2020年11月6日金曜日

フランスの新規感染者5万8千人突破 パリは22時以降の宅配も禁止

 

 
 ロックダウンから1週間、フランスの感染拡大は止まりません。

 昨日のフランスの新規感染者は、再び?新記録を更新し、58046人を記録しました。

 第2波の現状を重く受け止めているパリは、11月6日から、現在のロックダウンの措置に加えて、22時以降のレストランのテイクアウト・宅配サービスの営業を禁止することを発表しました。

 この規制は、外食をできない人々が家に集まってパーティーをしたりすることを封じ込めるためですが、この22時以降の宅配サービスの禁止でどの程度、効果があるかは疑問です。

 宅配サービスを利用しなくても、いくらでも家でのパーティーは可能です。むしろ、パーティーをしている人の大多数は宅配サービスなど利用していないでしょう

 にも関わらず、このような制限を加えるということは、ロックダウン後、外に出れない人々が家でなかなかの割合でパーティーをしているということで、ロックダウンとはいえ、通報者でもいない限り、家の中にいる人の取り締まりは不可能ですから、このような制限でも追加するしかないのです。

 現に、うちのアパートでも週末の夜などは、なかなか賑やかな声が聞こえてくることも多いので、たしかに家で群れている人は多いのです。

 先日、クリスマスの権利をたてに非常事態宣言の延長が通らずに激怒した保健相オリヴィエ・ヴェランは、昨日、夕刻に、現在のフランスのコロナウィルスの状況についての説明をするために、記者会見を開きました。

 詳細なデータ(数字)の発表に加えて、

・第2波は驚くほど暴力的に感染を広げ、すでにフランス国内の34県では、集中治療室が満床状態であること

・すでに61人の重症患者が他の病院に移送されている状態であること、満床状態の病院からの移送先がなくなってきていること

・ロックダウンをきっちり守らなければ、現在、4230床が埋まっている集中治療室の患者が11月中旬には9000以上に膨れ上がるであろうということ

・集中治療室の患者の4人に1人は生き残れないということ

という内容を発表しました。

 なかでも、衝撃的なのは、「集中治療室に入ったら、4人に1人は助からない」という事実、フランス人は事を難しそうに、理屈っぽく語るのが好きですが、その実、聞く方には大して響いていないことも多く、殊に今回のコロナウィルスの感染状況に関しては、もう数字自体にみんなが麻痺している状態で、一日の感染者数が5万8千人などと言っても、どこかピンと来なくなっているのです。

 ですから、今回のように、「ICUに入ったら、4人に1人は助からない」というような伝え方は、なかなか衝撃的で、(これを聞いていた人がどのくらいいるのかはわかりませんが・・)少なくとも、私は、震え上がりました。

 毎日、3000人近い人がコロナウィルスのために入院し、その1割くらいの人数がICUに入っています。患者はかなり長いことICUでの治療が続けられるので、時間のズレがありますが、今週は、一日平均500人近い人が亡くなっています。

 運よく、集中治療室から生還できたとしても、後遺症に悩まされ、長いことリハビリを続けている人が多いのです。

 どちらにしても、感染して、発症したら、ただでは済まない・・フランス人にはどのくらい響いているかわかりませんが、私には、めちゃくちゃ響いた保健相の会見でした。


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「フランスのコロナウィルス感染 第2波は第1波よりも深刻かもしれない」

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2020年11月5日木曜日

フランスの国会を騒がせる「フランス人のクリスマスを迎える権利」

  


 フランスがコロナウィルスの急激な感染拡大、悪化から、ロックダウンの措置をとってから、まだ一週間も経っていません。当然、その効果は表れておらず、一日の感染者数は、毎日、4万人~5万人の状態、さらに深刻なのは、一日4000人近くの人がコロナウィルスのために入院しており、どんどん患者が蓄積されていく病院の逼迫状態です。

 集中治療室の患者も4000人を突破、フランスの集中治療室のキャパシティは5000床と言われていますから、すでに80%が埋まっていることになります。

 ここのところ、集中治療室の患者は一日200人前後が増加し続けていますから、もう一週間もすれば、満床になってしまいます。

 政府は、この状況を考慮し、非常事態宣言(ロックダウンとは別で、この宣言により、人の移動などの制限を行うことができます)を2021年2月16日まで延長することを提案していました。

 ところが、フランスの議会は、このコロナウィルスが蔓延する危機的状況にも関わらず、「年末の行事は特権的な瞬間」「今後のスケジュールは、すべてのフランス人がクリスマスを家族と過ごすことができるように調整しなければならない」という野党の意見がまかりとおり、投票の結果、非常事態宣言は、12月14日までということになってしまいました。

 現在の状況から考えても、たとえ、12月になって、ロックダウンの効果が表れ始めたとしても、今回の緩めのロックダウンの状況を考えても、また気温の低下によるウィルス自体の活発化することを考えても、到底、第一波のロックダウンを解除した5月のレベルに達することは、ありえません。

 にもかかわらず、フランスの国会議員は、「フランス人には、クリスマスの行事を行う特別な権利がある」とか、「クリスマスを家族と過ごせるように衛生管理のスケジュールを組むべき」などということを何ら憚ることなく発言し、あろうことかにその意見に多数が同調して、その意見が通ってしまうという驚愕の国なのです。

 フランス人は何よりバカンスを大事にし、バカンスのために生きているようなところがありますが、そのバカンスの次に大切なのが「ノエル」「クリスマス」なのです。

 しかし、ロックダウン解除後にみんながバカンスに出た結果が今の爆発的な感染拡大、そして、2回目のロックダウンを迎えて、まだ数日しか経っていないというのに、国会でどうどうとまかり通ってしまう「クリスマスを家族と過ごす権利」なのです。

 これには、政府側、厚生大臣のオリヴィエ・ヴェランは大激怒。

 「自分が今日、視察してきた病院では、コロナウィルスと戦っている医療者のこれまでの自分を犠牲にしての戦いの経過を聞いてきました。いくつかの集中治療室も訪れました。一つ目の部屋には28歳の男性が、2つ目の部屋には、35歳の男性が意識不明でたくさんのチューブと呼吸器に繋がれて横たわっていました。感染の悪化は高齢者だけのことではありません!これが今のフランスの現実なのです!このような状況で12月半ばに国民に不安定なスケジュールを提示することはしたくありません!」日ごろは、あまり声を荒げることのない彼の怒りの爆発が話題になりました。

 ここ数年のフランスを見ていると、黄色いベスト運動しかり、ストライキしかり、あまりに強すぎる「フランス人の権利の主張」が経済を停滞させ、今回は、コロナウィルスの2度にわたる危機的な感染拡大を招いています。

 コロナウィルスの感染第2波に関しては、ヨーロッパ全土に広がってはいますが、その中でも、特にフランスの感染拡大が著しいのは、この強すぎるフランス人の権利の主張が影響していると思わざるを得ないのです。

 国民がバカンスを過ごす権利を尊重して、感染を再拡大させ、さらに、クリスマスを家族と過ごす権利がまかり通ってしまうフランスに制御不能状態の危機の一旦を再び垣間見る気がするのです。

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「二週間しか行かないの? フランス人のバカンス感覚」

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「夏のバカンスに突入するフランス TGV予約状況は、ほぼ例年どおり」

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「バカンスを何よりも優先するフランス人 フランスに Go Toキャンペーンはいらない」

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2020年11月4日水曜日

フランスの再ロックダウンさなかの買い物

 

営業許可は下りてもガラガラの電気店

   

 今回は、ロックダウンになるだろうな・・ということが、けっこう前から、事前に予想できていたので、前もって少しずつ買い物をしていました。だから、おそらく、一ケ月くらいは、買い物に行かなくてもいいだろうな・・と思っていたのです。

 ところが、よりにもよって、予想外の事態がおこってしまったのです。

 ポニョ(我が家のツンデレ猫)がパソコンにお茶をこぼして、パソコンが故障してしまったのです。ポニョとて、わざとではないのはわかっているし、パソコンの近くにお茶をおきっぱなしにしていた私が悪いのですが、今は、よりにもよって、ロックダウン中でもあり、(ロックダウンではなくても今はなんでもネット頼りの私の生活)パソコンがない生活など考えられず、呆然としたのでした。

 前回のロックダウンの際は、ネットサービス自体が2日近く不通になりましたが、あの時は、私ができることは何もなく、ひたすら、ネットの復旧を待ったのですが、今回はパソコンの故障、携帯や iPadなどがあるので、まるで世界から遮断されたわけではありませんが、こうして、いざ故障となると、日ごろ、どれだけパソコンを使っているのかをあらあめて思い知らされるわけです。

 今回のロックダウンは、通信機器などのお店はやっているとのことだったので、一体、他も、どんなお店がやっているのか?と興味もあって、さっそく近所のコマーシャルセンターをのぞきに行ってきました。たしか、カーフールにも、以前は、パソコンあったな・・と思いながら・・。

 まずは、電化製品を扱っているお店へ・・。確か、パソコンも携帯電話も扱っているから、開いているはず・・案の定、他のカフェや洋服屋さんが真っ暗に門を閉ざして閉まっている中、ひっそりと?開店していました。

 しかし、ロックダウン中の限られた買い物の時間に、わざわざ電化製品を買う客など、そうそういるものでもありません。案の定、店内はガラガラ・・パソコンとて、そんなに種類があるわけでもなく、一回りして、即、退店。

 ついでに、以前はたしかパソコンも扱っていた・・と思い、一応、カーフールものぞいてみました。生活必需品とそうでないものについての境界線についても、すったもんだの挙句にスーパーマーケットの中の生活必需品ではないもののコーナーは、火曜日から閉鎖されることになっていたので、ほんとに閉鎖されているのかな?と、ちょっと興味もあったのです。

通常となんら変わりのないカーフールのおもちゃ売り場


 残念ながら、店内の工事のためにパソコンの扱いはなくなっていましたが、子供のおもちゃのコーナー、食器類などは、普段となんら変わらず、オープンされたまま・・・。

 撤去、せめて、進入禁止のテープぐらいは、貼られているかと思ったのですが、いつもと全く変わることなく、お客さんも普通に買い物をしていました。

 だいたい、進入禁止のテープが貼ってあったとしても、お客はくぐって物色し、レジに持って行けば、結局のところは、買うことができるだろう・・そんな風に思っていたのですが、想像を超えていました。

 火曜日から禁止になったのだから、火曜日から少しずつ、準備すればいい・・もしくは、注意されるまでは、ギリギリでも販売しようと思っているのでしょう。

 日本だったら、火曜日から禁止となったら、是が非でも、お店側もきっちりと規則を守るだろうし、下手をするとお客さんの側から、「禁止されているのに、あの店は・・」などと、クレームが入ったり、通報されたりしかねません。

 なにか、規則が決まっても、すぐに従わない、何につけてもゆるゆるなフランス。こういう一つ一つのことの積み重ねで、感染も拡大し、社会も混乱していきます。

 結局、罰則、罰金が敷かれるまで、規則も、ズルズルと徹底されないのです。

 不公平感是正のために敷かれたこの規則、キッチリと門を閉ざさざるを得ない店は、ますます不公平感を募らせることでしょう。

 結局のところ、わざわざ買い物にでかけた私のお目当てであったパソコンもあまり品揃えがなくて、ネットで買うことにしました。

 せっかく営業許可がおりているお店でも、結局のところは、お客さんは、ネットで買い物・・そんなケースも少なくないんだろうな・・と思っています。だって、ネットなら、選択肢もやまほどあって、レビューなども見れて、しかも値段も安い。

 お店は、ちょっと実際に触ってみたい人のためのショールームのようです。それでさえ、フランスではサービスが悪いので、ショールームの役割もあまり果たしません。

 このコロナ危機の前から、買い物はネットに移行しつつあるのですから、今は、店舗を持っている人は、リスクだらけです。

 ほかに開店していたのは、メガネ屋さん、携帯電話・ネットサービスのお店、ファストフードのお店だけでした。言われてみれば、メガネも生活必需品、しかし、だからといって、お客さんがたくさんいるのは、カーフールくらい・・しかし、そもそも、今はロックダウン中なのだから、仕方がありません。

  

携帯・ネットを扱う店舗は、盛況




悲しいほどピカピカなメガネ屋さん 誰もいない


 今回は、前回のようにほぼすべてが閉ざされたロックダウンではないため、緊張感がないと言われていますが、まさにそのとおり。国民に緊張感はないのに、閉店だけを余儀なくされている店舗の憤りもわからないでもありません。

 しかも、どの業界も同じですが、ノエル前の書き入れ時、おもちゃ業界などは、一年の売り上げの半分以上をこの時期に稼ぐと言われています。

 それにしても、私にとっては、予想外の出費・・みなさま、パソコンの水没事故には十分にご注意下さい。


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フランスのロックダウン突入 営業許可と営業禁止の境界線

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2020年11月3日火曜日

ロックダウンが耐えられないのはフランスだけではないらしい

   

オーストリアで起こったテロの模様


 フランスで、ロックダウンによる抑圧に耐えかねて、次から次へと暴力的な事件が起こっていると思ったら、スペインなど、他のヨーロッパ諸国でも、ロックダウン反対のデモや暴動が起こっているようで、ロックダウンに耐えられないのは、フランスだけではないのだと、驚いています。

 思えば、ヨーロッパでは、これまでも、マスクの着用でさえ、反対のデモがいくつも起こっていたので、ましてやロックダウンとなれば、それも当然あり得る話なのかもしれません。

 そして、昨日、オーストリアで起こったのは、デモというより、もはやテロ・・銃などの武器が使われ、死傷者まで出て、もはや、フランスで起こっているイスラム教などの宗教がらみのものなのか? はっきりとしたことは、現在のところは、わかっていません。

  オーストリアでは、ロックダウン前日の夜の出来事で、最後の自由な夜を楽しむ人がレストランやカフェのテラスには大勢いて、突然の街中での銃撃にパニック状態になりました。

 銃撃は、時間差を置いて、数カ所で起こった計画的と思われる犯行で、その犯行の性質から、単なるロックダウン反対の動きとは、考えにくいのですが、いずれにしても、パンデミックによる混乱に乗じたものではありそうです。

 さすがに、ここまでのテロ行為には、ヨーロッパ中が大騒ぎで、マクロン大統領はもちろんヨーロッパ各国の首脳は、ヨーロッパとしての協力体制をとるという声明を直ちにそれぞれが発表しています。

 ヨーロッパ全体でのコロナウィルス感染第2波で混乱の最中に、それぞれ感染をなんとか阻止しようと躍起になって対応に追われる中、反発は、あらゆる形で表れ、もはや、このような事件は、いつどの国で同じことが起こってもおかしくないような状況なのです。

 フランスでは、ここ1ヶ月の間にいくつものテロが起こっていますし、昨日もトゥーサンのバカンス明け、ロックダウン中に再開した学校も先日、テロにより殺された教師の追悼から始まったと思ったら、また今度は、それに反抗する一部の学生が、教師に向けて、硫酸を投げつけて逮捕されたり、波乱含みの学校再開となりました。

 ヨーロッパは、コロナウィルス感染第2波に見舞われ、続々とロックダウンに踏み切り始め、感染者も急増し続け、混乱状態にありますが、この社会的な混乱状態がさらに、暴力的、攻撃的な輩の感情に火をつけています。

 また、表現の自由についての講義を担当した教師がテロにより殺害されたことに端を発したマクロン大統領の発言により、イスラム教国の多くで反フランスのデモやフランス製品の不買運動などが、かなり過激な形で広がっています。

 マクロン大統領は、テロ行為は絶対に許せない、フランスでは、表現の自由は認められるべきもので、表現することは、我々の権利でもある。表現の内容に関して、フランスは抑えつけることはできない。内容に関して、反論があるならば、あくまで話し合いをするべきだと言っているのです。

 このマクロンの発言は、フランスらしい、あくまで自分たちの権利を全面に主張するやり方、その表現により、傷つく人々への歩み寄りや思いやりが、まるで感じられません。もちろん、だからと言って、テロ行為が正当化されることは絶対にありませんが、彼の発言の仕方は、間違いなく、多くの人の怒りに火をつけています。

 今は、何よりもコロナウィルスの感染をどうにか抑えなければならない時、多くの人の感情に火がつきやすい状況。

 今、ヨーロッパで起こっているテロの全てが同じ目的のものかどうかは別として、此の期に及んで、自分の権利を全面に出した主張で人の怒りを煽ることは、どう考えても得策ではありません。

 コロナウィルスは宗教や思想は関係なく、すべての人を襲う、今のところ、向かうところ敵なしの強敵なのです。

 人間同士が争っている場合ではないのです。



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「ロックダウン中のDV 心理学的に強い強制への反発心 ストレスに弱いフランス人」

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2020年11月2日月曜日

再ロックダウンが完全なロックダウンではないことから生まれる混乱


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パリ郊外・サルトルビル(イル・ド・フランス)で放火されたバス


 フランスは、再ロックダウンとはいえ、今回のロックダウンは、前回のロックダウンとは、かなり違うスタイルのロックダウンで、前回のロックダウン時には、本当に街は静かで、人が出歩いているのを見かけることも稀なくらいだったのに比べると、今回のロックダウンは、ずっとたくさんの人が街に出ています。

 もちろんレストランやカフェなどは、テイクアウトや宅配のみの営業とはいえ、それができている店舗は少なく、ほとんど閉鎖状態ですが、以前は生活必需品、主に食料品、医薬品を扱う店舗のみの営業だったのに比べて、情報機器、電化製品、ガーデンセンター、DIYショップなどのちょっと生活必需品かどうかの境界線がつきにくい店舗の営業が許可されています。

 当然、生活必需品かどうかということだけでなく、営業することによって、感染が懸念されるかどうかという観点から、危険はないだろうということで、営業許可を求める小売店の声があとを絶ちません。

 この不公平感是正のために、なんと、大型スーパーマーケットなどで扱っている生活必需品ではない商品のコーナーは3日(火)から閉鎖されることが発表されました。思わず、そっち??(すでに営業している店のコーナーを閉める?)と思いましたが、後を絶たない営業許可を求める声を封じるには、手っ取り早い方策なのかもしれません。

 前回は、閉鎖されていた学校も(昨日までは、トゥーサンのバカンスでした)再開されます。本日から1200 万人の学生が登校します。(学校では6歳以上からマスクが義務化)フランスの場合、小学生には、送り迎えの保護者も登下校の際には付き添うので、実際には、保護者も含めるとその1.5倍くらいの人が街に出ます。

 これだけの学生・保護者が普通に登下校すれば、街中の様子は、前回のロックダウンとは随分と違ったものになり、当然、緊張感も緩むことでしょう。

 まだ、再ロックダウンになってから3日しか経っていないにも関わらず、相次ぐテロに加えて、ロックダウンという事態に耐えられない、受け入れられないと思われる人の暴力行為が後を経ちません。

 昨日は、カンヌで取り締まりに当たっていた警官がハンマーで頭を殴られ重症。モンペリエでは、黒い服を着た約10人ほどの銃撃事件が発生(ドラッグを巡る抗争と見られています)。そして、パリ郊外、サルトルビル(イブリンヌ・イル・ド・フランス)では、回送中のバスから運転手が引き摺り下ろされ、バスが放火・・明らかに病んでいると思われる人々が急増し、フランス・・どうしちゃったの??大丈夫かな??と心配になります。

 辛抱強い日本人に比べて、明らかにメンタルが弱いフランス人。抑圧されたり、制限されたり、緊張状態に耐えられない人が多いです。前回のように、全く外に出られないという状態ではなく、仕事も学校も継続され、街には結構、人が出ている状態では、網の目を潜って、このようにメンタルが崩壊してしまった人も街に出て、何かしら事を起こします。

 コロナウィルスの原因を中国人だとして、中国人(アジア人)攻撃を企む人々も同じです。

 メンタル弱めで、我慢ができずに何かと爆発して暴れるのは、多かれ少なかれ、フランス人に共通する傾向です。

 たしかに、3月から2ヶ月間近くは、ロックダウン状態でしたが、夏の間は、多くの人が、バカンスに出て、充分に楽しんだではないですか? その結果が今なのです。とりあえず、ここ1ヶ月くらいのロックダウン(しかも、完全なロックダウンでもない)、我慢ができないのか? 甘ったれるな!いい加減にしろ!と腹立たしい気持ちです。

 政府は、もっと、現在の深刻な状況を具体的にわかりやすく国民に説明し、何のために今、ロックダウンをしなければならないのかを国民に納得させなければなりません。

 再ロックダウンを発表した際は、「このロックダウンを乗り切って、何とか家族でノエル(クリスマス)を迎えられるように祈っています」などと言っていた政府も、早くも「今年のノエルは、いつものノエルと同じようには過ごせない」と言い始めました。

 そんなことは、最初からわかっていたことで、どの時点でよし(ロックダウン解除)とするのかは別として、この再ロックダウンも到底1ヶ月のみで終わるとは思えません。冬の間(気温が下がっているからこそ起こっている感染拡大でもありますが・・)のしかも、フランス人にとってバカンスの次に大切なノエルを過ごす権利を脅かされたフランス人のメンタル崩壊が今から心配です。


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2020年11月1日日曜日

コロナウィルスによる中国人・アジア人種差別再燃 「アジア人狩り」

 


 

 2度めとはいえ、「ロックダウン」という国全体の一大事と言える事態が起こって、本来ならば、ニュースは、ロックダウン一色になっているだろうタイミングで、フランスでは、毎日、ロックダウンのニュースを塗り替えるような出来事がここ数日、次から次へと起こっています。

 近々では、パリ郊外で起こった、表現の自由の講義を担当していた教師が路上で首を掻き切られて殺されたり、ニースのカトリックの教会内で祈りを捧げていた信者3名が刺し殺されたり、昨日は、リヨンのギリシャ正教会の司祭が銃で打たれるという事件が起こりました。

 いずれも、イスラム過激派によるテロと見られていますが、物騒なこと極まりありません。

 表現の自由に対する暴力的な抵抗、反抗、テロ行為は、絶対に許されないことは、大前提ではありますが、表現の自由とはいえ、人を傷つけるほどの表現は、ある程度、考慮されるべきであると思います。

 しかも、昨日はすでにロックダウン下の出来事で、街中は、通常以上に警察の取り締まりが多いはずで、このようなテロリストが教会内に普通に侵入できることからも、いかに今回のロックダウンの中、かなりの人が街を往来している状況であるかがわかるような気がします。

 とはいえ、別にテロ対策のためのロックダウンではないわけで、警戒するとは言っても、こうテロ事件が全国的に散らばって起こっていては、警戒にも限界があります。

 コロナウィルスを警戒し、テロを警戒し、警戒だらけのフランスです。

 そして、もう一つ、警戒しなければならない動きは、SNS上で「すべての中国人(アジア人)を攻撃せよ!」という呼びかけが起こっていることです。

「アジア人狩り」の呼びかけです。

 フランスでは、今年、2月にコロナウィルスが広がり始めた頃に、すでに、中国人差別、アジア人差別問題が起こっており、メトロの中、街中などでも、アジア人がコロナウィルス扱いされて、暴言を吐かれたり、時には暴力を振るわれたりした事件が相次いだのですが、ここへ来て、その動きが再燃しているようです。

 「すべての中国人を攻撃せよ!」という呼びかけと同時に、「アジア人は、最大限の注意を払ってください!そして、あなたがもしもアジア人でないならば、あなたの周りの隣人を見守ってください!」という呼びかけも同時に広まっています。

 ほとんどのフランス人(ヨーロッパの人)から見れば、中国人も他のアジアの国の人も区別はできないため、差別となれば、十把一絡げに差別されるわけです。実際に襲われて被害にあった中国人が傷だらけになった自分の顔をSNSに挙げたりもしています。

 この「アジア人狩り」の動きに関しては、パリ検察庁が調査を開始しています。問題のおおもととなったと思われるツイートは、すでに削除されていますが、このような動きが存在していることに代わりはありません。

 残念なことですが、フランスに差別は存在します。平常時には表面化しにくいものの、このようなパンデミックの異常事態が長く続き、抑圧された生活や経済危機が続くことにより、日頃は表面化しない差別が浮上します。

 鬱屈した感情を異人種に向けての憎悪として発散し、感染拡大の原因を責任転嫁し、スケープゴートを探して、行き場のない感情を爆発させようとするのです。もちろん、すべての人がこのような感情を持っているわけでもなく、ごく一部の人たちの行為ではあるものの、その一部の人に遭遇する機会がいつやってくるかはわかりません。

 恐ろしいこと極まりありません。ある程度、この種のゴロツキとも思われる人々の多いと思われる地域などには、行かないようにするか、フランス人と行動を共にするように心がけるとか、できる対策は限られています。

 もっとも、今は、ほとんど外を出歩けないので、危険も少ないとは思いますが、このパンデミックがおさまるまでは、ずっと続く恐怖です。

 コロナウィルスの陽性率は現在20%というフランス。5人に一人は感染者という状況で、感染する恐怖、テロの恐怖、加えて「アジア人狩り」にあう恐怖。

 強制されなくとも当分、ロックダウンします。



アジア人狩り


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「「災害に免疫のないフランス人がパニックになり、アジア人全体を傷つけている」


2020年10月31日土曜日

フランスのロックダウン突入 営業許可と営業禁止の境界線

 

  Fnac  (Photo d'illustration)


 フランスのロックダウンが俄かに現実味を帯びて、囁かれ始めてから、一週間も経たないうちに、あっという間に、フランスは、再びロックダウン状態に突入しました。いつ、ロックダウンになってもおかしくない状況だと思いつつも、いざ、実際にロックダウンになるのは、やはり、残念なことに違いありません。

 だって、少なくとも、11月一ヶ月は、まるまるロックダウンなのですから・・。

 ロックダウン寸前の数日は、皆が買い物に走ったり、冬ごもり支度をするような動きはありましたが、ロックダウンも2回目ということで、パリでは、一部のお店が混雑したり、行列ができたりしたものの、前回のようなパニック状態にはならずに、皆、淡々と準備を進めるという感じでした。

 実際に、今回のロックダウンでは、学校も継続され、基本的には、仕事も継続されるため、家族で狭いアパートで一日中、ぎゅうぎゅうに、悶々と過ごすということもなく、何より子供が学校に行ってくれることで、家族4〜5人分の昼食を含めた一日3食の食事の支度全てを家でする必要がないので、食料品の買い物なども、大幅に違ってくると思われますし、精神的、金銭的な負担も少ないのではないかと思います。

 まだ、一日しか経っておらず、これからどんなことが起こってくるのか、わかりませんが、街の様子を眺めるに、街中は前回のようなシンとした感じはなく、意外と皆が外に出ている・・そんな印象を受けました。

 私は、ロックダウンの初日、本当は、歯医者さんの予約が入っていたのですが、出かけようとしていたら、急に電話で、今日は、閉めなくてはならなくなったから、来週に予約を変更してほしいと連絡が入り、医者には、行けるはずなのに、今日は閉鎖・・何だろう?と、ちょっと不可解でした。

 今回は、仕事や学校の継続や、公共行政機関の継続、公園の解放など、ロックダウンとはいえ、前回のロックダウンに比べると、若干、緩いロックダウンではあります。基本的に、生活必需品以外の商店は、閉鎖ということになってはいますが、これにも営業許可と営業禁止の境界線が不明瞭な点があり、ちょっとした論争が生まれています。

 Fnac・フナック(フランスの書籍、情報機器、電化製品等を扱う総合小売店)などは、店舗は営業していますが、書籍コーナーは閉めています。その他、ガーデンセンター、DIYショップなども営業を継続しています。この一見、生活必需品か否かの区別がつきにくい店舗の営業により、不公平感を抱く店主が少なからずいて、特に、特別警戒地域ではなかった地域などの市長などが、店舗の営業許可を求めて、論争を起こし始めています。

 私のところにも、さっそくメガネ屋さんからメールが届きました。「うちは、開けてますよ〜!」っていうメール。どうやらメガネ屋さんは営業できるようです。

 だいたい、フランスは、コロナの前からデモだのテロだのストライキだの、昨年末からまともに営業できないお店が多かったのです。

 とにかく黙って引き下がらないフランス人ですが、本来ならば、ノエル(クリスマス)前の一年のうちでも最も書き入れ時のシーズン、なんとか少しでも挽回しようと必死になるのもわからないではありません。

 この営業許可と営業禁止の境界線を巡っては、今後、ロックダウン中にひと騒動を迎えそうな気がしています。

 政府は、これに対して、とりあえず、ロックダウンから2週間、様子を見て、営業許可ができるような状況であれば、検討するとしていますが、先日のマクロン大統領の発表によれば、11月の半ばには、感染状況は、かなりの危機的な局面を迎えることが予想されており、現段階での営業許可範囲を拡げることは、ロックダウン自体の意味が揺るぐことにもなりかねません。

 とはいえ、一般市民としては、前回よりは、少し、慣れたこともあり、また、規制が少し緩いこともあり、少しは、凌ぎやすそうなロックダウン、一日、一時間の自宅から1km圏内の運動目的の外出も外出許可証さえ携帯すれば可能だし、また、公園に多くの人が集まって、やはり、公園は立ち入り禁止・・なんてことにならなければ、前回ほどの鬱屈した感じにはならないかもしれません。

 ただし、妙な慣れから調子に乗って、現在、許されていることが、明日には禁止事項になる可能性も高いフランス。ほどほどに息抜きしながら、なんとか、一日も早く、感染がおさまってくれるのを待ちたいと思います。


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「コロナウィルス対策の外出禁止 パリでは、日中の運動のための外出も禁止」

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