2024年7月30日火曜日

最後までグタグタ・・セーヌ川の水質問題 トライアスロンがデュアスロンになる可能性

  


 危険視されていたセーヌ川上でのオリンピック開会式もなんとか事件も事故も起こらずに済み、今回のオリンピックで終始、疑問視されていたセーヌ川でのトライアスロンが最後の最後までセーヌ川の水質問題で未だに動向が不明となっています。

 セーヌ川で開会式のパレードを行うことも、ちょっと前代未聞の荒唐無稽な話ではありましたが、またそのセーヌ川を利用してトライアスロンの競技を行うという決定も、リスクの種類は違っても、同様にちょっと考えられない発想でした。

 セーヌ川の水質を改善させることは、長いことパリ市の課題でもあり、このオリンピックを機に、浄化させることを目標としてきました。

 パリ市は、このためにオーステルリッツに水を浄化するための巨大な貯水池を落成したりしたものの、今年に入って以来、イル・ド・フランス(パリを含む周辺の地域)は極端に天候の悪い日が多く、降水量も増えて、ギリギリまで水質検査の結果がオリンピック基準にパスできないまま、5月末から6月にかけて、大雨のために5万リットルの汚水がセーヌ川に流出するという事態まで起こっていました。

 このセーヌ川の水質問題が浮上するたびに、マクロン大統領やパリ市長が、絶対に水質には、問題がなくなると確信している!なんなら、オリンピック前に自分が泳いで見せる!と言い放ち、現に、オリンピック開催のギリギリ直前の7月17日に本当にセーヌ川で泳いで見せるという体当たりのデモンストレーションを行い、水質改善をアピールしていました。

 ところが実際にオリンピックが始まってみると、セーヌ川の水質検査は数回、続けて水質検査の結果に問題があり、トライアスロンのセーヌ川での事前トレーニングが2回連続で延期され、いよいよ日程が差し迫り、まさかの事態には、トライアスロンではなく、デュアスロンになるかもしれないという可能性がでてきています。

 こうなってくると、遡ってパリ市長が泳いだ日も実は水質検査はパスしていなかったのでは?という話まで出てきて、パリ市長は、「あの日はたしかに水質検査はパスしていた!」と火消しに必死。この期に及んで、まだ、競技当日には、水質は改善されるはずと言っています。

 そもそもオリンピック開会式の日は残念ながら、パリはかなりの雨で、そのうえセーヌ川はパレードのために選手たちが乗った船だけでも85隻にのぼる数の船、それに加えて警備用の船も含めたら、少なくとも100隻以上の船が雨の中を時間をかけてセーヌ川を通っているわけで、加えて、翌日も雨の一日。セーヌ川の水がきれいなわけがありません。

 セーヌ川の水質問題については、専門家が出てきて、「セーヌ川が泳げるようになるには、あと4年くらいかかる」などとも言っています。

 はっきり言って、セーヌ川がきれいかどうかは一目瞭然で、誰も好んでセーヌ川で泳ぎたい人はいないはず。同じくウォータースポーツでサーフィンなどの映像を見ていると、タヒチの海は本当に美しく、トライアスロンの選手からしたら、恨めしく感じることと思います。

 そもそも、こんなにギリギリまで、事前のトレーニングも現場でできないなど、もうこの時点で選手には申し訳ない話。まだ結果は出ていないとはいえ、トライアスロンがデュアスロンになろうものなら、そのために、何年間も人並み外れた訓練を積んできた選手にとったら、痛恨の極みです。

 火曜日の朝8時に行われる男子のトライアスロン競技は当日の朝4時に採取した水質検査の結果にかかっており、これにパスしない場合はまた延期、競技日程の最終リミットは金曜日(8月2日)の朝8時。当日、再び朝4時の水質調査の結果、パスできなかった場合は、この日が緊急事態宣言日となり、トライアスロンではなく、デュアスロンになる可能性があると見られています。

 試合当日に向けて体調を合わせていく選手にとって、これは酷い話です。

 水質検査がパスできなかったとしても、またパスしたとしても、いずれにしても、この水質検査ギリギリのセーヌ川で泳ぐのは、どんな罰ゲームなのか?という気がします。

 開会式のセレモニーにしてもトライアスロンにしても、どうしてそこまでセーヌ川にこだわるのか? そもそも最初から問題視されていて、代替案があるとも言っていたのに、結局、最後までグダグダでギリギリまで引っ張るカタチになってしまいました。

 単純に言って、水質検査をしなくても、「泳げるかどうかは、見ればわかるでしょ!」っていう気がするんですけどね・・。


パリオリンピック セーヌ川の水質問題


<関連記事>

「約束どおりセーヌ川で泳いだパリ市長とセーヌ川周辺の今」

「パリオリンピックに向けてのセーヌ川の水上タクシー」

「セーヌ川に5万リットルの汚水流出 パリ市長とマクロン大統領はセーヌ川で泳げるか?」

「セーヌ川を浄化するためのオーステルリッツの貯水池落成」

「パリオリンピックまで3ヶ月 セーヌ川の水質状況の悪さに警告」


2024年7月29日月曜日

オリンピックを開催している街ってこういう感じなんだ・・

  


 パリオリンピック開会式の日は、交通手段も限られていたし、その翌日もお天気が悪く、なんとなく、街中に出てみようという気もしなかったのですが、2日後、ようやく、ちょっとオリンピック色に染まった街の様子を覗いてみようか?と、パリにあるいくつかのスタジアムのうちの一つの近辺を少し歩いてみました。

 相変わらず、我が家の周辺のバスは通常運転にはなっておらず、「え~~?まだダメなの~~?」と正直ウンザリもしたのですが、セーヌ川へのアクセスは、場所にもよるのでしょうが、再開されていて、久しぶりにセーヌ川沿いも歩くことができました。

 スタジアムの近くの駅は、やはり警備は相当なもので、「メトロ、結構、混んでる?」と思ったら、警備隊(私が見たのは憲兵隊でしたが・・)がメトロの中にまで乗り込んでいました。


 おそらく、セーヌ川近辺に取られていた人員が今度は市内、メトロの中にまで配置されるようになったものと思われます。まあ、こんな警備隊がメトロの中にまで乗っているのは、多少、緊迫感もありますが、よく考えてみれば、安心なわけで、おそらく、日常のパリよりは、数段、治安がよくなっているのではないか?と思われます。

 お天気が良いだけで、パリは本当に格段に美しく感じられ、また、オリンピックのための表示や看板などが周囲の風景や緑の木々など、計算しつくされたようにマッチしていて、路肩に何気なく置かれたブロックなどまでもが、今回のパリオリンピックカラー(オリンピックの五輪の色とは別のパステルピンクとペパーミントグリーンなどなど・・)にペイントされていて、とってもいい感じです。



 開会式のための警備のための、あまりの規制の厳しさに逃避してしまったパリジャンも多かったわけですから、すべてのフランス人がオリンピックに好意的、またオリンピックに興味あるというわけではないとは思いますが、それにしても、やっぱりオリンピックを開催している街がなんとなく、次第に湧いてくる、なんとなく多くの人がワクワクしている感じというものを少しずつ感じています。

 テレビのオリンピック中継なども、いつもは要所要所に少しずつフランス人の分だけ・・という感じが多いのですが、今回は、時差もなく、何より開催国ということで、夜20時のニュースの時間なども、ほぼ一般的なニュースは最小限でオリンピックの中継やオリンピック関係の報道に割かれています。

 私は、オリンピックといえば、やっぱり日本人を応援したくなるのですが、ふだんはあまり日本人の分は放送してくれないので、日本人がいない競技はフランスを応援します、

 昨日はちょうど、水泳の生中継をしていて、フランス人も日本人も出てきた男子400メートルメドレーの試合でした。

 これは珍しいタイミング!と思って見ていたのですが、満席の会場の応援はほぼほぼフランス人の応援で、テレビ越しからでも伝わってくる観客席の大熱狂。各国からの応援団はそれぞれいるとはいえ、これはフランス人にはずいぶん有利、気持ちの上がりかたはずいぶん違うのではないかと思いました。

 その試合では、なんとフランス人が金メダル!日本人が銅メダルを獲得していました。

 ちょうど、その日には、たまたま行ったスタジアムの近くに時計メーカーのOMEGA(オリンピックの公式タイムキーパー)のパビリオンができていて、実際にオリンピックで使われているタイムを測るための装置や実際のプールの中の装置がどんな風になっているのかなどを見てきたばかりだったので、「ほんとに、あれ、使ってるんだ!」あの展示場に出ていた写真の人(奇しくも当日金メダルをとったフランス人選手)だ!などと、いつもよりは、興味深く見ることができました。






 このオメガのパビリオン、実際に自分で走ってみてタイムを計ってくれるゲームなどもできるし、わりとふらっと見て回れるので、機会があれば覗いてみるのも楽しいかもしれません。Parc de Bercyの中にあります。入場無料です。

 まだまだオリンピックは始まったばかりではありますが、街がオリンピックでなんとなく高揚していく感じというものは、こんな感じなのか・・というのを少しずつ感じています。

 と、同時に無観客のまま行われた東京オリンピックは、本当に残念だったな・・とも思うのです。


Paris 2024 パリオリンピック


<関連記事>

「空いているパリを満喫する1日」

「パリは想像以上にガラガラ・・パリジャンはパリにいない・・観光客もあんまりいない・・」

「特別警戒中のパリ 驚異的な数の警察官・憲兵隊と交通機関の混乱と・・」

「東京オリンピックの閉会式 パリではみんなが大熱狂だった!」

「無観客になった東京オリンピックについてのフランスでの報道」



2024年7月28日日曜日

フランスにとってのオリンピック開会式セレモニーの意味

 


 4時間以上にも及ぶ2024年パリオリンピックの開会式セレモニーは、悪天候の中にもかかわらず、大きなトラブルに見舞われることもなく、無事、終了しました。

 マクロン大統領は、翌日、会見で、このイベント前から警備にあたった人々、ボランティアをはじめ、2024年パリオリンピックの成功に貢献したすべての人、特に大会の安全を確保した人たちに感謝したいと述べました。

 また、X(旧Twitter)には「誰もが不可能だと言った・・しかし、私たちはやり遂げた!それは集団の力、国家の投資、そして私たちを守ってくださる皆さんの並外れた動員のおかげです。ありがとう!」とポストしています。


 彼は今回の開会式セレモニー開催のための異例の動員に対して国の感謝の意を表明しているのです。

 まさに今回の警備のための動員は、まさに「異例」の動員で、日常から他の都市に比べて格段に警察が多いパリでさえも、こんなに連日、大所帯の警備隊を目にする日々は(特に最後の1週間)あり得ないことで、日々、パリの住民は減っていき、終いには、「ここ、警察官の方が多くない?」と思う場所もあるくらいでした。

 そもそもバカンス命のフランス人にとって、バカンスに行かずに夏の間も仕事をしろ、オリンピックのために働け!というだけでも大の難題であったのに、なんといっても、このセーヌ川上をパレードするという警備上、この上ない難題をかかえて、一体、どうするのだろうか?それこそ、「誰もが不可能だ」と思ったはずです。

 しかも、世界情勢も不安定でフランス国内でさえも決して安定した政情ではなく、ましてや、6㎞にわたる川岸、水を挟んで両岸を1週間まえから閉鎖して、テロの可能性のあるものを排除し、海外からの動員も受けながら、警備を続け、その間にオリンピックのための仮設会場やセレモニーのためのセーヌ川沿いのデコレーションや観客席まで作り上げたのですから、これは日常のフランスを知っている身からしたら、本当に快挙です。

 だいたい、工期というものがあってないような日常のフランスにもかかわらず、これをなんとか間に合わせただけでも驚きのことです。

 セレモニーのパフォーマンスに関しては、賛否両論、色々あるようですが、それですら、大胆といえば、大胆、かなりやり過ぎというか、極端なパフォーマンスはありましたが、論争が起こることを恐れずにやってしまう、むしろ、論争を歓迎するというか、堂々と受けて立とうとしているところがそれぞれの演出などをしたアーティストにはある気もします。

 敢えて、誰にでも受け入れられそうな無難なものには仕上げずに、このなんでもありな感じを敢えて出していくのがフランスでもあり、また一方では、同時にものすごく保守的な部分ももっているのがフランスなのだと思っています。

 特に、フランス(マクロン大統領)にとっては、この「セーヌ川沿いのパレード」からの開会式という「誰もが不可能だと言ったことをフランスがやり遂げた!」という部分の方が重要なことで、特に集団的な努力を強調することで、レジリエンス(不利な、困難な状況の中で対応する力)を示し、オリンピックを国民の団結を強化できる象徴的なプロジェクトとして見据えており、この大会のプラスの効果(成功体験)が国中に広がることを願っていました。

 同時にこの規模のイベントを組織するフランスの能力を強調しているとも言えます。

 とはいえ、現段階では、最もリスクがあると言われた開会式が一応、テロなどの標的にはならずに終了したというだけで、まだまだオリンピックはこれからです。

 もっとも、この開会式の成功が「国が総力を併せて団結すれば不可能を可能にできる!」と必ずしもそう簡単に国民は思わないことも明白なことで、このあたりが、マクロン大統領が国民と嚙み合わないところでもあります。


パリオリンピック開会式セレモニー


<関連記事>

「大雨のオリンピック開会式当日 前夜の事件とセレモニーあれこれ」

「あれだけいたパリの露天商はどこへ行ったのか?」

「空いているパリを満喫する1日」

「パリは想像以上にガラガラ・・パリジャンはパリにいない・・観光客もあんまりいない・・」

「基本、信用しないことで成り立つフランスでの生活」

「フランスの工事には工期というものがあるのか?」

 

2024年7月27日土曜日

大雨のオリンピック開会式当日 前夜の事件とセレモニーあれこれ

 

 

 朝、目覚めて外を見たら、雨が降っていました。前日の天気予報でも雨の予報だったので、「やっぱり雨か・・」と思いました。この日は、近所のバスなども全て運行休止。コマーシャルセンターまでクローズになっていて、最後のとどめか・・と思いましたが、ここまでされるともうその日は外出は断念、ロックダウンしていました。

 オリンピックの警備のための様々な交通規制や制限のために、パリを脱出してしまった人も多いなか、私は、オリンピックの開会式などを見に行くことはしなくても、自分の住んでいる街でオリンピックをやるなんていうことは滅多にないこと!と思って、この期間は、パリに留まることにしていたのです。

 しかし、実際に住んでいる街でオリンピックをやられるということは大変なことだと実感!、また今回の開会式がセーヌ川上6㎞にわたってパレードを行うなどという荒唐無稽?なことを実現させようとしたために、その1週間以上前から警備が異常に厳しく、広範囲にわたることになりました。

 私は、オリンピックに関わる仕事をしているわけではありませんが、ここまで住民の犠牲を強いたからには、やっぱり素晴らしいものにしてほしいと思っていました。

 それが雨に加えて、朝一番のニュースはSNCF(フランス国鉄)のTGVネットワークへの大規模攻撃による交通網大混乱のニュース。


 あわやテロ?と思いましたが、報道機関は慎重で「テロ」という言葉は使いませんでしたが、オリンピック開会式当日という日にちを選んで数か所、同時攻撃というのは、穏やかではありません。この攻撃により被害を被った人の数は80万人を超えていると言われています。この事態にSNCFは、かなり早い段階で全額返金を発表。事態の混乱を少しでも抑えるためか、異例の早期の全額返金の発表となりました。

 オリンピックの開会式は結局は家でテレビで見るのが一番よく見えそうで、カウントダウンしながら生中継している様子を見始めると、パリは世界の中心!とか、世界中の注目がパリに!とか、また臆面もないタイトルがつけられています。




 この種のイベントがあるたびに、また今回はオリンピックという特別なイベントとはいえ、この聞いている方が恥ずかしくなるほどの自国を誇る様子には、おそれいっちゃいます。

 聖火リレーが最終地点まで到達する様子をドラマ仕立てにしてあったり、今回のオリンピックのメダルの意味をさりげなくドラマの中で説明し、フランスの高級宝飾店ショーメデザインのメダルがルイ・ヴィトンのケースに入って、ダンサーの中をうやうやしく登場する。ダンスの中には、パリ・オペラ座のスターも登場。ムーランルージュの踊り子たちがフレンチカンカンを披露する!

 実況しながら、YES!と悦に入る感じのジャーナリストもいるくらい・・。しかし、現場は、残念ながら、けっこうな雨が降っていて、船上から声援にこたえる選手たちが雨ざらしになっている(そんなことは感じさせないけど)のが気になりました。

 修繕中のノートルダム大聖堂さえも使ったダンスの演出、ほんの数日まえまでストライキを警告していたダンサーはこの中の誰だったんだろうか?などと思いながら見てしまいました。

 まあ、多少、首を傾げるような演出はあるものの、やはり、見事な祭典ですが、しかし、それにしても長いセレモニーに現場で見ている人も大変だろうな・・と思ってしまいます。



 もう日本の選手団が登場してきたら、どうでもいいや・・と思いきや、それまでが長いこと長いこと、そして、やっと出てきたと思ったら、日本の選手団の紹介の時間が短い!

 かねてから感じることですが、オリンピックやスポーツに関する日本の選手に対する扱いがフランスはどうにも雑というか、冷たいような気がしてなりません。日本の文化に対しては、格段に上質のものとして扱ってくれるのに比べて、これはどういうわけなのか?と思ったりもします。ちょっと意味のわからないパフォーマンスに延々と時間を割くんだったら、それぞれの国にもっと注目してよ!と思ってしまうのです。

 とはいえ、パリ住民にとっては、大変なお騒がせだったこの開会式が終わってくれて、私にとっては、オリンピックの半分は終わったような気分です。

 この開会式さえ終われば、市内の規制も日常とは言わないまでも、ずいぶん緩和されると思うので、悪いですが、正直、少しホッとします。

 しかし、昨日まではあんなに晴れていたのに、パリだけピンポイントでこんなに雨とは・・。

 それにしても、テレビとはいえ、こんなにオリンピックの開会式を長時間見たのは、初めてでした。



 しかし、フランスが国力を見せつけたかっただろうと思われるこのセレモニー、セレモニーが始まってすぐに、マクロン大統領がX上で「世界が私たちを見ている!」とポストしたり、全体的にメッセージ性が強く、フランスアピールが濃くて、フランスの選手が最後に登場するのは、開催国だから仕方ないとしても、その時だけ、エッフェル塔や橋がカラリングされてピカピカしたりするのはなんだかな~?と思ってしまったのです。




 しかし、最後のオリンピック開会宣言をするマクロン大統領が珍しく、ちょっと緊張していたのには、ちょっと驚きました。

 これで、やっと終わり!と思ったら、まだまだで、ジダンやナダルが出てきたと思ったら、今度は、また聖火が船乗っちゃって、コマネチやカールルイスまで出てきた!もうホント、詰め込みたいものが多すぎたのはわかるけど、まとまりない感じ・・簡潔に話すことができなくて、いつまでも話し続けるフランス人っぽい感じがよく出てました。

 本当に、どこまで引っ張るのか?って感じ。あらら聖火がルーブルに戻っちゃった・・もうルーブルは聖火は通ったはずなのに・・。

 でも、最後のセリーヌディオンは感動したな~~。

 ともかく、良いところも悪いところもフランス感満載でした。でも、なんだかんだいっても、私はそんなフランスが好きです。

 それにしても、パリでこんなに本格的に雨が降り続けることも珍しい。

 全てが終わったあと、みんなが「やっぱりフランスは世界一!」と讃え合うところもフランス。



パリオリンピック開会式セレモニー


<関連記事>

「空いているパリを満喫する1日」

「パリは想像以上にガラガラ・・パリジャンはパリにいない・・観光客もあんまりいない・・」

「オリンピック開会式のセレモニーに登場予定のダンサーたちが当日のストライキを予告」

「特別警戒中のパリ 驚異的な数の警察官・憲兵隊と交通機関の混乱と・・」

「パリオリンピックに向けてのセーヌ川の水上タクシー」


2024年7月26日金曜日

あれだけいたパリの露天商はどこへ行ったのか?

  


 オリンピックの警備が厳しくなって、住民でさえも、通行は厳しく制限され、現在、パリの街には、警察官や憲兵隊が溢れています。特にここ数日では、警察官も海外からの警察官もけっこういて、物々しいこと極まりない感じです。

 そんな警察官の警戒に気をとられて、しばらく気が付かなかったのは、日常、パリに数千人はいると思われる露天商がいつのまにか、姿を消していることです。



 そもそも違法の商売なので、日常から摘発してもよさそうなものなのですが、通常は見て見ないふりをしているというか、見過ごしているというか、特に観光地と言われるような場所には、ものすごい数の露天商がいるのです。

 一時、エッフェル塔の近くの露天商は、マンホールを貯蔵庫がわりに使っており、クレープの生地や水などが大量に押収された・・などというニュースが出回っていましたが、その露天商そのもの自体は、このオリンピックの警戒が始まる少し前までは、ふつうに存在していました。

 露天商がもっとも多いと思われるモンマルトルの丘(サクレクール寺院近辺)などは、ふだんは、所狭しと丘の途中にエッフェル塔の置物などの店を広げています。

 それがぴったりと、まったく姿を消したのも、ちょっと怖いくらいです。彼らは一体、どこへ消えたのだろうか?と思います。

 また、パリ市の街中に住んでいるホームレスなども、いつのまにか見かけなくなりました。これは、大々的に発表されてはいなかったものの、オリンピック前にフランス政府は、何千人もの移民のホームレスたちを地方都市にバスで移送していたようです。

 彼らには、地方都市などでの長期的な住居や社会福祉が提供されるものと思っていたものの、当の受け入れ先の都市とは、話がしっかりついておらず、場所を変えて、そのままホームレスとして生活を始めたり、パリに舞い戻ってきてしまう人もいるようで、実際、ここ数日、荷物をゴロゴロひいたホームレスらしき人をパリ市内でも、たまに見かけるようになっており、また、市内や駅などは厳重な警備で警察官の警戒が厳しいために、メトロの車内でお金の無心をするホームレスが登場しています。

 市内や駅などには、あれだけ警察官がいるのに、メトロの車内には、なぜか警察官は見かけないので、その隙をついて彼らは戻ってきている感じです。

 オリンピックの警戒は最も厳しいのはセーヌ川上で行われる開会式のパレードのためと聞いていますが、この開会式後は、どのくらい緩和されるのかわかりませんが、このまま恒久的に露天商というものがパリから消えるのかどうかはわかりません。

 今日は、街中で演奏をしているミュージシャンなども撤退勧告を強いられ、違反切符をきられていました。若い好青年だったこともあり、これくらいはいいんじゃないの?と思いましたが、例外を認め始めるとキリがないのかもしれません。

 パリは欧州内でも観光客が一段と多い場所でもあり、観光客とともに、これらの露天商なども近隣の欧州の国々から出稼ぎにやってくるケースも多いと聞いており、また、その商売自体も違法ではありますが、さらにスリやひったくりなどの明らかな犯罪行為の出稼ぎも多いわけで、この警戒を続けるのは、無理としても、この移民問題は、捨て置けない問題であるに違いありません。

 華やかなオリンピックの影には、やっぱり伏せられている問題が潜んでいるのです。


パリの露天商


<関連記事>

「パリは想像以上にガラガラ・・パリジャンはパリにいない・・観光客もあんまりいない・・」

「約2年ぶりに行ってみたモンマルトル サクレクール寺院」 

「モンマルトルの丘 サクレクール寺院あたりのガラの悪さにげんなり」

「露天のクレープの生地はマンホールに保管されていた・・」

「パリで犯罪から身を守る方法は、まず、犯罪の手口を知ること」

2024年7月25日木曜日

空いているパリを満喫する1日

  


 オリンピックまでのカウントダウンが始まり、今週に入ってから、公共交通機関や通行止めなどの不便さに腹を立ててばかりいるのもバカらしく、代わりに予想外に空いてきたパリを満喫することにして、いつもは、混んでいて断念してしまうレストランに行ったり、買い物(といっても食べ物・・)に行ったりして、それなりに空いているパリを満喫しています。

 メトロやバスなどの公共交通機関は前もって予告されていたところ以外でも運行していなかったり(特にバス)、途中までしか行かなかったり、これには少々閉口し、移動に時間もかかるのですが、その代わりにというか、その分、パリに人が少ないので、半分は、「そりゃそうだよな・・」「こんなに迂回しなければならなかったりするのは面倒くさいもんな・・わざわざみんな出かけないよな・・」と思いつつ、「いやいや、こんな機会はまたとない!」とその空いているという部分を楽しむことにしたのです。

 オデオン界隈(サンジェルマン・デ・プレ界隈)にお気に入りのレストランがあるのですが、そこは、いつも、行きたいな~行こうかな~?と思って覗いてみると、いつもすごく混んでいて、そうでない場合は時間を外してしまったりとなかなか行けていないお店があって、「そうだ!今なら、あそこも空いているかも?」と思って、行ったのです。

 それでも、行ってみるまでは、「今日はもう混んでいるかもしれない・・」とか、「あそこは、例外的にやっぱり混んでいるかもしれない・・」と目の当たりにするまでは、どうかわからないな・・と思っていたのですが、類にもれずにそこもやっぱり空いていました。

 このお店がお昼時にこんなに空いているのを初めてみましたが、ラッキーでした。地元のパリジャン・パリジェンヌにも大人気の、とっても美味しいお店です。久々のお気に入りのレストランのランチにとっても満足し、ゆっくり、ゆったりと食事をして出てきたら、サンジェルマン大通りがなんと通行止めになっていて、通りの向こうには行けなくなってしまい、帰りに生ハムを買って帰ろうと思ったのに買えず、「もう今日はやめておきなさいということだな・・」と自分に言い聞かせました。



 この近くでいつもは大混雑しているお店といえば、シティファーマ(CITY PHARMA)というビオコスメのお店があるのですが、そこもいつも大混雑していて、最近では、もう人にぶつからずに商品を見るのが大変なくらい大人気のお店なのです。たしかに品揃えが豊富なうえに、明らかに他よりも安いので無理もないのですが、今回の空いているパリの状況で、さすがにどうかな?と思って行ってみたら、空いている・・というほどではありませんでしたが、やはりいつもよりはずっと人が少なくて、いつもは10個くらいあるレジに行列ができていないことはないのですが、今日は、並ばずに会計ができました。こんなのはじめてです。



 そして、調子にのった私は、「だったら、デパートとかも空いてるかも?」とギャラリーラファイエット(といってもラファイエットグルメですが)にでかけ、やっぱり、いつもよりは、格段に空いている店内で悠々とお買い物・・といってもクロワッサンなどを買っただけですが・・。



 さらに調子にのった私は、パリで(このあたりで)あと、混んでいる場所は・・とセドリック・グロレを通ってみたところ(ここでは買わず・・)、さすがにここは行列ができていたものの、行列の長さがいつもよりも全然短く、やっぱりいつもよりも空いている・・と確信しました。



 人が少ないところは、例年の8月のパリといった感じではありますが、全然、違うのは人が少なくても、お店がちゃんとやっていることで、こんなにいいことはないな・・と思うのでした。8月のバカンスの際には、人出が少ないのを見越して、また、自分たちもバカンスに出かけてしまうために休みのお店も多いのですが、現在は、みんなやっています。

 一時は、テロを警戒して、オリンピック時にはお店は閉めようか?とか言っていた人もけっこういたと思うのですが、実際は、ほとんどのお店がオープンしています。

 しかし、今日は、スーツケースを引いて、来ないバスを待っていて、どうやってホテルまで行ったらいいか困っている観光客を見かけました。運航休止にするなら、ちゃんとアナウンスまたは、せめて張り紙くらいはしたらいいのに、それもなく、途方に暮れていました。

 GoogleMapなどには、通行止めになっている道などもあたかも通れるように出てくるし、タクシーなども簡単につかまる状況ではないので、本当に土地勘がない人には、大変なことだろうと思います。

 しかし、幸いにも暑すぎず、寒くもなく気候のよい日々が続くなか、思いのほかこんなに空いているパリを楽しめていることはラッキーなことです。

 去年までは、この時期までに猛暑・酷暑などと言われるような日があったと思うのですが、今年のパリは幸いなことに、そこまで耐えきれないほどの暑さにもなっていません。

 ところが肝心?の開会式の日、現在の天気予報では今のところ雨・・天気予報もあまりあてにならないし、よく変わるのでわかりませんが、こればかりはどうしようもないですね・・。


オリンピック前のパリは空いている


<関連記事>

「パリは想像以上にガラガラ・・パリジャンはパリにいない・・観光客もあんまりいない・・」

「特別警戒中のパリ 驚異的な数の警察官・憲兵隊と交通機関の混乱と・・」

「オルリー空港まで開通したメトロ14号線」

「パリオリンピック開会式1週間前からの通行止めとメトロ・RER 17駅閉鎖」

「パリでビオコスメを買うなら絶対ここ! シティファーマ・CITY PHARMA」

2024年7月24日水曜日

環境活動家ポール・ワトソン逮捕で注目される日本の人質司法

  


 今週初めのグリーンランドでの環境活動家ポール・ワトソンの逮捕はフランスで憤りと支持の波を同時に引き起こしています。この男性の環境活動家としての歴史は長く、1977年シーシェパード保護協会(主に反捕鯨)を設立して以来、様々なアクションを起こし、過去にも、数回、数か国で逮捕されています。

 彼のアクションはよく言えば、なかなかパンチがあるもので、捕鯨やアザラシ捕獲などの妨害行為や漁船乗り込みを始め、この反捕鯨を訴えるために、フランス人女優ブリジット・バルドーをカナダ北部の流氷に連れて行き、アザラシの赤ちゃん狩りを非難するアピールを行ったりと広報活動にも長けています。

 しかし、その行動はなかなか強引で時に破壊的、暴力的でもあったりしていることから、1979年には、カナダのセントローレンス湾で1000頭のアザラシの屠殺を阻止した際に暴力をふるったとして逮捕、1983年、ポール・ワトソンと彼のチームはシー・シェパード2号でニューファンドランド州セント・ジョンズ港を封鎖。

 10 年後、シーシェパードはクリーブランド・アモリー号を購入し、ニューファンドランド島のグランドバンクからキューバとスペインのトロール船を捕獲。

 その度に逮捕され、裁判が行われ、懲役刑などが課されていますが、結果的には、裁判所側が告訴を棄却したりしています。

 その後、1997年には、オランダで再び逮捕。ノルウェーは捕鯨船ニブレナ号沈没の罪で同氏の身柄引き渡しを要求し、彼は120日間拘留されましたが、オランダの裁判所が彼の引き渡しに反対したため最終的に釈放。

 彼の環境活動家としての活動には、その都度、賛否両論の嵐が起こってきましたが、2000 年、タイム誌は彼を 20 世紀の最も優れた環境擁護者 50 人の中に「エコロジーの英雄」として選出しています。

 彼の訴えによれば、「動物を殺そうとしている人の装備を破壊するのは、非暴力行為だ」そうです。

 しかし、2012年コスタリカのサメ漁船に対する航行妨害容疑のためにドイツで再び逮捕されますが、保釈中に彼を強く支援する者と出会い、逃亡していました。

 そして、彼は2024年7月21日にグリーンランドで逮捕、コスタリカはこの訴えをすでに放棄していますが、日本は調査捕鯨を妨害した容疑で海上保安庁から国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配中でした。

 俗にいうインターポールの赤通知が出されていたわけです。

 2016年の段階で、ポール・ワトソンは日本の国際手配について、「日本は違法捕鯨活動で国際司法裁判所から非難されているにもかかわらず、私を国際刑事警察機構のレッドリストに載せる経済的・政治的権力を持っている」と逆に日本の国際手配を非難しています。

 日本での彼の調査捕鯨妨害というものがどのようなことであったのかは、わかりませんが、彼については賛否両論がある中、グリーンランドが彼を日本に引き渡すかどうかが注目されています。

 捕鯨問題といえば、日本が矢面に挙げられることが多い気がしますが、今回はこの捕鯨問題云々以前に、日本の司法制度と刑務所制度は人権NGOによって非常に定期的に非難されており、2023年5月に発表されたヒューマン・ライツ・ウォッチの報告書は、日本の「人質司法」制度は、容疑者から適正な手続きと公正な裁判を受ける権利を奪っていると指摘されています。

 ポール・ワトソンは8月15日まで拘留されますが、グリーンランドはデンマーク自治領であるため、デンマーク法務省が日本に引き渡すかどうか決定します。マクロン大統領は、彼の引き渡しを阻止するために状況を注意深く監視し、デンマーク当局に介入しているとエリゼ宮が発表しています。

 つまり、この環境活動家の逮捕と同時に日本の人質司法制度が痛烈に非難されているという状況でもあるのです。


環境活動家 ポール・ワトソン 日本の人質司法


<関連記事>

「カルロスゴーン会見に見るフランス人流の自己主張の仕方」

「フランス税務当局、カルロス・ゴーンに追徴課税金と財産差し押さえ」

「フランス司法当局 カルロス・ゴーンに国際逮捕状発行」

「フランスの報道機関が指摘する安倍元総理と統一教会についての日本での報道と警察と政府、報道機関の歪み」

「日光でのフランス人女性行方不明事件について」