フランス政府は、世界の多くの国々でオミクロン変異種が優勢であることやワクチン接種のレベルが上昇した上でのパンデミックの新しい局面を考慮し、入国管理システムを緩和することを発表しました。
政府は、この決定を「パンデミックが始まって以来、国境における入国管理システムは、私たちの健康を守り、心配な特性を持つウィルスが国内に侵入するのを遅らせることを可能にしてきました。このシステムは、毎週約6,000人の市民警備隊員を動員して検査を実施し、国境警備隊は旅行者の感染対策関連の書類をチェックし、国内治安部隊は地域が決定した隔離・検疫措置を監視し、感染状況の変化や地域ごとの規則に合わせて定期的に調整されてきました」と説明の始めています。
どんな時にも「俺たちはよくやってきた」という自画自賛を忘れない説明もフランスらしいところです。
今回の政府の決定により、世界の国々を緑(懸念される新興の亜種が存在せず、ウイルス流通がごくわずかまたは中程度の国または地域)とオレンジ(ウイルスの循環が活発で、懸念される新興の変異型がなく、ワクチンや免疫の逃避先がない国または地域)に色分けしています。
緑の国からの入国に関しては、ワクチン接種済みの旅行者は、フランス入国の際にワクチン接種証明書(ヨーロッパの規定するワクチン)の提示があれば、検査の陰性証明書の提示は必要がなくなりました。
ワクチン未接種の旅行者については、引き続き、陰性証明書の提示は必要ですが、到着時の措置(検査・隔離)は、解除されます。日本は緑の国に分類されています。
欧州の規制に従ってワクチン接種を受けた旅行者は、フランス出国時に検査は必要ありません。(受け入れ国に関しての規制は別として、とりあえず出国の際)
ワクチン未接種の旅行者については、フランスへの入国時に陰性結果を提示する義務は残りますが、ウイルスの循環が穏やかな「グリーン」リストの国から渡航する場合は、到着時の措置(検査、隔離)が解除されます。
緑に指定されているのは、欧州連合加盟国、アンドラ、アイスランド、リヒテンシュタイン、モナコ、ノルウェー、サンマリノ、スイス、バチカンです。バーレーン、ホンジュラス、香港、インドネシア、日本、クウェート、ニュージーランド、カタール、ルワンダ、サウジアラビア、セネガル、韓国、台湾、アラブ首長国連邦です。
また、オレンジに指定されている国からの入国に関しては、フランスに入国する必要性を正当化する説得力のある理由を提示する必要があり、ワクチン接種済の旅行者は症状がないこと、及び14日以内に感染者と接触していないこと、ワクチン未接種者は、到着時検査を承諾することなどに関する承諾書が必要で、到着時にランダム検査を受ける可能性があります。陽性と判定された旅行者は、隔離されることになります。
日本は緑の国に指定されており、大々的に入国措置が緩和されるような印象もありますが、上に添付した世界地図からもわかるとおり、緑の国は一部であり、大部分の国からの入国は、依然として警戒している状態ではあります。
とはいえ、入国措置が緩和されていく方向であることには、違いはありません。
一時、あまりに酷すぎたこともありますが、ここのところ、フランスの感染状況は、急降下といえるほどに減少しつつあります。
この感染減少の現状からも、フランス人の日常の生活ぶりからも、政府の今回の判断は、妥当なものである気がしています。依然として、すっかり解放してしまわないのも理解できますし、かといって、あまりに普通の日常を送っているフランス人の様子をみても、必要以上の水際対策は、バランスが取れない感じです。
しかし、再び感染力の強い免疫不全のリスクを高める可能性のある変異種が出現した場合には、緊急停止措置が発令されることになっています。現在の色分けの分類は、一時的なものであり、定期的に見直され、随時、状況に応じて変更されるということです。
いずれにせよ、ウィルスの性質もどんどん変化していく状況で、その状況に応じて迅速に入国管理対策を変更するという姿勢は、フランスだけでなく、どの国にも求められている必要な措置なのではないかと思います。
逆に言えば、またいつ新しい強力な変異種が出現するかもしれない状況、緩和できる時には、少しでも緩和しておかなければ、いつまた国際間の流れがストップしてしまうかもしれないのです。
フランス入国規制措置緩和
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