2023年9月21日木曜日

いじめ・嫌がらせをしていた14歳の少年 授業中に手錠をかけられ逮捕

   学校でのいじめ問題が深刻化し、新年度が始まる前に、「いじめ問題が確認された場合には、いじめられた被害者ではなく、加害者を退学、あるいは、転校させる」という措置をとるという国家レベルの法律を制定したフランスですが、事は、そんなに簡単に解決するわけもなく、新年度早々に、いじめを苦に自殺してしまった少年がいたことが報じられていました。 実際には、いじめられている、嫌がらせを受けている側の子の方が学校から遠ざかる傾向があるのは、当然のこと、しかし、現在は、学校に来る来ないだけでは、いじめや嫌がらせがやむことはなく、SNS上での嫌がらせを続けて拡散する手段は、被害者をさらに追い詰めることになっているのが現状のようです。 この新しい法律は、学校側の取るべき態度としての確固とした基準という意味では、有効ではありますが、実際に、9月早々に自殺してしまった子供の両親からの話では、何度も学校と話し合いを続けたが、充分な対策をとってはくれず、警察に訴えても、訴えを受け付けてもらえなかったなどという実情が暴かれ、この問題の道のりの長さを物語っているような気がしていました。 ところが、今度は、パリ近郊の中学校で、いじめ、嫌がらせをしていたとされる少年が授業中に逮捕されたという衝撃的な事件が浮上してきています。 この少年は、インスタグラム上でトランスジェンダーの少女にトランスフォビア的な発言や殺害の脅迫(かなり過激な内容)などを繰り返していた容疑で、いじめの被害者の少女の父親が通報し、かなり強く訴え出たことから、警察が動き出したと言われています。 警察への拘留後、この少年は、容疑の事実を認めていますが、問題になっているのは、この警察が授業中に学校に押し寄せ、授業中に少年を逮捕するという、かなり強引なやり方です。 この学校の責任者は、警察が介入することに同意していたとされていますが、授業中に突然、大勢の警察官が侵入してきて、容疑者の名前を呼び、「深刻な嫌がらせと殺害の脅迫で逮捕する」と述べ、少年の腕を掴み、手錠をかけたとクラスメイトの学生が証言しています。 想像するだけでも、かなりの衝撃的な場面にその後は授業にならなかったと言われていますが、これは、ある種の見せしめ的な意味があったのではないか?と思うのです。この少年に対する容疑を考えれば、何も学校で、しかも授業中に逮捕する必要はなく、家におしかけてもよかったわけだし、また、登校時、下校時などのタイミングでもよかったはずなのです。 それをわざわざ、授業中におしかけて、他の生徒の目の前で手錠をかけるようなことをするのは、多分に、嫌がらせをすれば、このような目に遭うという警告の意味があったとしか思えないのです。 警察が学校に介入することに同意していたとはいえ、授業中に手錠をかけて逮捕するという具体的なことまでは把握していなかった模様で、学校側は警察に対し状況の説明を求めていると言われていますが、これには、なんと政府報道官が説明に応じており、「この逮捕は検察と教育チームの合意のもとに行われたものであり、これが私たちが嫌がらせの惨状に対処する方法であり、これが私たちが子供たちを守る方法でもある」と毅然とした態度で回答しています。 いじめには、直接関与していないにしても、それを容認するという集団心理も加わる性質が多分にあると思われるため、かなり荒療治ではあるものの、これくらいの対応が必要なのではないかと思ってしまいます。 また、今回のケースもそうですが、最近は、いじめの対象となるのは、同時にLGBT問題であるケースも多く、問題をさらに複雑にしています。いじめ加害者少年...

2023年9月20日水曜日

日本の失われた30年に思うこと

   最近、よく日本のメディアでは「失われた30年」という言葉をよく目にするようになった気がしますが、正直、この30年は、はからずも、私が日本を出て、海外生活を始めて現在に至るまでの期間とまるかぶりしていることに、複雑な思いがしています。 フランスで暮らすようになって、30年は経っていませんが、その前にアフリカにいた期間などを加えると、ほぼほぼそれに近い年月が経っているわけで、海外にいるからこそ、外から見ている日本、たまに一時帰国する日本、フランスで見る日本のものなどが移り変っていることを感じることもあります。 それでも、実際にこの間を私は日本で暮らしていたわけではないので、実感として感じているわけではないのですが、たまに見かけるニュースなどでも、よい意味でも悪い意味でも、ついついフランスと比べてしまう癖がついている気がします。 そう考えてみれば、フランスに来たばかりの頃は、なんでフランスはこうなんだろう?と日本と比べて、腹立たしく怒ることが多く、「まあ、ここはフランスなんだから、仕方ない・・」と思っていたのですが、この30年近くの間に、日本のニュースなどを見るにつけ、また、フランスの様々な社会システムなどの変化に接するにつけ、「フランス人にできて、なぜ?日本人にできない?」と、逆に日本をもどかしく思うことが増えてきた気もします。 何よりも、私自身がフランスの生活に順応してきたこともあるとは思うのですが、それにしても、最近は、日本の「失われた30年」などという話題に触れて、残念ながら、やっぱりそうだよな・・と思ってしまうのです。 フランスに来たばかりの頃は、一年に一度、日本に帰るたびに、一年留守にするだけで、まるっきり、日本は景色が変わってしまう・・と驚かされるほど、新しいビルが建ったりしているのに比べて、パリって本当にいつまでたってもちっとも変わらない・・などと思ったりもしていたのですが、ある時期から、日本に一時帰国した折に、「えっ?こんなに年配の方が警備員とか、道路の交通整理などの仕事するようになったの?」などと驚かされるようになったのです。 また、かつては、電気屋さんなどに行けば、日本人として、ちょっと誇らしくなるほどに日本製品が高価な値段でずら~っと並び、日本製品は、絶対的な信頼を勝ち得ているような感じがあったのですが、いつのまにか、電気屋さんで日本製品を見かけるのは、珍しいことになってしまったし、日本のものでフランスで注目されるのは、日本食か、マンガやアニメ、そしてユニクロくらいでしょうか?  日本で物議を醸しているマイナンバーカードや保険証などに関しても、フランスでは、いつの間にか、スムーズにIT化が進み、問題なく進化しています。まさにフランスにできることが、なんで日本では、そんなに揉めているのだろうか?と思ってしまいます。 正直、フランスでは、日本のことは、よほどのことがない限り、細かいことはニュースにはならないし、そんなに真剣に話題にのぼることはありません。フランスにとっては、周囲のヨーロッパ諸国や、アメリカやロシアなどの方が差し迫った問題なのです。 それでも、昨日もこちらのニュースで見かけたのは、日本の少子高齢化の問題で、日本は人口の29%が65歳以上で、10人に1人が80歳以上、経済を支え切れずに、900万人の高齢者が働いているなどと伝えています。 政府に関しては、フランスだって、色々な問題はあるし、暴動にまで発展する事態も少なくありません。しかし、少なくとも、フランス政府には、フランスの将来のためにはどうしていくべきなのか?...

2023年9月19日火曜日

やっぱり美味しかったマドレーヌ Le Comptoir ル・コントワール Ritz Paris

   前々から、「ここのマドレーヌは美味しい・・」という噂は聞いていました。しかし、わざわざ出向くほどに、特にマドレーヌが好きというわけでもなく、「Ritz(リッツ)でしょ!そりゃ、美味しいでしょ!それなりのお値段だろうし・・」と思っていました。 まあ、機会があればね・・くらいに思っていたのですが、たまたま、何なのか?市内が異常に警戒態勢が敷かれていて、通ろうと思っていた道が閉鎖されていて、迂回しなければならなかったりして、たまたま近くを通りかかることになり、「そういえば、あのマドレーヌのお店(実際には、別にマドレーヌだけのお店ではない)、この辺だったかも??」と思いついたら、まさに、その通り沿いだったので、お店を覗いてみることにしたのです。 お店のウィンドーには、まさに山積みのマドレーヌのオブジェが飾られていて、あ~ここだここだ・・と思って店内に入ると、甘い香りが・・。 そんなに広くはない店内ではありますが、一応、イートインができるスペースもあって、お菓子が並んでいるケースの前には、行列ができていました。(といっても、セドリック・グロレのようなお店の外まで行列ができて、延々と並ぶ・・というような行列ではありません) マドレーヌがお目当てのお客さんが多いとはいえ、それ以外のケーキもしっかり売れています。しかし、まさに、もう拝むという表現がふさわしいようなケーキのお値段は、1個16ユーロ(約2,500円)とか18ユーロ(約2,800円)、少し大きめのものだったりすると、20ユーロを超えるお値段・・もはや、なんだか、国が違うというか通貨が違うのかと勘違いして、金銭感覚がちょっと麻痺してしまうような感じ・・一緒に並んでいるマドレーヌ(1個3.5ユーロ)(約550円)が安く感じてしまうから、おかしなものです。この写真だと大きく見えるけど、ふつうのケーキの大きさです そもそも、マドレーヌは、フランス人にとっては、ほんとうに身近なお菓子のひとつで、スーパーマーケットなどで袋入りで市販されているものでも相当な種類があり、大手のスーパーマーケットではそれぞれが自社ブランドの製品を出しているくらいポピュラーなお手軽なお菓子。そんな一般庶民(私も含めて)が食べるマドレーヌ一袋(5~6個入り)は、ここのマドレーヌ1個のお値段か、それ以下です。  マドレーヌも色とりどり、ナチュール、ショコラ、レモン、キャラメル、フランボワーズ、ピスタッシュ(これだけ1個5ユーロ)、パッションフルーツなどがありますが、たかがマドレーヌに3.5ユーロはやっぱり高い・・。 しかし、せっかく来たのだから、まあ、ちょっとくらい食べてみたいな・・まあ、まずは基本・・とオリジナル(ナチュール)のマドレーヌ一つだけを買って帰りました。 そもそも、どうしても、「たかがマドレーヌ・・」という気分が私の中には、あるせいか、どんなに高級なマドレーヌと言ったって、たかがしれている・・と思っていたので、そんなに期待もしていなかったのです。 でも、値段が値段の高級マドレーヌ、一度で食べてしまうのはもったいないとせこい考えを起こして、半分にして、ひとくちパクッと食べたときの意外な驚き!「えっ?ふつうのマドレーヌと全然ちがう!」。 そもそも、こんなに高いマドレーヌを買っておいて、期待していないのもおかしい話なのですが、どうせ、大したことない・・と思っていたものが、一口食べて、予想を超えた時に感動することは、そんなにあることではありません。 思わず、目を大きく開いて宙を見つめてしまう感じです。 何より、生地がなめらかで、上質なことに疑いの余地はなく、軽くて、やさしい味の今まで食べたことのないマドレーヌでした。 こうなってくると、他のものにも期待できそうで、細長いクロワッサンやパンオショコラなども買ってくればよかったと悔やまれ、後日、買いにいったときには、すでに売り切れ。 仕方なく、ショコラとキャラメルのマドレーヌを買って帰りましたが、これらは、中にクリームが入っていて、また、そのクリームが甘すぎず、キャラメルの方などは、キャラメルとはいえ、爽やかな味わいのキャラメルでこれまた別の感動でした。 頼めば、お土産用に箱詰めしてくれるので、日本へのお土産にすることも可能です。 ホテル・リッツの方は、ちょっと入りづらい、敷居の高い感じがしないでもありませんが、こちらのパティスリーは、それほど臆することなく入れる感じです。 まあ、ホテルリッツに泊まることを考えれば、その一辺を味わえるとしたら、まあまあ納得できないこともありませんが、それにしても、この高級スイーツの値段の高騰ぶり、そしてまた、これらが飛ぶように売れているのも不思議な現象だなとも思います。Ritz...

2023年9月18日月曜日

言ってはいけない言葉

   夫が亡くなってしまったとき、突然のことだったし、まったく予想にさえしていなかったdできことに、みっともないことに、私は、少なからず取り乱し、落ち込み、途方に暮れて、あの頃のことは、思い出すのも怖いくらい、一日、一日をどう過ごしていたのか? はっきり思い出せないことと、やけに鮮明に覚えていることとが混ざりあっています。 私は、胃に蓋がされたかのように、全く空腹というものを感じなくなり、食べられなくなり、眠れなくなりました。家中に何も変わらずそのままに残っている夫の洋服や靴、その他、買い物好きの彼が世界中で買い集めた奇妙な骨董品のようなものなどに囲まれて、ことあるごとに夫を思い出...

2023年9月17日日曜日

欧州連合 TikTok へ3億 4,500万ユーロの罰金

   今年の7月の段階で、フランス上院調査委員会は4ヶ月間にわたる調査と専門家、研究者、学者、政治指導者、TikTok側のフランスの代表らとの約30回の公聴会を経て、ソーシャルネットワークの利用と個人データの利用に関する報告書の結論を発表し、TikTokに対して、年齢制限、時間制限、危険なコンテンツについて扱いなどについての要請を行っていることを明らかにしていました。 この要請は、少なくとも21項目に及ぶもので、この段階で回答があったのは、その20%ほどで、残りの80%に対しては、なんら対策がとられていない状態ということで、一定の猶予期間を設けた後、2024年1月までに、これが改善されない場合はフランスは、TikTokに対して停止措置をとると発表していました。 そして、その2024年1月を待たずして、問題は、フランスだけでなく、欧州連合全体が問題を追及し、欧州連合は、未成年者のプライバシーに関する欧州データ保護規則...

2023年9月16日土曜日

新年度の始まりとともに、急激に増加しているコロナウィルス感染

   フランス公衆衛生局は、ここ1週間で急激にコロナウィルス感染者が増加していることを警告しています。 もう、また~~?と言いたくなるところですが、救急医療が処置したコロナウィルス患者数は、8月最終週からの1週間では、3,488件、9月に入り、4日から11日の間に4,067件に増加しました。その前まではわずか7%増でしたが、1週間で17%増となり、その後は22%増と3週間連続で上昇傾向が続いています。 この傾向は、学校に戻って最初の 1 週間の子供たちに特に顕著にみられる傾向であり、大人ではわずか 12% であったのに対し、子供では 58% 増加しています。過去の感染の経過を参考にするならば、子供が学校で感染してきたウィルスが家庭内に広まり、今度は大人に感染が拡大し始めるというこれまでの実績を考えれば、これからさらに2週間後くらいになると、本格的に感染が拡大してしまうことになりかねません。 これにつれて、救急外来の受診も増加しており、救急患者の数は30%増と堅調に?増加しており、救急患者の約3分の1が入院措置になっているそうです。 ただし、体調を崩して救急外来に訪れる人々の多くは、もはやコロナウィルスを疑うことはなく、風邪をひいた・・と言ってやってくるそうで、たいていの場合はドリプラン(パラセタモール)を飲んで、2~3日安静にしていればよい程度のもので、このような人々のことを、一部ではコビデットと呼んでいるそうです。 しかし、今回の感染拡大も依然として、重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある人々にとっては、深刻なケースに陥る危険があり、フランス公衆衛生局は、10月17日から予定していたワクチン接種キャンペーンを10月2日に前倒しすることを発表しています。 今年のワクチン接種には、欧州規制当局によって承認された新変異種XBB.1.5...

2023年9月15日金曜日

コンコルド広場にできているラグビーヴィラージュ ラグビーワールドカップ2023パリ

   現在、フランスでは、ラグビーのワールドカップが絶賛開催中で、このワールドカップが始まる少し前に見かけた工事中だったコンコルド広場のオフィシャルショップが完成したところを見てみようと出かけたところ、コンコルド広場全体が、ラグビーヴィラージュとなっていて、大きなオフィシャルショップだけでなく、巨大スクリーンが設置され、そこでは、現在進行中の試合の模様が中継されていました。 私が訪れた日の夜には、フランスの試合が開催される予定だったためか、このラグビーヴィラージュ周辺は、大変な警戒ぶりでした。 少し歩こうとシャンゼリゼから歩いて行こうと思ったのですが、通常ならば、シャンゼリゼを下っていけば、コンコルド広場に到達するのですが、これがシャンゼリゼの途中、グランパレを過ぎたあたりで、通行止め。 やたらと警察車両が止まっているので、何ごとか?と思いましたが、警察車両がたくさん待機していることは、決して珍しいことでもないので、そのまま通り過ぎたのですが、それにしても警察官の数も半端ではありません。 あと5分くらい歩けば・・というところで、いよいよ本格的に歩行者さえもシャットアウトで、警備にあたっている警察官を捕まえて、コンコルド広場には、入れるのでしょうか?と聞くと、迂回していくしかないとのこと・・。 結局、想像以上に歩くことになり、コンコルド広場に入るかなり前の道にも警官がたくさんいて、「ラグビーショップに行きたいのですが・・」と言ったら、荷物チェックのうえ、道を通してくれました。 最寄りのメトロの駅(①号線コンコルド駅及びチュイルリー駅)は閉鎖されており、せっかくのラグビーヴィラージュに簡単にアクセスできないことは、フランスの現在の治安を物語っています。 しかし、このワールドカップの期間(9月8日~10月28日)限定のラグビーヴィラージュは、その背景には、シャンゼリゼやエッフェル塔、チュイルリー公園などが広がる絶景のスペースです。 ラグビーヴィラージュの中には、巨大スクリーンの他に、大きなステージが用意され、簡単に遊べるミニラグビー場や障がい者用(車いす用)のスポーツエリア、飲食店のスタンドなどが、いくつかあり、コンコルド広場って、こんなに広かったっけ?と思わせられるスペースになっています。 飲食店のスタンドもそんなに多くはない中、ビールは、スポンサー企業であるアサヒスーパードライが独占状態で、さすがに他にワインやジュースもある中、フランスでビールがアサヒのスーパードライだけ・・という場所もそうそうないことで、これを機に日本のビールがもっともっとフランスでも広まってくれればなぁ~と思いました。 コンコルド広場は、来年のオリンピックにも、いくつかの試合が開催されるアーバンパークとして利用されることが発表されていますが、このラグビーヴィラージュは、おそらく、その予行演習のようなテストケースのようなものでもあるのかもしれません。 しかし、今回のように、実際にコンコルド広場で競技が行われるわけでもないのに、こんなに凄い警戒態勢で、大変な迂回を強いられるわけなので、オリンピックになったら、もうパリの街中は、自由に移動することが不可能になるのではないか?と、ちょっと、ウンザリしないでもありません。ラグビーヴィラージュパリ ラグビーワールドカップ2023<関連記事>「ラグビーワールドカップとジャニーズ性加害スキャンダル」「来年のパリオリンピック期間中 パリのホテルの価格が爆上がり!」「2024年のパリ祭のパレードとオリンピックの融合」「パリオリンピック...