2020年3月10日火曜日

フランス・欧州におけるコロナウィルス対応




 在留邦人向けに、外務省から、「欧州における新型コロナウィルスに関する注意喚起」が、送られてきました。

 イタリア、フランス、ドイツ、スペイン、スイス等を始めとする欧州において、新型コロナウィルス感染症の新規感染者が多数報告され、件数も増加しており、感染も地理的に拡大の傾向にあるので、感染の可能性に注意し、最新情報を入手し、感染予防に努めるようにとのこと。

 特に、イタリアの一部の地域は、感染症危険レベルが高く、スイス、スペイン、ドイツ、フランスも危険レベル1が発出されています。

 3月8日付の各国政府の発表によれば、スイス、スペイン、ドイツ、フランスにおける新型コロナウィルスの感染症例数は、
 スイス:281例(うち死亡2例)
 スペイン:589例(うち死亡17例)
 ドイツ:902例(うち死亡0例)
 フランス:1126例(うち死亡19例)
と、なっています。

 感染症例が7000人を超える勢いのイタリアを除くと、フランスでの感染症例が多いのも、私は、わからないでもない気がしているのです。

 中国から発症し、当初、日本に停泊していたクルーズ船で多くの感染者が出たことなどから、アジア人を回避しさえすれば、感染しないとでも思っていたような節もあり、やたらとアジア人が避けられたり、差別されるといった話が聞こえてきました。

 街中から、マスクや消毒用のジェルなどが売り切れたり、トイレットペーパーやパスタの買い占めに走ったりしているわりには、街中でマスクをしている人は、あまり、見当たらず、5000人以上、人が集まる集会などは、禁止されているにもかかわらす、先週末にも、年末から続いている年金改革反対のデモがけっこうな規模で行われたり、マラソン大会が予定どおり行われたり、はたまた、奇をてらったのかもしれませんが、パリでは、物騒な事件が起きています。

 「人との接触は、出来るだけ、控えましょう!」との呼びかけにもかかわらず、91%の人は、まだビズ(挨拶がわりに頰を合わせる)をし続け、75%の人は、まだ握手をし続けているといいます。

 まるで、コロナウィルスは、フランス人だけでいる分には、感染しないと思っているとしか思えないような理解不能な状況なのです。

 ヨーロッパでは、感染者数が爆発的に増加している地域を封鎖されたはずのイタリア北部の人は、北イタリアから逃れようと、パニック状態になっているといいます。

 ヨーロッパは、陸続きですから、感染しだしたら、街を封鎖しようと、身勝手な行動に走り、人々が逃げ出すなど、感染が蔓延するのは、目に見えています。

 WHO(世界保健機構)も、「パンデミック(世界的な感染の流行)の恐れが非常に現実的になっている」と発表しています。

 非常に身勝手な認識の仕方をして、パニック状態で激しやすいフランス人に、的確な情報を冷静に受け取り、賢明な行動をとってしてほしいと切に思っています。

 




2020年3月9日月曜日

フランス人の若い女の子は、前髪を切らない





 日本の若い女の子、特にアイドルと言われる女の子たちを見ると、ほとんどの女の子が前髪がある・・というか、前髪を切っていることに気付かされます。

 たかが、前髪、されど、前髪です。

 フランスの若い女の子は、前髪を切りません。いや、前髪を切る子がいたとしても、ごくごく少数です。

 「どうして、フランスの女の子は、前髪を切らないのかな???」と娘に聞いてみると、間髪入れずに、「かっこ悪いから・・」と言います。

 それは、美的感覚が違うことによるのかもしれませんが、日本人が可愛い、良いと思う女性像とフランス人が良いと思う女性像の違いが、前髪の有る無しに現れているような気がするのです。

 前髪を切ると、顔が小さく見えるということもあるかもしれませんが、全体的に若く、幼い印象になります。若い女の子の場合、可愛らしい・・極端に言えば、あどけないとさえ言えるような、そんな感じが好まれているのではないかと思うのです。

 女性が可愛らしく、どこか、守ってあげたいと思われるような印象を感じさせる部分を持っています。

 一方、フランスの女の子にとっては、可愛い、特に幼く、あどけないということは、どちらかというと未成熟というニュアンスでとらわれかねないところがあり、そういった可愛さというよりも、むしろ、きれい、美しい、カッコいいことが好まれる傾向にあります。

 これは、単なる美意識や文化には、とどまらず、女性の社会的な位置付けをも表しているのです。

 女性がどのような存在であることが、社会で一般的に好まれているか? 可愛らしい、どこか幼く、あどけない印象が好まれているのか? 可愛いよりも、美しく、カッコいい印象が好まれているのか? 

 もちろん、美的感覚や、人によって似合う髪型というものもあるとは思いますが、その社会で一般的に好まれている印象やニュアンスから、社会の中の女性の位置付けというものが、髪型、特に前髪に表れているような気がするのです。

 いみじくも、国際女性デーである日に、そんなことをふと思ったのです。






2020年3月8日日曜日

フランス人は、ゼリーを食べない




 私は、ゼリーが好きで、家ではよく、デザート用に、コーヒーゼリーなどを作ります。食事の後、淡白で、サッパリしたゼリーは、口当たりも喉越しも良く、カロリーも控え目で、なかなか良いデザートだと思っているのです。

 日本だと、コンビニを始め、ゼリーを使ったデザート・スイーツは、数多く売られていて、たくさんのフルーツが入ったゼリーや、熱湯を注ぐだけでできる自分で作れるゼリーなど、バラエティーに富んでいて、色々な味を楽しめます。

 ところが、フランスでは、スーパーマーケットなどのデザートのコーナーにもゼリーはないのです。デザートといえば、チーズ類か、ヨーグルト、さもなければ、クリームを加工したムースなどの乳製品系のものばかりなのです。

 ヨーグルト、フロマージュブラン、チョコレートムース、フラン、クレームアングレーズ、マロンクリーム、クレームブリュレ、クレームキャラメルなどなど、クリーム系のものなら、種類も豊富で、色々なものの中から選ぶことができます。

 また、彼らは、ホイップクリームも大好きで、いちごなどのフルーツにも、これでもかと思うほど、山盛りのホイップクリームをかけて食べるので、スプレー式のホイップクリームもなかなかポピュラーです。

 多分、乳製品好きで、あくまでクリーム系のものが好きなフランス人には、ゼリーは、物足りない、味気ないもののように感じるのかもしれません。ですから、スーパーマーケットなどのデザートを置いてあるコーナーには、あんなにたくさんのデザートが置かれているのに、ゼリーは、全く置いていないのです。

 売っていないのならば、自分で作るしかない・・と、ゼリーを作ろうと思っても、ゼラチンは、日本ならば、大抵は、粉末状ですが、フランスでは、硬くて薄いシート状のもので、とても溶けにくく、量も測りにくくて、使いづらいのです。

 あくまでも、フランスは、消費者にとって使いやすいようにするという観念が薄い、いや、ないのです。

 こんなところでも、いちいち、フランスのダメさ加減を自覚させられるのです。

 粉末状のゼリーといえば、ゼリーというよりは、ジュレといって、コンソメ味のついた前菜の一品に使うような、自分で野菜などをテリーヌのような型に入れて作るものならば、わりと一般的に、どこのスーパーマーケットにも置いてあります。

 それでも、時々は、ゼリーが食べたくて、硬いシート状のゼラチンを買ってきては、不器用に硬いゼラチンを溶かしながら、自分でゼリーを作っているのです。

 ゼラチンは、コラーゲンも含まれている、ローカロリーの、とても優秀な食品であるにも関わらず、フランスに広まらないのは、フランス人の好み、食文化がかなり保守的であることにもよるのかもしれません。



 











2020年3月7日土曜日

娘の帰省




 娘が一人暮らしを始めて、一年半が経ちました。学校が一週間以上のお休みに入るとパリに帰ってきます。それは、さながら、私が日本に帰国するときの様子のようで、とにかく、食べることに真剣で、一食も逃すことなく、食べることに重きを置いています。

 日頃、自炊をしている彼女にとって、普段、自分で作ることができない料理をここぞとばかりに食べて行くのです。

 私が日本に帰国する時と違うのは、彼女が出来るだけ、外食を避けていることで、フランス料理嫌いで、何よりも和食党の彼女にとっては、パリでは、いくらでも和食も、外で食べられるとはいい、彼女曰く、「たとえ、ラーメン一杯であっても、安くて12〜15€(1500円程度)の和食は、コスパが悪すぎ・・」だそうで、できる限りを、家で食事をできるようなスケジュールの組み方をしているのには、苦笑してしまいます。

 それは、家で食事をすれば、自分の好きなものが、出てきて、しかも、お金を払うわけではないし、自分の慣れ親しんだ、好みのものが出てくるのですから、そのほうがいいに違いありません。

 ましてや、今回のように、私が日本から帰ってきたばかりで、日本食品がたくさんある状況においては、なおさらのことです。

 私の従姉妹が娘へと持たせてくれた娘の好きなお店の揚げまんじゅうなども、滅多にニコリともしない彼女が、溢れんばかりの笑顔で、それはそれは愛おしそうに、わざわざ、そのために日本茶なども入れ直して、じっくりと味わい、しかも、その後、しばらくは、余韻を味わいたいからと、他のものは、口にしません。

 その食への情熱には、我が家の遺伝子をひしひしと感じさせられます。

 そんな娘の様子に刺激されるのか、猫のポニョまでが、エラいがっつき様で、自分のキャットフードは、そっちのけで、私たちの食事に突進してくる様子は、我が家の遺伝子が乗り移っているようで、ちょっと怖いほどです。

 あまりの勢いで私たちの食事に突進してくるポニョに閉口して、食事をしている部屋からポニョを締め出したら、今度は、その仕返しとばかりに娘の部屋のベッドの上で、💩をするという恨みを込めた行動に出て、しかも、悔しくて、どうしても💩をしようとしたけれど、なかなか出ないのを絞り出そうとしたような形跡。

 猫のそんな食い意地までもを湧き起こす娘の帰省時の食への執念は、凄まじいものであるに違いありません。

 考えてみれば、娘の帰省は、私の日本への帰国と同じ、里帰りのようなもの。

 自分の日本への帰国時のことを省みれば、娘やポニョの様子にも、何も言えないなと思いながら、明日は、娘のために何を作ろうかと考えています。

 










2020年3月6日金曜日

新たに娘が見つけた居るだけでいいというフランスでのアルバイト




 依然として、失業率が高く、若年層においてさえも厳しいフランスの雇用情勢の中、若者の学生アルバイトとて、見つけるのは、容易ではありません。

 これは、フランスの経済が低迷していることはもちろん、その雇用形態と、本来ならば、労働者を守るための法律に起因しています。

 つまり、一度、雇ったら最後、解雇することも容易ではなく、若者を含めた新規の雇用が難しい状態になっているのです。

 そんな中、いわゆる日本には、有り余るほどある学生アルバイトのような仕事でさえ、なかなか、若者にもその機会が巡って来ないのが現状なのです。

 こういった状況の中、娘は、一人暮らしを始めて以来、彼女の現在の住まいの近くの私立の学校と契約している、エチュード(正規の学校の授業が終了した後の補習授業)を提供する会社と個人契約して、補習授業の講師のアルバイトをしています。

 ある程度、自分の学校の授業などのスケジュールと調整できることもあり、彼女は、やる気のない生徒に対しても、かなり厳しい、おっかない先生として、アルバイトを続けてきました。

 それが、昨年末あたりに、もう一つ、土日をメインにしたバイトを見つけたといって、新しいアルバイトを見つけてきたのです。学校の先輩がこれまで続けてきたアルバイトで、彼女が留学を機会にその仕事を辞めるために、後任を探しているとのことで、何やらとにかく楽そうな仕事だとか・・。

 果たしてそれは、ほぼほぼ、居るだけでいい、というアルバイトでした。先方は、「とにかく、時間だけは、きっちりしてくれればいい」ということで、駐車場のモニタールームで、モニターを監視して、たまにやってくる駐車場の利用者の質問に答えるだけで、その間は、勉強をしていても構わないし、食事もその場所で取ってくれれば、いつ、いくらでも食事の時間をかけても構わないという、またとない楽チンなアルバイトでした。

 モニターを眺めて、何か問題があれば、連絡をするだけ、(しかし、問題など、そうそう起こるものでもありません。)決して危険なことに自分で対応しようとしてはいけないというお仕事です。

 時間をキッチリ守ってくれる人というだけでも、フランス人の場合は、かなり絞られるのかもしれませんが、それにしても、そんなアルバイト、そうそうあるものではありません。

 以来、彼女は、自分のパソコンやレポートを抱えて、せっせとアルバイトに通っているのです。アルバイトでお金をもらいながら、彼女は、せっせとレポートを仕上げ、自分のしたい勉強をし、たまにやってくる駐車場のお客さんから、「勉強していて、エライね〜!」などと、お褒めの言葉を預かるのだそうです。

 この失業率の高い国で、こんなに楽チンなバイト、しかし、これも6月から始まる彼女のスタージュのためにあと3ヵ月ほど。

 美味しい話は、そう長くは続かないものです。

 
















2020年3月5日木曜日

理系の人間がまともな日常生活を送れない話 その2 娘が理系の道に進んで・・・




 以前、昔の私の職場にいた、ある意味、その道では、恐ろしく優秀な理系のトップの人たちが、なかなか、ユニークな人材の集まりでもあり、彼らが、ちょっと浮世離れした感じというレベルからも、かなり逸脱しており、往々にして、ごくごく普通の一般人の送る日常生活を普通に生きられないという話を書きました。

 そして、そんな昔の職場の理系の博士たちを懐かしく思い出した時に、自分の娘が理系の道に進み出したとたんに、まさかまさかで、その兆候が見え隠れし始めて、ヤバいというところまで、書きました。

 彼女は、小学校から高校まで、家の近所の私立の学校に通い、高校卒業後、プレパー(グランドエコールの準備学校)に進み、その後、グランドエコールに入学しました。彼女が選んだのは、バイオ系の理系の道でした。

 彼女は、高校生の段階で、すでに理系の道を選んでいたので、その時は、理系=以前の職場の博士たちの奇行・・という発想には、私の中では、まるで繋がらなかったのです。

 ところが、ここ数年、彼女は、ある程度、優秀であるはずにも関わらず、ごくごく普通の日常生活で、かなりの欠落した部分が目立ち始めたのです。

 毎日のことなのに、「いってきま〜す!」と家を出て、必ずといっていいくらいの割合で、何か忘れ物をしたといって、すぐに家に戻ってくるだけでなく、物を失くす、壊す、忘れる、転ぶ、駅を間違えて電車に乗り遅れる・・などなど、枚挙にいとまがありません。

 それも、年々、その度合いも頻繁になってきて、今回も、家に帰ってくるのに、鍵を忘れるし、定期券も何度失くしたことか、携帯も壊しては、失くし、歩いていれば転び、自転車に乗っていれば、車と接触事故を起こし、日頃の言動については、もはや、彼女の日常は、うかがい知れないので、わからないのですが、なかなか、きっと、一日、密着してビデオでも撮っていたら、さぞかしおかしなことをやっているのではないかと思われます。

 もともと、周囲の目を気にして、自分のやりたいことを控えるタイプではありませんでしたが、一人でも、自分のペースで堂々と自分を貫いて日常を過ごしているらしいのは明白で、いわゆる周囲の空気を読んで思い煩うといったことも一切ありません。

 きっと、この辺りが、常人との境目で、今から思えば、理系の博士たちの歩まれてきた道を着々と歩んできていたのです。

 普段は、親元を離れて学校の近くのシェアハウスで暮らしている彼女ですが、現在、冬休みでパリに帰ってきており、また、休み中に次の留学手続きの書類を揃えていたのですが、締め切りの期日を間違えており、今週中に提出しなければならない書類をシェアハウスに忘れてきており、あわや、TGVで数時間かけて、シェアハウスにトンボ帰りしなければならないところを、同居人になんとか連絡をとり、彼女の部屋にある書類をメールで送ってもらう手筈をなんとかつける算段をしているところに、彼女の部屋から、ガラガラガッチャ〜ンという派手な音。また、何かを破壊した模様。

 心優しい同居人のおかげで、留学手続きの書類は、無事に送ることができたのですが、万事がこの調子のズボラ加減で、一体、どうして彼女の学業に支障が出ないのかは、不思議でなりません。

 昔は、職場の博士たちの奇行に、呆気にとられて笑っていた私ですが、これが我が娘のこととなれば、笑ってばかりはいられません。

 親としては、そんなに優秀でなくてもいいから、無事で、つつがない人生を歩んで欲しいと思うばかりです。

 
⭐︎よろしければ、前編もご覧下さい。
「理系の人間がまともな日常生活を送れない話 その1 娘が理系の道に進んで・・」
https://rikakaigaiseikatsu.blogspot.com/2019/08/blog-post.html

2020年3月4日水曜日

コロナウィルスにも屈しないフランス人のデモ・ストライキ






 私が日本から帰国した翌日、猫の世話を頼んでいたジャン・ピエールという元同僚のフランス人から電話がかかってきました。

 「無事、予定どおり、帰れたんだね。日本は、どうだった? コロナウィルスで日本は、患者がたくさん出ているんでしょ! 」そう言って、彼は、ほとんど、一人で、フランスのテレビで報道されているであろうことをほとんど一人で滔々と話し続けていました。

 日頃からおしゃべりで、話し出すと止まらない人ですが、それにしても、手をこまめに洗った方がいいとか、うがいをした方がいいとか、そばにいる彼の奥さんも加わって、説教じみたことを言い始めたので、内心、うんざりしながらも、彼の現在の関心事は、コロナウィルスなんだ・・と思わずには、いられませんでした。

 翌日に、彼は、預けていた鍵を返しに来てくれたのですが、昨日の饒舌っぷりとは、打って変わって、いざ、家にやってくると、私が日本から帰ってきたばかりで、感染している危険性があるとでも思っているのか、彼自身、口には、出しませんでしたが、明らかに私を恐れている感じで、いつになく、落ち着かずに、鍵だけ渡すと早々に帰って行きました。

 コロナウィルス騒動の当初から、アジア人がウィルス扱いで、差別されているという報道を目にしてきましたが、こういうことが発端になっていくのだろうなと、初めて、身近なこととして感じたのです。彼の場合は、差別というよりは、単純に恐怖なのでしょうが・・。

 とはいえ、フランスは、早々に中国・香港・上海へのフライトをストップして、ウィルス感染の対策をとり、今のところは、日本のように多数の感染者は出てはいませんが、それでも、室内など閉鎖空間で5000人以上が集まるイベントを禁止する政府方針を発表しています。

 実際に、パリで予定されていたハーフマラソンなども中止になっています。

 しかしながら、私が疑問に思うのは、パリでも、薬局でマスクが売り切れになっているとか、消毒薬が売り切れているとかいう話を聞くわりには、街中でマスクをしている人は、あまり、見かけないどころか、昨日も年金反対のデモが行われていて、彼らのウィルスへの危機観念というのは、年金問題のデモとなるとすっ飛んでしまうものなのかと、大いに疑問に思ったのです。

 たしかに、デモは、閉鎖空間ではありませんが、大勢の人と接触する場面であることに変わりはないと思うのです。それも、また、なかなかの人出でなかなかの騒ぎだったようです。

 彼らは、それなりにウィルスに対して、恐怖心を抱いたり、アジア人を差別するような行動に出つつも、根本のところでは、自らマスクをしたり、大勢の人との接触を避けるほどの危機感はなく、年金問題での怒りが高まり興奮すれば、デモに走るほどの危機感しか持ち合わせていないのです。

 しかし、一応、フランスでは、コロナウィルスの予防対策として、
・定期的に手を洗う ・握手をしない ・ビズー(挨拶のキス)をしない 
・咳やくしゃみをする際は、肘で口を押さえる ・一度使用したティッシュは使わない
・病気の際は、マスクを着用する
といった呼びかけをしています。

 肘で口を押さえるとか、一度使用したティッシュは使わない・・など、日頃の基本的な衛生観念にツッコミを入れたくなるような内容であることも、「ああ、私は、フランスに帰ってきたのだな。」としみじみ思わされるのです。

 3月31日には、再び、大掛かりな、ストライキ・デモが予定されているそうです。
フランス人にとってのストライキやデモは、コロナウィルスにも屈しないのです。