① 店舗の営業は継続、1〜10km以内の外出に制限

② 学校も含めて、ほぼ完全な状態のロックダウン(昨年の3月〜5月のロックダウンと同等程度)

③ 学校は継続、店舗は、生活必需品を扱う店舗のみ営業(昨年11月と同等程度)

の3つの方法が検討されています。

 また、各国が必死に進めているワクチン接種も、HAS(Haute Autorité de Santé)によれば、ワクチンは、イギリス変異種の感染速度に間に合わないであろうと言われています。

 ほとんど待ったなしの現在の状況ながら、フランス政府は、夜間外出禁止前倒し(18時)の効果を今週いっぱい見たタイミングの週末にも今後の対策を決定する模様です。

 いずれにしても、現在以上の制限が敷かれることは、必須で、迫り来るロックダウンのために、準備を始める人も現れ始めています。

 コロナウィルスが出現して、そろそろ一年、感染拡大しては、ロックダウン、解除されれば、しばらくしてまたロックダウン、同じことを繰り返していて、愚かしい気もしますが、それに加えてウィルス事態がパワーアップするのですからたまりません。

 これからの数週間、いや数ヶ月、まだまだ気が抜けない日が続きそうです。


<関連>「世界中が警戒しているイギリス変異種」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/01/blog-post_14.html

「フランス全土・夜間外出禁止18時へ 入国制限も強化へ」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/01/18.html

2021年1月25日月曜日

フランスの3回目のロックダウンは、決定的

  


 フランスの3回目のロックダウンは、もはや、するかしないかではなく、いつ、どのようにするかという段階に入っているようです。フランスの感染状況は、急激に拡大してはいませんが、週平均、1日の感染者が2万人前後という高い数字をずっと保ち続けてながら、じわじわと増加しており、集中治療室の患者数もこれにつれて、少しずつ増加し、現在は、2,965人(1月24日現在)とほぼ、3,000人のボーダーラインに限りなく迫りつつあり、これは、前回のロックダウンに踏み切った時と同じレベルにまで達しています。

 しかも、現在、最も懸念されているのは、イギリス変異種を始めとする南アフリカ、ブラジルなどの変異種の拡大で、新規感染者の20%がイギリス変異種による感染が占めているポルトガルのように、感染が急速に拡大してしまうことを恐れています。

 すでに年末年始にかけて感染拡大が深刻になり、新規感染者の増加だけでなく、多くの死者を出し、ロックダウン状況にあるイギリスやドイツなどに比べると、一見、感染の急激な拡大はみられないフランスは、この期に及んで、「フランスは、ヨーロッパの中では、最も感染対策ができている」などと、お得意の自画自賛の姿勢を崩していませんが、その実、ロックダウンの効果が表れ始めているドイツやイギリスに比べると、なかなか微妙な数字を常に保ち続けており、今のフランスの状況は、単にドイツやイギリスに比べて、早い時期に1日6万9千人という驚異的な新規感染者数を叩き出したために、ロックダウンを早い時期に行った結果であり、その後のイギリス変異種の出現から、イギリスからの入国制限を慌てて行ったものの、実際には、この変異種がかなりの割合で蔓延し始めていることは、幼少者の感染拡大などの数字を見ても明らかです。

 これからが怖いところで、この変異種による感染拡大の波を迎えるかもしれないにあたって、フランスはすでに集中治療室が3,000近く埋まっている状態で迎えてしまうことで、ここから、急激に感染拡大した場合は、間違いなく医療崩壊まっしぐらになります。

 あくまでも経済をできるだけ維持し、学校も閉鎖しない状態を保ちたいフランスは、夜間外出禁止を18時に前倒しにした効果を期待していますが、一週間たった現在もその顕著な効果は確認されていません。

 学校に関しても、どちらにしてもフランスの学校は、あと10日ほどで冬のバカンスに突入するために、その学校のバカンスのタイミングに合わせた形でのロックダウンを考えているのではないかと思われます。

 科学評議会の議長が、少なくとも3週間のロックダウンは必須であると発言しているとおり、あらゆる状況(感染状況や変異種拡大の影響等)を考えてもロックダウンは確実ですが、あとは、そのタイミングや方法(地域的なものにするか、制限の範囲、年齢等)を検討している段階です。

 現在すでに長い期間営業停止されているレストランやカフェの営業停止が先んじて少なくとも4月6日までと延長されたり、3月に予定されていたバカロレアのスペシャリテの試験が中止になり、ずっと先の予定がどんどん中止になっていることも、当然の措置であると思いつつ、政府が目先のロックダウンを一日延ばしにしつつも、2月から3月にかけての感染爆発を充分に見据えている不気味な動きであることを感じずにはいられません。

 また、イギリス変異種に関しては有効性は変わらないとされていたワクチンも、南アフリカ変異種に関しては、有効性を40%低下させるという研究結果も発表されており、世界各国が躍起になっているワクチン接種の効果も効果が危うくなり、まさにウィルスの進化と人間の戦いのいたちごっこのようで、このパンデミックがさらに長く続きそうな気配がしています。


<関連>「学校閉鎖に踏み切る基準 フランスの年少者の感染増加」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/01/blog-post_19.html

「世界中が警戒しているイギリス変異種」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/01/blog-post_14.html