年がら年中、誰かがデモやストライキをやっている感じがするので、ストライキ自体に少々、麻痺している感じもあります。とはいえ、自分が利用する交通機関などだったりすると、それなりにうんざりして、対策を考えるのですが、個人的には、防ぎようもないことなので、こうなると、あまり怒りすぎないように、大きくため息をつく感じです。
怒ったときには、一度、大きく深呼吸をするといいといいますが、なるほど、ため息というのは、深く息をつくという意味では、自然発生的に自分がとっている防衛本能の一つかもしれないなどと、つまらないことまで考えます。
さて、1月10日に政府が提示した年金改革は予想どおりに大きな反発を呼び、もうそれ以来、フランスでは、いつテレビをつけても年金の話ばかり・・、よくもこう年金について話続けることができるのかと思うほど、年金問題一色になっています。
そんな年金の話題の中には、「日本人はより長く働きたいと思っている・・経済的な問題もあるものの、日本人は仕事を辞めてしまうことで社会との繋がりを絶ちたくないとか、適度に仕事を続けることが健康にもよいと考えている・・」などと説明されてもいます。
しかし、定年後も仕事以外の生活で楽しむことをしっかり織り込み済みのフランス人には、日本のような事例は理解しにくいかもしれません。
まあ、年金問題は、どんな人にでも関連する共通の関心事であることに違いなく、私などはフランスで仕事を始めた年齢が遅すぎるので、もう考える余地なしなので、問題外なのです。
しかし、今回の年金改革の一番の争点は、現在62歳の定年退職が64歳に引き上げられるという点で、これには、職業によって例外はあるものの、要するに年金をもらうまでの年数が2年引き伸ばしになるという点では、すべての職業について共通するところで、つまり、「もっと働け!」ということです。
ストライキは、できるだけ徒党を組んで大規模にやった方がインパクトは強く、SNCF(フランス国鉄)、RATP(パリ交通公団)はもちろんのこと、空港、航空会社などのほぼすべての交通機関、学校、警察、病院、ガソリン供給会社などのエネルギー部門、公務員からトラックの運転手まで、ほぼすべての機能が麻痺しそうな勢いで、中には、まだ仕事にもついていない高校生までがデモに参加するために、徒党を組んでいるという話まで聞くので、もうこの日は抗うことは考えずに、リモートワークにするか、それができない場合は休むことにした方がよいような気がしています。
年金改革をしなければ、どうにも現在の年金制度が立ち行かなくなるというのも理解できないではありませんが、これは、国が一律に決めることなのだろうか?と思うこともあります。年金制度としては、そうしなければならないのかもしれませんが、これは働く側の人だけでなく、経営者側にとっても大問題で、2年定年が延長すれば、その2年間分は新しい採用を控えなければならなくなるということで、職種にもよりますが、会社として活性化が悪くなる気もします。
以前の私の職場では、だいたい、定年が近づいてくると、ロクに仕事もせずに年金の計算ばかりしていた人たちがけっこういたことを思い出しますが、そんな社員を2年余計に雇い続けなければならない会社も気の毒な気もします。
結局は、どこに一番負担が来るのかわからない今回のフランスの年金改革ですが、とりあえず、今回の1日のストライキで、15億から20億ユーロのコストがかかる(損失を含む)とそんな見積もりまでなされています。
今回、とりあえず予定されているのは、19日(木)ですが、これが1日で解決するとは考え難く、しかも、12年ぶりとまでいわれる労働組合統一戦線と言われれば、収拾がつくのは一体、いつになることやら、年明け早々、うんざりしています。
年金改革ストライキ デモ
<関連記事>
「定年退職年齢延長反対と賃上げ労働条件改善のデモ・ストライキ」
「ストライキに遭遇して見知らぬ人と駅まで歩くハメになった・・ストライキには腹を立てないフランス人」