2020年10月28日水曜日

フランスのコロナウィルスによる1日の死亡者500人突破 

 

メトロの駅で清掃・消毒している人を見かけるのは久しぶりだった

  

 毎日毎日、悪いニュースばかりのフランス。昨日は、1日のコロナウィルスによる死亡者が523人を記録しました。うち288人が病院、235人がEHPAD(エパッド・老人介護施設)における死亡者となっています。

 老人介護施設でのコロナウィルス感染については、第1波から甚大な被害を出していましたが、にも関わらず、ロックダウン解除後も、面会の家族との接触の問題などが叫ばれつつも、感染が全国的に拡大している状況下、一番リスクが高いことがわかっていた(実証済みだった)老人介護施設で再び多くの犠牲者が出ていることに憤りを感じます。

 実証済みといえば、第2波ともなれば、ほとんどのケースにおいて、実証済みなわけで、結局のところ、再びロックダウン・・という状況を招いてしまったフランスでは、全てが甘かったわけで、「ウィルスと共に生きる!」を掲げてきたものの、ウィルスとともに生きることはできなかったわけです。

 こんな年に限って、私は、滞在許可証の書き換えの年(10年に1回)、おまけに銀行のカードも今月末で期限切れで新しいものに切り替わるタイミング。今や、振り込みや送金などは、全てオンラインでできるので、滅多に銀行に行く必要もないのにこんな時に限って銀行へ。

 銀行のカードがないのは、かなり困るので、ロックダウンになる前になんとか取りに行かなければ・・と、昨日は、慌てて銀行へカードを引き取りに行ってきたのでした。銀行のサイトを見ると、現在は、午前中のみの営業になっていて、なんとか朝のうちに行かなければなりません。

 

感染防止用の手袋をしている人を見つけてちょっと感動


 何週間ぶりかで乗ったメトロは、なかなかの混雑ぶり、当然、人との距離を取るために座席に貼られていたステッカーなどは、何処へ行ってしまったのやら? しかし、マスク率はさすがに100%、メトロの中では、初めて感染防止用の手袋をしているおばさんを見つけて、こんなに気をつけている人もいるんだと妙に感激し、また、乗り換えの駅の構内では、いつになく、清掃・消毒(手すりなどをアルコールで除菌していました)をしている人を見かけて、さすがに緊迫感が増してきたことを実感しました。

 しかし、家に戻ってきてから、ふと、駅で清掃?消毒をしている人を見かけただけで、なんだかすごく特別なことだと感じている自分に、この程度の駅の掃除、日本だったら、平常時にもやっていること・・こんなことに驚いている自分に苦笑してしまいました。

 銀行に着いてみると、サイトには午前中のみの営業と書いてあったのに、実は一般の窓口の受付はすでに、終日、閉鎖されていました。なんのためのサイト??なんてことは、フランスでは通用しませんが、銀行から来ていた「カードの用意ができました」というレターを持っていたので、カードを受け取ることはでき、ついでに他のお願いまでしてくることができたのでした。

 ダメと言われて、あっさり引き下がっていては、フランスでは暮らしていけません。

 そんな、コロナウィルスで緊迫し始めている中、パリでは、凱旋門周辺、およびエッフェル塔付近(シャンドマルス)において、爆発物が仕掛けられたという、まさかの爆弾騒ぎまであり、近接するメトロ3線、郊外線1線の運行が一時停止するという事態が起こりました。

 先日起こったテロ事件から、いくらも時間が経っていないこともあり、不審物に対する警戒も高まっているのでしょう。先日のテロの際のマクロン大統領の「表現の自由は、断固として守る!」との声明に憤慨しているイスラム教の数カ国では、フランス製品の不買運動が起こるなど、摩擦も高まっています。

 コロナウィルス感染に加えて、テロの脅威も抱えるフランス・・フランスに平和が戻る日は遠そうです。

 一昨日あたりから、フランスのツイッターでもトレンドの上位は#confinement2(confinement=ロックダウン)(ロックダウン2)で占められ、夜に発表になるとされている再ロックダウンの詳細に国民も戦々恐々としています。


<関連> 私の予想は残念ながら当たってしまいました・・

「コロナウィルス第2波は、いつ来るか?」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/07/blog-post_10.html


2020年10月27日火曜日

コロナウィルス感染第2波 待ったなしのフランスに残された道

 

   Des patients atteints du Covid-19 transférés depuis le CHU de Strasbourg arrivent à la gare Saint-Jean de Bordeaux, le 3 avril 2020


 一昨日のフランスの1日の新規感染者数は52,010人を記録し、この日の世界の感染者数を見ても、アメリカ 61,117人、インド 45,158人に次いで、世界第3位、いやいや、インドは超えて、世界第2位・・。しかし、人口を考えるとアメリカの人口はフランスの5倍、インドに至っては、21倍の国、実質的には、フランスは世界一とも言えます。

 この感染拡大は、フランス人の多くが本格的にバカンスに出始めた8月頃から徐々に増え始めましたが、特に、10月に入った頃(ここ1ヶ月ほど)からの上昇は、グラフの上昇曲線が斜めから縦線になるのではないかと思うほどの増加の仕方です。

 これには、Conseil Scientifique Covid-19 (コンセイユ サイエンティフィック)(フランスのコロナ対策の科学評議会・フランス政府に科学的助言を提言する機関)の議長・フランソワ・デルフレシ教授は、「フランスの1日の新規感染者数について、直近の公式発表の倍にあたる10万人程度になっている可能性がある。感染は、予想以上に早く拡大している。早急に次の対策を講じる必要がある」と発表しています。

 すでに、フランス北部を中心に医療崩壊が始まり、患者の移送も始まっています。先週の段階では、すでにオー・ド・フランス(フランス北部の地域圏)から、2人の患者がベルギーに移送され、先週末から週明けにかけて、ルーベ(フランス北部・ノール県)の病院では26人の患者が、リヨンから4名、ヌーベル・アキテーヌから8名が、飛行機やTGVを使って、国内の他地域に、移送されており、3月末から4月にかけて、フランスが必死に行なっていた国内大移動作戦が始まりました。

 今回は、感染がフランス全域に広がっているため、この移動大作戦がいつまで持つのかは、この感染の速度を考えると非常に悲観的になります。

 特別警戒地域での夜間ロックダウンが始まって、すでに、10日が経とうとしていますが、一向にこの夜間外出禁止の成果が表れず、それどころか、感染状況が悪化の一途を辿っていることから、新たな制限がここ一両日中にも発表されるようです。

 もはやフランスに残された道は、3月同様のフランス全土にわたる完全なロックダウン状態か? 地域によって夜間のみではなく終日ロックダウンを行うか、夜間の外出禁止に加えて、週末の外出禁止、もしくは、外出禁止時間帯を夜21時からではなく、19時からとか17時からにするという案も出ているようです。

 いずれにしても、もはや現在の夜間のみの外出禁止だけでは、フランスの感染は止められる状況ではなく、テレビのニュースなどでも、フランスはコントロールできていない状況になっていることを憚らずに述べるようになり、(当然だけど・・)、恐らく、ロックダウンしない限り、フランスで感染がおさまることはないかもしれない・・と多くの人が思い始めていると思います。

 検査で陽性になった人の隔離も、フランスのような観光大国にはホテルの空き部屋は山ほどあるので、それを利用すれば良かったと思いますが、感染者が1日、5万人も出ている状況では、もはや、その人たちを毎日毎日、隔離することも不可能で、家にいろと言っても、何かと理由をつけては出歩く陽性者を管理できないのであれば、ロックダウンしかないのではないか? と思ってしまうのです。

 前回のマクロン大統領の会見では、フランスはコントロールできている状態だと言い張っていましたが、コントロールできている状況で今の事態はありえないのです。

 ロックダウンが感染状態の最も深刻な地域のみだとしても、パリ(イル・ド・フランス)は、オー・ド・フランス(フランス北部)に次いで深刻な地域。私もロックダウン生活突入を覚悟して、今日もこれから銀行の用事を済ませに行ってきます。

 フランスでは、「国民のショックを考えて・・」という政府の発言をよく聞きますが、ロックダウンは、ショッキングなことではあっても、もはや、誰も驚かないと思います。


<関連>

「パリ、イル・ド・フランスをはじめとするフランス8都市での夜21時以降の外出禁止」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/10/21.html

 

2020年10月26日月曜日

新規感染者数5万人突破・2日で1万人増加 サマータイムも終わり 本格的な冬支度


Les chrysanthèmes "pompon" reviennent en force cette année. En forme de boule, ils donnent beaucoup de couleurs pour peu de feuillage apparent.


 秋休みとも言えるトゥーサン(万聖節・諸聖人の祝日)のバカンスが終わり、サマータイムも終わり、一段と冬の様相が深まっていく季節です。トゥーサンのバカンスというのは、カトリックの行事によるバカンスでフランスでは、皆が故郷に帰省して、お墓まいりに行く習慣があります。

 この季節のフランスのお墓は、なかなか華やかで、お墓一面に備えられたお花の様子から、この時期は、皆が意外と真面目にお墓参りに来ていることがわかります。日本で言うお盆のお墓まいりのような感じでしょうか? 家族が集まってお墓まいりをしたり一緒に食事をしたりします。

 家から歩いて行けるところにありながら、あまりお墓まいりをしない我が家でさえも、さすがにこの時期にお花がないのはかわいそうな気もして、一年のこの時期には、必ずお墓まいりをしています。

 このトゥーサンのバカンスが終わると、街は、さっそく、ノエル(クリスマス)の飾り付けに入ります。あらゆることがグズグズと遅いフランスで、唯一、早くから準備にかかるのがノエルです。

 サマータイムが終わって一時間、時間がずれたことに身体が慣れ始めると、あとは、グングン日も短くなり、朝は、遅くまで暗く、夜も早くに暗くなり、憂鬱な長い冬に入ります。

 そんな時期にフランスのコロナウィルス感染状況は最悪の一途を辿り、これで4日連続、一日の新規感染者数は新記録を更新し続け、5万人を突破、昨日は、52,010人を記録しています。4万人を突破してから3日目のことです。

 たった2日後に1万人増加するとは、感染の速度が尋常ではありません。1日5万人を超える感染が、実際に、さらに、病院での治療、病室の占拠状態に大きく関わってくるのは、その1〜2週間後のことです。そして、一度、入院すれば、滞在が長くなるのもコロナウィルス治療の特徴で、病院でのコロナ患者数はこうして堆積してくるのです。

 現在のイル・ド・フランスの集中治療室のコロナ患者の占拠率は67%、アルプ・オーベルローヌ地域では74%にまで上昇しています。満床になるのは、時間の問題です。

 1日に5万人の感染者が出ている状態では、もう、「犬も歩けば棒に当たる・・」ような状況で感染者に遭遇する感じがします。だいたい、検査で陽性になった人でも、フランスでは、隔離されることもなく、マスクさえすれば、外出していいような風潮で、これでは、いつどこで感染者に遭遇しているか? かなりのその確率も高くなっていることでしょう。

 娘がスタージュに通っている会社でも、感染者が出たということで、ミーティングが開かれたということでしたが、感染自体は会社で起こったものではないと判断されたようで、さらに、注意して、生活するようにという注意喚起や社内のキャンティーン(食堂)や休憩室などの衛生環境の改善(プラスチックのバリアが貼られたり、席の間隔がさらにあけられたり・・)に留まり、会社が閉鎖になったりすることはないようです。

 これだけ、感染が蔓延してしまっては、逆に感染者が出たくらいでは、誰もひるむこともなく、皆が感染に対して、衝撃を受けなくなっているのです。

 サマータイムの夏の時期と冬時刻の季節の差がやたらと大きいヨーロッパでは、夏は夜も10時くらいまでは明るく、開放的ですが、冬は、夜が長くなります。3月〜4月のロックダウンの際には、どんどん日も長くなり、明るくなる季節にどれだけ救われていたかわかりません。

 これから暖かくなっていく季節にと、私は、ベランダで日本から持ってきた野菜のタネを撒き、せっせと野菜を育て、明るい日差しのもとにどんどん育っていく野菜の成長を楽しんだりしていました。

 それが、今回は、どんどん日も短くなり、暗くなりがちな季節に向かっていく時期であることに何か一層、憂鬱な気分です。今では、寒くてベランダに出るのも躊躇われます。

 前回のロックダウンでは、家に閉じ込め状態の中、DVも大きな問題になりましたが、この冬の鬱屈した時期でのロックダウンともなれば、DV被害は、春のロックダウン以上に問題になりそうな気がしてなりません。


<関連>

「コロナウィルス監禁生活でのストレスの矛先 DV・暴動」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/04/blog-post_21.html


2020年10月25日日曜日

新規感染者数4万5千人突破のフランス 取締りの警察もさらに強硬化

 

                                                      パリ市内を取り締まっているBRAVM


 昨日のフランスの一日の新規感染者数は、45,4222人。フランスは3日連続で、新記録を更新し続けています。当然のごとく、あらゆる数字が悪化しています。

 それでも、ロックダウンではなく、日中は街には人が往き交い、レストランなども全て営業していることもあり、週末ともなれば、気が緩みがちな街中を、一般の警察だけではなく、通常では、あまり目にすることのないBRAVM(Brigades de répression de l'action violente motorisées・暴力行動抑止団)がパリ市内を取り締まっています。

 このBRAVMは、通常は、テロやデモなどの暴動や暴力行為などの緊急事態に編成されるバイクで移動する憲兵隊のような性質をもつ連隊で彼らが身を包んでいる防護を兼ねたヘルメットを含めた制服も黒づくめで威圧感があり、退去の求め方なども警察よりもさらに容赦のない雰囲気が漂っています。

        

               歩いているだけで物騒な感じ漂うBRAVM


 土曜日の午後、パリのあるレストランのテラスでは、賑やかにグラスを傾ける人々のもとに現れた彼らは、歓談するお客さんたちに向かって、「ソーシャルディスタンスが取れていませんから、今すぐに退去してください!」と退去命令。

 突然の彼らの登場に動揺しつつも、彼らの威圧的で有無を言わさない強硬な態度に、慌てて立ち去るお客さんたちは、支払いをする間さえも与えられません。

 お客さんにとっても、あまりに突然の彼らの登場に動揺してのことなのか? ビールを片手に、「マスクは、ここに持ってきている・・」とか、ビール片手に席だけ移動して居座ろうとしたりしていましたが、お金を払わないで済んだこともあってか? 彼らの威圧感からか? 一応、文句を言い返しつつも、わりとあっさり退散。

 レストランの店主でさえも料金を回収できなかったにも関わらず、すごすごとテーブルを片付け、店内に消えて行きました。

 本来ならば、レストラン側が衛生管理の基準に満たない状況での営業を違反と見なされて罰金、あるいは営業停止となっても致し方ない状況でもありますが、直接、お客さんを退散させることで、直ちに人が集まっている状態を有無を言わさずに、とにかく即座に解散させるやり方は、フランスの取り締まりには必要なのかもしれません。

                   

             環状線で車を止めて外出証明書のチェックをする警察
      

 21時以降の外出禁止の取締りは、車での移動の取締りも強化。パリ市内を通る環状線は午後9時になると、警察が一台一台、車を止めてチェックを行なっています。もちろん、外出証明書がない場合は、一人につき、135ユーロの罰金です。

 もちろん、渋滞に巻き込まれたなどの言い訳も一切、通用しません。

 それでも出かける若者たちは、一応、門限に間に合うように、まるでシンデレラのように必死な様子で、21時近くになると、バスやメトロに乗るために、普段は決して急いで走ることのない彼らが走っている様子が見かけられるそうです。

 また、パリで若者に大人気の有名な大きなレストランなどは、夜8時半ごろになると、彼らが読んでいるUber(タクシー)の長蛇の列ができるそうです。

 21時門限では、はなから楽しめないと、家に集まり食事をしている人たちも少なくないようですが、それでも外に出たい!外で楽しみたい!と思う若者たちが、普段の生活ではありえない門限に間に合うように必死になっている姿には、滅多に見られるものではありません。(単に罰金を払いたくないのだと思いますが・・)

 そんな彼らに、ただただ、集まるな!戯れるな!と怒るには忍びない気もするのですが、そこは、今のフランスの状況を考えれば、今しばらくは、辛抱してもらいたい・・と、思うのです。


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「決死のお迎えで、ある日、気付いたこと・・フランス人は、走らない」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/01/blog-post_58.html


2020年10月24日土曜日

フランスのコロナウィルス感染 第2波は第1波よりも深刻かもしれない

 


 フランスの1日の新規感染者数は、連続で新記録を更新中、一昨日には、初めて4万人を突破して41,622人を記録したと思ったら、昨日は、さらにそれを上回る 43,032人を記録しました。もう何と言ったらいいのやら・・。

 また、Santé publique France (フランス衛生局)は、初めて、地方自治体レベルの細かい地域にわたるコロナウィルス発生率を記した地図を発表しました。

 この地図で見える様子が、今回のフランスがまさに直面しているコロナウィルス感染第2波が実は、第1波よりも悲惨な状況に陥るかもしれないとささやかれ始めている所以です。

 というのも、この色分けされた地図から見えるように、ほとんど白い地域(発生率の低い地域)がなく、感染が全国的にくまなく広がっていることから、第1波の際には、満床状態に陥った地域から、病床に余裕のある地域への患者の搬送をヘリコプターやTGVを使って、少しでも犠牲者を散らし、減らしていく努力ができたのですが、今回の第2波の感染が全国的にまんべんなく広がり、どこの地域でも病院が逼迫し続けている状況では、それが不可能となってしまうのです。

 毎日、4万人以上の新規感染者がいるのですから、当然といえば、当然でもあるのですが、恐ろしいことに、病院の逼迫は、日々、深刻な状態に陥っており、イル・ド・フランスのコロナウィルス患者の集中治療室の占拠率は、62%を超えています。

 ARS(Agence Régionale de Santé)(地方保健機関)の発表によれば、昨日、すでに、オー・ド・フランス(フランス北部の地域圏)から、2人の患者がベルギーに搬送されました。

 つまり、オー・ド・フランスの病院では、すでに医療崩壊が起こっており、患者の治療が抱え切れない状態になっており、しかも、その患者の搬送先がベルギーだということも国内に余裕がないという状況を示しています。

 たしかに上の地図を見るところ、フランス北部は、ブルーの色も濃く(発生率が高い)、ほとんど濃紺の状態、北部から3分の1くらいまでは、真っ青状態、フランス国内のかろうじて青の薄い地域に患者を搬送するよりもベルギーの方が近かったということもあるのかもしれません。

 とはいえ、余裕さえあれば、ベルギーは外国、自国内で何とかなるのであれば、フランス国内に搬送するのが普通だと思われます。

 テレビの報道などでも、あちこちの病院の逼迫状態、医療従事者が悲鳴をあげている様子が報道されています。なかでも、患者をベルギーへ搬送したというオー・ド・フランスの病院の医師は、「現在、我々は、3月25日頃のレベルの集中治療を受ける患者を抱えています」と語っています。

 3月25日頃といえば、第1波の際に、ロックダウンされてまもなくの、犠牲者のグラフが急上昇した時期です。今、1日の新規感染者数4万人の状態があの3月25日のグラフの波のポイントにいると考えると、これは、ほんの入り口のようなもので、それは、恐ろしいことです。

 そして、現在、21時以降の外出禁止(夜間ロックダウン)等の措置が取られ始めたのが17日、まだ、一週間しか経っていません。この効果を期待している間に感染はどんどん拡大していき、夜間ロックダウンの地域も拡大されましたが、どうやら、感染の速度が上回っているようです。

 マクロン大統領は、この逼迫した状況について、「今後、さらなる夜間ロックダウンの地域を広げるか? それとも地域的な全日にわたる再ロックダウンを行うかどうかの検討は現時点では時期尚早、少なくとも来週半ばまで様子を見る」としています。

 このコロナウィルス対応において、これまでことごとく、打つ手が後手後手に回っている感が拭えないマクロン大統領、フランスは、夜間だけのロックダウンで乗り切ることができるのでしょうか?

 チェコとアイルランド、ウェールズは、22日から再ロックダウンに突入しています。


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「コロナウィルスの感染は、明らかに気温が影響している ドイツの食肉処理工場で1500人感染」https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/06/1500.html

「パリ、イル・ド・フランスをはじめとするフランス8都市での夜21時以降の外出禁止」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/10/21.html






2020年10月23日金曜日

新規感染者数4万人突破のフランス 夜間ロックダウン54地域に拡大

 

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 ヨーロッパのコロナウィルス感染第2波が叫ばれ始めていますが、やはり、フランスは、他のヨーロッパ諸国の追随を許さないことを示すかのごとく、また新記録を更新し、とうとう昨日の1日の新規感染者数は、41,622人。4万人を軽々と超えてしまいました。

 この一週間のフランスの新規感染者数は189,359人、約19万人もの感染者が出ているのです。もう数字の感覚が麻痺してきて、何の数字だかよくわからなくなります。

 ヨーロッパ全体の感染状況が悪化しているのは事実ですが、同日の、ヨーロッパ諸国の新規感染者数は、スペイン20,986人、イタリア16,079人、イギリス 21,242人、ドイツ 5,780人と、フランスの4万人とは比べものになりません。

 ほんとうに、フランスは、一体、どこまでいくの? か 不安です。

 現在のフランスでは、1日に200件以上のクラスターが発見され、過去7日間で10,166人がコロナウィルスのために入院し、そのうちの1,627人が ICUでの集中治療を受けています。

 現在、集中治療を受けている患者の総数は2,248人、集中治療室での平均滞在期間は8週間近いため、このまま患者数が増え続ければ、患者が積もり重なって、パンク状態になる日もそう遠くはありません。

 この一週間のフランスのコロナウィルスによる死者は1,085人、一日150人近くが亡くなっている計算です。

 ジャン・カステックス首相は、会見で、「コロナウィルス感染の流通は非常に高いレベルに達し、15日間で症例数は2倍、65歳以上の症例数は3倍になっている。事態は深刻です」と発表し、パリ・イル・ド・フランスなどで、すでに開始されている9時以降の外出禁止(夜間ロックダウン)を前回指定された地域に、さらに38地域を加えた、合計54の地域に拡大することを発表しました。フランスの地図が再び真っ赤に染まり始めました。

 すでに先週から夜間外出禁止の措置が始まっているイル・ド・フランスを含む8つの大都市圏では、毎晩12,000人の警察と憲兵隊が動員されチェックが行われていますが、すでに一週間で、4,777人が違反として切符を切られており、それぞれ135ユーロの罰金が課せられています。

 これだけの深刻な状況にも関わらず、深刻な状況を認識せずに、一週間でこれだけの違反が摘発されることがさすがフランスだなと思います。

 この一週間のフランスの新規感染者数は189,359人、約19万人の感染者が出ているのです。

 これだけの感染者がいるということは、もう夜間の外出を禁止したところで、日中でさえ、普通に感染のリスクが高まっているということ・・そりゃ、やらないよりはやったほうがいいに決まっていますが、この感染者上昇の波がそれだけで抑えられる状態なのかは疑問が残ります。

 イル・ド・フランスの病床のコロナウィルス患者の占拠率は60%を超えている状態です。

 しかも、此の期に及んで、地域間の移動に関しては、放置されたままです。

 感染者追跡については、開発したにも関わらず、わずか3.5%しかダウンロードされることなく失敗に終わったアプリ「STOP COVID」に変わって、新しいアプリ「TOUS ANTI COVID」が新しく開発されたことを発表し、ダウンロードを呼びかけています。

 しかし、フランスのこと、少なくとも検査で陽性となった人には、アプリのダウンロードを義務化するなどの措置を取らなければ、ただでさえ縛られることを嫌う彼らに、いくらアプリが新しくなったとて、ただ、普通にダウンロードを呼びかけるだけでは、それが浸透するのは難しいのではないかと思っています。

 義務化するか(罰金を課すか)、何らかの利点がなければ自らを締め付けるようなことをフランス人が積極的にするはずがありません。

 このところ、1日の感染者数が一週間ごとに1万人単位で増えているフランス。

 夜間外出禁止の効果がいつ表れて、これが減少してくれるのか? それとも、もはやそれを上回る勢いに乗ってしまったのか? 今後の新記録更新がさらに心配されます。


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「フランスの新規感染者3万人超えの中の医療介護者のデモ」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/10/blog-post_16.html

2020年10月22日木曜日

テロの犠牲者サミュエル・パティの国葬

 


 先週金曜日に起こったテロ事件により首を掻き切られて死亡した表現の自由を担当していた教師、サミュエル・パティの国葬が昨夜、パリソルボンヌ大学で行われました。

 イスラム過激派の犯行であったことから、テロに屈しないフランスの姿勢を明確に世間に知らしめるべく行われたセレモニーは、マクロン大統領をはじめとする政府首脳が勢揃い、故人の教え子や友人、家族なども参加しての、荘厳なものでした。


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 セレモニーの場所にソルボンヌ大学が選ばれたのも、教育の現場での授業がもとで起こった事件に対するフランスの国としての威厳と確固とした姿勢を示したと言えます。

 毎回、国単位のセレモニーを見るたびに、フランスは、本当にセレモニーの演出が上手でセンスがいいなと感心します。


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 棺が運ばれてくる際には、家族の希望で、彼の好きだったアイルランドのグループ「U2」の曲「National Tribute」が会場に流されました。1992年にリリースされたこの曲は、愛だけでなく、協調と団結についても歌われています。

 正装に身を包んだ兵士たちが棺を中央に運ぶと、棺には Légion d’honneur(彼の名誉を讃えるメダル)が置かれた赤いクッションが乗せられました。

 故人の友人、同僚、教え子が弔辞を述べた後に、マクロン大統領も弔辞を述べました。

 「サミュエル・パティは悲惨な陰謀と他者への憎悪の犠牲者になってしまいました。私たちは、あなたが教えた自由を擁護し続けていきます。彼は、フランスの顔・自由の顔として私たちの中に生き続けます。」と。


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 安全上の理由からか、故人の家族は、テレビで放映されることはありませんでしたが、あまりに大きな波紋を生んだ彼の死を家族はどう受け止めているのでしょうか? 一教師の葬儀が国葬となり、政府の首脳が首を揃える葬儀。

 家族も教え子たちも友人でさえも、身近な人が亡くなったというだけでも痛ましいことなのに、しかもテロにより殺された・・しかも、想像さえつき難い陰惨な殺され方で・・。

 私の祖父が亡くなった時には、会社をあげての、かなり大規模な葬儀で、立派な葬儀がすごいなと思った一方で、何か家族だけで祖父の死を傷めないことも少し残念に思ったことがありました。今回のサミュエル・パティの場合は、テロによる被害者ということもあり、テロリストに向けてのフランスの圧倒的な力と団結を示すという意味も大きかったと思います。

 きっと、家族にとっては何が何だかわけがわからないうちに事が進んでいく・・そんな感じかもしれません。

 事件から数日が経って、犯人の背後には、数人の協力者がいた事が発覚してきています。犯人であるとはいえ、若干18歳の青年が人をこれほど陰惨な形で人を殺すほどの恨みや怒りを持地ながら生きていたのかということがある意味、気の毒にも感じられます。

 実際に犯行に及んだ18歳の青年はその場で射殺されていますが、その背後にいた大人たちの卑劣さが空恐ろしく、彼らがどんな気持ちでこの国葬を見ていたのかと思います。

 今、フランスはコロナウィルス感染も大変な状況、世間の注目が一気にこのテロ事件に持って行かれています。

 今、フランスでは、「表現の自由を守ろう」そんなテレビコマーシャルまで流されています。


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「閑静な住宅街で起きた路上で首を掻き切られる陰惨なテロ事件発生 18歳のテロリスト」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/10/18.html

「フランス全土で行われた先週末に殺された教師の追悼デモ」

https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2020/10/blog-post_19.html