2020年11月20日金曜日

衰退するボジョレーヌーボー



 

              

 今年は、コロナ騒ぎでボジョレーヌーボーの日もすっかり忘れていました。

 ボジョレーヌーボーは、毎年、11月の第3木曜日に解禁と決められているフランス・ボジョレー地区でその年に収穫したぶどうを醸造した赤ワインです。(ボジョレーヌーボーとしては、白ワインは認められていません)

 もともと若く醸造期間も短いので深みというものはなく、フレッシュな風味を楽しむワイン、値段も安く、安いものは、3ユーロ程度から、高いものでも 6.5 ユーロくらい(400円から800円)のお手軽価格です。なんといっても、日にちが決まっているので、その季節のその時期に楽しむ、なんとなく季節を告げる年中行事のひとつのような感じです。

 ですから、ほんの少し経って、ノエルの頃にでもなれば、ボジョレーヌーボーはまるで賞味期限切れでもあるかのような感じになってしまうのです。

          

こんなかわいいパッケージのものもある

 以前は、みんなで「今年のはどう?」なんて、いっちょまえに語りながら、簡単なおつまみを用意して、ワイワイと味見をしたりしたものです。

 しかしながら、ここ数年、スーパーマーケットのボジョレー解禁日のボジョレー売り場も、どんどん縮小され、お祭り感もなくなり、扱いもめっきり地味になってきました。

 ボジョレー解禁日には、仕事でお得意先に届けたりしていた時期もあったのですが、そんなこともいつの間にか廃れて、なくなってしまいました。

 今年は特に、コロナウィルスのためにロックダウン中、ボジョレーでパーティーなんていうこともできないので、ますますボジョレーヌーボーは盛り上がりません。

 一時、日本では、時差の関係から、11月の第3木曜日が現地のフランスよりも早く訪れるために、早くボジョレーが味わえると大変な騒ぎになっていたこともありましたが、フランスでは、そもそもボジョレーでは、そんなに大げさには騒ぎません。

 それがコロナのおかげでいっそう地味になりました。

 それでも、酒瓶が沢山並んでいるのを見てるだけで、なんとなくご機嫌になれる私としては、一応、買い物のついでに今年のボジョレーは??と売り場を覗いてみたものの、ボジョレーに群がる人は、ごく僅か・・ワイン好きらしきおじいさんが数名のみ・・なんとも寂しい光景でした。

 どちらかといえば、ワイン全般を扱う秋のワインフェアの方がよっぽど人が多く、カタログ片手に集まるおじさんで賑わっているくらいです。

 いずれにせよ、ボジョレーといい、秋のワインフェアといい、ワインを熱心に選んでいるおじさんたちには、結構、味わいのありそうな人が多く、ワインとともに、私は、そのおじさんたちも眺めて楽しんでいるのです。

 私は特にワインが好きというわけでもないのですが、フランスにいるならば、一番コスパも良くて美味しいのは、ワイン・・と思うようになり、日本にいた頃に比べれば、ワインを飲む機会が増えてみると、「今年はどう?」などと、味見をするかのようにボジョレーを飲むならば、ボジョレーはなんとなく物足りなくて、せっかく味見をするならば、他のワインを味見したいと思うようになり、ここのところは、ボジョレーはわざわざ買わなくなりました。

 

おそらくフランスでは一番ポピュラーなボジョレー、ジョルジュ・デュブッフ

 ワインに群がっているのがおじいさんやおじさんばかりというのも、現在のフランスの若者のワイン離れという現象が垣間見れるような気もします。

 いずれにせよ、ボジョレーの出る頃に、「今年のボジョレーの出来栄えは?」などと言い合いながら、みんなでいっぱしのことを言い合って味見をしたりするフランスの文化が衰退していってしまうことをなんだか寂しく感じる私は、それなりの世代ということなのかもしれません。


<関連>

「フランス人のワイン離れ」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/02/blog-post_13.html

 

 


 

2020年11月19日木曜日

コロナ禍中でも続くフランス人の権利の主張

 


 今は、ロックダウン中ではなかったのか???と、首をかしげたくなるような光景がここ数日、ニュースで流れてきます。ここのところ、コロナウィルスの感染状況は、少しずつ減少傾向にあるものの、昨日の新規感染者数は、28,383人、ICUには、4,775人(病床占拠率95%)、死亡者 456人が出ている状態なのです。

 それでも、一時期の新規感染者が6万人以上出ていた時期に比べれば、良くなってきてはいるので、そんな雰囲気も手伝ってか、ロックダウン中にもかかわらず、連日、フランスのお家芸とも言うべくデモが起こり始めているのです。

 一昨日も、グローバルセキュリティ法に反対するデモ、ゴミ収集者による労働条件に抗議するデモなどが起こっています。

 2年前の今頃は、黄色いベスト運動が起こり始めた時期で、2年前の年末は、黄色いベストでフランス国内は、大荒れで、黄色いベストのデモがエスカレートして、週末のパリなどは、シャンゼリゼなども土曜日はシャッターを降ろした上にバリケードまでして、デモの被害を防がなければならないような状態でした。

 黄色いベスト運動は、それから少しずつ内容や形を変えながら、今年3月に最初のロックダウンの直前まで続けられていました。今は黄色いベスト運動も、なりを潜めているものの、決してこの問題も解決したわけではありません。

 このようなデモもさすがフランスだけあって、現金なことに夏のバカンス期間中は、しっかりバカンスを取り、9月に入ってからのデモ・ストライキの予定を決めて、休みに入ります。

 1度目のロックダウンが解除された後も人種差別を訴えるデモや病院のスタッフによるデモ、警察によるデモなど、数々のデモが起こっていました。デモは、フランスでは日常的に起こることで、特別な出来事ではありません。

 そして、今、ロックダウン中にも関わらず、デモが起こり始めていますが、ロックダウン中なのになぜ?とも思いますが、それをきっちりと抑えきれないのには、フランス人の「自分の意見を主張する権利」を冒涜できないことにあります。

 ロックダウンの規則を守ることと、この「自分の意見を主張する権利」とが、ぶつかり合うわけです。フランスでは、デモを制止することは、単なる人出を取り締まる以上にデリケートな問題なのです。

 フランス人の「権利の主張」に関しては、先日のイスラム過激派のテロの原因にもなった、(イスラム教に関する風刺画問題)「表現の自由」=「自由に表現する権利」について、マクロン大統領自ら、「不快に思う人がいるからといって、フランスの表現の自由を否定することはできない」という発言をして、大炎上したばかりです。

 この自分たちの権利のためには、他の人が不快な思いを呑み込まなければいけないとも言うような、あくまでフランスファーストな彼の発言から、彼自身、ザ・フランス人であることを私は、再確認したのですが、この「権利の主張」こそが、1800年代から続くフランスの長い歴史に基づいたものがフランスの根底に流れ続けているのです。

 フランス人は、自分の意見を主張することに誇りを持っていますし、愛国心旺盛な彼らは、意見を言っても、反抗しても、デモを行っても、フランスという国をよりよくする・・フランスは、こんなことではいけない・・という気持ちが根底にあり、政府に反抗しながらも、デモの際には、マルセイエーズ(フランス国歌)を歌って団結するというハタから見ているとちょっと不思議に見える光景でもあるです。

 とはいえ、いくら権利を主張しようとも、コロナウィルスの感染拡大はまた別問題、きっぱりとデモを否定しきれないこともフランスの感染拡大の一端をになっているような気もするのです。


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「フランス人の年金への思い入れ」

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2020年11月18日水曜日

保健総局長が訴えかけるロックダウン下の精神的サポートの必要性


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 昨夜、保健総局長のジェローム・サロモンが会見をするというので、「今のタイミングで彼は何を話すのだろうか?」と 思っていました。彼は、今やフランスでは、ムッシュ・コンフィヌマン Monsieur Confinement=ロックダウンおじさん と呼ばれており、1回目のロックダウンの時には、毎晩、毎晩、現れては、その日の感染状況、一日の死亡者数、ICU病床の患者数、入院患者数などを発表していたために、彼の存在そのものがロックダウンの象徴のようになってしまっているのです。

 とはいえ、当初に登場した時に比べると、彼は、ひと回り引き締まって、顔つきも厳しくなり、随分と印象も変わりました。このコロナウィルスが登場してから9カ月間に彼が直面してきた多くの厳しい状況が彼の顔に刻まれているかのような変化です。

 彼は、もともと感染症専門医で、政治家ではなく、彼がこれまで開いてきた会見も、科学的なデータと医学的見地からの発言で、ロックダウンなどの制限の詳細について発言するわけではありません。

 彼が昨夜、発表したのは、ロックダウンの効果が現れ始め、新規感染者が減少してきたこと、しかし、依然として病院のICUは、ほぼ満床状態で、地域によっては、患者の移送が必要な状況であるので、引き続き、気を引き締めて生活しなければならないということでした。

 要は、「ロックダウンをよく頑張っているね・・おかげで、ずいぶん感染のスピードが下がってきたよ・・でも、まだまだ、大変な状態だから、もう少し頑張ってね・・」ということなのです。

 ひたすらロックダウンに耐えている?国民に対して、成果が出始めたことを報告し、そのことを褒めてあげることがフランス人にはとても大切なことなのだと多くの人は言います。

 そして、彼は、感染状況に伴い、フランス人の多くが心理的苦痛を訴えていることに触れました。コロナウィルスの感染拡大により、ストレスがたまり、不安を引き起こし抑鬱状態になっている人が9月末から11月初めの間に2倍になっています。

 もちろん、経済的な問題等も大きいですが、家族や友人に自由に会えない、人と触れ合えない、ストレスを発散できないことができないことが抑鬱状態を生んでいます。個人主義と言われることも多いフランス人ですし、実際に個人主義的な考え方も強くはあるものの、その個人主義は、あくまでも人との繋がりありきの状態の上に成り立っていることが今回のコロナウィルスの危機で浮き彫りになっているような気がします。

 むしろ、個人主義と言われる彼らの方が、日常から人との会話も接触も多く、彼らのマインドを支えていたのです。

 私などは、海外生活も長くなって、自分の家族とは滅多に会えないことに慣れてしまっているし、会えないままに、もう両親も亡くなってしまったので、きっと私がロックダウンで感じているストレスは、彼らとは違うものかもしれません。

 どちらが正しいとか、どちらが良いというわけではありません。彼らの日常が彼ら自身を形成していることをあらためて、この状況が映し出しているような気がしているのです。

 ロックダウンおじさんは、他の人と連絡を取り合うこと、話すことを躊躇しないこと、一日中ニュースに繋がることを避けることなどを勧めています。

 そして「しっかり眠れていますか?」「ストレス、イライラ、不安を感じていませんか?」「集中力が低下していませんか?」「食欲はありますか?」「アルコールやタバコの量が増えていませんか?」などと、うつ病の特徴的な兆候をあげ、「これらの症状が現れたら、専門家に相談することを躊躇しないでください」と述べ、精神的なサポートを行う24時間、年中無休の専用ヘルプラインが開設されたこと(0800130000)を公表しました。

 彼の話を総合して考えるに、彼は、国民の精神的なサポートのために会見に臨んだのだということがわかります。

 ロックダウンの成果が現れてきて、頑張ってきた国民を褒め称えなければならないなど、子供じみているとか、あくまでも人と群れたがるのも、理解し難いことでもありますが、精神的に病んでしまう状況などを目の当たりにすると、それらが彼らの日常で、彼らの生活を支えている重要な部分であることを考えると、あながち冷たく否定できない気もしてくるのです。

 しかし、この感染症が蔓延している世界では、ことごとく彼らの日常は、適さないものが多すぎるのです。


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「フランスでコロナウィルスが広まる理由」

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2020年11月17日火曜日

認可間近?の新型コロナウィルス対応のワクチンとフランスの現実



 ここ数日、フランスでは、新型コロナウィルス対応のワクチンの話題で持ち切りです。

 先週には、米ファイザー社(Pfizer)と独ビオンテック社(BioNTech)の研究所が、新型コロナウィルスに対するワクチンが90%有効であること、ロシアのスプートニクVワクチンは92%の効果があると発表し、ワクチン問題がヒートアップしてきたところに、昨日は、米モデルナ社(Moderna)が同社の開発中のワクチンが94.5%有効であると発表。

 モデルナ社のCEOは、「米国では、数週間以内に、「緊急使用許可」と呼ばれる承認を加速するためのファイルを提出、これにより、2020年、年内に製品の承認を得ることができます。すでに、欧州医薬品庁(EMA)との話し合いを開始しています。「数週間」以内に米国とヨーロッパで承認書類を提出します。」と発表しました。

(EMAは、欧州の医療製品市場への参入を承認するかどうかを決定する組織です。)

 このモデルナ社の発表により、フランスでもさらに、ワクチンの話題が沸騰しています。

 折りしも、ここ数日、フランスでは、ロックダウンの効果がようやく表れ始め、依然として、病院のICUの病床等は埋まり続けているものの、新規感染者が減少し始めたこともあり、徐々に明るい兆しが見え始めたことに、希望の光を見つけて、まだどうなるかもわからないワクチンの輸送方法(マイナス20℃での保管が必要なため、巨大な冷凍庫とともに輸入しなければならないとか・・)やワクチンを義務化するかどうか? ワクチンは、国民健康保険が負担するかどうか? などと言うことを盛んに話しています。

 世界中が苦しんでいるコロナウィルスのワクチンともなれば、巨大マーケット、各国、各社がフライング気味に次々と新しい前倒しの発表をするのもわからないではありませんし、それに飛びつきたくなる気持ちもわからなくはありません。

 しかし、このワクチンが、もしも年内に認証されたとしても、今は、すでに11月半ば、年内には、一大イベントのノエルが控えており、ワクチン以前にフランスには、このノエルをどう乗り越えるかということが、目の前の最大の課題なのです。

 私は、ワクチンの接種が年内に認可され、遠くない将来に可能になるということは、あまり現実的ではないと思っています。たとえ、ワクチンの有効性が94.5%であったとしても、ワクチンというのは、あくまで、予防接種であり、治療薬ではないのです。ある程度、感染がおさまった状態でなければ、難しいのではないかと思っています。

 副作用に関しては、あまり大きくは騒いでいませんが、モデルナ社は、同時にワクチン接種を受けた人の約9〜10%が、2回目の投与後に、注射部位周辺の疲労、痛み、発赤などの副作用があることも発表しています。さらに広い範囲で使用された場合に、より深刻な副作用が出てくることも充分に考えられます。

 現在のところ、フランスは、コロナウィルスの患者だけでも、病院は、いっぱいいっぱいの状態で、ワクチンが登場したとて、予防接種ができるような状況ではないのです。

 現実的には、フランスは、ノエルを始めとした年末年始を国民の反発とともにどう乗り切るのか? そちらの方が現実的な問題です。

 下手をするとおさまり始めた感染がノエル+年末の年越しで再び爆発し、年明けには、ワクチンどころではなく、また、感染者数も増加し、患者の対応に追われる危険性が非常に高いと思っています。

 政府は、レストラン・カフェなどの飲食業に関しては、少なくとも来年の1月半ばまでは営業は無理であろうことを発表しています。

 もしも、感染がおさまってくるとしたら、それは再び、気候も良くなり、気温の上昇によるウィルスそのものの活性化のおさまり始める春頃、そのタイミングでワクチンが使えるようになっていれば・・来年いっぱいには、なんとか感染もおさまり始めるのではないか・・と思っています。

 道のりはまだまだ長い・・。


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「コロナウィルスの感染は、明らかに気温が影響している ドイツの食肉処理工場で1500人感染」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/1500.html



 

 

2020年11月16日月曜日

スーパーマーケットの日用必需品以外のコーナー閉鎖による部分的な失業手当申請の悪循環

 

日用必需品以外のコーナーがシートで覆われているスーパーマーケットの店内


 今回のフランスのロックダウンでは、前回のロックダウンのように全面的なロックダウンではなく、生活必需品以外の一部店舗、電化製品、通信機器、メガネ屋、ガーデンセンター、DIYショップ(日曜大工用品)などが営業を認められています。

 前回のロックダウンのように、薬局か、スーパーマーケットしか開いていない状態とは違って、営業許可と営業禁止の境界線の意味の理解が難しいこともあり、不公平感が高まり、結果として、不公平感を是正するために、政府は、大型スーパーやFnacなどの総合小売店(フランスの書籍、情報機器、電化製品等を扱う店舗)に対して、閉店を余儀なくされている店舗が扱っている商品(書籍やおもちゃ、洋服など)のコーナーを閉鎖させるという奇妙な政策を取りました。

 スーパーマーケットなどは、ついでに色々な買い物ができるところが利点なのですが、その一部を閉鎖しなかったたからといって、新しい人の流れを作るわけでもなく、感染対策には大した変化はなく、不公平感を是正するためだけの一部コーナーの閉鎖は、単に売り上げが減少するだけで、あまり実質的な賢明な対策とは思えません。

 その上、大手スーパーマーケット、カーフール、オーシャン、カジノなどは、この日用必需品以外のコーナーの閉鎖による売り上げ減少のために、部分的失業手当(活動の減少により、出勤時間を減らしたりして、減らされた分を国が補償するというシステム)を申請し、この措置が開始されています。

 カーフールグループだけでも9万人がこれに該当しています。当然、政府の負担も相当な金額です。

 前回のロックダウンでは、スーパーマーケットの一部を閉鎖するなどという面倒なことはしていなかったのに、今回のロックダウンでは、わざわざオープンしている店舗の一部を閉鎖させて、当然、売り上げが上がるはずの部分を不自然にストップさせ、しかも、さらにその分の補填を政府がするという悪循環。

 だいたいスーパーマーケットは、前回のロックダウンで逆に売り上げは増加したはず、今回のロックダウンのための今のところ一ヶ月の売り上げ減少などは充分に相殺されるはず、しかし、当事者にとっては、「それはそれ、これはこれ、今回のロックダウンでは、お前らがコーナーを閉めろと言って、閉めたおかげで売り上げが下がったのだから、その分は補填しろ!」という理屈です。

 どんな状況でも、自分たちが受けられるべき権利はとことん主張するのがフランスです。そしてまた、それが通ってしまうのです。

 それならば、どうせ、食料品等の日用必需品のために開店するべき店ならば、一部のコーナーを閉めるなどということはせずに開放すれば、部分的失業手当の補償などする必要もなく、その分を開店できない小規模の店舗に上乗せする方がどれだけ実質的かわかりません。

 不公平を唱える店舗とて、スーパーマーケットの一部コーナーが閉鎖されて、同種の商品が他店でも売れなくなることだけで納得できる問題でもないのです。

 それでもノエル前のこの時期、実際に消費が低迷するわけでもなく、店舗で買えない商品は、その分、アマゾンなどのネットショッピングに移行してしまうだけなのです。

 不公平感是正のためにとった、店舗内の一部コーナーの閉鎖が、不必要な税金の消費、理不尽なお金の流れを生んでいます。

 なんだかおかしな悪循環の連鎖がどんどん広がっていきます。


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「フランスのロックダウン突入 営業許可と営業禁止の境界線」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/10/blog-post_31.html

「権利を主張する割には義務をちゃんと果たさないフランス人」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_61.html

2020年11月15日日曜日

パリ近郊(イル・ド・フランス)で週末行われたロックダウン中の300人超えのパーティー


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 「意外にもロックダウンの規則を一番守っているのは、イル・ド・フランスだ!」というニュースを目にしたのは、つい一昨日のことでした。「へえ〜??ほんと、意外だな・・」と思ったのも束の間、翌日には、とんでもないニュースが入ってきました。

 イル・ド・フランスのヴァル・ド・マルヌ県、ジョアンビル・ル・ポンで、週末の夜に300人〜400人が集まるパーティーが行われ、夜中の2時に近隣住民による通報により、警察が突入して催涙ガスまで使って解散させる大騒動が起こっていました。夜中から明け方にかけての時間帯です。

 静かな住宅街にあるプールやハマムまである巨大なロフトが秘密のナイトクラブと化しており、いくら緩いとはいえ、ロックダウンのさなか、まさかの場所での、まさかの人数のパーティーの決行に警察もノーマーク、最初に駆けつけた警察官もこれほどの人数が集まっているとは思わずに、恐らく大した人数ではなかったのでしょう。

 すでに酔っぱらって、興奮状態にあるパーティーのゲストたちの方が優勢で、警察の介入に怒る人々のボトルを投げつける等の応酬と、あまりの人数に、警察は、一旦、ロフトの入り口まで戻り、体勢を立て直して、催涙ガス等の手榴弾等を使って、パーティーに集まった人々を解散させるという大騒動になったのです。

 このような特別な場所を用意し、これだけの人数を集めるパーティーは、明らかに営利目的のパーティーの開催ですが、それに乗っかり集まる人々が300人も400人もいることにも驚きです。

 現在、フランスはロックダウン中なのです。一体、どんな人たちが集まって、バカ騒ぎをして、翌日には、しらっとした顔をして生活いるのかと思うと怒りと恐怖が湧いてきます。

 翌日、警察は、パーティー参加者にコロナウィルス陽性患者が混ざっていたことがわかったので、パーティーに参加した人は、事実を隠さずに、直ちにPCR検査を受け、結果が出るまでは自粛することを呼びかけています。

 ロックダウンから2週間たって、期待していたよりは、感染がおさまっておらず、未だ生活必需品以外を扱う店舗が営業を許されずに、昨日も多くの店舗のオーナーが営業許可を求めてデモを行っていたフランスです。

 多くの人がお店を営業できなくて、困っているというのに、かたや未だに夜中に集まって飲んで騒いでいる人が後を経たないのです。

 このようなパーティーに参加するのは、若者とはいえ、もう立派な大人たち。これらの想像力のない無秩序で身勝手で思いやりのない行為がどれだけの人を直接、間接的に傷つけているのかと思うと怒りが湧いてきます。

 次から次へとやってくる患者の対応に休みなく働く医療従事者や、ロックダウンのために営業できないでいる人々、結果、失業して路頭に迷う人々、そしてコロナウィルスに感染して苦しむ人々、亡くなる人々。自分たちの行動がそのような人々を生むということを想像できない若者。

 「親の顔が見たい・・」と本当に思います。どういう風に育ったら、こんな若者になってしまうのでしょうか? 

 フランス人は感染拡大を政府のせいだと責任転嫁する傾向にありますが、責任は、このような身勝手な行動をやめない人たちにあるのです。

 結果的に、この日のパーティーは、警察もとりあえず、大勢の人を解散させることが先決で、集まった人々が捕まることはありませんでした。

 警察は、週末のロックダウンの取締りを一層厳しくすることを発表していますが、ロックダウンの取締りの項目の中にこのようなパーティーの開催を企画した人を取締る項目をぜひ、加えてもらいたいです。

 思い起こせば、4月末のロックダウン中にもパリ18区の大通りに面した広い歩道で、大音量で音楽をかけて、大勢の人たちが集まって、踊り出すという事件?が起こりました。あの時は、日中堂々、若者だけではありませんでしたが、すぐに警察が駆けつけ、集まっていた人々は解散させられました。

 あの時も、ロックダウン中なのに何これ??と、フランスは、やっぱりダメだと絶望しましたが、今回は、さらにレベルアップした深刻な事態です。

 こんなことを続けていては、感染拡大もロックダウンも永久に終わりません。


<関連>

「フランスは、やっぱりダメだ・・と、絶望した理由 コロナウィルスは、蔓延し続ける」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_26.html









2020年11月14日土曜日

フランスの感染がおさまらないのは政府の責任というフランス人

  

街中ではけっこう行列も見かけます


 ロックダウンから2週間後のカステックス首相の現状報告によると、ロックダウンの効果は、恐らくロックダウンを開始した時の政府の予想に比べると、どうやら芳しくなかったようです。

 というのも、ロックダウン発表時には、2週間後の感染状況によっては、最初の2週間で開店できなかった店舗についても開店できるようにすると言っていたのが、結局のところ、2週間では、感染のスピードは若干下がったものの、劇的な変化は見られず、現状が維持されることになり、開店できる業種は拡大されなかったのです。

 恐らく政府は学校と企業と一部の商店を継続することで、ここまでの人が街に出ることを予想できていなかったと思います。

 今回のロックダウンの効果が劇的に表れないのも当然のことで、前回のロックダウンは、約2ヶ月間、学校も企業も全て閉めて、まさに街中がシンとした状態であったのに比べて、今回は、街中はほぼ普段と変わらないほどの人出。そんなに甘いわけはないのです。

 しかも、調査によるとフランス人の約60%が少なくとも1回はロックダウンに違反したことがあると回答。外出許可証に虚偽の理由を記載して、半数以上のフランス人が家族や友人とあったりしたことがあるというのです。

 たしかに外出許可証は、生活必需品の買い物に加えて、子供の送り迎えや介護が必要な家族のケア、ペットの散歩、健康維持のための1時間以内の散歩などの運動などかなり広範囲に渡っていて、ちょっと出かけるには、どれかにこじつければ、いつでも外出は可能で、実際に街中は、かなりの人で溢れています。

 私は、家の近所の様子しか直に見ることはできませんが、明らかに今回のロックダウンは、全く軽視されている印象ですが、驚くことにロックダウンが一番、守られているのは、イル・ド・フランス(パリ近郊地域)なのだそうです。 

 違反というからには、単なる外出ではなく、理由をこじつけて、友人や家族に会う・・人と接するということなのでしょうが、これだけ人が出ていれば、取締りもできる状態ではありません。取締りがなければ、規則はないも同然のフランスです。私自身も今回は、買い物等で出かけても、一度も取締りをしている警官等を見かけたことはありません。

 そのくせ、フランス人は、フランスの感染拡大、ロックダウンの効果が表れてこないのは、政府のやり方が悪いせいで、自分たちの自由は奪われて、感染は一向に治らないと怒りの矛先を政府に向けます。やり方が悪いのは、たしかなのですが、(感染者の隔離がなされていないことなど・・)強いて言うのならば、意識の低い国民を甘く見ているという点が一番の政府の失敗なのではないかと思います。

 実際に、在仏日本人の日仏カップルの家庭などでは、フランス人パートナーが家族や友人との会食などの約束を勝手に入れてしまって・・とか、孫を預かることにしてしまったり・・という事態に困惑して、家族の安全をガードするのにかなり強固な態度を撮り続けなければならなかったりと、苦労しているケースが多いのです。

 甘い顔をすれば、すぐにでも人を家に呼んだり、呼ばれたりする結果に陥ってしまうのです。

 これからさらに2週間後、一応の期限の12月1日を迎えても、そうそう劇的に感染が治ることは考えづらく、それでも、感染状況が少しでも改善されれば、多くの経済危機を迎えている店舗等の現状を考慮して、現在、開店できていない店舗が開けられることでしょう。

 そして、さらに2週間が経てば、そろそろノエルのバカンスに突入です。いつもとは違うノエルになるだろうと言いつつも、ノエルに家族との接触を一切禁止するとも考えづらく、また、せいぜい人数を規制したりする程度で国民には節度を持ってほしいなどといいながら、ノエルを迎えることになるのではないかと睨んでいます。

 医療関係者は、現在の逼迫した病院の状況に苦しみながら、すでにノエル後に訪れるであろう第3波を懸念し始めています。

 こうして近い未来を予想してみると、やっぱりフランス政府のやり方がまずいかな?という気持ちも強くなってもくるのですが、日本がGO TOキャンペーンなどを行いつつも、感染がフランスのようには広がらないのを外から眺めるにつけ、日本で、あの状況を可能にしているのは、ひとえに国民の衛生観念や意識の高さによるものだと思うと、基本はやはりそこなんだな・・と思うのです。

 自分たちは、ロックダウンを守らなくても、うまくいかないのは、政府のせいと責任転嫁しておいて、どうにもならないと政府になんとかしろ!と騒ぐ・・それがフランスなのです。


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「権利を主張するわりには、義務をちゃんと果たさないフランス人」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_61.html