2022年7月15日金曜日

パリ祭のシャンゼリゼの軍事パレード 完全復活とウクライナへのメッセージ

 


 毎年、フランスの革命記念日に行われるパリ祭のシャンゼリゼで行われる軍事パレードは、ここ数年、パンデミックのために中止はされなかったまでも、縮小されたり、観客なしで行われたり、いつもの規模ではありませんでした。

 今年のシャンゼリゼはすっかり通常モードの規模に戻っていました。

 シャンゼリゼの沿道の緑の樹々はフランス国旗に彩られ、凱旋門からコンコルド広場までを華やかな制服に身を包んだ兵士や各高等教育機関の学生など、今年は6,300人、64機の航空機、25機のヘリコプター、200頭の騎馬隊、181台の機動車両が2時間近くかけてパレードを行いました。




 パレードの比較的前半には、トリコロールの噴煙を流しながら飛行機がシャンゼリゼ上空を飛び、我が家の窓からもトリコロールの噴煙がパリの空を舞っていく様子が見えます。

 この数日前にたまたまパリの街を歩いていたら、突如、爆音が聞こえて、驚いて空を眺めたら、このデフィレ(パレード)の予行演習で、結構な低空飛行でその音のもの凄さに驚かされました。



  

 中でも私が最も美しいと思うのは、終盤に登場する騎馬隊で、奥に見える凱旋門を背景にトリコロールのフランス国旗に彩られた沿道の緑の樹々に茶色い馬と紺と赤、ゴールドに光る騎馬隊の調和のとれた洗練された美しさには、いつ見ても感動させられます。

        


 その年によって、登場する戦車、軍用車両(時には警察、消防車両など)は少しずつ違いますが、今年は、遠隔操縦機「リーパー」(空軍機)、陸軍は、新型装甲車「グリフォン」(装甲前面車(VAB)の後継車)と偵察車「ジャガー」を登場させています。

 中には、こんな可愛いワンちゃんまで登場しています。

 


 

 今年のパレードのテーマは「Partager la flamme」(炎の共有)と名付けられ、軍隊と国家のつながり、また現在進行形のウクライナでの戦争におけるヨーロッパの連帯のメッセージも込められ、ポーランド、チェコ、スロバキア、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリーの軍隊もパレードを行い、東欧の国々に敬意を表しています。

 パレードの最後には、東京オリンピック・パラリンピックのメダリストが登場し、オリンピックの炎を2024年のパリオリンピックへ繋げるという「炎の共有」のオチ?のようなシーンもありました。

 華やかで美しい、このパリ祭の軍事パレードはフランス人ではない私にとっても、毎年、楽しみな行事で、ひたすら、その美しさに感動し、これを見るたびに、フランスにいてよかった・・などと思うほどなので、フランス人にとっては、何よりもフランスを誇らしく感じる最も華やかな1日なのではないかと思います。

 


 しかし、今年、ウクライナで戦争が始まって、毎日のように悲惨な戦禍の映像が流され、実戦に使われている戦車や大砲などを目にして、これらの軍事装備は本来は華やかにシャンゼリゼをパレードするものではなく、本来は、悲惨な戦場で使われるものであることを複雑な気持ちで見つめていました。

 そもそも、フランスという国の強さをアピールする軍事パレードというものをこの圧倒的な美しさとともに国の誇りとして晴れやかに披露し、多くの人が愛国心を募らせるフランスという国の文化をあらためて、日本とは全く違うものなのだ・・と、これまでと違う見方をした今年のパリ祭でした。

 ウクライナ戦争を機に多くの国で国防費を拡大し、軍事力を強化する方向に進んでいます。自分の国は自分の国で守る体制を作らなければならない状況であることはわかりますが、どうか、これが軍事パレードに留まり、実戦に使われることがないように・・と祈りながら見つめたシャンゼリゼのパリ祭の軍事パレードでした。

    


 夜にはエッフェル塔での花火も完全復活、ウクライナカラーになる瞬間もありました。

   



パリ祭 シャンゼリゼ軍事パレード


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2022年7月14日木曜日

脅威の時差ボケ 私は日本の食材の山を見ただけで時差ボケする

  

娘が運んできてくれた日本食材の一部


 現在、仕事で日本にいる娘が友人の結婚式のためにパリに来ています。ガッチリしている彼女は、少しでも安いチケットと、経由便の長距離フライトを選び、日本からパリまで20時間くらいかけてやってきました。

 前回、私が日本に行った時には、彼女が夏にパリに来ることがわかっていたので、私がパリに戻る時に持ちきれなかった食糧などは、彼女が持ってきてくれることになっていました。

 彼女はパリに来るのには、他にほとんど荷物がなかったために、持てる範囲で、日本で買ってきてほしいものをいくつか頼んでありました。

 7月に入ってからのシャルル・ド・ゴール空港の混乱ぶり、特にロストバゲージが多く出ていることを聞いていたので、荷物には必ず名前と連絡先のついたタグを必ずつけるように、しつこく言い含め、彼女の安否はもちろんのこと、自分の足で動いたり、しゃべったりできない荷物の安否についても、私はかなり心配していました。

 幸いなことに、彼女がパリに到着したのは、最もシャルル・ド・ゴールが混乱していた週末の後であったため、彼女も荷物も無事に到着しました。

 彼女が家に着いて、スーツケースを開けて、荷物を出してびっくり!、山ほどの日本の食糧は、私が頼んだ荷物(ほぼ日本の食糧ですが・・)だけではなく、私の友人や従姉妹や叔母たちが彼女に託けて持たせてくれたものがたくさん詰められていました。

 彼女が持ってきてくれた貴重な日本の食糧を一つ一つ眺めながら、冷蔵庫にしまうものを確認して、一つ一つ冷蔵庫に納めながら、私は軽い興奮状態にありました。自分が日本に行かずともこんなに日本の食糧がやってくるなんて!!!と。

 その日は感激しながら、明日の朝はあれを食べようか?これを食べようか?と考えながら、幸せな気持ちで眠りにつきました。娘は長距離フライトながらも幸いにも飛行機の両隣が空席だったとかで3席使って、飛行機の中でしっかり眠れたから大丈夫・・と意外にも元気で、私が前回日本から長距離フライトで帰仏した時よりもずっと元気でした。

 なんと、2週間近くパリにいるというのに、彼女は数日しか休暇をとっておらず、リモートで仕事するから時差ボケは治さなくてもいいと言い、それでも、到着した日から、夜はさっさと寝て、翌朝、会議の時間に合わせて起きなければ・・と言いながら、さっさと寝てしまいました。

 私はいつもと同じ時間帯に眠りにつきましたが、翌朝、自分で自分にびっくり!別に時差ボケなどしているはずのない私が朝5時過ぎにはなんとお腹が空いて目覚めるという驚きの現象が・・さすがに5時に起きるのは、いくらなんでも早すぎる・・と思いながらも、もう空腹でどうにも眠れず、10分ほどベッドの中でグズグズしていたものの、諦めてさっさと起きて、朝食をとることに・・・。

 朝から丁寧に出汁をとって、お味噌汁を作り、彼女が持ってきてくれた納豆やお漬物、お魚などで、朝からしっかり和朝食をとって、大満足。それにしても、普段、朝はあまりお腹が空かないので、滅多に普通の朝食でさえ取らない私が日本の食材を見ただけでお腹が空いて時差ボケ状態のように早朝からお腹がすいて目が覚めるということに自分で失笑してしまいました。

 本当に時差ボケしているはずの娘が起きてきたのは、私が朝食を取った後、しかも彼女は会議の時間に合わせて仕方なく起きてきたに過ぎず、さほど時差ボケしている様子がないのは、さすがに若いなぁ〜と感心してしまいます。

 私の時差ボケは1日で治ったので、本当の時差ボケではなく、単なる私の食い意地が私を早朝から目覚めさせただけのことでした。

 しかし、彼女はパリに来てからも、日本での会議の時間に合わせて、今日は夜中の1時に起きなければとか、朝7時に起きなければ・・などとやっていますが、私は通常どおりの生活に戻り、寝るのは夜中の1時頃。

 そんな家のリズムに一番、ぐったりしているのは猫のポニョ。私も娘もお構いなしに、それぞれの時間に寝たり、起きたりしているのですが、ポニョにはどうやら、家族の動向を見守らなければという使命感があるらしく、誰かが起きてくれば、一緒に起きて見守ってくれているようなので、私が寝たかと思うと娘が起きてくるのに合わせて、ついていくので、完全に睡眠不足。この私と娘のズレた時間での生活を見守る身としては、かなりお疲れの様子です。

 朝、娘が起きれば、私の部屋に来て、私を起こしはしないけれど、「もう彼女は起きているんだから、もういい加減に起きたら・・」とでも言いたげな様子で待っているのです。

 こんなに献身的に家族を見守ってくれる猫をよそに、食べ物を見ただけで時差ボケする私は、猫以上に動物的なのかもしれません。


時差ボケ


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2022年7月13日水曜日

この猛暑の中、パリ市内のプールがストライキ

  


 今年の夏のバカンスシーズンが始まるとともに、SNCF(フランス国鉄)やRATP(パリ交通公団)の一部、空港公団などのストライキが立て続けに起こり、バカンスに出かけようとする人々を大混乱に陥れています。

 特に空港のストライキによる多くのフライトキャンセルとともに空港に山積みにされた荷物が2週間近く経った今も未だに空港に山積みにされている光景には、荷物を持たずにバカンスに出発させられた人々の困惑ぶりを思うと本当に言葉もありません。

 私が同じ目に遭っていたなら、こんなトラブルに巻き込まれるくらいなら、フライトはキャンセルしていたのに・・と思っていたと思います。

 まさにバカンスシーズンに入るにあたって、最も人々が迷惑する機関が続々とここぞとばかりにストライキを連発している感があります。以前、RATPのストライキが続いてウンザリしていた時にフランス人の知り合いに、「もうこんな時に酷く迷惑だ!」というようなことを言ったら、「ストライキは一番、人の迷惑になる時にやらなければ意味がないじゃない!」とあっさり返されて、「そりゃそうなんだけどね・・さすがにストライキの国で生まれ育った人は根性が座っている・・」と唸ってしまったことがありました。

 そして、今年は公共交通機関や空港に加えて、今度はパリ市の市営プールで7月1日から8月31日までのストライキを呼びかけており、パリ市のホームページによると、パリ市内の42ヶ所のプールのうち、すでに12ヶ所のプールが閉鎖しているそうです。

 特に今週は、パリではすでに6月に迎えた40℃に迫る猛暑が再び襲うと言われている中、バカンスに出かけられないパリ市民にとって、市営プールの閉鎖は、厳しい現実です。

 もともと、フランスでは、日本のようにどこの学校でもプールがあるわけではなく、(というより、むしろ学校にプールがあることは極めて稀)、学校の水泳の授業でさえも、市内のプールに移動して行われているのが普通で、そもそも、市営のプールでさえもそんなに数があるわけではないので、学校やクラス(または学年)ごとに振り当てられる水泳の授業の時間は、そもそもほとんどが屋内プールであることもあり、夏の間に限られたことではありません。

 娘が小学生の頃は、水泳の授業が真冬の寒い時期にあたり、いくらプールは温水プールでも学校との行き帰りの往復で風邪をひいてはいけないと思い、タイツを履かせて出したら、これまた教師から、「水泳の授業のある日は着替えに時間がかかるので、タイツは履かせないようにしてください」などと、信じられない通知があり、仰天したことがありました。

 「ふつう、逆だろ!風邪をひかないように暖かくしてきてください・・だろ!」とフランスの教師はこれだから嫌だ・・」などと思ったことがありました。

 話は逸れましたが、今回の真夏の猛暑時のパリ市内のプールのストライキは、労働時間の増加と休暇の減少に抗議したものだそうです。

 もともと、我が家の近くの市営プールは夏には職員がバカンスに出てしまうために閉めてしまうプールだったうえに、ここ数年、改装中のために何年も閉鎖状態。つい先日、ようやく「改装工事が終わりました!プールが再オープンします!」という招待状が来ていたので、ようやく、プールに行けるな・・と思っていたのですが、私は風邪をひいたりして、ちょっと体調を崩しているうちに、コロナウィルス第7波の感染急上昇に恐れをなして、ちょっとプールに行く勇気はありません。

 しかし、娘が小さな頃には、さんざんお世話になった市営プールです。とにかくエネルギー溢れかえる娘をなんとか夜、あっさりと寝かすためにも我が家にはプールは不可欠で、休みの日には、必ずと言っていいくらいプールに通い続けていました。

 このインフレで生活も逼迫していく中、フランス人が何より大事にしているバカンスも期間を短縮したり、出費を抑えようとしている中、バカンスに出られない人もせめてプールくらいは・・と考えている人々には、大きな痛手です。

 フランスに住みながら、今さら、ストライキやデモにいちいち目くじらを立てているわけにもいかないし、時にはデモなどで声を上げることが必要であるとは思うようにはなりましたが、しかし一方で、多くの人を困らせて、なんとか自分たちの要求を通そうとするやり方は、駄々を捏ねている駄々っ子のような気がやっぱりしてしまうのです。


パリ市 プールストライキ


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2022年7月12日火曜日

青く晴れ渡る空の下のセーヌ川岸 パリプラージュの圧倒的な美しさ

  


 

 夏になると、パリプラージュがセーヌ川沿いに登場するようになってから、なんともう20年近く経っているのだそうです。初めてパリプラージュができた年に親子でどんなものか覗きに行ったのは、まだ娘が小学校に入る前のことだったと思うので、言われてみれば、そのくらい時間が経ったのかなぁと思います。

 パリプラージュは当初はなかなか画期的な試みで、夏に入ってもバカンスに出かけられない人にも身近なところでバカンスを楽しめるように作られたものでしたが、その後、すっかり定着し、パリの夏の風物詩のようなものになりました。




 一昨年は、このパリプラージュに検査場ができた!などというニュースで賑わっていましたが、コロナ禍もずっとパリプラージュはパリに存在し続けてきました。

 ここ数年の夏の暑さはパリでも年々厳しくなっていますが、太陽の大好きなフランス人は、この暑さにもめげず、セーヌ川岸で美しい風景を楽しみながら、夏を満喫しています。




 パリ中心部のセーヌ川岸の風景は、青い空に緑、深い色の水がきらきらと輝き、沿岸に並ぶ歴史ある建物と一体化して、すでにそこにあるだけで絶景なのですが、そこに、その風景を引き立たせるような色のビーチパラソルやデッキチェアなどがきれいに並び、洗練されたリゾート空間はやはりパリならではの圧倒的な美しさです。

 セーヌ川をときおり通っていく観光船も今年は観光客が戻って満席です。

 また、洗練された雰囲気の中にあるスポーツやゲーム、レジャーを楽しむためのものは、なかなかレトロなシンプルなものであったりするところも、ちょっと、フランスらしくて、ほっこりさせてくれます。



 テーブルサッカー、ペタンク、ボルダリング、巨大なボードゲームや屋外図書館、水遊びができるスペースなどなど、これらが全て無料で利用できます。

 また、ポン・ヌフのふもとで毎日10時から12時まで太極拳、ルイ・フィリップ橋で毎週日曜日の10時から12時まで「コーチング・ランニング」、土曜日と月曜日にはスウェーデン・ジムのクラスが開催されます。

  


 また、それらとは少し離れた場所(同じセーヌ川沿い)にあるバサン・ド・ラ・ヴィレットでは、毎日午前10時から午後10時までアクティビティが開催されており、2024年のパリオリンピックを彷彿とさせるカヌー、パドリング、ペダルボート、ハワイアンカヌーなど、ウォータースポーツを楽しむこともできます。(毎週日曜日の午前10時から正午までは、ブレイクダンス教室を開催)




 今年は、イタリア文化(写真、映画、演劇、音楽)にスポットライトを当てる「ドルチェ・ヴィータ・シュル・セーヌ」フェスティバルが開催され、映画などを水辺で楽しむこともできます。

 レジャー・リラクゼーションエリアと称して、ヤシの木や桑の木を増やして、今年はこの計画をさらにグリーン化したとパリ市はアピールしています。

 現在、コロナウィルス第7波が国全体を襲っているにもかかわらず、パリ市役所は今年のパリプラージュ開催をゲージや制限なしに行う予定だそうです。




 今年、久しぶりにパリプラージュを覗きに行ったのですが、平日であったため、さほど混んではいませんでしたが、すでに先週末はものすごい人出だったとのこと。今週のパリは再び猛暑に見舞われるとかで、すでにかなり強い日差しで、私など日傘をさしながら、歩くだけでもヘロヘロで、少しでも木陰を見つけるとホッとするような気分で少し涼んだり、霧状の水が撒かれている場所で涼んだりしながら、それでもパリの圧倒的な美しさを楽しんできました。

 しかし、これだけ暑いというのに、デッキチェアに横たわる人もたくさんいて、炎天下でゲームをしたり、ランチを食べたりとフランス人の太陽好きを目の当たりにして、太陽の光とこの空間を満喫している様子にあらためて驚かされたのでした。




 それにしても、夏の間だけではありますが、ちょっと街中のパリとは違うまた別の美しいパリを味わえる空間、色々、大変なこともあるけれど、なんとなく住んでるだけではありますが、パリが誇らしく思えるような美しい空間です。

 夏の間にパリを訪れる機会があったら、ぜひ、足を運んでみるのも楽しいかもしれません。




パリプラージュ


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2022年7月11日月曜日

シャルル・ド・ゴール空港のロストバゲージの行方

  


 パリ・シャルル・ド・ゴール空港の大掛かりなストライキから1週間経って、空港に足止めを食ったスーツケース約2万個が依然として持ち主の元に届いておらず、空港に山積みにされているようです。

 先週末のパリの空港でのストライキは、多くのフライトをキャンセルさせただけでなく、何万人もの旅行者の荷物を奪いました。荷物係もストライキを起こしていたうえに、荷物積載のシステムダウンが原因だったと言われています。

 今回のシャルル・ド・ゴール空港でのロストバゲージの多くは当然のことながら、最も発着便の多いエール・フランスの便に関するものが多いそうで、エール・フランスは、荷物を積まずに離陸してしまった旅行者に対して、当初は、「1週間以内には、荷物を届ける」と発表していたにもかかわらず、荷物は山積みにされたまま、持ち主の元には届いていないのです。

 そもそも、このハイシーズンに人員不足にストライキ、次から次へと離発着が続く空港では、その日の荷物の処理で手一杯。賃金値上げとともに、過剰労働の緩和を訴えていた空港職員が、残業までして山積みにされた荷物を処理するとは考え難く、また、時間が経てば経つほど、空港に残された荷物の配送先は、旅行先に届けられるべきものなのか?それとも自宅に届けられるべきものなのか?どんどん複雑な要素が含まれてきます。

 平常時のフライトでさえも、荷物が無事届くかどうか?盗難にあったり、スーツケースが壊されたりしていないか?いつも不安を感じるところですが、空港に足止めをくって1週間以上経ってしまったスーツケースに関してはもう不安というより絶望的です。

 エールフランスおよびシャルル・ド・ゴール空港は現在、ロストバゲージ扱いになっている荷物は空港で保管していると発表していますが、スーツケースが何の保護もされずに倉庫の外、コンテナでむき出しになっているものもあることがわかっています。

 これまで、個人的には最も荷物のトラブルが多いのは、イタリアというイメージがあって、ローマからの便でスーツケースの鍵が切られていたこともあったし、サルディニアに行った際は、空港について、やたらと空港内にロストバゲージのコーナーが多くて嫌な予感がしていたら、やはり荷物は同じ便には積まれておらず、必ずしも荷物は同じ便では届かないのは普通というようなことを言われてびっくりし、荷物は翌日ホテルに届けてくれたものの、一晩は着替えもなく不自由な思いをして以来、イタリアに行く際には、もう荷物は預けずに手荷物以外には持たないようにしているくらいです。

 しかし、ここまで大掛かりに荷物が溜まって保管(というより、放置)されている状態には、楽しいはずのバカンスが荷物のクレームを入れることに費やされるストレス満載のものになってしまいます。

 この事態を受けて、エールフランスは、一刻も早くスーツケースを持ち主に返すために増援を動員したことを発表していますが、このロストバゲージの量を考えると、パリ空港組合は、この荷物の山が処理されるには、数ヶ月間かかるはずだと断言しています。

 ということは、バカンスに出かけた人はさすがにもうバカンスを終えて帰ってきたあとに荷物が戻るということです。

 エールフランスは「荷物はすべてこちらに向かっている」と、これ以上荷物の配達の遅延を否定していますが、荷物の保管状況を考えると現実的な解答ではありません。

 すでに、補償問題についての解説が始まっていますが、荷物が遅れた場合、補償を受けることができることが可能で、荷物がない間に生活必需品(衛生用品、下着など)を購入しなければならなかった場合、請求書の提示により航空会社に払い戻しを請求することができます。また、荷物を紛失した場合、乗客1名につき約1,200ユーロを限度として弁償を請求することができます。

 しかし、どちらもクレームを申し入れるのは、書面で21日以内に航空会社宛に申し立てをする必要があるので、この期限を過ぎてしまえば、補償されることはありません。これは、旅行保険などの補償とは別のものなので、もしも、泣き寝入りしたくなければ、航空会社と保険会社との両方の手続きが必要になります。

 航空会社が補償を拒否した場合、民間航空総局(DGAC)にオンラインで苦情を申し立てるか、旅行観光オンブズマン(MTV)に連絡し、解決を図ることができます。

 友好的なアプローチがうまくいかない場合は、裁判を起こし、被った損害の賠償(物の交換、荷物の紛失・破損)を請求することができます。管轄の裁判所は、紛争に関わる金額によって異なります。会社や裁判は2年以内ということです。

 まさに、ここまでくると、完全な戦闘体制、やっぱりフランスで生きていくためには、常に戦闘体制に入る覚悟が必要なのか・・と、ほとほとウンザリします。

 私の場合、飛行機を利用するのは、やはり日本⇄パリ便が最も多く、スーツケースの中身はほぼ食糧、しかも航空便ならではの保存のあまりきかないものなども多いので、もし、今回のようなロストバゲージになり、数ヶ月間も放置されてしまったら、ほぼ私のお宝の食糧は絶望的なことになると思うと、ゾッとしてしまいます。

 それでも、無事に回収できたらまだマシですが、保管?放置されている間に盗難に遭う可能性も大です。今は、海外からの小包も規制が厳しくなり、やたらと税金がかけられるようになっている今、ロストバゲージに泣き寝入りするわけにもいきません。

 本当に今は航空運賃も爆上がりしている上に迂回ルートなどで時間もかかり、そのうえロストバゲージで荷物を受け取るのに数ヶ月もかかるのでは、本当に踏んだり蹴ったりです。


シャルルドゴール空港 ロストバゲージ


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2022年7月10日日曜日

ニースの交通機関でのマスク着用義務化、裁判所から停止命令

  


 1日の新規感染者数が20万人を超えてしまった現状を受けて、ニース市長は政府の決定に先駆けて、週明けの月曜日から、公共交通機関でのマスク着用を義務化することを発表していました。

 公共交通機関でのマスク着用義務は強く推奨されているものの、全然、マスク率は上がらず、感染者数がひたすら増えていく状況に、このニースでの公共交通機関でのマスク着用義務化をきっかけに、これが全国レベルに広がってくれるのではないか?と、私は期待していたくらいでした。 

 ところが、事態は思ってもみない方向に転換し、ニースの行政裁判所は、「自治体特有の緊急の理由」はなく、「そのような措置の制定が不要」であると判断し、月曜日からのニースでの公共交通機関でのマスク着用義務は撤廃されてしまったのです。

 ニース行政裁判所の暫定救済裁判官は、4人の申請者からの申し立てにより、「自治体に特有のやむを得ない理由」がないため、「このような措置の制定は不要」であり、「行き来の自由」と「個人の自由を尊重するすべての人の権利」に対する「重大かつ明白な違法侵害」であると判断したというのです。

 ニース行政裁判所がこの決定を下すのにあたっては、エリザベット・ボルヌ首相が水曜日に行った国会での演説で、「マスクの着用は強く推奨されるが、強制ではない」と述べたことを強調しています。

 市長というものは一般的な警察権を持っており、パンデミックと闘うための措置をとることができる一方で、「特定の地域状況の存在を示し、この目的のために管轄の国家当局がとる措置の一貫性と有効性を損なわないという二重の条件のもとでのみ、警察権を行使できると裁判官は説明しています。

 特に集中治療室の占拠率が全国レベルで20%であるのに対し、アルプ・マリティーム県では14%であったニースでは、これらの条件が満たされていないと行政裁判官は判断した結果、「夏の学校休暇中の観光に関連する特殊な状況にもかかわらず、この措置の制定を不可欠とする自治体特有のやむを得ない理由の存在は証明されていない」としています。

 ニース市長は、この判決に対し、「病院スタッフの疲労、この夏の期間にニースを訪れる人の多さ、病院の緊張のリスクについて、私は引き続き懸念しています」と述べ、すべての人に責任を負うよう呼びかけ、「最も弱い立場の人々の健康、経済活動の維持、新学期開始の準備のための条件、すべてが危機に瀕しているのです」と訴え続けています。

 しかし、マスクをしたからといって、移動の自由が妨げられるというものでもなく、このいつまでもおさまらないパンデミックの中での個人の自由がどこまで尊重されるべき(しかもマスクごときで・・)なのかは、甚だ疑問でもあります。

 結局、もっともっと感染状態が悪化した状態にならなければ、マスクは義務化されないということで、これでは、「マスク義務化されれば、マスクをする」と言っていた人々に対しても、「やっぱりマスクはいらない」ということを強調してしまった結果を導いてしまい、マスクによって、少しでも感染拡大を回避するという道から、かえってさらに遠ざかってしまったように思います。

 何も、暑い屋外でのマスク着用を義務付けているわけでもなく、公共交通機関内でのマスク着用だけなのに、どうして、そんなに義務化することに抵抗があるのか?私には全く理解できません。

 しかも、この4人の申し立てに対するニース市全体の健康危機のための対策に対する判決はたった20分の相談による決定で判決が下り、その決定により、一体どれだけの人が危険な状態に晒されるのかと思うと、憤然とさせられる気持ちです。

 こんなことなら、最後まで公共交通機関内でのマスク着用義務は残っていて、せっかくおとなしく皆が従っていたのに、なぜ?それを解除してしまったのか?と悔やまれます。


ニースの交通機関でのマスク着用義務化停止


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2022年7月9日土曜日

安倍元首相の訃報に関する海外(フランス)の報道、反応

  


 朝、目が覚めて、ツイッターを覗いたら、「安倍、おまえ、いけすかない奴だけど、死ぬなよ・・」というツイートが目に入って、「???安倍って誰のこと???」と思って、そのまま見過ごして見ていると、どうやら安倍元総理のことらしい・・とちょっと、トレンドを見るとフランスのツイッターのトレンド1位も「Shinzo Abe」になっていて、どうやら、安倍晋三元総理が選挙の応援演説中、銃で撃たれて危篤状態ということを理解しました。

 日本とは7時間の時差があるので、一体、日本で何時ごろ起こったことなのだろうか?と思いながら、フランスでもツイッターでトレンド1位ってことはもしかしたら、フランスのテレビでもやっているかもしれない・・と思って、いつもは日中はつけることのないテレビをつけたら、大騒ぎでほぼ生中継のような感じで、安倍元総理が撃たれた時の模様やその後ドクターヘリで運ばれていく様子を日本に駐在しているジャーナリストが解説しながら、報道を続けていました。

 つい、この間、日本の猛暑の様子がフランスのテレビで報道されているのを見て、日本のことをこんなに大々的にニュースで取り上げることはないのに日本の映像がテレビで流されるのは珍しいな・・などと思いながら見ていたばかりだったのに、まさかこんなことで数日後にフランスのニュースで日本の報道が流されるとは、思ってもみませんでした。

 フランスのテレビでは、日本は、合法的に所有されているか否かにかかわらず、G7の中で民間用銃器の流通が圧倒的に少なく、フランスは100人あたり20丁、アメリカは120丁、日本の銃器保有数は0.25丁、こんな社会背景もあり、銃器に対する警戒が希薄であるのかもしれない・・などと言っています。

 しかし、やはりこんなことが日本で起こることなのか?と日本人も思っていると同時に海外の人々も「世界一安全な国・日本」がもはや過去のものとなりつつあるのか?と驚きの目で見つめています。

 そして、もう一つ、驚いたことは、世界中の首脳や要人たちが、決して型通りではない、彼との思い出を重ねた弔意を届けていることで、エリザベス女王をはじめ、バイデン大統領、イギリス、ドイツ、イタリアの現首相、メルケル元首相やオバマ元大統領、トランプ元大統領、そしてプーチン大統領やゼレンスキー大統領まで彼の功績を讃えています。

 中でもメルケル元首相の「日本と世界は偉大な政治家を失った」という彼に対する賛辞にも彼女の最大限の敬意が込められていると感じたし、インドのモディ首相などは、「親愛なる友人が悲惨な死を遂げ言葉にできないほどのショックを受けている。9日、インドは国全体で喪に服す」と語っています。

 日本でさえ、国全体で喪に服すとはいっていないのに・・。

 現在の世界情勢の中心にある人々の中に、安倍晋三という人がこんなにしっかり存在していたことを思うと、他に問題になることはあったのかもしれないけれど、やはり彼の存在は日本にとって、貴重なものであったと思わざるを得ない気持ちになりました。

 この世界各国の要人からのメッセージを見るに、総理大臣という立場を退いてなお、彼の発言に対する影響力は甚大なものであったことがわかります。世界の中で存在感をアピールすることが苦手な日本人としては、彼の存在感はやはり日本人としたら、異例の存在であったようです。

 マクロン大統領もこの安倍元総理に対するツイートを危篤状態の時点で一度、死亡が確認されてから再度、発信しています。(残念ながらマクロン大統領のツイートは型通りの感じの印象)

 この危篤状態の時点で、「心肺停止」と日本で報道されている間にフランスでは、「日本では所定のプロセスで医師が確認するまで死亡とは言わない。しかし、心臓はもう止まっているということだ・・」などと言っているのを聞いて、なんか、そんなこと、サラッとよく言うな・・と思っていました。

 しかし、それは、そのとおりだったようで、昭恵夫人が病院に到着して、すぐに、死亡宣告が行われたようで、彼の死亡時刻はちょうどそのタイミングになっていました。

 マクロン大統領のツイッターを見ていて、偶然に発見したのは、マクロン大統領の公式アカウントで彼がフォローしている日本人は安倍晋三氏ただ一人だけで、岸田首相は入っていません。政権が変わってもなお、発言が注目されていたのは、安倍晋三氏だったことがわかります。

 彼の死とともに、彼の業績がフランスでも解説されていますが、それに比べると、圧倒的に存在感のない現在の岸田首相が浮き彫りにされているような気もしてしまいます。現職の首相をよそに、今回の事件の記事には、「日本で最も有名な総理大臣が暗殺された」などとタイトルがつけられているのをみかけます。

 これが日本での選挙のさなかに起こったことで、民主主義への冒涜などと言われていますし、そういう側面もあるとは思いますが、この事件は事件で、選挙とは別問題です。

 この選挙直前のこのような暴挙は決して許されることではありませんが、これが同情票に繋がる危険もありそうなことを私は少し心配しています。事件は事件、選挙は選挙で、投票はお香典ではないことを忘れてほしくありません。

 それにしても、現在、戦争真っ只中で、「明日はもう、この世にいないかもしれない・・」と国連で演説していたゼレンスキー大統領やプーチン大統領が、世界一平和なはずの日本で銃撃された元総理大臣に弔電を送るとは・・安倍氏自身も思ってもみなかったことに違いありません。

 結局、この日は、1日中、フランスのトレンド1位は「Shinzo Abe」でした。


Shinzo Abe 安倍元総理大臣


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