今週に入って、マクロン大統領から発表されたロックダウン緩和へのステップを歩み始めたフランスとは対照的に、昨日、ドイツのメルケル首相は、新規感染者数に大幅な減少が見られない限り、現行の感染対策を来年の1月初旬まで延長、しかも強化する方針を表明しました。
新規感染者の推移を見れば、フランスは一時は、一日6万人近かった新規感染者数もどうやら1万人台にまで減少し、ICUの患者もあわや5千人の壁を超えるかと思われていたところが、こちらも少しずつ減少し始め、4,018人(11月26日現在)までに下がっています。
これまでドイツは、コロナウィルス感染に関しては、被害の大きいヨーロッパ全体の中でも常に優等生で、フランスとは比較にならないほどに、常に感染者数は、フランスよりもずっと少ない状況に抑えられてきました。
これまでの総感染者数は、フランス 2,183,660人、ドイツ 1,001,965人(半分以下)コロナウィルスによる死者数は、フランス 50,957人、ドイツ 15,706人(3分の1)となっています。
フランスが医療崩壊を起こして、あっぷあっぷしている時もドイツはいつもフランスを助けてくれていました。
ところが、メルケル首相の発表を見て、ここへ来て、久しぶりにドイツの新規感染者数を見てみると、なんと、わずかではありますが、ドイツがフランスを追い抜いているではありませんか?(ドイツ14,306人・フランス13,563人・11月26日現在)
フランスのゆるゆると思われるロックダウン1ヶ月で、よくもここまで下がってきたものだと正直、感心していますが、ドイツとて、ロックダウンと呼ぶのかはわかりませんが、感染症対策の様々な制限をしてきたはず、飲食店の営業や劇場やジムなどの文化施設も閉められ、フランスと違う点といえば、小売店の営業が許されてきたことくらいです。
にもかかわらず、ドイツでさえも、感染状態が悪化してきているということは、小売店の営業による人の流れが、かなり感染状態に影響していると考えざるを得ません。
感染状況からすると、フランスは減少傾向、ドイツは増加傾向にあるとはいえ、現在の数字は、どちらも似たような状況で、フランスは、制限緩和の措置をとり、ドイツは、制限を継続、しかも強化するという両極の対応。
ノエルに向けて、ヨーロッパ諸国が制限緩和を開始する中、メルケル首相は、「今の状況は、目標からは、程遠い。もうひと頑張りしなければならない」としています。
特に、ノエルのバカンスはスキーのシーズンでもあり、また、ヨーロッパでは、スキー場になっている山を隣国と共有しているようなところがあり、ドイツは、EU全体に対しても、特にノエルのバカンスにスキーをすることを禁止するように呼びかけています。
フランスは、12月15日以降、ロックダウンが解除となった場合、移動制限はなくなり、72時間以内のPCR検査等の衛生管理規則を守れば海外旅行も許可されることになりましたが、スキーに関しては、スキー場は開けてもいいが、リフトは営業禁止というどこか不明瞭な立場をとっています。
ヨーロッパという地続きの国々での制限の違いは、このバカンス期間は特に、ある程度は、足並みを揃えなければなりません。
12月のこの対応の違いが1月には、どのように表れるのか、制限が緩和されることにちょっとホッとしかけたものの、ドイツの対応を見て、やっぱり不安が膨らんでくるのです。
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