2021年2月23日火曜日

ニース・アルプ・マリティーム県 週末のみのロックダウン

 

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 ニース・アルプ・マリティーム県(プロヴァンス・アルプ・コート・ダジュール地域圏)での記録的な発生率と前例のない集中治療室の占拠率の増加で、急激な感染悪化が注目され始めたのが、先週末のことでした。

 それ以来、この地域をこのまま放置して良いものか? 少なくとも地域的なロックダウンが必要なのではないか? と、政府の発表を今か今かと週末の間中、皆が注目しながら待っていました。

 この地域に対する措置は、遅くとも日曜日の夜には発表されているとされていましたが、とうとう発表は、週明けにずれ込むことになってしまいました。

 週明けの正午近くに、アルプ・マリティーム県知事から発表された内容は、「今週の金曜日の午後6時から月曜日の午前6時まで、とりあえず2週間に渡って、週末のみのロックダウンを行う」「ロックダウンの形態は、10月の全国的なロックダウンの規則と同じ形態を取る」(外出は、生活必需品の買い物、通院、自宅から半径5 km以内で1時間に制限された歩行などに限る)というものでした。

 先週末の間にこの地域の現状確認に訪れていたオリヴィエ・ヴェラン保健相は、「夜間外出禁止令の強化、あるいは部分的または完全なロックダウンの形をとることができる」と示唆していました。

 週末にかけての協議の結果、このような決断に至ったわけですが、この決定は、全会一致でなされたものではありません。「感染は、主に家族内(屋内)で起こり、屋外での生活を制限する措置を講じ続けているのは、おかしい」「週末だけのロックダウンは、充分な措置ではない」など、議論は、かなり難航した模様です。

 これに対して、「ニースでの感染拡大は、主にスキー場が閉鎖されたために、なだれ込んだ観光客により持ち込まれたことが原因」としている人々もおり、週末にロックダウンすることで、これらの観光客を減少させることができるとしています。

 このニースの週末ロックダウンのニュースに、あらためて、フランス政府の「あくまでも、ロックダウンは最終手段」としていることを思い知らされた気がしました。

 この発表が、政府首脳(首相や保健相)からのものでなかったことや、ロックダウンが地域的なものであることは、まだしも、その上、「週末だけ」という、なんとも中途半端なものであったためです。

 フランスでは、度重なるロックダウン、解除、そしてまた、ロックダウンという状況を「STOP&GO」を繰り返す状態は避けなければならないとしており、一度、ロックダウンしてしまえば、その解除をするタイミングを図ることが難しく、未だロックダウンはしていなくても、さまざまな制限に関しても、感染状況が減少しない限り、この制限を緩和することは、これまでの努力が水泡に帰してしまう結果となるために、一向に緩和することはできないのです。

 奇しくも、このニース・アルプ・マリティーム県の感染爆発が発覚する寸前までは、もしかしたら、減少傾向にあるかもしれないと、美術館などの文化施設の再開が検討され始めていた矢先のことでした。

 しかし、一方では、かなり危険な状況でもロックダウンにはならないと思い始めている国民は、この程度なら大丈夫であると気を緩めている感もあります。

 ところが、深刻な感染悪化は、この地域だけではなく、フランス国内のいくつかの地域は、これに追いつけ追い越せと言わんばかりの急激な感染悪化の状況を迎えており、先日、南アフリカ・ブラジル変異種の急拡大が確認されたモゼル県(フランス北東部)を始めとする北部の地域や、ダンケルク(オー・ド・フランス地域圏)などは、すでに感染率も国内平均の4倍以上、先週までは658人だった10万人あたりの発生率は一週間で901人まで上昇し、集中治療室もほぼ満床状態で、2月に入って以来、50人以上の患者が他の地域に移送されている状況なのです。

 ダンケルクの病院責任者は、敢えて集中治療室の占拠率は発表していませんが、もしかしたら、すでにニースを超えた深刻な状況を迎えている可能性もあり、一刻も現在の状態を放置しておくことはできないと語っており、何らかの措置をできるだけ早く取らなければならないとしています。

 感染が悪化しているどの地域にも共通していることは、顕著な変異種の拡大で、イル・ド・フランス(パリを中心とする地域)に入院しているコロナウィルスの患者の二人に一人は、変異種に感染していると発表されています。

 これまでも、他地域では、まだ営業されていたレストランがマルセイユなどの地域限定で営業禁止になったりしたことはありましたが、週末のみとはいえ、地域限定のロックダウンは、パンデミック以来、フランスでは初めてのことで、今後、さらに他の地域でもニースに続くロックダウンの地域が出るのは、ほぼ確実です。

 もはや、フランスは、綱渡り状態から、崖っぷち状態に移行しつつあります。

 

<関連>

「フランスが恐れるイギリス・南アフリカ・ブラジル変異種の拡大」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/02/blog-post_12.html

「ニースがヤバい 国内平均の5倍の感染値」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/02/blog-post_21.html 




2021年2月22日月曜日

マクロン大統領のユーチューバーとのチャレンジ企画 Mcfly et Carlito(マクフライとカーリト)

  

<彼らがマクロン大統領に依頼されて作った動画><Je me souviens> (clip gèstes barrieres)


 フランス政府は、「あくまでも、ロックダウンは最後の手段」「ロックダウンを回避するために、できる限りのあらゆる努力・試みを行う」という姿勢を貫き続けています。

 それは、コマーシャルセンター内の生活必需品以外の店舗の営業停止であったり、夜間外出禁止や、日常生活においての行動制限に対する取締りの強化であったり、ワクチン接種のスピードアップであったりしてきました。

 これ以上、何ができるのか?と思っていたら、マクロン大統領は、フランスの若者の間で、最も有名なユーチューバー Mcfly et Carlito(マクフライとカーリト)(登録者数630万人)に若者に向けてのソーシャルディスタンスの重要性を訴えかける動画の作成するように、協力を依頼しています。

 当初、エリゼ宮のディレクターから連絡を受け取ったマクフライとカーリトは、よもや、イタズラかデマではないかと疑心暗鬼になり、ディレクターがここが私のオフィスであると、エリゼ宮内の景色を彼らに彼らとの会話中に写して見せている舞台裏の様子もユーチューブにあげられています。

 そして、さらには、その後、彼らは、マクロン大統領自らが、彼らに語りかけている動画を受け取ったのです。


「Mcfly et Carlito(マクフライとカーリト)・マクロンチャレンジの舞台裏暴露の動画」




 マクロン大統領は、この動画の中で、彼らが、医療介護者をサポートするために送った寄付金に感謝を述べ、彼らに対して、新しいチャレンジを提案しています。

 それは、多くの人が、ソーシャルディスタンスを尊重するように促すように訴えかける動画を作成し、その動画の再生回数が1,000万回に達した場合、彼らをエリゼ宮に招待することを約束するものです。

 彼らは、フランスのユーモリスト、ビデオグラファーとして活動していましたが、2016年からユーチューブに参入し、フランスで最も影響力の大きいユーチューバーの一人(二人)として活躍しています。

 彼らは、パンデミック以来、医療介護者をサポートする「Maradon」(マラドン)を立ち上げ、昨年4月に介護者サポートのために行ったユーチューブライブで集めた40万ユーロは、フランス国内の病院に寄付しています。

 彼らは、このマクロン大統領からのチャレンジを受け入れ、21日に公開されるビデオとストリームの収益化を通じて集められたお金を、健康状態に弱っている学生のために協会に送ることを発表しています。

 彼らの人気動画の中には、2500万回以上再生されているものもあり、マクロン大統領が提案している1,000万回再生は、彼らにとって、決して不可能な数字ではありません。

 彼らがこれから作成する動画がどのようなものになるのか、また、どれほどの効果があるのかはわかりませんが、彼らがエリゼ宮でマクロン大統領と共にいる動画もとても楽しみです。

 そして23日、動画アップから3日間で1,000万回再生、達成しました。おめでとう!


 マクロン大統領は、彼らだけではなく、ニュースをグローバルに扱っているユーチューバー HugoDécrypte の取材などにも応じて、動画に出演するなど、若者のメディアにも積極的に参加しています。

 先日のシアンスポ(行政系の特別高等教育機関・エリート養成校)の19歳の学生がマクロン大統領宛てに送った「私たちは、生きながら、死んでいるようだ・・学生を大学や学校から締め出すコロナウィルス対応に抗議する内容の手紙」に対してもマクロン大統領から返事を送っています。

 一学生が送った手紙に大統領が回答するなど、ちょっと想像さえしづらいことです。

 一概に比較できることではありませんが、ユーチューブに自ら呼びかけ、参加して、国民に訴えかけるようなことから、やはり大統領自身が若く、フランス政府全体も若くて、柔軟であることを感じずにはいられません。

 まさか、日本の首相がユーチューバーに呼びかけたりすることなど、ちょっと想像すらできないことです。実際に、前首相が「STAY HOME」を呼びかけようとしてあげた動画は、大バッシングを受ける見当違いのものになっています。

 結果的には、日本よりは、断然、感染状態は、深刻なフランスですが、若い人を巻き込んで国を動かしていこうとしているそんな姿勢は、やはり、好感が持てるのです。

 彼らがマクロン大統領に答えて作った動画。現在、フランス急上昇ランク1位です。

 

<関連>

「フランスの高等教育機関の授業体制への抗議に対するマクロン大統領の手紙」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2021/01/blog-post_16.html

2021年2月21日日曜日

ニースがヤバい 国内平均の5倍の感染値

  


 先週は、大寒波が覆っていたフランスは、氷点下の世界から、今週に入って、気温も徐々に上昇し始め、週末には、パリでさえも最高気温が18℃、ビアリッツでは24℃と、春から初夏を思わせる気候となりました。

 気温の上昇、お天気には、すぐに反応するフランス人ですが、久々にやってきたポカポカ陽気に誘われて、人出も多くなり、これまで「あったかい・・」と感じていたマスクが一気に「息苦しくて、暑くて邪魔」に感じられるようになり、マスク率も急降下している感じです。

 営業停止のままのレストランやカフェなどは、お店の前に乗り出して、ビールやワインのテイクアウトを始め、テイクアウトした飲み物を持って、人が集まるという昨年にも見かけたような光景が広がっています。

 昨年、問題になったサンマルタン運河なども川岸には、隙間なく大勢の若者が座り込み、まるで去年の映像を見ているようでした。

 また、パリ6区、サンジェルマンデプレ界隈のRue de Buci(ビュシ通り)なども、日常のような賑やかさが戻ったような人出になり、人混みの中を警察官が練り歩く異様な光景でした。

 むしろ、レストランやカフェの店内に入れない分だけ、通りには、余計に人が溜まっている気がしてしまいます。

 メガホンを持ちながら、「ソーシャルディスタンスを取ってください!マスクをして下さい!」とがなり立て、日も長くなってきて、18時にはなかなか帰宅しようとしない人々を追い立てるのも、一応の規制ではあるものの、18時になるとウィルスが登場し始めるわけでもあるまいし、日中、あれだけの人が出ていることに手が付けられないでいることに、どこか矛盾を感じるのです。

 気温の上昇が見込まれた今週末は、この人出を見込んで、警察官4,000人を動員し、警戒にあたっています。しかし、制限下にあるとはいえ、何の犯罪を犯しているわけでもなく、いつまでも続くこの状況が悲しくなります。

 気温が低下していると活発化するウィルスも気温の上昇とともに、勢いを弱めてくれるのではないかと思いますが、それ以上に人間の行動の方が活発化するので、どうにもおさまりません。

 フランスは、あいも変わらず、毎日、2万人以上の新規感染者が出続けており、依然として、危険な綱渡り状態です。全体の数字は、若干減少しているのでは??などと見る人も出てくる中、感染者のうちの変異種に感染している割合は、確実に増大しており、ほぼ50%近くまで上昇しています。

 それでも何とか、綱渡りが続いていると思っていたら、アルプ・マリティーム県(プロヴァンス・アルプ・コート・ダジュール地域圏)では、急激な発生率と集中治療室の占拠率の上昇がこれまでの記録を遥かに上回り、ニースでは、10万人あたりの発生率が750件超えになり、(国内平均の5倍の数値)、集中治療室の97%がコロナウィルスによる患者で占められている危機的状況で、いよいよ、地域的なロックダウンが必要ではないか?という声が上がり始め、政府も本格的に検討を開始した模様です。

 とりあえず、ロックダウンか否かの決定より前に、政府は、この地域に向けて、優先的にワクチンを供給することを決定し、来週早々には、この地域の集中的なワクチン接種を強化することを決定しました。

 まさにワクチンとウィルスのイタチごっこです。

 また、さすが? ここまで悪化する地域だけあり、この陽気の良さも手伝って、この深刻な状態にも関わらず、人出が減ることはなく、むしろ、「この地域がここまでの状況になったのには、自分たちの注意が足らなかったのかもしれないけれど、ロックダウンになるかもしれないなら、最後の週末は楽しみたい・・」と外出をやめない人々には、閉口してしまいます。

 これから、3月、4月は、昨年、最も恐ろしい状況に陥ってしまった時期でもあり、変異種の拡大による急激な感染悪化が本当に心配です。

 

<関連>

「コロナウィルスと太陽の誘惑」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_6.html

 







2021年2月20日土曜日

メグジット ヘンリー王子とメーガン妃の王室離脱 フランス人はイギリス王室の話題が大好き

  


 最近は、ずいぶん変わってきたけれど、例えば、駅などで英語でチケットを買おうとしている観光客が、「ここはフランスなんだから、フランス語で話せ!」などと駅員が冷たくあしらわれているのを何度か見かけたことがあります。

 パリなど観光で多くの収入を得ている街、どこでも英語が通じるようにならなくてどうする?と思うのですが、残念ながら、そうではありません。

 英語とフランス語を比べてみると、読み方が違うだけで、同じ単語も多いので、多分、日本人が英語を学ぶよりもずっと容易いことだと思うのに、なぜか英語を話したがらない人が多いのです。

 彼らは、フランス語に誇りを持っていると同時に、英語が嫌い=アメリカが嫌いなのです。フランス人のアメリカ嫌いは、英語に対する嫌悪というよりも、ある種、アメリカに対する嫉妬に似た感情ではないかと私は、思っています。

 フランス人は歴史、伝統のあるものを尊ぶ傾向が強く、特にある一定の年齢以上の人は、歴史の浅いアメリカを小バカにするようなところがあります。同じ?英語を話す国民でも、フランスにとって、イギリスに対しては、これが当てはまりません。

 それを象徴するように、フランス人は、イギリス王室の話題が大好きです。フランスのように愛国心が強い国民の多い国で、外国の王室の話題がニュースチャンネルで、特集まで組んで、ゴールデンタイムに長々とイギリス王室の話題を放送するのには、ビックリしてしまいます。

 たしかに、お騒がせなニュースが多いイギリス王室ですが、もはやヨーロッパからも離脱した外国の王室の話を延々と報道するのは、それだけ見たい人がいるということです。

 昨日、バッキンガム宮殿が、「ヘンリー王子とメーガン妃のサセックス公爵と公爵夫人などの名誉称号や慈善団体の後援者の役職などは、全てエリザベス女王に一度、返上され、これらは、今後、他の王室メンバーに、あらためて分配され、ヘンリー王子とメーガン妃は王室のメンバーには戻らない」と発表したことから、フランスのメディアは、ブレグジットをもじって、「メグジット」と発表。

 つい先日、メーガン妃が第2子を妊娠したことも騒いでいましたが、さすがに今回は、本格的な王室離脱にさらにヒートアップしています。

 「メグジット」などと、メーガン妃と結婚したことによって、王室を離脱することになってしまったように報道されていますが、複雑な環境で育ったヘンリー王子が、王室を離脱することになったのは、メーガン妃との結婚が拍車をかけたことは否めませんが、もともと彼の中にあった王室への反発であったような気もします。

 フランスのメディアは、彼らの出会いから、結婚、そして、結婚後の王室内のいざこざなどを様々な王室周辺の側近者を証言者として取材しながら、「メグジット」までの経緯をドキュメンタリーにまとめています。

 たしかに、王室のセレモニーは、いかにもフランス人が好きそうな、伝統的な美しいセレモニーで、また、王室内のメンバーは、チャールズ皇太子とカミラ夫人の不倫問題やダイアナ妃がパリで亡くなったり、世代を超えて、お騒がせでスキャンダラスな話題が尽きることがありません。

 フランスには、王室はありませんが、イギリス王室のような伝統的で威厳のあるものへの畏敬の念がフランス人の中にはあるのかもしれません。

 こうして見ていると、イギリスという国は、今やEUからも離脱してしまった外国でありながら、フランスにとっては、特別な国なのかもしれません。ロンドンなどに行くと、気がつくと周りにはフランス語がたくさん聞こえてきて、思わず「ここは、ロンドンだったよね・・」と確認するほど、フランス人がたくさんいることに驚かされます。

 正確な数字はわかりませんが、おそらく、ロンドンにいる観光客の中でフランス人は、相当な割合を占めているのではないかと思います。 

 たしかにユーロスターでパリ・ロンドン間は2時間半ほどで行ける身近な外国。人気があるのも頷けますが、それは単に、距離的な問題だけではないような気がします。

 自らの歴史で王室を崩壊させたフランスが、イギリス王室の話題が大好きというのも、なんとも皮肉な話ではないかと思うのです。


<関連>

「アメリカのものが嫌いなフランス人の夫」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/07/blog-post_16.html





2021年2月19日金曜日

長期コロナ感染症 症状の満ち引きを繰り返す症状 COVID LONG

   


 コロナウィルスによるパンデミックが始まり、約1年が経とうとしています。その間、感染が拡大したり、ロックダウンや夏に向かう気候にも助けられて、一時は減少したりしましたが、秋から冬にかけて、気温の低下とともにウィルスは再び活発化して、感染が拡大し、第1波、第2波、第3波と何回もアップダウンを繰り返しながら、ウィルス自体も変化しながら拡大を続け、オリジナル?のコロナウィルスから、現在、フランスは、当初のコロナウィルスよりもイギリス、南アフリカ、ブラジルなどの変異種が確実に拡大し始めていることに脅威を抱き、警戒を緩めることはできない状態です。

 しかし、ここへ来て、変異種の拡大とは、別に、コロナウィルスに感染した場合に症状が長期にわたって続いている症例が多く報告され、COVID LONG(長期コロナ感染症)として注目され始めました。

 フランスでは、感染者の10%〜15%がこの症状に苦しんでいると言われています。

 最近のコロナウィルス感染患者は、入院しても、当初よりも入院期間が比較的短期で退院が可能になるケースが増えてきており、軽症の場合は、2週間程度、重症でも3週間程度の入院で済む(もちろん、さらに長期入院の人もいる)とされています。

 しかしながら、ある程度、回復しても、一旦、おさまった症状が、数ヶ月後に再び現れたり、退院後も倦怠感、胸の圧迫感が続いたり、少し経ってから、再び、味覚の変化、消化器疾患、吐き気、手足のふるえ、凍った手、体の特定の部分の灼熱感、悪寒、脱毛など、人により、様々な症状があるものの、これらの症状が一時的にひいてはまた、しばらくすると、症状を繰り返す、長期コロナ感染症に苦しみながら生活している人がかなり多いことがわかり始めてきたのです。

 ある27歳の若い女性は、昨年の3月に一度感染して以来、胸部、腹部、全身の筋肉の痛みが継続しており、この約一年の間に、一部の症状が消えると他の症状が現れるという状態が続いていると言います。

 最初の感染での治療終了後は、症状が変化するたびに、PCR検査を受けても、検査結果は陰性なのです。

 もちろん、これらの症状が再感染によるものである場合もあるのですが、彼女のように、検査を行っても陰性であるケースも多く、これは、感染時に身体そのものにダメージを負ってしまっているケースに見られているもので、コロナウィルスが呼吸器、脳、心臓・心臓血管系、腎臓、腸、肝臓、皮膚など、身体のあらゆる部分に影響を及ぼしている結果であるということがわかってきています。

 これは、感染した際に重症化した場合だけでなく、軽症で済んだと思われていた人にも、同じように起こる可能性があることがわかり始めており、あらためて、コロナウィルスの恐ろしさを突きつけられている感じです。

 この長期コロナ感染症は、長期間にわたる後遺症とも言える症状ではありますが、後遺症が一定の症状が継続する一方、この長期コロナ感染症は、症状が治ったり、数ヶ月後に再び現れる波のような症状を繰り返し、軽症者にも見られる症状だけに、ますますタチの悪いものであるとも言えます。

 感染が増加したり、減少したりしながら、パンデミックが長期化していることから、表面化し始めた、この「長期コロナ感染症」へのケアについて、フランス国会は政府に対し、「適応ケアパス」を開発し、職業(仕事)にも影響する病気としての治療の可能性を拡大することにより、深刻で長い形態のコロナウィルスへの対応を強化するように求めています。

 それにしても、次から次へと恐ろしい威力を発揮し、進化し続けるコロナウィルス。軽症とて、決して侮ることはできず、とにかく、かからないに越したことはないようです。


<関連>

「深刻なコロナウィルスの後遺症 求められる早期の段階の治療」

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2021年2月18日木曜日

フランス人は想像以上に日本を知らない


Poulet karaage, riz et légumes cuisinés
フランスの冷凍食品PICARD(ピカール)で売っているどう見てもフライな鳥の唐揚げ


 まさか、さすがにフランス人で「日本」という国を知らない人はいません。しかしながら、日本はアジアにある国の一つの島国で、ある程度、豊かな国であり、なんとなくのそれなりのイメージがあるだけで、実のところは、フランス人は一部の人(アニメ・漫画・YouTubeなどで日本の魅力に取り憑かれている人など)を除いて、日本のことは、よく知らないのが実際のところで、思った以上に日本のことは、知られていないんだな・・と思うことがよくあります。

 最近は、コロナウィルスのおかげで、「みんながマスクをする習慣がある国・・」という印象が強いようです。

 この間、銀行に行った時に、担当をしてくれた女の子に、「バカンスには、行かないの?」と聞いたら、「行きたくても、どこへも行けないし・・」と言うので、「私も日本でさえ、自分の国なのに、もうずっと行けていない・・」と言ったら、「日本は、コロナウィルスはどうなの?」と聞くので、「フランスよりは、全然、感染者も少ないよ・・」と答えたら、「そうよね・・日本は、コロナウィルスの前から、みんながマスクをしてる国だもんね・・」と言われてびっくりしました。

 マスクの有効性が語られる時、フランスのメディアは、日本を始めとして、マスクをする習慣のある国々は、感染拡大が抑えられていると日本を例に挙げて話したりするので、それが拡大解釈されている模様です。

 私自身が初めてヨーロッパに来たときは、やはり実際に生活してみて驚いた発見もたくさんありましたが、きっとフランス人が初めて日本に行った時の衝撃の方が大きいと思うのです。

 今は、知ろうと思えば、ネットでいくらでも情報は収集できますが、日本人がフランスに来る以上に、実際の日本の風景や日本人の生活は、フランス人の想像を超える異文化、異次元の世界なのだろうと思います。

 今は特に、あの清潔な環境が日本では日常であることを、私は、全てのフランス人に知ってもらいたい気持ちでいっぱいです。

 私自身、たまに帰国する度に、空港から家に向かう車から見えるぎっしりと建っているビルや人混みに目がまわりそうな気分になることもあります。

 パリはフランスの中では大都会ではありますが、所詮、東京などに比べれば、山手線のなかに入ってしまうほどの小さい街、すっかり田舎者になったものだと実感させられます。

 身近なところでは、最近、一段と増えたフランスでの日本食は、誤解に満ちたものも多く、時として、「えっ???」と思わされるものもなかなかあります。

 TEMPURA(天ぷら)と書かれたものが、実は、エビフライであったり、TEPPANYAKI(鉄板焼き)と言うものが、焼きそばだったり、冷凍食品のコーナーで、日本食を見つけたりすると、そのあまりにすぐわかる間違い探しが面白かったりします。

 しかし、日本人としては、間違った日本の文化がそのままフランスに伝わっていくのかと思うと微妙な気分でもあります。

 とはいえ、ここ数年(といってもここ一年は除く)は、日本へ観光に行くフランス人は、驚くほど増え、日本へ行くたびに日本行きの飛行機はほぼフランス人で埋まっていて、身近な人でも、友達で日本へ行った人がいて、ものすごく日本人は親切で、どこに行っても綺麗で、ぜひ、自分も日本に行ってみたい!という人が大勢いて、私が日本人だということもあって、日本を褒めてくれることもあるのでしょうが、よく知らないとはいえ、概ね日本のイメージはすこぶる良いことに気を良くしているのであります。

 以前に会社にいた若くてかわいい中国人の女の子が、フランス人に声をかけられると、「日本人じゃないの?とガッカリされるけど、どうしてだろう?」と素直に聞かれたことがあって、ちょっと答えに困ったけれど、内心、中国よりも日本の方が印象がいいのだな・・と思ったりもしました。

 反面、日本人もやたらとフランスを美化して誤解している点もままあるので、結局はお互い様かもしれません。

 いずれにせよ、早くコロナウィルスが収束して、またたくさんのフランス人が日本へ行けるようになって、本当の日本に触れて、もっとフランス人が日本を知ってくれる日が来ることを祈っています。


<関連>

「日本はフランス人になぜ愛されるのか? フランス人は日本をどう見ているのか?」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/06/blog-post_96.html






2021年2月17日水曜日

緊急事態宣言で感染が減少する日本と、より厳しい制限下でも変わらないフランス

      


 はじめから、桁違いと言えば、それまでですが、日本も年末年始にかけて、感染状況が悪化し始めて、日本での2度目の緊急事態宣言が敷かれたのが、1月7日でした。

 それからもしばらく感染状態は悪化していたものの、1月19日前後にピーク?を迎え、それ以降は順調に感染状況も減少し、ほぼ一ヶ月で、12月上旬程度の感染状況にまで戻っています。

 それに比べてフランスは・・日本よりもずっと厳しい規制が続いているというのに一向に感染者は減りません。

 減らないどころか、変異種がどんどん拡大し、先日、一週間で500件近くも南アフリカ・ブラジル変異種が検出されて、危機感が高まっているモゼル県(フランス北東部・グラン・テスト地域)では、今や感染者の50%は変異種によるものに拡大しています。

 日本の緊急事態宣言は、飲食店の営業時間の短縮(午後8時まで)、不要不急の外出自粛、イベントは最大5000人かつ、収容率50%以下に制限という今のフランスから見たら、夢のような世界です。

 フランスは、営業時間短縮どころか飲食店は、もう何ヶ月も閉店(テイクアウトのみ)、美術館や劇場、映画館でさえも、ずっと閉鎖状態、コマーシャルセンター内などは、生活必需品以外の店舗は全て営業禁止です。

 外出も午後6時まで、6時までに家に帰ればければ、正当な理由(外出証明書)がなければ、135ユーロ(約17,500円)の罰金です。

 こんな日本よりもずっと厳しい制限下にありながら、フランスの感染者は一向に減らないのです。

 おかしなことに、感染者が減少しないことよりも、ロックダウンをせずに爆発的な感染に至っていないことをフランスは、誇りに思っているようなところがあります。(実際には、もうすでに充分、爆発状態だと思うけど・・)

 私は日本人なので、ついつい日本の状態と比べて、フランスは、ホントにだめだな・・とため息が出てしまうのですが、もともと、レベルが全く違い、比較するのもおこがましいのです。

 わかりやすく言えば、以前、麻生太郎氏が「おたくらの国とは民度が違う」と発言して、炎上したことがありましたが、まさにそれ・・彼の言い方や言うタイミングなどは、問題もありますが、彼の言っていたことは正しい・・まさに民度が違うのです。

 自分を律することができず、衛生に気を配り、他人を思いやり生活することができない人が多すぎるのです。ことに衛生観念のレベルの低さは、致命的です。さすがにマスクこそ今では、定着していますが、ちょっと興奮した状態に陥れば、途端にマスクをしない人もチラホラし始めます。

 また、悪いことに先週は、フランス全体を大寒波が襲い、一週間、日中でさえもマイナス6℃〜7℃という氷点下の世界・ウィルスの活性化する気温の低下です。その上、雨や雪が続く天候で、セーヌ川を始めとする、川の氾濫による洪水の被害に見舞われ、避難生活を強いられる人々が続出しました。

 フランスは、もうすでに長引いている厳しい制限下の生活にも慣れ始め(嫌気がさしているともいう)、なんとか厳しい制限の目をかいくぐって、旅行したり、移動したりする人がここ数週間で倍増しています。

 同じ人間なんだから、日本のような制限で感染は減少させることはできるはずなのに・・それができないフランス・・比べても仕方ないと思いつつ、緊急事態宣言の成果がきっちり現れてくる日本はやっぱりスゴいな・・と思うのです。


<関連>

「フランス(ヨーロッパ)でコロナウィルスが広まる理由」

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「フランス人は、マスクさえしていればいいと思っている・・フランスで感染が拡大する理由」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/10/blog-post_13.html