2021年8月20日金曜日

8月30日からヘルスパスがないと働けなくなる

   


 フランスでは、美術館、映画館、劇場を始めとした文化施設に始まり、スポーツ施設、レジャー施設、レストラン、カフェ、ナイトクラブからコマーシャルセンターまで、ほぼ、ありとあらゆるアクセスにヘルスパス(ワクチン2回接種証明書・72時間以内のPCR検査陰性証明書・6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書)の提示が必要になり、すでに、今やヘルスパスを持たない限り、かなり行動範囲を制限される状態になっています。

 とはいえ、ここまでの状態ならば、これらの施設に入場する際には、ワクチン接種を受けていなくても、PCR検査を受けさえすれば、とりあえず、これらの施設を利用するのも可能なわけで、手間はかかるものの、全く身動きが取れなくなるわけではありませんでした。

 しかし、8月30日からは、これらの施設で働く全ての従業員・ボランティア・臨時労働者・下請け業者に対して、ヘルスパスが求められることになりました。こちらの方は、毎日のことなので、どちらかといえば、よりワクチン接種の義務化に近いニュアンスがあります。

 具体的には、上記の施設に加えて、スポーツ・音楽・見本市などのあらゆるイベントに関わる人々、図書館(大学およびフランス国立図書館などの専門図書館を除く)、長距離交通機関、お祭りなどなど、これらに関わる全ての従業員が対象となります。

 ただし、これらの対象施設においても、一般の人がアクセスできない場所や、営業時間外に働くスタッフはヘルスパスの義務の対象ではありません。

 これまではお客さんのみに強制されていたヘルスパスの提示義務がそれらの場所で働く従業員に対して義務化されることになるわけです。お客さん側からしたら、嫌なら行かなければ良いだけの話ですが、そこで働く従業員にとっては、嫌だから行かないというわけにもいきません。

 また、PCR検査で凌いでいこうとすれば、72時間以内の結果が継続的に必要になるわけですから、3日に1回、PCR検査を受け続けることを強いられることになります。

 しかし、同じ施設内で、お客さんには必要で、従業員は不要というのもおかしな話で、ヘルスパスがスタートした時点で、本来ならば同時に必要であったものが、一応、2回のワクチン接種を受けること前提で、猶予期間が設けられていたに過ぎません。

 つまり8月30日には、その猶予期間が切れるということになります。

 ヘルスパスを提示する限り、雇用契約はこれまでどおり継続されますが、ヘルスパスの提示ができない場合は、一定期間は、雇用主との合意に基づき、従業員は労働協約で定められた有給休暇を使用することができます。

 しかし、雇用主との合意が成立しない場合は、雇用主は従業員に対して、雇用契約が直ちに停止されることを通知し、給与の支払いは停止されます。

 ヘルスパスの提示がない場合は、雇用契約は一時停止されますが、ヘルスパスを提示した時点で雇用契約は再開されます。

 雇用契約の一時停止が3日以上続く場合、雇用主は従業員に面接を求め、状況を正規化する方法について話し合います。雇用主は、特に、ヘルスパスを提示する義務の対象とならない別のポジションへの会社内の一時的な再分類の可能性、および活動がこの作業モードに移行可能な場合の在宅勤務の可能性について話し合うことができます。

 仕事場として仕事をするために求められるヘルスパスは、ほとんどワクチン接種の義務化を意味しています。

 ヘルスパスは、社会的対話の枠組みの中で展開されることを前提とし、ヘルスパス提示義務が会社の一般的な組織に影響を与える場合は、社会経済委員会(CSE)に通知し、相談する必要があります。相談はパス設定後、遅くとも1ヶ月以内に行えるとされています。

 徐々にヘルスパスによるワクチン接種への追い込みが厳しくなっていきます。生活がかかっている仕事場においてのヘルスパスの義務化は、否応なしにワクチン接種を突きつけられているのと同じことになります。

 しかし、アンチヘルスパス・アンチワクチンのデモに参加している人の中には、頑なにワクチン接種を拒否し続ける人も少なくありません。「ワクチン接種しなければ、仕事を続けられないならば、仕事はやめる!」と喚いている人も少なくありません。

 職を辞してまで、ヘルスパス、ワクチン接種に抵抗する人々たちは、今後はさらに追い詰められた状況になっていくわけで、デモが激化していくのも必須だと思われますが、それでも政府も後に引くわけにもいきません。

 バカンスの終盤にかかり、人々がバカンスに出かけている地域を中心に、すでに感染が急激に悪化し始めており、医療崩壊寸前の状態に追い込まれ始めています。感染悪化が加速しているのは、見事に海沿いの人気のバカンススポットに集中しています。

 しかも患者の大半はワクチン未接種の30歳〜45歳が中心となってきており、行動範囲も広ければ、バリバリ仕事をする年代でもあります。

 フランスの第4波の波は、上昇を続け、一向にとどまる気配はありません。


ヘルスパス 失業 解雇

 

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2021年8月19日木曜日

パリで今、大人気のラーメン屋さん KODAWARI RAMEN TSUKIJI こだわりラーメン築地

   


 とにかく、今、パリで大人気で、いつ行ってもすごい行列のできている店として有名で、一度は行ってみたいな・・と思っていました。

 今、多くの人がバカンスで出かけていて、飲食店の入店には、ヘルスパスが必要になったばかりの今なら、少しはマシなのかもしれない!と思い、それでも行列覚悟で行ってきたのが、「KODAWARI RAMEN TSUKIJI こだわりラーメン築地」です。

 フランス人の昼食の時間のピークはだいたい13時からで、朝11時45分開店のこのお店、開店と同時にというわけにもいかず、それでも13時前までには何とかと・・着いたのが12時半頃で、すでにお店の前には行列ができていました。

 このあたりは、ラーメン屋さんをはじめ、日本食のレストランの多い地域ではありますが、この店舗のある通りは、その日本食レストラン街とも言われるサンタンヌ通りからは、2本ずれている通りで、小さめのホテルや事務所、住宅の多い比較的、静かな通りにあります。

 一見、目立たないこの通り沿いの店舗に絶え間ない行列ができ続けることは、なかなか珍しいことです。

 私が並んだすぐ後にもすぐに延々と行列は伸びていき、途中でお店の人が出てきて、「隣のビルの入り口は避けて並んでください!警察に通報されちゃう!」と行列の交通整理をするほどで、並ぶのが嫌いなはずのフランス人が並んでまで入りたいラーメン屋さんは、その名前どおり、店内の内装からして、かなりのこだわりぶりで、ちょっとした昭和の日本の築地の空間を体験するようなテーマパークのようでもあります。

 何も知らずに通りかかる人は、その行列を見て、何ごとか?とお店を二度見していきます。

 私もフランス人に負けず劣らず並ぶのが嫌いな人間なのですが、さすがにここは、もう並ぶことを覚悟で来ていますから、周囲の人の様子を観察しながら、待つことおよそ30分。ラーメン屋さんだけあって、回転は悪くありません。

 行列している段階で、すでにヘルスパスのチェックは済ませ、店内に入ると、どういうわけか、(ら)と(ま)にアクセントのついた元気なフランス人のおばさんの「いらっしゃいま〜せ〜!」という雄叫びが響き、まずはその店内の様子に圧倒されます。



 わざと雑に積み上げられた発泡スチロールには、「北海道さんま」「丸中しれとこ食品」「鮮さんま 高級鮮魚」などと印刷されたシールが貼られていて、「築地」と書かれた大きな提灯、束になってぶら下がっている「築地場外市場 場外市場は移転しません」と書かれたレジ袋、ゴム手袋、軍手、ぶら下げ式の秤、ポリバケツ、ふぐ、鮮魚に見せかけた魚が乱雑に並んでいて、なぜか「伊藤食品」という大きなエビが描かれた看板、とんかつソースの段ボール、新巻鮭の木箱などなど、まるでパリの街とは異空間の徹底した昔の日本の築地市場の雰囲気を演出しています。




 中には、解体されようとしているマグロがど〜んとテーブルに置かれていたりもします。

 静かなトーンで、BGMにも築地の市場の「らっしゃい〜〜!らっしゃ〜〜い!」という日本の市場独特な喧騒がうっすらと流されたり、遠くから聞こえるようなカモメの鳴き声がそれに時々、追加されたりしている「こだわり」ぶりです。

 

席ごとに感染対策のためにバリアが設けられているのも日本っぽい心くばり


 肝心のメニューですが、この店舗は、鯛ベースのスープのものと、イワシベースのスープのものが中心で、メニューの種類はそれほど多くはありません。日本人の私も食べたことのないような独特な濃厚なスープは、鯛やイワシの他に、昆布、椎茸、日本から輸入された3種類の大豆を使っているとかで、スープをしみじみと味わってみても、メインとなる鯛やイワシ以外は、一体、何を使っているのか、なかなか解明し難い複雑な味わいです。

 しいて言えば、鯛をベースにした鍋料理のスープを凝縮したような感じでしょうか?イワシベースのスープは、さらにイワシのパンチが強烈です。

  

こだわりラーメン鯛 トッピングなしのシンプル チャーシューとローストされた鯛が乗ってる

 麺は、アッシー・ロマンス(グラン・エスト地域圏)のKODAWARI畑の小麦からのものを使用し、24時間熟成され、手揉みした麺でまろやかで、どちらかというともっちりタイプの麺です。

 また、上にのせられているチャーシューがこれまた絶品で、しっとりと味わい深く、肉自体のクォリティが高いのか?見事なチャーシューに仕上がっています。このチャーシューの肉もバスク地方の家族経営の農場からのものが使われています。

 また、魚にしても、イワシはブルターニュから、鯛は地中海沿岸から届けられています。

 気になるお値段ですが、シンプルなメニューならば、13.5ユーロ(約1,750円)と、他のパリのラーメン屋さんと比較しても、それほど高いわけでもありません。しかし、トッピングの味玉(2€)やチャーシュー(3€)、鯛のフィレ(3€)、イワシのフィレ(3€)などを追加していくとなかなかな値段になります。

 何れのラーメンにもシェフおススメのトッピングメニュー付きのものがありますが、これだと、18.5ユーロ(約2,400円)になります。

こだわりラーメン鯛(左)とイワシ シェフのおススメトッピング付き


 ラーメン屋さんには付き物の餃子(KODAWARI GYOZA)もありますが、これは、どう考えても餃子ではなく、これは、ちょっとこだわりすぎた感が否めません。(具は魚)

  

こだわり餃子

 その他、沢庵、枝前、きゅうりの漬物、なめろう丼などのサイドメニューがあります。

 飲み物も、ビールやコーラに加えて、梅酒、日本酒、ラムネや日本の緑茶などがあるところもちょっと他のパリのラーメン屋さんとは違うところです。

「こだわりラーメン サイト メニュー」

  

KODAWARI RAMEN メニュー

 全ての料理は独自の自家製を貫いており、その全てに「こだわり」の強さが窺い知れます。

 日本で長いこと修行したフランス人シェフが作るお店全体としての「こだわり」には、店内の様子を見ていても、逆にフランス人が作る日本のイメージはこういうものなのか?と思わせられる気もします。

 「こだわる」ことが大好きなフランス人、一時、日本語の勉強がてら、パリの他のラーメン屋さんでアルバイトしていたことのある娘が、「やたらとこのスープは自家製か?この麺は自家製か?」と聞く人が多いと聞いてびっくりしたことがありましたが、この文字どおりの「こだわり」がフランス人にこれだけウケているのも、フランス人のツボを抑えた「こだわり」にこだわっているからなのかもしれません。

 しかし、実際の現在の築地は豊洲に移転しており、この築地の市場を再現したような光景は、どこか昭和を思わせる光景で、決して現在のものではありません。

 先日、オリンピックの際にフランスで東京の光景として使われていたモニュメントは、スカイツリーではなく東京タワーだったりしたことからも、どうしても、フランスの日本のイメージは、「昭和のまま」で固まっているような気がするのでした。 


KODAWARI RAMEN TSUKIJI(こだわりラーメン築地)

12 Rue de Richeleu 75001 Paris 

営業時間 11:45~23:00

メトロ 1・7番線 Palais Royal または、7・14番線 Pyramides から徒歩5分以内




                          KODAWARI RAMEN を紹介している映像

2021年8月18日水曜日

コマーシャルセンターでのヘルスパスのコントロール

  


 我が家の近所のコマーシャルセンターは、パンデミック以前から、それほど盛況でもなくなり始めていて、それがパンデミックの影響を受け、軒並み閉店・撤退してしまった店舗も多く、今では閑散としていて、何だか寂しいくらいなのですが、それでも政府が今週から定めた基準値、「10万人あたり200人の発生率を超えている地域の2万㎡以上のコマーシャルセンター」には、該当しているため、コマーシャルセンターの入り口では、ヘルスパスのコントロールが行われています。

 めぼしい店舗も撤退してしまっているために、私がそのコマーシャルセンターに行くのは、スーパーマーケット(カルフール)か、薬局、たまに、DARTY(家電品のチェーン店)くらいで、あとは、近道をするために、コマーシャルセンターの中を突っ切って通り道にする程度です。

 たとえ、コマーシャルセンターを突っ切るだけでも、ヘルスパスは通行証のように必要なのです。

 本来ならば、食料品等の生活必需品のお店は、ヘルスパスの提示はいらないのですが、コマーシャルセンターの中に入っているスーパーマーケット等は、コマーシャルセンターの入り口でヘルスパスのチェックが行われるために、ヘルスパスなしには、入場できません。

 ヘルスパスのチェックについては、QRコードをピッとチェックするだけなので、大して時間がかかるものではありませんが、そこはそこで、ヘルスパスを持ってくるのを忘れた・・とか、必要だということも知らなかったという年配の人などもいて、なかなかまごついている場面も見られます。

 こんなにヘルスパスについて、大騒ぎをしているというのに、「知らない?」とは、信じ難い気もしますが、ルールもどんどん変わっていくので、(コマーシャルセンターのヘルスパスチェックは今週から)常に、状況を把握していかなければなりません。

 現在のパリは、まだバカンスから戻っていない人も多く、ヘルスパス云々以前に、通常よりも人が少なく、店員さんもバカンスに出払っているために、絶体的に人は少ないのですが、混んでいるのは、薬局だけ・・そういう私も薬局に薬を取りに行ったのですが、薬局には長い行列、少ない店員で多くのお客さんの対応をする上に、たまたまカードを使う機械が全部、ダウンしているとかで、えらい長い時間を薬局で待たされることになりました。

 その間に飛び込んできた年配の男性は、入り口で、ヘルスパスを持っていないなら、薬局に行って、PCR検査をして来いと言われたとかで(その薬局は、コマーシャルセンターの入り口付近にある)、長い行列を割り込み・・。

 「出た出た!割り込み・・」と思いつつ、私は、そんな様子を眺めていましたが、もう検査を受けなければ、買い物もできないことで、その男性はテンパっていて、自分が割り込みをしているということも自覚していない様子でした。

 しかも、以前はやっていたはずのPCR検査をその薬局ではやめてしまっており、なんだか法的には、OKなのかどうかわかりませんが、「どうせ、カルフールに行くだけでしょ!簡易検査ならできるから、それでいいでしょ!」と簡易検査をして行ったのでした。

 今は、それでも人出が少ないので、そんなドタバタがあったとしても、たかが知れていますが、これがバカンスシーズンが終わった時のいつもの人出になった場合は、とても、処理しきれないのではないか?と思ってしまいます。

   


 今でも、すでにパリの人の多い地域の街中では、テントを張って、PCR検査場を設けているところが少なくありませんが、今後、当面の間は、コマーシャルセンターの付近にも検査場がなければ、ただでさえ、パンデミックの打撃を受けて衰退しているコマーシャルセンターは、ますます存続の危機に陥る可能性があります。

 同じスーパーマーケットに行くならば、ヘルスパスを持っていない人にとっては、ヘルスパスのチェックの必要のない独立した(コマーシャルセンターに入っていない)スーパーマーケットに流れてしまいます。

 我が家の近所のコマーシャルセンターなどは、入り口付近に薬局があるのだから、薬局がその役割を果たせば良いのでしょうが、コマーシャルセンター側が薬局にPCR検査を再開してもらうように依頼しなければなりません。

 今後、バカンスが終わって、パリに人が戻ってきたら、ますますPCR検査が必要になると思いますが、もともと、本来は、PCR検査よりも、ワクチン接種拡大のために設けられたヘルスパスのシステムですから、今さら?検査場を拡大するのも何だか少し違うのかな?とも思います。

 どちらにせよ、これまでフランスでは、全て無料で行われていたPCR検査も10月には有料になるため、買い物に行く度にいちいち検査を受けているわけにも行きません。

 ヘルスパス反対のデモも5週間連続で行われていますが、9月に新年度を迎え、学校も仕事も再開されるとなると、問題は、コマーシャルセンターだけには留まらず、ますます厄介なことになっていきそうです。

 学校・仕事の再開でひと騒動、医療従事者ワクチン義務化の期限がやってくる9月半ばに、またひと騒動、そして、PCR検査有料化のタイミングでまたひと騒動、当分は、段階が進むごとに起こる反発が続きそうです。

 ワクチン接種をしていれば、全然、問題ない話なんですけどね・・。


コマーシャルセンター ヘルスパスチェック


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2021年8月17日火曜日

フランスがドイツよりもワクチン接種が進んでいるのにドイツよりも感染が悪化している理由

  


 フランスの感染悪化は、着実に拡大しており、ついに、コロナウィルスによる入院患者数が1万人のしきい値を突破し、10,151人に達してしまいました。その数字に比例するように1日の感染者数も優に2万人を超える状態が続き、1日の死者数も100人に迫る勢いで、集中治療室の患者数も1,908人にまで上昇しています。

 昨年も8月下旬から徐々に感染悪化が進んでいったものの、昨年の夏の時点でのウィルスは、気温の上昇とともに、威力を弱め、1日の感染者数は2千人台、集中治療室の患者数も380人程度で、まさに桁違いでした。

 現在は、ワクチン接種もかなり進み、フランスのワクチン接種率は、69%(2回接種済は58.4%)に達しています。

 国民の半数以上がワクチン接種済みの状態であるにもかかわらず、現在のこの感染悪化の事態は、非常に深刻です。

 フランスはよく、アメリカやドイツ、あるいは、イギリスと比較して、自国(フランス)を盛り立てることがありますが、つい数日前にもマクロン大統領がツイッターで、フランスのワクチン接種率をアメリカとドイツと比較して、フランスが彼らよりも上回っていることをグラフで示し、「私たちは共に成し遂げることができます! なぜなら、フランスは、より強く、より団結し、より市民的で、より責任感があるからです。私たちは、フランスです!」という愛国心とフランスとしてのプライドに満ちたツイートをしています。



 しかし、アメリカは、あまりの人口の多さに、比較にはなりませんが、ドイツは、フランスよりもワクチン接種率が若干低く、人口が2千万人ほど多いにもかかわらず、1日の新規感染者数も4千人前後、集中治療室の患者数も548人、1日の死者数も20人前後と格段に被害を抑えられているのです。

 これには、いくつか理由が考えられますが、その一つは、ワクチン接種が拡大していく前にドイツはかなり厳しいロックダウンを長い期間、継続していたことが考えられます。それは、フランスよりもワクチン接種率が高いイギリスにも同じことが言えます。

 そもそも昨年末にイギリス変異種が出現して以来、イギリスは危機的状況を迎え、ワクチン接種もどこの国よりも早く対応し、ワクチン接種もものすごい勢いで進めてきたこともあるのですが、同時にかなり厳しいロックダウンを続け、感染者を抑えながら、ワクチン接種を進めてきた経過があります。

 イギリスに関しては、ワクチン接種率が高いために、感染悪化をフランスよりも抑えられているのは、納得できることですが、ワクチン接種率がフランスよりも低いはずのドイツがフランスよりも圧倒的に感染を抑えられていることは、注目に値します。

 先に述べたように、前段階での厳しいロックダウンも理由の一つだと思いますが、原因はそれだけではないはずです。

 ドイツ人は、比較的、ヨーロッパの中では日本人に気質が似ていると言われますが、衛生対策管理についての厳格さ、真面目さなどがラテン気質のフランス人とは違うのではないかと思っています。

 このドイツとフランスのワクチン接種率と感染者数の違いを見ていると、必ずしもワクチン接種だけで、感染を防げているのだろうか?と感じずにはいられません。

 昨年の夏の終わりの感染状況の変化を見ると、人々がバカンスから戻り始めて、秋頃から一気に上昇していった経過を考えると、ワクチン接種が進んでいるとはいえ、現段階で、すでに昨年の5倍もの患者が集中治療室を占領しているフランスの現状は、充分に危機的状況であると考えられます。

 夏のバカンスのピークも今週いっぱいで、来週からは、バカンスを堪能した人々が続々と街に戻ってきます。

 フランスは、ヘルスパスの適用範囲を広げ、規制を強化していますが、ヘルスパスとワクチン接種の拡大で、秋には押し寄せるであろう大きな波を乗り越えることができるのだろうか?と大いに不安になってきました。


フランスとドイツ 入院患者1万人突破


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2021年8月16日月曜日

ヘルスパス適用範囲の拡大 ギャラリーラファイエット・プランタンなどのデパートまで〜 

   


 8月16日から、イル・ド・フランスの9つのショッピングセンターが訪問者にヘルスパスを課すと、パリ警察本部がプレスリリースで発表しました。


 ヘルスパスが必要になる商業施設は以下のとおりです。

・ギャラリーラファイエット(パリ9区)

・プランタン・オスマン(パリ9区)

・サマリテーヌ(パリ1区)

・ボンマルシェ(パリ7区)

・BHVマレ(パリ4区)

・コマーシャルセンター・ボーグルネル(パリ15区)

・コマーシャルセンター・イタリー2(パリ13区)

・コマーシャルセンター・ヴィルアップ(パリ19区)

・コマーシャルセンター・アエロヴィル(ヴァル・ドワーズ)

 これらの商業施設に関しては、入場の際にヘルスパスの提示とマスクの着用が義務付けられることになりました。

 この措置は、「感染率が住民10万人あたり200件の新規陽性症例を超える地域の2万㎡以上の商業施設」という基準で設定されています。

 また、セーヌ・サン・ドニとヴァル・ド・マルヌの各地域の感染拡大への懸念も強調されており、これらの地域でも感染率は10万人あたり200人を超えています。

 結果、パリ地域の一貫性と調和のために、パリの3つの空港(ロワシー、オルリー、ルブルジェ)

 また、パリ近隣のセーヌサンドニとヴァル・ド・マルヌの各地域の感染状態に対する懸念も強まっており、その発生率も10万人あたり200人を超えています。

 その結果、「パリ地域の一貫性と調和のために」、近隣県はパリのヘルスパスの適用の基準を採用し、パリの3つの空港(ロワシー、オルリー、ル・ブルジェ)とその付属施設も該当しています。

 そして、近隣のヴァル​​・ド・マルヌでは、ベルエピネ(ティエイ)を含む8つのコマーシャルセンターと2つのIKEA(イケア)ストアも該当します。

 結果的にこの基準に基づいて、カウントすると、フランス大都市圏では、合計で2万㎡を超える126ヶ所のコマーシャルセンターとデパートが月曜日からヘルスパスの管理下に置かれることになります。

 ヘルスパスが本格始動(レストラン・カフェ・長距離交通機関など)し始めてから1週間、どうにか、ヘルスパスのチェックもそれほどのトラブルもなく(デモを除いて)進み出したことを確認し、にも関わらず、感染悪化が進み、2週間後には、バカンスから皆が戻り、新年度の始まりとともにさらに感染が悪化することを懸念してのヘルスパス適用範囲の拡大に踏み出したものと思われます。

 このヘルスパスの適用範囲の拡大で、ますますデモが勢いを増しそうな気配もしますが、5週連続のデモにはびくともせずに、政府は着々と衛生対策を進めていく姿勢が感じられます。

 しかし、ワクチン接種済みでヘルスパスも持っている者としては、外出の際に少しでも感染の危険が軽減されることは、まことに歓迎すべきことで、しかも、ヘルスパスのチェックは、数秒で終わる簡単なもので、何の苦痛もないことなのです。

 ヘルスパスの確立にあたって、憲法評議会によって検証された法律によれば、その場所へのアクセスおよび輸送手段へのアクセスに危険が及ぶ場合(生活必需品の店舗は除く)、ヘルスパスの適用は、地域の知事の手に委ねられています。


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2021年8月15日日曜日

5週連続 フランスのヘルスパス反対のデモ

   


 マクロン大統領が7月12日にヘルスパス(ワクチン2回接種証明書、48時間(現在は72時間に変更されている)以内のPCR検査の陰性証明書、6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書)が多くの場所へのアクセスに必要になることを発表した時には、彼には、恐らく目前に控えたバカンスを利用して、ワクチン接種を国民に急がせるという目論見があったはずです。

 実際に、それまで停滞気味だったワクチン接種の予約は、一時サイトがパンク思想になるほど、多くの人がワクチン接種を急ぎ始めました。

 そして、もう一つの彼の予想には、バカンス期間中は、デモを起こしにくいという算段があったに違いありません。実際に、例年は、夏のバカンス期間中には、デモはあまり起こらず、9月以降のデモやストライキの日程を予告して、皆がバカンスに出てしまうのです。

 しかし、今回に限っては、マクロン大統領のヘルスパス発表以来、5週連続でどんどん規模を拡大してデモが起こり続けています。

 「フランスを解放しよう!」「選択の自由を認めよ!」「健康独裁反対!」「マクロンは出ていけ!」「我々は実験用のラットではない!」「私たちは、ワクチンを義務化される奴隷ではない!」「クレイジーな健康対策は止めよ!」などなど、彼らの掲げているスローガンだけでも、色々なものがあります。

 もはや昨今の何のデモにもかこつけて登場する黄色いベスト運動の人々や、とにかくマクロン政権のやることなすこと気に入らない人々、また、子供へのワクチン接種への危険性を訴える女性たちが子供のため、孫のためにと参加しています。

 終いには、政府がアンチヘルスパスの抗議を過小評価していることを非難している人々までいて、これでは、駄々をこねる子供を相手にせずにいる親に文句をつけているようなものです。

 しかし、アンチヘルスパスは、必ずしもアンチワクチンとも違い、ワクチンは義務化ではないと言いながら、ある程度の期間はPCR検査の陰性証明書を代替品として与えながら、10月にはPCR検査を有料化し、事実上、ワクチン接種の義務化に追い込むような強引なやり方に反発しているものでもあるのです。

 たしかに最初にこの発表を聞いた時は、私もかなり強引だなという印象を受けました。いつもだったら、凄いデモになるだろうけど、夏のバカンス中だからな・・くらいに思っていたのですが、やっぱり5週連続でデモは起こっています。

 一部の感染症専門家や医療関係者は、いっそのこときっちりと「ワクチン接種義務化」するべきだとの声も上がっています。

 しかし、ワクチン接種の義務化とすれば、それはそれで大反発は間違いなく、政府としたら、このヘルスパスは苦肉の策だったに違いありません。

 5回目のデモは若干、先週の人数を下回ったものの、依然として、そのデモは全国的なもので21万人以上が参加している大掛かりなものでした。しかし、これが今ひとつ、求心的な力を持たず、政府が動じないのは、括弧とした先導者がいないからだとも言われています。

 ワクチンは嫌、ヘルスパスも嫌、マスクも嫌、でもロックダウンも嫌・・では、どうしたらいいと言うのでしょうか?

 フランスの感染状況は、ワクチン接種率が68.35%(2回接種済は 57.48%)とかなり上がってきたにもかかわらず、(実際には、この数字を下げているのは、17歳以下の年齢層と見られ、その他の年齢層では、76%以上まで上がっています)悪化する一方で、コロナウィルスによる入院患者はここ一週間で8,368人から9,600人まで、7日間で約1,300人近く増加し、集中治療室の患者数は、1,800人を突破(1ヶ月前は900人前後だった)し、約1ヶ月で倍増しています。

 この感染のスピードを考えれば、もはや一刻の猶予もないのは明白で、政府は8月末までに5千万人ワクチン接種の目標を掲げています。

 8月もあと2週間あまり、みんながパリに帰ってくる?ということは、感染が激増する可能性と同時にデモが激化する可能性もあるのです。

 ワクチン接種の自由を主張する人々の意見とワクチン接種をして自由を勝ち取り、経済を回そうとする政府の意向はどこまでも平行線で、8月から9月にかけて、このデモはまだまだ続くでしょう。


フランス ヘルスパス反対デモ


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2021年8月14日土曜日

フランス人と日本食

   

この間、パリのお寿司屋さんで食べたお寿司 シャリは赤酢


 空前の日本食ブームで私がパリに来たばかりの頃(20年くらい前)は、パリで日本食のレストランは珍しい部類で、決まった地域(オペラ界隈)のいわゆる日本人エリアと言われるところに行けば、あるには、あるけど・・という程度で、決してフランス人にとって、日本食は一般的なものではありませんでした。

 それが、ここ10年くらい前から、グングン日本食レストランは増え出して、特に中国人経営のチェーン展開のような、お寿司屋さん(だけど、焼き鳥や餃子なども置いている)がパリ中、どこへ行ってもあるようになりました。

 そのようなお寿司屋?さんは、不思議なもので、キャベツの千切りがちょっと薄甘いドレッシングで和えられたものと、よくここまで細かく切れるな・・と思われるお豆腐がちょっぴり入った薄いお味噌汁、セットメニューだと焼き鳥(と言っても、フランス人が大好きなチーズが挟んであったりする)と握り寿司にもなぜかご飯がついてくる不思議なメニューで、いわゆる一つ一つを食べ切っていく(三角食べをしないということ)フランス人は、サラダ、味噌汁、焼き鳥、お寿司を食べた後に、白いご飯に甘いお醤油をかけて食べたりしています。

 お寿司のわさびは、握り寿司でも、シャリとネタの間にはさまってはおらず、別にお皿の脇に添えられています。

 下手をするとその甘いお醤油をお寿司にも使ったりするので仰天します。この甘いお醤油は、最近では普通のお醤油とともに普通のスーパーマーケットでも売っているようになったほど、フランスでは、人気商品でもあります。

 私は、最近は、パリでは日本人のやっているお寿司屋さんにしか行きませんが(それでさえ、滅多に行かない)、そこにはそこで、妙に通ぶったフランス人がいて、「ほら、ここは、ちゃんとわさびがシャリとネタの間に入っているんだ!」「甘い醤油なんて置いてないぞ!」と講釈を垂れているのを見かけたりすると、「そこ??」と、苦笑いしてしまいます。

 そんな講釈をたれているフランス人が、「マグロ抜きで・・」などと言っているのにも、「マグロを抜いちゃうの??」(内心は、それなら、私にちょうだい!と思っている)とびっくりさせられたりもします。

 まあ、好みですから、そこを突っ込むのもおかしいですが・・。

 なので、これほど日本食ブームとはいえ、フランス人が一体、どこまで本当の日本食の美味しさをわかってくれているかは、ちょっと疑問でもあります。まあ、日本人の私としては、多少アレンジ?されていても、日本食が広まってくれるのは、嬉しいことではあります。

 以前、職場にいた日本人が日本に帰国した際にみんなに買ってきてくれる貴重な日本のお菓子などをフランス人たちが、「セ・パ・マル!(悪くない・・)」などと言いながら、気安く食べる様子に、内心、「この美味しさ、貴重さをわかってないのに、もったいないな・・」とちょっと腹立たしく思ったりしたこともありました。

 家にフランス人を招いたりしても、かなりの食通の人でない限り、これぞ日本食!というものは出さずに、フランス人が好きそうな、どちらかといえば、和食というよりは、日本で言う洋食に近いものにしたりします。もちろん、お米だって、貴重な日本米は使わないケチな私です。

 以前は、フランスでお米といえば、お米のコマーシャルで「このお米は、ベタベタしない!」がキャッチフレーズになるような、どちらかといえば、サラダにして食べるような存在でしたが、お寿司のポピュラー化で、ベタつく?お米も受け入れられるようになりました。

 それでも、いわゆる普通に一般のスーパーマーケットでお寿司用とされているお米と本物の日本米は、比べものになりません。パリでは、日本食材店も結構ありますから、本物の日本米も買うことができます。しかし、高いです。

 なので、最近は、イタリアやスペインで作っている欧州産の日本米を買うことが多いです。それでさえ、普通のスーパーマーケットで買えるお米よりはかなり高めです。

  

スーパーマーケットで売っているお寿司、これで3000円ほど

 ですから、一般的にフランス人が口にすることの多い、今やスーパーマーケットなどで売られるようになったお寿司などは、きっと日本の回転寿司にも遥かに及ばないクォリティなのに、その数倍の値段で、それをフランス人は喜んで買っていきます。

 それに比べれば、日本のフランス料理は、フランスのそれと、そこまで遜色がないように思います。それとも、フランス人からしたら、日本のフランス料理って違う・・と思っているのでしょうか? 

 もっとも、私は、フランスに移住して以来、貴重な一時帰国時に日本でフランス料理を食べることは、まずないので、今なら違うと感じるでしょうか? 

 いずれにしても、日本の食事・レストランのレベルはかなり高く、どこに行っても世界中の料理が色々選べる世界一美味しい国だと私は思うのです。


パリの日本食レストラン


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