今年は、コロナ騒ぎでボジョレーヌーボーの日もすっかり忘れていました。
ボジョレーヌーボーは、毎年、11月の第3木曜日に解禁と決められているフランス・ボジョレー地区でその年に収穫したぶどうを醸造した赤ワインです。(ボジョレーヌーボーとしては、白ワインは認められていません)
もともと若く醸造期間も短いので深みというものはなく、フレッシュな風味を楽しむワイン、値段も安く、安いものは、3ユーロ程度から、高いものでも 6.5 ユーロくらい(400円から800円)のお手軽価格です。なんといっても、日にちが決まっているので、その季節のその時期に楽しむ、なんとなく季節を告げる年中行事のひとつのような感じです。
ですから、ほんの少し経って、ノエルの頃にでもなれば、ボジョレーヌーボーはまるで賞味期限切れでもあるかのような感じになってしまうのです。
こんなかわいいパッケージのものもある |
以前は、みんなで「今年のはどう?」なんて、いっちょまえに語りながら、簡単なおつまみを用意して、ワイワイと味見をしたりしたものです。
しかしながら、ここ数年、スーパーマーケットのボジョレー解禁日のボジョレー売り場も、どんどん縮小され、お祭り感もなくなり、扱いもめっきり地味になってきました。
ボジョレー解禁日には、仕事でお得意先に届けたりしていた時期もあったのですが、そんなこともいつの間にか廃れて、なくなってしまいました。
今年は特に、コロナウィルスのためにロックダウン中、ボジョレーでパーティーなんていうこともできないので、ますますボジョレーヌーボーは盛り上がりません。
一時、日本では、時差の関係から、11月の第3木曜日が現地のフランスよりも早く訪れるために、早くボジョレーが味わえると大変な騒ぎになっていたこともありましたが、フランスでは、そもそもボジョレーでは、そんなに大げさには騒ぎません。
それがコロナのおかげでいっそう地味になりました。
それでも、酒瓶が沢山並んでいるのを見てるだけで、なんとなくご機嫌になれる私としては、一応、買い物のついでに今年のボジョレーは??と売り場を覗いてみたものの、ボジョレーに群がる人は、ごく僅か・・ワイン好きらしきおじいさんが数名のみ・・なんとも寂しい光景でした。
どちらかといえば、ワイン全般を扱う秋のワインフェアの方がよっぽど人が多く、カタログ片手に集まるおじさんで賑わっているくらいです。
いずれにせよ、ボジョレーといい、秋のワインフェアといい、ワインを熱心に選んでいるおじさんたちには、結構、味わいのありそうな人が多く、ワインとともに、私は、そのおじさんたちも眺めて楽しんでいるのです。
私は特にワインが好きというわけでもないのですが、フランスにいるならば、一番コスパも良くて美味しいのは、ワイン・・と思うようになり、日本にいた頃に比べれば、ワインを飲む機会が増えてみると、「今年はどう?」などと、味見をするかのようにボジョレーを飲むならば、ボジョレーはなんとなく物足りなくて、せっかく味見をするならば、他のワインを味見したいと思うようになり、ここのところは、ボジョレーはわざわざ買わなくなりました。
おそらくフランスでは一番ポピュラーなボジョレー、ジョルジュ・デュブッフ |
ワインに群がっているのがおじいさんやおじさんばかりというのも、現在のフランスの若者のワイン離れという現象が垣間見れるような気もします。
いずれにせよ、ボジョレーの出る頃に、「今年のボジョレーの出来栄えは?」などと言い合いながら、みんなでいっぱしのことを言い合って味見をしたりするフランスの文化が衰退していってしまうことをなんだか寂しく感じる私は、それなりの世代ということなのかもしれません。
<関連>
「フランス人のワイン離れ」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/02/blog-post_13.html