2020年11月25日水曜日

フランスのロックダウン緩和へのステップ マクロン大統領の会見




 フランスのロックダウン緩和は、とりあえず、今週末の全ての商店がオープンすることから始まることになりました。大方の予想では、12月からと言われていただけに、一週間早くなった全てのお店の再開は、明るいニュースです。

 そして、これまでどおり、外出許可証は必要ではありますが、自宅から20km、3時間以内の外出が認められるようになります。沢山のお店がオープンしても、行けないじゃん!と思っていましたが、パリは狭いのです。行きたい所もそうあるわけでもありませんが、とりあえず、行こうと思えば、いつでも行けるようになることは、思いのほか嬉しいことです。

 さらに、12月15日には、ロックダウンが解除になり、映画館、劇場、美術館などが再開し、外出規制が撤廃されますが、夜9時から午前6時までの時間帯の外出制限措置(夜間ロックダウン)が取られます。

 普通の生活が近づいてきました。

 しかし、レストラン、バー、スポーツジムなどは、年内の再開はできませんが、どうやら、ノエルを家族で祝うことはできるようになるようです。

 特に12月24日と31日は、夜間ロックダウンも撤廃されるという甘々な措置、公道での集まりは禁止されていますが、今は、まだロックダウン状態でさえ、ここ数日のデモの人出を見ていると、これが守られることは、どうにも信じ難く、今からシャンゼリゼが人で埋まる様子が目に浮かぶようです。

 つまり、ノエルのバカンスには、皆が家族に会うための移動を始め、衛生管理に気をつけてと呼びかけてはいるものの、ほぼ、例年に近い年末年始を迎えることになりそうです。

 そして、このまま、感染状態が減少していった場合は、(一日の新規感染者数が5000を下回っている場合)、1月20日には、レストランやスポーツジムの営業が認められるようになります。

 マクロン大統領から、ロックダウンの緩和についての発表があると聞いて、小売店等の再開は、おおよそ予想がついていましたが、一番の問題は、ノエルをどうするのか?が最も気になっていましたが、まさかの24日と31日の開放に、今から、クリスマスイブと大晦日の惨状が目に浮かぶ気がします。

 これまでの締め付け?られた生活の鬱憤が、ノエルと年末年始に一気に爆発するような気がするのです。

 例年の一般的なフランス人の傾向としては、ノエルは家族と過ごし、大晦日は、友人と騒ぐという人が多く、特に31日は、レヴェイヨンと言われ、年明けのカウントダウンの瞬間は、より多くの人が集うのです。

 マクロン大統領からの発表があった数分後には、SNCF(フランス国鉄)の予約サイトは400%に膨れ上がり、これまで予約を躊躇していた人々が一気に予約を開始したようです。

 さっそくみんな、出かける気まんまんです。ちなみにフランスにはGO TOキャンペーンはありません。

 この会見で、マクロン大統領は、「第2波のピークは過ぎたけれども、依然として、深刻な状態、なんとしても、感染の第3波、第3のロックダウンは、避けなければならない」と話していますが、このノエルと年末への対応を考える限り、第3波は確実、1月20日のレストラン再開は、絶望的だと思います。

 しかし、フランス人の様子を見ている限り、ノエルをシャットダウンすることは不可能、こうするしか仕方がなかったかもしれないとも思っています。

 私個人としては、12月15日からのロックダウン解除は嬉しくもありますが、その間に、再び、次のロックダウンに備えなければ・・という気分になっているのです。

 フランスのコロナウィルスによる死亡者は、とうとう5万人を突破(50,237人)しました。


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「フランスの年末年始にかけての食事」

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2020年11月24日火曜日

サン・ドニの難民キャンプ解体による避難所要求のデモ

 Les migrants ont installé leurs tentes place de la République à Paris (photo d'association).


 次から次へとよくも、こんなに色々起こるもんだ・・と、ため息が出るほどです。

 一昨日のデモに続いて、またデモ・・です。

 先週の初めにパリ北部、サン・ドニ(セーヌ・サン・ドニ県)の難民キャンプで、警察により、2,500人が追放され、移動先の宿泊施設の解決策がないままに、700人から1,000人の人々が路上に残されました。

 行き先を失くした人々のうち、400人以上が安全を確保するために、パリ・レピュブリック広場に集結して、テントを張り、セーヌ・サン・ドニ県、パリ市役所、政府に対し、基本的権利の尊重と難民に対する警察の暴力の即時かつ継続的な終結と、1,000か所の無条件の即時宿泊施設の設置を要請しています。

 権利の主張は、あらゆる人に共通するようです。基本的権利や警察の暴力に対する抗議はまだしも、無条件の宿泊施設とは意味がわかりません。

 彼らは、同時に、先週のキャンプ解体による避難中に警察がとった暴力的な行動に対して、県と内務省に対する苦情の申し立てもしています。警察のとった暴力行為といえば、さっそく、先日、大きなデモを引き起こしたグローバルセキュリティー法第24条(警察・憲兵隊の撮影を禁ずる法律)の是非が問われる案件です。

 そして昨夜のレピュブリック広場に集結した難民との間にも再度、緊張状態が生じ、警察だけでなく憲兵隊まで出動する騒動に発展しています。

 もともと、サン・ドニといえば、パリ郊外の中でも治安の悪さで有名な地域、私は、20年以上パリに住んでいて、ほんの数回しか行ったことはありません・・というよりも、敢えて近寄らないようにしている場所です。

 サン・ドニ界隈に行けば、難民の多さは一目瞭然、ここはフランス??と思うほどの移民の多さ、治安の悪さは、すぐに肌で感じることができます。治安の悪さを肌でひしひしと感じるってなかなかスゴいことです。

 何か事件が起こる度にサン・ドニの地名が上がり、今回のコロナウィルス感染においても、パリ近郊では一番、感染状態が深刻だった場所です。

 一昨日も、殺人事件が起こったばかり、先日のテロ事件で、共犯で手配された犯人もサン・ドニのアパートで逮捕されており、私の身近なところでは、知り合いのガイドさんが、サン・ドニ界隈のホテルに日本人ツアーのお迎えに行ったところ、強盗に襲われ、殴り殺されたという悲惨な事件もありました。

 移民も多く、生活水準も低く、治安も悪いことから家賃も比較的安く、若者が多いのも特徴で、人が埋もれて暮らしやすい場所でもあります。

 今回、難民キャンプが追放されたことで、パリ中心部での騒ぎに発展して、彼らの意図した通りに注目を浴びましたが、サン・ドニを追放された700人から1,000人近くの人が行き場を失い、パリ近郊を放浪していることになります。

 治安が悪いサン・ドニを避けている私には、避けているものが向こうからやってくるような気持ちにさせられます。

 感染対策も含めて、難民キャンプを追放したと思われますが、追放するだけでその後の準備がなされていない雑なやり方は、また別な混乱を生むだけです。

 ロックダウン中とは思えない光景は、政府がわざわざ作り出している部分もあるのかもしれません。

 この騒動は翌日まで持ち越し、この避難した難民を擁護する人々がちょっと目眩がしそうなほどの規模で、再びレピュブリック広場に集合し、デモを行っています。


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「コロナ禍中でも続くフランス人の権利の主張」

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2020年11月23日月曜日

シャンゼリゼのイルミネーション点灯がフランス人のノエル気分に火を灯す

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 昨日、毎年、恒例のシャンゼリゼのイルミネーションが点灯されました。これから1月まで、シャンゼリゼは美しいイルミネーションに彩られます。

 私も毎年、一度は、このイルミネーションを見物がてら、まだ、日が落ちきらない、一番ライトアップがきれいに見える時間を見計らって、シャンゼリゼの近くに買い物に出かけて、立ち寄っていましたが、今年は、行けるかどうか??

 シャンゼリゼのイルミネーションをきれいに写真を撮るのには、ジョルジュⅤ(メトロ駅)よりちょっと下あたりが綺麗に撮れます。

 シャンゼリゼのイルミネーションは、街路樹に付けられるライトの色やデザインが毎年、変わり、今年は、どんなデザインになっているのか? それを見届けるのも楽しみにしています。やはり生で見るシャンゼリゼのイルミネーションは、圧巻です。

 今年のシャンゼリゼの点灯式は、例年よりは、ずっと縮小されてはいたものの、カウントダウンが行われ、そんな映像だけ見ていると、ロックダウンを忘れそうになります。

 2年前にシャンゼリゼのイルミネーションを見に行った時は、ちょうど、黄色いベスト運動が盛んに行われていた頃で、不謹慎にも、シャンゼリゼのイルミネーションに加え、警察車両の青いライトがきれいだと思ったりしたことが、すごく印象に残っています。

 シャンゼリゼのイルミネーションとともにシャンゼリゼの下の方にオープンするマルシェ・ド・ノエルも今年は、どうなることやら・・毎年毎年、同じもので、変わり映えもしませんが、季節の風物詩でもあります。

 しかし、今年は、マルシェ・ド・ノエル以上に営業許可を心待ちにしている一般の小売店、今週には、マクロン大統領から発表があるとのことで、色々な情報が錯綜しています。

 営業が許可されるかどうかなどの情報に紛れて、来年、3月初めから3回目のロックダウンが始まりますという政府から出されたという偽造文書まで流されています。ちょっと考えてみれば、目先の営業許可を出すか否かということでさえも、躊躇している状況で、3月からのロックダウンの発表を政府ができるはずもないことは、すぐにわかることです。

 現在のところ、ロックダウンの効果で、新規感染者も1万人台にまで減少してきて、緩和に向けて勢いづきそうになっている国民を「今回の発表はロックダウン解除ではない!」としきりにブレーキをかけていますが、どうやら、小売店の営業は許可されるのではないかという見方が強いです。

 だいたい、数千人規模のデモが許可されて、生活がかかっている小売店の営業が許可されないというのは、おかしな話です。

 マスク着用や店舗内の人数制限、衛生管理を行えば、営業は可能だと思います。どうしてもマスクをし続けることができず、滞在時間も長くなり、衛生管理がお客さん側の良識に委ねられるのレストランやバーについては、年内の営業は不可能なようです。

 しかし、シャンゼリゼのイルミネーションの点灯は、フランス人のノエル気分に火を灯したようなもの・・着々と近づくXデー(ノエル・クリスマス)は、もうすぐそこまで来ています。

 これまでの様々な出来事に対する政府の対応を見ていると、ノエルを家族で祝うことを全面的に政府が禁止することはあり得ません。とはいえ、到底、野放しにできる状態でもありません。

 新規感染者は減少したものの、ここ一週間のフランスでのコロナウィルスによる死亡者は4,209人と1時間に25人が亡くなっている状況、4月以来の驚異的な数字を記録しています。

 ノエルのバカンスの移動を許可するタイミングや家族での集まりの人数制限など、問題は山積みです。黄色いベスト運動などで、あれだけ嫌われていたマクロン大統領も支持率が41%と上昇しています。

 このノエルと年越しを迎える重大な局面をどう乗り切れるのか? 夏のバカンス解禁で大失敗している前科を持つフランス政府が、夏のバカンスに次いで、フランス人が大切にしているノエルをどう対処するのか? フランスは、国民の良識に頼れる国ではないのです。

 この重大な局面、全て、マクロン大統領の裁量にかかっています。

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「フランスの国会を騒がせる「フランス人のクリスマスを迎える権利」」

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2020年11月22日日曜日

グローバルセキュリティー法に反対する数千人規模のデモ

                                           

Place du Trocadéro à Paris ce samedi 21 novembre, manifestation pour le droit d'informer


 これがロックダウン中の光景であることに驚かないわけにはいきません。土曜日にデモがあることは、前日からわかっていましたが、まさかこれほどの人出とは・・・。

 この人たちの外出許可証の理由は、どの欄にチェックしてあるんだろう? と思って姉妹います。外出許可証の外出理由の中には、「デモに参加」なんていう項目もないし、まさかの「健康を維持するための運動」???なのでしょうか? クソ真面目にそんなことを考えている私は、日本人なんだな・・なんてことを思います。

 しかし、デモ自体が一応、警察に届出が出ており、許可?されたものである以上、参加する人もOKということなのでしょうか? フランスに住んで、もう20年以上経ちますが、本当にフランスという国は、未だによくわかりません。

 このデモは、20日(金)の国会において、グローバルセキュリティー法の第24条が採択されたことによるもので、これに異議を唱える数千人の人がパリ・トロカデロ広場に集まりました。

 グローバルセキュリティ法の第24条は、国民を保護する立場である警察や憲兵隊を保護するために、彼らを撮影する(顔や身分を明かすもの)ことを禁ずる法律で、これに違反した場合は、1年間の懲役と45,000ユーロの罰金を規定しています。

 たしかに彼らが撮影され、それが悪意を持って拡散されることによる危険もありますが、逆に、人種差別とみられる警察の横暴な振る舞いなどが表面化したりすることもあります。この法律が容易に認められ難いのは、当然です。

 いずれにせよ、表現の自由を声高に訴える国で、この種の法律の採択は、物議を醸すのは、必須。

 このロックダウン中の、しかも感染がおさまるか否かの瀬戸際のようなタイミングにわざわざ国民を刺激する法律をどうしても急いで採択したことの方が解せません。明らかにデモが起こるであろう採択を今、国会でするのはどういうつもりなのか?と思うのです。

  

デモの終盤、警察とデモ隊の衝突

 実際に、このデモ自体も取材しようとする人と警察との間に衝突が起こっています。

 国民を守るはずの警察を守るための法律が、さらに、衝突を起こし、感染も拡大させる悪循環の最悪のシナリオです。

 数千人がデモに集まり、警察と市民が戦う様子を見ていると、ロックダウンどころか? この人たちは、今、何と戦っているのだろう??と思います。

 今、まず、戦うべきは人と人ではなく、コロナウィルスなのです。


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「ロックダウン解除・第二ステージの幕開けは、2万人規模のデモというフランスの惨状」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_3.html

「ロックダウン解除・抑えきれないデモとレストラン・カフェの営業制限の矛盾」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/blog-post_7.html


2020年11月21日土曜日

フランスのメディアが日本のクラスター対策に注目し始めた!


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 ここのところ、フランスのメディアで再び、日本の感染症対策の利点に注目し始めました。

 一度目は、マスクの着用が有効か否かという極めて、基本的な感染症対策について、日本などのアジア諸国では、日常的にマスクを着用する習慣があるために、感染が広がりにくいということで、日本が取り上げられていました。

 普段、フランスではあまりニュースに上がることのない日本の話題、Japon・ジャポン・・という言葉が聞こえてくると、「ん???なになに??」と耳がダンボになるのです。

 今回は、マスクとは別次元の話で、日本が取っているスーパースプレッダーと言われる感染者の中でも、特に一人で数十人に対して感染を広げる人物を特定して、感染者の追跡と隔離を行っている流行の波の始まりを芽で潰す日本のスーパースプレッダー対策に注目しています。

 「日本は、これまでに一度もフランスのロックダウンのような大規模な外出制限はしていない。フランスと違って、個々の感染例の起源を突き止め、スーパースプレッダーを割り出している。日本の人口は、フランスの倍近いが、感染者数は、16分の1で、死者数に至っては、とても比較にならない。日本がこれほどまでに感染を抑えることが出来ているのは、日本がこのスーパースプレッダーを特定し、感染者の追跡を行っているからである。フランスも第3波を回避するためには、この方法が有効であろうことから、複数の専門家がこの追跡方法を検討し始めている。」と、フランスのメディアは報じています。

 夜のゴールデンタイムのニュースで堂々と日本が取り上げられているのは、嬉しいことです。

 夜のニュースを見ながら、「どうだ!日本は凄いだろ!」と、日本人として、なんとなく誇らしい気持ちになりながらも、「日本の感染がフランスよりずっと抑えられているのは、それだけじゃないんだ・・日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、日常からの衛生観念など、たくさんのことの積み重ねなんだ! 日本人は一度使ったティッシュをもう一度使ったりはしないぞ! コロナがなくてもみんな手を洗うぞ!除菌してるぞ!」などと思っていました。

 しかしながら、国民の意識を急に変えさせることは無理だとしたら、スーパースプレッダーを追跡することは、フランスにも可能な、有効な手段なのかもしれません。

 ましてや、PCR検査を拡大して、検査を多く行ってはいても、感染者の隔離がほとんど出来ていないフランスでは、スーパースプレッダーを特定し、少なくとも、多くの人を感染させる人だけでも、厳重に隔離することできたら、効果が期待できるかもしれません。

 フランスにまだ、第3波が来ていない?のは、一先ず、ゆるゆるとはいえ、一応、ロックダウンの措置を取っているからであり、しかも、今はまだ、第2波の真っ只中、第2波のピークを超えられたかどうか・・という状況なだけであり、これから、ノエル、年末年始を控え、気温もさらに下降していく季節を迎えるフランスが、第2波が少し、おさまりかけてきたとはいえ、第3波を迎えるのは確実です。

 今からでも、日本のスーパースプレッダーを追跡する方法に注目し、フランスとしては、新しい試みを模索していることは、嬉しいニュースに違いありません。


<関連>「コロナウィルス対応 日本人の真面目さ、辛抱強さ、モラルの高さ、衛生観念はやっぱり凄いなと思う」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_28.html














2020年11月20日金曜日

衰退するボジョレーヌーボー



 

              

 今年は、コロナ騒ぎでボジョレーヌーボーの日もすっかり忘れていました。

 ボジョレーヌーボーは、毎年、11月の第3木曜日に解禁と決められているフランス・ボジョレー地区でその年に収穫したぶどうを醸造した赤ワインです。(ボジョレーヌーボーとしては、白ワインは認められていません)

 もともと若く醸造期間も短いので深みというものはなく、フレッシュな風味を楽しむワイン、値段も安く、安いものは、3ユーロ程度から、高いものでも 6.5 ユーロくらい(400円から800円)のお手軽価格です。なんといっても、日にちが決まっているので、その季節のその時期に楽しむ、なんとなく季節を告げる年中行事のひとつのような感じです。

 ですから、ほんの少し経って、ノエルの頃にでもなれば、ボジョレーヌーボーはまるで賞味期限切れでもあるかのような感じになってしまうのです。

          

こんなかわいいパッケージのものもある

 以前は、みんなで「今年のはどう?」なんて、いっちょまえに語りながら、簡単なおつまみを用意して、ワイワイと味見をしたりしたものです。

 しかしながら、ここ数年、スーパーマーケットのボジョレー解禁日のボジョレー売り場も、どんどん縮小され、お祭り感もなくなり、扱いもめっきり地味になってきました。

 ボジョレー解禁日には、仕事でお得意先に届けたりしていた時期もあったのですが、そんなこともいつの間にか廃れて、なくなってしまいました。

 今年は特に、コロナウィルスのためにロックダウン中、ボジョレーでパーティーなんていうこともできないので、ますますボジョレーヌーボーは盛り上がりません。

 一時、日本では、時差の関係から、11月の第3木曜日が現地のフランスよりも早く訪れるために、早くボジョレーが味わえると大変な騒ぎになっていたこともありましたが、フランスでは、そもそもボジョレーでは、そんなに大げさには騒ぎません。

 それがコロナのおかげでいっそう地味になりました。

 それでも、酒瓶が沢山並んでいるのを見てるだけで、なんとなくご機嫌になれる私としては、一応、買い物のついでに今年のボジョレーは??と売り場を覗いてみたものの、ボジョレーに群がる人は、ごく僅か・・ワイン好きらしきおじいさんが数名のみ・・なんとも寂しい光景でした。

 どちらかといえば、ワイン全般を扱う秋のワインフェアの方がよっぽど人が多く、カタログ片手に集まるおじさんで賑わっているくらいです。

 いずれにせよ、ボジョレーといい、秋のワインフェアといい、ワインを熱心に選んでいるおじさんたちには、結構、味わいのありそうな人が多く、ワインとともに、私は、そのおじさんたちも眺めて楽しんでいるのです。

 私は特にワインが好きというわけでもないのですが、フランスにいるならば、一番コスパも良くて美味しいのは、ワイン・・と思うようになり、日本にいた頃に比べれば、ワインを飲む機会が増えてみると、「今年はどう?」などと、味見をするかのようにボジョレーを飲むならば、ボジョレーはなんとなく物足りなくて、せっかく味見をするならば、他のワインを味見したいと思うようになり、ここのところは、ボジョレーはわざわざ買わなくなりました。

 

おそらくフランスでは一番ポピュラーなボジョレー、ジョルジュ・デュブッフ

 ワインに群がっているのがおじいさんやおじさんばかりというのも、現在のフランスの若者のワイン離れという現象が垣間見れるような気もします。

 いずれにせよ、ボジョレーの出る頃に、「今年のボジョレーの出来栄えは?」などと言い合いながら、みんなでいっぱしのことを言い合って味見をしたりするフランスの文化が衰退していってしまうことをなんだか寂しく感じる私は、それなりの世代ということなのかもしれません。


<関連>

「フランス人のワイン離れ」

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2020年11月19日木曜日

コロナ禍中でも続くフランス人の権利の主張

 


 今は、ロックダウン中ではなかったのか???と、首をかしげたくなるような光景がここ数日、ニュースで流れてきます。ここのところ、コロナウィルスの感染状況は、少しずつ減少傾向にあるものの、昨日の新規感染者数は、28,383人、ICUには、4,775人(病床占拠率95%)、死亡者 456人が出ている状態なのです。

 それでも、一時期の新規感染者が6万人以上出ていた時期に比べれば、良くなってきてはいるので、そんな雰囲気も手伝ってか、ロックダウン中にもかかわらず、連日、フランスのお家芸とも言うべくデモが起こり始めているのです。

 一昨日も、グローバルセキュリティ法に反対するデモ、ゴミ収集者による労働条件に抗議するデモなどが起こっています。

 2年前の今頃は、黄色いベスト運動が起こり始めた時期で、2年前の年末は、黄色いベストでフランス国内は、大荒れで、黄色いベストのデモがエスカレートして、週末のパリなどは、シャンゼリゼなども土曜日はシャッターを降ろした上にバリケードまでして、デモの被害を防がなければならないような状態でした。

 黄色いベスト運動は、それから少しずつ内容や形を変えながら、今年3月に最初のロックダウンの直前まで続けられていました。今は黄色いベスト運動も、なりを潜めているものの、決してこの問題も解決したわけではありません。

 このようなデモもさすがフランスだけあって、現金なことに夏のバカンス期間中は、しっかりバカンスを取り、9月に入ってからのデモ・ストライキの予定を決めて、休みに入ります。

 1度目のロックダウンが解除された後も人種差別を訴えるデモや病院のスタッフによるデモ、警察によるデモなど、数々のデモが起こっていました。デモは、フランスでは日常的に起こることで、特別な出来事ではありません。

 そして、今、ロックダウン中にも関わらず、デモが起こり始めていますが、ロックダウン中なのになぜ?とも思いますが、それをきっちりと抑えきれないのには、フランス人の「自分の意見を主張する権利」を冒涜できないことにあります。

 ロックダウンの規則を守ることと、この「自分の意見を主張する権利」とが、ぶつかり合うわけです。フランスでは、デモを制止することは、単なる人出を取り締まる以上にデリケートな問題なのです。

 フランス人の「権利の主張」に関しては、先日のイスラム過激派のテロの原因にもなった、(イスラム教に関する風刺画問題)「表現の自由」=「自由に表現する権利」について、マクロン大統領自ら、「不快に思う人がいるからといって、フランスの表現の自由を否定することはできない」という発言をして、大炎上したばかりです。

 この自分たちの権利のためには、他の人が不快な思いを呑み込まなければいけないとも言うような、あくまでフランスファーストな彼の発言から、彼自身、ザ・フランス人であることを私は、再確認したのですが、この「権利の主張」こそが、1800年代から続くフランスの長い歴史に基づいたものがフランスの根底に流れ続けているのです。

 フランス人は、自分の意見を主張することに誇りを持っていますし、愛国心旺盛な彼らは、意見を言っても、反抗しても、デモを行っても、フランスという国をよりよくする・・フランスは、こんなことではいけない・・という気持ちが根底にあり、政府に反抗しながらも、デモの際には、マルセイエーズ(フランス国歌)を歌って団結するというハタから見ているとちょっと不思議に見える光景でもあるです。

 とはいえ、いくら権利を主張しようとも、コロナウィルスの感染拡大はまた別問題、きっぱりとデモを否定しきれないこともフランスの感染拡大の一端をになっているような気もするのです。


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「フランス人の年金への思い入れ」

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