
最近、よく日本のメディアでは「失われた30年」という言葉をよく目にするようになった気がしますが、正直、この30年は、はからずも、私が日本を出て、海外生活を始めて現在に至るまでの期間とまるかぶりしていることに、複雑な思いがしています。 フランスで暮らすようになって、30年は経っていませんが、その前にアフリカにいた期間などを加えると、ほぼほぼそれに近い年月が経っているわけで、海外にいるからこそ、外から見ている日本、たまに一時帰国する日本、フランスで見る日本のものなどが移り変っていることを感じることもあります。 それでも、実際にこの間を私は日本で暮らしていたわけではないので、実感として感じているわけではないのですが、たまに見かけるニュースなどでも、よい意味でも悪い意味でも、ついついフランスと比べてしまう癖がついている気がします。 そう考えてみれば、フランスに来たばかりの頃は、なんでフランスはこうなんだろう?と日本と比べて、腹立たしく怒ることが多く、「まあ、ここはフランスなんだから、仕方ない・・」と思っていたのですが、この30年近くの間に、日本のニュースなどを見るにつけ、また、フランスの様々な社会システムなどの変化に接するにつけ、「フランス人にできて、なぜ?日本人にできない?」と、逆に日本をもどかしく思うことが増えてきた気もします。 何よりも、私自身がフランスの生活に順応してきたこともあるとは思うのですが、それにしても、最近は、日本の「失われた30年」などという話題に触れて、残念ながら、やっぱりそうだよな・・と思ってしまうのです。 フランスに来たばかりの頃は、一年に一度、日本に帰るたびに、一年留守にするだけで、まるっきり、日本は景色が変わってしまう・・と驚かされるほど、新しいビルが建ったりしているのに比べて、パリって本当にいつまでたってもちっとも変わらない・・などと思ったりもしていたのですが、ある時期から、日本に一時帰国した折に、「えっ?こんなに年配の方が警備員とか、道路の交通整理などの仕事するようになったの?」などと驚かされるようになったのです。 また、かつては、電気屋さんなどに行けば、日本人として、ちょっと誇らしくなるほどに日本製品が高価な値段でずら~っと並び、日本製品は、絶対的な信頼を勝ち得ているような感じがあったのですが、いつのまにか、電気屋さんで日本製品を見かけるのは、珍しいことになってしまったし、日本のものでフランスで注目されるのは、日本食か、マンガやアニメ、そしてユニクロくらいでしょうか? 日本で物議を醸しているマイナンバーカードや保険証などに関しても、フランスでは、いつの間にか、スムーズにIT化が進み、問題なく進化しています。まさにフランスにできることが、なんで日本では、そんなに揉めているのだろうか?と思ってしまいます。 正直、フランスでは、日本のことは、よほどのことがない限り、細かいことはニュースにはならないし、そんなに真剣に話題にのぼることはありません。フランスにとっては、周囲のヨーロッパ諸国や、アメリカやロシアなどの方が差し迫った問題なのです。 それでも、昨日もこちらのニュースで見かけたのは、日本の少子高齢化の問題で、日本は人口の29%が65歳以上で、10人に1人が80歳以上、経済を支え切れずに、900万人の高齢者が働いているなどと伝えています。 政府に関しては、フランスだって、色々な問題はあるし、暴動にまで発展する事態も少なくありません。しかし、少なくとも、フランス政府には、フランスの将来のためにはどうしていくべきなのか?...