2020年11月4日水曜日

フランスの再ロックダウンさなかの買い物

 

営業許可は下りてもガラガラの電気店

   

 今回は、ロックダウンになるだろうな・・ということが、けっこう前から、事前に予想できていたので、前もって少しずつ買い物をしていました。だから、おそらく、一ケ月くらいは、買い物に行かなくてもいいだろうな・・と思っていたのです。

 ところが、よりにもよって、予想外の事態がおこってしまったのです。

 ポニョ(我が家のツンデレ猫)がパソコンにお茶をこぼして、パソコンが故障してしまったのです。ポニョとて、わざとではないのはわかっているし、パソコンの近くにお茶をおきっぱなしにしていた私が悪いのですが、今は、よりにもよって、ロックダウン中でもあり、(ロックダウンではなくても今はなんでもネット頼りの私の生活)パソコンがない生活など考えられず、呆然としたのでした。

 前回のロックダウンの際は、ネットサービス自体が2日近く不通になりましたが、あの時は、私ができることは何もなく、ひたすら、ネットの復旧を待ったのですが、今回はパソコンの故障、携帯や iPadなどがあるので、まるで世界から遮断されたわけではありませんが、こうして、いざ故障となると、日ごろ、どれだけパソコンを使っているのかをあらあめて思い知らされるわけです。

 今回のロックダウンは、通信機器などのお店はやっているとのことだったので、一体、他も、どんなお店がやっているのか?と興味もあって、さっそく近所のコマーシャルセンターをのぞきに行ってきました。たしか、カーフールにも、以前は、パソコンあったな・・と思いながら・・。

 まずは、電化製品を扱っているお店へ・・。確か、パソコンも携帯電話も扱っているから、開いているはず・・案の定、他のカフェや洋服屋さんが真っ暗に門を閉ざして閉まっている中、ひっそりと?開店していました。

 しかし、ロックダウン中の限られた買い物の時間に、わざわざ電化製品を買う客など、そうそういるものでもありません。案の定、店内はガラガラ・・パソコンとて、そんなに種類があるわけでもなく、一回りして、即、退店。

 ついでに、以前はたしかパソコンも扱っていた・・と思い、一応、カーフールものぞいてみました。生活必需品とそうでないものについての境界線についても、すったもんだの挙句にスーパーマーケットの中の生活必需品ではないもののコーナーは、火曜日から閉鎖されることになっていたので、ほんとに閉鎖されているのかな?と、ちょっと興味もあったのです。

通常となんら変わりのないカーフールのおもちゃ売り場


 残念ながら、店内の工事のためにパソコンの扱いはなくなっていましたが、子供のおもちゃのコーナー、食器類などは、普段となんら変わらず、オープンされたまま・・・。

 撤去、せめて、進入禁止のテープぐらいは、貼られているかと思ったのですが、いつもと全く変わることなく、お客さんも普通に買い物をしていました。

 だいたい、進入禁止のテープが貼ってあったとしても、お客はくぐって物色し、レジに持って行けば、結局のところは、買うことができるだろう・・そんな風に思っていたのですが、想像を超えていました。

 火曜日から禁止になったのだから、火曜日から少しずつ、準備すればいい・・もしくは、注意されるまでは、ギリギリでも販売しようと思っているのでしょう。

 日本だったら、火曜日から禁止となったら、是が非でも、お店側もきっちりと規則を守るだろうし、下手をするとお客さんの側から、「禁止されているのに、あの店は・・」などと、クレームが入ったり、通報されたりしかねません。

 なにか、規則が決まっても、すぐに従わない、何につけてもゆるゆるなフランス。こういう一つ一つのことの積み重ねで、感染も拡大し、社会も混乱していきます。

 結局、罰則、罰金が敷かれるまで、規則も、ズルズルと徹底されないのです。

 不公平感是正のために敷かれたこの規則、キッチリと門を閉ざさざるを得ない店は、ますます不公平感を募らせることでしょう。

 結局のところ、わざわざ買い物にでかけた私のお目当てであったパソコンもあまり品揃えがなくて、ネットで買うことにしました。

 せっかく営業許可がおりているお店でも、結局のところは、お客さんは、ネットで買い物・・そんなケースも少なくないんだろうな・・と思っています。だって、ネットなら、選択肢もやまほどあって、レビューなども見れて、しかも値段も安い。

 お店は、ちょっと実際に触ってみたい人のためのショールームのようです。それでさえ、フランスではサービスが悪いので、ショールームの役割もあまり果たしません。

 このコロナ危機の前から、買い物はネットに移行しつつあるのですから、今は、店舗を持っている人は、リスクだらけです。

 ほかに開店していたのは、メガネ屋さん、携帯電話・ネットサービスのお店、ファストフードのお店だけでした。言われてみれば、メガネも生活必需品、しかし、だからといって、お客さんがたくさんいるのは、カーフールくらい・・しかし、そもそも、今はロックダウン中なのだから、仕方がありません。

  

携帯・ネットを扱う店舗は、盛況




悲しいほどピカピカなメガネ屋さん 誰もいない


 今回は、前回のようにほぼすべてが閉ざされたロックダウンではないため、緊張感がないと言われていますが、まさにそのとおり。国民に緊張感はないのに、閉店だけを余儀なくされている店舗の憤りもわからないでもありません。

 しかも、どの業界も同じですが、ノエル前の書き入れ時、おもちゃ業界などは、一年の売り上げの半分以上をこの時期に稼ぐと言われています。

 それにしても、私にとっては、予想外の出費・・みなさま、パソコンの水没事故には十分にご注意下さい。


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フランスのロックダウン突入 営業許可と営業禁止の境界線

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/10/blog-post_31.html


2020年11月3日火曜日

ロックダウンが耐えられないのはフランスだけではないらしい

   

オーストリアで起こったテロの模様


 フランスで、ロックダウンによる抑圧に耐えかねて、次から次へと暴力的な事件が起こっていると思ったら、スペインなど、他のヨーロッパ諸国でも、ロックダウン反対のデモや暴動が起こっているようで、ロックダウンに耐えられないのは、フランスだけではないのだと、驚いています。

 思えば、ヨーロッパでは、これまでも、マスクの着用でさえ、反対のデモがいくつも起こっていたので、ましてやロックダウンとなれば、それも当然あり得る話なのかもしれません。

 そして、昨日、オーストリアで起こったのは、デモというより、もはやテロ・・銃などの武器が使われ、死傷者まで出て、もはや、フランスで起こっているイスラム教などの宗教がらみのものなのか? はっきりとしたことは、現在のところは、わかっていません。

  オーストリアでは、ロックダウン前日の夜の出来事で、最後の自由な夜を楽しむ人がレストランやカフェのテラスには大勢いて、突然の街中での銃撃にパニック状態になりました。

 銃撃は、時間差を置いて、数カ所で起こった計画的と思われる犯行で、その犯行の性質から、単なるロックダウン反対の動きとは、考えにくいのですが、いずれにしても、パンデミックによる混乱に乗じたものではありそうです。

 さすがに、ここまでのテロ行為には、ヨーロッパ中が大騒ぎで、マクロン大統領はもちろんヨーロッパ各国の首脳は、ヨーロッパとしての協力体制をとるという声明を直ちにそれぞれが発表しています。

 ヨーロッパ全体でのコロナウィルス感染第2波で混乱の最中に、それぞれ感染をなんとか阻止しようと躍起になって対応に追われる中、反発は、あらゆる形で表れ、もはや、このような事件は、いつどの国で同じことが起こってもおかしくないような状況なのです。

 フランスでは、ここ1ヶ月の間にいくつものテロが起こっていますし、昨日もトゥーサンのバカンス明け、ロックダウン中に再開した学校も先日、テロにより殺された教師の追悼から始まったと思ったら、また今度は、それに反抗する一部の学生が、教師に向けて、硫酸を投げつけて逮捕されたり、波乱含みの学校再開となりました。

 ヨーロッパは、コロナウィルス感染第2波に見舞われ、続々とロックダウンに踏み切り始め、感染者も急増し続け、混乱状態にありますが、この社会的な混乱状態がさらに、暴力的、攻撃的な輩の感情に火をつけています。

 また、表現の自由についての講義を担当した教師がテロにより殺害されたことに端を発したマクロン大統領の発言により、イスラム教国の多くで反フランスのデモやフランス製品の不買運動などが、かなり過激な形で広がっています。

 マクロン大統領は、テロ行為は絶対に許せない、フランスでは、表現の自由は認められるべきもので、表現することは、我々の権利でもある。表現の内容に関して、フランスは抑えつけることはできない。内容に関して、反論があるならば、あくまで話し合いをするべきだと言っているのです。

 このマクロンの発言は、フランスらしい、あくまで自分たちの権利を全面に主張するやり方、その表現により、傷つく人々への歩み寄りや思いやりが、まるで感じられません。もちろん、だからと言って、テロ行為が正当化されることは絶対にありませんが、彼の発言の仕方は、間違いなく、多くの人の怒りに火をつけています。

 今は、何よりもコロナウィルスの感染をどうにか抑えなければならない時、多くの人の感情に火がつきやすい状況。

 今、ヨーロッパで起こっているテロの全てが同じ目的のものかどうかは別として、此の期に及んで、自分の権利を全面に出した主張で人の怒りを煽ることは、どう考えても得策ではありません。

 コロナウィルスは宗教や思想は関係なく、すべての人を襲う、今のところ、向かうところ敵なしの強敵なのです。

 人間同士が争っている場合ではないのです。



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「ロックダウン中のDV 心理学的に強い強制への反発心 ストレスに弱いフランス人」

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2020年11月2日月曜日

再ロックダウンが完全なロックダウンではないことから生まれる混乱


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パリ郊外・サルトルビル(イル・ド・フランス)で放火されたバス


 フランスは、再ロックダウンとはいえ、今回のロックダウンは、前回のロックダウンとは、かなり違うスタイルのロックダウンで、前回のロックダウン時には、本当に街は静かで、人が出歩いているのを見かけることも稀なくらいだったのに比べると、今回のロックダウンは、ずっとたくさんの人が街に出ています。

 もちろんレストランやカフェなどは、テイクアウトや宅配のみの営業とはいえ、それができている店舗は少なく、ほとんど閉鎖状態ですが、以前は生活必需品、主に食料品、医薬品を扱う店舗のみの営業だったのに比べて、情報機器、電化製品、ガーデンセンター、DIYショップなどのちょっと生活必需品かどうかの境界線がつきにくい店舗の営業が許可されています。

 当然、生活必需品かどうかということだけでなく、営業することによって、感染が懸念されるかどうかという観点から、危険はないだろうということで、営業許可を求める小売店の声があとを絶ちません。

 この不公平感是正のために、なんと、大型スーパーマーケットなどで扱っている生活必需品ではない商品のコーナーは3日(火)から閉鎖されることが発表されました。思わず、そっち??(すでに営業している店のコーナーを閉める?)と思いましたが、後を絶たない営業許可を求める声を封じるには、手っ取り早い方策なのかもしれません。

 前回は、閉鎖されていた学校も(昨日までは、トゥーサンのバカンスでした)再開されます。本日から1200 万人の学生が登校します。(学校では6歳以上からマスクが義務化)フランスの場合、小学生には、送り迎えの保護者も登下校の際には付き添うので、実際には、保護者も含めるとその1.5倍くらいの人が街に出ます。

 これだけの学生・保護者が普通に登下校すれば、街中の様子は、前回のロックダウンとは随分と違ったものになり、当然、緊張感も緩むことでしょう。

 まだ、再ロックダウンになってから3日しか経っていないにも関わらず、相次ぐテロに加えて、ロックダウンという事態に耐えられない、受け入れられないと思われる人の暴力行為が後を経ちません。

 昨日は、カンヌで取り締まりに当たっていた警官がハンマーで頭を殴られ重症。モンペリエでは、黒い服を着た約10人ほどの銃撃事件が発生(ドラッグを巡る抗争と見られています)。そして、パリ郊外、サルトルビル(イブリンヌ・イル・ド・フランス)では、回送中のバスから運転手が引き摺り下ろされ、バスが放火・・明らかに病んでいると思われる人々が急増し、フランス・・どうしちゃったの??大丈夫かな??と心配になります。

 辛抱強い日本人に比べて、明らかにメンタルが弱いフランス人。抑圧されたり、制限されたり、緊張状態に耐えられない人が多いです。前回のように、全く外に出られないという状態ではなく、仕事も学校も継続され、街には結構、人が出ている状態では、網の目を潜って、このようにメンタルが崩壊してしまった人も街に出て、何かしら事を起こします。

 コロナウィルスの原因を中国人だとして、中国人(アジア人)攻撃を企む人々も同じです。

 メンタル弱めで、我慢ができずに何かと爆発して暴れるのは、多かれ少なかれ、フランス人に共通する傾向です。

 たしかに、3月から2ヶ月間近くは、ロックダウン状態でしたが、夏の間は、多くの人が、バカンスに出て、充分に楽しんだではないですか? その結果が今なのです。とりあえず、ここ1ヶ月くらいのロックダウン(しかも、完全なロックダウンでもない)、我慢ができないのか? 甘ったれるな!いい加減にしろ!と腹立たしい気持ちです。

 政府は、もっと、現在の深刻な状況を具体的にわかりやすく国民に説明し、何のために今、ロックダウンをしなければならないのかを国民に納得させなければなりません。

 再ロックダウンを発表した際は、「このロックダウンを乗り切って、何とか家族でノエル(クリスマス)を迎えられるように祈っています」などと言っていた政府も、早くも「今年のノエルは、いつものノエルと同じようには過ごせない」と言い始めました。

 そんなことは、最初からわかっていたことで、どの時点でよし(ロックダウン解除)とするのかは別として、この再ロックダウンも到底1ヶ月のみで終わるとは思えません。冬の間(気温が下がっているからこそ起こっている感染拡大でもありますが・・)のしかも、フランス人にとってバカンスの次に大切なノエルを過ごす権利を脅かされたフランス人のメンタル崩壊が今から心配です。


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2020年11月1日日曜日

コロナウィルスによる中国人・アジア人種差別再燃 「アジア人狩り」

 


 

 2度めとはいえ、「ロックダウン」という国全体の一大事と言える事態が起こって、本来ならば、ニュースは、ロックダウン一色になっているだろうタイミングで、フランスでは、毎日、ロックダウンのニュースを塗り替えるような出来事がここ数日、次から次へと起こっています。

 近々では、パリ郊外で起こった、表現の自由の講義を担当していた教師が路上で首を掻き切られて殺されたり、ニースのカトリックの教会内で祈りを捧げていた信者3名が刺し殺されたり、昨日は、リヨンのギリシャ正教会の司祭が銃で打たれるという事件が起こりました。

 いずれも、イスラム過激派によるテロと見られていますが、物騒なこと極まりありません。

 表現の自由に対する暴力的な抵抗、反抗、テロ行為は、絶対に許されないことは、大前提ではありますが、表現の自由とはいえ、人を傷つけるほどの表現は、ある程度、考慮されるべきであると思います。

 しかも、昨日はすでにロックダウン下の出来事で、街中は、通常以上に警察の取り締まりが多いはずで、このようなテロリストが教会内に普通に侵入できることからも、いかに今回のロックダウンの中、かなりの人が街を往来している状況であるかがわかるような気がします。

 とはいえ、別にテロ対策のためのロックダウンではないわけで、警戒するとは言っても、こうテロ事件が全国的に散らばって起こっていては、警戒にも限界があります。

 コロナウィルスを警戒し、テロを警戒し、警戒だらけのフランスです。

 そして、もう一つ、警戒しなければならない動きは、SNS上で「すべての中国人(アジア人)を攻撃せよ!」という呼びかけが起こっていることです。

「アジア人狩り」の呼びかけです。

 フランスでは、今年、2月にコロナウィルスが広がり始めた頃に、すでに、中国人差別、アジア人差別問題が起こっており、メトロの中、街中などでも、アジア人がコロナウィルス扱いされて、暴言を吐かれたり、時には暴力を振るわれたりした事件が相次いだのですが、ここへ来て、その動きが再燃しているようです。

 「すべての中国人を攻撃せよ!」という呼びかけと同時に、「アジア人は、最大限の注意を払ってください!そして、あなたがもしもアジア人でないならば、あなたの周りの隣人を見守ってください!」という呼びかけも同時に広まっています。

 ほとんどのフランス人(ヨーロッパの人)から見れば、中国人も他のアジアの国の人も区別はできないため、差別となれば、十把一絡げに差別されるわけです。実際に襲われて被害にあった中国人が傷だらけになった自分の顔をSNSに挙げたりもしています。

 この「アジア人狩り」の動きに関しては、パリ検察庁が調査を開始しています。問題のおおもととなったと思われるツイートは、すでに削除されていますが、このような動きが存在していることに代わりはありません。

 残念なことですが、フランスに差別は存在します。平常時には表面化しにくいものの、このようなパンデミックの異常事態が長く続き、抑圧された生活や経済危機が続くことにより、日頃は表面化しない差別が浮上します。

 鬱屈した感情を異人種に向けての憎悪として発散し、感染拡大の原因を責任転嫁し、スケープゴートを探して、行き場のない感情を爆発させようとするのです。もちろん、すべての人がこのような感情を持っているわけでもなく、ごく一部の人たちの行為ではあるものの、その一部の人に遭遇する機会がいつやってくるかはわかりません。

 恐ろしいこと極まりありません。ある程度、この種のゴロツキとも思われる人々の多いと思われる地域などには、行かないようにするか、フランス人と行動を共にするように心がけるとか、できる対策は限られています。

 もっとも、今は、ほとんど外を出歩けないので、危険も少ないとは思いますが、このパンデミックがおさまるまでは、ずっと続く恐怖です。

 コロナウィルスの陽性率は現在20%というフランス。5人に一人は感染者という状況で、感染する恐怖、テロの恐怖、加えて「アジア人狩り」にあう恐怖。

 強制されなくとも当分、ロックダウンします。



アジア人狩り


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「「災害に免疫のないフランス人がパニックになり、アジア人全体を傷つけている」


2020年10月31日土曜日

フランスのロックダウン突入 営業許可と営業禁止の境界線

 

  Fnac  (Photo d'illustration)


 フランスのロックダウンが俄かに現実味を帯びて、囁かれ始めてから、一週間も経たないうちに、あっという間に、フランスは、再びロックダウン状態に突入しました。いつ、ロックダウンになってもおかしくない状況だと思いつつも、いざ、実際にロックダウンになるのは、やはり、残念なことに違いありません。

 だって、少なくとも、11月一ヶ月は、まるまるロックダウンなのですから・・。

 ロックダウン寸前の数日は、皆が買い物に走ったり、冬ごもり支度をするような動きはありましたが、ロックダウンも2回目ということで、パリでは、一部のお店が混雑したり、行列ができたりしたものの、前回のようなパニック状態にはならずに、皆、淡々と準備を進めるという感じでした。

 実際に、今回のロックダウンでは、学校も継続され、基本的には、仕事も継続されるため、家族で狭いアパートで一日中、ぎゅうぎゅうに、悶々と過ごすということもなく、何より子供が学校に行ってくれることで、家族4〜5人分の昼食を含めた一日3食の食事の支度全てを家でする必要がないので、食料品の買い物なども、大幅に違ってくると思われますし、精神的、金銭的な負担も少ないのではないかと思います。

 まだ、一日しか経っておらず、これからどんなことが起こってくるのか、わかりませんが、街の様子を眺めるに、街中は前回のようなシンとした感じはなく、意外と皆が外に出ている・・そんな印象を受けました。

 私は、ロックダウンの初日、本当は、歯医者さんの予約が入っていたのですが、出かけようとしていたら、急に電話で、今日は、閉めなくてはならなくなったから、来週に予約を変更してほしいと連絡が入り、医者には、行けるはずなのに、今日は閉鎖・・何だろう?と、ちょっと不可解でした。

 今回は、仕事や学校の継続や、公共行政機関の継続、公園の解放など、ロックダウンとはいえ、前回のロックダウンに比べると、若干、緩いロックダウンではあります。基本的に、生活必需品以外の商店は、閉鎖ということになってはいますが、これにも営業許可と営業禁止の境界線が不明瞭な点があり、ちょっとした論争が生まれています。

 Fnac・フナック(フランスの書籍、情報機器、電化製品等を扱う総合小売店)などは、店舗は営業していますが、書籍コーナーは閉めています。その他、ガーデンセンター、DIYショップなども営業を継続しています。この一見、生活必需品か否かの区別がつきにくい店舗の営業により、不公平感を抱く店主が少なからずいて、特に、特別警戒地域ではなかった地域などの市長などが、店舗の営業許可を求めて、論争を起こし始めています。

 私のところにも、さっそくメガネ屋さんからメールが届きました。「うちは、開けてますよ〜!」っていうメール。どうやらメガネ屋さんは営業できるようです。

 だいたい、フランスは、コロナの前からデモだのテロだのストライキだの、昨年末からまともに営業できないお店が多かったのです。

 とにかく黙って引き下がらないフランス人ですが、本来ならば、ノエル(クリスマス)前の一年のうちでも最も書き入れ時のシーズン、なんとか少しでも挽回しようと必死になるのもわからないではありません。

 この営業許可と営業禁止の境界線を巡っては、今後、ロックダウン中にひと騒動を迎えそうな気がしています。

 政府は、これに対して、とりあえず、ロックダウンから2週間、様子を見て、営業許可ができるような状況であれば、検討するとしていますが、先日のマクロン大統領の発表によれば、11月の半ばには、感染状況は、かなりの危機的な局面を迎えることが予想されており、現段階での営業許可範囲を拡げることは、ロックダウン自体の意味が揺るぐことにもなりかねません。

 とはいえ、一般市民としては、前回よりは、少し、慣れたこともあり、また、規制が少し緩いこともあり、少しは、凌ぎやすそうなロックダウン、一日、一時間の自宅から1km圏内の運動目的の外出も外出許可証さえ携帯すれば可能だし、また、公園に多くの人が集まって、やはり、公園は立ち入り禁止・・なんてことにならなければ、前回ほどの鬱屈した感じにはならないかもしれません。

 ただし、妙な慣れから調子に乗って、現在、許されていることが、明日には禁止事項になる可能性も高いフランス。ほどほどに息抜きしながら、なんとか、一日も早く、感染がおさまってくれるのを待ちたいと思います。


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「コロナウィルス対策の外出禁止 パリでは、日中の運動のための外出も禁止」

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2020年10月30日金曜日

ロックダウン前日 大荒れのフランス ロックダウン・テロ・デモの全てが一日に起こった日


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まるで何もなかったような、ロックダウン前日の夜のパリのカフェのテラス



 マクロン大統領のロックダウン宣言から一夜、自由に動けるのも、今日一日限り・・何かやり残したことはないか?(考えながら、なんだか我ながら、大げさだと思いました・・)と思いつつ、昨日、あまり考えることもなく、買い物に出かけて、エラい人出だったので、残りの買い物をしようと、朝、開店5分まえに近所のスーパーマーケットへ行きました。

 ロックダウンになっても、外出証明書を持っていれば、買い物には出かけられるし、外出証明書のダウンロードも大した手間ではないのですが、やはり、気が重いのは、なぜでしょうか? 

 ロックダウンになれば・・と考え始めれば、前回のロックダウンの様子などがまざまざと思い出され、スーパーマーケットなども、入場制限で、いつ行っても長蛇の列・・そんな思いが、ロックダウン前に買えるものは買っておこう・・という気持ちにさせるのです。

  

カーフール開店5分前、すでに行列が・・

 考えることは、皆、一緒のようで、 5分前には、すでに行列が出来始めている状態で、今日のところは、想像はついていたものの、やっぱりビックリ!

 そして、店内に入って、すでに平日にも関わらず、結構な人・・しかも、男性客が多く、明らかに買い貯め用の買い出しの体制。フランスでは、日常から男性が買い物に来ているのは珍しいことではありませんが、ロックダウンのための買い物となると、さらに男性の比率が高くなるような気がします。

         

ロックダウン前の買い物は男性が多い

 まだ、開店直後というのに、すでに、ガラガラの棚もあり、またまたビックリ!第一波の時には、スーパーマーケットの職員にも犠牲者が出ていたため、緊迫感が漂っていましたが、今回は、今のところ、そこまでの緊迫感はなく、ただ、皆、淡々と買い物をしていました。

               

朝から空っぽのオイルの棚

 私が、そうして買い物をしていた頃、ニースでは、大変な事件が起こっていました。ニースのノートルダム教会で、刃物を持った男が複数の人に襲いかかり、死者3名、複数の負傷者が出るカトリックの教会を狙った凶悪事件、先日のパリ近郊で起こった路上でのテロ事件に続き、イスラム過激派のテロ事件が再び起こっていました。             

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テロの起こったニースの教会前

                               

 犯人は、21歳のチュニジア国籍の男、イタリア経由でつい数週間前にフランスに入国したばかり、犯人の持ち物からは、コーランとナイフが発見されています。テロ目的で入国した可能性もありますが、警察の反撃のため、現在、犯人は重体、事情は聞けていません。

 明日には、ロックダウンというタイミングで、ロックダウンと並んで、まさかの再びイスラム過激派のテロ。トップニュースとして、扱われる驚愕のニュースとなりました。ロックダウンの詳細が発表されるとともに、フランスには、テロに対する警戒が最大レベルに引き上げられました。 

      

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明日からロックダウンとは思えない賑わいぶりのパリのレストランのテラス

       

 夜には、ロックダウンについての詳細が発表される中、パリのカフェやレストランには、最後の時間を惜しむかのごとくに集まる人々。ロックダウンされるほど、感染状況が危険な状態だとは考えずにギリギリまでカフェやレストランでの時間を過ごす人を見ながら、これだから、フランスは、ロックダウンしなければ、どうしたって、感染拡大は抑えることが出来ないんだ・・と、もはや、私には、ため息すら出ません。

             

あと数時間でロックダウンを控えてロックダウン反対のデモ


 カフェやレストランでの賑わいぶりに拍車をかけるように、あと数時間でロックダウンというのに、パリ・リパブリック広場では、ロックダウン反対のデモ。昨日のマクロン大統領のロックダウン発表の放送は、3,270万人もの人が見ていたと言われているのに、聞いていなかったのでしょうか? 

 第二波は、第一波以上の死者を出す恐れがあるということを・・。

 こんなパリの街の様子を見るにつけ、やっぱりフランスには、ロックダウン以外の道はなかったのだ・・ということを思い知らされる一日でした。

 それにしても、コロナウィルスの恐怖に加えて、デモ、テロ・・と、なんでもありの一日で、ロックダウンは気が重いながらも、どこかホッとさせられる気もするのです。


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「フランスは、いつも誰かが何かを訴え、戦っている フランスは、デモの国」

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2020年10月29日木曜日

フランス 再びロックダウン・・少なくとも12月1日まで


フランス 大統領からの発表の前に流れる映像



 この約1年あまり、この映像をどれだけ見たことかと思います。大統領からの重大な発表が行われる度に、大統領の発言が流れる前に、フランス国歌マルセイエイズとともに、威風堂々としたエリゼ宮(大統領官邸)を背景にしたこの映像が流れます。

 フランスは、今年、それだけ、重大な局面を何度も迎えているということです。

 昨夜は、前日からの予告どおり、マクロン大統領から、10月30日(金)午前0時より、少なくとも12月1日まで、再びフランスは全土にわたり、ロックダウンの措置が取られることが発表されました。

 特にここ2週間のフランスのコロナウィルスの感染拡大は、予想を遥かに超えたスピードで進み、感染者数等全てが倍以上の数に膨れ上がり、また、前回の第1波に比べると感染は、全国くまなく広がっており、パリ・イル・ド・フランスの病院の集中治療室の75%は、コロナウィルスの患者で埋まっています。

 今回の第二波で、すでに医療崩壊を起こしているオー・ド・フランスなどの地域では、すでに患者の移送が始まっており、この感染が増加し続けている状況では、他の地域の病院でも患者が増え続けている中、その患者の移送さえも困難な状況に陥るのも時間の問題です。

 現在のところ、毎日3000人前後の人が新たに入院しており、すでに3045床の集中治療室の病床が埋まっている状態。現在の感染状況から、11月半ばには、9000床の集中治療室の病床がいっぱいになる事が見込まれるため、ロックダウンは、待ったなしの状況で、約2週間前に取られた21時以降外出禁止の効果が表れるのを待つまでもなく、もう後には、引けない状況なのです。

 このロックダウンの話が具体的に上がり始めて、当初は、「金曜日の夜からロックダウン」という事であったのに、それが一日繰り上げられて、木曜日の夜からになったのには、もう一日たりとも猶予がない状態であることに他なりません。

                

店外まで行列ができるスーパーマーケット

         

 もはや誰もがロックダウンだ・・とわかっていた証拠に、昨日は、すでにスーパーマーケットには、ものスゴい人出、そういう私も、家から少し離れたところにあるアジア食材店には、ロックダウンになったら、行きにくくなるだろう・・と買い物に出かけたところ、午前中の比較的早い時間に出かけたにも関わらず、すでに店の外まで長蛇の列。

 しかし、わざわざ出かけてきたのに、買い物せずに帰るのも馬鹿らしく、列に並ぶこと15分くらい? 近所のカーフールなどのスーパーマーケットでは手に入りにくい日持ちしそうな大根やキャベツなどの野菜や調味料などを物色してきたのです。

 安全対策のために、入場制限を行なっているのかと思いきや、店内にも、ものすごい人、レジにも長蛇の列・・買い物を済ませるのにも、いつもの倍以上の時間がかかりました。

 5月にロックダウンが解除されて以来、久しぶりにロックダウンを見据えての買い物。つい忘れていましたが、ロックダウン時の買い物というのは、こんな感じ(どこでも行列・時間が異常にかかる)なのだった・・と、実感として思い出したのでした。

 今回のロックダウンは、幼稚園から高校までの学校は閉鎖せず、仕事もできる限り継続(工場や農場なども継続)、EHPAD(エパッド・老人介護施設)の面会が許可されている事が前回と違う点として挙げられています。

 全ての外出に際して、再び、外出証明書の携帯が必要になり、不携帯の場合は、135ユーロの罰金が課せられます。レストランに関しては、宅配、持ち帰りのみの営業となり、店内での飲食はできなくなります。

 詳細については、翌日発表とのことでしたが、つい一週間ほど前までは、あくまでロックダウンはせずにコロナと共に生きる、経済を回しながら、衛生管理を行う姿勢を崩さなかったマクロン大統領がロックダウンに踏切らざるを得なかったのには、フランスのあまりに急激で深刻な感染拡大があります。

  

再ロックダウンを発表するマクロン大統領

 それでも、今回の発表でも、現在の感染拡大は、ヨーロッパ全体で起こっていること・・というマクロン大統領。たしかにヨーロッパ全体で起こっていることには違いはありませんが、フランスは、他のヨーロッパ諸国とは群を抜いていることには言及しません。

 私の穿った見方かもしれませんが、あくまでヨーロッパ全体のこととしようとする不透明感からか、いつもの発表に比べて、力強さもオーラも感じられませんでした。

 しばらく自由に出かけられなくなるフランスでは、最後の一日、どこでも、大変な人出になること間違いありません。


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「ヨーロッパのコロナウィルス感染拡大 国の対策の取り方で明暗を分けた理由」

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