2022年7月22日金曜日

夏のソルド(バーゲン)の激しい衰退ぶり

   


 今年の夏のソルド(バーゲン)は、6月22日〜7月19日まででした。

 ここ数年、パンデミックが拍車をかける感じで、年々、このソルドは盛り上がらなくなっているところ、今年はインフレによる全ての物価の上昇がさらに消費者の購買意欲を削いだ形になったと言われています。

 もともと、フランスでは、国が夏と冬のソルド期間を指定するという、摩訶不思議な方法をとっているのですが、これには、20年以上前に私がフランスに来た頃から、奇妙なことをするのだな・・と思っていました。

 私自身は、年齢的なこともあるのでしょうが、あまり物欲がなくなり、(残るは食欲のみ)若い頃のように、あの洋服が欲しいとか、この靴が欲しいとかいう衝動にかられることも極端に減少していて、どちらかというと、持っているものを少しでも処分していこうとしている気持ちの方が強いので、あまり一般的ではないかもしれませんが、正直、今年のソルドが始まった時期も気づかずに、数日してから、たまたま買い物に出掛けて、そういえば、もうソルドが始まっているんだ・・と気がついたくらいでした。

 私の場合はかなり極端なのかもしれませんが、以前は、会社の同僚などが来週からソルドが始まるから、下見に行かなきゃ・・などと言っていて、張り切ってソルドに臨んでいて、実際にソルドが始まった直後に戦利品などを披露したりしていたのをちょっと冷めた目で眺めていました。

 しかし、そんなことをしている人も周囲にはいなくなり、マスコミなどでも以前は、「明日から夏のソルド!」などと報道していたのに、そんなこともなかったようで、今年などは、マスコミが騒いでいるのは、「今年のソルドの売り上げが激減した!」ということのみで、全く、消費者の動向が変化してしまったと言わざるを得ません。

 今年のソルドの集客数は20%低下、売上は10%低下したとかで、それでも売り上げが10%しか落ちていないのか・・とびっくりしたくらいです。

 この一番の原因はネットショッピングの拡大で、ネット上では、ソルド期間などというものは、あまりきっぱりしていないため、いつでも自分の希望する価格帯のものを買い物することができ、何もこの期間を待って買い物をする必要がないわけです。

 例えば、アマゾン(フランス)に関して言えば、2019年から2021年の2年間で、売り上げは68%増と言われています。配送や返品のシステムまでが、かなり簡易化され、素早いので我が家も昨日、注文した電化製品が今日、届き、試してみた結果、機種が合わなかったために即日、返品し、荷物を預かってくれるところに預けてきたら、すぐに返金の通知が届き、これなら、わざわざ店舗に買い物に行くよりも、返品する際でもずっと早くてスムーズでこれでは、わざわざ買い物に行く必要もないなと思ってしまいます。

 これと同じで、例えばネットで洋服などを買ったとしても、これまで試着しなければ、不安で買い物できなかったものなども、一応、買ってみて、家で試着して気に入らなければ返品することも簡単で、むしろ、店舗に行って買い物して、店舗に返品するなどとなったら、人を介す分だけ、お店で長いこと待たされ、ミスも多く、感じも悪く、さぞかしうんざりすることも多かろうに・・などと思ってしまいます。

 また、このソルドの衰退には、leboncoin(ルボンカン)、や Vinted(ヴィンテッド)などのフリマアプリ(フランス版メルカリのようなもの)の急成長もあり、もともと古着や中古品などに価値を見出す文化のフランス人には、もってこいのシステムで、全く使用されていない新品でさえも、出展されているにもかかわらず、一般の市場よりは、破格の値段で買い物ができ、また、値段の交渉や商品の配送、受け取りなどのシステムもかなり配慮されて作られているうえに、ヨーロッパの他の国々ともやりとりができるため、この市場が2021年には、150%増加するという急成長を遂げていることも、ますます一般の店舗のソルドから、客足を遠ざけています。

 私もleboncoin(ルボンカン)、や Vinted(ヴィンテッド)など、両方に登録してありますが、私は不用品を処分するばかり(つまり売るばかり)ですが、確実に売れていきます。

 それでも、世界をリードするファッションの発信地でもあるパリの店舗としては、やはりシーズンごとの流行というものはあり、定期的にソルドのようなもので、その年の在庫を処分していくことは必要なのかもしれませんが、実際に、人気の店舗などは、ソルドなどしなくとも、お店には行列ができていて、どちらにしてもソルドなどというものは、あまり意味をなさなくなっているということで、ましてや国がこのソルド期間を設定するなどナンセンス。

 実際にソルド期間が終わっても、在庫を処分できないお店は、そのまま在庫を抱え込むわけにはいかないので、「特別プロモーション」などと呼び方を変えて、実際のところは、割引を続けています。

 消費者の買い物の仕方が大きく変化していることで、全く意味をなさなくなっているこのソルド期間を国が設定し続けることは、なんだか空虚な感じさえしてしまうのです。

 以前は、夏のソルドの最終週などは、店舗の一部には、秋物が登場し始め、冬のソルドの最終週には、春物が登場し始めていたりしたのですが、現在は、ソルドが終わっても売れ残りの商品を売り続けるしらけた状態。

 よほどの人気店でもない限り、一般の店舗がネットショッピングに対抗するのは、どんどん難しくなっていくのは、確実です。


夏のソルド 売り上げ大幅減少


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2022年7月21日木曜日

フランスの報道機関が指摘する安倍元総理と統一教会についての日本での報道と警察と政府、報道機関の歪み

  


 安倍元総理が襲撃された事件は、フランスでも衝撃的な事件として取り上げられ、フランス時間でほぼオンタイムで、病院に搬送され、心拍停止状態で、その後、死亡が発表されるまでの様子が生中継で放送されていました。

 犯人については、その場ですぐに取り押さえられたことも伝えられ、世界中の首脳がこぞって弔意を示していることまでがセンセーショナルに報道されていました。

 それ以上の詳細については、あまり触れられることはないのかと思いきや、その後の日本でのこの事件についての報道や政治と宗教団体のつながり、そして、警察と日本のマスコミの報道について、かなり辛口な指摘がなされています。

 以下は、仏大手フィガロ紙などに掲載された内容で、なかなか辛辣で興味深いものでした。

 安倍元総理が襲撃された48時間後、日本は議員選挙の投票日を迎え、自民党は安倍晋三が生涯をかけて追い求めてきた憲法改正の可能性に充分な票を獲得しました。しかし、日経新聞が「暗い勝利」と題したように、通常、暴力、特に政治暴力とは無縁の日本における前例のない事件に与党でさえも、しばらく唖然としていました。

 しかし、その後、この事件は犯人の安倍氏殺害の動機によって、思いがけない次元に突入してしまいました。

 日本の警察とマスコミは、「彼は元海上自衛隊員で、母親が財産を投げ打ってまで入信した宗教団体の指導者とその教団を推した安倍晋三を狙い事件を起こした」と発表しました。

 このシナリオは日本という国にとって、非常に恥ずべきことで、この48時間、日本の大手メディアは膨大な人的・物的資源(全国紙5社で9,355人の記者)を導入して、事件の情報収集に当たっており、事件現場にはヘリコプターが飛ばされ、事件現場は模型で再現され、きめ細かく検証されているかのごとく報道されています。

 しかし、堕落したマスコミは、これだけの人的・物的資源を導入が単なる水増しされた動員、導入であるかのごとく、愚かしいニュースを流しています。驚くことに安倍晋三が殺害された翌日、日本の大手5大新聞は全て同じ記事を一面トップで掲載し、書体の大きさも含めて一言一句違わないのは、彼らの共犯関係を裏付けています。

 操作当局は目に見えて置き換えられた「自白」を彼らが認定した同人記者たちに垂れ流し、彼らは真実性や臨場感さえ気にせずに、それをそのまま掲載しています。

 日本の読者は当初、この報道によって、犯人が元海上自衛隊員であったことに無理矢理注目させられ、安倍晋三が無名の宗教団体と繋がっているという誤解を招くような印象を与えられています。

 また、フィガロ紙は、この目に見えて置き換えられた犯人の自白を発表した現在の警察のトップが政府に近いジャーナリストの強姦事件の起訴を不起訴処分にしたことで有名な中村格氏であるという説明の仕方をしています。 

 この宗教団体の名前は、すでに初期の段階から、すでに地元のタブロイド紙や海外の新聞によって明らかにされ、全世界に300万人の信者を持つという統一教会に対して信者に与えている洗脳を批判しているにもかかわらず、選挙が終わるまでは、安倍氏と繋がりがあったと言われるこの特定団体の名前を報じない主要メディアは「卵の殻の上を歩いているようなものだ」と書いています。

 日本における宗教は、伝統的なもの(地元の神道など)、確立されたもの(創価学会など)、「新しい」もの(統一教会や生長の家など)が、日本の政治において控えめながら重要な役割を果たしています。信者を選挙戦の力と献金に動員する能力を持つ彼らは、特に多数派で、特に社交の機会が少ないアノマリー人口が多い都市では、政党の貴重な味方となっているのです。

 この仏紙が書いている「日本の主要メディアが卵の殻の上を歩いているようなものだ」という表現は、もはや日本の主要メディアが報道機関として成り立っていないということを指摘しているのです。

 安倍氏の殺害事件も統一教会の問題とともに、浮き彫りになった日本の報道機関の歪みを指摘しているのです。

 日本では、政治や宗教の話題はどちらかといえば、避けられる傾向にある気がしますが、社会問題を浮き彫りにして、問題提起するのがマスコミの使命でもあります。民主主義とか、言論の自由と言いながら、一見、そのような体をとりながら、まったく違う方向に向かっているということは由々しき問題です。

 フランスでは、少し前にオルペアという高齢者施設での問題を取材したジャーナリストが出した本により、大きな社会問題として掘り下げられ、政府が動き出したということがありました。フランス政府を見ていると、フランス政府は世論の動きを大変、恐れているなと感じることがあります。国民は黙っていないし、マスコミも黙ってはいないからです。

 日本の政府も世論の動きを恐れているからこそ、マスコミを懐柔しているのかもしれませんが、マスコミもまたそれに懐柔され続けているのも本来の役割を果たせないでいるということなのです。取材ができなくなることを恐れて政府や警察に懐柔されている日本のマスコミが本来の役割を果たせずに主要メディアとして存在しつづけているということが、まさに「卵の殻の上を歩いている」というのは絶妙な表現です。

 こちらでの日本についての報道を見ていると、時に、こんな視点から見るのか・・というものもありますが、また時には、日本の報道よりも辛辣に真実を語っていることも多いので、なかなか見逃せません。

 本来は、マスコミと政府のチカラ関係は逆なはずなのです。このような政府と報道機関の歪(いびつ)な関係こそが今回の事件の闇であるのかもしれません。


日本の報道機関 マスコミ


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2022年7月20日水曜日

パリ40℃の猛暑とパリの上空を覆う噴煙のベールの正体

  


 ここのところ、夏の猛暑というか、酷暑は年中行事のようになっていますが、今年は、5月から異常な暑さが始まり、6月の猛暑、そして7月の40℃超えの猛暑と、どんどん夏が長く、厳しくなってきている感じです。

 一昨日にフランスは歴史的な暑さに見舞われるだろうと言われていたと思ったら、次の日はさらにその気温を上回る暑さで、パリでは 40.5℃を記録、体温よりも遥かに暑い気温では、さすがに、この気温で外を歩く気にはなりません。

 我が家にはエアコンはないので、朝の早い時間に家の空気の入れ替えをして、午前中のうちに、その日の分のお料理を簡単に済ませ、頃合いを見計らって、シャッターを下ろして、シャッターのない部屋には、遮光用の板を置き、朝から、戦闘体制で臨みます。

 日本だと午後2時頃が暑さのピークだった気がしますが、フランスでは、だいたい暑さのピークは午後4時頃からです。お昼頃から、じわじわと気温は上がり始め、40℃の気温が数時間続き、午後7時には38℃、午後8時には36℃、午後9時くらいになって、ようやく34℃にまで下がりましたが、本当に日が暮れるのが待ち遠しい1日でした。

 アフリカに住んでいた頃は、ほぼ1年中が夏で、もう、ちょっと眩暈がしそうな日差しに、たまに朝、起きて曇っていると心の底からホッとしたことを思い出します。

 しかし、ここはパリ、いつもは嬉しい日の長さもこの酷暑の中では恨めしいばかりで、日が暮れるのをまだかまだかと待っている感じです。

 パリでは、この数日間の猛暑で、ついに昨日は、焦げ臭い匂いまで充満していると大騒ぎになりました。

 フランスでは、この猛暑の中、あちこちで森林火災が続いており、今年は中でもジロンド県の森林火災は1週間近くも燃え続け、被害を広げ続けていますが、今回のパリでのこの40℃超えの気温の中、パリの一部では薄い煙のベールに覆われ、焦げ臭い匂いが立ち込め始めたという事態にどこかで、火災が起こっているのではないか?と皆が警戒感に包まれました。

 この煙と焦げ臭い匂いの原因は、実際にイヴリーヌ県で進行中の別の森林火災や16区のレストランと17区の車両火災も重なったことも原因ではありましたが、気象学者ギヨーム・セシェによると、パリからは遠く離れた、今夏、最大のジロンド県で起こっている森林火災もこれに関係していると言っています。

 


 ジロンド県の森林火災以来「煙の回廊」が形成され、微粒子のモデルが広範囲にわたり、拡散されているとのことで、火災そのものだけでなく、この大気汚染のために、地域の人々は避難を強いられ、動物園の動物まで避難させられているのです。

 その煙の回廊が、この熱波と上空の寒気の影響で、進行中の火災による微粒子が、イル・ド・フランスまで運ばれてきたという異常気象現象が起こっているというのです。

 このジロンド県とパリの距離を大雑把に説明するとすると、ボルドー(ジロンド県)⇄パリ間はTGVで少なくとも2時間はかかる距離です。このあたりからの火災による汚染された塵煙がパリまでやってくるということは、相当な広範囲でこの火災による大気汚染の被害が広がっているということです。

 一週間以上も火災が鎮火できないのは、なぜかと思ったら、1ヶ所で起こった火災が広がっているだけでなく、複数ヶ所から発生して、それぞれに広がっているということで、これがその地域だけでなく、他の地域にまで及ぶ大気汚染問題にまで発展しているというのには、さらに仰天させられるのです。

 森林が真っ赤な炎に包まれて燃え続け、朽ちて行く様子は、悲惨な映像で、戦争の映像と見間違わんばかりの悲惨さです。

 最近の猛暑のあとは、お決まりのように雷や大雨の被害に襲われますが、今回ばかりは、雷雨でこの火災がおさまってくれないか・・などと儚い期待を抱いてもいるのです。


パリ猛暑40℃


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2022年7月19日火曜日

フランス人は日傘も雨傘もささない

    


 先日、日本の記録的な猛暑がフランスで報道されていて、猛暑に見舞われた日本の映像がテレビで流れていて、皆がこの暑さにもかかわらず、きちんとマスクをして、日傘をさして歩いているのを見て、湿度の高い日本の暑さの中のマスク率にも驚きましたが、もう一つ、自分が日傘というものをすっかり忘れていたことに驚きました。

 フランスでも年々、夏の暑さは厳しくなっていますが、そうだ!日傘というものがあったんだ!とすっかりその存在を忘れていたことにハッとさせられたのです。

 昨日も、前日から、「明日、フランスは歴史上、最も暑い日を迎える・・こんな天気図見たことない!」などと騒いでいたので、警戒していたのですが、翌日はさらに気温が上昇する予報にもうちょっとウンザリしています。

 私がフランスに来たばかりの頃(20年以上前)は、夏に暑い日があっても、ほんの数日のことで、その数日さえ乗り切ればあとは全然、大丈夫だったのですが、ここ数年は、全然、大丈夫ではなくなりました。

 たしか、雨晴兼用の折り畳みの傘がどこかにあったはず・・と思って、家中を探したのですが、行方不明・・こういう探し物は、それが必要なくなった時に、どこかからヒョッと出てくるもので、こうなったら、雨傘でも構わない・・と、ここのところ、折り畳みの雨傘を持って歩き、どうしても太陽の光が避けられない場所では傘をさして歩いています。

 もう気温が40℃近くなってくると、なりふりなどかまってはいられません。この暑さの中で日傘というものをすっかり忘れていた私は、日陰になっているところを探して歩いていたので、日傘をさせば、自分の歩いているところは、とりあえず日陰になるわけで、私はなぜ、こんなに便利なものを忘れていたんだろう?と愕然としたのです。

 しかし、それも考えてみれば、フランスには日傘というものは、ほぼ、存在しない・・たまたまそんなことを考えていたら、初めて日傘をさしている人がいて、びっくりしたくらいでした。

 そもそも考えてみれば、フランス人は日傘どころか、雨でもほとんど傘をささないので、傘を持ち歩くという習慣もなく、よほどの大降りでもなければ、少し待っていれば雨は止むし、そもそも少しくらいの雨なら、濡れても気にしない人が多いのです。

 子供が小さい頃も学校には、危険だからという理由で、傘を持って行くことが禁止で、(どちらにしても送り迎えが必要なので、車で送り迎えをするか、そうでない場合も子供の傘は親が持って帰らなければならなかった)、「えっ??なんで??危険もあるけど、そういうものは、危険がないように気をつけて使うことを覚えなければいけないのに・・」と思った記憶があります。

 子供が小さい頃は、まだまだ私も日本の習慣を引きずっていて、雨が降れば傘をさすもの、雨に備えて傘を持って歩く生活をしていましたが、いつの間にか、私自身も多少の雨なら、傘はささなくなっているので、ましてや日傘の存在などは、すっかり忘れていたのです。

 そもそも日傘に関しては、太陽の光を求めることはあっても、避けることはあまり考えていないと思われるフランス人、太陽が燦々と輝く中で、昼寝をしたり、読書をしたり、日向のテラスで食事したりすることを好むので、わざわざ日傘で太陽の光を遮るという発想はないのかもしれません。

 しかし、雨でも傘をささなかったり、強い日差しの中でも日傘がいらないと思ったりするのも、ヨーロッパの気候の影響もあったわけで、雨が降っても、少し待てば、さっと雨があがってしまうような気候や、暑いといってもさらっとしていて、気温が上がるといってもたかが知れていた以前と違って、ものすごい雨が降り続けたり、40℃に迫る気温の上昇がたびたび訪れるようになっては、フランスの傘事情も変わるのではないか?とちょっとだけ思います。

 少なくとも私は、日傘に関しては、もはやここ数日のように命の危険を感じるような暑さの中では、周囲が日傘をさそうがさすまいが、日傘であろうが雨傘であろうが、なりふりかまってはいられない・・と思っているのです。


フランス人と傘 日傘


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2022年7月18日月曜日

統一教会はこんなところにもあった・・

  


 安倍元総理を襲撃した犯人が母親が統一教会にハマり、家庭が破綻し、悲惨な状況で暮らしてきたことの恨みを殺害の動機としていることから統一教会が注目されていますが、正直、しばらく耳にしていなかった統一教会というなまえに昔のことを思い出しました。

 私がまだ日本で生活していた頃には、けっこう、統一教会やオウム真理教などの問題が大々的に報道されていて、当時、そのような新興宗教に傾倒して行ってしまった人には、私の世代の人は多かったのではないかと思います。

 現在は日本で生活していないので、どのような感じなのかはわかりませんが、よく渋谷の駅などで、「あなたの健康と幸福のために祈らせてください」などと言われて、頭に手をかざして祈られて、じっとしている人を見かけることがよくありました。(これが何の宗教なのかは知りませんが客観的に見て、おかしな光景でした)

 一時、私の友人で、熱心に「自己啓発セミナー」なるものを薦める子がいて、私は実際に大学での勉強に忙しくしていたので、「忙しくて時間がないから・・」と断っていましたが、結構、必死に薦めるので、彼女、大丈夫だろうか?と心配に思ったこともありました。それは純粋に自己啓発セミナーだったのかもしれませんが、新興宗教の入り口には、正体を隠して自己啓発セミナーなどと語っている場合も少なくないのです。

 もともと、私がケチだということが幸いしているのかもしれませんが、異様にお金を要求されるということは、どうにも不可解で、お金を払えば幸せになれるなど、あり得ないこと、ましてや宗教ならば、なおさらのことです。お金で解決できるなら、宗教などいらないのです。

 私は無宗教ですが、宗教があったら、楽だろうな・・と感じることはありました。大学の恩師がカトリックの神父さまでもあり、カトリックの勉強をしたこともありました。しかし、結果的に私は、彼(恩師)のことは信じることはできても、カトリックを信仰するには至りませんでした。そのことを恩師に直接、相談したこともあります。

「私は、カトリックについて、勉強しても、やっぱり信じることができないのです」と話すと、彼は、「大丈夫、信仰は無理するものではないから、必要になれば、その時がいつか来るから・・」と優しく仰ってくださいました。

 宗教、信仰というものは、彼の言うように、無理強いしたりするものではないはずなのです。そんなわけで、私は宗教とはあまり拘らずに生きてきました。

 統一教会といって、思い出したのは、私が初めてアフリカで生活することになった時、日本からパリ経由の飛行機の中でのことでした。パリからアビジャン(コートジボワール)に行く飛行機の隣に座ったコートジボアール人の女性が「あなたは日本人ですか?」と話しかけてきたのです。

 彼女が「私の弟は日本に住んでいたことがあるのよ」というので、「え?なんで?」と言うと、「弟は統一教会のために働いているの・・」と言われてびっくり!コートジボワールの人が統一教会に入っていて、日本で布教の仕事! あらためて、統一教会のネットワークの凄さにびっくりしたのです。

 そして、アフリカでの生活を初めて、しばらくは私は日本人とは全く接点のない生活をしていました。夫はフランス人で、フランス大使館勤務、住まいもフランス人ばかりが住んでいるレジデンスだったし、当時、私はフランス語がほとんどできなくて、大学に通ってフランス語の勉強に必死だったのです。

 しばらくして、夫がJETROの所長さんと知り合いになり、そのご家族と付き合うようになり、一瞬だけアビジャンの日本人社会に足を突っ込んだことがありましたが、当時、コートジボワールに住む日本人は200人程度ということで、大使館などの職員や日本企業からの転勤族、JETRO、JICAなどの国際機関の職員や海外青年協力隊の人、あとは統一教会の人・・というのを聞いて、また仰天しました。

 海外生活で新興宗教の勧誘というのは、結構、ある話ではありますが、しかし、それが西アフリカというあまり日本人のいない場所にまで・・ということにびっくりしたのです。

 私がアフリカで生活していたのは、もう20年以上前のことですが、あれから私はパリに引っ越して、パリでも時々、新興宗教に入っている日本人の話は聞くことがありましたが、統一教会と言うなまえは久しく聞いていませんでした。

 フランスにもフランスの新興宗教がありますが、日本でなぜ、そんなに統一教会がはびこり続け、ターゲットになり続けるのか?は、日本の文化や生活が背景にあるのかもしれないとも感じます。

 もともとヨーロッパはキリスト教の文化で、キリスト教以外にも独自の宗教を既に持っている人も多く、多くの人が無宗教である日本では、それこそ新興宗教が介入しやすいのかもしれません。

 いずれにしても、安倍元総理の事件で、再び注目されている統一教会問題。うやむやにせず、とことん追求を続けてほしいと思っています。


統一教会


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2022年7月17日日曜日

ジロンド県の森林火災とフランス人の災害対応能力

  


 ここのところ、いつテレビをつけても森林火災、森が燃えている映像が流れている気がします。この夏の猛暑の中、フランスの森林火災が、南部、西部を中心にあちこちで発生しています。

 なかでも、先週から火の手がおさまらずに被害を広げているのは、ジロンド県(フランス南西部に位置するフランス本土最大の県)で起こっている森林火災で、最新のデータによると、10,200ヘクタールが焼け、14,100人以上の人々が避難する緊急警戒体制が敷かれています。

 もともとの地域住民に加えて、夏のバカンス期間で、この地域には、多くのキャンプ場もあり、砂丘近くの少なくとも5つのキャンプ場から、6,000人が避難しなければならない大混乱が起こっています。

 この森林火災は同じ地域、数カ所で数回にわたる火災の発生のうえに、密度が高い森林ゆえに消火活動がスムーズに運ばずに往生しているようです。

 この災害の報道の中で、消火活動や避難がスムーズに運ばない理由について語られている場面で、なぜか、日本が引き合いに出されて、このような災害に対して、フランス人は、なぜ日本のように避難ができないのだろうか?と話し合われている場面を目にしました。

 この話し合いを見ていて、やはり、日本は災害が多い国として認知されているのだなぁと思ったとともに、フランス人は日本、日本人を知らないんだな・・とも思いました。それぞれの日常の様子を見ているだけでも、なぜ、日本人にはできて、フランス人にはできないのかは明白なことだと思ったからです。

 日頃、あまりフランスのニュースには上がってこない日本のニュースですが、東日本大震災が起こった時は、さすがにフランスでも特番ができるくらいの大きな扱われ方で、直後にスポーツジムなどで、知らないフランス人の女性から、「あなた、日本人でしょ・・日本のご家族は大丈夫?」などと話しかけられたりしました。

 当時は、津波や地震で避難所に避難している人々の様子なども、フランスで詳しく報道されていたので、そんな映像を見てのことなのか、「日本人は、あんな災害時にも、みんなが譲り合って、きちんと並んで、規律正しく生活していて素晴らしい国民ね・・もしも、あんなことがフランスで起こったら、きっと、フランス人はパニックを起こして、物の奪い合い、殺し合いが起こるわよ・・」と話してくれました。

 これは、パンデミックに関しても言えることですが、もともとフランス人は従順に命令には従わず、災害にも慣れていないうえに、(よく言えば)感情表現が豊かなため、パニックの起こし方も派手で、おさまりがつきにくいのです。

 一方、日本人は規律正しく、我慢強く、従順で、周囲に気遣う人が多いうえに、地震などの自然災害も多いために、日頃から災害に備えている体制がフランスよりもずっとしっかりしています。思い起こせば、日本では、学校でも会社でも定期的に避難訓練というものがあったな・・と思い出します。

 避難訓練などは、バカバカしい・・と思っていましたが、考えてみれば、日本人は子供の頃からの教育で、災害に対する訓練や教育が行われていたのです。バカバカしい・・と思っていたことも、少しずつの積み重ねで日本人には知らず知らずのうちに根付いている日本人からしたら災害時にはあたりまえのようにとる行動もまるで道標のないフランス人にとったら、パニック下におかれたら、大混乱を起こすことになるのかもしれません。


フランス森林火災


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2022年7月16日土曜日

2回目のブースター接種を受けました

  


 フランスのコロナウィルス感染は第7波を迎え、ここ数週間、1日の新規感染者数は週ごとに5万人ずつ増加し、先週はとうとう1日20万人を突破する日がありました。さすがにここまで増加していくと、入院患者数や重症患者数も着実に増加しています。

 私のところには、5月初旬の段階で、国民健康保険から「2回目のブースター接種のおすすめ」メールが届いていました。しかし、その時のフランスの感染の状況は、現在の第7波の波はまだきておらず、 私はきっと、夏のバカンスの時期に感染が拡大するであろうから、秋になって次の波が来る前にしようと、先延ばしにしていました。

 しかし、私が想像していたよりも早い段階で第7波がやってきて、フランスではえげつないほどの感染者の増加を記録しはじめ、やはり、考えていたより早くに2回目のブースター接種をしなければ・・と思い始めていました。

 私には、多少、心臓疾患があり、どうやら国民健康保険のファイルでは、私は感染して重症化した場合にリスクの高い人に分類されているらしく、年齢的には2回目のブースター接種が推奨されている年齢に達してはいないのですが、それでも「ブースター接種、おすすめメール」が来るらしいのです。

 そして、つい先日、2回目の「ブースター接種、おすすめメール」が来て、いつまでもグズグズ迷いながら、感染に怯えているのも嫌になって、2回目のブースター接種を予約していました。

 私が最初のコロナウィルスワクチン接種を受けたのは、かかりつけのお医者さんに相談して、昨年の3月に予約をして1回目のワクチン接種を受けたのがそれから1ヶ月後の4月、まだ、ワクチンについて、かなり不安もあったために、かかりつけのお医者さんにやってもらえば、その後、何か起こっても少しは安心だと思い、彼女にお願いしました。

 2回目のワクチン接種はそれから2ヶ月後の6月、その時点では、もうこれでワクチンはしなくてよいんだろうな・・と思っていたら、ワクチンの有効性は半年後には急激に低下し始めることがわかりはじめ、また、年末にかけて、感染状況が悪化しはじめたこともあって、それから6ヶ月後の昨年12月には、ブースター接種を受けました。

 当時は、このワクチンの有効性の低下が注目され、問題視されている頃で、2回目のワクチン接種から7ヶ月が経過するとワクチンパスポートが無効になることが決まった頃でした。

 この時からは、Doctolib(ドクトリブ)というアプリでその時点で一番早く、できるだけ近い場所でブースター接種が受けられる場所を探しました。その時、ブースター接種を受けたのは、家からバスで15分から20分程度のところにある薬局で、ワクチンパスを提示して、問診票の質問事項に記入することが必要でした。

 今から考えると、その時点では、1日の新規感染者数が6万人を超えた頃で、毎週のように1万人ずつ感染者数が増えていくことに恐怖を感じていて、当時、本当に少しでも出歩けば、すぐに感染者と接触しました!すぐに検査を受けてください!というアラームがくるような状況で、もういい加減、うんざりしていた頃でした。

 しかし、ウィルスが変異するにつれ、ワクチンで感染は回避できないような状況になり、しかし、ワクチン接種率が上昇したこともあってか、感染しても重症化しないケースが増えて、フランスは、「これなら風邪とかわらない、これなら大丈夫感」が高まっていきました。

 感染者数も昨年の12月の時点では、1日6万人で震えていたことを考えると、現在の1日の感染者数は想像もつかないほど増加しているにもかかわらず、世間の一般的な警戒感はダダ下がりのまま、あまり警戒感はありません。

 結果的には、私はこれまで気づかなかったことがあるのかもしれませんが、何度か検査を受けてはきましたが、一度も感染していないので、私が感染して重症化するリスクが実際、どの程度あるのかはわかりませんが、やはり、ある程度のデータをもとにリスクの高い人に分類されている以上、やはり危険があると判断する方が妥当な気がしたまでです。



 何より苦しい思いをしたり、COVID LONG(長期コロナ感染症)や感染後に長い間、後遺症に悩まされるのは嫌なので、もうこうなったら、リスクはできるだけ減らしておこうと思ったのです。

 思い起こせば、最初のワクチン接種の時から比べると、予約もワクチン接種自体も全然、簡単にできるようになって、数日前にアプリで予約を取って、家の近所の薬局に時間どおりに行くと、健康保険のカードとワクチンパスを提示するだけで、2回目のブースター接種は終了しました。今回は、問診票もなく、5分とかかりませんでした。

 ワクチン接種が終了したと同時にすぐに、2回目のブースター接種証明書のQRコードをもらい、それを手持ちのワクチンパスポートに読み込みあっという間に終了です。もちろん無料です。その翌日には、再び確認のためなのか、AMELI(国民健康保険)の私のアカウントには、4回目のワクチン接種証明書がデジタルで送られてきました。

 ワクチン接種から効果が現れるまでは1週間かかるため、この証明書が有効になるのには1週間かかりますが、現在、ワクチンパスポートが必要な場所(医療施設や高齢者施設)に行くこともないので、特に証明書が必要なわけではなく、単に自分が少しは保護された状態にあるかどうかということだけです。

 副反応も現在のところ、大したことはなく、ワクチンを打った腕が少々、痛む程度です。

 厚生省やHAS(高等保険機構)は、第7波のピークを7月末であろうと予想していますが、同時に第8波、第9波も確実にやってくると言っています。

 2回目のブースター接種をしたからといって、感染の危険が回避できるわけではなく、引き続き、私は警戒した生活を続けるつもりですが、やっぱり少しだけホッとしています。

 これで4回目のワクチン接種になりましたが、いつも迷いながらも、結果的には、私のワクチン接種の効果が低下する時点で感染が爆発的に拡大し、副反応に怯える気持ちよりも感染、重症化のリスクに怯える気持ちの方が優ってワクチン接種をしてきました。

 フランスではこれが7回目の波と数えていますが、本当に波乗りのようにワクチン接種をする機会を窺っていることになっています。

 今度こそ最後のワクチン接種・・といつも思っていますが、一体、いつまでやらなければならないのか、わかりませんが、リスクに怯えて行動制限し続けるには長く続き過ぎているパンデミックに、行動を控えて生活し続けるまま、どんどん歳をとってしまうことに、少々、焦りと憤りを感じていることも事実なのです。


2回目のブースター接種 4回目ワクチン接種


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